JP2017119604A - 水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維およびそれを含む硬化体 - Google Patents
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Abstract
【課題】水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを良好に抑制でき、かつ水硬性組成物の良好な施工性ももたらす硬化体ひび割れ抑制用繊維、およびそれを含む硬化体を提供。【解決手段】0.5〜50dtexの繊度および100〜1000のアスペクト比を有し、吸水率は0.1〜20%であり、少なくとも一部は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維。好ましくは、1〜50mmの平均繊維長を有する繊維。好ましくは中空構造を有し、少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維方向に芯鞘構造を形成し、芯成分は中空構造を有する繊維。【選択図】なし
Description
本発明は、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維、およびそれを含む硬化体に関する。
打設後、まだモルタルコンクリートが十分に硬化していないプラスチックな状態でモルタルコンクリートの表面が乾燥すると、セメント分が収縮して表面に不規則なひび割れが発生することがある。このひび割れはプラスチック収縮ひび割れと称され、一般に夏期に施工した場合に発生しやすい。一方、硬化後も、乾燥過程で、表面からの水の蒸発に内部からの水の拡散が追随できないために生じる乾燥収縮により、ひび割れが生じることがある。このひび割れは乾燥収縮ひび割れと称されている。
これらの対策として、特許文献1では、セメント成形体の単位体積あたりの有機短繊維の総表面積が150〜1000mm2/cm3となるように、前記セメント成形体に前記繊維を配合することが提案されている。同文献には、前記総表面積が大きいと、セメント成形体におけるひび割れ抑制効果が高いことが記載されている。しかしながら、前記総表面積が大きいとセメントスラリーの流動性(施工性)は悪化するため、ひび割れ抑制効果と流動性の両方をより良好に満たすことが求められる場合があった。
特許文献2には、エチレン含有量が25〜70モル%のエチレンビニルアルコール(以下、EVOHと称することもある)系共重合体を成分とする繊維が含有されてなる耐爆裂性硬化体が記載されている。同文献は耐爆裂性に優れた硬化体に関するものであって、火災等によって加熱された場合にEVOH系繊維が溶融・分解し、水蒸気の逃げ道となる微細トンネルを作ることを耐爆裂性の機序としており、硬化体のひび割れ抑制にフォーカスしたものではなかった。
そこで、本発明は、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを良好に抑制でき、かつ水硬性組成物の良好な施工性ももたらす硬化体ひび割れ抑制用繊維、およびそれを含む硬化体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、硬化体ひび割れ抑制用繊維およびそれを含む硬化体について詳細に検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]0.5〜50dtexの繊度および100〜1000のアスペクト比を有し、吸水率は0.1〜20%であり、少なくとも一部は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維。
[2]1〜50mmの平均繊維長を有する、前記[1]に記載の繊維。
[3]中空構造を有する、前記[1]または[2]に記載の繊維。
[4]少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維軸方向に芯鞘構造を形成している前記[1]または[2]に記載の繊維であって、鞘成分は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなり、芯成分は100〜170℃の融点または軟化点を有する熱可塑性樹脂からなる、繊維。
[5]前記芯成分は中空構造を有する、前記[4]に記載の繊維。
[6]中空率は0.1〜50%である、前記[3]または[5]に記載の繊維。
[7]セメント成分、骨材、および前記[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維を含む、水硬性組成物。
[8]前記[7]に記載の水硬性組成物に基づく硬化体。
[9]前記硬化体の単位体積あたりの前記繊維の総表面積が150〜1000mm2/cm3となるように前記繊維を含む、前記[8]に記載の硬化体。
[1]0.5〜50dtexの繊度および100〜1000のアスペクト比を有し、吸水率は0.1〜20%であり、少なくとも一部は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維。
[2]1〜50mmの平均繊維長を有する、前記[1]に記載の繊維。
[3]中空構造を有する、前記[1]または[2]に記載の繊維。
[4]少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維軸方向に芯鞘構造を形成している前記[1]または[2]に記載の繊維であって、鞘成分は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなり、芯成分は100〜170℃の融点または軟化点を有する熱可塑性樹脂からなる、繊維。
[5]前記芯成分は中空構造を有する、前記[4]に記載の繊維。
[6]中空率は0.1〜50%である、前記[3]または[5]に記載の繊維。
[7]セメント成分、骨材、および前記[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維を含む、水硬性組成物。
[8]前記[7]に記載の水硬性組成物に基づく硬化体。
[9]前記硬化体の単位体積あたりの前記繊維の総表面積が150〜1000mm2/cm3となるように前記繊維を含む、前記[8]に記載の硬化体。
本発明によれば、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを良好に抑制でき、かつ水硬性組成物の良好な施工性ももたらす硬化体ひび割れ抑制用繊維、およびそれを含む硬化体を提供することができる。
<水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維>
水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための本発明の繊維は、その少なくとも一部が25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる。
水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための本発明の繊維は、その少なくとも一部が25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる。
エチレンビニルアルコール系(EVOH系)共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体を加水分解することにより得ることができる。本発明の繊維は、その少なくとも一部が25〜70mol%、好ましくは30〜50mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる。このエチレン含有量が上記範囲内であると、本発明の繊維を水硬性組成物に配合した場合に、水硬性組成物の硬化前に水硬性組成物中の水により繊維が溶解したり、水硬性組成物の硬化中に生じる水和熱により繊維が溶融したりすることを防ぐことができる。
本発明において、「少なくとも一部が25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる」とは、本発明の繊維が、前記エチレンビニルアルコール系共重合体からなるか、または前記エチレンビニルアルコール系共重合体を含むことを意味する。
前記エチレンビニルアルコール系共重合体を含む繊維は、例えば、他のポリマーとの芯鞘型複合繊維または海島型複合繊維であってよい。芯鞘型複合繊維の例としては、後に記載するように、鞘成分としての前記エチレンビニルアルコール系共重合体および芯成分としての100〜170℃の融点または軟化点を有する熱可塑性樹脂を有する芯鞘型複合繊維を挙げることができる。繊維における前記エチレンビニルアルコール系共重合体の含有量は、繊維の質量に基づいて、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。繊維における前記エチレンビニルアルコール系共重合体の含有量が上記下限値以上であると、所望の吸水率を得ることができる。
本発明の繊維は、0.5〜50dtex、好ましくは0.6〜45dtex、より好ましくは0.7〜40dtexの繊度を有する。また、100〜1000、好ましくは110〜950、より好ましくは120〜900のアスペクト比を有する。繊度およびアスペクト比が上記範囲内であると、水硬性組成物において均一に分散でき、良好な施工性およびひび割れ抑制効果を得ることができる。繊度およびアスペクト比は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
本発明の繊維はまた、0.1〜20%、好ましくは0.5〜18%、より好ましくは1〜16%の吸水率を有する。吸水率が上記範囲内であると、水硬性組成物の硬化時に水を良好に供給することができ、その結果、良好なプラスチック収縮ひび割れ抑制効果がもたらされる。また、吸水により繊維が柔軟になることによって水硬性組成物の流動時の抵抗が小さくなるため、良好な施工性をもたらすことができる。吸水率は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
本発明の繊維は上記した特徴を有することにより、ひび割れ抑制に好適である大きな比表面積を有するにもかかわらず、水硬性組成物の施工性をあまり低下させない。即ち、本発明の繊維は、良好な硬化体ひび割れ抑制効果および良好な水硬性組成物の施工性の両方をもたらし、特に、プラスチック収縮ひび割れを良好に抑制する。そのような本発明の効果は、本発明の繊維が以下のように作用することにより達成されると考えられる。
本発明の繊維が配合されたプラスチック状態のモルタルコンクリートの表面が乾燥する際、繊維の吸水率が比較的低いために繊維が水を保持しようとする能力が低く、モルタルコンクリートの表面に水が供給されやすく、その結果、セメントのプラスチック収縮ひび割れが抑制される。後に記載するように繊維が中空構造を有する場合は、その中空部に入り込んでいた水がモルタルコンクリート表面の乾燥時に供給されるので、プラスチック収縮ひび割れ抑制効果はより高くなる。
吸水率が低い点ではポリプロピレン(PP)等も同等であるが、PPは、セメントとの接着性が悪いだけでなく、施工性を低下させる点でも好ましくない。これは、PPのように完全に疎水性であると、親水性であるセメントとの親和性が不良となることに起因していると考えられる。
逆に、繊維の吸水率が高いと、水を保持しようとする能力が高くなるために、モルタルコンクリートの表面に水を良好に供給することができない。また、そのような繊維を水硬性組成物に配合すると、本発明の繊維を配合した場合より低い施工性しか得ることができない。
即ち、本発明の繊維は、比較的低い吸水性と比較的低い親水性という極めて特異なバランスのとれた特性を有しており、その結果、高いひび割れ抑制効果および良好な施工性の両方をもたらすことができる。
本発明の繊維の製造方法は特に限定されず、例えば、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸等の公知の製造方法を挙げることができる。
本発明の繊維は、好ましくは1〜50mm、より好ましくは2〜45mm、特に好ましくは3〜40mmの平均繊維長を有する。一般的に、繊維が長くなると施工性が悪化することが知られているが、本発明の繊維は、平均繊維長が上記範囲内であると、水硬性組成物において均一に分散でき、良好な施工性およびひび割れ抑制効果をもたらすことができる。これは、本発明の繊維が0.1〜20%の吸水率を有すること、即ち吸水することで柔軟になるため、水硬性組成物の流動時の抵抗が小さくなるためと考えられる。平均繊維長が上記範囲よりも短いと、良好なひび割れ抑制効果を得ることができない。一方、平均繊維長が上記範囲よりも長いと、施工性が悪化するため、好ましくない。平均繊維長は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
より良好な水の供給を確保するために、本発明の繊維は、平滑ではない表面や断面を有してもよい。平滑ではない表面や断面は、例えば、繊維表面の不規則化、亀裂の形成および多孔質化、並びに繊維断面の異形化等によって得ることができる。
本発明の繊維は、中空構造を有してもよい。繊維が中空構造を有することにより、繊維を水硬性組成物に配合した際に中空部に水が保持される。保持された水は、水硬性組成物の硬化時に供給され、その結果、より良好なひび割れ抑制効果を得ることができる。
中空部の数は、繊維の組成および繊度等によって異なるが、通常は1〜10個、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜6個である。中空部の数が上記範囲内であると、中空部が潰れることなく、水が良好に保持される。
中空構造を有する本発明の繊維は、好ましくは0.1〜50%、より好ましくは0.5〜45%、特に好ましくは1〜40%の中空率を有する。中空率が上記範囲内であると、中空部が潰れることなく、水が良好に保持される。中空率は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
本発明の中空繊維の紡糸時の温度や引取り速度、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件は、目標とする繊度、中空率、収縮率等、その他原綿物性に応じて適宜選択設定することができる。例えば、EVOH樹脂を押出機で溶融して、該溶融体を、中空断面形成用の口金を備え付けた紡糸パックを用いて紡糸装置で紡糸することにより製造することができる。その際の紡糸温度としては200〜300℃の範囲内の温度が採用される。紡糸後の工程については、紡糸捲取り後、必要に応じて延伸してもよく、目標とする繊度や強度、伸度特性等に応じて、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件を適宜設定することが望ましい。
本発明はまた、少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維軸方向に芯鞘構造を形成している繊維であって、鞘成分は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなり、芯成分は100〜170℃の融点または軟化点を有する熱可塑性樹脂からなる、繊維にも関する。
エチレン含有量は好ましくは30〜50mol%である。エチレン含有量が上記範囲内であると、上記繊維を水硬性組成物に配合した場合に、水硬性組成物の硬化前に水硬性組成物中の水により繊維が溶解したり、水硬性組成物の硬化中に生じる水和熱により繊維が溶融したりすることを防ぐことができる。
芯成分を構成する熱可塑性樹脂は、100〜170℃、好ましくは110〜170℃、より好ましくは120〜170℃の融点または軟化点を有する。融点または軟化点が上記範囲内であると、溶融紡糸時に中空形状を得やすい点で好ましい。融点及び軟化点は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、変性ポリエステル(共重合ポリエステル等)、変性ポリアミド(共重合ポリアミド等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体に代表されるポリオレフィン等を挙げることができる。汎用性および耐薬品性、特にコンクリートのアルカリに対する耐久性の観点からは、ポリエチレンおよびポリプロピレンが好ましい。水を保持しやすいという観点からは、変性ポリアミドが好ましい。
芯鞘構造を形成している本発明の繊維において、芯成分の断面は中空構造を有してもよい。繊維が中空構造を有することにより、繊維を水硬性組成物に配合した際に中空部に水が保持される。保持された水は、水硬性組成物の硬化時に供給され、その結果、より良好なひび割れ抑制効果を得ることができる。
中空部の数は、繊維の組成および繊度等によって異なるが、通常は1〜10個、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜6個である。中空部の数が上記範囲内であると、中空部が潰れることなく、水が良好に保持される。
中空構造を有する本発明の繊維は、好ましくは0.1〜50%、より好ましくは0.5〜45%、特に好ましくは1〜40%の中空率を有する。中空率が上記範囲内であると、中空部が潰れることなく、水が良好に保持される。中空率は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
本発明の繊維において、一定繊維直径あたりの熱可塑性樹脂(X)とエチレンビニルアルコール系共重合体(Y)との面積比(X)/(Y)は、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは70/30〜30/70である。面積比(X)/(Y)が上記範囲内であると、鞘部が破れたり芯部が消失したりする等の繊維断面の形状不良を伴わずに、良好なひび割れ抑制効果がもたらされる。
鞘部に対する芯部の位置は同芯または偏芯のどちらでもよく、また芯部の数は、通常は1〜10個、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜6個である。芯部の数が上記範囲内であると、上記したような繊維断面の形状不良を伴わず、水が良好に保持される。
芯鞘構造を形成している本発明の繊維は、上記熱可塑性樹脂とエチレンビニルアルコール系共重合体を芯鞘構造となるように溶融紡糸することで製造することができる。紡糸時の温度や引取り速度、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件は、目標とする繊度、中空率、収縮率等、その他原綿物性に応じて適宜選択設定することができる。紡糸後の工程については、紡糸捲取り後、必要に応じて延伸してもよく、目標とする繊度や中空率、伸度特性等に応じて、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件を適宜設定することができる。
より良好な水の供給を確保するために、芯鞘構造を形成している本発明の繊維は、平滑ではない表面や断面を有してもよい。平滑ではない表面や断面は、例えば、繊維表面の不規則化、亀裂の形成および多孔質化、並びに繊維断面の異形化等によって得ることができる。
<水硬性組成物>
本発明はまた、セメント成分、骨材および上記繊維を含む水硬性組成物に関する。
本発明はまた、セメント成分、骨材および上記繊維を含む水硬性組成物に関する。
本発明におけるセメント成分としては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントおよび中庸熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカセメント、並びにフライアッシュセメントが挙げられる。これらのセメントは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における骨材としては、必要に応じてさまざまな骨材を使用することができる。そのような骨材として、例えば、細骨材、軽量骨材および粗骨材等が挙げられる。これらの骨材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
細骨材は、粒径が5mm以下の細骨材であってもよく、例えば、粒径が5mm以下の砂類;珪石、フライアッシュ、高炉スラグ、火山灰系シラス、各種汚泥、および岩石鉱物等の無機質材を粉末化または顆粒状化した細骨材等が挙げられる。これらの細骨材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。砂類としては、例えば、川砂、山砂、海砂、砕砂、珪砂、鉱滓、ガラス砂、鉄砂、灰砂、炭酸カルシウム、および人工砂等の砂類が挙げられる。これらの細骨材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粗骨材は、粒径5mm以上の粒子が85質量%以上含まれる骨材である。粗骨材は、粒径5mm超の粒子からなるものであってもよい。粗骨材としては、例えば、各種砂利類、人工骨材(高炉スラグ等)および再生骨材(建築廃材の再生骨材等)等が挙げられる。これらの粗骨材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
軽量骨材としては、例えば、火山砂利、膨張スラグおよび炭殻等の天然軽量骨材、並びに発泡真珠岩、発泡パーライト、発泡黒よう石、バーミキュライト、シラスバルーンおよびフライアッシュマイクロバルーン等の人工軽量骨材が挙げられる。これらの軽量骨材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の水硬性組成物は、上記骨材に加え、機能性骨材を含んでもよい。ここで、機能性骨材とは、有色の骨材、硬質の骨材、弾性を有する骨材、および特定の形状を有する骨材等が挙げられ、具体的には、層状ケイ酸塩(例えば、マイカ、タルク、カオリン)、アルミナ、シリカ等が挙げられる。骨材に対する機能性骨材の割合は、それぞれの種類に応じて適宜設定することが可能であるが、例えば、骨材と機能性骨材との質量比(骨材/機能性骨材)は、99/1〜70/30であってもよく、好ましくは98/2〜75/25であってもよく、より好ましくは97/3〜80/20であってもよい。これらの機能性骨材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
骨材の総量(S)とセメント成分(C)の質量比(骨材(S)/セメント成分(C))は、好ましくは1/10〜5/1、より好ましくは1/8〜4/1、特に好ましくは1/6〜3/1であってもよい。
本発明の水硬性組成物における繊維の含有量は、繊維の種類、繊維長およびアスペクト比等に応じて適宜設定することができる。好ましくは、後に記載するように、硬化体の単位体積あたりの繊維の総表面積が150〜1000mm2/cm3となるよう設定され、水硬性組成物全体の体積に対して、好ましくは0.01〜0.6体積%、より好ましくは0.02〜0.5体積%、特に好ましくは0.05〜0.4体積%である。繊維の含有量が上記範囲内であると、水硬性組成物に繊維を均一に分散させることができ、繊維によるひび割れ防止効果を十分に引き出すことができる。
本発明の水硬性組成物は、セメント硬化促進剤を更に含んでもよい。セメント硬化促進剤は特に限定されず、既知のセメント硬化促進剤のいずれのものでも使用することができる。その例として、塩化物(塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、亜硝酸塩(亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム等)、硝酸塩(硝酸カルシウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等)、硫酸塩(硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム等)、チオシアン酸塩(チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カルシウム等)、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、ケイ酸塩(ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等)、アルミン酸塩(アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等)、有機酸塩(ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、アクリル酸カルシウム等)、アミン類(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)および無水マレイン酸を挙げることができる。セメント硬化促進剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。環境保護の観点から、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩、トリエタノールアミン等のアミン類、および硫酸カルシウム等の硫酸塩を使用することが好ましい。
本発明の水硬性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種混和剤を含んでよい。混和剤としては、例えば、AE剤、流動化剤、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、保水剤、撥水剤、膨張剤、硬化促進剤および凝結遅延剤等が挙げられる。混和剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて含まれていてもよい。
本発明の水硬性組成物は、また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、水溶性高分子物質を含んでいてもよい。水溶性高分子物質としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびリグニンスルホン酸塩等が挙げられる。水溶性高分子物質は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用されていてもよい。
<水硬性組成物の製造>
本発明の水硬性組成物は、セメント成分、骨材、上記繊維、水、および必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲の各種混和剤等を、公知または慣用のミキサー等(例えば、可傾式ミキサー、トラックミキサー、2軸式ミキサー、オムニミキサー、パンミキサー、プラネタリーミキサー、アイリッヒミキサー等)により混合することによって製造することができる。各成分の混合順序は特に制限されない。好ましくは、まずセメント成分、骨材、水、および必要に応じて各種混和剤を含む混合物を調製し、その後、繊維を添加し分散させて、水硬性組成物を製造する。混合物には、セメント成分、骨材および水の、使用予定である全量がそれぞれ初めから含まれていてもよいし、一部が含まれていてもよい。例えば、混合物が一部のセメント成分、骨材および水をそれぞれ含む場合、残りは、繊維の分散中および/または分散後に添加してもよい。混合方法は、特に限定されないが、コンクリートミキサー、スクリュー型混練機またはペラー型混練装置等を用いて行ってよい。
本発明の水硬性組成物は、セメント成分、骨材、上記繊維、水、および必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲の各種混和剤等を、公知または慣用のミキサー等(例えば、可傾式ミキサー、トラックミキサー、2軸式ミキサー、オムニミキサー、パンミキサー、プラネタリーミキサー、アイリッヒミキサー等)により混合することによって製造することができる。各成分の混合順序は特に制限されない。好ましくは、まずセメント成分、骨材、水、および必要に応じて各種混和剤を含む混合物を調製し、その後、繊維を添加し分散させて、水硬性組成物を製造する。混合物には、セメント成分、骨材および水の、使用予定である全量がそれぞれ初めから含まれていてもよいし、一部が含まれていてもよい。例えば、混合物が一部のセメント成分、骨材および水をそれぞれ含む場合、残りは、繊維の分散中および/または分散後に添加してもよい。混合方法は、特に限定されないが、コンクリートミキサー、スクリュー型混練機またはペラー型混練装置等を用いて行ってよい。
本発明の水硬性組成物における水/セメント成分比(W/C)は、水硬性組成物の構成等に応じて適宜調整されるが、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%である。
<硬化体>
本発明はまた、本発明の水硬性組成物に基づく硬化体に関する。
本発明はまた、本発明の水硬性組成物に基づく硬化体に関する。
本発明の硬化体は、本発明の水硬性組成物を硬化させることにより製造することができる。
水硬性組成物の用途は特に限定されるものではなく、あらゆる成形体を製造することができる。成形体の例としては、ブロック、床パネル、壁パネル、間仕切り、屋根材、瓦等を挙げることができる。また、これらの製造は、振動成形、遠心力成形、押出成形(真空押出成形、ローラースリッパ法による押出成形)、プレス成形、抄造法等のあらゆる成形法により、容易に行うことができる。
成形後、脱型や移送等の製造工程に耐えられるようにすべく、一次養生を行う。このために、水硬性組成物を、通常は、20℃〜90℃の温度および40〜99%の相対湿度で4〜24時間保持する。この一次養生で、脱型や移送等の製造工程におけるひび割れや破壊等の発生は著しく抑制される。その後、セメントの硬化反応を進め、製品として必要な強度を得るために二次養生を行う。二次養生の環境は特に制限されず、気中または水中で行うことができるが、乾燥が進むとセメントの硬化反応が抑制されるため、乾燥しないようにシートで覆う等のケアは必要である。また、セメントの硬化反応を進めるために、少なくとも3日以上は二次養生の期間を設ける必要がある。
水硬性組成物の用途は特に限定されるものではなく、あらゆる成形体を製造することができる。成形体の例としては、ブロック、床パネル、壁パネル、間仕切り、屋根材、瓦等を挙げることができる。また、これらの製造は、振動成形、遠心力成形、押出成形(真空押出成形、ローラースリッパ法による押出成形)、プレス成形、抄造法等のあらゆる成形法により、容易に行うことができる。
成形後、脱型や移送等の製造工程に耐えられるようにすべく、一次養生を行う。このために、水硬性組成物を、通常は、20℃〜90℃の温度および40〜99%の相対湿度で4〜24時間保持する。この一次養生で、脱型や移送等の製造工程におけるひび割れや破壊等の発生は著しく抑制される。その後、セメントの硬化反応を進め、製品として必要な強度を得るために二次養生を行う。二次養生の環境は特に制限されず、気中または水中で行うことができるが、乾燥が進むとセメントの硬化反応が抑制されるため、乾燥しないようにシートで覆う等のケアは必要である。また、セメントの硬化反応を進めるために、少なくとも3日以上は二次養生の期間を設ける必要がある。
本発明の硬化体は、好ましくは、硬化体の単位体積あたりの上記繊維の総表面積が150〜1000mm2/cm3となるように上記繊維を含む。この総表面積は、より好ましくは200〜950mm2/cm3、特に好ましくは250〜900mm2/cm3である。上記総表面積が上記範囲内であると、良好な施工性、および良好なプラスチック収縮ひび割れ効果を得ることができる。この総表面積は、後に記載する実施例に記載されている方法により求めることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<繊度>
JIS L 1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて求めた(単位:dtex)。
JIS L 1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて求めた(単位:dtex)。
<平均繊維長およびアスペクト比>
JIS L 1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて平均繊維長を算出し、平均繊維径との比により繊維のアスペクト比を求めた。なお、平均繊維径については、無作為に繊維を100本取り出し、それぞれの繊維の長さ方向の中央部における繊維径を光学顕微鏡により測定し、その平均値を平均繊維径とした。
JIS L 1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて平均繊維長を算出し、平均繊維径との比により繊維のアスペクト比を求めた。なお、平均繊維径については、無作為に繊維を100本取り出し、それぞれの繊維の長さ方向の中央部における繊維径を光学顕微鏡により測定し、その平均値を平均繊維径とした。
<吸水率>
1gのカット繊維を、20℃の水に1時間浸漬した後、3000rpmで3分間遠心脱水し、その重量aを測定した。次いで、脱水後の繊維を100℃で3時間乾燥し、乾燥後の重量bを測定した。下記式を用いて、吸水率を算出した。
1gのカット繊維を、20℃の水に1時間浸漬した後、3000rpmで3分間遠心脱水し、その重量aを測定した。次いで、脱水後の繊維を100℃で3時間乾燥し、乾燥後の重量bを測定した。下記式を用いて、吸水率を算出した。
<融点または軟化点>
融点は、示差走査型熱量計(DSC)(メトラー社製、TC-2000型)を用い、昇温速度10℃/分にて測定し、吸熱ピ−クの発現温度を融点とした。軟化点は、JIS K 7206−1982に準拠して測定した。
融点は、示差走査型熱量計(DSC)(メトラー社製、TC-2000型)を用い、昇温速度10℃/分にて測定し、吸熱ピ−クの発現温度を融点とした。軟化点は、JIS K 7206−1982に準拠して測定した。
<硬化体の単位体積あたりの繊維の総表面積>
硬化体1cm3あたりの繊維の表面積の総和を算出することにより求めた。この値は、硬化体1cm3あたりの、繊維と硬化体の界面の総面積に相当する。
硬化体1cm3あたりの繊維の表面積の総和を算出することにより求めた。この値は、硬化体1cm3あたりの、繊維と硬化体の界面の総面積に相当する。
<施工性および総ひび割れ面積>
混練して得られた水硬性組成物を、図1に示す拘束機能を有する鋼製の型枠に打設した。同型枠は、内寸が幅100mm×長さ1000mm×深さ35mmのもので、水硬性組成物が硬化するまでの収縮を拘束するため、型枠内部に8mm径の鋼棒を80mmピッチおよび40mmピッチで溶接したものとした。
この時の水硬性組成物の型枠への充填性を、施工性として評価した。評価基準として、◎は表面の鏝ならし性が非常に良好である場合、○は表面の鏝ならし性が良好である場合、△は表面を何度か鏝ならしを繰り返して良好な表面が得られる場合、×は鏝ならしをしてもきれいな表面が得られなかった場合とした。
次いで、50℃で24時間扇風機の風を当てて水の蒸発を促進させ、打設後24時間経過後のセメント成形体のひび割れを目視により観察した。幅0.1mm以上のひび割れの最大幅及び最大長を測定し、最大ひび割れ幅に最大ひび割れ長を乗じて各ひび割れのひび割れ面積を算出し、1cm3あたりの総ひび割れ面積[mm2]をプラスチック収縮ひび割れ面積として求めた。
混練して得られた水硬性組成物を、図1に示す拘束機能を有する鋼製の型枠に打設した。同型枠は、内寸が幅100mm×長さ1000mm×深さ35mmのもので、水硬性組成物が硬化するまでの収縮を拘束するため、型枠内部に8mm径の鋼棒を80mmピッチおよび40mmピッチで溶接したものとした。
この時の水硬性組成物の型枠への充填性を、施工性として評価した。評価基準として、◎は表面の鏝ならし性が非常に良好である場合、○は表面の鏝ならし性が良好である場合、△は表面を何度か鏝ならしを繰り返して良好な表面が得られる場合、×は鏝ならしをしてもきれいな表面が得られなかった場合とした。
次いで、50℃で24時間扇風機の風を当てて水の蒸発を促進させ、打設後24時間経過後のセメント成形体のひび割れを目視により観察した。幅0.1mm以上のひび割れの最大幅及び最大長を測定し、最大ひび割れ幅に最大ひび割れ長を乗じて各ひび割れのひび割れ面積を算出し、1cm3あたりの総ひび割れ面積[mm2]をプラスチック収縮ひび割れ面積として求めた。
実施例1
<繊維の製造>
紡糸ヘッドに丸断面用の紡糸口金を用いた溶融紡糸装置の押出機に、44mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール(EVOH)系共重合体を投入し、紡糸温度240℃で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
次いで、この捲取糸を目標とする繊度に応じて熱延伸し(延伸温度80℃)、油剤浴にて油剤を付与後、所定の繊維長にカットすることにより、表1に示す特性を有する繊維を製造した。
<水硬性組成物の製造>
最大容量5Lのオムニミキサーに、普通セメント(太平洋セメント(株)製)578質量部、細骨材(佐賀県唐津市産海砂)578質量部、粗骨材(岡山県御津産砕石:最大径20mm)578質量部、水318質量部を入れ、2分間混練した。その後、前記繊維を0.1体積%添加し、4分間の追加混練を行い、水硬性組成物を製造した。この組成物を、図1の型枠に打設した。先に記載した方法により、施工性を評価し、総ひび割れ面積を求めた。これらの特性を表1に示す。
<繊維の製造>
紡糸ヘッドに丸断面用の紡糸口金を用いた溶融紡糸装置の押出機に、44mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール(EVOH)系共重合体を投入し、紡糸温度240℃で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
次いで、この捲取糸を目標とする繊度に応じて熱延伸し(延伸温度80℃)、油剤浴にて油剤を付与後、所定の繊維長にカットすることにより、表1に示す特性を有する繊維を製造した。
<水硬性組成物の製造>
最大容量5Lのオムニミキサーに、普通セメント(太平洋セメント(株)製)578質量部、細骨材(佐賀県唐津市産海砂)578質量部、粗骨材(岡山県御津産砕石:最大径20mm)578質量部、水318質量部を入れ、2分間混練した。その後、前記繊維を0.1体積%添加し、4分間の追加混練を行い、水硬性組成物を製造した。この組成物を、図1の型枠に打設した。先に記載した方法により、施工性を評価し、総ひび割れ面積を求めた。これらの特性を表1に示す。
実施例2
実施例1で製造した繊維を、0.19体積%の含有量となるよう配合したこと以外は、実施例1と同様にして、水硬性組成物および硬化体を製造した。繊維、水硬性組成物および硬化体の特性を表1に示す。
実施例1で製造した繊維を、0.19体積%の含有量となるよう配合したこと以外は、実施例1と同様にして、水硬性組成物および硬化体を製造した。繊維、水硬性組成物および硬化体の特性を表1に示す。
実施例3
紡糸口金に中空断面用口金を用いた以外は、実施例1と同様にして、中空繊維、水硬性組成物および硬化体を製造した。
また、繊維、水硬性組成物および硬化体の特性評価も、実施例1と同様に行った。それらの特性を表1に示す。
紡糸口金に中空断面用口金を用いた以外は、実施例1と同様にして、中空繊維、水硬性組成物および硬化体を製造した。
また、繊維、水硬性組成物および硬化体の特性評価も、実施例1と同様に行った。それらの特性を表1に示す。
実施例4
中空率が40%となるよう繊維を製造したこと以外は、実施例3と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。
中空率が40%となるよう繊維を製造したこと以外は、実施例3と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。
実施例5
0.7dtexの繊度となるように繊維を製造したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は359であった。
0.7dtexの繊度となるように繊維を製造したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は359であった。
実施例6
25dtexの繊度および6mmの平均繊維長となるように繊維を製造したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は120であった。
25dtexの繊度および6mmの平均繊維長となるように繊維を製造したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は120であった。
実施例7
実施例5で製造した繊維を、0.2体積%の含有量となるよう配合したこと以外は、実施例5と同様にして、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。
実施例5で製造した繊維を、0.2体積%の含有量となるよう配合したこと以外は、実施例5と同様にして、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。
比較例1
繊維を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。
繊維を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。
比較例2
10mmの平均繊維長となるように繊維を製造したこと以外は、実施例7と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は1111であった。
10mmの平均繊維長となるように繊維を製造したこと以外は、実施例7と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は1111であった。
比較例3
100dtexの繊度となるように繊維を製造したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は29であった。
100dtexの繊度となるように繊維を製造したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維、水硬性組成物および硬化体を製造し、特性評価した。それらの特性を表1に示す。アスペクト比は29であった。
比較例4
繊維として、2dtexの繊度および6mmの平均繊維長を有するポリビニルアルコール(PVA)繊維を、0.2体積%の含有量となるよう配合した。繊維、水硬性組成物および硬化体の特性評価は、実施例1と同様に行った。それらの特性を表1に示す。なお、PVA繊維は下記方法により製造した。
ポリマー重合度1750、ケン化度99.9mol%のPVAを用い、PVA濃度が15.8質量%となるよう水に溶解して水溶液を調製し、飽和芒硝水溶液を固化浴として用い、湿式紡糸により紡糸し、乾燥後、乾熱延伸(延伸温度230℃、総延伸倍率8倍)を実施した後、切断してPVA繊維を得た。
繊維として、2dtexの繊度および6mmの平均繊維長を有するポリビニルアルコール(PVA)繊維を、0.2体積%の含有量となるよう配合した。繊維、水硬性組成物および硬化体の特性評価は、実施例1と同様に行った。それらの特性を表1に示す。なお、PVA繊維は下記方法により製造した。
ポリマー重合度1750、ケン化度99.9mol%のPVAを用い、PVA濃度が15.8質量%となるよう水に溶解して水溶液を調製し、飽和芒硝水溶液を固化浴として用い、湿式紡糸により紡糸し、乾燥後、乾熱延伸(延伸温度230℃、総延伸倍率8倍)を実施した後、切断してPVA繊維を得た。
比較例5
繊維として、2dtexの繊度および6mmの平均繊維長を有するポリプロピレン(PP)繊維を、0.2体積%の含有量となるよう配合した。繊維、水硬性組成物および硬化体の特性評価は、実施例1と同様に行った。それらの特性を表1に示す。なお、PP繊維は下記方法により製造した。
PP樹脂(プライムポリマー社製「Y2000GV」)を溶融紡糸装置の押出機に投入して溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた紡糸口金から吐出させた後、延伸(延伸温度160℃、総延伸倍率8倍)してPP繊維を製造し、切断した。
繊維として、2dtexの繊度および6mmの平均繊維長を有するポリプロピレン(PP)繊維を、0.2体積%の含有量となるよう配合した。繊維、水硬性組成物および硬化体の特性評価は、実施例1と同様に行った。それらの特性を表1に示す。なお、PP繊維は下記方法により製造した。
PP樹脂(プライムポリマー社製「Y2000GV」)を溶融紡糸装置の押出機に投入して溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた紡糸口金から吐出させた後、延伸(延伸温度160℃、総延伸倍率8倍)してPP繊維を製造し、切断した。
表1に示された結果から、実施例1〜7に従って得られた水硬性組成物はいずれも、良好な施工性および小さい総ひび割れ面積を有することが分かる。即ち、本発明の繊維が、良好なひび割れ抑制効果と良好な施工性との両方をもたらしたことが分かる。これは、本発明の繊維が、比較的低い吸水性と比較的低い親水性というバランスのとれた特性を有したために、施工性をあまり低下させず、水硬性組成物の硬化時に水を良好に供給したことによるものと考えられる。
一方、比較例1〜5では、施工性および総ひび割れ面積の両方に優れた水硬性組成物は得られなかった。比較例1では、繊維を配合しなかったために、施工性は良好であったが、硬化体においてひび割れは抑制されなかった。比較例2では、本発明におけるアスペクト比を有さない繊維を配合したために、低い施工性を示した。比較例3では、本発明における繊度およびアスペクト比を有さない繊維を配合したために、施工性は良好であったが、硬化体においてひび割れは抑制されなかった。比較例4および5ではそれぞれ、吸水率の高いポリビニルアルコール繊維および完全に疎水性であるポリプロピレン繊維を配合したために、良好な施工性は得られなかった。
本発明の繊維は、施工性の良好な水硬性組成物をもたらし、その硬化体のひび割れを良好に抑制することができる。硬化体は、特に限定されるものではなくいが、例えば、ブロック、床パネル、壁パネル、間仕切り、屋根材、瓦等の、各種の土木・建築材料として有用に用いることができる。
Claims (9)
- 0.5〜50dtexの繊度および100〜1000のアスペクト比を有し、吸水率は0.1〜20%であり、少なくとも一部は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなる、水硬性組成物に基づく硬化体のひび割れを抑制するための繊維。
- 1〜50mmの平均繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
- 中空構造を有する、請求項1または2に記載の繊維。
- 少なくとも2種の熱可塑性樹脂が繊維軸方向に芯鞘構造を形成している請求項1または2に記載の繊維であって、鞘成分は25〜70mol%のエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコール系共重合体からなり、芯成分は100〜170℃の融点または軟化点を有する熱可塑性樹脂からなる、繊維。
- 前記芯成分は中空構造を有する、請求項4に記載の繊維。
- 中空率は0.1〜50%である、請求項3または5に記載の繊維。
- セメント成分、骨材、および請求項1〜6のいずれかに記載の繊維を含む、水硬性組成物。
- 請求項7に記載の水硬性組成物に基づく硬化体。
- 前記硬化体の単位体積あたりの前記繊維の総表面積が150〜1000mm2/cm3となるように前記繊維を含む、請求項8に記載の硬化体。
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JP2017193458A (ja) * | 2016-04-19 | 2017-10-26 | 株式会社大林組 | 水硬性組成物の製造方法、及び、水硬性組成物 |
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- 2015-12-28 JP JP2015257276A patent/JP2017119604A/ja active Pending
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190312 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190910 |