JP2012193075A - 耐爆裂性水硬性硬化体 - Google Patents

耐爆裂性水硬性硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】
コンクリート成型物が火災時の高温で内部に急激に発生する水蒸気の体積膨張により爆裂することを抑制し、かつ流動性や圧縮強度の低下が小さい高流動性コンクリート用繊維及び高流動性コンクリートを提供する。
【解決手段】
少なくともエチレン含有量が25〜70モル%であるエチレンービニルアルコール系共重合体を鞘部とし、芯部に融点もしくは軟化点が100〜170℃である熱可塑性樹脂を成分とした複合繊維が含有されてなる耐爆裂性水硬性硬化体。
【選択図】図1

Description

本発明は、施工時に高流動性を有する水硬性硬化体に関し、さらに火災における耐爆裂性に優れた水硬性硬化体に関する。
セメント、水、砂、砂利を主成分とする水硬性硬化体、中でもコンクリートは耐火性に優れた材料として知られており、さらに近年、建物の超高層化に伴いその高強度化が進んでいる。しかし、高強度コンクリートは通常のコンクリートに比べて組織が緻密になるよう設計されているため、火災時にコンクリート内部に発生する水蒸気の膨張により表層部のコンクリートが剥落する「爆裂」と呼ばれる現象が起きることがある。そこで、このような高強度コンクリートについては、爆裂現象を抑制するため、コンクリート中にポリプロピレンやポリビニルアルコールなどの有機繊維を混入させることで、火災発生時のコンクリートが爆裂現象を起こす前に、水蒸気の逃げ道となる微細トンネルを形成させることで爆裂を制御する方法が検討されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、ポリプロピレン繊維やポリビニルアルコール繊維を用いた場合であっても、爆裂抑制効果は必ずしも十分であるとはいえず、上記特許文献2のような方法では、部材の厚さが薄い場合や鉄筋の被りが薄い場合には必ずしも有効ではなく、多量の繊維の添加が必要となっていた。また、特許文献1に記載のような高強度コンクリートでは、その組織が緻密であることから、繊維補強材を多く混入させる傾向にあり、そのため流動性が悪くなるという問題があった。そして、この高強度コンクリートを用いて打設を行うと、流動性が悪いことから打設が困難になることや、圧縮強度が低下するといった問題もあった。
そこで、これら問題を解決すべく、ベースコンクリートとの混和性に優れ、流動性への影響も小さく、かつ融点が160℃〜190℃であるエチレンービニルアルコール系共重合体の繊維を用いたところ、流動性にも優れ、かつ火災により熱せられた場合にも、混入された前記繊維が溶融することで、内部に発生する水蒸気の抜け道となり、爆裂を抑制させることができるという報告がされている(たとえば、特許文献3参照。)。
しかしながら、上記繊維を用いた場合でも、溶融温度が160℃以上の温度であり、また、溶融開始から空隙が出来上がるまでに時間を要する。それに対し、100℃に加熱された水が水蒸気となった際、その体積は1700倍にもなるため、火災発生初期の段階における爆裂抑制に対して、上記繊維では性能を発揮する前に爆裂現象が発生する危険がある。
特許第2620910号公報 特開2000−143322号公報 特許第4090762号公報
したがって、本発明の目的は、コンクリートの火災発生初期段階におけるコンクリート内部での水蒸気の急激な体積膨張による爆裂を抑制するため、特定の構造を有する繊維をコンクリート内に混入させることで、火災発生初期段階において該繊維が溶融することで水蒸気の逃げ道を確保することを目的とした、耐爆裂性水硬性硬化体用繊維及び、耐爆裂性水硬性硬化体を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくともエチレン含有量が25〜70モル%であるエチレンービニルアルコール系共重合体を鞘部とし、芯部に融点もしくは軟化点が鞘成分とほぼ同等、あるいは鞘成分よりも融点もしくは軟化点の低い熱可塑性樹脂を用いた複合繊維とし、特定範囲の繊度、繊維長を有し、該繊維が特定範囲量含有されることで、コンクリートの火災発生初期段階における爆裂抑制性能に優れた耐爆裂性水硬性硬化体を得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維軸方向に芯鞘構造を形成した複合繊維において、芯成分を融点もしくは軟化点が100〜170℃である熱可塑性樹脂(X)、鞘成分をエチレン含有量が25〜70モル%であるエチレンービニルアルコール系共重合体樹脂(Y)とした複合繊維が含有されてなる耐爆裂性水硬性硬化体であり、好ましくは該繊維が下記(1)〜(4)を満足してなる上記の耐爆裂性水硬性硬化体である。
(1)繊維繊度が0.1〜100dtexであること、
(2)一定繊維直径当たりの(X)と(Y)の面積比(X)/(Y)は80/20〜20/80であること、
(3)繊維長が1〜30mmであること、
(4)水硬性硬化体100容積%に対し、0.05〜0.5容積%含有されてなること。
本発明によれば、芯成分を融点もしくは軟化点が100〜170℃の熱可塑性樹脂、鞘成分をエチレンービニルアルコール系共重合体(以下、EVAと称す)樹脂とした複合繊維をコンクリート内に分散させることで、火災発生時の爆裂抑制効果だけでなく、火災発生後も強力を保持した水硬性硬化体への分散性も良好であることから、施工性も良好な水硬性硬化体を供給することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の繊維は、特定の融点もしくは軟化点を有する熱可塑性樹脂とEVA樹脂を芯鞘構造となるように溶融紡糸することで製造することができる。紡糸時の温度や引取り速度、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件は、目標とする繊度、強度、収縮率等、その他原綿物性に応じて適宜選択設定することができる。たとえば、融点が100〜170℃のポリオレフィン系熱可塑性樹脂、及びEVA樹脂を押出機で溶融して、該溶融体を芯鞘型複合口金を備え付けた紡糸パックを用いて紡糸装置で紡糸することにより製造することができる。その際の紡糸温度としては200〜300℃の範囲内の温度が採用される。紡糸後の工程については、紡糸捲取り後、必要に応じて延伸してもよく、目標とする繊度や強度、伸度特性等に応じて、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件を適宜設定することが望ましい。
本発明の鞘部に用いるEVA樹脂は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物を成分とする繊維であり、エチレン含有量の制御により、200℃以下の融点をもつEVA繊維を製造することが可能である。本発明のEVA繊維において、該共重合体に含有されるエチレンの量は25〜70モル%のものが用いられる。エチレンの含有量が25モル%よりも低い場合、繊維は水に溶解しやすい性質を有するため、繊維が水硬性材料中の水により硬化前に溶解しやすくなるといった問題点がある。一方、エチレンの含有量が70モル%よりも高い場合は、融点が120℃以下の低融点の繊維となるため、繊維が水硬性材料中で硬化前の水和熱により溶融しやすくなるといった問題点がある。好ましくは30〜50モル%である。
また芯部に用いる熱可塑性樹脂は、融点もしくは軟化点が100℃以上であることが必要であり、しかも鞘部とは融点もしくは軟化点の異なった熱可塑性樹脂を用いることで、芯部の溶融する温度をコントロールすることが出来る。これにより、鞘部が溶融する170℃以下の温度に設定しておくことで、まず芯部の熱可塑性樹脂が溶融し、100℃に加熱され水蒸気へと状態変化をした直後の水の逃げ道とすることが出来る結果、火災発生の初期段階における爆裂抑制が出来る。また概繊維の鞘分がまだ残っているためにコンクリートの補強性も残すことが出来、繊維の補強性及び爆裂抑制の両方の面において効果を発現させることが出来る。
芯部に用いる熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点が100℃未満であると、本発明の中空複合繊維の紡糸が困難となる。一方、芯部の融点もしくは軟化点が170℃よりも高いと、水硬性硬化体での爆裂抑制効果が得られない。好ましくは110〜170℃、より好ましくは120〜170℃である。該熱可塑性樹脂としては、例えば変性ポリエステル(共重合ポリエステルなど)、変性ポリアミド(共重合ポリアミドなど)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体に代表されるポリオレフィンなどを挙げることができる。中でも汎用のポリエチレン、ポリプロピレンが耐薬品性、特にコンクリートのアルカリに対する耐久性の点からもっとも望ましい。
本発明の複合繊維は、一定繊維直径当たりの熱可塑性樹脂(X)とEVA樹脂(Y)との面積比(X)/(Y)は80/20〜20/80であることが好ましい。この範囲外では鞘部の破れ、及び芯部分の消失等繊維断面の形状不良が発生しやすく、得られる複合繊維に所望の性能を発現させることが困難な場合がある。また繊維断面の形状不良を防止するためには、(X)/(Y)は70/30〜30/70がより好ましい。
鞘部に対する芯部の位置は同芯又は偏芯のどちらでもよく、また芯部の数は1〜200の範囲であることが望ましい。芯部の数が200以上となると1つ当たりの芯部が溶融した際に出来た空孔の直径が細くなりすぎ、水蒸気が進入することが困難となる。そのため、16以下となることがより好ましい。
本発明の複合繊維の平均繊度は0.1〜100dtexの範囲であることが好ましい。繊度が0.1dtex未満であると分散が困難となり、100dtexを超えると加熱溶融後の空隙サイズが大きく成り過ぎるため加熱後の圧縮強度が低下するため好ましくない。より好ましくは0.5〜80dtexである。
本発明の複合繊維の繊維長は1〜30mmの範囲であることが好ましく、5〜25mmの範囲であることがより好ましい。繊維長が1mm未満の場合、繊維が溶解する前に発生する水蒸気が入り込むスペースが小さいため火災初期段階における爆裂抑制効果が小さくなり好ましくない。また、繊維長が30mmを超えた場合、コンクリートへの混練時に繊維同士が絡まり合い、分散性が悪くなり流動性が悪化するなどの悪影響を及ぼすため好ましくない。
本発明の複合繊維を水硬性硬化体に添加する場合、水硬性硬化体100容積%に対し、0.05〜0.5容積%含有されていることが好ましい。含有率が0.05容積%未満の場合、爆裂抑制効果が少なくなり、逆に0.5容積%を超えると混練性が悪くなる。好ましくは0.08〜0.25容積%である。
本発明の水硬性硬化体は、慣用の添加剤、たとえばAE剤、減水剤、凝結・硬化調節剤、防錆剤、発泡剤・起泡剤、ポリマー混和剤や、高炉スラグ、フライアッシュ、天然または人工のシリカ質混合材、膨張材などのセメント混和材、または、合成繊維や鋼繊維などを含有していてもよく、これらの添加剤は単独、又は二種以上組み合わせて使用できる。
従来の、コンクリート、モルタルなどの水硬性組成物を調製する際に爆裂抑制用として添加されるポリビニルアルコール繊維(以下、ビニロン繊維と称す)が200℃以上の高温で溶融しながら分解が開始するのに対し、本発明の複合繊維は200℃より低い融点もしくは軟化点を有する。したがって該複合繊維が添加された水硬性硬化体が火災などによって加熱された場合、ビニロン繊維が添加された水硬性硬化体に比べて本発明の複合繊維の方が速やかに溶融・分解し、水蒸気の逃げ道となる微細トンネルをつくるので、本発明の複合繊維を添加した水硬性硬化体はビニロン繊維を添加した水硬性硬化体に比べて爆裂抑制性に優れる。
また、本発明の複合繊維を水硬性硬化体のフレッシュミックス(硬化する前の配合直後のコンクリート)に繊維を添加するに際して、ビニロン繊維が親水性に富んだ繊維であることから、水硬性硬化体のフレッシュミックスに添加すると流動性を損なうのに対し、本発明の複合繊維はビニロン繊維に比べて繊維表面がEVA樹脂で疎水性のため、ビニロン繊維よりも流動性に優れるといった特長を有する。
一方、ポリプロピレン繊維との比較において、ポリプロピレン繊維は比重が0.9であることから、水硬性硬化体のフレッシュミックスにポリプロピレン繊維を添加した場合に表面に繊維が浮いて、フレッシュミックス中に繊維を均一に混合するのが難しいのに対し、本発明の複合繊維にポリオレフィン系熱可塑性樹脂(比重1.0未満)を使用した場合は、EVA樹脂(比重1.1〜1.2)との複合繊維であることから、芯鞘比を変えることで比重の調整を行うことが出来るため、本発明の複合繊維がフレッシュミックス中において均一な混合が容易であるという優位点を有する。繊維のフレッシュミックス中への均一な混合は、優れた爆裂抑制性能を得るためには重要な要素である。
さらに本発明においては、繊維と水硬性硬化体との接着性についても考慮すべき重要な因子である。水硬性硬化体が火災などの急激な温度上昇を伴って加熱されることにより、空隙に存在する水分が気化して蒸気圧が増すときに、周辺のマトリックスにはこれを破壊しようとする応力が負荷される。繊維が水硬性硬化体中に存在しないとマトリックスは容易に破壊され、爆裂に至る。繊維が存在すると分断されようとするマトリックスに繊維による架橋が形成され、マトリックスの破壊を防ごうとする。その後、さらなる温度上昇によって繊維が溶融・分解することにより水蒸気の逃げ道となる微細トンネルを形成し、爆裂抑制が達成される。
従来より、ビニロン繊維は水硬性硬化体との接着性に優れていることが知られており、これに対してポリプロピレン繊維は水硬性硬化体との接着性が低いことが知られている。ビニロン繊維が添加された水硬性硬化体が火災などの急激な温度上昇を伴って加熱された場合、ビニロン繊維はマトリックスとの接着性が高いため、ビニロン繊維の存在により加熱時の水分の気化による蒸気圧の上昇に抗してマトリックスの破壊を防ごうとするが、さらなる温度および蒸気圧の上昇により繊維が溶融または分解する前に一旦マトリックスの破壊が生じると、繊維がマトリックスに固く固定されているために、かえって大きな爆裂に至る場合がある。一方、ポリプロピレン繊維はマトリックスとの接着性が低く、繊維が溶融する前に繊維により形成される架橋が弱いので、加熱時の水分の気化による蒸気圧の上昇に抗しきれず、容易に爆裂に至る場合がある。
本発明の複合繊維は鞘部がEVA樹脂で形成され、ビニロン繊維よりも水酸基が少ないことから水硬性硬化体との接着性はビニロン繊維よりも低い。一方ではポリプロピレン繊維に比べて接着性は高く、すなわちマトリックスの破壊を防ぐための適度な接着性を有する。したがって、本発明の複合繊維を添加した水硬性硬化体は火災などの急激な温度上昇を伴った加熱時において、加熱時の水分の気化による蒸気圧の上昇により分断しようとするマトリックスを該複合繊維が溶融する前に架橋を形成し、さらに加熱されることにより200℃以下の温度により速やかに溶融・分解し、水蒸気の逃げ道となる微細トンネルをつくる。したがって、本発明の複合繊維は、加熱による蒸気圧の上昇時に、繊維が溶融する前の爆裂を防ぐためのマトリックス中での架橋形成と、さらなる温度上昇により繊維が溶融・分解することによる微細トンネルの生成が、ビニロン繊維やポリプロピレン繊維に比べてスムーズに進行するので、ビニロン繊維やポリプロピレン繊維に比べて優れた耐爆裂性能を有する。
さらに、繊維とマトリックスの接着性はセメント量の多い(砂が少ない)マトリックス、例えば高強度コンクリートや高強度モルタル等では小さく、セメント量の少ない(砂が多い)マトリックス、例えば普通コンクリートや普通モルタル等では大きいと一般的にいわれている。したがってセメントの多いマトリックスで適度な接着性を得ようとすれば、マトリックスとの接着性に優れたビニロン繊維が好適であり、一方セメント量の少ないマトリックスで適度な接着性を得ようとすれば、マトリックスとの接着性が低いポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系繊維が好適である。本発明の複合繊維は上記したように、マトリックスとの接着性がビニロン繊維よりも低いが、ポリオレフィン系繊維よりも高く、しかも共重合体中のエチレン含有量を制御することによって接着性を調整できるので、普通コンクリートや普通モルタル等から高強度コンクリートや高強度モルタル等まで幅広い物性のコンクリートやモルタル等の使用に適している。なおここでいう、高強度コンクリート、高強度モルタルとは圧縮強度が60MPa以上のコンクリート、モルタルのことであり、普通コンクリート、普通モルタルとは20MPa以上60MPa未満のコンクリート、モルタルのことである。
本発明の複合繊維を含有した水硬性硬化体は、従来のビニロン繊維やポリプロピレン繊維を含有した水硬性硬化体に比べ、普通コンクリート、普通モルタル等から高強度コンクリート、高強度モルタル等まで幅広い圧縮強度の水硬性硬化体において爆裂抑制性能に優れており、建造物の床、壁、柱、梁などを構成するコンクリート部材として使用することができる。また手摺などの薄肉部材は表面積が大きいことから急激に温度上昇して爆裂しやすいので、従来のビニロン繊維やポリプロピレン繊維を用いた場合においては、耐爆裂性を付与することは容易ではないが、本発明の複合繊維を用いれば、薄肉部材においても耐爆裂性を付与することが可能となる。
以下に実施例を加えて詳細に説明するが、本発明は実施例により何等限定されるものではない。なお本発明における各繊維の物性および得られる水硬性硬化体の物性、耐爆裂性の評価は以下の方法により測定されたものを意味する。
[繊維繊度 dtex]
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
[繊維長 mm]
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.4.1)」に準じて評価した。
[耐火試験供試体用コンクリートの調製]
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材(川砂)、粗骨材(最大粒径20mm)、高性能AE減水剤(SP)としてポゾリスSP−8Nを使用した。100リットルの2軸ミキサーを使用して、最初にセメントと砂を1分間混ぜ、次いで水を加えて2分間混練する。次いで繊維を加え1分間混練し、一度掻き落として再度1分間混練した。次いで排出し切り返しを行い、再度2分間混練し、調製した。
[コンクリートのスランプ値 mm]
JIS A1101によるコンクリートのスランプ試験方法に準じて、コーン(上辺直径10cm、下辺直径20cm、高さ30cm)にフレッシュコンクリートを所定の手順で満たし、且つコーンを引き上げ、崩れたフレッシュコンクリートを上辺部の下がりを測定した。
[水硬性硬化体の圧縮強度 MPa]
直径10cm、高さ20cmの円柱体を成形して試料とし、毎秒0.25MPaの増加速度で荷重をかけてJIS A1108−1993試験方法に準じて測定した。
[耐爆裂性の評価]
下記式により爆裂した場合の試験体の残存率を求め、爆裂抑制性を評価した。
<耐火試験後の本体重量/耐火試験前の本体重量>×100
[実施例1〜8、比較例1〜4]
コンクリートの基本配合を表1に示す。表1配合のコンクリートに各種繊維を添加したコンクリートを調製し、直径10cm、高さ20cmの円柱供試体用型枠にキャスティングし、各水準あたり4個作成した。そして作成した円柱供試体を20℃、65%RHの部屋で24時間気中養生し、直ちに脱型し、20℃の水中に入れ28日間水中養生した。その後各水準あたり4個のうち2個を水中より取り出し、5時間後に圧縮強度を測定したところ、試験体はいずれも60〜80MPaの範囲であった。また残りの各水準あたり2個については、爆裂試験を行うために、105℃の熱風乾燥機内で7日間乾燥した。乾燥後の水分率は約2%であった。
Figure 2012193075
上記乾燥後のサンプルを横3m、高さ1m、奥行き50cmであり、一方の壁面にLPGバーナー火炎噴射口を上下に合計9個有する耐火煉瓦製加熱機にセットして加熱し、爆裂試験を実施した。耐火煉瓦製加熱機の加熱プログラムはISO834試験方法に準拠し実施し、加熱開始後15分で700℃に達し、加熱後30分で830℃に到達するようにした。そして加熱温度が830℃に到達した後ガス供給を遮断し、室温になるまで冷却した。その後さらに自然冷却を約4時間行った後、各円柱試験体の爆裂試験後の耐爆裂性を評価した。その結果を表2に示す。
なお、加熱開始初期における爆裂評価用プログラムは、加熱開始後15分で700℃に到達した段階で、ガス供給を遮断し、以下、上記方法と同様の作業を行い評価を実施した。
また各試験体について、フレッシュコンクリートの流動性の度合いを示すスランプ値を測定し、測定結果を上記耐爆裂性能(残存率)と併せて表2に示した。ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、EVA繊維及び、実施例1〜8の複合繊維を添加したコンクリートのスランプ値を比較したところ、実施例1〜8の複合繊維及び比較例1のEVA繊維を添加した試験体のスランプ値はポリプロピレン繊維、ビニロン繊維を添加した試験体のスランプ値に比べて影響が小さいことがわかった。
また、本発明の複合繊維を添加した水硬性硬化体(実施例1〜8)は加熱初期残存率、加熱後残存率とも100%であり、爆裂抑制性に優れていた。
一方、比較例1〜3の複合断面でない繊維を添加した水硬性硬化体においては、本発明の複合繊維を添加した水硬性硬化体に比べて爆裂抑制性が劣っていた。
さらに、比較例4の芯部に融点が200℃より高い(融点262℃)のポリエチレンテレフタレートを添加した水硬性硬化体においても、本発明の複合繊維を添加した水硬性硬化体に比べて爆裂抑制性が劣っていた。
Figure 2012193075
100〜170℃の融点もしくは軟化点を有する熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂で芯部を構成し、EVA樹脂で鞘部を構成した軽量の複合繊維を含有した水硬性硬化体は、従来のビニロン繊維やポリプロピレン繊維を含有した水硬性硬化体に比べ、普通コンクリート、普通モルタル等から高強度コンクリート、高強度モルタル等まで幅広い圧縮強度の水硬性硬化体において爆裂抑制性能に優れており、建造物の床、壁、柱、梁などを構成するコンクリート部材として使用することができる。また手摺などの薄肉部材は表面積が大きいことから急激に温度上昇して爆裂しやすいので、従来のビニロン繊維やポリプロピレン繊維を用いた場合においては、耐爆裂性を付与することは容易ではないが、本発明の複合繊維を用いれば、薄肉部材においても耐爆裂性を付与することが可能となる。
本発明の複合繊維の横断面の一例を示す模式図。
1 芯成分(融点もしくは軟化点が100〜170℃の熱可塑性樹脂)
2 鞘成分(エチレンービニルアルコール系熱可塑性樹脂)

Claims (2)

  1. 少なくともエチレン含有量が25〜70モル%であるエチレンービニルアルコール系共重合体を鞘部とし、芯部に融点もしくは軟化点が100〜170℃である熱可塑性樹脂を成分とした複合繊維が含有されてなる耐爆裂性水硬性硬化体。
  2. 少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維軸方向に芯鞘構造を形成した複合繊維において、芯成分が熱可塑性樹脂(X)と、鞘成分のエチレン含有量が25〜70モル%であるエチレンービニルアルコール系共重合体樹脂(Y)である複合繊維が含有されてなる耐爆裂性水硬性硬化体であり、好ましくは、該複合繊維が下記(1)〜(4)を満足してなる上記の耐爆裂性水硬性硬化体である。
    (1)繊維繊度が0.1〜100dtexであること、
    (2)一定繊維直径当たりの(X)と(Y)の面積比(X)/(Y)は80/20〜20/80であること、
    (3)繊維長が1〜30mmであること、
    (4)水硬性硬化体100容積%に対し、0.05〜0.5容積%含有されてなること。
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