JP6961270B1 - 地盤固結材および地盤改良工法 - Google Patents

地盤固結材および地盤改良工法 Download PDF

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Abstract

【課題】水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して、大径の高強度固結体を形成させる地盤固結剤を提供する。【解決手段】モル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガラスと比表面積が4000cm2/g〜20000cm2/gの微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して地盤を固結する地盤固結材であって、該懸濁液の流動性は、(1)浸透性を保持する過程と、(2)その後急激に浸透性が低下して疑塑性状態になる過程と、(3)その後疑塑性状態を保持する過程と、(4)疑塑性が失われて固結状態になる過程とからなる。あるいは、該懸濁液の流動性は、浸透性を経て疑塑性を呈する1次ゲル化と、疑塑性を経て固化する2次ゲル化とを呈する。あるいは、該懸濁液の流動性は、浸透性を呈する流動性と、その後の疑塑性を呈して固化状態に至るまでの流動性とからなる。【選択図】図10

Description

本発明は水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して、大径の高強度固結体を形成することを目的とする地盤固結材および地盤改良工法に関するものである。
従来より、高強度地盤改良工法はセメント系注入液の高圧噴射によって地盤に高強度固結体を形成する高圧噴射工法が用いられている。
この工法は、地盤に大径の固結体を形成するのに優れているが、その原理は現存する土を高圧噴射によってセメント固結体と置き換えることにあり、その結果多量の排土を生じ、その処理のため大きな費用と環境上の問題を生ずるという欠点があった。
もし地盤注入によって現存する土はそのままで大きな土粒子の間隙に固化材を注入して固結体を形成することができるならばその有用性ははかり知れず、長年の当分野の夢であった。
また、従来より、微粒子化したセメントあるいはスラグ系セメントを地盤に注入して高強度を得る地盤改良工法も提案されている。セメント系グラウトなどの懸濁型グラウトは砂地盤を主体とする地盤中では、
(1) 目詰まりを起こしやすいこと
(2) 微粒子化すればする程電気的に再凝集してしまい実質的には粒径が大きくなりその結果浸透性は注入管周りに限定されること
(3) ブリーディングによって地盤中でセメントと配合水が分離されて一体化した固結体が形成されにくいこと
(4) ブリーディングにより注入量に対する固結体の固結率が小さいこと
等の問題があった。
このため一体化した大きな固結体の形成は困難であった。
また、微粒子化セメント懸濁液に分散剤を加えても地盤中に注入の過程でセメント粒子が配合水と分離してしまい、やはり大きな均質な固結体の形成は困難である。また、従来より、水ガラスとセメントを混合した懸濁液グラウトや水ガラスに消石灰とスラグを混合したグラウトが知られている。
しかし、いずれもゲル化時間が1分程度か10分程度でそれ以上ゲル化が長くすることが困難でかつ、耐久性が得られずやはり懸濁物が地盤中で分離し目詰まりを起こし、その浸透固結領域は注入管周りに限定されるか、目詰まりし、大きな均質な固結体を形成することは困難であった。
以下に先行技術について説明する。
従来より、水ガラスとセメントを混合した懸濁型グラウトはLWとして知られているがゲルタイムが1分程度で粘性が高く強度が低い、このため低モル比水ガラス(1号水ガラス)とスラグセメントを混合したグラウト(特許文献1)も開発されたが強度が高いがゲルタイムが10分程度で粘性が高く土砂注入には浸透性が悪いという問題があった。理由は、低モル比水ガラスはセメントや消石灰と混合すると粘度が大幅に上昇し、ゲルタイムが短くなる点とセメントや消石灰のカルシウム分が水ガラスと反応して消費されスラグとの反応が十分でないためスラグの潜在水硬性の発現に十分でないことによる。
さらにまた、低モル比水ガラス、ポゾランおよび消石灰を添加してなるグラウトも知られている。(特許文献2)しかし、低モル比水ガラスと消石灰を混合すると急激に粘度が増大し、粘度が50mPa・s以上になるため土粒子への浸透が困難になる。
すなわち、従来技術では低粘度で長いゲル化時間が可能で強度が大きいという条件を同時に満たすことが出来なかった。このため浸透性に優れ大きな固結体を有する固結体を形成することは不可能であった。
また本出願人は低モル比水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする高強度懸濁グラウトを開発した(特許文献3)。また、微粒子スラグと微粒子セメントに低モル比水ガラスを用いる懸濁型グラウトを開発した(特許文献4)。
特許文献4記載の発明は、低モル比水ガラスとセメントが反応してゲル化時間が短く粘度が高いという問題があった。
特許文献5記載の発明は、『フライアッシュ、高炉スラグ、下水焼却汚泥、カオリンのうちの少なくとも1種類を含むものに対し、カルシウム系粉体と水酸化物粉体、糖類、酸、アルカリ性溶液中で作用するキレート剤のうち少なくとも1つを混和することによって凝結時間を調整して凝結時間の異なるジオポリマー組成物を作製する。』と記載があり、これらの材料を組合せることで凝結時間を調整する特許であり、浸透性とゲル化を必要とする地盤固結材ではない。
特許文献6記載の発明は、水酸化ナトリウム溶液と石炭灰・高炉スラグの粉体を攪拌した後、Si源としてケイ酸Na溶液を使用せず、シリカの微粒子粉体を添加することにより、このシリカの微粒子粉体を徐々に溶解させ、前記ケイ酸Na溶液を使用した場合よりも凝結時間を延伸し、可使時間を確保する発明である。
よって、本件発明の溶液性シリカ成分を用いるものではなく、粉体のシリカ成分を用いたとしても本発明の地盤固結材としての効果は得られない。
特許文献7記載の発明は、アルミノシリケートとアルカリ溶液を混合して得られるジオポリマー前駆体をあらかじめ所定の温度以上に加温し、かつ所定時間保持する処理を施すことにより、凝結開始時間を大幅に遅延し、十分な可使時間を確保することを可能とした発明であるが、本発明の地盤固結材としての効果は維持できない。
特開昭48−078724号公報 特公平05−080426号公報 特許第2961484号公報 特許第2847337号公報 特開2014−028726号公報 特許第6058474号公報 特開2012−240852号公報
本発明者は従来懸濁型注入材で大径の固結体を形成することが困難である原因を研究し以下のように判明した。
1.溶液型シリカグラウトは浸透性が良いが強度は低い。
2.懸濁型グラウトは強度が高いが以下の問題がある。
2-1セメントを微粒子化するほど電気的に再凝集して地盤中で目詰まりを生じて浸透しにくい。
2-2水ガラスにセメントや消石灰を混合したグラウトは粘性が高く浸透性が悪い。十分な強度を得るにはゲル化時間を短くしないければならず長いゲル化時間にすると強度が大幅に低減するかゲル化の困難になる。特に低モル比水ガラスにセメントや消石灰を加えると粘度が大幅に上がりゲル化時間が短縮し、土粒子間への浸透が困難になる。
2-3分散剤を添加して、配合液において粒子の分散性を良くしても、ブリーディングが大きく地盤に注入する過程で分離してしまい均質な固結体が得られにくい。
2-4従来の水ガラスとセメントや消石灰を用いたゲル化時間が10分以内と短く浸透が悪く、土粒子間で目詰まりをおこしてしまうか脈状注入になって注入浸透範囲外へ逸脱してしまう。
さらに、ゲル化機能のない材料を使用した地盤固結材としては、セメント/ベントナイト懸濁液等が知られている。しかしながら、これらはいずれもゲル化を伴われないため脈状注入になって所定領域から逸脱してしまうため、砂質地盤で広範囲な固結体を得られない。
なお、少量の水ガラスや硫酸アルミニウムをセメントやベントナイトの懸濁液と混合して、10秒程度で可塑状を呈する可塑状グラウトの配合液は裏込材として使用されている。裏込材はトンネル工事やシールド工事において、セグメントの外側の余堀部分の空隙充填に用いることを目的としている。配合液が直ちに可塑状を呈する懸濁液であってセグメントなどの細かい間隙から漏出しないこと要求されているため本発明の浸透性を目的としているものとは全く異なるものである。
本発明者等は従来の懸濁型グラウトは以下の特性によって土砂地盤へ注入して大きな固結径の固結体の形成が困難であったことを見出した。
1.長いゲルタイムで低粘度の大きな強度を同時に得ることが困難。
2.ブリーディングが大きく地盤中で配合液と懸濁物が分離するための懸濁物の固結分同士が連らず一体化した固結体が得られにくい。
3.懸濁物を微細微粒子化しても電気的に再集合してしまい目詰まりを起こし広範囲を固結しない。
4.注入孔間隔を大きくとり、大きな1ステージ当たりの注入量を低圧で注入して大径の固結体を形成できるだけの浸透固結性を得る事が困難。
本願発明は、上述のような課題の解決を図ったものであり、水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して、大径の高強度固結体を形成することができる地盤固結材および地盤改良工法を提供することを目的としたものである。
本発明の地盤固化材は、モル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガラスと比表面積が4000cm/g〜20000cm/gの微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して地盤を固結する地盤固結材であって、該懸濁液の流動性は、(1)浸透性を保持する過程と、(2)その後急激に浸透性が低下して疑塑性状態になる過程と、(3)その後疑塑性状態を保持する過程と、(4)疑塑性が失われて固結状態になる過程とからなることを特徴とする。
また、モル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガラスと比表面積が4000cm/g〜20000cm/gの微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して地盤を固結する地盤固結材であって、該懸濁液の流動性は、浸透性を経て疑塑性を呈する1次ゲル化と、疑塑性を経て固化する2次ゲル化とを呈することを特徴とする。
また、モル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガラスと比表面積が4000cm/g〜20000cm/gの微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して地盤を固結する地盤固結材であって、該懸濁液の流動性は、浸透性を呈する流動性と、その後の疑塑性を呈して固化状態に至るまでの流動性とからなることを特徴とする。
ただし、上記浸透性を呈する流動性とは、Pロート法で10秒以下、並びにまたは粘度計で10mPa・s以下を呈する流動性をいう。また、疑塑性を呈する流動性とは浸透性を呈する流動状態からPロート法で10秒以上、並びにまたは粘度計で10mPa・s以上を呈し、攪拌すれば流動性を回復する状態をいう。また、固化状態とは攪拌しても流動性を回復しない状態をいう。
このような地盤固結材において、該懸濁液は、固化にいたるまでに、配合後10分以上の浸透性を呈する過程と、その後急激に増粘し疑塑性を呈する過程と、疑塑性が10分以上持続する過程と、疑塑性が失われて固化に至る過程とからなる場合が含まれる。
また、前記懸濁液として、水ガラスと微粒子スラグを有効成分とし、以下の特性を有する懸濁液を用いることができる。
1.水ガラス
1)水ガラスのモル比:1.5〜2.8
2)配合液中の該水ガラスのSiO2含有量:0.4〜30w/v%
2.微粒子スラグと注入液400L当りの配合量
1)微粒子スラグ:ブレーン値4000〜20000cm/g、平均粒径2μm〜10μm
2)配合量10kg〜250kg/懸濁液400L
また、前記懸濁液として、以下の1次ゲルタイムと2次ゲルタイムとからなる流動特性と固化特性を呈する懸濁液を用いることができる。
流動特性:
1)1次ゲルタイム(GT1):10分以上(20℃)
ただし、1次ゲルタイムとは、配合後、Pロート法でPロートにゲルが付着し始めた時間(流動性低下開始時間)をいう。また、1次ゲルタイムまでの時間を浸透性保持時間(T1)とし、その粘度はPロート法で10秒以下、または、ならびに粘度計で10mPa・s以下を呈するものとする。
2)2次ゲルタイム(GT2):10分以上(20℃)
ただし、2次ゲルタイムとは、1次ゲルタイム後、疑塑性状態を呈して、その粘性はPロート法で1次ゲルタイム以上並びに、または粘度計で1次ゲルタイム以上を呈し、最終的に攪拌しても流動性を回復せず固化に至るまでの時間をいう。
また、地盤に注入された懸濁液は、先行する浸透性を保持する懸濁液がゲル化に至って流動性が低減して疑塑性ゾーンを形成しながら、後続する浸透性を保持する懸濁液が該疑塑性ゾーンを乗り超えて浸透範囲を拡大してのち、疑塑性ゾーンを形成することを繰り返して固結領域を拡大することができる。
また、前記懸濁液は、(1)水ガラス量、(2)水ガラスのモル比、(3)スラグ配合量(4)スラグの比表面積によって、ゲルタイム、浸透性、強度、ブリーディングのいずれか或いは複数を調整して得ることができる。
また、前記懸濁液は、セメント、石膏、消石灰、ポゾラン、粘土、酸、アルカリ、塩、のいずれかまたは複数種を加えることによってゲル化や強度の調整を行うことができる。
前記懸濁液は、以下のいずれか或いは併用することにより該懸濁液中の該懸濁粒子の凝集を低減し、浸透性を向上せしめることができる。
(1)分散剤、界面活性剤或いは気泡剤を含む地盤固結材。
(2)該懸濁液はマイクロ・ナノバブルを含有する地盤固結材。
(3)該懸濁液に超音波を作用させる地盤固結材。
本発明の地盤改良工法は、上述のような地盤固結材としての懸濁液を地盤に注入して、地盤を固結することを特徴とする。
本発明の地盤改良工法として、モル比が1.5〜2.8の範囲にある水ガラスと比表面積が400cm2/g〜20000cm2/gの微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して地盤を固結するに当たり、該懸濁液は以下の組成とすることができる。
1.水ガラス
1)水ガラスのモル比;1.5〜2.8
2)配合液中の該水ガラスのSiO2含有量:0.4〜30w/v%
2.微粒子スラグと注入液400L当りの配合量
1)微粒子スラグ;ブレーン値4000〜20000cm2/g、平均粒径2μm〜10μm
2)配合量10kg〜250kg/懸濁液400L
該懸濁液の流動性は、浸透性を経て擬塑性を呈する1次ゲル化と、1次ゲル化と擬塑性を経て固化する2次ゲル化を呈するものとし、該懸濁液の地盤への注入は該1次ゲル化に至る時間以上の時間をかけて地盤に注入することができる。
このような地盤改良工法において、該懸濁液の注入は所定の注入領域において1ステージ当たりの注入量の注入時間よりも短い1次ゲルタイムの注入液を注入することにより、先行する注入液が疑塑性に至ったゲル化領域を乗り越えて後続する懸濁液がその領域外に流出して浸透範囲を拡大することを繰り返すことによって所定領域外への逸脱を低減しながら固結領域を拡大することができる。
その場合、1ステージ当たりの注入量をV、Vを注入するに要する注入時間T、該懸濁液の1次ゲルタイムをGT1とすると、該懸濁液の注入はTよりも短い1次ゲルタイムで連続注入して1ステージ当たりの注入量Vを注入するものとし、該懸濁液の注入は、先行する懸濁液による疑塑性領域を後続の注入液が乗越えてその外側に浸透することを連続的に繰り返して、1ステージ当たり注入量を注入して完了することができる。
また、本発明の地盤改良工法において、複数の注入固結体を隣接して連続した固結壁体または未固結領域を拘束した枠状固結体を形成するようにすることができる。
また、本発明の地盤改良工法において、地盤に非浸透性懸濁液の圧入と本発明の地盤固結材における懸濁液の注入を併用して地盤を固結することができる
この場合、地盤中に設置した排水パイプを通して非浸透性懸濁液の圧入によって生じた過剰間隙水圧を低減するか或いは地震時に生じる過剰間隙水圧を低減して、地盤変位を低減することができる。
また、本発明の地盤改良工法において、ベンダーエレメントを用いて現場土供試体の注入前後のP波速度、S波速度と一軸圧縮試験の関係を計測しておき、注入現場における注入前後のP波速度、S波速度から該注入材の浸透固結によって変動するP波速度またはS波速度を弾性波探査あるいは弾性速度検層、音響トモグラフィーによって測定することによって、浸透固結範囲と改良強度あるいは透水係数を推測することができる。
また、本発明の地盤改良工法において、室内試験において、以下の強度にかかわる要因のいずれかあるいは複数について、P波速度またはS波速度と一軸圧縮強さの関係を計測しておき、現場におけるP波速度またはS波速度の計測結果より、注入現場における改良効果と室内試験における強度にかかわる要因との関係を把握することにより、注入地盤の地盤改良効果を推定するとともに、注入現場における注入目的とする改良効果を得るためのA.配合設計、B.注入設計(注入間隔、充填率)と、C.注入効果の経時変化と注入効果の確認時期のいずれか或いは複数の関係を得ることができる。
(1)固結土の強度
(2)微粒子スラグの含有量
(3)固結土の経日強度
(4)注入率
また、現場における注入前後の貫入試験、コアサンプリングにより得た供試体のP波速度、S波速度と強度の関係、あるいはコアボーリングにより得た試料のシリカ量の分析から推定した強度と配合試験による固結供試体のP波速度、S波速度の関係から、現場におけるP波速度、S波速度の推定値からの強度分布並びに配合組成の分布の把握に役立てることができる。
本発明は水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする懸濁液を地盤に注入して、大径の高強度固結体を形成することを目的とする地盤固結材ならびに地盤改良工法に関するものであり、低モル比水ガラスと微粒子スラグを用いた懸濁型グラウトの流動特性を研究して、1次ゲルタイムと2次ゲルタイムを有する懸濁型グラウトを発明し、その特性を地盤注入に用いることにより、注入範囲外への逸脱を低減しながら大径の固結径を有する地盤改良工法を可能とした。
さらに、本発明に係るグラウトは、ブリーディングが少なく、かつブリーディングの上澄み液はシリカ溶液分がゲル化するため、微粒子スラグの固結分同士が連結し、固結体が一体化した地盤改良が可能になる。
さらに、本発明に係る懸濁液の強度は、スラグの含有量によって一義的に定まることを見出し、ベンダーエレメント法による室内試験における固結土の弾性波速度と注入現場における注入前後の弾性波速度試験により、注入地盤の非破壊試験による注入地盤における注入材の組成の推定と改良効果を推定することを可能にした。
Pロート法における流動性試験の説明図である。 スラグ懸濁液の流下試験結果のグラフである。 Pロートの流下時間と粘度計の粘度の関係(25℃)を示すグラフである。 表9、表10配合液の経過時間とP漏斗法による流下時間との関係を示すグラフである。 砂の粒径分布比較(使用砂:豊浦砂、7号珪砂、6号珪砂、5号珪砂)のグラフである。 サンドゲル(混合法)の一軸圧縮強さの経日変化を示すグラフである。 1次元浸透試験装置の説明図である。 浸透距離と3日後の変色状況を示す図(写真)である。 浸透距離と強度の関係を示すグラフである。 本発明に係る懸濁グラウトが疑塑性ゲルの領域を乗り越えて浸透固結領域を拡大する原理の説明図である。 固結体の形成の説明図である。 排水装置の縦断面図である。 排水による過剰間隙水圧の消散効果の説明図である。 マイクロ、ナノバブル製造装置の説明図である。 注入圧力と限界注入速度の例を示すグラフである。 各球状浸透と柱状浸透のグラフである。 浸透注入工法における球状浸透注入方式と球状浸透注入方式の例(a)〜(d)を示す図である。 浸透注入工法における球状浸透注入方式と球状浸透注入方式の例(e)、(f)を示す図である。 浸透注入工法における球状浸透注入方式と球状浸透注入方式の例(g)、(h)を示す図である。 本発明に係るグラウトで固結した豊浦砂供試体における一軸圧縮強さ(28日強度)とベンダーエレメント法によるS波速度の関係を示すグラフである。 養生日数とS波速度の関係の例を示すグラフである(ただし、配合No.28 (スラグ100kg、水ガラスB:モル比2.02、水ガラス量100L/懸濁液400L)、ゲルタイム(GT1)40分)。 弾性波速度の受信孔、発信孔の例を示す説明図である。 室内試験における現場土を用いた固結体の一軸圧縮強さとせん断波速度(Vs)の関係、現場土を用いたスラグ量と一軸圧縮強度の関係、および現場におけるせん断波速度の測定値からの現場の一軸圧縮強さの推定並びにスラグ量の推定の説明図である。
本発明は本出願人による特許文献3の発明をさらに発展せしめたものである。
本発明者は上記従来の懸濁グラウトの問題を以下の手法によって解決し長いゲルタイムで一体化した大きな固結径を有し、かつ注入液全体がゲル化することにより固結率の高い地盤改良を可能にしたものである。
本発明者は上記課題を解決すべく長年にわたって研究した結果、低モル比水ガラスと微粒子スラグを用いた懸濁型グラウトの流動特性を研究して、1次ゲルタイムと2次ゲルタイムを有する懸濁型グラウトを発明し、その特性を地盤注入に用いることにより注入範囲外への逸脱を低減しながら大径の固結径を有する地盤改良工法の開発に成功した。
さらに本グラウトはブリーディングが少なく、かつブリーディングの上澄み液はシリカ溶液分がゲル化するため、微粒子スラグの固結分同士が連結するため固結体が一体化した地盤改良が可能になる。
これは低モル比シリカ溶液中のアルカリ分が微粒子スラグの潜在水硬性を刺激して固化するとともに、低モル比シリカ溶液のシリカ分が微粒子スラグのカルシウム分と反応してゲル化するため、土砂中においてスラグによる固結部分の間をシリカのゲルが連結することにより一体化した固結体が形成するためと思われる。
このように本懸濁液はシリカ溶液を含むためスラグの粒径のみに頼ることなくシリカ溶液も地盤の固結にあずかるため、セメントやスラグを電気的に再凝集するほど微粒子化する必要がない。また、微粒子セメントや微粒子スラグセメント系に比べて浸透性に優れている点は、長いゲル化時間を示すゲル化機能とシリカ溶液による土粒子間への潤滑性によってスラグがシリカ溶液とともに浸透するためと思われる。
本発明に使用できる材料としては、焼成シリカ(ポゾラン、フライアッシュ、製紙スラッジ下水汚泥焼却灰、天然アルミノシリケート鉱物、火山灰、焼却灰等の焼成過程を経たシリカスラグと共に併用することもできる。
また、硬化促進剤(瞬結も可能)として、ポルトランドセメントやそれ以外の高炉セメント、早強セメント、アルミナセメントなども適用できる。また、石こうや消石灰、生石灰も硬化促進剤(瞬結も可能)として用いることができる。
ゲル化調整剤として、例えば、アルカリ金属の重炭酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、ピロリン酸塩、クエン酸、酒石酸およびリグニンスルホン酸ソーダ、ポリスルホン酸ソーダなどの遅延剤としての効果がある。カルボン酸塩(オキシカルボン酸、ポリヒドロキシカルボン酸など)、グルコン酸塩(グルコン酸ナトリウムなど)、キレート剤(ポリオール化合物など)、その他の酸、塩、アルカリなどゲル化の調整に用いることができる。
起泡剤として、アルミニウム粉体などを用いることができる。そのほかに発泡剤や界面活性剤や分散剤(花王株式会社製マイティ150など(マイティは花王株式会社の登録商標))も懸濁液の微粒子を分散して浸透性を向上するために用いることができる。
本発明は以上の懸濁型グラウトの浸透を解決して高強度の大きな固結径を得るという目的を達成するために以下の点に着目した
1.低モル比水ガラスと微粒子スラグの流動特性を解明し、本出願人による先願(特許文献3)を発展して大きな高強度固結径の形成に適用する。
2.本発明者は上記懸濁グラウトが十分長い時間を経て疑塑性に至るまでのほぼ一定の粘度の浸透性を保持してのち、急激に粘度が上がって浸透性が低下する疑塑性を呈すること、1次ゲルタイムとそのあと疑塑性を保持する流動特性を経て、攪拌しても再流動しない固化状態に至るまでの2次ゲルタイムを発現することを見出した。
この疑塑性を発現したあとの十分長い時間では、力を加えれば(攪拌すれば)流動するという特性があるところから、本懸濁液を地盤に注入した場合、先行する懸濁液による疑塑性保持時間における疑塑性ゾーンを、後続する浸透性懸濁液が乗り越えて、その外側に浸透する過程を繰り返すことによって、大径の固結体を形成することを見出し、本発明を完成した。
3.従来の懸濁型グラウトは、経時的に粘度が増加することにより固化(ゲル化)に至る。この時の固化(ゲル化)の判定は、カップ倒立法や回転粘度計にて行われており、カップ倒立法では目視にて行い、回転粘度計では粘度が100mPa・sを目安としている。一方、本発明における懸濁液は溶液型グラウトと同様に低粘度でニュートン流体に近い性質をもって、砂地盤に浸透するのに十分な低粘度と浸透時間を保持しながら疑塑性流体へと変化し、その後、十分な疑塑性時間を経て固化するという特徴を示す。
よって、これらの経時的な流動特性を把握するためPロート法を採用し、さらに粘度計による粘度との比較を行った。その結果、低モル比水ガラスと微粒子スラグからなる懸濁液の特異な流動特性が得られることを見出し、その特性を利用して本発明を完成することができた。
4.このように本発明者は上記懸濁型グラウトのゲルタイムの特異性とその特異性を発現する条件を見出しゲルタイムに対する従来の考え方を転換し、1次ゲルタイム、2次ゲルタイムという新しい考えを構築して、大きな高強度固結径を構築する懸濁型グラウトとそれを用いた大径の地盤強化工法を発明した。これによって注入という手段によって既存の地盤の土粒子をそのまま動かすことなく、高圧噴射工法における排土という環境上の問題も低減したものである。
5.低モル比水ガラスと微粒子スラグを用いることによって、ゲルタイムの延長が可能になり、長い浸透固結距離を確保することが出来る。1次ゲルタイム後、攪拌を持続すれば粘性がわずかであるが減少するか或いはさらに増大するが、攪拌を停止すれば塑性状態になる。しかし。再度攪拌すれば流動性を呈する。従って、本懸濁液を地盤中に注入すれば、先行注入領域で凝塑性状態のゲル化ゾーンが形成される(図3)。
その疑塑性ゾーンを後続の浸透性を有する注入液が破って外側に乗り越え、それを中心として浸透の領域を拡大し、疑塑性ゾーンを形成する。その過程を繰り返して大きな浸透領域を形成し、所定量を注入した時点で注入を終了すれば、注入液は流動することなく、その場所にとどまり、最終的に2次ゲルタイムに至って、全体が固化して大きな固結体を形成する。
図17〜図19に示すように大きな注入孔間隔で大径の固結体を形成するには注入方式にもよるが、1ステージ当たり大きな注入量と大きな注入時間を必要とする地盤改良において、上述したように後続する浸透性懸濁液が先行する疑塑性ゾーンを乗越えことを繰り返すことによって、注入時間よりも短い1次ゲル化時間の配合液を注入して、注入液の逸脱を防ぎながら所定範囲外への所定の注入量に対応した大きな固結体を形成できる。
上述したように本発明者は本出願人の先願(特許文献3)をさらに発展して、微粒子スラグと低モル比水ガラスを用いて、低粘度で長い1次ゲル化時間による浸透性と疑塑性ゾーンを乗り越えて、浸透する流動性により、耐久性のある高強度の大きな固結径を可能にした地盤固結材並びにそれを用いた地盤改良工法を発明した。
以下に本発明の試験結果を説明する。
・使用材料
使用材料を表4〜表8に示す。
・本グラウトの流動特性の測定方法
図1にPロート法におけるPロートを示す。
(JSCE-F521-1994)
・本グラウトの材料単体(表1、表2、表3参照)のPロート法による流下時間を測定
表1、図2にスラグ(表6、スラグNo.4)単体または水希釈した液の流下試験の試験結果を、表2、表3に水ガラスAと水ガラスB単体または水希釈した液の流下試験結果を記す。
Figure 0006961270
Figure 0006961270
Figure 0006961270
・本懸濁グラウトの流動性測定
従来の地盤固結材では、カップ倒立法でゲル化時間を測定し、カップを傾けても流れ出なくなった時間をゲル化時間あるいは粘度計で100mPa・sを終えた時点をとしている。そして、ゲル化時間に達した注入液は注入圧力が急激に高くなり、注入不能になるか地盤を破壊しながら脈状に走る現象を生じた。
それに対し、本発明者は本注入材が懸濁液であるところからJSCE−F521−1994に基づきプレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性の試験法(P漏斗法という)を用いた流動性の試験を行った(プレパクトフローコーン技術説明書を参照した。図1)。
この試験によって、1次ゲルタイムと2次ゲルタイムを生ずる特異性を見出し、この流動特性を利用して広範囲固結性を可能にして本発明を完成した。なお、粘度計としては音叉振動式粘度計、回転粘度計、B型粘度計が用いられている。本発明ではこれらを粘度計と表現して、実験には音叉振動式粘度計を用いた。
以下に流動特性の試験法と1次ゲルタイムと2次ゲルタイムを説明する。
Pロート法で、図3において配合直後から10分から80分間流下時間は7〜8秒の範囲を示し、その間ほとんど一定の値を示す。その後、急激に流動性が低下し、そのピーク時の流下時間は8秒〜12秒を示す(配合液をポリジョッキ中で攪拌し、Pロートに注ぎ込む)。その後(同様に繰り返す)流下時間は低下するか、低下しないままかやや増加するが低下しても8秒以上(1次ゲルタイム前の粘度以上)を呈する。
以上はPロート法で攪拌状態の流動特性であるが、1次ゲル化後は疑塑性を呈しており攪拌を停止すれば流動性はなくなる。しかし、攪拌し続けていれば流動性を呈する状態が配合にもよるが10分以上持続する。しかし、攪拌を停止すれば時間の経過とともに固結して再攪拌不能となる。その時間は懸濁液の配合による。
一方本発明の配合液を粘度計で測定した結果をPロート法による測定結果と同じグラフに示す(図3)。1次ゲル化がはじまる時点はPロート法とほぼ同じで、それまで10mPa・s以下を示していた値が10mPa・s以上に増加している。その後、攪拌していれば粘度は低下するが1次ゲル化前の粘度よりは高い粘度を示している。
その状態では、カップ倒立法で測定してもカップから流れ出なくなるということがないため、粘度が計測出来ない。なお、懸濁液を粘度計で測定することは若干の問題があるが、従来のゲル化する型の地盤固結材は、その配合液の粘度を粘度計で測定すると、増粘し始めると、急激に100mPa・sを通過して1000mPa・s以上と高粘度になりゲル化してしまい流動しなくなるので、本発明ではPロート法による測定に加えて粘度計で測定した値を1つの目安とした。
図3より粘度計とPロート法とは同じ傾向を示し、Pロート法によるピークを生じ始めるまでの時間を1次ゲルタイム(浸透時間)とし、土粒子間浸透が可能な浸透時間とみなすことができ(図3、図4参照)、可塑性グラウトのように配合後直ちに粘度が増大し、流動性が低下して空隙からの流出を防ぐ裏込め剤として用いる懸濁液とは異なることがわかる。このように浸透性を有する状態から流動性か低下してのちその状態を保持する流動特性を本発明では疑塑性と表現した。
図3、図4に、表9配合No.27を用いたPロート法による流下時間(秒)と粘度計による粘度(mPa・s)の関係を示す。
実験1
1.使用材料
JIS規格の水ガラス(表4)を用いた希釈水ガラス各種(表5)であって、表4の1号、2号、3号の希釈水ガラスを用いるか、或いは1号、2号、3号の水ガラスにNaOHを加えてモル比の調整した希釈水ガラスを用いて行った。
・スラグ:表6No.4、ブレーン値10200cm2/g、比重2.9
Figure 0006961270
Figure 0006961270
・スラグ
SiO2:33.02%、CaO:41.94%、Al2O3:12.83%、MgO:8.61%、Fe2O3:0.37%の成分組成からなる水砕スラグを粉砕し、表6に示す比表面積および平均粒子径を異なる4種類を例に挙げる。塩基度は1.9〜2.9の範囲内のものを使用した。
Figure 0006961270
・セメント
SiO2:22.2%、CaO:64.6%、Al2O3:5.4、Fe2O3:3.1%の成分組成からなるポルトランドセメントを粉砕し、表7に示す比表面積および平均粒子径を異なる4種類を例に挙げる。高炉セメントを用いることも出来る。なお、セメントは普通セメント、高炉セメント、早強セメントなどを用いることができ、セメントに制限はない。
Figure 0006961270
・石灰
工業用消石灰4種類の例を挙げる。
Figure 0006961270
1.試験法
1)配合液のゲルタイム
P漏斗法によって(JISCE-F521-1994)は、ゲル化前後で粘性が変化(急激に上昇)することをから、Pロートによるゲルタイムは粘性が急激に変化し始めた時、Pロートの容器壁口にゲルがつきはじめた時点とし、配合後この時点までの時間を1次ゲルタイムとした。
懸濁液をポリジョッキ内でゆっくり撹拌し、懸濁液が流動状態にあるように操作してPロート内に注ぎこみ流下時間の測定を繰り返した。
2)ブリーディング試験
P漏斗試験で測定した1次ゲルタイムまで液を撹拌し続け、1次ゲルタイムに達した時点で、φ5×50cmのポリエチレン袋(グラウト袋)に所定量投入し、JSCE-F-522-2013に準じ測定した。
3)ブリーディング水のゲル化の試験
ブリーディング水が発生した場合、ブリーディング水のゲル化の有無を確認した。
4)一軸圧縮強さ(ホモゲル)
ブリーディング試験に用いた試料を使用し、高さh=10cmに整形後、供試体として試験した(材令28日)。試験はJIS A 1216 に準じた。
2.配合
水ガラスA(モル比2.08)または水ガラスB(モル比2.02)、水ガラスC(2.47)、水ガラスD(3.20)とNaOHを添加してモル比を調整し、スラグ量を変化させた配合を用いた(表9)。
JIS K1408規格の水ガラスを試験にはNaOHにてモル比を調整し、水希釈したものを用いた。
Figure 0006961270
ゲルタイム試験
・試験方法
1次ゲル化後撹拌し、流動する状態になるように撹拌し、P漏斗による流下時間を測定した。
・配合例と試験
(1)ゲルタイム
配合後、時間経過に伴う流下時間はほぼ一定値を示しているが、ある時点でスラグが凝集しはじめ、流下時間も急に長くなった。ピークに達して後、流下時間は短くなり、時間をかけ少しずつ長くなるか、ほぼ一定の値を示した。或いは急激に流下時間が長くなって後、時間をかけて少しずつ長くなってほぼ一定の値を示した。
また、ピークに達して後、流下時間が短くなってもピーク時になり始める前の流下時間より短くなることはなかった。この急激に長くなりはじめた時から懸濁液が漏斗壁面に付着するようになった。この現象が起こった時刻を1次ゲルタイムと称することとした。(図4)。
上記試験から、当懸濁液はある時点で粘性が急激に上昇し疑塑性に至り、その後固化に至る性状であることがわかった。その1次ゲル化後に撹拌。
最初に固化に至った時間を1次ゲルタイムとし、1次ゲルタイム後疑塑性を呈して後、固化に至る時間を2次ゲルタイムとして、2次ゲルタイムの測定を行った。
1次ゲル化後継続して撹拌し、粘性を計測したが、徐々に粘性が低下し、1次ゲル化後1時間以降はほぼ同じ流下時間となり、配合No.29では攪拌継続最長7時間経過しても再ゲル化(再ピーク時を生ずる現象)がみられなかったが、静置したらその後固化して攪拌は不能になった(2次ゲルタイム)。
他の配合でも300分程度経過しても粘性が一定値を示していたため、攪拌を止めてその後固化することを確認した。スラグ配合量とモル比が変動しても1次ゲルタイムはほぼ変わらなかった。しかし、配合No.32〜34のように水ガラス量を減らすと1次ゲルタイムが急激に長くなり、ブリーディングの量も増加した。
Figure 0006961270
・ブリーディング試験
(2)ブリーディングについて
P漏斗法(流下を繰り返す)と静置法(配合直後混合したのち静置)ではブリーディング率が大きく異なる。静置法では体積が2/3程度になってしまう配合があるのに対し、P漏斗法では大きな変化はない。
また、モル比が低くなるに伴い、静置法では減少するのに対し、P漏斗法では増加する(表11)。ブリーディングが発生した場合、ブリーディングがゲル化する。実際の地盤中における浸透時はPロート法に相当するものと考えられる。
Figure 0006961270
・ホモゲルの一軸圧縮強さ
水ガラスが同じならばスラグ量が多くなると強度は大きくなる。スラグ量が同じなら水ガラス量が大きいほど強度が大きくなる。スラグ量が大きいときは、モル比が低くなると強度が大きくなる。モル比が2付近ではモル比の変化に対して強度の変化はあまり見られない。しかし、モル比が2.8より高い配合では固化するが強度発現しなかった。なお、ブリーディングが多い配合ではホモゲル供試体長が短くなるため測定が出来なかった(表10)。
表12に1次ゲルタイム後攪拌を継続した時間と固化(2次ゲルタイム)したあとのホモゲル強度を示す。これより1次ゲル化後攪拌しても十分強度が発現することがわかる。通常懸濁液では(溶液型でも)ゲル化した後攪拌するとゲルが壊れて強度が出ない。
このことは本懸濁液の後続の浸透性懸濁液が先行する懸濁液が形成した疑塑性ゲルの領域をやぶって(乗り越えて)外側に浸透したあとででも疑塑性ゲルが充分強度のある固化物を形成することを意味している。
Figure 0006961270
なお、表12において、10との記載は表示数値以上(計測限界以上)であることを示す。
・セメント、消石灰の添加によるゲル化
試験は本懸濁液においてスラグにセメントや消石灰を添加した場合は、ブリーディングや強度は同程度であるが、粘度が50mPa・s以上に大幅に増加するため、浸透性が低下するため固結範囲が小さくなるし、均質な浸透が困難になる。しかし、ゲル化の促進効果(瞬結も可能)は有効である。
上記のようにゲル化とは液状である配合液が、反応により保形性を有するようになることであり、具体的には上述したようにカップ倒立法で測定して、カップを傾けても流れでなくなった状態をいう。このような配合液はゲル化すると全く浸透しなくなる。
それに対して、本発明では土粒子間に浸透しうる流動性を有する液状である配合液が疑可塑状になる点を1次ゲル化と称する状態をいい、カップを傾ければ流動するので従来のゲル化とは全く異なる。
また、本懸濁液は配合時から地盤に浸透性を有する流動性を充分保持して地盤中に浸透して後、疑塑性となって浸透性を失うが、力を加えると流動する時間を充分有し、そのまま放置すれば最終的に固化する点では従来の可塑状グラウトとは異なる。
なお、上記において増粘してゲル化を呈するまでの時間が10分以上の配合は、ゲル化後ほとんど疑塑状態が10分以上継続する。
裏込注入などにおける可塑状グラウトにおいては、配合後可塑状を呈し空隙を充填しセメントなどからの亀裂からの流出を抑える事を目的としている。本発明懸濁液は配合時にこのような可塑状態になると土粒子間への浸透性が悪くなるので、本発明ではほぼ一定の浸透を少なくとも10分以上維持した後に疑塑状態となる。
また、疑塑状態の継続時間が短い場合には、その後固化する場合もありえるが、本発明では疑塑状態が少なくとも10分以上、通常60分以上継続する。その後静置すれば固化するため本発明ではそれを2次ゲルタイムとしている。
本発明に係る懸濁液グラウトにおいて、上記低モル比水ガラスと微粒子スラグを用いた配合液が増粘して1次ゲルタイムを呈するが、そのゲルは力を加えれば流動性をもつ。それに対して、モル比が2.8より高い水ガラスを用いた場合、グラウトはそのまま固結するゲルが出来て疑塑性状態を呈しない。このような特性をもつ本発明懸濁液の流動性を本発明では疑塑性としている。
本注入液は上述したようにニュートン流体に類似の流動性を呈してからビンガム流体に類似した流動性を経て固化するという特性を呈し、この特性によって地盤注入において上述の流動性の両方の流動性を交互に繰り返しながら広範囲浸透固結性を可能にしたところに本注入材と注入工法の従来技術とは異なった点である。本発明懸濁液の特異な流動性の特性を以下の通りである
攪拌法により浸透流動性(Pロート流下時間が短い)が続いてから急激に低流動性(Pロート流下時間が長い)になりはじめ、疑塑性を呈するその時点を1次ゲルタイムとし、ピーク後流動性が低下して疑塑性流動を持続する。その後、攪拌を停止すると力を加えても(攪拌しても)流動性がなくなる時点(2次ゲルタイム)にいたる。1次ゲルタイムの間で注入すれば充分な浸透性が得られ、注入後のブリーディングも少なく、所定の強度が得られる。
また、先行注入液が1次ゲルタイムに至った後も後続の浸透性のある注入液は1次ゲルタイムに至った疑塑性領域を乗り越えて浸透して疑塑性状態にいたることを繰り返す。所定注入量注入した後、時間と共に全体が固化する。疑塑性領域においても1次ゲルタイムの浸透領域と同様の十分な強度を保たれる(図10)。
・サンドゲルの一軸圧縮強さと経日変化
1.試験法
(1)本発明のサンドゲルに用いた使用砂の粒径分布を図5に示す。
(2)サンドゲル供試体の作製
試験に使用した配合は表9に示す。
豊浦砂を用い相対密度60%になるように直径5cm×高さ10cmの混合法による供試体を作製し、所定の期日に一軸圧縮強さを測定した。
(3)試験結果
Figure 0006961270
配合No.24、配合No.28、配合No.47のサンドゲルでは、一軸圧縮強さ2.5〜6.0MN/m付近の高強度を呈し、劣化はみられない。経日強度は図6に示すように、水和反応の進展によって約1か月後に最終強度近くになる。1000日経過後も強度低下はなく、微小ではあるが強度は増加傾向にある。ホモゲルはサンドゲルよりも強度が高い。
1次元注入試験を行い、浸透固結法による固結体の浸透距離と強度分布を調べた。
1)試験方法
図7に示す1次元浸透装置(長さ2m)を用い砂に対する浸透試験を行い浸透長と強度分布を調べた(表16)。
試験条件:アクリルモールドh=2m、配合液3L
試料に水を飽和させた後、懸濁液を下部から注入し、排出液が排出されなくなるまで注入する。
2)配合
表14に実施した配合Noおよび実施Noと、砂種と相対密度、1次ゲルタイムを示す(配合No.比較例は、セメント系グラウト)。
Figure 0006961270
3)浸透試験結果
図8は、表15の実施No.1〜No.3の浸透後の3日目の様子を示す。浸透固結法によるサンドゲルは浸透源に近いほど濃紺色調が濃く、遠くなるほど淡い。すなわち浸透源に近いほど短期間に水和反応が進行して、高強度を呈し、遠くなるほど強度は低くなり、かつ水和反応を終了するのに日数を多く要する。これらはろ過作用により浸透源に近いほど微粒子スラグ分が密に充填され、遠くなるほど充填率が減少するためと思われる。
表15に浸透距離10cm毎の28日強度を示す。図9では、実施No.1〜4は、浸透源に近いほど強度は大きく、浸透距離が進む毎に強度が低くなる傾向を示す。
また、図8より水和反応はほぼ3日後には生じ、28日目までかかることが判る。また、豊浦砂を用いた混合法では、28日一軸圧縮強さが配合No.24(スラグ量75kg/400L)で2.68MN/m、配合No.28(スラグ量100kg/400L)で5.61MN/m2だったが、浸透源に近い部分では実施No.1では19MN/m2以上、実施No.2では17MN/m以上の強度を示し、注入液は180cmまで浸透していることが判った。
また、180cmの末端部ではスラグの充填率が少なくてもシリカ分によって固結している。このことはスラグの浸透が少ない部分でもゲル化することを示し、固結体同士の一体化が可能であることが判る。
また、図7、図8は一次元浸透試験のため、1次ゲルタイムのみの浸透距離と固結強度しか得られなかったが、実際の施工では図11(a)が図11(b)のように互いに干渉しあって、3次元浸透注入により浸透性のよい懸濁液が先行懸濁液の疑塑性領域を乗越えて浸透することによって、浸透距離は大幅に増大し一体化した高強度領域を形成されるものと思われる。
また、表14の比較例、図9の実施例4はセメント系グラウトであってゲル化を伴わないグラウトは地盤中でブリーディングを起こし、セメントの浸透がなければ固化しないため、砂地盤では固結体同士が均質な大きな固結体を形成するのが困難であることが判る。
以上の実験から、本懸濁液における組成とゲルタイムと強度とブリーディングと流動性の特性をまとめると以下の通りである。
1.1次ゲルタイムと2次ゲルタイムの特性から、長い注入孔間隔で1ステージに必要な大きな注入量の注入であっても所定量注入することができ、所定量注入した時点で注入をストップすれば流動性が無くなり、所定の注入領域で自動的に固化する。
2.水ガラス量が少ないと、GT1が長くなり、ブリーディングは多くなるが、モル比を下げればGT1は短くなり、ブリーディングが短縮される。また、ブリーディングは疑塑性状態ではほとんど0である。しかしブリーディングの上澄み液はゲル化する。
3.水ガラスのモル比と配合量が一定の時は、ホモゲル強度はスラグ量によってほぼ一義的に定まる。
4.水ガラス量とスラグ量が一定ならばモル比2.8以下の場合、モル比が異なっても一軸圧縮強さはほぼ同一である
5.スラグ量とモル比が一定なら、一軸圧縮強さは水ガラス量によってほぼ定まる。
6.本懸濁液の特性であるゲル化と強度と浸透性と耐久性は組成のバランスによって決まるが、水ガラスのモル比が2.8以上になるとサンドゲルの充分な強度が期待できなくなる。また、モル比1.5以下ではGT1が10分以下になり、ブリーディングが増加する。
スラグ量が50kg/400L以下では十分な強度が得られない。また、200kg/400L以上だと粘性が大きくなり浸透性が低下する。ブレーン値4000以上だと、本発明の浸透性とゲル化と固結性が得られるが、ブレーン値20000以上だと再凝集してしまう。ブレーン値4000未満を用いた場合は活性が悪くなり、強度発現が悪くなる。
Figure 0006961270
・現場における適用性
本懸濁型グラウトは上述した特異な流動特性を用いているため、上述した従来では期待出来ない浸透特性を有する。参考として、図15に注入圧力と限界注入速度の例を示す。また、図16に球状浸透と柱状浸透の注入圧と浸透半径の例を示す。本懸濁グラウトによる浸透注入を適用出来る球状浸透、柱状浸透注入方式を図17〜図19に示す。
表16に本懸濁液を適用するにあたって、注入方式と注入孔間隔とステージ長と1ステージ当たりの注入量と注入時間(H)の実施例を示す。
通常配合液は100〜200Lの容量の混合ミキサーで作液され、1ステージ当たりの注入量が連続的に注入される。
そして、大きな浸透固結径をうるには注入孔間隔、1ステージ長、1ステージ当たりの注入量に対して、長時間の注入時間を必要とする。表16には点注入(球状浸透)と注入孔間隔と柱状注入における注入量と注入時間を示した。注入にあたっては土粒子間浸透限界内の注入速度(図15)で注入する。
これより1ステージあたり大きな注入固結径を得るには長時間注入時間で大きな注入量を注入しなくてはならないことが判る。
本発明はこのような注入条件を満たすために、従来の懸濁液ではゲルタイムが短いことと、注入液がブリーディングで分離して注入管周りしか固結しないために、大きな固結径を得ることは不可能であり、本発明の流動特性を有する注入材を用いた注入工法ではじめて可能であることを見出したものである。
実際の施工にあたっては100〜200Lのミキサーで配合して地盤に注入しているうちに、ミキサー中の注入液が全部注入される前に新しく配合液を加えて注入し続けることになる(同一配合液を作液しても地盤中では先行注入液は後続注入液よりもゲルタイムが短くなっていることを意味する。また、スラグをA液とし、水ガラスをB液として合流方式で注入しても同じことがいえる)。
従って、先行する注入液に続いて新しく追加配合された注入液が後続して地盤中に注入されることになり、本発明に係る懸濁液は所定の注入領域に所定量の注入量が行われれば、その注入液は所定の注入領域に浸透したまま、所定外への逸脱を低減しながら時間の経過と共に固化することが可能になる(図10)。
実施工においては、表9において、
A液:水ガラスA水溶液、
B液:スラグ懸濁液
とし、A液とB液を一液に混合して注入しても良いし、A液とB液を合流注入しても良い(図17(a)〜(d)、図18(e)、(f)、図19(g))。
また、
A液:水ガラスA、スラグ懸濁液、
B液:促進剤配合液、
として、A液、B液の合流液を瞬結グラウトとして注入して後、A液を緩結グラウトとして注入しても良い(図19(h))。
また、
A液:3号水ガラス水溶液、
B液:促進剤水溶液、
C液:水ガラスA、スラグ懸濁とし、
A、Bの混合液を瞬結グラウトとして、C液を緩結グラウトとして、注入しても良い(図17(h))。
以上は配合手法の例であって、本発明はそれに限定されるものではない。
本懸濁液の広範囲浸透固結原理を図10に示す。
図11は本懸濁液の固結体の形成図である。図11(a)は単独注入の場合である。図11(b)はお互いに干渉しあうように注入孔を設置した例である。また、本懸濁液の浸透固結特性を応用して固結体同士を連続して固結壁体(図11(c)を形成することができる。この場合大きな強度の固結径の外周部に強度が小さくてもシリカが固結しているゲル化を伴う固結ゾーンが形成されるので止水効果が優れた一体化した連続固結体が出来る。
また、図11(d)のように未固結部分を拘束した枠状の固結体を形成することができる。この枠体を建造物の周辺や基部に1個または複数連続(図11(e))させることにより液状化対策を経済的に行うことができる。この場合以下の効果がある(本出願人による先行発明特許第3342000号)。
構造物基礎の局部滑りの防止。
地盤の側方向移動の拘束。
地震による繰り返しせん断応力の低減。
過剰間隙水圧の増大の抑制。
有効応力の低下の防止。
過剰間隙水圧伝播の遮断。
周辺液状化現象の遮断。
地下水の流動の遮断。
また、可塑状グラウトやモルタルや瞬結懸濁液などの非浸透性のグラウトを地盤中に注入管から圧入して固化体を拡大して周辺地盤を高密度化する工程(本出願人による先行発明特許第3981672号)に引き続いて、本懸濁液の注入を併用することにより地盤の高密度化と浸透固結効果を得ることができる。
この場合、図11(a)、図11(b)のような地盤改良が可能になる。また、本懸濁液の撹拌混合を続けて、一次ゲルタイムになった時点で地盤中に凝塑性になった懸濁液を圧入して塊状固結体を形成して、引き続いて本発明の浸透性懸濁液を注入してもよい。
また、上記において地盤を圧入による高密度化は施工時において間隙水圧の上昇による地盤変位を生ずるおそれがあるので排水孔(本出願人による先願特許第5564676号)を併用して、間隙水圧を低減して地盤変位を低減することができる(図12、図13)。この場合排水調整弁やバネ(弾性部材)を必ずしも必要としない。
なお、図13において、1は排水管、1aは集水孔、1bは排水口、2は排水マット、3は集水マット、4は逆止弁、5は排水調整弁、6はバネ(弾性部材)、7はキャップ、7aは反力受け板である。
また配合水または懸濁液にマイクロバブルを混入することにより注入液の流動特性を改善することができる。
マイクロバブルは5〜100μmの大きさを有し、マイクロバブルの他にマイクロバブルより粒径の小さいナノバブルを用いてもよいが、本発明ではマイクロ、ナノバブルとして取り扱う。図14はマイクロバブル、ナノバブルを混入した本懸濁液の製造システムを示す(本出願人による先願特許第5158394号)
なお、図14において、1は加圧タンク、2はバブル発生装置(渦流発生装置)、3は原料液配合ミキサー、4は送液管、5は注入液循環ポンプ、6は送液管、7はエアコンプレッサー、8は注入ポンプ、9は注入管、10は集中管理装置、11は信号ケーブル、12は溶液導入路、13は溶液放出路 、14は溶液導入孔、15はエア吐出口、16はエア管、17は圧送管である。
また、分散剤や界面活性剤や超音波を注入液に作用させることにより懸濁粒子の分散効果を得ることができる。
分散剤はマイティ150(マイティは花王株式会社の登録商標)など、界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤や非イオン性を用いることも出来る。
超音波は、超音波発生装置によって懸濁液に作用させることができる。
Figure 0006961270
以上の特性をもつ本発明懸濁液を地盤に注入した場合、以下の現象を生じて広範囲な固結体を形成すると考えられる。
(1)低モル比水ガラスと微粒子スラグの懸濁液の長いゲル化時間と高浸透性を呈する1次ゲル化と、長い疑塑性を呈する2次ゲル化を生ずる流動特性をもつ本懸濁液は、長いゲル化時間と長い浸透距離を確保することが出来る(図3、図4、図5)。先行注入液が1次ゲル化し、疑塑性ゾーンを形成しても、そのゾーンはゲル後加圧或いは攪拌すると(地盤中に加圧浸透している間は攪拌状態にあるとみてよい。
また、注入を終了または中止した場合は、その後注入液は静置した状態にあるとみなしてよい)流動性が回復するため、後続の注入液が疑塑性ゲルの弱いゾーンを破って(または乗り越えて)外側への流路をつくり、それを中心として浸透し、その外周部に浸透領域を拡大して、疑塑性領域を形成することを繰り返して浸透領域を拡大し、最終的に外力を加えても或いは攪拌しても、流動しない大きな固結体を形成する。また、本懸濁液はこのようなゲル化特性を適用することによって、浸透後の注入液が垂れることなく、所定の注入領域にとどまり、所定の所定量に相当する浸透固結体を形成出来る。
(2)低モル比水ガラスのアルカリはスラグの潜在水硬性を刺激して水和結合を発現できるので、恒久性のある高強度を得られる。また、1次ゲル化にいたるまで高浸透性を呈し、1次ゲル化後、緩やかに流動性が低下して疑塑性状を保つ。
力を加えなければ(攪拌を止めれば)、流動が停止したあと、時間とともに固化するが、疑塑性状態において流動性を停止したあと圧力を加えれば(攪拌すれば)、再び流動して最終的には固結する(2次ゲル化)。また、スラグのカルシウム分と水ガラスのシリカ分のゲル化するため、固結領域の先端部のブリーディング水に相当する部分もゲル化して、注入地盤の土粒子も含めた一体化した固結体が得られる。(図9の150〜180cmの領域)
(3)本発明に係る地盤固結材は、配合後Pロート法で10秒以下、粘度計で10mPa・s以上の高浸透性を呈しているが、その後、やがてそれ以上粘度が高くなり(1次ゲル化)疑塑性を呈する。疑塑性の間はPロート法で100秒以下、粘度計で100mPa・s以下を呈するが、攪拌すれば流動性を生じて固化には至らない。上記高浸透時間は10分以上、10〜80分程度を保ち、その後、疑塑状態を10分以上好ましくは30分以上保ち続け、その後静置すれば固化して、攪拌して静置すれば、固化して攪拌しても流動しない状態になる(2次ゲル化)。
このような本発明に係る配合液を地盤に注入すると、増粘後疑塑性を呈し、さらに後続の高浸透性懸濁液が注入されると、流動性が回復した疑塑状態のゾーンを破って外側に浸透領域を拡大して1次ゲル化後疑塑性ゾーンを形成する。この過程を繰り返して所定量を注入したあと注入を止めると最終的には固化にいたる(2次ゲル化)。
(4)浸透可能時間について
地盤の状況により異なるため、明確なことは言えないが、従来の水ガラス・セメント系グラウトではゲル化時間が約10分以下で、これを長くすることはほとんど不可能である。また、増粘開始後ゲル化が急激に起こり、しかもゲル化後はゲル強度が大きいため、それ以上ゲルを破壊して浸透させることができないか、或いは脈状注入になる(特許文献1)。
(5)これに対し、本発明にかかる地盤固結材は高浸透性を呈する時間(疑塑性状態になるまでの時間、1次ゲルタイム)を1時間以上にもすることができ、しかも1次ゲル化におけるゲルは力を加えたり、攪拌したりすると流動性を呈する為後続する高浸透性注入液が疑塑性ゲルをやぶって外周部に浸透することを繰り返すため、浸透時間を長くすることができる。
また、セメントグラウトやスラグセメントグラウトを注入するとブリーディングを起こすため(固結率)が小さく、目詰まりを生ずるため、注入管周りに浸透範囲が小さくなる(表14比較例、図9実施No.4)。それに対し、本発明の地盤固結材は低モル比水ガラスの潤滑作用とブリーディングが少ないことより、浸透性がよく地盤の土粒子も含めて全体が固化するため、浸透長が長いのみならず、固結土体積が大きい(固結率が高い)という利点を生ずる。
本発明に係る懸濁液が1次ゲルタイムのうちに一次元浸透試験で1.5m以上も土粒子間を浸透するということは、半径1.5m以上浸透することを意味し、注入孔間隔が3m以上可能であることを意味する。従って、実施工においては三次元注入になるため、図15の浸透メカニズムによりさらに浸透長が伸びることになる。従って、注入孔間隔3〜4mの大径の固結体を得ることが可能になる(表17)。
本発明懸濁液を適用できる注入方法の例を図17〜図19に示す。
(6)固化時間について
1次ゲル化後も継続して撹拌した時、7時間経過後も固化しなかったものが、撹拌をやめると、比較的短時間(概ね1時間半以内)で固化することがわかった。
モル比に関しては、低モル比の領域ではモル比が2.8よりも高いとゲルタイムが短く、また本発明のように疑塑性状態を生ずることなく粘度が上がって固化する。本懸濁液はモル比が2付近では1次ゲルタイムが長く、モル比がさらに低くなると1次ゲルタイムが短くなる傾向がある。
スラグ量に関しては、モル比が変わってもスラグ量が変動しても、1次ゲルタイムはほとんど変わらない傾向がある。
ゲルタイムは、(1)水ガラスのモル比、(2)配合量、(3)スラグの配合量、(4)比表面積、(5)粒径、水硬率、塩基度によって変わり得るが、主として、(1)〜(5)によって調整できる。その他、セメントや消石灰はゲルタイムの促進効果(瞬結も可能)がある。また、重炭酸ソーダ、カルボン酸系はゲルタイム遅延効果がある。また、従来のゲル化調整剤(瞬結も可能)も使用することができる。
(7)ブリーディング率について
Pロート法では1次ゲル直後の試料についてブリーディングはほとんど見られなかった。
(8)固化物の強度について
ビニール袋でのゲルタイム測定試験では、上部と下部では強度発現の時間が異なる。ただし、継続撹拌して封入した試料上部1〜2cmを除いて、ほぼ均一に強度発現がみられた。
(9)懸濁液の分散剤について、スラグやセメントなどの粉体は微粒子化する程、電気的に再凝集しやすく、浸透性を阻害する。それに対して、水ガラスを加えた場合は、その特性と潤滑作用によって土粒子間に浸透しやすい。また、本懸濁液の分散性を良くするために、分散剤、界面活性剤、気泡剤を懸濁液に混入したり、マイクロバブルやナノバブル(図14)を懸濁液に加えることによって、或いは超音波を懸濁液に作用させることは効果がある。
・弾性波探査による改良効果の確認
ベンダーエレメント法による室内試験で、改良地盤の土を用いた固結土の弾性波速度を測定する。本注入材の大きな強度と高浸透性の特徴を発現する要因である配合組成、スラグ(粒径、配合量)、と弾性波速度(P波速度、S波速度)の関係を求めておく。
また、水和反応が進行して強度が増加してなる経過強度や最終強度や適正な養生期間をも把握しておく。
注入現場において、注入前と注入後の弾性波速度試験により、注入前後あるいは注入工事中におけるP波速度、S波速度とを測定し、その値と室内測定における値を比較して解析することにより、非破壊試験による改良効果を知ることができる。
また、注入中にその値を計測して注入材の浸透距離などの挙動を知り、注入液の組成や浸透状況および養生時間との関係を知ることができる。
これらの結果から注入目的を満足する組成と到達距離を判断し、注入現場における改良効果の把握のみならず、注入孔間隔やステージ長などの注入設計、或いは1次ゲルタイムや2次ゲルタイムや組成などの配合設計を行うことや、補足注入(再注入)の必要性の検討など施工管理にフィードバックすることができる。
本発明の目的は高強度と長いゲル化時間による地盤注入によって大きな固結径を有する高強度耐久固結体を形成し、これらの固結体を連続して地盤中に形成して全体として一体化した高強度恒久地盤を構築することにある。
地盤に存在する土粒子を動かすことなく、土粒子をそのまま固結体の素材として用いるため、排土を生ずることなく現場の施工性と環境保全性と経済性に優れた特徴を持つ。
一方、地盤改良は注入可能限界を超えた粘性土や高密度の土層も存在する。この場合は、浸透性に優れた当懸濁型グラウトといえども、脈状注入になり得るか、部分的な浸透になる場合もあるが、本懸濁液はスラグが浸透し得ない細粒土に対してもスラグ成分の少ないシリカ分が浸透して、スラグによる固結部分と一体化するので、浸透性の優れた本懸濁液が浸透し得ない部分の地盤は安定しており、地盤改良が必要のない部分と考えることができる。
したがって、そのような部分を含めて全体としての地盤改良効果を得ることが出来れば、本発明の高強度大径地盤改良が目的を達せられるが、そのための改良効果を実証する可視化された非破壊による試験法の適用が有用である。
そのような手法として、従来、弾性波探査、弾性波速度検層、音響トモグラフィーが提案されている。本発明における強度特性の要因と弾性波検層の関係から地盤改良体内部の強度特性の分布と改良効果をうるための配合組成の関係を知り、注入設計や再注入や養生期間の判断に役立てるものとした。
このように浸透固結の大きさの確認と、全体としての改良範囲の確認、固結地盤における固結強度の確認、注入中における改良範囲と改良効果の把握、注入液の距離との充填率、養生日数と固結強度の発現の関係、固結強度に影響する配合成分と改良効果の関係の把握などによって、改良目的を満たす地盤改良効果が得られたかを確認出来る。
従来、岩盤のセメントによる亀裂注入、溶液型シリカの地盤注入や現場土とセメントによる混合地盤を改良土において、弾性速度検層や音響トモグラフィーによって改良効果を推定する方法は既に知られている(特開2011−106843、特開2013−87522、特開2005−337760、特許第2862171号、特許第5658166号など)。
しかし、セメント注入は岩盤の亀裂の充填には用いられているが、土砂を対象とする注入工法において、上記手法は有効に適用されていなかった。その理由は、セメント粒子をたとえ微粒子化しても、地盤中に注入すれば土粒子間隙に目詰まりし、かつブリーディングが生じて、部分的固結で注入量に対応した一体化した固結体が得られなかったからである。溶液型シリカグラウトでは、弾性波速度は未改良地盤とほとんど同じなため、これらの手法を用いても明確な効果が得られにくい。
それに対して、本発明は低モル比水ガラスと微粒子スラグを用いて、1次ゲルタイム、2次ゲルタイムからなる特質な流動特性を地盤改良に用いることにより、低モル比シリカ溶液のアルカリが微粒子スラグの潜在水硬性を刺激して固結せしめるのみならず、シリカ溶液のシリカと微粒子スラグのカルシウムが反応して地盤に浸透中に生じたブリーディングに相当する上澄み液がゲル化することにより、スラグと土粒子とシリカが一体となる大径量固結体を形成し、かつ固結体同士を連結することにより大きな高強度地盤改良ができることから、本懸濁液による固結地盤は上記弾性波速度検層や音響トモグラフィーによる改良効果の確認に有効であることを本発明者は見出したものである。
本発明の懸濁グラウトは強度と浸透特性に関わる以下の特性を持つことから、弾性波速度検層が本懸濁液による地盤改良効果の把握に極めて有効であることを見出した。
・ベンダーエレメントによる一軸圧縮強さと弾性波速度の関係
以下に具体的に説明する。図20は本発明グラウトで固結した豊浦砂供試体における一軸圧縮強さ(28日強度)と、ベンダーエレメント法によるS波速度の関係を示す。
図21は、養生日数とせん断波速度の関係の例を示す。
図22は、固結ゾーンまたは固結予定ゾーンに受信孔と発信孔を設置して、S波速度VsやP波速度Vpを測定する説明図である。
注入孔を受信孔、発信孔としてS波速度VsやP波速度Vpを測定してもよい。
ベンダーエレメント法は、室内試験では固結供試体の両端に発信部と受信部を設置して、S波速度VsやP波速度Vpを測定するが、現地においては受信部と発信部にそれぞれ設置してS波速度VsやP波速度Vpを測定する。
本発明グラウトは、スラグ量で強度がほぼ一義的に決まることから、スラグ量とS波速度VsやP波速度Vpを知ることによって改良効果を推定できるという効果を持つ。
現場土を用いた本懸濁液による固結供試体の室内試験における一軸圧縮強さとS波速度Vsの関係、並びにスラグ量と一軸圧縮強さの関係を図23に示し、注入地盤におけるA地点とB地点におけるS波速度の測定値をプロットした。
これよりA地点ならびにB地点における一軸圧縮強さを推定できる。また、その地点における懸濁液中のスラグ量も推定できる。
このようにして、注入現場における固結範囲と固結強度を把握することができる。図23の例では、A地点、B地点において目標S波速度Vsを満たし、したがって設計Vsを満たしていることがわかる。
また、室内試験で、その一軸圧縮強さは、注入材の充填率とスラグの含有量とS波速度やP波速度の関係を求めておけば、現場におけるS波速度やP波速度の測定値より、地盤中における充填量や組成の状況を知ることが出来る。
図23は、注入液の水ガラス量100L/400L(モル比2.02)、スラグ量100kg/400Lを注入したがA地点では75kg/400L、B地点では50kg/400Lの含有量だった。
従って、測定地盤におけるスラグ分は注入液より、A地点、B地点共に、いくらか薄くなっていることが判る。
また、注入前後の注入地盤の貫入試験値やコアサンプリングによる供試体の強度試験値とその地点のせん断波速度や強度の推定値と比較することによって、非破壊試験結果の解析に役立てることができる。
また、注入前に受信部と発信部を設置しておけば、注入中においてリアルタイムで地盤における浸透状況を把握して、リアルタイムで注入量の補正やスラグ量の補正をすることができる。養生に伴い変化するS波速度やP波速度を非破壊にて測定することにより最終的に目的とする改良効果を得られたかを判断することができる。
以上のように本発明グラウトの流動特性と注入設計と注入効果を把握して設計に組立てることができる。

Claims (12)

  1. モル比が1.68〜2.31の範囲にある水ガラスとブレーン値が4000cm/g〜20000cm/gの微粒子スラグを有効成分とする地盤固結材を地盤に注入して地盤を固結する地盤改良工法であって、
    該地盤固結材は以下の組成、
    1.水ガラス
    1)水ガラスのモル比:1.68〜2.31
    2)水ガラスの配合液中のSiO2含有量:2.9〜11.7w/v%
    3)水ガラス配合量 (40L〜160L)/400L
    2.微粒子スラグと地盤固結材としての懸濁液400L当りの配合量
    1)微粒子スラグ:ブレーン値4000〜20000cm2/g、平均粒径2μm〜10μm
    2)配合量 (50kg〜150kg)/400L
    からなり、
    該地盤固結材の流動性は、(1)浸透性を保持する過程と、(2)その後急激に浸透性が低下して疑塑性状態になる過程と、(3)その後疑塑性状態を保持する過程と、(4)疑塑性が失われて固結状態になる過程とからなり、浸透性を経て、疑塑性を呈する1次ゲル化と、1次ゲル化と疑塑性を経て固化する2次ゲル化を呈するものであり、該地盤固結材の地盤への注入は1次ゲル化に到る時間以上の時間をかけて地盤に注入することを特徴とする地盤改良工法。
    ただし、上記において、
    1)疑塑性とは、土粒子間浸透する浸透性を有する状態から、急激に流動性が低下する1次ゲル化の後、土粒子間浸透はしないが、攪拌すれば流動性を有する状態を保持するが最終的に攪拌しても流動性が回復しなくなる2次ゲル化までの流動性をいう。
    2)1次ゲル化とは、土粒子間浸透する浸透性を有する状態から、急激に流動性が低下し、Pロート法でPロートにゲルが付着しはじめる状態となることをいう。1次ゲル化に到るまでの時間を1次ゲルタイム(GT1)という。
    3)2次ゲル化とは、1次ゲル化後疑塑性を呈して、粘性は低下するか、低下しないままか、やや増加するか、低下しても、その粘性はPロート法で1次ゲル化までの粘性以上、並びに粘度計で1次ゲル化までの粘度以上であって、最終的に攪拌しても流動性が回復しない状態となることをいう。1次ゲル化後、2次ゲル化を呈するまでの時間を2次ゲルタイム(GT2)という。
  2. 請求項1記載の地盤改良工法において、前記地盤固結材は、以下の1次ゲルタイムと2次ゲルタイムとからなる流動特性と固化特性を呈することを特徴とする地盤改良工法。
    流動特性:
    1)1次ゲルタイム(GT1):10分以上(20℃)
    ただし、1次ゲルタイムとは、配合後、Pロート法でPロートにゲルが付着し始めた時点である前記1次ゲル化に至るまでの時間(流動性低下開始時間)をいう。また、1次ゲルタイムまでの時間を浸透性保持時間(T1)とし、その粘度はPロート法で10秒以下、または、ならびに粘度計で10mPa・s以下を呈するものとする。
    2)2次ゲルタイム(GT2):10分以上(20℃)
    ただし、2次ゲルタイムとは、1次ゲルタイム後、疑塑性状態を呈して、その粘性はPロート法で1次ゲルタイム以上並びに、または粘度計で1次ゲルタイムまでの粘性以上を呈し、最終的に攪拌しても流動性を回復せず固化に至る、すなわち前記1次ゲル化後、前記2次ゲル化に至るまでの時間をいう。
  3. 請求項1または2記載の地盤改良工法において、地盤に注入された地盤固結材は、先行する浸透性を保持する地盤固結材がゲル化に至って流動性が低減して疑塑性ゾーンを形成しながら、後続する浸透性を保持する地盤固結材が該疑塑性ゾーンを乗り超えて浸透範囲を拡大してのち、疑塑性ゾーンを形成することを繰り返して固結領域を拡大することを特徴とする地盤改良工法。
  4. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、該地盤固結材の注入は所定の注入領域において1ステージ当たりの注入量の注入時間よりも短い1次ゲルタイムの地盤固結材を注入することにより、先行する地盤固結材が疑塑性に至ったゲル化領域を乗り越えて後続する地盤固結材がその領域外に流出して浸透範囲を拡大することを繰り返すことによって所定領域外への逸脱を低減しながら固結領域を拡大することを特徴とすることを特徴とする地盤改良工法。
    ここで、1ステージとは、地盤中に設置した注入管から注入されるものとし、該注入管の1つの注入口が受け持つ注入深度における注入対象長をいう。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、1ステージ当たりの注入量をV、Vを注入するに要する注入時間T、該地盤固結材の1次ゲルタイムをGT1とすると、該地盤固結材の注入はTよりも短い1次ゲルタイムで連続注入して1ステージ当たりの注入量Vを注入するものとし、該地盤固結材の注入は、先行する地盤固結材による疑塑性領域を後続の地盤固結材が乗越えてその外側に浸透することを連続的に繰り返して、1ステージ当たり注入量を注入して完了することを特徴とする地盤改良工法。
  6. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、前記地盤固結材は(1)水ガラス量、(2)水ガラスのモル比、(3)スラグ配合量、(4)スラグの比表面積によって、ゲルタイム、浸透性、強度、ブリージングのいずれか或いは複数を調整することを特徴とする地盤改良工法。
  7. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、前記地盤固結材はセメント、石膏、消石灰、ポゾラン、粘土、酸、アルカリ、塩、のいずれかまたは複数種を加えることによってゲル化や強度の調整を行うことを特徴とする地盤改良工法。
  8. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、前記地盤固結材は以下のいずれか或いは併用することにより該地盤固結材中の懸濁粒子の凝集を低減し、浸透性を向上せしめることを特徴とする地盤改良工法。
    (1)分散剤、界面活性剤或いは気泡剤を含む地盤固結材。
    (2)マイクロ・ナノバブルを含有する地盤固結材。
    (3)超音波を作用させる地盤固結材。
  9. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、地盤固結材を隣接して連続して注入して未固結領域を拘束した枠状固結壁体を形成することを特徴とする地盤改良工法。
  10. 請求項1〜の何れかに記載の地盤改良工法において、ベンダーエレメントを用いて現場土供試体の注入前後のP波速度、S波速度と一軸圧縮試験の関係を計測しておき、注入現場における注入前後のP波速度、S波速度から該地盤固結材の浸透固結によって変動するP波速度またはS波速度を弾性波探査あるいは弾性派速度検層、音響トモグラフィーによって測定することによって、浸透固結範囲と改良強度あるいは透水係数を推測することを特徴とする地盤改良工法。
  11. 請求項10記載の地盤改良工法において、室内試験において、以下の強度にかかわる要因のいずれかあるいは複数について、P波速度またはS波速度と一軸圧縮強さの関係を計測しておき、現場におけるP波速度またはS波速度の計測結果より、注入現場における改良効果と室内試験における強度にかかわる要因との関係を把握することにより、注入地盤の地盤改良効果を推定するとともに、注入現場における注入目的とする改良効果を得るためのA.配合設計、B.注入設計(注入間隔、充填率)と、C.注入効果の経時変化と注入効果の確認時期のいずれか或いは複数の関係を得ることを特徴とする地盤改良工法。
    (1)固結土の強度
    (2)微粒子スラグの含有量
    (3)固結土の経日強度
    (4)注入率
  12. 請求項10または11記載の地盤改良工法において、現場における注入前後の貫入試験、コアサンプリングにより得た供試体のP波速度、S波速度と強度の関係、あるいはコアボーリングにより得た試料のシリカ量の分析から推定した強度と配合試験による固結供試体のP波速度、S波速度の関係から、現場におけるP波速度、S波速度の推定値からの強度分布並びに配合組成の分布の把握に役立てることを特徴とする地盤改良工法。
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