JP5584421B2 - 二重構造織物及びその製法 - Google Patents
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Description
しかしながら、表面に付与した撥水剤の浸透が大きく、裏面にまで浸透したり、逆に、裏面側に付与した吸水剤の浸透が大きく、表面に浸透したりして、表面撥水/裏面吸水は困難であった。
[1]二層構造織物であって、該織物の一方の面は、熱可塑性合成繊維を配置し、かつ、該一方の面の撥水性は、JIS L−1092に準じて評価される点数評価が70〜100であり、該織物の他方の面は、セルロース繊維を含む糸条を配置し、かつ、JIS L−1907に従って評価される吸水性が30秒以下であることを特徴とする二層構造織物。
[2]前記熱可塑性合成繊維はポリエステル系合成繊維である、前記[1]に記載の二層構造織物。
さらに、本発明の二層構造織編地は、静電気がたまりにくく、耐久性に優れる帯電防止性能を有し、摩擦帯電圧特性は、500V以下が好ましく、より好ましくは400V以下であり、さらに洗濯繰返し10回においても、耐久性のある高い摩擦帯電圧特性を有している。
本発明において、洗濯繰返し10回後の撥水性は、60〜100点が好ましく、より好ましくは70〜90点である。洗濯繰返し10回後の吸水性は、40秒以下が好ましく、より好ましくは25秒以下である。洗濯繰返し10回後の摩擦帯電圧特性は、700V以下であり、より好ましくは、300〜500Vである。
本発明の製造方法による場合は、撥水剤の吸水面への浸透を防止しながら、二層構造織編地の撥水面に撥水剤を円滑に付与することができる。
本発明の二層構造織物は、少なくとも一方の面が、熱可塑性合成繊維を配置しており、他方の面は、セルロース繊維を含む糸条を配置している。本発明の二層構造織物としては、織物組織が、一般に“2重組織”、“重ね組織”などと称される二層構造をなす織物であれば何れでもよく、二層構造織物における織組織の形態は特に制限されない。
二層構造織地の織物形態は、例えば、平織物、2ウエイ平織物、1ウエイ平織物などの何れであってもよい。
二層構造織物に用いられる熱可塑性合成繊維としてはポリエステル系繊維の何れもが使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維などが挙げられる。ポリエステル系繊維としては、丸形断面繊維又は異形断面繊維の何れであってもよい。好ましくは異形断面繊維であり、異型度は3〜5である。
CF比=CFp/CFf 式(3)
{式中、CF比:経糸のカバーファクターと緯糸のカバーファクターとの比である。}。
本発明の二層構造織物では、少なくとも一方の面の熱可塑性合成繊維を配置している方に撥水剤を付与し、他方の面がセルロース繊維を含む糸条に吸水剤を付与するものである。
熱可塑性合成繊維を配置している面に付与される撥水剤としては、繊維に対して従来から用いられている撥水剤の何れもが使用でき、代表例としては、フッ素樹脂系撥水剤、シリコーン樹脂系撥水剤を挙げることができる。また、1種類の撥水剤のみを使用しても又は2種類以上の撥水剤を併用してもよい。なお、架橋剤として、例えば、メラミン系架橋剤やイソシアネート系架橋剤などを併用すると、耐久性がより高くなる。
撥水剤の付与量が少なすぎると、二層構造織物のもう片方の面に撥水性を十分に付与できにくくなり、一方撥水剤の付与量が多すぎると、二層構造織物の風合が硬くなり易い。
その際の撥水剤の溶液又は分散液中での濃度は、撥水剤の種類などに応じて調整し得るが、水溶液では一般的に1〜25質量%程度の濃度とすることが好ましい。
撥水剤の付与方法は特に制限されず、吸水剤の付与方法と同様に、例えば、フラットスクリーンプリント法、ロータリースクリーンプリント法、ローラープリント法、グラビアロール法、キスロール法、泡加工機による方法などであることができる。
乾燥は一般的には100〜120℃程度の温度で、また熱処理は、一般的には150〜180℃程度の温度で行うことが好ましい。
乾燥は一般的には100〜120℃程度の温度で、また熱処理は一般的には150〜180℃程度の温度で行うことが好ましい。
なお、撥水剤処理と吸水剤処理の手順はどちらを先に処理しても構わないが、好ましくは吸水剤処理を施した後に撥水剤処理を施した方がよい。
(1)織物の撥水性
洗濯前の織物(試料)及びJIS L−0217「103法」に準じて10回洗濯した後の試料について、JIS L−1092「スプレー法」に準じて、試料の撥水処理面の撥水性を点数評価した。
洗濯前の織物(試料)をJIS L−0217「103法」に準じて10回洗濯した後の試料について、JIS L−1907「滴下法」に従って、試料の吸水処理面の吸水性を評価した。
洗濯前の織物(試料)をJIS L−0217「103法」に準じて10回洗濯した後の試料の摩擦帯電圧を、JIS L−1096に従って測定した。測定環境は20℃40%RHであり、摩擦布に綿布を使用して、織物の経方向で摩擦帯電圧を測定した。
経糸にポリエチレンテレフタレート(丸断面)56T/114f(以下ポリエステル糸)、緯糸に銅アンモニアレーヨン56T/45fとポリエチレンテレフタレートFWT(異型断面:異型度3.9)56T/30fの仮撚・インターレース混繊糸112T/45f(以下セルロース複合糸)を用いて、片面が主としてポリエステル糸で構成され、もう片面が主としてセルロース複合糸で構成された5枚朱子織物(経2重織物)[生機密度:経糸密度280本/2.54cm]、緯糸密度120本/2.54cmを作製し、80℃で精練後、130℃で染色して乾燥した。
続いて、フッ素系撥水剤(明成化学株式会社製「アサヒガードGS570」)を8質量%をロータリープリント方式にて該織物のポリエステル糸から主としてなる面に約15g/m2の塗布量で塗布した。その後、120℃で乾燥した後、160℃で45秒の熱処理を行った。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物は、仕上がり密度が、経糸密度246本/2.54cm、緯糸密度134本/2.54cmであった。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物の性能を以下の表1に示す。
経糸にポリエチレンテレフタレート(丸断面)56T/114f(以下ポリエステル糸)、緯糸に銅アンモニアレーヨン44T/24fとポリエチレンテレフタレートSWS(異型断面:異型度3.8)42T/30fの仮撚・インターレース混繊糸86T/54f(以下セルロース複合糸)を用いて、片面が主としてポリエステル糸で構成され、もう片面が主としてセルロース複合糸で構成された綾織物[生機密度:経糸密度235本/2.54cm]、緯糸密度135本/2.54cmを作製した以外は、実施例1と同様に吸水剤処理、撥水剤処理を行った。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物は、仕上がり密度が、経糸密度258本/2.54cm、緯糸密度144本/2.54cmであった。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物の性能を以下の表1に示す。
経糸にポリエチレンテレフタレート(丸断面)56T/114f(以下ポリエステル糸)、緯糸に銅アンモニアレーヨン44T/24fとポリエチレンテレフタレートSWS(異型断面)42T/30fの仮撚・インターレース混繊糸86T/54f(以下セルロース複合糸)を用いて、片面が主としてポリエステル糸で構成され、もう片面が主としてセルロース複合糸で構成された綾織物[生機密度:経糸密度229本/2.54cm]、緯糸密度146本/2.54cmを作製した以外は、実施例1と同様に吸水剤処理及び撥水剤処理を行った。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物は、仕上がり密度が、経糸密度246本/2.54cm、緯糸密度156本/2.54cmであった。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物の性能を以下の表1に示す。
経糸にポリエチレンテレフタレート糸78T/24f、緯糸にポリエチレンテレフタレート糸78T/34fを用いて、平織物[生機密度:経糸密度118本/2.54cm、緯糸密度85本/2.54cmを作製し、80℃で精練後、120℃で染色して仕上げを行った後、実施例1と同様に吸水剤処理及び撥水剤処理を行った。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物は、仕上がり密度が、経糸密度125本/2.54cm、緯糸密度87本/2.54cmであった。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物の性能を以下の表1に示す。
経糸にポリエチレンテレフタレート(丸断面)56T/114f(以下ポリエステル糸)、緯糸に銅アンモニアレーヨン56T/45fとポリエチレンテレフタレートFWT(異型断面)56T/30fの仮撚・インターレース混繊糸112T/45f(以下セルロース複合糸)を用いて、片面が主としてポリエステル糸で構成され、もう片面が主としてセルロース複合糸で構成された5枚朱子織物(経2重織物)[生機密度:経糸密度280本/2.54cm]、緯糸密度120本/2.54cmを作製し、80℃で精練後、130℃で染色して乾燥した。
次に、該織物のセルロース複合糸から主としてなる面に、吸水剤(高松油脂株式会社製「SR−1000:ポリエステル系樹脂」を8質量%含有する吸水処理用水溶液を、キスロール方式で、約38g/m2の塗布量で塗布した。その後、120℃で乾燥した後、150℃で45秒の熱処理を行った。
上記で得られた吸水処理後の該織物は、仕上がり密度が、経糸密度246本/2.54cm、緯糸密度134本/2.54cmであった。
上記で得られた吸水・撥水処理後の該織物の性能を以下の表1に示す。
経糸にポリエチレンテレフタレート(丸断面)56T/114f(以下ポリエステル糸)、緯糸に銅アンモニアレーヨン56T/45fとポリエチレンテレフタレートFWT(異型断面)56T/30fの仮撚・インターレース混繊糸112T/45f(以下セルロース複合糸)を用いて、片面が主としてポリエステル糸で構成され、もう片面が主としてセルロース複合糸で構成された5枚朱子織物(経2重織物)[生機密度:経糸密度280本/2.54cm]、緯糸密度120本/2.54cmを作製し、80℃で精練後、130℃で染色して乾燥した。
次に、フッ素系撥水剤(明成化学株式会社製「アサヒガードGS570」)を8質量%をロータリープリント方式にて該織物のポリエステル糸から主としてなる面に約15g/m2の塗布量で塗布した。その後、120℃で乾燥した後、160℃で45秒の熱処理を行った。
上記で得られた撥水処理後の該織物は、仕上がり密度が、経糸密度246本/2.54cm、緯糸密度134本/2.54cmであった。
上記で得られた撥水処理後の該織物の性能を以下の表1に示す。
しかも、静電気がたまりにくく、帯電防止性に優れている。
それに対して、比較例1〜3の織物は、洗濯前においてもその吸水性能が実施例1〜3の二層構造織物に比較して著しく劣っており、しかも洗濯によってその吸水性が失われ易いことがわかる。また、比較例1及び3の織物は、実施例1〜3の二層構造織物に比較して摩擦帯電圧が著しく高く、静電気がたまり易いことがわかる。
Claims (4)
- 二層構造織物であって、該織物の一方の面は、熱可塑性合成繊維を配置し、かつ、該一方の面の撥水性は、JIS L−0217「103法」に準じて10回洗濯した後にJIS L−1092「スプレー法」に準じて評価される点数評価が90〜100であり、ここで、該一方の面の洗濯前の撥水性は同評価で100点であり、該織物の他方の面は、銅アンモニアレーヨン繊維を含む仮撚・インターレース混繊糸を配置し、かつ、JIS L−0217「103法」に準じて10回洗濯した後にJIS L−1907「滴下法」に従って評価される吸水性が30秒以下であり、そして前記二層構造織物の経糸のカバーファクターと緯糸のカバーファクターの比が1.2〜1.8の範囲であることを特徴とする二層構造織物。
- 前記熱可塑性合成繊維はポリエステル系合成繊維である、請求項1に記載の二層構造織物。
- 前記二層構造織物は、緯二重組織、及び/又は経二重組織である、請求項1又は2に記載の二重構造織物。
- 前記熱可塑性合成繊維を配置する面に撥水剤を付与するステップ、及び前記銅アンモニアレーヨン繊維を含む仮撚・インターレース混繊糸を配置する面に吸水剤を付与するステップを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二層構造織物の製造方法。
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