JP2009120433A - 耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート組成物 - Google Patents

耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】遠心力成形コンクリートを製造する際に、遠心力成形後のノロ発生量を少なくでき、それにより優れた施工性および作業性を確保するとともに、耐硫酸塩性にも優れる遠心力成形コンクリート用セメント組成物および遠心力成形コンクリート組成物を提供する。
【解決手段】CSが60質量%以上、CAが2質量%以下、CAFが11質量%以上であることを特徴とする耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート用セメント組成物およびそれを使用するコンクリート組成物であり、半水石膏割合がさらに75質量%以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート用セメント組成物およびこのセメント組成物を用いた耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート組成物に関する。さらに詳しくは、セメントの鉱物組成、石膏半水化率および粒度分布を適正化した耐硫酸塩性セメント組成物および該セメント組成物を用いた低水セメント比の耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート組成物に関する。
従来からパイル、ヒューム管等のコンクリート製品の製造方法として、強度が高く、円筒形の製品を製造する際の成形性に優れていることから、遠心力成形法が広く採用されている。この方法では、鉄筋を配した型枠中にコンクリートを打設して遠心力成形し、常温で所定時間前養生を行ったのち、常圧で蒸気養生を行い、冷却後脱型し、数週間気中養生して出荷される。
しかしながら、遠心力成形法は、製品製造時に大量のスラッジを生じ、このスラッジの処理に多大な処理費用を必要とする。またこのスラッジは埋立用土砂や産業廃棄物として処理されるため、環境負荷も大きい。ここで、スラッジとは、遠心力成形時にコンクリートから搾り出される水に含まれるコンクリート中の微粉部分を分離したノロ中の固形分を指す。
上記問題を解決するため、スラッジ発生防止剤として、カリ明バンとアルミン酸ソーダ、炭酸ソーダおよび消石灰を使用し、25G以下で遠心力成形するコンクリート製品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この製造方法では、スラッジ発生防止剤を別途添加する必要がある。
また、スラッジ発生防止剤として、アルミノケイ酸塩を使用し、低速(1〜6G)、中速(7〜19G)、高速(20〜40G)の通常の遠心力成形を行った後、更に、低速、高速で再成形させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この製造方法では、スラッジ発生防止剤を別途添加することに加え、遠心力再成形を行わなければならず、遠心力成形条件が煩雑となる。その他にも、細骨材の微粒分量を調整する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、遠心力成形コンクリートの代表的用途であるパイル、ヒューム管は地中に埋め込まれるが、土壌が硫酸塩土壌であると、長期間の地中埋め込みの間に、土壌に含まれる可溶性硫酸イオン(SO 2−)により、パイル、ヒューム管が浸食される恐れがある。この硫酸塩土壌としては、石炭掘削の際の副産物として得られる生ボタを宅地造成用土として用いたボタ造成地や、化学工場跡地および温泉地区などがあげられる(例えば、非特許文献1参照)。
特開2002−60258 特開平10−217228 特開2005ー169814 「第8回コンクリート工学年次講演会論文集」、(社)コンクリート工学会(1986)、pp.225−228
遠心力成形コンクリートを製造する際に、遠心力成形後のノロ発生量を少なくでき、それにより優れた施工性および作業性を確保するとともに、耐硫酸塩性にも優れる遠心力成形コンクリート用セメント組成物および遠心力成形コンクリート組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、成形性・作業性、遠心力成形後の材料不分離性および耐硫酸塩性に優れた遠心力成形コンクリートを得るためには、使用するセメントの鉱物組成、粒度分布および石膏の半水化率が極めて重要であるとの知見を得た。
すなわち、本発明の遠心力成形コンクリート用セメント組成物は、CS量が60質量%以上、CA量が2質量%以下、CAF量が11質量%以上であり、残部が主としてCSからなる鉱物組成を有する。また、セメント中の石膏の半水石膏割合が75質量%以上であることが好ましい。本発明の遠心力成形コンクリート用セメント組成物は、さらに、セメントの粒度分布であるRosin−Rammler式におけるn値が1.1未満であり、45μm網ふるい残分が16〜28質量%を満たすことが好ましい。
本発明のセメント組成物を用いた遠心力成形コンクリートは優れた耐硫酸塩性を示す。また、所定のスランプを得るための高性能AE減水剤の所要量を少なくすることができ、遠心力成形後のスラッジ発生量も少なくすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
耐硫酸塩性遠心力成形コンクリートは、セメント、混和材、細骨材、粗骨材、混和剤(高性能AE減水剤)および練り混ぜ水を含む。
ここで、本発明のセメントの鉱物組成は、セメントの化学組成であるSiO、Al、Fe、CaOおよびSOの含有量を用いて、Bogue式によって算出される。ちなみに、本発明のようにセメント組成物を対象とする場合、CS(3CaO・SiO)量の計算は、石膏(CaSO)に由来するCaO量を減じて修正したものである。本発明のセメント中に最も多く含有されるCS(3CaO・SiO)量は60質量%以上が必要である。但し、セメントクリンカー中の遊離石灰量およびクリンカー焼成時の熱原単位抑制の観点から、CS量の上限は概ね75質量%である。また硫酸塩土壌で優れた耐硫酸塩性を発揮するために、間隙相として、CA(3CaO・Al)量は2質量%以下が好ましく、CAF(4CaO・Al・Fe)量は11質量%以上16質量%以下が好ましい。このCAF量は、上記のような高CS型セメントクリンカーの焼成において、遊離石灰含有量を経済的に低減するためにも必要不可欠な条件である。クリンカー鉱物の残部は基本的にCS(2CaO・SiO)となる。なお、本発明のセメントは、上記のセメント鉱物組成を満足すれば、鉱物組成の異なる二種以上のセメントクリンカーの混合物であっても良い。
本発明の耐硫酸塩性遠心力成形コンクリートがその特性を十分に発揮する硫酸塩土壌としては、石炭掘削の際の副産物として得られる生ボタを宅地造成用土として用いたボタ造成地や、化学工場跡地および温泉地区などがある。ボタ造成地の場合、可溶性硫酸イオン(SO42−)濃度は地表面では3.0%近くにも達しているとの報告がある。このような地盤を宅地造成した場合や、掘削して得られた土壌を客土として用いた場合、硫化物が酸化する影響を受け、硫酸塩を多く含んだ土壌が形成される。このような地盤は、上記の化学工場跡地や温泉地などの特殊な地域とは異なり、日本に広く分布している。土木学会コンクリート標準示方書には、コンクリートの硫酸塩劣化環境として、SOとして0.2%以上の硫酸塩を含む土や水に接する場合が記載されている。
さらに、本発明は、セメント組成物の全石膏(二水石膏および半水石膏の総量)に対する半水石膏の割合が70質量%以上、好ましくは75質量%以上である。通常、セメント中のCA量が多くなると半水石膏量を多くする必要があるといわれている。しかし、本発明のようにCA量が少ない場合においても、CS量が非常に多い鉱物組成のセメントにおいては石膏の半水石膏割合を高くすることにより、スランプ保持性能を高め、遠心力成形時のスラッジ発生率を少なくすることが出来るという効果が得られる。半水石膏割合を75質量%以上にするには、クリンカーの粉砕温度を高め、セメント仕上げミルのミル出口温度を100℃以上に調整することによって行う。なお、本発明においては、全石膏量は、SO基準で1.85〜2.15質量%の範囲にあることが好ましい。
ここで半水石膏割合の測定は、まず、半水石膏量および二水石膏量を、示差熱重量分析(TG−DTA)によって定量する。具体的には、示差熱重量分析装置TG−DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて、直径20μmの孔を有する容量30μLのセル(アルミ製)に、試料を約30mg入れ、昇温速度5℃/minで室温から300℃まで昇温する。図1に示すように、まず重量減少曲線(図1のTG)を微分した曲線(図1のDTG)から、DTGピークAの立ち上がり温度(約125℃)、半水石膏の脱水に伴うDTGピークBの立ち上がり温度(約155℃)、ピークBの終局点(約195℃)を求める。次に、二水石膏の脱水に伴う125〜155℃附近の減量(a質量%)と、半水石膏の脱水に伴う155〜195℃附近の減量(b質量%)とを求め、下記の式(1)および式(2)を用いて、セメント組成物の石膏中の二水石膏量(質量%)および半水石膏量(質量%)を算出する。これらより、半水石膏の割合(質量%)は下記の式(3)を用いて算出する。なお、リファレンスとしてはアルミ板を用いる。
二水石膏量(質量%)=減量a(質量%)×172(二水石膏の分子量)÷(1.5×18(HOの分子量)) (1)
半水石膏量(質量%)=(減量b(質量%)−減量a(質量%)÷3)×145(半水石膏の分子量)÷(0.5×18(HOの分子量)) (2)
半水石膏割合(質量%)=半水石膏量÷(半水石膏量+二水石膏量)×100 (3)
本発明のセメント組成物は、比較的大きなセメント粒子を含有することが好ましい。具体的には、(4)式で示されるRosin−Rammler式におけるn値が1.1未満であることが好ましい。
ln ln(100/R)=n(ln x−ln x) (4)
ここで、Rは粒径xより大きい粒子の質量割合、xおよびnは粒度分布を表す定数である。本発明でのn値は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器((株)セイシン企業社製LMS−30型)による粒径1.0〜192μmにおけるR値から最小二乗方法によって求めることができる。この値が大きい程、セメントの粒度分布の幅が一般に狭いことを意味する。すなわち、本発明においては、セメント組成物の粒度分布の幅が相対的に広いことが好ましい。
さらに、粒度分布の他の指標でもある45μm網ふるい残分(セメント協会標準試験方法(JCAS K−02:1981の試験方法による)が16〜28質量%、より好ましくは18〜25質量%である。
本発明においては、n値が1.1未満、好ましくは1.05未満、45μm網ふるい残分を16質量%以上、好ましくは18質量%以上とすることによって、混和剤の必要量を減らすことが出来る。
粒度分布をこのような範囲に制御するために、本発明においては、粉砕方式(閉回路方式ミルまたは開回路方式ミル)の選択、戻り粉(粗粉)量、粉砕媒体(ボール)の寸法および割合、粉砕助剤の添加量の調整を行う。
本発明のセメント組成物の粉末度は、ブレーン比表面積がおおむね2800〜3800cm/gの範囲となる。
次に、耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート配合は以下のとおりである。
セメントの単位量は450〜600kg/mであり、好ましくは500〜550kg/mである。450kg/m未満では十分な強度が得られず、600kg/mを超えると水セメント比は小さくできるが、骨材間間隙に対するセメントペーストの容積比が過大となって遠心力成形による締固めが不十分となり、結果として高強度を得ることができない。
混和材量は40〜70kg/m、好ましくは50〜60kg/mである。細骨材量は500〜800kg/m、好ましくは600〜700kg/mである。粗骨材量は900〜1200kg/m、好ましくは1100〜1150kg/mである。これらの範囲であれば、十分な強度が得られ、遠心力成形による締固めも十分となる。
水/(セメント+混和材)、すなわち水結合材比の適正質量比は、使用する各種コンクリート材料および単位量(配合)によっても変化するが、20〜30質量%、好ましくは22〜28質量%である。20質量%未満では遠心力成形コンクリートの粘性が高くなり、作業性が悪化するとともに、型枠への投入が困難となり、また30質量%を超えると遠心力成形コンクリートが流動化し遠心力による締固めが不十分となり、高強度が得られ難くなるため好ましくない。
コンクリート使用材料の投入順序、使用するミキサ、練混ぜ時間等の条件は特に限定されず、遠心力成形用製品の製造で通常行われている条件でよい。練混ぜられた適正なコンクリートの流動性はスランプで100mm以下、好ましくは10〜60mmである。
このコンクリートは、配筋された遠心力成形型枠内に打設し、低速(遠心力1〜4G、好ましくは2〜3G)で1〜6min、好ましくは2〜4min回転させる。次に、中速1(遠心力5〜14G、好ましくは8〜12G)で0.5〜7min、好ましくは1〜5min回転させる。更に、中速2(遠心力15〜25G、好ましくは18〜22G)で0.5〜7min、好ましくは1〜5min回転させる。最後に高速(遠心力26〜40G、好ましくは28〜32G)で1〜7min、好ましくは3〜6min回転させ遠心力成形を行う。これらの条件による遠心力成形を行うことにより、コンクリートを良く締固め、壁落ちを防止することができる。また、肉厚の不揃いがなく、材料分離およびこれに伴って生じる表面あばたのない良質なコンクリートパイルを得ることができる。また、製造に伴うスラッジの発生を著しく低減できる。
なお、上記した遠心力(G)は、以下の関係式より求められる。
G=4rπ
r:遠心力成形型枠の半径(m)
n:遠心力成形型枠の回転速度(rps)
π:円周率
遠心力成形された成形体は、前養生工程、昇温工程、高温保持工程、冷却工程の各工程を蒸気養生槽にて行う。
上記前養生工程は、温度5〜35℃、好ましくは15〜22℃で、養生時間1〜6hの条件で養生する工程である。養生温度が5℃未満であると、初期水和が遅れるため好ましくなく、また、35℃を超えると、初期水和が促進され長期強度の伸びが小さくなる。養生時間は、1h未満では強度発現性が劣るため好ましくなく、6hを超えると強度発現性に大差がなくなる。
上記昇温工程は、15〜22℃/h、好ましくは18〜21℃/hの速度で昇温させる工程である。昇温速度が22℃/hを超えるような急速加熱を行うと、ひび割れの発生や強度増進性の低下を起こす。
上記高温保持工程は、温度60〜100℃、好ましくは75〜85℃で、3〜6h高温
保持する工程である。高温保持温度が100℃を超えるような極めて高い温度で養生を行
うと、ひび割れの発生や強度低下を起こす。
上記冷却工程は、8〜12℃/hの速度で降温する冷却工程である。降温速度が12℃
/hを超えるような急冷を行うと、ひび割れの発生や強度低下を起こす。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[1.遠心力成形コンクリートの評価]
<使用材料>
(1)ポルトランドセメント
ポルトランドセメントとしては、セメント鉱物組成(CS、CS、CA、CAF)、半水石膏割合、粉末度(ブレーン比表面積)および粒度分布の異なる3種(セメントA〜C)を使用した。これらセメントの化学的性質および物理的性質を表1に示す。ここで、セメントA、Bは、CS、CA及びCAFが本発明の範囲内にあり、セメントAは、セメント中の石膏の半水石膏割合が75質量%以上、粒度分布のn値が1.1未満、45μm網ふるい残分が18〜26質量%にある。
(2)細骨材
細骨材としては、海砂(表乾密度2.56g/cm、吸水率 2.15%、粗粒率 3.03)、砕砂(表乾密度2.70g/cm、吸水率 1.50%、粗粒率 2.80)を用いた。
(3)粗骨材
粗骨材としては、砕石2015(表乾密度 2.70g/cm、吸水率 0.47%、粗粒率 7.03)、砕石1505(表乾密度 2.69g/cm、吸水率 0.56%、粗粒率 6.29)を用いた。
(4)混和材
混和材としては、電気化学工業(株)社製のΣ1000を用いた。
(5)混和剤
混和剤としては、高性能AE減水剤(花王(株)社製 マイティHS、ナフタリンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩)を用いた。
(6)練混ぜ水
練混ぜ水としては、水道水を用いた。
Figure 2009120433
<遠心力成形コンクリートの作製>
以下のようにして遠心力成形コンクリートを作製した。
まず、20℃の恒温室においてセメント組成物および細骨材、粗骨材を容量50リットルの二軸強制練りミキサに投入し、30秒間練混ぜ、混和剤を含む水(すなわち、混和剤+水)を投入し、240秒間練混ぜてコンクリートを作製した。またコンクリートのスランプは、JIS A 1101−2005「コンクリートのスランプ試験方法」記載の方法に従い、スランプが50±15mmとなるように混和剤添加量を調整した。コンクリートの配合を表4に示す。
<遠心力成形コンクリートの評価>
上記のようにして得られたコンクリートをJIS A 1101−2005「コンクリートのスランプ試験方法」、JIS A 1128−2005「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法」によって試験を行った。また遠心力成形によるパイルの成形は、外形200mm、高さ300mm、厚さ45mmの円筒供試体とし、試験体の容量に相当するコンクリート量を型枠に投入し、遠心力成形機にて表2に示す条件で成形した。成形直後に型枠内に発生したスラッジ量を測定し、スラッジを24時間105℃で乾燥させた後の固形分量を測定した。その結果を表5および図2に示す。また、強度試験用供試体は、φ10×20cmの円柱とし、型枠にコンクリートを充填し、テーブルバイブレータにより振動締固めを行った。供試体の蒸気養生条件を表3に示す。圧縮強度試験は、JIS A 1108−1999「コンクリートの圧縮試験方法」に準拠して行った。その結果を表5および図4に示す。
Figure 2009120433
Figure 2009120433
Figure 2009120433
Figure 2009120433
図2からわかるように、セメント組成物Aを使用した場合(実施例1)は、セメント組成物C(比較例1)を使用した場合よりも、所定のスランプを得るための高性能AE減水剤の所要量を少なくすることができた。また図3からわかるように、セメント組成物Aを使用した場合、セメント組成物C(比較例1)を使用した場合よりも、遠心力成形後のスラッジ発生率およびスラッジ固形分率が少なくなった。また図4より、セメント組成物A、Bを用いた遠心成形力成形コンクリート(実施例1、2)の圧縮強度は、早期強度発現型のセメント組成物Cを使用した比較例2と比べ遜色ない結果が得られた。
[2.コンクリートの評価]
次に、耐硫酸塩性を短期間で評価するために、遠心力成形コンクリートよりも水セメント比の高い(W/C=65%)通常配合のコンクリートを作製し、供試体とした。
<使用材料>
(1)ポルトランドセメント
ポルトランドセメントは、上記遠心力成形コンクリートで使用した3種(セメントA〜C)である。
(2)細骨材
細骨材としては、海砂(表乾密度2.56g/cm、吸水率 2.15%、粗粒率 3.03)、砕砂(表乾密度2.70g/cm、吸水率 1.50%、粗粒率 2.64)を用いた。
(3)粗骨材
粗骨材としては、砕石2015(表乾密度 2.70g/cm、吸水率 0.47%、粗粒率 7.03)、砕石1505(表乾密度 2.69g/cm、吸水率 0.56%、粗粒率 6.29)を用いた。
(4)混和剤
混和剤としては、AE減水剤(BASFポゾリス製 No.70、リグニンスルホン酸化合物とポリオールの複合体)およびAE剤(BASFポゾリス製 マイクロエア303A、アルキルエーテル系陰イオン界面活性剤)を用いた。
(5)練混ぜ水
練混ぜ水としては、水道水を用いた。
<コンクリートの作製>
まず、20℃の恒温室においてセメント組成物および細骨材、粗骨材を容量50リットルの二軸強制練りミキサに投入し、30秒間練混ぜ、混和剤を含む水(すなわち、混和剤+水)を投入し、120秒間練混ぜてコンクリートを作製した。またコンクリートのスランプは、JIS A 1101−2005「コンクリートのスランプ試験方法」記載の方法を用い、スランプが150±15mmとなるように混和剤添加量を調整した。コンクリートの配合を表6に示す。
Figure 2009120433
<耐硫酸塩浸せき試験>
硫酸塩溶液浸せき試験は、JIS原案「コンクリートの溶液浸せきによる耐薬品性試験方法(案)」に準拠して行った。外観観察および圧縮強度測定用供試体はφ10×20cmの円柱体を使用し、長さ変化率および質量変化率測定用供試体は10×10×40cmの角柱体を使用した。材齢1日で脱型して材齢7日まで20±1℃の水中養生、その後、材齢21日までは20±1℃にて封緘養生、材齢26日まで20±1℃、湿度60±5%の恒温恒湿室で気中養生、材齢28日まで水中養生を行った。また、浸せき液は10%硫酸ナトリウム溶液とした。測定項目は質量変化、長さ変化率とし、測定は硫酸塩溶液浸せき後7、28、56、91および182日で行った。
図5および図6に10%硫酸ナトリウム溶液に浸せきした供試体の浸せき期間と長さ変化率および質量変化率の関係を示す。セメント組成物AおよびBを用いたコンクリート(実施例3および4)は、セメント組成物Cを用いたコンクリート(比較例2)よりも長さ変化率および質量変化率が何れも小さかった。
示差熱重量分析(TG−DTA)を用い、セメント組成物中の半水石膏量を測定した例を示す図である。 同一スランプを得るための混和剤添加率を示す図である。 遠心力成形後のスラッジ発生率とスラッジ固形分率を示す図である。 各種セメント組成物を用いた遠心力成形コンクリートの圧縮強度を示す図である。 硫酸ナトリウム溶液に40週間浸せきしたコンクリートの長さ変化率を示す図である。 硫酸ナトリウム溶液に40週間浸せきしたコンクリートの質量変化率を示す図である。

Claims (7)

  1. Sが60質量%以上、CAが2質量%以下、CAFが11質量%以上であることを特徴とする耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート用セメント組成物。
  2. 請求項1項記載の耐硫酸塩性遠心力成形用セメント組成物と、混和材と、細骨材と、粗骨材と、混和剤とを含み、単位水量が150kg/m以下、水/(セメント+混和材)が20〜30%である、耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート組成物。
  3. コンクリート組成物の単位量が、混和材量が40〜70kg/m、細骨材量が500〜800kg/m、粗骨材量が900〜1200kg/mである、請求項2記載の耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート組成物。
  4. 半水石膏割合が75質量%以上である、請求項1記載の耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート用セメント組成物。
  5. Rosin−Rammler式におけるn値が1.1未満であり、かつ45μm網ふるい残分が18〜26質量%である、請求項項1又は4記載の耐硫酸塩性遠心力成形コンクリート用セメント組成物。
  6. Sが60質量%以上、CAが2質量%以下、CAFが11質量%以上であるセメントと、混和材と、細骨材と、粗骨材と、混和剤とを含むコンクリート組成物を、水と混練し、遠心力成形した後、蒸気養生する遠心力成形コンクリートの製造方法であって、前記遠心力成形を、低速(遠心力1〜4G)、中速1(遠心力5〜14G)、中速2(遠心力15〜25G)および高速(遠心力26〜40G)の順で行うことを特徴とする耐硫酸塩性遠心力成形コンクリートの製造方法。
  7. 蒸気養生を、5〜35℃で1〜6h保持し(前養生工程)、15〜22℃/hの速度で昇温し(昇温工程)、60〜100℃で3〜6h保持し(高温保持工程)、その後、降温する(冷却工程)、請求項6記載の耐硫酸塩性遠心力成形コンクリートの製造方法。
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