JP2016124709A - 繊維補強水硬性成型体 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度と意匠性を兼ね備えた水硬性成型体を効率よく得る。特に、実質的にブリーディングが生じないような、自由水が少なく、流動性の低い水硬性組成物を用いた場合であっても、強度が高く、外観が良好な水硬性成型体を効率的に得る。【解決手段】下記(1)〜(3)の条件を全て満足する耐アルカリ性繊維を含む水硬性成型体。(1)繊維径が50μm以下であること(2)アスペクト比が50〜2000であること(3)座屈部が3個/本以下であること【選択図】図1

Description

本発明は、高強度で意匠性に優れた繊維補強水硬性成型体に関する。
水硬性材料を用いた成型品は、モルタル、コンクリートなどの建築資材や土木資材として、一般的に広く利用されており、このような成型体の強度を向上させるために、成形時に補強繊維を混入させることもまた広く行われている。
このような成型体を製造するには、水硬性材料や骨材、補強繊維や水を、ミキサー等で混合し、流動し得る状態にしてから、賦形するために型枠等へ流し込み、その後硬化させることが必要である。しかしながら、そのような流し込んで成型する方法は、繊維の分散は比較的容易であるが、成型に時間を要することが問題である。そのため、生産効率を向上するための様々な技術が検討されている。
例えば特許文献1には、水硬性無機物質と水からなる組成物を押出成形した後、振動押圧成形することを特徴とする水硬性無機質成形体の製造方法が開示されている。この文献には、水硬性無機物質、水、及び必要に応じて補強繊維、水溶性高分子物質、無機質充填材よりなる混合物を、スクリューを有する押出機で押出成形し、さらに得られた連続成形体を切断して、振動押圧成形用金型に供給し、振動押圧成形により所望の形状に成形して、水硬性無機質成形体を製造することが記載されている。
また、特許文献2には、混合工程、混練工程、押出工程、プレス工程によって通常行われる水硬性無機質成型体を製造する方法において、混練工程および押出工程を省略し、生産効率を向上させた水硬性無機質成型体の製造方法が記載されている。ここでは、繊維を用いている場合であっても、水、水硬性無機物質、及び耐アルカリ性繊維を含む状態の水硬性材料が特定の粒度分布を有するよう調整された混合工程を備えていれば、その後の混練工程および押出工程を省略できると記載されている。
特開平5−329823号公報 特開2014−195957号公報
しかしながら、特許文献1のように押出機を用いた押出工程を行う場合、繊維の分散は可能だが、混合、混練、押出、プレスと、工程が複雑であるばかりか、生産スピードが遅く、効率が悪いことが問題であった。
一方、特許文献2では、自由水が少なく流動しにくいような水硬性組成物を繊維補強するわけであるが、実際に混練工程や押出工程を省略すると、生産効率は良好であっても、繊維の分散性は悪く、またそのため水硬性組成物の成形性も不良であるため、良好な外観が得られず、また繊維の補強性能を効果的に得ることができないといった問題があり、更なる改良が望まれていた。
また、通常のモルタルやコンクリートのような、自由水も多く流動しやすいような水硬性組成物を繊維補強する場合、一般に、繊維の分散性及び成形性を向上させるには太い繊維が良好であるが、その場合、比表面積が小さいため繊維の接着性が低く補強性能は劣ることになり、これらはトレードオフの関係にあった。
上記のような状況に鑑み、本発明の目的は、強度と意匠性を兼ね備えた水硬性成型体を効率よく得ることであり、より特徴な点としては、実質的にブリーディングが生じないような、自由水が少なく、流動性の低い水硬性組成物を用いた場合であっても、強度が高く、外観が良好な水硬性成型体を効率的に得ることである。
なお、ブリーディングとは、JIS A 1123で規定されているものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、繊維径とアスペクト比がともに特定の範囲内にある耐アルカリ性繊維を用いることに加え、水硬性成型体中の耐アルカリ性繊維に存在する座屈部の数を少なく抑えることによって、強度と意匠性を兼ね備えた水硬性成型体を得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
下記(1)〜(3)の条件を全て満足する耐アルカリ性繊維を含む水硬性成型体である。
(1)繊維径が50μm以下であること
(2)アスペクト比が50〜2000であること
(3)座屈部が3個/本以下であること
本発明の水硬性成型体は、耐アルカリ性繊維を1mあたり1.0×10〜1.0×1011本含んでいてもよい。
本発明の水硬性組成物に含まれる耐アルカリ性繊維は、ポリビニルアルコール系繊維であってもよい。
本発明によれば、強度と意匠性を兼ね備えた水硬性成型体を効率よく得ることが可能となり、特に、実質的にブリーディングが生じないような、自由水が少なく、流動性の低い水硬性組成物を用いた場合であっても、強度が高く、外観が良好な水硬性成型体を効率的に得ることができる。
本発明に係る耐アルカリ性繊維に生じた座屈部の一例を示す電顕写真。
本発明は、繊維径が50μm、アスペクト比が50〜2000で、座屈部が3個/本以下である耐アルカリ性繊維を含む水硬性成型体である。
(耐アルカリ性繊維)
本発明における耐アルカリ性繊維の繊維径は、50μm以下であることが重要である。このことが、本発明で最も重要な点の一つである。繊維径が50μm以下であることによって、繊維の柔軟性が維持され、水硬性組成物が混合される際、抵抗になりくい。特に、実質的にブリーディングを生じないような、自由水が少なくしかも流動しにくい水硬性組成物の中においてはその効果が大きく、補強用繊維を混合することによる流動性の低減を効果的に抑えることができると考えられる。加えて繊維の比表面積が大きくなり、水硬性成型体との接着性が向上するため、効果的に水硬性成型体を補強することができる。繊維径が50μmより大きいと比表面積が小さくなるので接着性も低下し、また、繊維が剛直であるため、成型時の抵抗が大きくなり外観も補強性能も十分なものが得られない。
耐アルカリ性繊維の繊維径は、好ましくは1〜20μm、より好ましくは3〜15μmである。繊維径が小さすぎると、繊維同士が容易に絡まりやすくなるため、繊維の分散性が低下したり、水硬性組成物の成型性が悪化して、外観も補強性能も十分なものが得られない場合がある。
本発明における耐アルカリ性繊維のアスペクト比は、50〜2000であることが重要である。このことも、本発明で最も重要な点の一つである。アスペクト比がこの範囲にあると、繊維同士が絡まりにくく、水硬性組成物内で均一に分散させることが容易となるため、外観に優れるとともに強度の高い成型体を得ることができる。アスペクト比が50未満であると、繊維の補強性能が著しく低下する可能性がある。また、2000より大きいと、繊維が容易に絡まり、十分な補強性能が得られないおそれがある。耐アルカリ性繊維のアスペクト比は、好ましくは55〜1500、より好ましくは60〜1000である。
本発明における耐アルカリ性繊維に存在する座屈部の数は3個/本以下であることが重要である。このことも、本発明で最も重要な点の一つである。繊維を水硬性組成物と共に混練すると、ミキサーの攪拌因子(羽根形状、攪拌速度、攪拌時間等)、組成物中の骨材因子(大きさ、形状、比重、硬度等)等による物理的衝撃により、繊維に図1に示すような座屈が形成されることがある。座屈部は繊維の欠陥であり、その部分は繊維の引張強度が低くなるため、繊維の本数自体は十分に存在していても、実質的に補強に寄与する繊維の本数が少なくなったり、繊維1本1本の強度が弱くなったりするため、繊維による補強効果が得られにくくなるだけでなく、座屈部を中心に繊維が折れ曲がるために繊維同士が絡み合いやすくなり、繊維の均一分散を阻害することになる。座屈部の数が3個/本以下であると、繊維強度に与える影響は少なく、また繊維同士が絡まりにくく水硬性組成物内で均一に分散させることが容易となるため、十分な補強効率を得ることが可能となる。座屈部の数が3個/本より多いと、繊維の補強性能が著しく低下するばかりでなく、成型体の外観が損なわれるおそれがある。耐アルカリ性繊維の座屈部の数は、好ましくは2.5個/本以下、より好ましくは2個/本以下である。
なお、座屈部の数は、後述の方法で定量することができる。
本発明における耐アルカリ性繊維の本数は、繊維の種類、繊維径、アスペクト比などに応じて適宜設定することができるが、水硬性組成物の固形分に対して、1.0×10〜1.0×1011本/mであることが好ましく、より好ましくは5.0×10〜5.0×1010本/m、更に好ましくは7.0×10〜7.0×10本/mである。繊維の本数が1.0×10本/m未満であると、繊維による十分な補強効果が得られにくくなり、1.0×1011本/mより多くても、座屈部を有する繊維の本数が増えたり、1本あたりの座屈部の数が増加するなどして、顕著な補強性の向上は得られにくくなる。
本発明における耐アルカリ性繊維は、セメントアルカリに対する化学的な耐久性を有する限り、有機繊維であっても無機繊維であっても特に限定されないが、例えば、耐アルカリ性無機繊維としては、耐アルカリ性ガラス繊維、鋼繊維(スチールファイバー)、ステンレスファイバー、炭素繊維などが挙げられる。また、耐アルカリ性有機繊維としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称することがある)系繊維、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、など)、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10など)、アラミド繊維(特にパラアラミド繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール系繊維(PBO繊維)、アクリル繊維、レーヨン系繊維(ポリノジック繊維、溶剤紡糸セルロース繊維等)、ポリフェニレンサルファイド繊維(PPS繊維)、ポリエーテルエーテルケトン繊維(PEEK繊維)、等の各種耐アルカリ性繊維などが挙げられる。これらの耐アルカリ性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、耐アルカリ性ガラス繊維、炭素繊維、PVA系繊維、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、アクリル繊維、アラミド繊維などが、コンクリート補強性を有しつつ、低コストで製造できる観点から有利に使用できる。
水硬性成型体との接着性が良好であるため、特にPVA系繊維が好ましい。PVA系繊維は、PVA系重合体を溶剤に溶解した紡糸原液を用いて、湿式、乾湿式、乾式のいずれの方法によって紡糸されたものであってもよい。
本発明における耐アルカリ性繊維の繊維強度は特には限定されないが、5cN/dtex以上あることが好ましく、より好ましくは6cN/dtex以上、更に好ましくは7cN/dtex以上である。繊維強度の上限は、繊維の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、30cN/dtexであってもよい。
本発明の水硬性成型体は、上記耐アルカリ性繊維のほかに、水硬性物質、必要に応じて骨材、また、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の混和材料(混和材・混和剤)などからなる水硬性組成物を水とともに混練し、硬化させることによって得ることができる。
(水硬性物質)
本発明の水硬性成型体は、水硬性物質として、セメント、石膏などを含んでいることが好ましく、セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントが挙げられる。また、石膏としては、2水石膏、α型又はβ型半水石膏、無水石膏等が挙げられる。これらの水硬性物質は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の水硬性成型体は、必要に応じてさまざまな骨材が含まれていてもよく、例えば、細骨材、軽量骨材、粗骨材などが挙げられる。これらの骨材は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
細骨材としては、例えば、粒径が5mm以下である細かい粒子が挙げられる。このような粒径を満たす限り、特に限定されないが、例えば、川砂、山砂、海砂、砕砂、珪砂、鉱滓、ガラス砂、鉄砂、灰砂、炭酸カルシウム、人工砂等の砂類が挙げられる。
軽量骨材としては、火山砂利、膨張スラグ、炭殻などの天然軽量骨材、発泡真珠岩、発泡パーライト、発泡黒よう石、バーミキュライト、シラスバルーン等の人工軽量骨材が挙げられる。
粗骨材としては、粒径5mm以上のものが重量で85%以上含まれるものが含まれ、例えば、各種砂利類、人工骨材、再生骨材などを用いることができる。
本発明の水硬性成型体は、適宜、必要に応じて、各種混和剤、例えば、AE剤、流動化剤、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、保水剤、撥水剤、膨張剤、硬化促進剤、凝結遅延剤等を含んでいてもよい。これらの混和剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて含まれていてもよい。
本発明の水硬性成型体は、また、必要に応じて水溶性高分子物質が添加されていてもよい。水溶性高分子物質としては、たとえばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、リグニンスルホン酸塩などが挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されていてもよい。
(水硬性成型体の製造方法)
本発明の水硬性成型体の製造工程において、水硬性組成物は水と混合されるが、その際の水セメント比(W/C)は水硬性組成物の構成等に応じて適宜調整される。水セメント比(W/C)は20〜50%であることが好ましく、より好ましくは25〜45%、更に好ましくは30〜40%である。
水を含む水硬性組成物は、公知又は慣用のミキサーなどの混練手段によって混練される。また、構成される材料の混練順序についても、特に限定されることなく実施できるが、耐アルカリ性繊維への物理的衝撃をできるだけ小さく抑えるために、水硬性組成物の構成、水セメント比等に応じて、適宜調整される。
混練された水硬性組成物は、型枠へ投入されるが、必要に応じて、振動を加えられてもよい。振動は、通常型枠を振動させることにより行われる。振動を加えることによって、水硬性組成物が型枠内部において、より均等に分布することが可能となる。
振動させる際の振動数は、振動数10〜1000Hzであることが好ましく、より好ましくは20〜900Hz、更に好ましくは30〜800Hzである。振幅は、0.1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜18μm、更に好ましくは1〜15μmである。
型枠へ投入された水硬性組成物を、上面成形型やロールなどを用いてプレスにより押圧してもよい。
押圧時の圧力は、混練された水硬性組成物の状態、型枠の形態などによって適宜設定可能であるが、10〜150MPaであることが好ましく、より好ましくは20〜140MPa、更に好ましくは30〜130MPaである。圧力が10MPa未満であると材料の一体化が不十分となる可能性があり、圧力が150MPaを超えると骨材による押圧で繊維が傷つき、繊維強度が低下するだけでなく、型枠の耐久性も損なわれる場合がある。
押圧は、必要に応じて加熱を行いながら行ってもよい。加熱温度としては、40〜90℃程度が好ましく、より好ましくは45〜85℃、更に好ましくは50〜80℃である。
所定の形状に成型後は、100℃以下の雰囲気で養生を行うことによって水硬性組成物を硬化させることにより、水硬性成型体を得ることができる。
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[繊維径(μm)およびアスペクト比]
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
[成型性(意匠性)]
混合された状態の水硬性組成物を、長さ400mm、幅300mmの型枠に投入し、プレス成形した後の成型体から長さ約150mm、幅約50mmの試験片を切出して、形状から目視評価を実施した。目視評価は以下の5段階評価とした。
○:型枠と同一の形状をしている。
○△:型枠と同一の形状をしているが、表面に2mm以上の凹凸が2個未満存在している。
△:表面に2mm以上の凹凸が2〜4個存在している。
△×:表面に2mm以上の凹凸が5〜7個存在している。
×:表面に2mm以上の凹凸が8個以上存在している。
[曲げ強度]
成型性の評価と同じ方法で得られた成型体から、長さ約150mm、幅約50mmの短冊状の試験片を試験体1枚あたり3体切出した。その後、試験片の測定時の含水率を一定に調整するため、切出した試験片を40℃に調整した乾燥機にて72時間乾燥処理した。曲げ強度の測定方法は、JI S A 1408に準じて測定した。曲げ強度の測定条件は、島津社製オートグラフAG5000−Bにて、試験速度(戴荷ヘッドスピード)2mm/分、中央戴荷方式で曲げスパン100mmで測定した。3体の平均値を曲げ強度とした。
[繊維に存在する座屈部の数]
水硬性成型体を5%塩酸水溶液に20℃で浸漬し、セメントを溶解した後、繊維をピンセットで20本取りだした。その繊維を、青色染料を溶解した80℃の温水に30分浸漬後、できるだけ重ならないようにスライドガラス上に拡げた後、カバーガラスを載せ、評価サンプルとした。この評価サンプルを、図1に示すようにキーエンス社製ビデオマイクロスコープにて拡大観察し、全繊維に存在する座屈部の染色部分の個数をカウントした。その後、以下式にて、繊維1本あたりの座屈部量を算出した。
繊維に存在する座屈部(個/本)=カウントした座屈部の総個数(個)/20(本)
[実施例1]
(水硬性組成物の配合)
普通ポルトランドセメント:33質量%
6号珪砂:62質量%
シリカフューム(巴工業(株)製EFACO):4.5質量%
(耐アルカリ性繊維)
PVA1(繊維径7μm、アスペクト比571、繊維強度14cN/dtex): 0.5質量%
(混練工程)
まず普通ポルトランドセメント、6号珪砂、シリカフュームをミキサーに投入し、60rpmにて60秒間混練した後、水を前記普通ポルトランドセメントに対し30質量%添加し、さらに60秒間混練した。最後に補強繊維を投入し60秒間混練した。
(成型工程)
上記混練工程によって得られた混練物を、300mm×300mmの型枠に、厚み40mm目標で充てんした。
型枠に充てんされた混練物に対し、振動プレス機を用いて、40MPaの圧力で振動数200Hz、振幅1μmの振動を与えながらプレスした。
被プレス物を脱型後、プラスチックフィルムで水分が蒸発しないよう密閉した状態で20℃2週間自然養生を実施した。
得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[実施例2]
耐アルカリ性繊維として、PVA1に代えて、PVA2(繊維径14μm、アスペクト比429、繊維強度14cN/dtex)を用いる以外は、実施例1と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[実施例3]
6号珪砂の配合量を61.7質量%とし、耐アルカリ性繊維としてPVA3(繊維径27μm、アスペクト比222、繊維強度14cN/dtex)を0.8質量%用いる以外は、実施例1と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[実施例4]
6号珪砂の配合量を62.3質量%とし、耐アルカリ性繊維としてPVA1(繊維径7μm、アスペクト比571、繊維強度14cN/dtex)を0.2質量%を用いる以外は、実施例1と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[実施例5]
耐アルカリ性繊維として、PVA1に代えて、PP(繊維径14μm、アスペクト比429、繊維強度10.5cN/dtex)を用いる以外は、実施例1と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[比較例1]
耐アルカリ性繊維を用いない以外は、実施例1と同様にして水硬性成型体を得た。得られた水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[比較例2]
耐アルカリ性繊維として、PVA1に代えて、PVA4(繊維径60μm、アスペクト比200、繊維強度10cN/dtex)を用いる以外は、実施例1と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[比較例3]
耐アルカリ性繊維として、PVA1に代えて、PVA5(繊維径5μm、アスペクト比2400、繊維強度14cN/dtex)を用いる以外は、実施例1と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
[比較例4]
ミキサーの攪拌速度を200rpmとし、かつ最後に補強繊維を投入してから300秒間混練する以外は、実施例3と同様にして繊維補強水硬性成型体を得た。得られた繊維補強水硬性成型体の性質を、表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜5は、比較例1のように繊維が入っていない物と同等の成型性(意匠性)を有し、更に曲げ強度は比較例1よりも高かった。
比較例1は繊維を有していないため、成型体の強度が不十分であった。比較例2では、繊維径が50μmより大きいため、水硬性組成物の成型性が不良であるばかりか、繊維と水硬性成型体との接着性も不良であるため、曲げ強度も劣っていた。比較例3では、アスペクト比が2000より大きいため、繊維が絡まりやすく、結果として成型性も曲げ強度も劣ったものであった。比較例4では、ミキサーでの攪拌により繊維に多く座屈が形成されたため、繊維が絡まりやすく成型性が不良であるばかりか、繊維自身の強度も低減することから、曲げ強度も劣ったものであった。
本発明の水硬性成型体は、建築資材や土木資材向けとして使用可能であり、特に各種屋根材、壁面タイル、床面タイルなどとして有用に用いることができる。
1:耐アルカリ性繊維
2:座屈部

Claims (3)

  1. 下記(1)〜(3)の条件を全て満足する耐アルカリ性繊維を含む水硬性成型体。
    (1)繊維径が50μm以下であること
    (2)アスペクト比が50〜2000であること
    (3)座屈部が3個/本以下であること
  2. 前記耐アルカリ性繊維を1mあたり1.0×10〜1.0×1011本含む、請求項1に記載の水硬性成型体。
  3. 前記耐アルカリ性繊維がポリビニルアルコール系繊維である、請求項1または2に記載の水硬性成型体。
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