JP6346519B2 - 高強度コンクリートおよびコンクリート部材の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、第一養生工程には、高温養生やオートクレーブによる高温高圧養生およびセメントの水和熱を利用した断熱養生を含むものとする。
本実施形態に係る高強度コンクリートは、少なくとも結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、を含んだ混合体により構成されている。
本実施形態では、低熱セメントを、細骨材および粗骨材を含んだコンクリート混合体1m3当たり240〜290L(リットル)の範囲内で添加する。
ここで、低熱セメントの添加量が240〜290L/m3の範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度と高流動性、練混ぜ易さを達成できなくなるおそれがある。
ここで、フライアッシュの添加量が25〜80L/m3の範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度と高流動性、練混ぜ易さを達成できなくなるおそれがある。
珪石微粉(累積50%粒子の粒径10μm程度以下)は、コンクリート混合体1m3当たり40〜90Lの範囲内で添加する。
前記フライアッシュおよび前記珪石粉の総量に対する前記珪石粉の容積比が0.35〜0.75の範囲で添加する。この範囲を外れると、化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度と高流動性、練混ぜ易さを達成できなくなるおそれがある。
本実施形態では、コンクリート混合体1m3当たり70〜100Lの範囲内でシリカフュームを添加する。
ここで、シリカフュームの添加量が70〜100L/m3の範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度と高流動性、練混ぜ易さを達成できなくなるおそれがある。
ここで、水の結合材に対する重量比が11%未満だと、練混ぜることができなくなるおそれがある。一方、水の結合材に対する重量比が13%よりも大きいと、流動性、練り混ぜ易さ高まるものの、高強度を達成できなくなるおそれがある。
本実施形態では、コンクリート混合体1m3当たり180〜290Lの範囲内で細骨材を添加する。
ここで、細骨材の添加量が180L/m3未満だと、調合的に細骨材から置換される粗骨材が多くなりすぎ、鋼繊維などと干渉して良好な流動性を得られなくなるおそれがある。一方、細骨材の添加量が290L/m3より大きくても、結合材ペーストに対する細骨材が多くなりすぎて、良好な流動性や練混ぜ易さを得られなくなるおそれがある。
ここで、粗骨材の添加量が90L/m3未満だと、コンクリートとしての収縮が大きくなるおそれがある。一方、粗骨材の添加量が120L/m3よりも大きいと、鋼繊維などと干渉して良好な流動性を得られなくなるおそれがある。
本実施形態では、長さが13±2mm、直径が0.16mm、断面積が0.020m2のものを使用する。なお、鋼繊維の形状寸法は限定されるものではなく、例えば、長さが6±2mmのものを使用してもよい。
ここで、鋼繊維の容積比が0.5%未満だと、繊維の補強効果が減少し、良好な強度が得られなくなるおそれがある。一方、鋼繊維の容積比が2%よりも大きいと、コンクリートの流動性が大きく低下するおそれがある。
なお、鋼繊維は耐火性の向上、強度増加の目的で添加されている
鋼繊維の形状は、限定されるものではなく、円形断面、矩形断面や多角形断面等の異形断面の他、変形する断面径状を有したものを使用することが可能である。
本実施形態では、混練工程、打設工程、型枠養生工程、第一養生工程および第二養生工程により、コンクリート部材を製造する。
高強度コンクリートは、コンクリート構造体の形状に応じた形状に形成された型枠に打設する。
本実施形態では、型枠に打設された高強度コンクリートを、所定の強度が発現するまで(1〜2日程度)、常温(雰囲気温度)にて行う。
なお、第一養生工程における養生の温度、気圧、保持時間は、前記の条件に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、型枠養生工程で基本組織が十分に構築できると判断される場合には、第一養生工程を省略してもよい。また、型枠養生工程において断熱養生を行い、さらに、高温養生や高温高圧養生による第一養生工程を行ってもよい。
本実施形態の第二養生工程は、加熱養生を200℃程度の温度環境下で6時間以上行う。
さらに、200℃による加熱養生を行うことで、圧縮強度が略300N/mm2のコンクリート部材を製造することができる。
使用材料の主要物性、成分等を以下に示す。
・低熱セメント(密度3.24g/cm3,比表面積3800cm2/g,けい酸二カルシウム含有量:54質量%,アルミン酸三カルシウム含有量:3質量%)
・フライアッシュ(密度2.28g/cm3,比表面積3920cm2/g,二酸化けい素含有量:60.4質量%)
・珪石粉(密度2.63g/cm3,比表面積8280cm2/g,二酸化けい素含有量:95.9質量%)
・シリカフューム(密度2.25g/cm3,比表面積16.6m2/g,二酸化けい素含有量:94.7質量%)
・細骨材(絶乾密度2.64g/cm3、最大寸法0.43mm)
・粗骨材(絶乾密度2.63g/cm3,最大寸法20mm)
・混和剤(ポリカルボン酸系高性能減水剤)
・空気量調整剤(ポリアルキレングリコール誘導体)を2.8kg/m3添加
混練には,縦型ミキサ(容量30L)を用いた。使用材料のうちの粉体部分と細骨材を練り混ぜる乾燥混練を3分間行った後,液体部分を投入して湿潤混練を行った。ここでの混練時間は,電流計により測定したミキサ負荷電流がピークを示した後に減衰し,その後に安定するまでの時間とした。次に,鋼繊維と粗骨材を別々に投入し,それぞれ2分および1分30秒練り混ぜた。
養生方法
20℃の型枠養生工程を行った後,90℃を24時間保持した第一養生工程と190℃を6時間保持した第二養生工程を行った。加熱時の昇温速度は20℃/時以下,降温速度は10℃/時以下とした。
試験方法
練混ぜ性能の指標は,前記の液体部分を投入してから鋼繊維を投入するまでのミキサ負荷電流を測定し,ミキサ負荷電流がピークを示した後に減衰して,その後に安定した時に示した値に最初に到達するまでの時間とした。この時間を練混ぜ時間とした。
コンクリートの流動性は,JIS A 1171「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に準拠したミニスランプコーン(上端内径50mm,下端内径100mm,高さ150mm)によるモルタルフローにて測定した。測定は,混練時に粗骨材を投入する前のモルタルについて行った。なお,測定の際にモルタルへの加振は行っていない。モルタルの流動性の指標として,上記のモルタルフロー値が20cmに達する時間と,流動が停止したときのフロー値を測定した。
圧縮強度試験には,直径50mm,高さ100mmの円柱供試体を用いた。
練混ぜ時間およびフレッシュ性状については,それぞれケース3(表1では単に3と表記、他も同様)で得た数値(練混ぜ時間22.4分、圧縮強度304N/mm2、モルタルフロー値37.1cm、20cmフロー到達時間3.1秒)を100%とした場合の比で表している。なお,ケース3の容積比は,圧縮強度300N/mm2以上を実現しつつ,これ以上の容積比とすると練混ぜ時間が徐々に増加し始め,フローの低下が現れる容積比であるため,これを100%とした。
容積比と圧縮強度の回帰式は上に凸の放物線状の傾向となった。容積比が0.0から上がるにつれて圧縮強度も増加していき,容積比がおよそ0.35〜0.40付近で圧縮強度は300N/mm2級に到達した。また,圧縮強度は容積比0.70〜0.75付近でピークとなり,その後は容積比1.0に向かうにつれて低下していく(図-1)。
練混ぜ時間は容積比の増加とともに大きくなる傾向となった(図-1)。フレッシュ性状については,容積比の増加とともにモルタルフロー値は小さくなり,20cmモルタルフロー到達時間は遅くなった(図-2)。容積比0.75を超えると,練混ぜ時間比がおよそ110%,20cmフロー到達時間比がおよそ125%を超え,練混ぜ性能および施工性に支障をきたすと考えられる。
なお、表1に示すケース3と4は、この好ましい範囲にあり、その他のケース1、2、5は、この好ましい範囲外にある。
Claims (2)
- 1m3当たり240〜290Lの範囲内で添加された低熱ポルトランドセメントと、
1m3当たり25〜80Lの範囲内で添加されたコンクリート用フライアッシュII種と、
1m3当たり40〜90Lの範囲内で添加された累積50%粒子の粒径10μm以下の珪石粉と、
1m3当たり70〜100Lの範囲内で添加された粉末状のコンクリート用シリカフュームと、
1m3当たり180〜290Lの範囲内で添加された細骨材と、
1m3当たり90〜120Lの範囲内で添加された粗骨材と、
前記低熱ポルトランドセメントと前記コンクリート用フライアッシュII種と前記珪石粉と前記コンクリート用シリカフュームとを含む結合材に対する重量比が11〜13%となるように添加された水と、を混合してなるコンクリート混合体と、
前記コンクリート混合体に対して外割りの容積比で0.5〜2%となるように添加された鋼繊維とを含み、
前記低熱ポルトランドセメントに対する前記コンクリート用フライアッシュII種、前記珪石粉および前記コンクリート用シリカフュームの重量比が、それぞれ9〜18%の範囲内、27〜18%の範囲内および21%であることを特徴とする、高強度コンクリート。 - 請求項1に記載の高強度コンクリートを打設する打設工程と、
前記高強度コンクリートを常温または常温よりも高い温度で養生する第一養生工程と、 第一養生工程後に第一養生工程よりも高い温度で加熱養生を行う第二養生工程と、を含むことを特徴とする、コンクリート部材の製造方法。
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