JP5872165B2 - 爆裂防止超高強度プレキャストコンクリート及びその製造方法 - Google Patents

爆裂防止超高強度プレキャストコンクリート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、超高強度コンクリートの爆裂防止技術、特に超高強度プレキャストコンクリートの爆裂防止技術に関する。
高強度コンクリート、特に設計基準強度が150N/mmを越えるような超高強度コンクリートは、火災時にコンクリート表面が飛び散って剥落する爆裂を生じやすい。
この爆裂現象は鉄筋コンクリートの断面の欠損およびコンクリート内部温度の早期上昇を招くことが知られている。
このため、この爆裂現象を生じさせない、若しくは、その程度を低減させる対策のひとつとして、養生後ある程度自然乾燥を経た、圧縮強度が約80N/mm以上の高強度コンクリート構造体を、内部に抵抗発熱体を敷設した通気性シート状物で覆い通電することにより、構造体の表面温度が40〜60℃の範囲で電熱乾燥する高強度コンクリートの爆裂防止方法(特許文献1)が提案されている。
しかし、この高強度コンクリートの爆裂防止方法は、加熱処理が養生後ある程度自然乾燥を経た構造体に対して行われるものであるため、コンクリート強度の向上は期待することができない。
また、加熱が構造体の表面温度40〜60℃の範囲で行われるため、この方法を圧縮強度が150N/mm以上の超高強度コンクリートに適用した場合、水分の除去程度が低く爆裂防止効果がほとんど期待できないという問題がある。
また、爆裂防止コンクリートとして、好ましくは10〜100μmの直径及び好ましくは8〜20mmの長さを有し火災時に加熱されることにより毛細管孔を形成する合成樹脂繊維、特にPP(ポリプロピレン)繊維を添加した火災攻撃下での耐スポーリング性プレキャストコンクリート(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、コンクリートにPP繊維を混入させると強度が低下するほか、まだ固まらないフレッシュコンクリートの流動性が低下して施工性が低下する。そして、混入量が多いほど爆裂抑止性能は増加するものの、強度低下や施工性低下が大きくなる傾向が強まる。
したがって、圧縮強度が150N/mm以上の耐爆裂性を有する超高強度コンクリートを製作するためには、PP繊維混入量をなるべく少なくする必要がある。しかしながら、そうすると爆裂防止性能が低下してしまうという問題が発生する。
また、この発明の合成樹脂繊維は、火災が発生してコンクリート構造体が火災にて加熱されたとき、合成樹脂繊維が溶融、分解して毛細管孔を形成するもので、コンクリート構造体に毛細管孔が形成されるまで、火災発生の時点からある程度の時間を要することから、超高強度コンクリートの場合、合成樹脂繊維を添加しても、火災時のように急速に加熱されると表層が剥離するような爆裂を生じてしまうことがある。
特開平5−105549号公報 特開平6−211555号公報
本発明は、上述した種々の課題を解決するために創作されたもので、圧縮強度(設計基準強度として)が150N/mm以上であり、かつ、爆裂を防止することが可能な超高強度プレキャストコンクリート及びその製造方法を提供することを目的とするものである。この際に、添加する合成樹脂繊維の添加量を大幅に減らし、コンクリート圧縮強度の低下と流動性の低下を大幅に減らすことも目的とする。
請求項1に係る発明は、低熱セメントとフライアッシュまたは珪石粉とシリカフュームとを含む結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、ポリプロピレン繊維を含んだ混合体により構成されるコンクリートにおいて、ポリプロピレン繊維を原料外割容積比0.05〜0.6%及び消泡剤を混入したフレッシュコンクリートを打設して型枠養生にて硬化した建築柱用のコンクリートの製造方法であって、乾燥炉内でコンクリート温度が200℃以上で養生することにより、圧縮強度が150N/mmを超える超高強度プレキャストコンクリートであり、該コンクリートの内部に混入された合成樹脂繊維の少なくとも一部が溶融し、セメント硬化体の微小空隙に吸収されて形成された空洞を有する、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリート柱の製造方法とした。
請求項2に係る発明は、前記超高強度プレキャストコンクリートが、鋼繊維が混入されたものであることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、200℃で養生する前に、高温履歴養生を行うことを特徴とする爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリート柱の製造方法。
請求項に係る発明は、コンクリートの内部に混入されたポリプロピレン繊維の少なくとも一部が溶融し、セメント硬化体の微小空隙に吸収されて形成された微細な空洞を有する、爆裂が抑制された、建築柱用の超高強度プレキャストコンクリートの製造方法であって、ポリプロピレン繊維を原料外割容積比0.05〜0.6%及び消泡剤が混入されたフレッシュコンクリートを打設した硬化コンクリートを型枠養生工程において、セメントの自己発熱・温水・温風を利用して高温履歴養生した後、乾燥炉内でコンクリート温度を200℃以上で養生し、圧縮強度が150N/mm を超える超高強度プレキャストコンクリートであり、溶融した合成樹脂を養生中のコンクリートの微小空隙に吸収させることにより、前記合成樹脂の占有空間の少なくとも一部をセメント硬化体の空洞に変化させる、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリートの製造方法とした。
請求項1に係る発明によれば、設計基準強度が150N/mmを超える極めて緻密なセメント硬化体から構成された超高強度コンクリート部材であっても、コンクリートの内部に混入された合成樹脂繊維の少なくとも一部が、コンクリート養生時において溶融し、セメント硬化体に存在するの微小空隙に吸収されて、火災前に予め形成された毛細管状の空洞が、火災時における水蒸気圧や温度応力の逃げ場となって爆裂を加熱された直後から効果的に防ぐことになる。また、上記毛細管状の空洞の生成には、合成樹脂繊維は伸延されて製造されることから、融点近くまで上げることにより、繊維を構成する高分子のひずみが除去(アニーリング)によるせいぜい数%とわずかであるが繊維自体の体積収縮も寄与するとも考えられる。
この点、従来のコンクリート内部に混入されたPP繊維が、火災発生後に溶融、分解して消失するものとは著しく異なるところである。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、混入された鋼繊維がコンクリートの引張強度を向上させることによりさらに爆裂防止効果を高くすることができる。
請求項3に係る発明によれば、コンクリートに混入した合成樹脂繊維を養生後直ちに合成樹脂の溶融温度よりも高い温度で加熱するという簡易な方法により、確実にコンクリート内に予め毛細管状の空洞を形成して、火災時における爆裂を防止あるいは抑制した150N/mm2超の超高強度プレキャストコンクリートを提供することができる。
また、この高温加熱処理は、コンクリートの強度発現を促進することができる効果もある。さらに、混入された合成樹脂繊維が少量でも爆裂防止に有効に働き、合成樹脂の添加量を大幅に減らすことができることから、合成樹脂繊維の添加による強度低下と施工性の低下を最小限に留めることができ、繊維を除いた同一コンクリート配合でも、大幅に強度の高いプレキャストコンクリート部材を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本実施形態に係る超高強度コンクリートは、少なくとも結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、熱可塑性合成樹脂からなる繊維を含んだ混合体により構成されている。
結合材は、低熱セメントとフライアッシュまたは珪石粉とシリカフュームとを含んでいる。結合材は、予め所定の配合で混合されたプレミックス品を使用してもよいし、コンクリート製造時に混合してもよい。各粉体にはCa(カルシウム)やSi(ケイ素)が含まれており、化学組成から考えた最適な各粉体の混合バランスは、養生温度によって異なる場合があるが、本実施形態の配合によれば、設計基準強度で150N/mm以上の圧縮強度を確保することができる。
低熱セメントは、いわゆる低熱ポルトランドセメントである。低熱ポルトランドセメントは、中庸熱ポルトランドセメントと比較して、水和発熱量が小さく、長期強度が大きいという特性を有している。
本実施形態では、低熱セメントを、コンクリート混合体1m当たり250〜310L(リットル)の範囲内で添加することが好ましい。
ここで、低熱セメントの添加量が250〜310L/mの範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度を達成できなくなるおそれがある。
フライアッシュとしては、JIS規格II種の一般的なコンクリート用フライアッシュを使用する。本実施形態では、フライアッシュを、コンクリート混合体1m当たり125〜170Lの範囲内で添加することが好ましい。なお、フライアッシュに替えて、珪石微粉(累積50%粒子の粒径10μm程度以下)を使用してもよい。
ここで、フライアッシュの添加量が125〜170L/mの範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度を達成できなくなるおそれがある。
シリカフュームとしては、粉末状のいわゆるコンクリート用シリカフュームを使用するものとする。
本実施形態では、コンクリート混合体1m当たり75〜100Lの範囲内でシリカフュームを添加することが好ましい。
ここで、シリカフュームの添加量が75〜100L/mの範囲を外れると、各粉体(低熱セメント、フライアッシュまたは珪石粉、シリカフューム)の化学組成のバランスや粒度分布のバランスが崩れ、高強度を達成できなくなるおそれがある。
水は、低熱セメントとフライアッシュ(珪石粉)とシリカフュームとを含む結合材に対して、重量比が11〜13%となるように添加することが好ましい。
ここで、水の結合材に対する重量比が11%未満だと、練混ぜることができなくなるおそれがある。一方、水の結合材に対する重量比が13%よりも大きいと、高強度を達成できなくなるおそれがある。
細骨材として、本実施形態では珪砂6号を使用するが、細骨材を構成する材料は、粒径が0.5〜0.6mm以下のものであれば限定されるものではなく、例えば、川砂、山砂等の天然骨材や砕砂、高炉スラグ細骨材等も採用可能である。
本実施形態では、コンクリート混合体1m当たり150〜260Lの範囲内で細骨材を添加することが好ましい。
ここで、細骨材の添加量が150L/m未満だと、配合的に細骨材から置換される粗骨材が多くなりすぎ、鋼繊維などと干渉して良好な流動性を得られなくなるおそれがある。一方、細骨材の添加量が260L/mよりも大きいと、添加可能な粗骨材が少なくなりすぎてコンクリートとしての収縮が大きくなるおそれがある。
粗骨材には、砂利または砕石を使用する。本実施形態では、砕石(大月砕石)を使用するものとし、コンクリート混合体1m当たり95〜120Lの範囲内で添加することが好ましい。
ここで、粗骨材の添加量が95L/m未満だと、コンクリートとしての収縮が大きくなるおそれがある。一方、粗骨材の添加量が120L/mよりも大きいと、鋼繊維などと干渉して良好な流動性を得られなくなるおそれがある。
鋼繊維は、コンクリート混合体に対して、外割りの容積比で0.5〜2%程度となるように混入することが好ましい。
本実施形態では、長さが13±2mm、直径が0.16mm、断面積が0.020m、質量が100本あたり204.1mg±15%のものを使用する。なお、鋼繊維の形状寸法は限定されるものではなく、例えば、長さが6±2mmのものを使用してもよい。
ここで、鋼繊維の容積比が0.5%未満だと、繊維の補強効果が減少し、良好は強度が得られなくなるおそれがある。一方、鋼繊維の容積比が2%よりも大きいと、コンクリートの流動性が大きく低下するおそれがある。
なお、鋼繊維は後述するPP繊維の添加による強度低下を補完する目的で添加されているが、PP繊維の添加を少なくした場合には、鋼繊維の添加により、圧縮強度が高くなることもある。
また、本実施形態では、鋼繊維として、引張強度が2000N/mm以上の高張力鋼繊維、アモルファス鋼繊維、ステンレス繊維などの公知の鋼繊維から適宜選定して使用する。
鋼繊維の形状は、限定されるものではなく、円形断面、矩形断面や多角形断面等の異形断面の他、変形する断面径状を有したものを使用することが可能である。
PP繊維は、コンクリート混合体に対して、外割りの容積比で0.05%〜0.6%となるように混入されることが好ましい。より好ましくは、外割りの容積比で0.05%〜0.2%である。
本実施形態では、PP繊維として、直径48μm、長さ20mmのものを使用するが、例えば直径18μm、長さ10mmのものを使用するなど、PP繊維の寸法は限定されるものではない。
ここで、PP繊維の容積比が0.05%未満だと、耐火繊維の効果が減少し、火災時の爆裂抑制効果が得られなくなるおそれがある。一方、PP繊維の容積比が0.6%よりも大きいと、コンクリートの流動性が大きく低下するとともに、高強度が得られなくなるおそれがある。なお、外割りの容積比で0.55%のPP繊維を添加すると、30N/mm程度の圧縮強度の低下を生じる。
PP繊維の形状は、限定されるものではなく、円形断面、矩形断面や多角形断面等の異形断面を有したものを使用することが可能である。
次に、本実施形態のコンクリート部材の製造方法について、説明する。
本実施形態では、混練工程、打設工程、型枠養生工程、第一養生工程および第二養生工程により、コンクリート部材を製造する。
混練工程は、セメントと、フライアッシュと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水と、混和剤、PP繊維および鋼繊維を練り混ぜる工程である。
本実施形態の混練工程は、コンクリート配合の細骨材と粉体部分を練り混ぜる乾燥混練と、乾燥混練により練り混ぜられた部分に液体部分を投入して練り混ぜる湿潤混練と、湿潤混練により練り混ぜられたモルタルに粗骨材と繊維(鋼繊維およびPP繊維)を投入して練り混ぜる繊維混練と、を含んでいる。
ここで、乾燥混練では、セメントと、フライアッシュと、シリカフュームと、細骨材と、をドライ状態で練り混ぜる。乾燥混練における、各材料の練り混ぜ方法や手段は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
湿潤混練では、細骨材と粉体部分の練り混ぜが完了した後、混和剤入りの水を投入して練り混ぜた後、粗骨材と繊維を投入することで、ミキサーに過負荷をかけることなくフレッシュコンクリートに所定の流動性を発現させる。なお、湿潤混練における練り混ぜ方法や手段は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
打設工程は、混練工程により、練り混ぜられた繊維を含むまだ固まらないフレッシュコンクリートを、公知の手段により、打設する工程である。
超高強度コンクリートは、コンクリート部材の形状に応じて形成された型枠に打設する。
型枠養生工程は、打設工程により打設された超高強度コンクリートを養生する工程である。
本実施形態では、型枠に打設された超高強度コンクリートを、所定の強度が発現するまで(1〜2日程度)、常温(20℃程度)にて行う。
第一養生工程は、型枠養生工程により所定の強度が発現した超高強度コンクリートを脱型し、温水・温風等を利用して高温履歴養生する工程である。
第一養生工程では、常温よりも高い温度でコンクリートを養生し、水和物の基本組織を構築する工程である。養生の方法は、蒸気養生槽などを用いた90℃程度の高温養生によるか、オートクレーブ槽を用いた180℃程度、10気圧程度の等温等圧状態を3時間程度保持することにより行う。なお、型枠養生工程の段階で、断熱養生によりセメントの水和熱を利用した養生を行う場合には、これが第一養生工程に相当する。
なお、第一養生工程における養生の温度、気圧、保持時間は、前記の条件に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、型枠養生工程で水和物の基本組織が十分に構築できると判断される場合には、第一養生工程を省略してもよい。また、型枠養生工程において断熱養生を行い、さらに、高温養生や高温高圧養生による第一養生工程を行ってもよい。
第二養生工程は、型枠養生工程後もしくは第一養生工程後の超高強度コンクリートに乾燥加熱養生を行う工程である。
本実施形態の第二養生工程は、乾燥加熱養生をPPの融点160〜170℃よりやや高温の200℃程度の温度雰囲気下で5時間行う。乾燥加熱養生方法の諸条件の一例を示す。乾燥炉内を用い、昇温速度1℃/分で200℃まで上げ5時間保持した後、乾燥炉内で自然放冷する。
以上、本実施形態の超高強度コンクリートおよびコンクリート部材の製造方法によれば、粗骨材が含有されたコンクリートについて、150N/mmを超える超高強度コンクリートを提供することが可能となる。また、水結合材比が重量比で11〜13%確保されているため、従来の超高強度コンクリートと比較して流動性が低下することがなく、施工性が低下することもない。
本実施形態の超高強度コンクリートは、常温よりも高い温度での養生(第一養生工程)をすることにより、圧縮強度が200N/mm以上のコンクリート部材を提供することができる。
さらに、200℃による乾燥加熱養生を行うことで、圧縮強度が230N/mm以上のコンクリート部材を製造することができる。
そのため、例えば、高層コンクリート建物の柱として使用すれば、柱としての強度を低下させることなく小断面化が可能となるため、使用空間の自由化が広がる。また、構造物全体の軽量化が可能となるため、全体費用の低減化も可能となる。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、超高強度コンクリートの養生を、常温よりも高い温度での養生と乾燥加熱養生により行う場合について説明したが、いずれかの養生のみを行ってもよい。
また、前記実施形態では、コンクリート混合物の混練工程として、細骨材を含む粉体材料を混練してから、液体材料を投入し、さらに混練して所定の流動性が発現してから粗骨材と繊維を混練する方法としたが、混練工程における材料の投入の順序は限定されるものではなく、適宜設定して行えばよい。
前記実施形態では、PP繊維として、同一形状のものを所定量添加するものとしたが、異なる形状のPP繊維を添加してもよい。例えば、直径48μm、長さ20mmのものと、直径18μm、長さ10mmのものと、をそれぞれ50%ずつ使用してもよい。鋼繊維についても同様に、異なる材質や形状のものを組み合わせて添加してもよい。
以下、本実施形態に係る超高強度コンクリートの有効性を確認するために実施した実験1の結果を示す。
実験では、超高強度コンクリートについて、20℃気中養生後、90℃養生(18日間)を行った試料をA養生、20℃気中養生後、オートクレーブ養生(180℃10気圧で5時間保持)を行った試料をB養生、20℃気中養生後、90℃養生を行い、200℃加熱養生(気中200℃で5時間保持)を行った試料をC養生、20℃気中養生後、オートクレーブ養生(180℃10気圧)を行い、200℃加熱養生を行った試料をD養生とし、圧縮強度の測定と加熱試験(ISO 834)を実施した。
表1に実験で使用したコンクリートの配合を表1に、繊維の配合を表2に示す。なお、繊維は外割りで添加している。なお、高性能減水剤として、BASFポゾリス社製レオビルドSP8HUを46.5kg/m3,消泡剤としてBASFポゾリス社製マイクロエア404を3.1kg/m3添加している。
表3に、本実験で使用した低熱セメントの物性値を示す。
表4に本実験で使用したフライアッシュの物性を示す。
表5に本実験で使用したシリカフュームの物性を示す。
表6に本実験で使用した細骨材の物性を示す。
表7に圧縮強度(JIS A 1108)の測定結果(Φ10×20cm円柱試験体の3体の平均値)と試験体を立てた状態で側方1面から加熱(ISO 834の加熱曲線による)した試験結果(Φ10×20cm試験体の1体)を示す。評価した範囲は、加熱面側の周長の1/3としている。
上記実験の結果、表7に示した本件発明の5種類とも圧縮強度が200N/mm以上で、軽微な爆裂もしくは全く爆裂を生じていない。このように、PP繊維を混入し、気中でPPの融点以上の200℃まで上げることにより、PP繊維の少なくとも一部が溶融し、セメント硬化体の微小空隙に吸収されて形成された空洞ができることにより、少量のPP繊維の添加で火災時のコンクリート爆裂を防止することができる。さらには、爆裂の防止に必要なPP繊維の添加が少量ですむので、PP繊維の添加による流動性の低下と圧縮強度の低下を最小限に留めることができる。また、鋼繊維を添加することにより、爆裂の防止がより図られ、圧縮強度を向上させることもできる。
故に、本実施の形態に係る超高強度コンクリートおよびコンクリート部材の製造方法により、設計基準強度で150N/mm以上、さらにはコンクリート配合等工夫することにより設計基準強度が250N/mmを超える耐火性に優れたコンクリート部材を提供可能である。

Claims (4)

  1. 低熱セメントとフライアッシュまたは珪石粉とシリカフュームとを含む結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、ポリプロピレン繊維を含んだ混合体により構成されるコンクリートにおいて、
    ポリプロピレン繊維を原料外割容積比0.05〜0.6%及び消泡剤を混入したフレッシュコンクリートを打設して型枠養生にて硬化した建築柱用のコンクリートの製造方法であって、
    乾燥炉内でコンクリート温度が200℃以上で養生することにより、
    圧縮強度が150N/mmを超える超高強度プレキャストコンクリートであり、該コンクリートの内部に混入された合成樹脂繊維の少なくとも一部が溶融し、セメント硬化体の微小空隙に吸収されて形成された空洞を有する、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリート柱の製造方法
  2. 前記超高強度プレキャストコンクリートは、鋼繊維が混入されたものであることを特徴とする請求項1に記載された、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリート柱の製造方法
  3. 乾燥炉内でコンクリート温度が200℃以上で養生する前に、高温履歴養生を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載された、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリート柱の製造方法
  4. コンクリートの内部に混入されたポリプロピレン繊維の少なくとも一部が溶融し、セメント硬化体の微小空隙に吸収されて形成された微細な空洞を有する、爆裂が抑制された、建築柱用の超高強度プレキャストコンクリートの製造方法であって、
    ポリプロピレン繊維を原料外割容積比0.05〜0.6%及び消泡剤が混入されたフレッシュコンクリートを打設した硬化コンクリートを型枠養生工程において、
    セメントの自己発熱・温水・温風を利用して高温履歴養生した後、
    乾燥炉内でコンクリート温度を200℃以上で養生し、
    圧縮強度が150N/mmを超える超高強度プレキャストコンクリートであり、溶融した合成樹脂を養生中のコンクリートの微小空隙に吸収させることにより、前記合成樹脂の占有空間の少なくとも一部をセメント硬化体の空洞に変化させる、爆裂が抑制された、超高強度プレキャストコンクリートの製造方法。
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