JP5629629B2 - 爆裂防止超高強度コンクリート - Google Patents

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Description

本発明は、超高強度コンクリートの爆裂防止技術、特に150N/mm2を超える超高強度コンクリートの爆裂防止技術に関する。
設計基準強度80 N/mm以上の高強度コンクリート、特に設計基準強度が150N/mmを越えるような超高強度コンクリートは、火災時にコンクリート表面が飛び散って剥落する爆裂を生じやすい。
この爆裂現象は鉄筋コンクリートの断面の欠損および鉄筋コンクリート内部温度の早期上昇を招くことが知られている。
このため、この爆裂現象を生じさせない、若しくは、その程度を低減させる対策のひとつとして、養生後ある程度自然乾燥を経た、圧縮強度が約80N/mm以上の高強度コンクリート構造体を、内部に抵抗発熱体を敷設した通気性シート状物で覆い通電することにより、構造体の表面温度が40〜60℃の範囲で電熱乾燥する高強度コンクリートの爆裂防止方法(特許文献1)が提案されている。
しかし、加熱が構造体の表面温度40〜60℃の範囲で行われるため、この方法を圧縮強度が150N/mm以上の超高強度コンクリートに適用した場合、水分の除去程度が低く爆裂防止効果がほとんど期待できないという問題がある。
また、爆裂防止コンクリートとして、好ましくは10〜100μmの直径及び好ましくは8〜20mmの長さを有し火災時に加熱されることにより毛細管孔を形成する合成樹脂繊維、特にポリプロピレン樹脂(以下PPと称する)繊維を添加した火災攻撃下での耐スポーリング性プレキャストコンクリート(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、コンクリートにPP繊維を混入させると強度が低下するほか、フレッシュコンクリートの流動性が低下して施工性が低下する。そして、混入量が多いほど爆裂抑止性能は増加するものの、強度低下や施工性低下が大きくなる傾向が強まる。
したがって、圧縮強度が150N/mm以上の耐爆裂性を有する超高強度コンクリートを製作するためには、PP繊維混入量をなるべく少なくする必要がある。しかしながら、そうすると爆裂防止性能が低下してしまうという問題が発生する。
また、この発明の合成樹脂繊維は、火災が発生してコンクリート構造体が火災にて加熱されたとき、合成樹脂繊維が溶融、熱分解して毛細管孔を形成するもので、コンクリート構造体に毛細管孔が形成されるまで、火災発生の時点からある程度の時間を要することから、超高強度コンクリートの場合、合成樹脂繊維を添加しても、火災時のように急速に加熱されると表層が剥離するような爆裂を生じてしまうことがある。
そこで、本発明者らは、合成樹脂繊維が混入された生コンクリートを打設・脱型したコンクリートを温水中又は高温高圧気中で養生した後、乾燥炉内でコンクリート温度が低くとも前記混入した合成樹脂繊維が溶融する温度で養生し、溶融した合成樹脂を養生中のコンクリートの微小空隙に吸収させることにより、前記合成樹脂の占有空間の少なくとも一部をセメント硬化体の空洞に変化させた、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリートを提案した(特許文献3)。
しかしながら、この爆裂防止技術は、200℃程度の高温でコンクリートを養生する必要があることから、現場打ちコンクリートに適用することは事実上困難であり、実際に築造し得るコンクリートは必然的にプレキャストコンクリートに限定されていた。
特開平5−105549号公報 特開平6−211555号公報 特願2011−11200号
本発明は、上述した種々の課題を解決するために創作されたもので、圧縮強度が80N/mm以上であり、かつ、200℃程度の高温養生行わなくても、実施可能な爆裂防止超高強度コンクリートを提供することを目的とするものである。この際に、添加する合成樹脂繊維の添加量を減らし、コンクリート圧縮強度の低下と流動性の低下を減らすことをも目的としている。
請求項1に係る発明は、コンクリートの内部に中空及び/又は多孔質及び/又は多孔質中空の熱可塑性繊維が混入されて爆裂が抑制された超高強度コンクリートとした。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記超高強度コンクリートに鋼繊維が混入されたものであることを特徴としている。
従来法である密実な熱可塑性繊維、その代表的であるPP繊維を用いた爆裂防止コンクリートでは、ポリプロプレンが熱分解する温度400℃になってから、PP繊維がガス化して次第に消失することにより、ポリプロプレン繊維のあった孔が水蒸気の逃げ道となってコンクリートの爆裂を抑制する。本件発明では、水蒸気の逃げ道が予め繊維内に形成されていることから、より効果的にコンクリート爆裂を防止できる。以下、熱可塑性樹脂でコンクリートの爆裂防止によく用いられているPP繊維を例示して述べる。
多孔質中空熱可塑性繊維としては、従来から知られているPP樹脂を基質とする多孔質中空糸膜を細くした形状である。多孔質中空糸膜は、多くの場合、紡糸した未延伸のPP中空糸を先ず熱処理した後、そのガラス点転移温度以上110℃以下、特に、室温付近の温度で延伸してPP中空糸壁に微細孔を形成し、次いで、熱処理を再度行うことにより多孔質体を熱固定する方法により製造されている。
コンクリート中に分散された多孔質中空熱可塑性樹脂繊維は、中空熱可塑性樹脂繊維とは異なり、繊維の外周から内部の連通した中空に達する細孔を有することから、中空熱可塑性樹脂繊維よりも余剰の水分の乾燥を促すとともに、火災時にも水蒸気を逃がしやすく、より効果的にコンクリート爆裂を防止できる。
多孔質熱可塑性繊維は、中空を有しない未延伸のPP糸を用いて上記と同様な方法で製造することができる。多孔質熱可塑性繊維は、全体が多孔質になっていることから、融点165℃近傍の温度で収縮して、密実な繊維に戻ろうとする。コンクリートに混合された多孔質熱可塑性繊維は、火災時の加熱で上記理由により長さ方向にも、径方向にも収縮して、水蒸気の逃げ道を形成する。ただし、繊維の軸方向の連続孔がないことから、余剰の水分の乾燥を促す効果は少ない。
PPに限らず熱可塑性の樹脂であり、繊維状の多孔質体が得られれば本件発明に適用できる。さらに、親水性を付与する目的で、エチレンー酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリビニールアルコール、界面活性剤等を繊維や微細孔の表面に保持させてもよい。細孔径分としては、シリカフュームの直径より小さい0.1μm以下が大部分を占めるものが多孔質体の内部への粉体の進入を防ぐ上で好ましい。
また、さらに本発明の繊維をセメントに混合する際には、混練時の圧力でつぶれにくくし、かつ内部に粉体が侵入しにくくすることから、混練する時には内部の空隙が水で満たされた状態にしておくことが好ましい。
請求項1に係る発明によれば、圧縮強度150N/mmを超える極めて緻密なセメント硬化体から構成された超高強度コンクリート構造体であっても、コンクリートの内部に混入された熱可塑性繊維が多孔質構造であるので、セメント硬化体内に繊維状の空隙が無数に存在し、この空隙がコンクリートの自然乾燥を促進して含水率の低下に貢献するとともに、火災時には一部の空隙が即座にセメント硬化体の緻密な組織の間隙を通って蒸散する水蒸気のバイパスとなり、やがては火災時の熱によって、融点近傍の温度で上記空隙が広がり、さらに熱可塑性樹脂の熱分解温度に達すると、繊維が分解・消失して繊維のあった部分がそのまま空隙となり、火災時における水蒸気圧や温度応力の逃げ場となって爆裂を効果的に防ぐことになる。その結果として、混合する繊維の量を減らすことができ、コンクリートの圧縮強度の低下と施工性の低下を少なくすることができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、混入された鋼繊維がセメント硬化体の引張応力を向上してさらに爆裂防止効果をさらに高くすることができる。
図1は、コンクリートに混入する中空合成樹脂繊維の断面形状の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本実施形態に係る超高強度コンクリートは、少なくとも結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、多孔質熱可塑性樹脂繊維又は多孔質中空熱可塑性繊維を含んだ混合体により構成されている。
結合材は、低熱セメントとフライアッシュまたは珪石粉とシリカフュームとを含んでいる。結合材は、予め所定の配合で混合されたプレミックス品を使用してもよいし、コンクリート製造時に混合してもよい。各粉体にはCa(カルシウム)やSi(ケイ素)が含まれており、化学組成から考えた最適な各粉体の混合バランスは、養生温度によって異なる場合があるが、本実施形態の配合によれば、設計基準強度で150N/mm以上の圧縮強度を確保することができる。
低熱セメントは、いわゆる低熱ポルトランドセメントである。低熱ポルトランドセメントは、中庸熱ポルトランドセメントと比較して、水和発熱量が小さく、長期強度が大きいという特性を有している。
本実施形態では、低熱セメントを、コンクリート混合体1m当たり250〜310L(リットル)の範囲内で添加することが好ましい。
ここで、低熱セメントの添加量が250〜310L/mの範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度を達成できなくなるおそれがある。
フライアッシュとしては、JIS規格II種の一般的なコンクリート用フライアッシュを使用する。本実施形態では、フライアッシュを、コンクリート混合体1m当たり125〜170Lの範囲内で添加することが好ましい。なお、フライアッシュに替えて、珪石微粉(累積50%粒子の粒径10μm程度以下)を使用してもよい。
ここで、フライアッシュの添加量が125〜170L/mの範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度を達成できなくなるおそれがある。
シリカフュームとしては、粉末状のいわゆるコンクリート用シリカフュームを使用するものとする。
本実施形態では、コンクリート混合体1m当たり75〜100Lの範囲内でシリカフュームを添加することが好ましい。
ここで、シリカフュームの添加量が75〜100L/mの範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度を達成できなくなるおそれがある。
水は、低熱セメントとフライアッシュ(珪石粉)とシリカフュームとを含む結合材に対して、重量比が11〜13%となるように添加することが好ましい。
ここで、水の結合材に対する重量比が11%未満だと、練混ぜることができなくなるおそれがある。一方、水の結合材に対する重量比が13%よりも大きいと、高強度を達成できなくなるおそれがある。
細骨材として、本実施形態では珪砂6号を使用するが、細骨材を構成する材料は、粒径が0.5〜0.6mm以下のものであれば限定されるものではなく、例えば、川砂、山砂等の天然骨材や砕砂、高炉スラグ細骨材等も採用可能である。
本実施形態では、コンクリート混合体1m当たり150〜260Lの範囲内で細骨材を添加することが好ましい。
ここで、細骨材の添加量が150L/m未満だと、配合的に細骨材から置換される粗骨材が多くなりすぎ、鋼繊維などと干渉して良好な流動性を得られなくなるおそれがある。一方、細骨材の添加量が260L/mよりも大きいと、添加可能な粗骨材が少なくなりすぎてコンクリートとしての収縮が大きくなるおそれがある。
粗骨材には、砂利または砕石を使用する。本実施形態では、砕石(大月砕石)を使用するものとし、コンクリート混合体1m当たり95〜120Lの範囲内で添加することが好ましい。
ここで、粗骨材の添加量が95L/m未満だと、コンクリートとしての収縮が大きくなるおそれがある。一方、粗骨材の添加量が120L/mよりも大きいと、鋼繊維などと干渉して良好な流動性を得られなくなるおそれがある。
鋼繊維は、コンクリート混合体に対して、外割りの容積比で0.5〜2%程度となるように混入することが好ましい。
本実施形態では、長さが13±2mm、直径が0.16mm、断面積が0.020m、質量が100本あたり204.1mg±15%のものを使用する。なお、鋼繊維の形状寸法は限定されるものではなく、例えば、長さが6±2mmのものを使用してもよい。
ここで、鋼繊維の容積比が0.5%未満だと、繊維の補強効果が減少し、良好な強度が得られなくなるおそれがある。一方、鋼繊維の容積比が2%よりも大きいと、コンクリートの流動性が大きく低下するおそれがある。
なお、鋼繊維は後述するPP繊維の添加による強度低下を補完する目的で添加されているが、PP繊維の添加を少なくした場合には、鋼繊維の添加により、圧縮強度が高くなることもある。
また、本実施形態では、鋼繊維として、引張強度が2000N/mm以上の高張力鋼繊維、アモルファス鋼繊維、ステンレス繊維などの公知の鋼繊維から適宜選定して使用する。
鋼繊維の形状は、限定されるものではなく、円形断面、矩形断面や多角形断面等の異形断面の他、変形する断面径状を有したものを使用することが可能である。
孔質繊維は、コンクリート混合体に対して、繊維の見掛け上の体積(繊維内に空隙がないとした場合の体積)で外割りの容積比として0.05%〜0.5%となるように混入されることが好ましい。より好ましい範囲としては、0.05%〜0.3%である。ここで、PP繊維の容積比が0.05%未満だと、耐火繊維の効果が減少し、火災時の爆裂抑制効果が得られなくなるおそれがある。一方、PP繊維の容積比が0.5%よりも大きいと、コンクリートの流動性が大きく低下するとともに、高強度が得られなくなるおそれがある。なお、外割りの容積比で0.3%のPP繊維を添加すると、15N/mm程度の圧縮強度の低下を生じる。
参考例として示した密実なPP繊維は、直径48μm、長さ20mmのものを使用している。
参考実施形態では、中空熱可塑性繊維Aはホリプロピレン樹脂から成り、直径50μm、長さ20mm、断面が図1に示す形状で中空部の体積が40%のものである。
多孔質中空熱可塑性繊維Bはホリプロピレン樹脂から成り、外径50μm、内径10μm、長さ20mm、空孔率(水銀圧入法)55%、平均孔径(バブルポイント法)0.14μmのものを使用する。
多孔質熱可塑性繊維Cはホリプロピレン樹脂から成り、外径50μm、長さ20mm、空孔率(水銀圧入法)69%、平均孔径(バブルポイント法)0.08μmのものを使用する。
次に、本実施形態のコンクリート部材の製造方法について、説明する。
本実施形態では、混練工程、打設工程、型枠内養生工程、脱型後の養生工程により、コンクリート部材を製造する。現場打設の場合には、脱型後の養生は自然養生となる。
混練工程は、セメントと、フライアッシュと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水と、混和剤、PP繊維および鋼繊維を練り混ぜる工程である。
本実施形態の混練工程は、コンクリート配合中の細骨材と粉体部分を練り混ぜる乾燥混練と、乾燥混練により練り混ぜられた部分に液体部分を投入して練り混ぜる湿潤混練と、湿潤混練により練り混ぜられたモルタルに粗骨材と繊維(鋼繊維および本件発明の熱可塑性繊維)を投入して練り混ぜる繊維混練と、を含んでいる。なお、本件発明の熱可塑性繊維は、あらかじめその内部の空隙を水で満たしておくとよい。
ここで、乾燥混練では、セメントと、フライアッシュと、シリカフュームと、細骨材と、をドライ状態で練り混ぜる。乾燥混練における、各材料の練り混ぜ方法や手段は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
湿潤混練では、細骨材と粉体部分の練り混ぜが完了した後、混和剤入りの水を投入して練り混ぜた後、粗骨材と繊維を投入することで、ミキサーに過負荷をかけることなくフレッシュコンクリートに所定の流動性を発現させる。なお、湿潤混練における練り混ぜ方法や手段は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
打設工程は、混練工程により、練り混ぜられた繊維を含むフレッシュコンクリートを、公知の手段により、打設する工程である。
超高強度コンクリートは、コンクリート部材の形状に応じて形成された型枠に打設する。
型枠養生工程は、打設工程により打設された超高強度コンクリートを養生する工程である。
本実施形態では、型枠に打設された超高強度コンクリートを、所定の強度が発現するまで(1〜2日程度)、常温(20℃程度)にて行う。
脱型後の養生工程は、型枠養生工程により所定の強度が発現した超高強度コンクリートを脱型し、温水・温風等を利用して高温履歴養生する工程である。
脱型後の養生工程では、常温よりも高い温度でコンクリートを養生し、水和物の基本組織を構築する工程である。養生の方法は、蒸気養生槽などを用いた90℃程度の高温養生により行う。なお、型枠養生工程の段階で、断熱養生によりセメントの水和熱を利用した養生を行う場合には、これが脱型後の養生工程に相当する。
なお、脱型後の養生工程における養生の温度、気圧、保持時間は、前記の条件に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、型枠養生工程で水和物の基本組織が十分に構築できると判断される場合には、脱型後の養生工程を省略してもよい。また、型枠養生工程において断熱養生を行い、さらに、高温養生や高温高圧養生による脱型後の養生工程を行ってもよい。
以上、本実施形態の超高強度コンクリートおよびコンクリート部材の製造方法によれば、粗骨材が含有されたコンクリートについて、150N/mmを超える超高強度コンクリートを提供することが可能となる。また、水結合材比が重量比で11〜13%確保されているため、従来の超高強度コンクリートと比較して流動性が低下することがなく、施工性が低下することもない。
本実施形態の超高強度コンクリートは、90℃よりも高い温度での養生(脱型後の養生工程)をすることにより、圧縮強度が200N/mm以上のコンクリート部材を提供することができる。
そのため、例えば、高層コンクリート建物の柱として使用すれば、柱としての強度を低下させることなく小断面化が可能となるため、使用空間の自由化が広がる。また、構造物全体の軽量化が可能となるため、全体費用の低減化も可能となる。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、超高強度コンクリートの養生を、常温よりも高い温度での脱型後の養生について説明したが、200℃まで昇温させる乾燥加熱養生を行ってもよい。
前記実施形態では、PP繊維として、同一形状のものを所定量添加するものとしたが、複数の異なる形状のPP繊維を添加してもよい。鋼繊維についても同様に、異なる材質や形状のものを組み合わせて添加してもよい。
以下、本実施形態に係る超高強度コンクリートの有効性を確認するために実施した実験1の結果を示す。
養生1 90℃温水(24時間) → 材齢6日圧縮強度試験
養生7 簡易断熱養生(7日)

実験では、超高強度コンクリートについて、20℃気中養生後、90℃温水養生24時間後常温で気中養生を行った材齢7日の養生方法をHW養生、断熱養生を行った材齢7日の養生方法(最高温度約60℃)をD養生とし、圧縮強度の測定と加熱試験(ISO 834)を実施した。なお、加熱試験用の試験体は、常温の屋内にさらに1ヶ月養生した。
実験で使用したコンクリートの配合を表1に、繊維の配合を表2に示す。参考例として実施するPP繊維(従来)は、密実なPP繊維で直径48μm、長さ20mmである。なお、繊維は外割りの容積比で添加している。なお、高性能減水剤として、BASFポゾリス社製レオビルドSP8HUを46.5kg/m3,消泡剤としてBASFポゾリス社製マイクロエア404を3.1kg/m3添加している。
表3に、本実験で使用した低熱セメントの物性値を示す。
表4に本実験で使用したフライアッシュの物性を示す。
表5に本実験で使用したシリカフュームの物性を示す。
表6に本実験で使用した細骨材の物性を示す。
表7に圧縮強度(JIS A 1108)の測定結果(Φ10×20cm円柱試験体の3体の平均値)と試験体を立てた状態で側方1面から加熱(ISO 834の加熱曲線による)した試験結果(Φ10×20cm試験体の1体)を示す。評価した範囲は、加熱面側の周長の1/3としている。
上記実験の結果、表7に示した本件発明の8種類とも、従来技術である参考例よりも軽微な爆裂もしくは全く爆裂を生じていない。このように、中空繊維を混入し、あらかじめ、長い空洞が存在していることにより、少量の中空繊維の添加で火災時のコンクリート爆裂を効果的に防止することができる。さらには、爆裂の防止に必要なPP繊維の添加が少量ですむので、PP繊維の添加による流動性の低下と圧縮強度の低下を最小限に留めることができる。また、鋼繊維を添加することにより、爆裂の防止がより図られ、圧縮強度を向上させることもできる。
なお、上記の実施例においては、単一の熱可塑性樹脂繊維を用いているが、中空、多孔質、多孔質中空の3種類の熱可塑性樹脂繊維から選択された2種類あるいは3種類全てをセメントに混入してもよい。
故に、本実施の形態に係る超高強度コンクリートおよびコンクリート部材の製造方法により、設計基準強度で150N/mm以上、さらにはコンクリート配合等工夫することにより設計基準強度が200N/mmを超える耐火性に優れたコンクリート部材を提供可能である。なお、強度を向上させ、より爆裂しにくくする目的で200℃の高温養生を行ってもよい。

Claims (2)

  1. コンクリートの内部に多孔質及び/又は多孔質中空の熱可塑性繊維が混入されて爆裂が抑制された設計基準強度が150N/mm を超える超高強度コンクリート。
  2. 前記超高強度コンクリートは、鋼繊維が混入されたものであることを特徴とする請求項1に記載された超高強度コンクリート。
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