JP6531902B2 - 重金属不溶化処理組成物及び重金属汚染土壌の修復方法 - Google Patents

重金属不溶化処理組成物及び重金属汚染土壌の修復方法 Download PDF

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Description

本発明は、重金属不溶化処理組成物及び重金属汚染土壌の修復方法に関する。
従来、重金属で汚染された土壌を修復するためには、汚染土壌を掘削除去した後、新たな土壌を供給する方法が知られている。しかしこの方法では、除去した汚染土壌の処理が必要となり、原位置にて汚染土壌を修復する方法が望まれている。
重金属で汚染された土壌の無害化には重金属を不溶化させ、土壌中に流出、拡散することを抑制することが好ましい。代表的な方法としては、重金属汚染土壌に、マグネシウム系固化材、天然鉱物系の吸着材などの不溶化剤を大型機械で注入するか、或いは、土壌と撹拌混合させ、重金属を不溶化する方法が挙げられる。
地盤改良、有害物質の不動化等を目的とした、酸耐性、圧縮強度に優れた炭酸塩を生成しうる技術として、特定のウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、第2の金属塩とを特定量含有する反応液を用いて、地盤中に炭酸塩を生成させるセメント工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属を含む土壌に対し、セメント由来のカルシウムイオンと、好ましくはさらに硫酸の鉄塩に由来する硫酸イオンとを添加する土壌処理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の土壌処理方法では、好ましい態様として土壌に注入する組成物に硫酸イオンを含有させることで、主成分であるセメントによる土壌のアルカリ化を抑制することを特徴の一つとしている。
一方、汚染土壌に関する技術ではないが、地盤を硬化させる地盤改良技術として、ウレアーゼの水溶液である第1溶液と、尿素及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液とをそれぞれ地盤中に注入し、或いは、上記第1溶液と上記第2溶液とを混合した直後に混合物を地盤中に注入する地盤改良方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第5547444号公報 特開2004−313817号公報 特許第5599032号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるセメント工法では、ウレアーゼ生成微生物として特殊な微生物を使用する必要があり、微生物の入手が困難であること、セメント工法に使用される組成物の粘度が高いこと、地盤の硬化による地盤改良には、ある程度有効ではあるものの、重金属を不溶化させ、無害化させる効果は不十分であること等の問題があった。
特許文献2に記載の技術では、セメントスラリーに好ましくは硫酸イオンを混合し、土壌中にポンプで圧送して、機械混合し、土壌とセメントスラリーとを均一に混合することで、経時によりセメントスラリー中に含まれるセメントが硬化して、強度が改良された地盤改良体が形成される深層混合処理工法(DCM工法)に使用することを前提としており、セメントスラリーの流動性が低く、そのまま土壌に注入して浸透させる方法には適用が困難である。
また、特許文献3に記載の技術は、そもそも、地盤を強化する地盤改良方法に関し、地盤の液状化抑制等には有効であるものの、土壌中の重金属を無害化させることについては全く考慮されていない。
本発明の課題は、流動性が高く、土壌への浸透性が良好であり、重金属の不溶化効果に優れた重金属不溶化処理組成物を提供することにある。
本発明の別の課題は、重金属汚染土壌における重金属の不溶化効果に優れ、重金属汚染土壌を原位置で簡易に処理することができる重金属汚染土壌の修復方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含む組成物において、カルシウムイオンと、鉄イオンとの配合比率、含有量を適切な範囲に制御することで、土壌中の重金属の固定化効果が向上することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の実施形態を含む。
<1> ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含み、前記カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、前記鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす、重金属不溶化処理組成物である。
式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
本実施形態によれば、重金属不溶化処理組成物(以下、単に「不溶化処理組成物」と称することがある)は、尿素と、ウレアーゼ生成微生物と、カルシウムイオンと、前記カルシウムイオンの含有量よりも低い特定の含有比率の鉄イオンと、を含有し、かつ、カルシウムイオンと鉄イオンとの総含有量が少ない。このため、不溶化処理組成物は流動性に優れ、土壌中に速やかに浸透する。その後、浸透した土壌内において、ウレアーゼ生成微生物が尿素に作用して尿素が分解し、生成される炭酸イオンとカルシウムイオンとが反応して硬質の炭酸カルシウムが析出する。さらに共存する鉄イオンによる、水酸化鉄も生成され、カルシウムイオンと鉄イオンの共存により、炭酸カルシウム中に重金属が効率よく取り込まれて不溶化し、かつ、生成された炭酸カルシウムの表面において、鉄イオンの存在に起因して重金属が鉄イオンに吸着され、炭酸カルシウムの表面に固定化される。
このため、土壌への注入時には不溶化処理組成物の流動性が良好であり、土壌に効率よく浸透、拡散し、土壌中における反応により固形物である炭酸カルシウム等が析出して重金属を不溶化させるため、土壌中の重金属の不溶化処理効率に優れるものと考えられる。
なお、不溶化処理組成物は、土壌に注入すると、土壌、特に飽和帯水層における土壌粒子の間隙中に存在する間隙水により希釈される。以下に詳述するように、本発明の不溶化処理組成物における有効成分の含有量は、土壌中において間隙水により希釈された後に良好な効果を発現する濃度を勘案して定められている。
<2> 25℃における粘度が、1×10−3Pa・s〜1.5×10−3Pa・sである、<1>に記載の重金属不溶化処理組成物である。
本実施形態によれば、不溶化処理組成物の粘度を上記範囲とすることで、流動性がより良好となり、オーガーなどの掘削装置、機械的撹拌装置等を使用しなくても、不溶化処理組成物の汚染土壌中への浸透、拡散が速やかに行なわれ、土壌中の重金属の不溶化がより効率よく行なわれる。
<3> ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含み、前記カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、前記鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす重金属不溶化処理組成物を処理対象土壌に注入することを含む、重金属汚染土壌の修復方法。
式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
本実施形態によれば、不溶化処理組成物が速やかに重金属汚染土壌中に浸透する。不溶化処理組成物が、尿素と、ウレアーゼ生成微生物とを含有することで、土壌に注入された不溶化処理組成物に含まれるウレアーゼ生成微生物が尿素に作用して尿素の分解を促進させ、その結果生成される炭酸イオンとカルシウムイオンとが反応して土壌内において硬質の炭酸カルシウムが析出する。このとき、カルシウムイオンに対し、カルシウムイオンの含有量よりも低い特定の含有比率の鉄イオンが存在することで、鉄イオンに吸着した重金属が、析出した炭酸カルシウムに効率よく取り込まれて不溶化される。また、鉄イオン自体も水酸化鉄を形成し、さらに、析出した炭酸カルシウム表面においても、鉄イオンが重金属を吸着して固定化するために、土壌中の重金属が効率よく不溶化される。なお、浸透した不溶化処理組成物は、土壌中の間隙水により希釈され、不溶化処理組成物におけるカルシウムイオン濃度及び鉄イオン濃度が、重金属の不溶化がより効果的に行なわれる値に調整される。このため、本発明の重金属汚染土壌の修復方法によれば、効率よく重金属が不溶化されることで土壌に対する重金属の影響が低減され、原位置において重金属汚染土壌の修復が効率よく行なわれる。
<4> 前記重金属不溶化処理組成物を処理対象土壌に注入することが、注入井戸を用いて行なわれ、さらに注入された重金属不溶化処理組成物を、吸入井戸を用いて回収することを含む、<3>に記載の重金属汚染土壌の修復方法。
本実施形態によれば、不溶化処理組成物の流動性が良好であるために、土壌への浸透、拡散が効率よく行なわれ、さらに、土壌中における間隙水により希釈された不溶化処理組成物はより流動性が向上するために、オーガー等の掘削装置を用いることなく、注入井戸と吸入井戸とを用いて重金属汚染土壌の修復を行なうことができ、原位置における重金属汚染土壌の修復をより簡易に行なうことができる。
本発明によれば、流動性が高く、土壌への浸透性が良好であり、重金属の不溶化効果に優れた重金属不溶化処理組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、重金属汚染土壌における重金属の不溶化効果に優れ、重金属汚染土壌を原位置で簡易に処理することができる重金属汚染土壌の修復方法を提供することができる。
重金属不溶化処理組成物供給用の注入井戸と、注入井戸を介した土壌中での重金属不溶化処理組成物の拡散状態を示すモデル図である。 重金属不溶化処理組成物供給用の注入井戸と、吸入井戸の間の土壌中での重金属不溶化処理組成物の移動状態を示すモデル図である。
<重金属不溶化処理組成物>
本発明の重金属不溶化処理組成物は、ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含み、前記カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、前記鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす重金属不溶化処理組成物である。
式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
このような不溶化処理組成物を土壌中に浸透させることで、土壌中において不溶化処理組成物が土壌中の間隙水により希釈されて、不溶化処理組成物に含まれる有効成分が適切な濃度に調整される。希釈された不溶化処理組成物に含まれるウレアーゼ生成微生物が生成するウレアーゼにより尿素が分解して発生した炭酸イオンとカルシウムイオンとが反応して炭酸カルシウムが析出する。
(ウレアーゼ生成微生物)
本発明の不溶化処理組成物は、ウレアーゼ生成微生物を含有する。
ウレアーゼ生成微生物とは、ウレアーゼを生成し、生成されたウレアーゼの触媒作用により尿素を分解して炭酸イオンを生成させる微生物を指す。
ウレアーゼ生成微生物としては、特に限定はなく、例えば、バチルス スポトゥリ、バチルス スポロサルシナ、スポロラクトバチルス、クロストリジウム、デスルホトマキュルムを含む属の一覧から選択される細菌等が挙げられる。本発明におけるウレアーゼ生成微生物は、これらの例に限定されず、多くのウレアーゼを生成し得る微生物を使用することができる。
なかでも、処理される土壌から採取したウレアーゼ生成微生物を用いることが好ましい。即ち、処理される土壌中からウレアーゼ産出能を有する微生物を抽出し、集積培養により活性を高めたウレアーゼ生成微生物を不溶化処理組成物に用いることで、処理される土壌における生態系等への影響を最小限とすることができる。
ウレアーゼ生成微生物の培養方法としては、例えば、処理される原位置の土壌サンプルより採取したウレアーゼ生成微生物群に対して、栄養塩類及び尿素を添加し培養を行う方法が挙げられる。培養方法として、集積培養法を行なうことで、より効率よくウレアーゼ生成微生物の培養を行なうことができる。集積培養法とは、菌体培養液を遠心分離によりろ液と菌体に分離し、新たな培養液を添加することで集積効率の向上および必要培養期間の短縮を図る培養方法である。集積された菌体を、所定濃度の尿素および栄養塩類を加えた培養液に添加し、約30℃の温度条件下で静置培養することで、例えば、7日〜14日間で実際の施工に使用可能な濃度および液量のウレアーゼ生成微生物を得ることができる。
不溶化処理組成物におけるウレアーゼ生成微生物の含有量は、菌体培養液の濃度として、0.3質量%〜15.0質量%が好ましく、0.6質量%〜6.0質量%がより好ましい。
飽和帯水層における土壌中には、一般的に、土壌1m当たり、0.2m前後の間隙水が土壌の間隙に存在する。このため、不溶化処理組成物は土壌中において間隙水によって希釈され、その結果、ウレアーゼ生成微生物の濃度は、注入後の間隙水を勘案すると、土壌中における菌体培養液の濃度として、0.1質量%〜5.0質量%という菌体がウレアーゼを効率よく生成するのに好ましい含有量となり、より好ましい含有量の不溶化処理組成物を用いた場合、間隙水による希釈後には、0.2質量%〜2.0質量%のより好ましい含有量の範囲となる。
(尿素)
本発明の不溶化処理組成物は尿素を含有する。
尿素としては、一般に入手可能な農業用肥料、試薬などを用いることができる。
本発明の不溶化処理組成物に含まれる尿素の含有量は、組成物全量に対して60mg/L〜6000mg/Lであることが好ましく、270mg/L〜2700mg/Lであることがより好ましい。組成物全量に対する尿素の量が上記範囲であると、不溶化処理組成物を土壌に注入した後に、間隙水により希釈された尿素の濃度として、20mg/L〜2000mg/L、より好ましくは、90mg/L〜900mg/Lの範囲となる。土壌中における尿素の含有量が既述の範囲であることで、ウレアーゼ生成微生物の機能と相俟って土壌中で必要量の炭酸イオンを生成することができる。
尿素は水溶液として不溶化処理組成物に含有させることができる。
尿素は単独で不溶化処理組成物に含有させてもよく、後述するように、尿素と、前記ウレアーゼ生成微生物の生育に必要な栄養塩、炭酸水素ナトリウム、カルシウムイオン源となる塩化カルシウム等を含む固化溶液として含有させてもよい。
(カルシウムイオン)
本発明の不溶化処理剤はカルシウムイオンを含有する。
一般的には、水中で解離してカルシウムイオンを生成するカルシウムの塩化物、酸化物、水酸化物などのカルシウム塩として不溶化処理組成物に含有させることが好ましく、なかでも、解離し易いこと、入手が容易であることなどの観点から塩化カルシウム等を用いることが好ましい。
カルシウムイオンの含有量は、不溶化処理組成物に対して、前記式(2)に記載の如く54mg/L〜3000mg/Lの範囲であり、180mg/L〜1800mg/Lの範囲であることが好ましく、540mg/L〜1800mg/Lの範囲であることがより好ましい。不溶化処理組成物中におけるカルシウムイオンの含有量が上記範囲であることで、不溶化処理組成物を土壌に注入した後、間隙水により希釈された組成物におけるカルシウムイオン含有量として18mg/L〜1000mg/Lの範囲となり、好ましくは60mg/L〜600mg/Lの範囲となり、より好ましくは、180mg/L〜600mg/Lの範囲となり、土壌中で重金属を効果的に不溶化するための炭酸カルシウムの析出が効率よく行なわれる。
例えば、前記特許文献1に記載のセメント工法では、実際に使用されているカルシウムイオンの含有量は、500mM〜1000mM、即ち、20g/L〜40g/Lであることに比較して、本発明の不溶化処理組成物を用いれば、極めて少量のカルシウムイオンの添加によって効果を奏することが本発明の利点の一つであるといえる。
(鉄イオン)
本発明の不溶化処理組成物は鉄イオンを含有する。
鉄イオンを不溶化処理組成物に含有させる場合、例えば、鉄イオン溶液として市販されている鉄イオン試薬を用いてもよく、水中で解離して鉄イオンを生成する鉄の塩化物、酸化物、水酸化物などの鉄塩として不溶化処理組成物に含有させてもよい。鉄イオン源としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、グルコン酸鉄などが挙げられる。
鉄イオンの含有量は、不溶化処理組成物に対して、前記式(3)に記載の如く15mg/L〜300mg/Lの範囲であり、30mg/L〜150mg/Lの範囲であることが好ましい。不溶化処理組成物中における鉄イオンの含有量が上記範囲であることで、不溶化処理組成物を土壌に注入した後、間隙水により希釈された組成物における鉄イオン含有量として5mg/L〜100mg/Lの範囲となり、より好ましくは10mg/L〜50mg/Lの範囲となり、土壌中で重金属を効果的に不溶化するための水酸化鉄の析出及び炭酸カルシウム表面における鉄イオンによる重金属の吸着が効率よく行なわれる。
例えば、前記特許文献2に記載の土壌処理方法では、実施例に使用されている鉄イオンの含有量は、土1mに対して、230mM、即ち、12.9g/Lであり、本発明の不溶化処理組成物における鉄イオンの含有量に対し、約250倍〜1000倍であり、本発明の不溶化処理組成物を用いることで、組成物中における鉄イオンの含有量が極めて少量に抑えられている。
カルシウムイオンは、ウレアーゼ生成微生物が生成したウレアーゼ(尿素分解酵素)により尿素が分解されて生成した炭酸イオンと反応し、下記式に記載のような反応により、炭酸カルシウムが土壌中に析出する
CO(NH+2HO → 2NH +CO 2− (尿素の加水分解)
CaCl → Ca2++2Cl (塩化カルシウムの解離)
Ca2++CO 2− → CaCO (炭酸カルシウムの析出)
また、鉄イオンは、土壌中での水酸化鉄生成反応により、ヒ素溶液中におけるヒ素濃度を低減させる効果が知られているが、本発明者らの検討によれば、鉄イオン単独での重金属の固定化効果は実用上満足できるものではなかった。
しかし、カルシウムイオンに対し、以下に記載する比率と含有量とで、少量の鉄イオンを不溶化処理組成物に含有させることにより、重金属の不溶化効果が著しく向上することを見出した。
(カルシウムイオンと鉄イオンの含有量)
本発明においては、カルシウムイオン及び鉄イオンの含有量の比率が重要である。即ち、カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす。
式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
式(1)の規定によれば、鉄イオンの含有量に対するカルシウムイオンの含有比率は、質量基準で2倍〜20倍であることを要し、12倍〜18倍であることが好ましい。
鉄イオンの含有比率が上記範囲よりも小さい場合、鉄イオンの併用による効果が得難く、鉄イオンの含有比率が上記範囲を超えて大きい場合には、鉄イオンの添加に伴う効果の向上が認められず、却って、不溶化処理組成物の粘度が上昇したり、土壌中に不溶化処理組成物を注入した際に所望されない不溶物の析出が起こりやすくなったりするため、好ましくない。
不溶化処理組成物におけるカルシウムイオン及び鉄イオンの含有量は、それぞれ式(2)及び式(3)の規定する範囲である。
また、不溶化処理組成物におけるカルシウムイオン及び鉄イオンの総含有量は、69mg/L以上3300mg/L以下であり、200mg/L以上2000mg/L以下であることが好ましい。
カルシウムイオン及び鉄イオンの総含有量が69mg/L未満である場合、重金属の不溶化効果が不十分となり、3300mg/Lを超えると不溶化処理組成物の粘度が上昇し、作業性が低下するため、いずれも好ましくない。
カルシウムイオン及び鉄イオンを上記含有比率及び含有量で不溶化処理組成物に含有することの作用は明確ではないが、水酸化鉄の生成に伴って鉄イオンに吸着した重金属が、炭酸カルシウムの析出時に炭酸カルシウム内に取り込まれて固定化され、さらに、炭酸カルシウム表面に残存する鉄イオンが重金属を吸着固定化するためと考えられる。カルシウムイオンと鉄イオンとの含有比率が上記範囲であることで、炭酸カルシウムの析出時に固定化される重金属の量が、カルシウムイオン単独による炭酸カルシウムの析出時の重金属の固定化量に比較して、より増大する。また、鉄イオン単独による水酸化鉄形成時の重金属の固定化量を勘案しても、カルシウムイオンと鉄イオンとを併用することで、より効率的な重金属の固定化が行なわれる。このため、カルシウムイオン及び鉄イオンをそれぞれ単独で含有する土壌改良用組成物と比較しても、重金属の固定化効率がより高まったと考えられる。
しかし、本発明は上記推定機構には何ら制限されない。
本発明の不溶化処理組成物は、25℃における粘度が1×10−3Pa・s〜1.5×10−3Pa・sであることが、土壌への浸透性が良好となるという観点から好ましく、1×10−3Pa・s〜1.2×10−3Pa・sであることがより好ましい。
不溶化処理組成物の粘度が上記範囲であることで、不溶化処理組成物を土壌へ注入する際に、掘削などを行なうことなく、直接土壌へ適用して浸透させることができる。このため、25℃における粘度を上記範囲とすることで、例えば、不溶化処理組成物を注入井戸により土壌へ注入することができる。また、土壌中での拡散性もより良好となることから、粘度を上記範囲に調整することが好ましい。
不溶化処理組成物の粘度は、ファンギラブ社製 ラボ用デジタル式回転粘度計 単一円筒型回転粘度計(スピンドルタイプ)を用いて、JIS K7117−1(1991年)に記載の方法に準拠して測定した。
不溶化処理組成物は、常法によりオーガーなどを用いて土壌に注入し、混合することもできる。機械的な掘削装置、混合装置を用いて不溶化処理組成物を土壌に適用する場合には、不溶化処理組成物の粘度が上記範囲を超える範囲であっても問題はない。しかし、土壌中での浸透性を考慮すれば、粘度が低い不溶化処理組成物を用いることが、1回の注入により、より広範な範囲の土壌の修復を行なうことができるため好ましい。
(その他の成分)
本発明の不溶化処理組成物には、ウレアーゼ生成微生物、尿素、カルシウムイオン、及び鉄イオンに加え、本発明の効果を損なわない範囲において他の成分を含有することができる。
不溶化処理組成物には、ウレアーゼ生成微生物の活性をより高める目的で、尿素に加え、ウレアーゼ生成微生物が資化可能な栄養剤を含有することができる。
予め、尿素、栄養剤、カルシウム源である塩化カルシウムなどを含有する固化溶液を調製し、得られた固化溶液とウレアーゼ生成微生物を含む菌体培養液とを用いて不溶化処理組成物を得ることができる。鉄イオンは固化溶液に添加してもよく、別途、不溶化処理組成物に加えてもよい。
固化溶液に用いうる栄養剤には特に制限はなく、微生物の培養に使用される有機物、無機塩等から選ばれる公知の栄養剤を使用することができる。
有機物は、具体的には、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、魚エキス、ペプトン、スクロース、トリプトン、グルコース、ジャガイモ抽出液、廃糖蜜、コンポスト廃液のしぼり汁等が挙げられる。
無機塩は、具体的には、KHPO、NaHPO等のリン酸塩、NHCl等のアンモニア塩、KNO、NHNO等の硝酸塩、微量金属元素溶液等が挙げられる。無機塩のうち、塩化アンモニウム(NHCl)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸アンモニウム(NHNO)等は微生物が増殖する際の窒素源として有用である。
固化溶液には、栄養剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
固化溶液には、栄養剤の他、pH調整剤、緩衝剤などの公知の成分を含むことができる。固化溶液が、pH調整剤、緩衝剤等を適切な量で含むことで、不溶化処理組成物のpHを、微生物に良好な領域に維持することができる。
pH調整剤としては、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。緩衝剤としては、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等が挙げられる。
本発明の不溶化処理組成物は、流動性に優れ、土壌への浸透性と、重金属の不溶化処理効率を両立させ得るため、既述の成分を含む1液構成の組成物とすることができる。
また、流動性をより向上させる観点からは、尿素とカルシウムイオンと鉄イオンとを含む第1液と、菌体培養液を含む第2液とからなる2液構成、或いは、菌体培養液と尿素とを含む第1液と、カルシウムイオンと鉄イオンと含む第2液とからなる2液構成の組成物とすることができる。
<重金属汚染土壌の修復方法>
本発明の重金属汚染土壌の修復方法は、ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含み、前記カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、前記鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす重金属不溶化処理組成物を、処理対象土壌に注入することを含む、重金属汚染土壌の修復方法である。
式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
不溶化処理組成物の注入方法には特に制限はなく、公知の地盤改良方法、土壌改良方法に適用される方法はいずれも本発明の修復方法に適用することができる。
注入方法としては、対象となる重金属汚染土壌表面に不溶化処理組成物を散布する方法、注入井戸を用いて注入する方法、既述のDCM工法を適用する方法等が挙げられる。
本発明の修復方法に用いられる不溶化処理組成物は流動性が良好であるため、注水井戸を用いて土壌に注入することができる。
図1は、本発明の重金属汚染土壌の修復方法に適用することができる不溶化処理組成物供給用の注入井戸10を示すモデル図である。注入井戸10は飽和帯水層に至る筒状の形状を有し、筒状の部材の先端部近傍、図1によれば、飽和帯水層に達する部分に、不溶化処理組成物を土壌へ注入するための図示されない開孔部を筒状の部材の側壁に有する。注入井戸10の地上部から供給された不溶化処理組成物は、注入井戸の先端部近傍に設けられた開孔部から土壌に注入され、周囲の土壌に拡散し、土壌中の重金属の不溶化が進行して土壌が修復される。
予め定められた領域の土壌を修復する場合には、不溶化処理組成物を土壌へ注入する注入井戸10と所定の間隔を置いて図2に示す吸入井戸12を設置し、土壌の修復に用いられた不溶化処理組成物を回収することができる。図2に示すように注入井戸10と吸入井戸12を用いる場合、注入井戸10と吸入井戸12との間に、処理対象土壌が位置するように注入井戸10と吸入井戸12とを配置することにより、不溶化処理組成の土壌中での流動方向が制御され、土壌の修復がより効率よく行なわれる。さらに、吸入井戸12により土壌中の重金属を固定化した固形分を含む使用後の不溶化処理組成物、或いは、反応に関与しなかった不溶化処理を回収することで、不溶化処理組成物の周囲への拡散を抑制することができる。
図1及び図2に示すように、不溶化処理組成物は、土壌に注入され、土壌中の飽和帯水層に至り、周辺土壌へ拡散する。飽和帯水層では、既述のように、土壌粒子間の有効間隙が水で満たされており、この水を間隙水と称する。注入された不溶化処理組成物は土壌粒子間に存在する間隙水により希釈されることになる。
地盤における有効間隙は、土壌1m当たり、一般には0.2m程度であることが知られており、飽和帯水層中において希釈された不溶化処理組成物における各成分が。重金属の不溶化に有効な濃度となるように、本発明の土壌の修復方法では、不溶化処理組成物の濃度および注入量を適宜、決定することが好ましい。
既述のように、不溶化処理組成物を土壌に注入した後、不溶化処理組成物は土壌粒子の間隙に存在する間隙水により希釈される。効果の観点からは、不溶化処理組成物が土壌中に到達して土壌の修復が行なわれる際の実質的な濃度としては、カルシウムイオンの含有量は、18mg/L〜1000mg/Lの範囲が好ましく、60mg/L〜600mg/Lの範囲がより好ましく、180mg/L〜600mg/Lの範囲がさらに好ましい。同様に、鉄イオンの含有量は、間隙水により希釈された後は、5mg/L〜100mg/Lの範囲であることが好ましく、10mg/L〜50mg/Lの範囲がより好ましい。不溶化処理組成物が土壌中で希釈された後のカルシウムイオン及び鉄イオンの含有量が上記範囲となることで、土壌中の重金属を効果的に不溶化するための炭酸カルシウムの析出、水酸化鉄の析出及び炭酸カルシウム表面における鉄イオンによる重金属の吸着が効率よく行なわれる。
したがって、本発明の修復方法では、間隙水による希釈後の濃度を勘案して、土壌中で機能する際の不溶化処理組成物に含まれるカルシウムイオン及び鉄イオン濃度を既述の範囲に調整することが好ましい。即ち、土壌中で機能する実質的な有効成分の濃度を考慮して、不溶化処理組成物の土壌への注入量、土壌へ注入する前の不溶化処理組成物の濃縮或いは希釈条件等を必要に応じて制御することが好ましい。
例えば、修復処理対象土壌100mの場合、処理対象土壌粒に存在する間隙水の水量は、100m×0.2=20mと見積もることができる。不溶化処理組成物の間隙水水量に対する注入量を注入率と称し、注入率は実質的に、10%〜70%程度で実施されることが一般的であり、好ましくは、20%〜50%程度である。
例えば、注入率を20%とし、土壌中で間隙水により希釈された場合の有効な鉄イオン濃度の目標を好適な20mg/Lとした場合、希釈前の不溶化処理組成物における鉄イオンの濃度は、20mg/L÷0.2(20%)=100mg/Lと見積もることができ、希釈前の不溶化処理組成物における鉄イオンの含有量は100mg/Lとすればよい。
なお、本発明の修復方法における効果に影響を与えるのは、最終的に注入後の間隙水により希釈された不溶化処理組成物の有効成分の含有量である。ここでは、鉄イオン濃度を例に検討したが、カルシウムイオン、菌体濃縮液等の使用時における各種有効成分の含有量も、同様である。いずれの有効成分についても、注入後の間隙水により希釈された濃度における有効量と、実際の処理対象土壌における間隙水の含有量とを考慮して、不溶化処理組成物の処方及び注入率を、効果を勘案して決定すればよい。
本発明の土壌修復方法において土壌への注入に用いる不溶化処理組成物は、ウレアーゼ生成微生物、尿素、カルシウムイオン、及び鉄イオンを含有する1液構成であってもよく、ウレアーゼ生成微生物の菌体培養液と尿素とを含む第1液と、カルシウムイオンと鉄イオンとを特定の比率、特定の含有量で含む第2液との2液構成でもよく、ウレアーゼ生成微生物の菌体培養液を含む第1液と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンとを含む第2液との2液構成としてもよい。
既述の本発明の不溶化処理組成物は、以下に述べるように水と殆ど変わらない流動性を有することから、1液構成の組成物であっても土壌にそのまま注入することで十分な効果を奏する。
また、浸透性をより向上させる観点からは、土壌への注入から深部へ到達するまでの流動性により優れ、土壌中に拡散した後に炭酸カルシウムの析出が開始される2液構成の不溶化処理組成物としてもよい。
本発明の不溶化処理組成物は浸透性に優れるため、そのまま注入してもよいが、土壌と効率よく接触させるため、不溶化処理組成物を土壌へ注入した後、土壌の機械的な撹拌を行なってもよい。
本発明の修復方法によれば、不溶化処理組成物が高い浸透性を実現し、土壌注入後に炭酸カルシウム等が析出し、カルシウムイオン及び鉄イオンとの共存により、カルシウム塩内に効率よく重金属を封じ込め、かつ、カルシウム塩の表面において鉄イオンが更に重金属を吸着し、固定化することで、重金属汚染土壌を効果的に修復することができる。
(土壌中の不溶化処理組成物の移動特性について)
土壌中の液体の動きについて考察する。
間隙を水で飽和された土壌粒子間を移動する水の動きは、一般的にダルシーの法則(Darcy’s Raw)に従う。

Q=k・A・i

上記式中、Q[m/s]は、透過液流量を表し、k[m・s−1]は透水係数であり、A[m]は透過面積であり、i[m・m−1]は動水勾配を表す。
(固有透過度と透水係数の関係)
透水係数kは、さらに流体の密度ρ[kg・m−3]、重力加速度g[m・s−2]、粘度μ[Pa・s]、固有透過度K[m]を用いて、以下の関係式が成立する。

k=K・ρg/μ

固有透過度Kとは、土壌などの多孔質体自身の構造特性に由来する透過抵抗であり、粒径分布・粒子の形状・屈曲度・空隙率などから決定される。
一般的に用いられる透水係数は、密度1[g/cm]、粘度1[mPa・s](1×10−3Pa・s:温度20℃)の水が、土壌中などを移動する前提条件で決定されており、密度、粘度が異なる流体の地盤中の移動速度を計算する際には、流体の密度・粘度で補正する必要がある。
(不溶化処理組成物の地盤への注入)
図1のモデル図に示すように、注入井戸を用いて、不溶化処理組成物を土壌中に注入した際には、注入井戸の先端近傍から、周囲の土壌に不溶化処理組成物が拡散する。
重金属汚染土壌及び重金属を含有する地下水汚染の修復方法として注入工法を用いる場合には、コストの観点から、できるだけ少ない井戸本数とすることが好ましい。
不溶化処理組成物を土壌中に効率よく拡散させるためには、地盤の透水性(固有透過度)が大きいこと、組成物の注入圧力(動水勾配)が大きいこと、組成物の粘度が小さいこと、組成物の密度が大きいことが好ましい。
ここで、同じ土壌に不溶化処理組成物を注入する場合、制御可能なパラメーターとしては「粘度μ」と「注入圧力」が挙げられる。
常温(20℃)での水の粘度は、約1[mPa・s]、即ち、約1×10−3Pa・sであることが知られている。これに対し、以下の実施例にて詳述するが、本発明の不溶化処理組成物の粘度は、1.02×10−3Pa・sであり、水とほとんど変わらない。
このことからも、本発明の重金属不溶化処理組成物の土壌への浸透性が良好であることが裏付けられるといえる。
また、他方の制御可能なパラメーターである注入圧力については、本発明の不溶化処理組成物が流動性に優れることから、一般的な土壌に供給する場合には、特に制御する必要はない。
しかし、処理対象土壌の物性、処理対象土壌の量、土壌が存在する環境などを考慮して、必要に応じて不溶化処理組成物の供給に加圧手段を用いてもよい。
例えば、不溶化処理組成物をポンプで圧送すること、オーガーなどを用いて掘削と機械的撹拌手段を併用して不溶化処理組成物を供給すること等の手段をとることができる。
本発明の重金属汚染土壌の修復方法によれば、重金属に汚染された土壌を、掘削、搬出することなく原位置で簡易に修復することができる。本発明の修復方法に用いられる不溶化処理組成物は、流動性が高く、土壌への浸透性が良好であり、重金属の不溶化効果に優れるため、原位置土壌に直接不溶化処理組成物を供給してもよく、また、公知の地盤改良方法、土壌修復方法に用いられる手段を併用して土壌へ不溶化処理組成物を供給してもよい。
このため、本発明の重金属汚染土壌の修復方法は、重金属汚染土壌における重金属の不溶化効果に優れ、重金属汚染土壌を原位置で簡易に処理することができるため、その応用範囲は広い。
また、本発明の方法に用いる不溶化処理組成物は、尿素、カルシウムイオン及び鉄イオンを含有し、周囲の環境に影響を与える懸念がない。さらに、本発明の好ましい態様では、ウレアーゼ生成微生物として、処理対象の原位置土壌から採取した微生物を培養して用いることで、原位置土壌における生態系等の環境に対する影響をより低減することができる。
以下、具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例3〕
1.ウレアーゼ生成微生物の準備
原位置に生息するウレアーゼ生成微生物による重金属不溶化を目的として、高い加水分解反応を持つBacillus pasteurii(最適pH9)を使用した。Bacillus pasteurii の培養にはNH4−YE培地による液体培地を用いた。NH4−YE培地の組成を下記表1に示す。液体培地は、酵母エキスに加え、窒素源としての硫酸アンモニウム、緩衝液としてのトリスヒドロキシメチルアミノメタン(下記、表1には、「0.13M Tris」と略記する)を含有する。
培養したBacillus pasteuriiの活性は、菌体培養液に尿素溶液を混合させ加水分解により発生するアンモニアと炭酸イオンの量を、電気伝導の変化を測定することで評価を行い、活性が安定して高い培養後7日〜10日での菌体培養液を用いた。
2.不溶化処理組成物の調製
2質量%の菌体培養液を用い、尿素(和光純薬(株):尿素)、カルシウムイオン源としての塩化カルシウム(和光純薬(株):塩化カルシウム)、鉄イオン源としての鉄イオン溶液(和光純薬(株)、硫酸第一鉄七水和物)を用いて、下記表2に示すカルシウムイオン、及び鉄イオンの含有量となる実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例3の重金属不溶化処理組成物を調製した。
尿素は水に溶解させて濃度5質量%の尿素水溶液を調製し、1時間保存した後に不溶化処理組成物の調製に使用した。
不溶化処理組成物の成分を十分に撹拌混合して不溶化処理組成物を得た。
その後、得られた各重金属不溶化処理組成物を、間隙水により希釈されたモデルとするため、水で3倍に希釈した。希釈後のカルシウムイオン、鉄イオン、及び尿素の含有量は、下記表2に示すとおりである。

3.不溶化処理組成物の評価
得られた実施例1の不溶化処理組成物の3倍希釈物を、重金属汚染土壌のモデルとしての標準試薬を用いて調製したヒ素溶液(ヒ素濃度:1mg/L)と混合し、混合物におけるヒ素の初期濃度を0.1mg/Lに調整した。得られた混合物を室温で24時間静置した後、残存するヒ素濃度を測定した。
実際の汚染現場におけるヒ素の汚染濃度は、実測値で0.02mg/L〜0.05mg/Lであることが一般的であり、本評価におけるヒ素の初期濃度0.1mg/Lは高い値に設定されている。したがって、本評価は汚染対象土壌として厳しい条件におけるヒ素濃度低減効果の確認を目的としている。
なお、土壌修復の目標値は地下水環境基準(ヒ素濃度:0.01mg/L以下)である。既述の汚染現場におけるヒ素濃度を勘案すれば、初期濃度に対して70%〜80%以上の低減効果が認められれば、通常の修復対象土壌では、地下水環境基準に到達することが可能であり、修復対象土壌の状態によっては、十分に濃度低減効果があると考えられる。
混合液中に残存するヒ素濃度の測定は、JIS K0102 61.2(2013年)に記載の原子吸光光度法に準拠して行なった。
結果を表2に併記する。
表2に示すように、本発明の不溶化処理組成物を用いた場合、ヒ素は不溶化され、ヒ素濃度はいずれの実施例においても大幅に低減された。なかでも、実施例1、実施例3〜実施例5ではヒ素濃度低減の目標値である「0.01mg/L以下」が達成され、実施例2においても、初期のヒ素濃度に対して80%の低減が認められた。
他方、カルシウムイオン、鉄イオンのいずれかを含まない比較例1、比較例3、カルシウムイオンと鉄イオンとの比率が本発明の範囲外である比較例2では、不溶化によるヒ素低減効果は殆ど認められなかった。
〔実施例6、実施例7〕
1.ウレアーゼ生成微生物の準備
処理対象土壌中からウレアーゼ産出能を有する微生物を抽出し、集積培養により活性を高めた微生物を用いて実際のヒ素汚染土壌の溶出液に対して不溶化効果の確認を実施した。
ウレアーゼ生成微生物(集積菌)は、土壌サンプルより採取したウレアーゼ生成微生物群に対して、栄養塩類及び尿素を添加し培養を行った。
集積培養法では、菌体培養液を遠心分離によりろ液と菌体に分離し、新たな培養液を添加することで集積効率の向上および必要培養期間が短縮できる。
集積された菌体を、所定濃度の尿素および栄養塩類を加えた培養液に添加し、約30℃で静置培養することで、7日〜14日間で本発明の修復方法の実施に使用可能な濃度および液量の菌体培養液を得る。
2.不溶化処理組成物に用いる固化溶液
菌体培養液に対して、微生物の生育に必要な栄養塩及び塩化アンモニウムと、加水分解反応のための尿素と、カルシウム源として塩化カルシウムと、pH調整剤である炭酸水素ナトリウムとが含まれている固化溶液を使用した。
鉄イオン源としては、鉄イオン溶液(和光純薬(株)硫酸第一鉄七水和物)を使用した。
固化溶液(0.15mol/L)の組成を下記表3に示す。

実施例6、7ともに、混合後の濃度として、カルシウムイオン600mg/L、鉄イオン50mg/Lの条件で不溶化処理組成物を調製し、実施例6では菌体培養液の濃度を0.2%とし、実施例7では菌体培養液の濃度を2.0%とした。
3.不溶化処理組成物の評価
実施例6及び実施例7では、ヒ素濃度の初期値として、かなり高濃度のヒ素溶液を使用し、高濃度ヒ素溶液に対する本発明の不溶化処理組成物を用いた際のヒ素濃度低減効果を確認する目的で評価を実施した。
得られた実施例6、実施例7の不溶化処理組成物を、ヒ素汚染土壌の抽出液に注入し、室温で24時間放置した後、残存するヒ素濃度を測定した。
ヒ素汚染土壌の抽出液の初期ヒ素濃度は、1.5mg/Lである。
その結果、実施例6では、残存するヒ素濃度が0.031mg/L、実施例7では、残存するヒ素濃度が0.090mg/Lであり、初期のヒ素濃度に対して、実施例6では98%の低減が、実施例7では94%の低減が認められ、実施例6、実施例7の評価結果より、初期濃度1.5mg/Lの高濃度のヒ素溶液に対しても本発明の不溶化処理組成物を用いることで、ヒ素濃度を著しく低減させる効果が確認できた。
〔粘度の測定〕
上記実施例3及び実施例4の不溶化処理組成物の3倍希釈後の25℃における粘度を、ファンギラブ社製 ラボ用デジタル式回転粘度計 単一円筒型回転粘度計(スピンドルタイプ)を用いて、JIS K7117−1(1991年)に記載の方法に準拠して測定した。
また、対照例として、特許文献1に記載の処理液組成物(対照例1)及び特許文献2に記載の処理液組成物(対照例2)を調製して、実施例3と同じ条件で粘度を測定した。
粘度測定後、各組成物を室温(25℃)にて30分静置して、各組成物における沈殿物の発生を目視にて確認したところ、対照例では目視による観察で明らかな沈殿物の発生が確認された。沈殿物をJIS K0102 14.1(2013年)に記載の方法に準拠して吸引ろ過により分離し、分離した固形分の含有量を測定した。
各組成物に含まれるカルシウムイオン及び鉄イオンの量及び粘度、固形分の含有量の測定結果を下記表5に示す。

表5の結果より、本発明の不溶化処理組成物は、粘度が低く、流動性が良好であり、経時による固形分の発生が抑制されており、土壌への注入に適することが確認された。
他方、特許文献1及び特許文献2に記載された対象物の処理液組成物は、粘度が高く、土壌への注入が困難であることが分った。また、静置した後の固形分の発生が著しく、土壌の浄化に適用することが実用上困難であることが確認された。
このように、従来技術の処理組成物ではカルシウムイオンはCa2+として20g/L〜40g/L程度の量で含有し、鉄イオンとしてFe2+として12.8g/Lとなる量で含有するが、このような処理組成物を使用する場合、表5に記載されるように、粘度は約12×10−3Pa・sとなり、本発明の不溶化処理組成物と比較すると浸透速度は1/10程度と極めて小さくなる。
また、実験で確認したところ、経時により多くの水酸化鉄及び水酸化カルシウムである沈殿が生じ、注入時には析出した固形分が土壌の粒子間の間隙を埋めてしまい、継続的な注入は不可能となるものと考えられ、このことから、対照例1、及び対照例2の処理組成物は、地盤への広域な拡散を行なう使用方法には適さないことが確認された。
10 注入井戸(不溶化処理組成物注入井戸)
12 吸入井戸

Claims (4)

  1. ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含み、
    前記カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、前記鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす、重金属不溶化処理組成物。
    式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
    式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
    式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
  2. 25℃における粘度が、1×10−3Pa・s〜1.5×10−3Pa・sである、請求項1に記載の重金属不溶化処理組成物。
  3. ウレアーゼ生成微生物と、尿素と、カルシウムイオンと、鉄イオンと、を含み、
    前記カルシウムイオンの含有量をA(mg/L)とし、前記鉄イオンの含有量をB(mg/L)としたとき、AとBとの関係が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)の条件を満たす重金属不溶化処理組成物を処理対象土壌に注入することを含む、重金属汚染土壌の修復方法。
    式(1):2/1≦A/B≦20/1(質量基準)
    式(2):54mg/L≦A≦3000mg/L
    式(3):15mg/L≦B≦300mg/L
  4. 前記重金属不溶化処理組成物を処理対象土壌に注入することが、注入井戸を用いて行なわれ、注入された重金属不溶化処理組成物を、吸入井戸を用いて回収することを含む、請求項3に記載の重金属汚染土壌の修復方法。
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