JP6528880B2 - 高強度セメントモルタル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度セメントモルタル組成物及び高強度セメントモルタル硬化体の製造方法に関する。
近年、構造部材の軽量化、鉄筋使用量の削減などの要求に伴い、200N/mm程度の圧縮強度が得られるような超高強度材料が提案されている。これらの材料では、セメント、ポゾラン質微粉末、骨材及び高性能減水剤が使用されており、熱養生によって超高強度化が図られている。また、これらに金属繊維や有機繊維を添加することによって、高いじん性やひび割れ抑制機能を付与することが提案されている(特許文献1〜3参照)。
例えば、上記の材料よりもさらに圧縮強度の高い材料が得られれば、柱部材の受け持つ荷重をさらに増大することができるため、構造物における柱の数を減らすことができ、その結果、構造物の居住空間をさらに広げられるとともに、設計や意匠性の自由度がさらに高まることが考えられる。
セメント組成物の高強度化を図る場合、その水/結合材比をより小さくする方法が一般的に執られるが、結合材の化学反応をより促進するために、蒸気養生などの加熱養生がとられることがある。また、更なる高強度化のため、セメントモルタル中の空隙を極力小さくする目的で、遠心成型や加圧成型が行われることもある。また、これらの方法を組み合わせた、オートクレーブ養生やヒートプレス養生をすることで、さらに高い圧縮強度が得られることが分かっている。
特開2001−181004号公報 特開2006−298679号公報 特開2007−126317号公報
しかしながら、これらの製造方法は、大掛かりな設備が必要であるため、容易に実施できるものではない。
そこで、本発明は、従来の技術にくらべて、大掛かりかつ特殊な製造設備を必要とせず、より高強度である高強度セメントモルタル組成物及び高強度セメントモルタル硬化体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、セメントと、無機質微粉末と、細骨材と、減水剤及び消泡剤とを組み合わせ、さらに、カットスチールウールを混入することによって、高強度化が実現できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、セメントと、シリカフューム、又は、シリカフューム及びフライアッシュの両方と、水と、細骨材と、減水剤と、消泡剤と、カットスチールウールとを含む高強度セメントモルタル組成物であって、前記セメントは、CSを10.0質量%〜70.0質量%及びCSを43.8質量%〜70.0質量%含有し、前記カットスチールウールは、直径が5μm〜30μm及び長さが50μm〜5.0mmである高強度セメントモルタル組成物を提供する。このような高強度セメントモルタル組成物は、従来にない、非常に高い圧縮強度を発現することができる。
本発明によれば、特殊な養生方法をとらなくとも、高い圧縮強度を持つ高強度セメントモルタル組成物及び高強度セメントモルタル硬化体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る高強度セメントモルタル組成物及びの高強度セメントモルタル硬化体の製造方法好適な実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(高強度セメントモルタル組成物)
本実施形態の高強度セメントモルタル組成物は、セメントと、無機質微粉末としてシリカフュームと、水と、細骨材と、減水剤と、消泡剤と、カットスチールウールとを含むものである。また、無機質微粉末として、更に、フライアッシュを含んでも良い。
セメントの鉱物組成は、CS量が10.0〜70.0質量%、CS量が10.0〜70.0質量%、CA量が7.0質量%以下、CAF量が5.0〜15.0質量%である。CS量は、好ましくは15.0〜68.0質量%、より好ましくは18.0〜66.0質量%であり、更に好ましくは20.0〜65.0質量%である。CS量が10.0質量%未満では圧縮強度が低くなる傾向があり、70.0質量%を超えると加熱養生後の圧縮強度が低くなる傾向がある。CS量は、好ましくは12.0〜65.0質量%、より好ましくは14.0〜62.0質量%であり、更に好ましくは15.0〜60.0質量%である。CS量が10.0質量%未満では、特に加熱養生後の圧縮強度が低くなる傾向がある。CA量は好ましくは7.0質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下であり、更に好ましくは4.0質量%以下である。CA量が5.0%を超えると、十分な流動性が得られなくなる。CAF量は、好ましくは6.0〜15.0質量%、より好ましくは7.0〜15.0質量%であり、更に好ましくは8.0〜14.5質量%である。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
セメントのブレーン比表面積は、好ましくは2500〜4800cm/g、より好ましくは2800〜4500cm/g、更に好ましくは3000〜4200cm/gであり、特に好ましくは3200〜3900cm/gである。セメントのブレーン比表面積が2500cm/g未満では高強度セメントモルタル組成物の強度が低くなる傾向があり、4800cm/gを超えると低水セメント比での流動性が低下する傾向にある。
本実施形態に係るセメントの製造にあたっては、通常のセメントと特に異なる操作を行う必要はない。上記セメントは、石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト等の原料の調合を目標とする鉱物組成に応じて変え、実機キルンで焼成した後、得られたクリンカーに石膏を加えて所定の粒度に粉砕することによって製造することができる。焼成するキルンには、一般的なNSPキルンやSPキルン等を使用することができ、粉砕には一般的なボールミル等の粉砕機が使用可能である。また、必要に応じて、2種以上のセメントを混合することもできる。
シリカフュームは、金属シリコン、フェロシリコン、電融ジルコニア等を製造する際に発生する排ガス中のダストを集塵して得られる副産物であり、主成分は、アルカリ溶液中で溶解する非晶質のSiOである。シリカフュームの平均粒子径は、好ましくは0.05〜2.0μm、より好ましくは0.10〜1.5μm、更に好ましくは0.18〜0.28μm、特に好ましくは0.20〜0.28μmである。このようなシリカフュームを用いることで、高強度セメントモルタル組成物の高い圧縮強度及び高い流動性を確保しやすくなる。
本実施形態の高強度セメントモルタル組成物において、セメントと無機質微粉末の合計量を基準として、シリカフュームを、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは7〜30質量%、更に好ましくは8〜27質量%、特に好ましくは9〜23質量%含む。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
フライアッシュは、石炭火力発電所で、微粉砕した石炭を燃焼し、溶融状態の灰となったものを集塵して得られる副産物である。フライアッシュの主成分は、SiOとAlである。フライアッシュのブレーン比表面積は、好ましくは、2500〜7000cm/gであり、より好ましくは3000〜6500cm/g、さらに好ましくは、3500〜6000cm/gであり、特に好ましくは、3500〜6000cm/gである。このようなフライアッシュを用いることで、高強度セメントモルタル組成物の高い圧縮強度及び高い流動性を確保しやすくなる。
本実施形態の高強度セメントモルタル組成物において、セメントと無機質微粉末の合計量を基準として、フライアッシュを好ましくは5〜45質量%、より好ましくは8〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは、12〜33質量%含む。以上の範囲であれば、高い圧縮強度および高い流動性を十分に確保できる。
細骨材としては、特に制限されないが、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、石灰石骨材、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等を使用することができる。なお、細骨材の粒度は、10mmふるいを全部通り、5mmふるいを85質量%以上通過するものが好ましい。
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、アミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等を使用することができる。低水セメント比での流動性確保の観点から、減水剤として、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を用いることが好ましく、ポリカルボン酸系の高性能減水剤を用いることがより好ましい。本実施形態に係る高強度セメントモルタル組成物は、セメントと無機質微粉末の合量100質量部に対して、減水剤を好ましくは1.0〜6.0質量部、より好ましくは1.5〜5.0質量部、更に好ましくは1.8〜4.5質量部、特に好ましくは2.2〜4.0質量部含む。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
また、セメントと無機質微粉末の合量100質量部に対して、水を好ましくは9〜20質量部、より好ましくは9.5〜18質量部、更に好ましくは10.0〜16質量部、特に好ましくは10.5〜14.0質量部含む。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
消泡剤としては、特殊非イオン配合型界面活性剤、ポリアルキレン誘導体、疎水性シリカ、ポリエーテル系等が挙げられる。この場合、セメントと無機質微粉末の合量100質量部に対して、消泡剤を好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.1〜1.0質量部、更に好ましくは0.2〜0.5質量部含む。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
カットスチールウールとはスチールウールを短く切断したものを意味する。またスチールウールとは鉄の非常に細い線を綿状に固めた物で、研磨用のたわしとして使用されることがある。
カットスチールウールの形状は、直径が好ましくは5μm〜30μm、直径の下限値はより好ましくは10μm、更に好ましくは15μm、特に好ましくは20μmである。長さは好ましくは50μm〜5.0mm、長さの上限値はより好ましくは4.0mm、更に好ましくは3.8mm、特に好ましくは3.5mmである。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
(高強度セメントモルタル硬化体の製造方法)
本実施形態の高強度セメントモルタル硬化体の製造方法は、上記高強度セメントモルタル組成物を、15〜25℃の気中で1日間〜5日間養生を行う前養生工程と、20〜60℃の水中で1日間〜7日間養生を行う一次養生工程と、80℃〜200℃の水中または気中で5日間〜21日間養生を行う二次養生工程とを含む。
前養生工程は、好ましくは16〜24℃、より好ましくは17〜23℃、更に好ましくは18〜22℃、特に好ましくは19〜21℃の気中で、好ましくは1.5〜4日間、より好ましくは2.0〜3.5日間、更に好ましくは2.5〜3.3日間養生を行う。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
一次養生工程は、好ましくは23〜55℃、より好ましくは25〜50℃、更に好ましくは28〜48℃、特に好ましくは30〜45℃の水中で、好ましくは1〜7日間、より好ましくは1.5〜6日間、更に好ましくは1.8〜5日間、特に好ましくは2.0〜4.5日間養生を行う。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
二次養生工程は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは83〜190℃、更に好ましくは85〜185℃、特に好ましくは90〜180℃の水中または気中で、好ましくは5〜21日間、より好ましくは5〜19日間、更に好ましくは6〜17日間、特に好ましくは7〜15日間養生を行う。水中の場合、温水、気中の場合、蒸気養生装置、オートクレーブ、乾燥機などが使用出来る。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
本実施形態の高強度セメントモルタル硬化体の製造方法は、上記高強度セメントモルタル組成物を、15〜25℃の気中で1日間〜5日間養生を行う前養生工程と、20〜60℃の水中で1日間〜7日間養生を行う一次養生工程と、80℃〜100℃の水中で5日間〜21日間養生を行う二次養生工程と、80℃〜200℃の気中で5日間〜21日間養生を行う三次養生工程で行っても良い。
前養生工程は、好ましくは16〜24℃、より好ましくは17〜23℃、更に好ましくは18〜22℃、特に好ましくは19〜21℃の気中で、好ましくは1.5〜4日間、より好ましくは2.0〜3.5日間、更に好ましくは2.5〜3.3日間養生を行う。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
一次養生工程は、好ましくは23〜55℃、より好ましくは25〜50℃、更に好ましくは28〜48℃、特に好ましくは30〜45℃の水中で、好ましくは1〜7日間、より好ましくは1.5〜6日間、更に好ましくは1.8〜5日間、特に好ましくは2.0〜4.5日間養生を行う。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
二次養生工程は、好ましくは80〜100℃、より好ましくは83〜99℃、更に好ましくは85〜99℃、特に好ましくは90〜98℃の水中で、好ましくは5〜21日間、より好ましくは5〜19日間、更に好ましくは6〜17日間、特に好ましくは7〜15日間養生を行う。
三次養生工程は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは83〜190℃、更に好ましくは85〜185℃、特に好ましくは90〜180℃の気中で、好ましくは5〜21日間、より好ましくは5〜19日間、更に好ましくは6〜17日間、特に好ましくは7〜15日間養生を行う。
水中の場合、温水、気中の場合、蒸気養生装置、オートクレーブ、乾燥機などが使用出来る。三次養生工程では、水中よりも気中養生の方が、強度増進の観点からより好ましい。以上の範囲であれば、高い圧縮強度及び高い流動性を十分に確保出来る。
以下、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[使用材料の準備]
実施例、参考例及び比較例のモルタル組成物を作製するために、以下に示す材料を準備した。
(1)セメント:
使用した3種類のセメントの化学成分を、JIS R 5202−2010「セメントの化学分析方法」に従い測定し、鉱物組成を下記のボーグ式により算出した。得られたセメントの鉱物組成を表1に示す。
S量=(4.07×CaO)−(7.60×SiO)−(6.72×Al)−(1.43×Fe)−(2.85×SO
S量=(2.87×SiO)−(0.754×CS)
A量=(2.65×Al)−(1.69×Fe
AF量=3.04×Fe
(2)シリカフューム
シリカフュームの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−950V2」)を用いて測定した粒子径分布より、粒子径−通過分積算%曲線を算出し、粒子径−通過分積算%曲線より通過分積算が50体積%となる粒子径を求めた。試料分散媒は0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、測定前に出力600Wのホモジナイザーにて10分間分散処理した。粒度分布の演算はMie散乱理論に従った。粒子屈折率は1.45−0.00i、溶媒屈折率は1.333とした。各粒度の通過分積算(体積%)を表2に示す。
(3)フライアッシュ:常磐火力産業社製、密度:2.27g/cm、比表面積:4680cm/g、45μmふるい残分:11.0%
(4)細骨材:砕砂:密度2.62g/cm、粗粒率2.80
(5)減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤(固形分濃度25質量%)
(6)消泡剤:特殊非イオン配合型界面活性剤
(7)金属微紛末:
カットスチールウール(A):日本スチールウール社製、直径20〜30μm、長さ0.1〜3mm、密度7.85g/cm
(8)鋼繊維(B):東京製綱社製、密度:7.87g/cm、繊維径0.16mm、繊維長13mm、アスペクト比81.25、引張強度2200N/mm
(9)練混ぜ水(W):上水道水
[高強度セメントモルタル組成物の作製]
高強度セメントモルタル組成物の作製を、表3の配合組成に基づき、以下の通りに行った。
セメント、シリカフューム、フライアッシュ及び消泡剤をモルタルミキサに加え、減水剤を含む練混ぜ水をミキサ内に投入して10分間撹拌し、モルタル組成物を作製した。なお、実施例1〜2では、金属微紛末を更に投入して、高強度セメントモルタル組成物を作製した。
[養生方法]
練り混ぜた高強度セメントモルタル組成物は、型枠に充填後、20℃、湿度約70%の気中で3日間養生(前養生工程)後、脱型し、40℃の水中で3日の一次養生の工程を実施した。その後、二次養生として、98℃の温水中で7日間養生し、更に、その後、三次養生として、7日間、98℃の乾燥機で乾燥させた。これらの養生を行い、高強度セメントモルタル硬化体を作製した。
[高強度セメントモルタル組成物の評価]
(1)フレッシュ性状
(試験方法)
比較例1〜2および実施例1〜2の配合で作製した高強度セメントモルタル組成物を用いて、フロー値を測定した。フロー値は、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に準じ、落下無しの条件で測定した。
(2)強度試験
JIS A 1132−2006「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に準じて5cm×10cmの円柱供試体を作製し、JIS A 1108−2006「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて高強度セメントモルタル硬化体の圧縮強度試験を実施した。
(評価結果)
表4に、フロー値および圧縮強度試験結果を示す。
カットスチールウールを使用しない比較例1および2の場合には、二次養生期間14日の時点で、289N/mmおよび308N/mmとなった。
カットスチールウールを2体積%混入した実施例1および2の場合には、7日強度が20〜30N/mm程度、14日強度が10〜50N/mm程度増大し、14日で300N/mm以上の高い圧縮強度が得られた。
実施例1と実施例4を比べると、シリカフューム量の減少により流動性が増大していることが分かる。この場合に強度の低下はなく、むしろ、若干増加する傾向にあった。これは、シリカフューム量の減少により流動性が増大することで、フレッシュモルタルの充填性が向上し、欠陥となるエントラップトエアが減少するためと推察される。
また、比較例3、比較例4、及び実施例4のように、細骨材量を低減することで流動性が改善された。
実施例3及び実施例4のように、シリカフューム量を変えた場合や、細骨材率を変えた場合においても、養生終了時には300N/mm以上の高い圧縮強度が得られた。
実施例5及び参考例6のように、セメントの鉱物組成を変えた場合、CA量が大きいほど、フロー値が小さくなった。また、養生期間の14日では、300N/mm程度の高い圧縮強度が得られた。
実施例4に対して、実施例7及び実施例8のようにセメントの一部にフライアッシュを置換すると、若干ながら流動性が改善された。フライアッシュが15質量%程度までであれば、強度の低下は小さかった。
実施例9及び実施例10のように、セメントと無機質微粉末(シリカフューム+フライアッシュ)の合計量に対する水の含有量を13質量%まで増やした場合であっても約300N/mmの高い圧縮強度が得られた。
また、表4に示すように、二次養生の水中養生後に三次養生の気中養生を施すと、非常に高い圧縮強度が得られた。セメントの養生は、一般的に水中で十分に水和させることが重要とされているが、実施例の結果からは、寧ろ、ある程度水中養生した後は気中養生した方が良いことが示唆されている。シリカフュームを低水セメント比で使用したセメントモルタルでは、シリカフュームの水和を十分に行わせることが重要で、気中養生の場合、硬化体の微細な空隙への蒸気の浸透などが起こり易く水和が進行するような現象が起こっていると推察される。

Claims (14)

  1. セメントと、シリカフューム、又は、シリカフューム及びフライアッシュの両方と、水と、細骨材と、減水剤と、消泡剤と、カットスチールウールとを含む高強度セメントモルタル組成物であって、
    前記セメントは、CSを10.0質量%〜70.0質量%及びCSを43.8質量%〜70.0質量%含有し、
    前記カットスチールウールは、直径が5μm〜30μm及び長さが50μm〜5.0mmであることを特徴とする高強度セメントモルタル組成物。
  2. 前記セメントのCS量が37.3質量%〜70.0質量%である、請求項1に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  3. 前記セメントのCA量が5.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  4. 前記セメントのCAF量が10.0質量%以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  5. 前記セメントのブレーン比表面積が2500〜4800cm/gである、請求項1〜4の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  6. 前記シリカフュームの平均粒子径が0.05μm〜2.0μmである、請求項1〜5の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  7. 前記セメントと前記シリカフュームと前記フライアッシュの合計量100質量%中に、前記シリカフュームを5質量%〜35質量%含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  8. 前記フライアッシュのブレーン比表面積が2500cm/g〜7000cm/gである、請求項1〜7の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  9. 前記セメントと前記シリカフュームと前記フライアッシュの合計量100質量%中に、前記フライアッシュを5質量%〜45質量%含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  10. 前記セメントと前記シリカフュームと前記フライアッシュの合計量100質量部に対して、水を9質量部〜20質量部含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  11. 前記セメントと前記シリカフュームと前記フライアッシュの合計量100質量部に対して、減水剤を1.0質量部〜6.0質量部含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  12. 前記セメントと前記シリカフュームと前記フライアッシュの合計量100質量部に対して、消泡剤を0.01質量部〜2.0質量部含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  13. 前記カットスチールウールを前記高強度セメントモルタル組成物に対して1.0体積%〜5.0体積%含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
  14. 20℃の気中で3日間養生を行う前養生、40℃の水中で3日間養生を行う一次養生、98℃の水中で7日間養生を行う二次養生、及び、98℃の乾燥機で7日間乾燥を行う三次養生によって作製される、前記高強度セメントモルタル組成物のセメントモルタル硬化体の圧縮強度が287N/mm以上である、請求項1〜13の何れか1項に記載の高強度セメントモルタル組成物。
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