JP5008798B2 - 繊維補強セメント成形体 - Google Patents

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    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維補強セメント成形体及びその製造方法、さらにセメントスラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、石綿にかわる補強材として種々の補強繊維が使用されており、補強繊維として、たとえば無機繊維や、ポリプロプレン系繊維、ポリビニルアルコール(PVA)系繊維、アクリル系繊維などが使用されている。なかでも、ポリオレフィン系繊維は、耐湿熱性、耐アルカリ性に優れていることから、オートクレーブ養生セメント成形体の補強材として好適である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリオレフィン系繊維は疎水性が高いために水硬性材料との接着性が低い問題があり、成形体を十分に補強できない問題があった。
本発明は、以上の問題を鑑み、耐湿熱性などに優れ、かつ機械的性能などが十分に改善された繊維補強セメント成形体及び該成形体の製造方法を提供することを目的とし、さらに諸性能に優れたセメント成形体を供し得るセメントスラリーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1) セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、以下の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリーから得られる繊維補強セメント成形体、
[アルカリ液溶出率の測定方法]
ビニルアルコール系ポリマー1gを、水酸化カリウム3.5g/l、水酸化ナトリウム0.9g/l、水酸化カルシウム0.4g/lからなるアルカリ水溶液100gに加えた後、耐圧密閉容器中に入れ、90℃×2時間加熱する。冷却後、溶液をろ紙上に濾取し十分水洗後、105℃で16時間以上乾燥した後に残座の質量を測定し、初期の質量と残渣の質量からアルカリ液溶出率(質量%)を算出。
アルカリ液溶出率(質量%)=(1−[残渣質量]/[初期質量])×100
(2) セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、上記(1)の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリーから得られるオートクレーブ養生繊維補強セメント成形体、
(3) セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、上記(1)の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリーを硬化させる繊維補強セメント成形体の製造方法、
(4) セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、上記(1)の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリー、
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、本発明においては、ポリプロピレン系繊維を用いる必要がある。ポリプロプレン系繊維は耐湿熱性及び耐アルカリ性に優れていることから、過酷な条件で使用した場合のセメント成形体の耐久性が向上し、しかも高温でのオートクレーブ処理を施すことが可能となる。耐湿熱性を確保する点からは、ポリプロピレン系繊維を構成するポリプロピレンの結晶融解温度は165℃以上、特に170℃以上であるのが好ましい。
かかるポリプロピレン系繊維は、単繊維繊度0.1〜10dtexである必要がある。繊度が大きすぎると繊維の比表面積が低下して繊維とセメントマトリックスとの接着性が著しく低下し、また繊度が小さすぎるとセメントマトリックスとの接着性は向上するものの、セメントスラリーの混練中に繊維表面にキズを受けて単繊維強度が大きく低下し、補強効果が十分に得られなくなる。以上のことから、単繊維繊度1dtex以上、特に3dtex以上であるのがより好ましく、8dtex以下、特に7dtex以下であるのが好ましい。また補強効果の点からは該繊維の繊維長は1mm以上、さらに2mm以上であるのが好ましく、繊維の均一分散性の点からは繊維長20mm以下、特に10mm以下であるのが好ましい。
また該繊維の単繊維強度は5cN/dtex以上、特に7cN/dtex以上であるのが好ましい。単繊維強度が低すぎると、セメント成形体が曲げ又は引張りにより破壊する際に、その応力を効率的に分担することができずに容易に破断するため補強効果が十分に得られにくくなる。
【0006】
またセメント成形体の製造に用いられるセメントスラリーにおけるポリプロピレン系繊維の配合量を0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上とする必要がある。該繊維の配合量が少なすぎると十分な補強効果が奏されない。しかしながら、該繊維の配合量が多すぎると繊維の分散性が低下したり、また繊維とマトリックスの界面が多くなりすぎて水和反応などが十分に進行せずセメントの機械的性能が十分に改善されない問題が生じる。よって、スラリーにおける繊維配合量を5質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下とする。なお、本発明におけるスラリーの各成分の配合量は、スラリー固形分の質量に占める各成分(固形分)の質量割合を示したものである。
本発明に用いられるポリプロピレン系繊維の製造方法は特に限定されず、公知のいかなる方法を採用してもよい。たとえば溶融紡糸や湿式紡糸、乾式紡糸などにより製造すればよい。またポリプロピレン系繊維の表面にプラズマ処理や酸化処理などが施されていてもよく、異形断面を有していてもかまわない。
【0007】
さらに本発明においては、特定のアルカリ液溶出率を有するビニルアルコール系ポリマーを配合する必要がある。ポリプロピレン系繊維は耐湿熱性などに優れた性能を有しているが、疎水性が高いために繊維周辺の水和水が不足し、よって、該繊維の周辺に空隙が形成されて繊維とマトリックスの接着性が小さくなって繊維の補強効果が十分に奏されない問題がある。しかしながら、かかるビニルアルコール系ポリマーを配合することによって、繊維表面にビニルアルコール系ポリマーが付着して繊維の親水性が高まり、よって繊維表面においても十分な水和反応が進行し、繊維とセメントマトリックスとの接着性向上に寄与する。ポリプロピレン系繊維とセメントとの接着性を高める点から、ビニルアルコール系ポリマーの配合量が質量%以上のセメントスラリーを用いてセメント成形体を製造する必要がある。
しかしながら、該ビニルアルコール系ポリマーの含有量が多くなりすぎると、水和反応が遅延して生産性が低下するだけでなく、セメント成形体の強度や難燃性能が低下することとなる。よって、ビニルアルコール系ポリマーの配合量が5質量%以下、さらに3質量%以下のセメントスラリーを用いるのが好ましい。なお、セメントスラリーのビニルアルコール系ポリマーの配合量は、セメント固形分質量に占めるビニルアルコール系ポリマー質量の割合を示したものである。本発明に用いられるビニルアルコール系ポリマーはアルカリ液溶解性を有するものであるため、該スラリーを用いてセメント成形体を製造する過程で該ポリマーが流出する可能性が高い、しかしながら、該ポリマーの一部が流出するにすぎず、セメント成形体中にビニルアルコール系ポリマーは自ずと残存することとなるため上記のような効果が奏される。
【0008】
ビニルアルコール系ポリマー(成分A)のアルカリ液溶出率は60%以上、好ましくは70%以上とする必要がある。成分Aはセメントスラリー中で溶解してはじめてポリプロピレン系繊維の接着性に大きく寄与するため、成分Aのアルカリ液溶出率が小さすぎると添加量に対する有効成分量が少なくなり、繊維Aとセメントマトリックスの接着性を効果的に改善することが困難となる。成分Aの一部又は全部が成形体の製造工程で溶解することにより、成分Aが成形体内の空隙形状にあわせて内部に入り込むことが可能になり、次いで成分Aが乾燥・固化することによってセメントとポリプロピレン繊維が接着し、しかも繊維表面の親水性が高くなって水和反応が十分に進行することから、該繊維の補強効果を効果的に発現することが可能となる。なおアルカリ液溶出率は実施例に記載の方法により求めることができる。
しかしながら、繊維とセメントマトリックスを強固に接着させる点からは、アルカリ液溶出率90%以下のビニルアルコール系ポリマーを用いるのが好ましい。
【0009】
本発明に用いられる成分Aは特に限定されないが、適度なアルカリ液溶解性を付与する点からはケン化度は99モル%以下であるのが好ましい。該成分Aの機械的性能を高めて繊維とマトリックスを強固に接着する点からは、成分Aのケン化度は50モル%以上、特に80モル%以上であるのが好ましい。
また成分Aの接着力、アルカリ液溶解性及びスラリー中での安定性の点からは、ビニルアルコール系ポリマーの粘度平均重合度は500以上、5000以下であるのが好ましい。また無変性のものはもちろんのこと、例えばカルボン酸基やスルホン酸基、四級アミン塩からなる官能基、シラノール基、チオール基などの極性官能基を共重合されたもの、あるいは反応により付加させたものを使用してもかまわない。
【0010】
成分Aの形態は特に限定されない。たとえば溶液(好適には水溶液)、繊維状、粉末状、粒状、フィルム状などが挙げられる。セメント成形体を湿式抄造法により製造する場合には、成分Aの分散性、歩留まりの点から繊維状又は粉末状のものが好ましく、水の添加量の小さいスラリーを用いる乾式成形法によりセメント成形体を製造する場合には、成分Aを均一分散させる点から水溶液の形態で添加するのが好ましい。なお粉末状物としては、直径3mm以下、特に1mm以下の粉末状物が好適に使用され、特にアスペクト比1.5未満の粉末状物が好適に使用される。また繊維状物としては、アスペクト比1.5以上、特に2以上の繊維が好適に使用される。
【0011】
また水溶解性を高め溶融粘度を低下させる点からは該成分Aに可塑剤を添加しておくのが好ましい。可塑剤としては、PVAのガラス転移温度や溶融粘度を低下させ得る化合物であれば特に制限はないが、例えば水、エチレングリコール及びそのオリゴマー、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びそのオリゴマー、ポリプロピレングリコール等のグリコール誘導体、グリセリンおよびそのオリゴマー、ポリグリセリンやグリセリン等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが付加したグリセリン誘導体、ソルビトール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。なかでもグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールおよびその誘導体が好適に使用される。可塑剤の添加量に特に制限はないが、ビニルアルコール系ポリマー100質量%に対して0.01〜40質量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0012】
本発明に使用されるセメントは特に限定されず、ポルトランドセメントがその代表的なものであるが、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等を使用してもよく、これらを併用してもかまわない。セメント成形体に用いられるセメントスラリーにおけるセメント配合量(固形分比)は、成形体の機械的性能などの点から35〜60質量%とする必要がある。セメントの配合量が小さすぎると、繊維とマトリックス界面の接着性が不十分になりやすい。しかしながらセメントの配合量が少なくなるとマトリックスの強度そのものが低下することとなる。
【0013】
さらに本発明においては、セメントのみでなくシリカ質粉末(成分B)を配合する必要がある。すなわち、ポリプロピレン系繊維の表面はビニルアルコール系ポリマーによりある程度親水化されているが、やはり親水性繊維に比して水和反応が進行しにくい問題がある。よって、セメント分野においてポゾランと称されている石灰と水との存在下で徐々に水硬性を発揮するシリカ質粉末を配合することにより、水和反応がゆっくりとすすんで緻密な構造が形成されることから、ポリプロピレン系繊維とマトリックスの界面をより強固に接着され、優れた補強効果を奏することが可能となる。よって、セメント成形体の製造に用いられるセメントスラリーにおけるシリカ質粉末配合量(固形分比)を35質量%以上とするのが好ましい。しかしながら、シリカ質粉末の含有量が多くなりすぎると、繊維とマトリックスの界面の接着性が高くなって、繊維の補強効果が奏されやすくなるものの、セメントマトリックスの機械的性能が低下することとなる。よって、シリカ質粉末のスラリーの配合量を60質量%以下、特に50質量%以下とするのが好ましい。またセメント成形体の機械的性能などの点からは、セメントとシリカ質粉末の含有質量比を10:6〜10:12程度とするのが好ましい。
なおシリカ質粉末には、珪石粉、フライアッシュ、高炉スラグ粉末、シリカヒューム、珪藻土などのシリカ分の含有率の高い無機粉末などが含まれる。なかでも石英型シリカがより好ましく、シリカ質粉末として少なくとも石英型シリカを用いるのが好ましい。もちろん、複数種のシリカ質粉末を併用してもかまわない。
【0014】
また必要に応じてさらに骨材を添加してもかまわないが、骨材を配合すると繊維とマトリックスの接着界面が減じて繊維の補強効果が十分に奏されなくなる。よって添加する骨材の配合量はセメントスラリー固形分の10質量%以下、特に0〜5質量%とするのがより好ましい。
またさらに適宜混和剤などを添加してもかまわない。たとえば空気連行剤(AE剤)、流動化剤、減水剤、増粘剤、保水剤撥水剤、膨張剤、硬化促進剤、凝結遅延剤などを併用してもかまわない。また軽量性を高めるために空気泡、発泡剤、軽量骨材を添加してもかまわない。さらにセメント成形体を湿式抄造法により製造する場合、抄き上げ性などを高めるために木材パルプなどを配合するのが好ましい。抄き上げ性などを改善する点からは木材パルプをセメントスラリー(固形分)の1質量%以上、特に4質量%以上とするのが好ましく、寸法安定性の点からは10質量%以下、特に8質量%以下とするのが好ましい。
また本発明の効果を損わない範囲であれば本発明で規定のポリプロピレン系繊維以外の繊維を添加してもかまわない。
【0015】
セメント、水、成分A及び成分Bを少なくとも混合することにより所望の水硬性スラリーが得られる。個体成分と水の配合質量比は適宜設定すればよいが、湿式抄造法を採用する場合には、均一分散性を確保する点から、個体成分と水の配合質量比を1/1〜1/30とするのが好ましい。また乾式成形法を採用する場合には、成形体の機械的性能や流動性を確保する点から、固体成分と水の配合質量比を100/15〜100/60、特に100/15〜100/40とするのが好ましい。該方法により得られたスラリーを用いて所望の成形体を得ればよい。
【0016】
成形体の製造方法は限定されず、たとえばコンクリートミキサー、スクリュー型混練機、ペラー型混練装置により混練して、型枠成形法、押出成形法、湿式抄造法、フローオン法、乾式法などにより成形すればよい。なお吹き付け塗装などに用いて硬化したものも本発明の成形体に包含される。なかでも本発明は抄造成形法を採用した場合により軽量で機械的性能などに優れた成形体(抄造体)を効率的に得ることができる。スラリーを抄造機で湿式抄造し、これをプレスして養生することにより所望の成形体が得られる。
本発明の成形体を得るための養生方法は特に限定されず、たとえば10〜50℃(好適には20〜30℃)の水中で10〜60日(好適には20〜40日)を養生する方法や、湿度90%以上(好適には飽和水蒸気下)、温度温度20〜80℃(好適には30〜50℃)の雰囲気下、6時間以上(好適には10〜30時間)の養生を行う方法が好適に挙げられる。またさらにオートクレーブ養生を行うことにより、迅速に高性能の成形体を得ることができる。オートクレーブ養生は、たとえば湿度90%以上(好適には飽和水蒸気下)、温度温度120〜180℃(好適には140〜170℃)の雰囲気下、1時間以上(好適には4〜48時間)の条件で行うのが好ましい。
【0017】
本発明により得られる成形体の比重は、ポリプロピレン系繊維とマトリックスとの接着性を高める点からは1.3g/cm3以上、特に1.4g/cm3以上、さらに1.5g/cm3以上であるのが好ましい。該成形体の曲げ強度は20MPa以上、特に23MPa以上であるのが好ましく、たわみは7mm以上、特に13mm以上であるのが好ましい。
【0018】
本発明の成形体は、スレ−ト板、パイプ類、壁パネル、床パネル、屋根板、間仕切り、道路舗装、土間、トンネルライニング、法面保護、コンクリ−ト工場製品等のすべてのセメント成形物(コンクリ−ト成形物を包含する)や2次製品とすることができる。また前述したセメント製品に限らずこれら以外の構造物、建築内外装部材、土木材料に応用使用することもできる。また左官用モルタルとして使用してもよく、機械用基礎、原子炉圧力容器、液化天然ガスの容器等として用いてもよい。
【0019】
以下更に本発明を実施例でもって説明するが、本発明は実施例により何等限定されるものではない。
【実施例】
[ビニルアルコール系ポリマーのケン化度 モル% 粘度平均重合度]
JIS−K6726に準じて測定した。
[繊度 dtex]
繊維状物の一定試長の質量を測定して見掛け繊度をn=5以上で測定し、平均値を求めた。なお、一定糸長の質量測定により繊度が測定できないもの(細径繊維)はバイブロスコ−プにより測定した。
[アルカリ液溶出率 質量%]
8mm長にカットした繊維(成分A)1gを、水酸化カリウム3.5g/l、水酸化ナトリウム0.9g/l、水酸化カルシウム0.4g/lからなるアルカリ水溶液100gに加えた後、耐圧密閉容器中に入れ、90℃×2時間加熱する。冷却後、溶液をろ紙上に濾取し十分水洗した後、105℃で16時間以上乾燥した後に残座の質量を測定する。初期の質量と残査の質量からアルカリ液溶出率(質量%)を算出した。
アルカリ液溶出率(質量%)=(1−[残査質量]/[初期質量])×100
【0020】
[比重 g/cm3
成形体を105℃×24時間乾燥した後、質量測定を行う。その後、硬化体の体積を測定し、質量と体積との比をとり比重とした。
[曲げ強度 MPa、 たわみ mm]
曲げ強度の測定はサンプルを長さ9cm、幅2.5cm、厚さ1cmに切出した後、25℃、85%RHの雰囲気下にて1週間以上放置した。強度の測定は、島津社製オートグラフAG−5000Bにかご型圧縮曲げ試験装置を設置し、JIS K6911に準じて測定した。
スパン5cm、速度0.5mm/分で破断したときの最大応力f(MPa)を読取り、下記に示す式で補正して比曲げ強度(MPa)とし、また破断したときのたわみをよみとった。なおFは比曲げ強度(MPa)、fは応力(MPa)、Lはスパン長(5cm)、Wはサンプル幅(2.5cm)、Hはサンプル厚み(1cm)、dは比重(g/cm3)を示す。
F=3/2・(f・L)/(W・H2・d2
[水中養生]
飽和水蒸気下25℃で28日間自然養生を行った。
[AC養生]
飽和水蒸気下40℃で24時間自然養生を行った後、飽和水蒸気下160℃×20時間のオートクレーブ処理を行った。
【0021】
[実施例、比較例1,2]
表1に示したような配合割合にてTAPPI抄造機で湿式抄造(固体成分に対する水配合割合2000質量%)し、50kg/cm2にてプレスした後、養生してセメント成形体を製造した。結果を表1に示す。
なお、セメントとして秩父小野田セメント製の普通ポルトランドセメント、シリカ質粉末として、α石英型シリカ(啓和炉材株式会社製の珪石粉 ブレーン値4000)及びシリカヒューム(エフアコ社製「エフアコシリカ」)、木材パルプとしてパルテック株式会社製「NUPK」(叩解CSF100ml)を用いた。またポリプロピレン系繊維として繊度5.0dtex、単繊維強度8.5cN/dtex、繊維長6mm、結晶融解温度172℃のポリプロピレン系繊維を用いた。さらに、ビニルアルコール系ポリマーとしてアルカリ液溶出率80質量%のPVA系樹脂(株式会社クラレ製「PVA117」 ケン化度98モル%、粘度平均重合度1700)を用い、固体分30質量%の水溶液を配合した。なお、表1の配合(セメントスラリー)は各成分(固形分)の質量%を示したものであり、Cはセメント、CHはシリカヒューム、PPはポリプロピレン系繊維、PVAはビニルアルコール系ポリマーを示す。
【0022】
【表1】
Figure 0005008798

Claims (4)

  1. セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、以下の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリーから得られる繊維補強セメント成形体。
    [アルカリ液溶出率の測定方法]
    ビニルアルコール系ポリマー1gを、水酸化カリウム3.5g/l、水酸化ナトリウム0.9g/l、水酸化カルシウム0.4g/lからなるアルカリ水溶液100gに加えた後、耐圧密閉容器中に入れ、90℃×2時間加熱する。冷却後、溶液をろ紙上に濾取し十分水洗後、105℃で16時間以上乾燥した後に残座の質量を測定し、初期の質量と残渣の質量からアルカリ液溶出率(質量%)を算出。
    アルカリ液溶出率(質量%)=(1−[残渣質量]/[初期質量])×100
  2. セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、請求項1記載の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリーから得られるオートクレーブ養生繊維補強セメント成形体。
  3. セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、請求項1記載の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリーを硬化させる繊維補強セメント成形体の製造方法。
  4. セメント35〜60質量%、シリカ質粉末35〜60質量%、単繊維繊度0.1〜10dtexのポリプロピレン系繊維0.1〜5質量%、請求項1記載の測定方法によるアルカリ液溶出率60%以上のビニルアルコール系ポリマー2〜5質量%を少なくとも配合してなるセメントスラリー。
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