JP6489569B1 - 地盤改良工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物を利用して地盤を固結させる地盤改良工法であって、より強度が高く、安定した固結地盤が得られる地盤改良工法を提供する。【解決手段】微生物を用いた地盤改良工法である。微生物と、カルシウム源と、シリカ成分と、アルカリ剤と、を地盤中に併存させて、地盤を中性〜アルカリ性雰囲気としつつ、微生物が生成する二酸化炭素とカルシウム源との反応により炭酸カルシウムを析出させるとともに、シリカ溶液を硬化させることにより、地盤を固結させる。【選択図】図4

Description

本発明は、地盤改良工法に関する。本発明は、詳しくは、微生物の代謝作用によって、地盤中に炭酸カルシウムを形成して地盤を固結させる地盤改良工法に関し、特には、地盤改良に際して有害物質が発生せず、そのため環境に悪影響を与えることがなく、しかも大掛かりな装置や有害な薬品を必要とせず、液状化対策工事、構造物基礎下の耐震補強、土砂や岩盤の止水等に適するものである。
従来から、構造物を構築する際の軟弱地盤の改良、地震の発生による地盤の液状化や斜面災害の防止、汚染地盤の浄化のため種々の工法による地盤改良が行われてきている。その中の一工法として、地盤への薬液注入による地盤改良があり、従来、地盤中に水ガラスやセメントを注入して、地盤を固結する方法が採用されていた。しかし、従来の方法では、注入材が強アルカリであったり、あるいは強酸を使用するなど、環境に悪影響を与えるおそれがあり、取り扱いにも注意が必要であって、また、使用できる地盤が限定されるという難点があった。これに対し、環境に配慮した地盤改良技術として、微生物や細菌の代謝を利用したバイオグラウトによる注入工法が提案されている。
従来技術として、例えば、特許文献1には、水ガラスと炭酸ガスとを一定比率で加圧して供給し、炭酸ガスの吸収された水ガラス水溶液を吐出して地盤注入薬液を得る製造方法が記載されている。また、特許文献2には、環境汚染の恐れのない地盤改良方法として、イースト菌や一般の土中に生息する微生物等を利用して有機物を代謝分解させ、その際に発生する炭酸ガスや代謝によるpHの変動を利用して地盤改良を図る方法が記載されている。
また、本願出願人も、特許文献3,4において、微生物代謝を利用した地盤改良工法を提案している。さらに、特許文献5には、地盤改良に使用可能な微生物についての記載があり、特許文献6には、この微生物を用いたセメント工法について記載されている。
最近では、上記のうち、微生物の中でも特に石灰化細菌を用いた地盤改良方法が、高い固結強度が得られる方法として注目されており、論文発表や特許出願もなされている。これは、石灰化細菌(ウレアーゼ産生微生物)には、1)培地を介して土に深く浸透することができる、2)栄養を与える限り地中での生存が可能、3)土の粒子表面上での炭酸塩の成長を引き起こして必要に応じて開放気孔率を維持することが可能、4)地盤を酸性化し難い、といった様々なメリットがあるためである。上記特許文献4〜6は、いずれも、石灰化細菌による有機物の代謝作用によって生成されたCOとカルシウムとの反応により、土粒子間にCaCOを沈殿させて地盤を強化することを原理とする地盤強化法である。
また、特許文献7には、a)石灰化細菌の1つ以上の溶液を土に導入する工程;b)土中で溶液を循環させる工程;c)石灰化細菌のための1つ以上の栄養溶液を土に導入し、次いで土中で溶液を循環させる工程;並びにd)脱窒細菌の1つ以上の溶液を土に導入し、次いで土中で溶液を循環させる工程;を含む土圧密方法が開示されている。特許文献8には、出発原料と、有効量の(i)ウレアーゼ産生微生物、(ii)尿素、および(iii)カルシウムイオンとを混合する段階を含む、透過性出発原料中で高強度セメントを形成する方法が記載され、土地改良には好適なこと等が開示されている。
一方、地盤への薬液注入による地盤改良における薬液の注入方法としては、加圧注入、減圧注入といった強制注入の他、重力や水頭差による自然浸透が知られている。例えば、特許文献7には、石灰化細菌を重力により注入することが記載されている。また、特許文献9には、有孔管(注入管)とその直上部に設けた栄養材の貯蔵タンクからなる注入井戸において、貯蔵タンクから地下水面までの水頭差に応じた圧力で、栄養材が有孔管に供給されることが記載されている。さらに、特許文献10には、砂を固化する性質を持つ微生物と当該微生物が砂を固化するのに必要な栄養源或いはカルシウム源を砂に混入する工程と、当該砂を用いて構造物を築造する工程を含む海岸・河岸保全工法が開示されている。
特公平07−057870号公報 特開2006−169940号公報 特許第4709201号公報(特開2009−155855号公報) 特許第5140879号公報 特許第5509471号公報(特開2011−45331号公報) 特許第5547444号公報(特開2011−45333号公報) 特表2008−508450号公報 特表2008−524096号公報 特開2011−218251号公報 特開2018−25032号公報
上述のように、微生物を利用した地盤改良技術については、種々検討されてきているがさらに、より強度が高く、安定した固結地盤が得られる地盤改良工法を実現することが望まれていた。
そこで本発明の目的は、微生物を利用して地盤を固結させる地盤改良工法であって、より強度が高く、安定した固結地盤が得られる地盤改良工法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、地盤中で、微生物が生成する二酸化炭素を用いて炭酸カルシウムを形成するとともに、地盤中にシリカ溶液を存在させることで、より強度が高く、安定した固結地盤が得られる地盤改良工法が実現できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、微生物を用いた地盤改良工法において、
前記微生物、カルシウム源および栄養分のいずれか1つまたは複数を有効成分とする注入液を、ジオテキスタイルを介して地盤中に供給して、該微生物が生成する二酸化炭素と該カルシウム源との反応により炭酸カルシウムを析出させることにより該地盤を固結させることを特徴とするものである。
本発明の地盤改良工法においては、前記注入液にアルカリ剤を含有させ、前記地盤を中性〜アルカリ性雰囲気とすることが好ましい。また、前記注入液にシリカ成分を含有させることが好ましい。
本発明の地盤改良工法においては、前記微生物が石灰化細菌であり、前記注入液に尿素を含有させることも好ましい。また、前記注入液にpH調整剤や、リン酸化合物、多価金属化合物を含有させることも好ましい。
本発明の地盤改良工法においては、前記地盤として、カルシウムが含まれる地盤を固結することができる。
本発明の地盤改良工法においては、前記注入液にゲル化調整剤を含有させることができ、この場合、前記ゲル化調整剤としては、無機塩、有機塩および酸からなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明の地盤改良工法においては、培養タンク内の培養液中で前記微生物を前記尿素および前記栄養源とともに培養して増殖させ、増殖した該微生物、該尿素および該栄養源を含む培養液を、前記注入液として用いることができる。この場合、前記微生物として施工現場付近で採取されたものを用い、増殖した該微生物、前記尿素および前記栄養源を含む培養液に、前記カルシウム源を添加して、前記注入液として用いることもできる。
本発明の地盤改良工法において、前記微生物の培養は、対数増殖期から静止期の範囲に達するまで行うことが好ましい。また、前記培養タンクとしては、前記培養液を加温できる加温手段を備えるものを用いることが好ましい。
本発明によれば、微生物を利用して地盤を固結させる地盤改良工法であって、より強度が高く、安定した固結地盤が得られる地盤改良工法を実現することが可能となった。
ハニカム形状の状態に展張させたセルグリッドを示す斜視図である。 セルグリッドの一配置形態を示す説明図である。 セルグリッドの他の配置形態を示す説明図である。 セルグリッドのさらに他の配置形態を示す説明図である。 ジオテキスタイルに対し固結材料を自重浸透させる実施形態を示す説明図である。 ジオテキスタイルを用いた本発明の他の実施形態を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明は、微生物を利用して地盤を固結する地盤改良工法である。また、コンクリート構造物の補修に用いることもできる。この場合、本発明は中性〜アルカリ性雰囲気の中で行われるため、酸によってコンクリートを劣化させるおそれはない。本発明においては、微生物と、カルシウム源と、シリカ成分と、アルカリ剤と、を地盤中に併存させて、地盤を中性〜アルカリ性雰囲気としつつ、微生物が生成する二酸化炭素とカルシウム源との反応により炭酸カルシウムを析出させるとともに、シリカ溶液を硬化させることにより、地盤を固結させる。
地盤中に、微生物と、カルシウム源とを併存させることにより、微生物が生成する二酸化炭素とカルシウム源のカルシウムとが反応して、地盤中で炭酸カルシウムが形成され、この炭酸カルシウムが地盤内に充填されることで、地盤が固結される。また、炭酸カルシウムが固まることにより、地盤中に並存させたシリカ成分中のシリカが結合して、地盤内の間隙中でゲル化し、より強固に地盤を固結することができるものとなる。
よって、このような本発明によれば、以下のような効果が得られる。
1)シリカ成分を導入することにより、強度発現を速くすることを可能にした。その結果、高強度に達する前に地表水や浸透水によりカルシウム等が逸出してしまって固結強度が得られなくなることを防止できる。
2)炭酸カルシウムのみによる固結体では酸性雨により溶解しやすいが、シリカを導入することによりCaCO・CaSiOの複合ゲルが形成されるため、酸性雨や酸性地下水に対して耐久性が極めて高くなる。
3)炭酸カルシウムのみによる固結体は透水性のため地下水による浸食を受けやすいが、シリカを導入することにより止水性を付与することもできるし、止水性をシリカ量によってコントロールすることができる。なぜならばシリカゲルが土粒子間に炭酸カルシウムをシリカと共に結合させるからである。
4)微生物として石灰化細菌を用いる場合、石灰化細菌による尿素の加水分解過程における尿素をシリカゲルによって拘束することにより尿素の臭いを低減し、かつ尿素の逸出を防ぐことができる。
5)微生物として石灰化細菌を用いる場合にその作用によって生じうるHS(硫化水素)を、アルカリ剤により中和することで、その発生を防ぐことができる。
通常、一般の土壌には、1g当り10〜10個程度の微生物が存在しており、そのような微生物の代表例として、細菌、真菌、藻類、原生動物、藻などが挙げられる。本発明において使用する微生物としては、代謝活動等により二酸化炭素を排出し得るものであればいかなるものであってもよい。また、改良する地盤中に存在する微生物を用いてもよく、改良する地盤中に存在しない微生物を外部から導入して用いてもよい。
微生物としては、例えば、石灰化細菌(尿素分解菌)を好適に用いることができる。石灰化細菌とは、広い意味では「炭酸塩を成長させるかまたはその成長を引き起こす細菌」と定義され、炭酸塩発生性細菌といわれるものであるが、狭い意味では「ウレアーゼ(urease;EC3.5.1.5)産生微生物」とも称され、石灰化細菌が出す酵素であるウレアーゼの触媒作用により、尿素を加水分解して二酸化炭素およびアンモニアを生じさせ、炭酸イオンを生成させるものである。本発明では、後者の狭義のものを指す。これにより、カルシウム源(カルシウムイオン)の存在によって炭酸カルシウムが形成される。炭酸カルシウムが析出されることにより石灰化が生ずるとともに、二酸化炭素によりシリカ成分がゲル化して、地盤が固結される。すなわちこの場合、シリカ成分は、尿素と、CaCl等のカルシウム源と、微生物由来のウレアーゼとの組み合わせにより固まるので、これらの成分を併用することで、シリカ成分も同時に固結する。また、シリカ成分とカルシウム源とが反応して、珪酸カルシウムを生成することにより固結させることも可能である。よってこの場合、地盤内にさらに尿素を併存させる。なお、特許文献10にも微生物とシリカコロイドとを併用した実施形態が開示されているが、特許文献10ではグルコースの微生物代謝により溶液中のpH値が低下し、これに伴ってシロキサン結合が生じて、シリカコロイドの網目状構造が形成されるものであり、これは、本発明における固化機構とは異なる。
石灰化細菌による尿素の加水分解と、この加水分解により生成する炭酸イオンとカルシウム源としての塩化カルシウムからのカルシウムイオンとの反応による石灰化(炭酸カルシウムの形成)は次式で表すことができる。
CO(NH+3HO → 2NH +2OH+CO
CO+HO ⇔ HCO
CO ⇔ HCO +H
HCO ⇔ CO 2−+H
CaCl ⇔ Ca2++2Cl
Ca2++CO 2− → CaCO
石灰化細菌としては、バチルス、スポロサルシナ、スポロラクトバチルス、クロストリジウム、デスルホトマキュルムを含む属の一覧から選択される細菌が挙げられるが、中でも、カルシウム耐性があり培養速度の速いスポロサルシナ・パストゥリが好ましい。なお、カルシウム耐性とは、カルシウム存在下でのウレアーゼ活性であり、例えば、石灰化細菌が石灰水または塩化カルシウム溶液中で生存でき、かつウレアーゼ活性を有するかを調べることによって確認できる。
また、微生物としては、好気性または嫌気性条件下で、多糖類等を栄養源とする代謝作用により二酸化炭素を排出するものを用いることもできる。このような微生物は、例えば、好気性条件では多糖類および酸素を栄養源として二酸化炭素および水を排出し、嫌気性条件では多糖類を栄養源として二酸化炭素およびエタノールを排出する。このような微生物としては、例えば、糖、脂肪族、乳酸のエーテル結合やエステル結合を加水分解する酵素をもつセルロース分解菌が挙げられ、土中微生物に限らず、必要に応じ、乳酸菌やイースト菌等、従来から食品に利用されているものを併用してもよい。
地中で活性化する微生物としては爆気、攪拌による空気を送る必要のない通性嫌気性菌である醗酵菌、腐敗菌を用いることもできる。酵母菌、乳酸菌等はアンモニア、メタン等の有毒物質を生成せず、有機物を用いて増殖し代謝を促進する働きを持つ。また、ラクトバチルス(乳酸菌)のような嫌気性菌は全て無胞子の嫌気性菌であって、酵素を消耗しない状態でアルコールや有機酸を生成する。好気性担子菌や、糸状菌は地表面から1〜10cm位にある土中の草木を腐らせる。また、ラクトバチルス菌群は表層、中層、下層に分布される。
本発明において、微生物を地盤中に導入して用いる場合には、工場や研究室等で培養され凍結乾燥した状態で保存されているものや培養液中で保存されているものを施工現場まで搬送して用いてもよく、または、施工現場で培養したものを用いてもよい。施工現場で培養したものを用いれば、細菌や微生物が高活性のピークにある最良の状態で使用することができ、搬送途中での管理を要しないなどのために施工コストの低減が図れる点で有利である。
本発明においては、微生物に代えて、酵素を用いることによっても、同様の効果を得ることができる。ここで用いる酵素としては、二酸化炭素を生成することができるものであればよい。このような酵素としては、上記ウレアーゼ、脱窒素酵素などを挙げることができる。また、このような酵素としては、微生物由来のものの他、植物由来のものを用いることもできる。
カルシウム源としては、カルシウムを含むものであれば液状または固体状のいずれでもよく、例えば、消石灰、スラグ、セメント水和物、塩化カルシウムや水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、カルシウムサッカロース等のカルシウム化合物などの1種または2種以上を用いることができる。カルシウム源としては、地盤中に存在するものを用いてもよく、また、後述する注入材の注入の前後に地盤中に導入するか、または、注入材に添加して地盤中に導入してもよい。すなわち、カルシウムが含まれる地盤を固結する場合には、新たにカルシウム源を地盤中に注入する必要はないが、カルシウム源が多く存在すれば微生物から排出される二酸化炭素の量に比例して炭酸カルシウムを多量に析出させることができるので、地盤中にさらにカルシウム源を補充してもよい。
ここで、地盤中にマグネシウム源が存在する場合には、微生物から排出された二酸化炭素がマグネシウムと反応して、炭酸マグネシウムを形成してもよい。炭酸マグネシウムも、炭酸カルシウムと同様に、地盤内に充填されることで、地盤を固結する機能を奏する。
また、本発明においては、地盤中にアルカリ剤を存在させることにより、地盤を中性〜アルカリ性雰囲気とすることができる。地盤を中性〜アルカリ性雰囲気、特にはアルカリ性雰囲気とすることで、固結強度の発現を速くすることができるとともに、地盤中で形成された炭酸カルシウムの溶解を抑制でき、耐久性を保持することができる。
アルカリ剤としては、水溶液がアルカリ性を呈する塩、多価金属の水酸化物、アルカリ性シリカ溶液、および、ベントナイト、スラグまたはセメントの懸濁液からなる群から選択される1種以上を用いることができる。また、石灰、ベントナイト、スラグおよびセメントからなる群から選択される1種以上を含みアルカリ性を呈する固結剤を用いることもできる。なお、本発明においては、カルシウム源またはシリカ成分がアルカリ性を呈する場合は、アルカリ性を呈するカルシウム源またはシリカ成分を、アルカリ剤としても用いることができる。
シリカ成分としては、シリカを含むものであればいずれのものであってもよく、水ガラス、活性シリカ、コロイダルシリカ、中性または酸性シリカゾルなどの他、水ガラス、コロイダルシリカ、スラグやセメント等のシリカ分が含まれる鉱物や、シリカヒュームなど粉体を用いることもできる。ここで、水ガラスとしては水ガラス水溶液、これに酸、塩あるいは有機系反応剤、例えば、グリオキザール等のアルデヒド化合物、酢酸エステル、ジエステル、トリエステル、炭酸エステル等のエステル類を加えた水ガラス水溶液、あるいは水ガラスのアルカリを酸で中和して得られる中性〜酸性シリカ溶液、活性シリカ、シリカコロイド、ホワイトカーボン水溶液等が挙げられる。これらの中で、アルカリ剤としても作用するシリカ成分としては、水ガラス、コロイダルシリカ、シリカ分が含まれる鉱物、シリカヒュームなどが挙げられる。
活性シリカは水ガラスをイオン交換樹脂、またはイオン交換膜で処理して水ガラス中のアルカリの一部または全部を除去して得られる。また、水ガラスと酸を混合してなる水ガラスをイオン交換樹脂、またはイオン交換膜に通過させ、水ガラス中の塩の一部または全部を脱塩して得られたものであってもよい。
なお、活性シリカのシリカ濃度が低い場合には、加熱濃縮したり、コロイダルシリカ、水ガラス等を適宜に添加してシリカ濃度を上げることもできる。活性シリカのシリカ濃度は1〜8質量%、pHは2〜4である。
このような活性シリカはシリカ粒径が1〜5nmに成長して数日後にはゲル化するが、苛性アルカリや水ガラス等のアルカリを加えてアルカリ側のpHにすることにより安定化される。この安定化した活性シリカに現場で酸や塩を加えてアルカリpHやゲル化時間を調整し、使用に供される。
また、活性シリカに酸を加え、可使時間を長くしてゲル化時間を調整することもできる。この種の活性シリカはゲル化時間を長く調整できるのみならず、低濃度でもゲル化し、かつ、固結後の耐久性にも優れている。粘度は水とほとんど変わらず、2cps以下である。
コロイダルシリカは上述の活性シリカを加熱することにより濃縮増粒し、pHを9〜10に調整して安定化して得られるが、pHが酸性〜中性であってもよい。このようにして得られたコロイダルシリカはシリカ濃度が5%以上、通常は30%程度であり、また粒径が5〜20nmであるが、それ以上、例えば、100nm程度まで大きくすることができる。
酸性〜中性シリカゾルは水ガラスを過剰またはほぼ当量の酸と混合し、水ガラス中のアルカリ分を中和除去して得られるpHが酸性ないしは5〜9程度の中性シリカ水溶液である。これは通常、注入現場で調製され、通常の地盤注入ではシリカ濃度では3〜10質量%で使用される。このシリカゾルもまたアルカリが除去されているため、耐久性に優れ、シリカ濃度が1質量%以下でもゲル化する。粘度は水とほとんど同じであり、2cps以下である。
本発明において、微生物、尿素、カルシウム源、アルカリ剤およびシリカ成分等の各成分を地盤中に導入する場合には、各成分を別個に注入してもよく、混合した状態で注入してもよい。さらに、これらの成分を前後に時間差をおいて注入してもよい。また、本発明において、微生物を地盤中に導入して用いる場合には、例えば、微生物、尿素および栄養源を含む注入液を、地盤に注入することができる。
栄養源は、微生物に栄養を与えて生存させ、さらには、増殖させるために用いる。栄養源としては、グルコースやフラクトースなどの単糖類、スクロース、マルトースまたはガラクトースなどの二糖類、その他のオリゴ糖、デンプンやマルトデキストリンなどの多糖類、その他糖類、有機物、塩類などが挙げられ、これらのうちの1種以上を用いることができる。微生物によって、あるいは栄養源によって代謝速度が変化するため、これらの条件は、施工地盤に応じて選択する必要がある。
尿素はCO(NHからなり、加水分解により二酸化炭素(炭酸イオンCO 2−)を生成するので、炭酸イオン供給源として用いることができる。注入に用いる尿素としては、具体的には例えば、市販されている尿素培地を用いることができる。
本発明においては、例えば、培養タンク内の培養液中で、微生物を尿素および栄養源とともに培養して増殖させ、増殖した微生物、尿素および栄養源を含む培養液を、注入液として用いることができる。この微生物の培養は、工場等で行ってもよく、施工現場で行ってもよい。
培養タンクとしては、既存の培養槽を用いればよく、攪拌翼や、培養液の温度調整機能を備えているものが好ましい。培養タンクは1つでもいいが、複数設置することが好ましい。複数設置することにより、故障時の切り替えや、きめ細やかな培養が可能となる。稼働中の培養タンク中には微生物と尿素と栄養源とを含む培養液があり、ここで微生物を培養して増殖する。培養液等の培養条件や培養方法は、常法に従い決定することができる。
特には、培養タンクとして、培養液を加温できる加温手段を備えるものを用いることが好ましい。微生物の中でも石灰化細菌の培養は、特に培養温度が重要であるため、施工現場で培養する場合でも、培養液の温度を20〜37℃にしておくことが好ましい。よって、外気温が20℃以下となる冬場等でも上記範囲の温度が保てるよう、培養タンクは、培養液を加温できる加温手段を備えたものであることが好ましい。
加温手段としては、例えば、オイルヒーター、蛇管式ヒーター、投げ込み式ヒーター、シート式ヒーター、リボン式ヒーターが挙げられる。なお、加温は、培養タンクだけでなく、配管や注入管接続部に対しても行うことにより、加温効果を挙げることができる。
また、培養タンクにおける微生物の培養は、対数増殖期から静止期の範囲に達するまで行うことが好ましい。この範囲まで培養した微生物を用いることで、微生物が高活性のピークにある最良の状態で使用することができる。
本発明においては、微生物として施工現場付近で採取されたものを用いて、これを培養タンク内で増殖させ、増殖した微生物、尿素および栄養源を含む培養液に、さらにカルシウム源およびシリカ溶液を添加して、注入液として用いることもできる。
上記注入液には、さらに、pH調整剤を配合してもよい。これにより、地盤のpHを適切に調整して、微生物の活性化を図ったり、シリカの硬化速度を速くすることができる。
また、上記注入液には、リン酸化合物を配合することも好ましい。リン酸化合物はpH調整剤としての機能を奏するので、これによりシリカ溶液を固めることができ、また、加水分解が効率的に行えるpHに調節することもできる。さらに、リン酸は微生物の成長に望ましく、カルシウム源と反応して不溶性のリン酸カルシウムの強固な固結体を形成するので効果的である。
さらに、上記注入液には、上記シリカ成分および/または多価金属化合物を配合することもできる。すなわち、微生物とシリカ成分とは、同時に地盤に注入してもよく、別個に注入してもよい。また、多価金属化合物は、二酸化炭素と反応して不溶性の多価金属炭酸塩を生成し、シリカ化合物のゲル化反応を調整し、かつ、固結物の強度を増強する機能を有する。このような多価金属化合物としては、例えば、塩化カルシウム等のカルシウム塩や塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、鉄の塩、アルミニウム塩などの多価金属塩、カルシウム水酸化物等の多価金属の水酸化物または酸化物、微粒子石灰、微粒子セメント、微粒子スラグ、石膏および炭酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。また、地盤中に含まれる貝殻等のカルシウムや石灰等も反応に影響する。
さらにまた、上記注入液には、さらに、シリカ溶液のゲル化を調整するためのゲル化調整剤を含有させることもできる。このようなゲル化調整剤としては、例えば、塩化カルシウムおよび/または塩化ナトリウム等の無機塩、有機塩、および、微量の酸からなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明においてはさらに、二酸化炭素、炭酸水および酸素のうちから選択される一種以上を用いて、微生物の代謝作用の調整、および、シリカ溶液のゲル化時間の調整を行うことができる。
なお、本発明において、地盤における中性〜アルカリ性雰囲気は、上記注入液の注入前に形成してもよく、注入後に形成してもよく、または、注入と同時に形成してもよい。すなわち、注入液の注入前または後に別途アルカリ剤を用いるなどして地盤のpHを調整しておいてもよく、注入液にpH調整剤を混合するなどにより注入液の注入と同時に地盤をアルカリ雰囲気にするものであってもよい。
本発明においては、微生物と、カルシウム源と、シリカ成分と、アルカリ剤と、を地盤中に併存させて、地盤を中性〜アルカリ性雰囲気としつつ、微生物が生成する二酸化炭素とカルシウム源との反応により炭酸カルシウムを析出させるとともに、シリカ溶液を硬化させるものであればよいので、微生物等の固結材料については、いずれも、地盤中に既に存在するものを用いてもよく、注入材等により地盤中に新たに導入して用いてもよく、地盤中に既に存在するものにさらに加えて用いてもよく、特に制限はない。なお、本発明において、注入材の注入は、地盤あるいはコンクリート構造物への加圧注入、自然流下による浸透土との混合でもよく、従来の地盤注入技術を用いて行えばよく、特に限定されない。
本発明の地盤改良工法は、液状化対策が必要な地盤、止水が必要な地盤、強度増加が必要な軟弱地盤などに適用することができる。
また、本発明の地盤改良工法は、ジオテキスタイル補強土工法において地盤としての盛土材を固結するために用いてもよい。ジオテキスタイルは、例えば、護岸河床の洗掘防止工法や、埋土または盛土面の補強土工法などに有用なシート状の繊維材料である。ジオテキスタイルが配置された地盤に本発明の地盤改良工法を適用することによって、固結材料がジオテキスタイルの繊維に沿って土層内を伝わり、ジオテキスタイルごと周囲の土層を固結して、地盤全体が均質に固まり、最終的に、施工していない場所と同じ環境になる。また、雨水が浸み込んで、乾燥を防ぎ、地盤内に雨水が供給される。この場合、注入材等の固結材料は、ジオテキスタイルに対し、噴射してもよく、塗布してもよく、また、流し入れるなどにより地盤中に導入してもよい。また、ジオテキスタイルで層状に補強した盛土に本発明の注入液を浸透または混合して補強土構造物を補強できる。この場合は盛土材が固結するまでは補強材によって外部からの荷重や水圧や洗堀に対して抵抗し、最終的には高強度の補修土構造物として壁面として外力に耐えるとともに斜面に形成されて、背部の崩壊を抑えることができる。また、海岸や護岸の補強土壁として或いは浸食防止土構造に用いることができる。
なお、上記において、不織布のようなジオテキスタイルの土の補強効果の他に、水分の浸透性あるいは毛管現象による水分の浸潤性を利用することにより、またジオテキスタイルを構成する繊維と空隙の中で栄養分の存在と共に微生物のコロニーが形成されることを利用して、盛土への適用の外に地山の地盤改良を行うことができる。
地盤にはすでに地盤そのものに微生物が含まれていたり、あるいはカルシウム源が含まれていたり、栄養分が十分存在している場合がある。その場合、ジオテキスタイルの通水性を応用して地盤中にジオテキスタイルを介して微生物による固化に足りない成分を補給することによって供給して、微生物代謝を進行させて地盤強化を行うことができる。
以下に示す図1〜図6において、現地盤において微生物による固結に足りない成分をジオテキスタイルにあらかじめ浸潤させて地盤中に設置したり、あるいは図5のように地表裏から供給することにより、ジオテキスタイルの中で微生物のコロニーが成長してジオテキスタイルを中心にしてその周辺に微生物代謝が進行し、固結を拡大していくことが可能になる。また、微生物や栄養分を含む培養液を経時的に追加補給して、固結を拡大することができる。この場合、地中のジオテキスタイルは微生物の培養槽に似た機能を持つことになる。微生物が繊維に吸着されて栄養分が供給されて不織布の中がコロニーのようになる。
ジオテキスタイルとしては、例えば、セルグリッド(登録商標)として市販されている、樹脂を含浸させて透水性と剛性を付与した帯状不織布を蜂の巣(ハニカム)状に形成した樹脂含浸布製枠材なども挙げられる。図1に、施工時における、ハニカム形状の状態に展張させたセルグリッド1の斜視図を示す。セルグリッド1は、搬送時には畳んで縮小した状態で梱包でき、軽量であって取扱い性、作業性に優れるという利点を有する。セルグリッドを地盤内に配置することで、セル壁の横方向応力、周辺セルの受動抵抗および補充剤とセル壁との摩擦作用の効果により、地盤内の土粒子が拘束されるので、荷重が加わっても破壊を生じにくくすることができる。セルグリッド1は、具体的には例えば、図2に示すようにコンクリート11が敷設された河床に配設したり、図3に示すように水路のコンクリート内張り用型枠として配設したり、図4に示すように、シート状のジオテキスタイル2を埋設した埋土または盛土の法面に配設するなどの形態で用いることができる。具体的には、目的箇所にジオテキスタイルまたはセルグリッドを配置し、所望に応じ客土を行った後、本発明に係る固結材料を噴射、塗布等により地盤内に導入することで、地盤内のジオテキスタイル2またはセルグリッド1に沿って土層が固まって、より強固に地盤を固結することができる。また、図5に示すように、盛土の法面にジオテキスタイル2を配置し、その一端を固結材料3に浸漬することで、ジオテキスタイル2に対し固結材料3を自重浸透させ、さらにジオテキスタイル2を介して地盤内に固結材料3を浸透させることもできる。また、本発明の地盤改良工法は、微生物、カルシウム源および栄養分のいずれか1つまたは複数を有効成分とする注入液を、ジオテキスタイルを介して地盤中に供給して、微生物が生成する二酸化炭素とカルシウム源との反応により炭酸カルシウムを析出させることにより地盤を固結させるものであってもよい。この場合、図6に示すように、ジオテキスタイル2にあらかじめ微生物、カルシウム源、栄養分および必要に応じシリカ成分等を含む本発明に係る固結材料を含浸させておき地盤中に埋設するか、または、埋設後のジオテキスタイル2にかかる固結材料を浸透させて、周囲の地盤を固結する方法を用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。なお、本発明がこれらの例に制限されるものではない。
本発明において使用する微生物は、代謝活動等により二酸化炭素を排出するものであればよいので、以下の実験においては、微生物として石灰化細菌を用いた場合を想定し、石灰化細菌が生成する尿素分解酵素であるウレアーゼを微生物の代替として、尿素とともに用いた。
今回使用した材料は以下の通りである。ここで、塩化カルシウムおよび水酸化カルシウムがカルシウム源に相当し、5号水ガラスおよびコロイダルシリカがシリカ成分に相当し、水酸化カルシウム、5号水ガラスおよびコロイダルシリカはアルカリ剤としても作用する。
主剤:塩化カルシウム、水酸化カルシウム
反応剤:尿素、ウレアーゼ
添加剤:リン酸(75%リン酸液の10倍希釈液)、5号水ガラス、コロイダルシリカ、ヘキサメタリン酸ナトリウム
試験容器:φ1.5×17cm(30ml)の試験管
また、各材料の使用量は、水(イオン交換水)10mlに対する投入量であり、基本的な投入順序は以下のとおりである。
(1)水→(2)カルシウム源→(3)尿素→(4)ウレアーゼ→(5)添加剤
[試験1]
ウレアーゼと、尿素と、カルシウム源とを用いた固化の確認試験を行った。下記の表中に示すように、主剤:塩化カルシウム(2〜6g)に対し、反応剤:尿素(1〜10g)およびウレアーゼ(0.03g)をそれぞれ混合して、反応を確認した。投入順序は、(1)水、(2)塩化カルシウム、(3)尿素、(4)ウレアーゼの順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。
Figure 0006489569
ウレアーゼの溶解は、No.5以降は攪拌が必要であった。また、アンモニウムイオンの比色測定範囲は0〜20mg/lであるが、No.1〜8の測定結果は範囲をはるかに超えていた。No.9〜12に関しては比色範囲であったが、判定剤が全溶解しないため、判定不能であった。
上記実験の結果、最適と考えられる塩化カルシウム2gおよび尿素1gの組み合わせに基づき、これに添加剤を加えて以下の試験を行った。
[試験2−1]
添加剤としては、希釈リン酸液(0.5,1.0ml)、コロイダルシリカ・5号水ガラス(0.5ml)を用いた。投入順序は、(1)水、(2)塩化カルシウム、(3)尿素、(4)ウレアーゼ、(5)添加剤の順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。混合直後の観察結果を下記の表2に、2日後の析出物量、pHおよびアンモニウムイオン量を下記の表3に、29日後および2ヶ月後の観察結果を下記の表4に、それぞれ示す。
Figure 0006489569
Figure 0006489569
Figure 0006489569
上記表中に示す通り、混合直後から沈殿物が発生した。1週間経過後、沈殿物は固くなっていた。
[試験2−2]
試験2−1のうち、添加剤としての5号水ガラスの添加量を1,2,5mlに増やして、ウレアーゼを投入せずに、試験を行った。投入順序は、(1)水、(2)塩化カルシウム、(3)尿素、(4)5号水ガラスの順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。混合直後の観察結果を下記の表5に、1ヶ月後および3ヶ月後の観察結果を下記の表6に、それぞれ示す。
Figure 0006489569
Figure 0006489569
全ての配合について、ザラメ状沈殿物が発生した。
[試験2−3]
試験2−1のうち、添加剤としてのリン酸液の添加量を2,5mlに増やし、試験を行った。投入順序は、(1)水、(2)塩化カルシウム、(3)尿素、(4)ウレアーゼ、(5)リン酸液の順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。混合直後および3日後の観察結果を下記の表7に、1ヶ月後および3ヶ月後の観察結果を下記の表8に、それぞれ示す。
Figure 0006489569
Figure 0006489569
混合液のpHが1.1以下で酸度が高く、3日経過して沈殿物はほとんどなかった。
[試験2−4]
試験2−1のNo.1,2について、カルシウム源としての塩化カルシウムに代えて水酸化カルシウムを用い、添加剤としてのリン酸液を組み合わせた場合の試験を行った。また、添加剤を加えない塩化カルシウム使用配合について併せて試験を行った。投入順序は、(1)水、(2)水酸化カルシウム(塩化カルシウム)、(3)尿素、(4)ウレアーゼ、(5)リン酸液の順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。混合直後の観察結果を下記の表9に、2日後の析出物量、pHおよびアンモニウムイオン量を下記の表10に、1ヶ月後および2ヶ月後の観察結果を下記の表11に、それぞれ示す。なお、水酸化カルシウム量0.020gは溶解度付近の量である。
Figure 0006489569
Figure 0006489569
Figure 0006489569
水酸化カルシウムでも固結することが確認された。
[試験2−5]
試験2−4について、水酸化カルシウムを塩化カルシウムに戻し、添加剤を75%リン酸10倍希釈液からヘキサメタリン酸ナトリウムに変更して、試験を行った。投入順序は、(1)水、(2)塩化カルシウム、(3)尿素、(4)ウレアーゼ、(5)添加剤の順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。なお、ヘキサメタリン酸ナトリウムは潮解性を有するが、塊状の場合、常温では完全溶解に時間を有する。よって、水溶液として使用することとした。ヘキサメタリン酸ナトリウム液の作製は、200mlのメスフラスコにヘキサメタリン酸ナトリウム20gを入れ、お湯を入れて溶解させ、冷却後に水を加えて全量を200mlとした(0.2g/2ml)。また、水の総量を調整するために、ヘキサメタリン酸ナトリウム液に含まれる分の量(ヘキサメタリン酸ナトリウムの体積は無視する)を水の投入量から減らした。混合直後の観察結果を下記の表12に、3日後の析出物量、pHおよびアンモニウムイオン量を下記の表13に、6日後および19日後の観察結果を下記の表14に、それぞれ示す。
Figure 0006489569
*)添加剤の括弧内の数値はヘキサメタリン酸ナトリウムの量である。
Figure 0006489569
Figure 0006489569
塩化カルシウム2gとヘキサメタリン酸ナトリウム1gとの組み合わせは、6日後において硬い固結物の発生がみられ、添加剤量を増やしたヘキサメタリン酸ナトリウム2gの組み合わせも、19日後の時点で一部に硬い固結物の発生がみられた。
[試験2−6]
試験2−1のうち、コロイダルシリカの添加量を1,2,5mlに増やして、試験を行った。投入順序は、(1)水、(2)塩化カルシウム、(3)尿素、(4)ウレアーゼ、(5)コロイダルシリカの順であり、各々材料投入後に攪拌棒にて直ちに攪拌溶解させた。混合直後の観察結果を下記の表15に、1日後の析出物量、pHおよびアンモニウムイオン量を下記の表16に、7日後および28日後の観察結果を下記の表17に、それぞれ示す。
Figure 0006489569
Figure 0006489569
Figure 0006489569
7日後の観察において、コロイダルシリカ5mlの配合が、試験範囲の中で硬い固結物量が一番多かった。
以上より、試験範囲において水10mlに対し尿素1g、塩化カルシウム2gおよびウレアーゼ0.03gの組み合わせに、さらにコロイダルシリカ5mlを加えた配合で硬い固結物の発生量が多くみられることから、この配合が最良であることが確かめられた。
1 セルグリッド
2 ジオテキスタイル
3 固結材料
11 コンクリート

Claims (14)

  1. 微生物を用いた地盤改良工法において、
    前記微生物、カルシウム源および栄養分のいずれか1つまたは複数を有効成分とする注入液を、ジオテキスタイルを介して地盤中に供給して、該微生物が生成する二酸化炭素と該カルシウム源との反応により炭酸カルシウムを析出させることにより該地盤を固結させることを特徴とする地盤改良工法。
  2. 前記注入液にアルカリ剤を含有させ、前記地盤を中性〜アルカリ性雰囲気とする請求項1記載の地盤改良工法。
  3. 前記注入液にシリカ成分を含有させる請求項1または2記載の地盤改良工法。
  4. 前記微生物が石灰化細菌であり、前記注入液に尿素を含有させる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
  5. 前記注入液にpH調整剤を含有させる請求項1〜4のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
  6. 前記注入液にリン酸化合物を含有させる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
  7. 前記注入液に多価金属化合物を含有させる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
  8. 前記地盤として、カルシウムが含まれる地盤を固結する請求項1〜7のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
  9. 前記注入液にゲル化調整剤を含有させる請求項1〜8のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
  10. 前記ゲル化調整剤が、無機塩、有機塩および酸からなる群から選ばれる1種以上である請求項9記載の地盤改良工法。
  11. 培養タンク内の培養液中で前記微生物を前記尿素および前記栄養源とともに培養して増殖させ、増殖した該微生物、該尿素および該栄養源を含む培養液を、前記注入液として用いる請求項4記載の地盤改良工法。
  12. 前記微生物として施工現場付近で採取されたものを用い、増殖した該微生物、前記尿素および前記栄養源を含む培養液に、前記カルシウム源を添加して、前記注入液として用いる請求項11記載の地盤改良工法。
  13. 前記微生物の培養を、対数増殖期から静止期の範囲に達するまで行う請求項11または12記載の地盤改良工法。
  14. 前記培養タンクとして、前記培養液を加温できる加温手段を備えるものを用いる請求項11〜13のうちいずれか一項記載の地盤改良工法。
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