JP2020204214A - 泥岩集合体の処理方法、スレーキング防止方法及び残土の重金属浸出防止方法 - Google Patents

泥岩集合体の処理方法、スレーキング防止方法及び残土の重金属浸出防止方法 Download PDF

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一広 金田
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Abstract

【課題】スレーキングの発生及び重金属の浸出が抑制された泥岩集合体を得ることができる泥岩集合体の処理方法、スレーキング防止方法及び残土の重金属浸出防止方法を提供する。【解決手段】泥岩集合体に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、泥岩集合体の処理方法及びその応用。【選択図】図1

Description

本開示は、泥岩集合体の処理方法、スレーキング防止方法及び残土の重金属浸出防止方法に関する。
河川の切土、トンネル掘削、又は構造物構築の掘削工事等の地下掘削などで発生する建設残土は、盛土などの土構造物に再利用される。
建設残土は主成分にもよるが、泥岩集合体等のスレーキングを起こすものが多く含まれている。建設残土で構築された盛土、建造物の基礎部分においてスレーキングが発生すると粘土化し、泥岩集合体を含む建設残土により構築された土構造物が変形を生じる場合があり、変形が著しいと破壊を生じることも懸念される。さらに、建設残土の掘削現場に重金属が含まれていると、建設残土により構築された土構造物から、経時により重金属が浸出する場合がある。
大規模なトンネル建設などの工事においては、大量の建設残土が発生するため、この有効利用が課題となる。建設残土の利用に際しては、建設残土により構築された土構造物の安定化、すなわち、経時による土構造物の変形の抑制、経時による重金属の浸出抑制が重要となる。
さらに、建設残土を用いて構築された現存する土構造物についても、安定化が望まれる。しかし、現存する土構造物に対する対応は、土構造物が既に河川の盛土、道路が配置された盛土、建造物が構築された基礎部分など、現場での対応が必要となる。
なお、泥岩集合体を含む建設残土は、見かけ上は硬い岩を含む残土であるため、従来は、予め処理する必要性が確認できないまま、盛土などの土構造物の構築に利用されてしまう場合があった。
岩盤のスレーキング防止方法としては、外部に露出した岩盤面にアルカリ金属珪酸塩及びアルカリ金属シリコネートを含有する薬剤を塗布し、薬剤が塗布された前記岩盤面を所定の厚さ分掘削して掘削面を形成して、掘削面に構造物を構築する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、小割しない、採土したままの塊状の粗粒材料にソイルモルタルを散布し、ソイルモルタルによって粗粒材料の空隙部を充填する盛土造成工法が提案され、スレーキングが抑制されると記載されている(特許文献2参照)。
特許第6368252号公報 特許第2506024号公報
しかしながら、特許文献1に記載される構想物の構築方法は、岩盤面の表面近傍が疎水化により保護されるのみであり、ある程度の水分の浸透抑制効果があるとしても、岩盤面からの湧水は外部に排出されると記載されることから、土構造物の深部までの水分の浸透抑制効果は期待できない
特許文献2に記載の盛土造成工法では、ソイルモルタルが使用されており、塊状の粗粒材料によって形成される大きな空隙の充填にはある程度有効ではある。しかし、ソイルモルタルは、粗粒材料同士の接合部における微細な空隙、粗粒材料を構成する個々の土粒子中の微細な空隙等の微細な空隙には浸透し難く、水分の浸透と乾燥とが繰り返される如き環境においては、長期間のスレーキング防止効果を得るのは困難である。
また、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、既に構築された土構造物への原位置での施工は困難であった。
泥岩集合体は、見かけ上は硬い岩であるが構造内に空隙を有しているため、集合体の空隙内に水が浸入し、その後乾燥することを繰り返すことにより集合体を構成する土粒子の接触部がゆるんで崩れ、スレーキングが生じると考えられる。
本発明のある実施形態が解決しようとする課題は、スレーキングの発生及び重金属の浸出が抑制された泥岩集合体を得ることができる泥岩集合体の処理方法を提供することである。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、泥岩集合体を含む土構造物の経時によるスレーキングの発生を抑制するスレーキング防止方法を提供することである。
本発明のさらに別の実施形態が解決しようとする課題は、泥岩集合体を含む残土からの経時による重金属の浸出を抑制しうる残土の重金属浸出抑制方法を提供することである。
課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> 泥岩集合体に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、泥岩集合体の処理方法。
本実施形態によれば、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液(以下、「培養液」と称することがある)及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種(以下、ウレアーゼ含有液と称することがある)と、ウレアーゼ含有液に含まれるウレアーゼと反応して固化させる反応液とを、泥岩集合体に付与することで、泥岩集合体に炭酸カルシウムの皮膜が形成され、泥岩集合体中の空隙に水分が浸透することが抑制され、スレーキングが生じ難くなると考えられる。スレーキングが抑制された泥岩集合体を含む建設残土は、盛土、建築物の基礎等として使用した場合もスレーキングが抑制され、盛土の崩壊、建築物のスレーキングに起因する地盤沈下などが抑制される。また、地下掘削土等の建設残土にウレアーゼ含有液と反応液とを散布することで、掘削土中の泥岩集合体に含まれる重金属の浸出が抑制される。
<2> ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する固化液と、を付与した前記泥岩集合体を乾燥する工程をさらに含む、<1>に記載の泥岩集合体の処理方法。
本実施形態によれば、ウレアーゼ含有液と反応液とを泥岩集合体に付与した後、乾燥することで、泥岩集合体の表面に炭酸カルシウムの安定した皮膜が形成され易くなり、効果がより向上する。
<3> 泥岩集合体を含む土構造物に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、スレーキング防止方法。
本実施形態によれば、既に構築された土構造物に対し、ウレアーゼ含有液と反応液とを付与することで、既存の盛土等の土構造物に浸透したウレアーゼと反応液との反応に起因して、土構造物を構成する泥岩集合体の表面に炭酸カルシウムの皮膜が形成され、雨水、河川の水等による土構造物中に含まれる泥岩集合体のスレーキングが効果的に抑制される。
<4> 前記ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を複数回行う、<3>に記載のスレーキング防止方法。
本実施形態では、既存の盛土等の土構造物に対して、ウレアーゼ含有液と反応液とを付与する工程を、複数回行なうことで、土構造物に浸透したウレアーゼと反応液との反応に起因して形成された炭酸カルシウムの皮膜が、より厚い膜となり、より強固な炭酸カルシウムの皮膜が形成されることで、スレーキングの抑制効果がより高まる。
<5> トンネル掘削又は構造物構築の掘削工事において排出される泥岩集合体を含む残土の排出時に、排出された前記残土に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、残土の重金属浸出防止方法。
大規模トンネル掘削工事、構造物を構築する際の掘削工事などで発生する大量の建設残土に対し、例えば、残土のコンベアでの搬出時に、残土に対し、ウレアーゼ含有液と反応液とを振りかける方法、ウレアーゼ含有液と反応液とを含む固化液が満たされた液槽中を搬送して浸漬させる方法等により、ウレアーゼ含有液と反応液とを付与することで、残土に含まれる泥岩集合体からの雨水などによる重金属の浸出が抑制され、且つ、スレーキングの発生も抑制されて、重金属の浸出が抑制された残土が容易に得られる。
本発明のある実施形態によれば、スレーキングの発生及び重金属の浸出が抑制された泥岩集合体を得ることができる泥岩集合体の処理方法を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、泥岩集合体を含む土構造物の経時によるスレーキングの発生を抑制するスレーキング防止方法を提供することができる。
本発明のさらに別の実施形態によれば、泥岩集合体を含む残土からの経時による重金属の浸出を抑制しうる残土の重金属浸出抑制方法を提供することができる。
本開示の泥岩集合体の処理方法により処理された泥岩集合体の一例を示すモデル図である。 実施例1、実施例2及び比較例1の泥岩集合体の処理方法により3回乃至4回繰り返して処理した泥岩集合体の累計沈下歪みと経過時間との関連を示すグラフである。 実施例1、実施例2及び比較例1の泥岩集合体の処理方法により2回繰り返して処理を行った後の泥岩集合体について、積載後の沈下歪みと経過時間との関連を示すグラフである。 実施例1、実施例2及び比較例1の泥岩集合体の処理方法により3回繰り返して処理を行った後の泥岩集合体について、積載後の沈下歪みと経過時間との関連を示すグラフである。 実施例1及び実施例2の泥岩集合体の処理方法により3回繰り返して処理を行った泥岩集合体と、比較例1の泥岩集合体とを、それぞれ沈下歪み測定のための積載試験を実施した後の泥岩集合体の写真である。
以下、本開示の本発明の具体的な実施形態の例について詳細に説明するが、以下の実施形態は一例に過ぎず、以下の記載に何ら限定されず、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において組成物に含まれる各成分の量は、組成物中に、各成分に該当する物質が複数含まれる場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
まず、本開示の泥岩集合体の処理方法について、詳細に説明する。
<泥岩集合体の処理方法>
本開示泥岩集合体の処理方法は、泥岩集合体に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種(ウレアーゼ含有液)と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液(反応液)と、を付与する工程(工程(I))を含む。
本開示の泥岩集合体の処理方法は、工程(I)に加え、後述する如く、他の工程を含んでいてもよい。
本開示の泥岩集合体の処理方法により処理された泥岩集合体を、図面を参照して説明する。図1は、本開示の泥岩集合体の処理方法により処理された泥岩集合体の一例を示すモデル図である。
図1に示すモデル図は、本開示の泥岩集合体の処理方法により処理された泥岩集合体10を模式的に示している。泥岩集合体10は、個々の泥岩12が凝集した集合体であり、泥岩集合体に含まれる泥岩12の隣接部には微細な空隙が形成されている。泥岩集合体10の周辺部は、炭酸カルシウム皮膜14により被覆されている。
本開示の泥岩集合体の処理方法において、泥岩集合体に付与されたウレアーゼ含有液と反応液は、図1に示すように、泥岩集合体の表面に付着するのみならず、泥岩集合体に含まれる個々の泥岩の間隙に浸透して、個々の泥岩の周辺及び複数の隣接する泥岩の内部の空隙に浸透する。その結果、ウレアーゼ含有液と反応液との反応生成物である炭酸カルシウム皮膜14が、泥岩集合体10の外周面のみならず、個々の泥岩12の周辺部及び泥岩12により形成される空隙の内部にも形成される。形成された炭酸カルシウム皮膜14により泥岩集合体10の内部への水分の浸透及び泥岩集合体に含まれる重金属の水分の影響による外部への浸出が抑制される。
〔泥岩集合体に、ウレアーゼ含有液と、反応液と、を付与する工程:工程(I)〕
本工程(I)において、ウレアーゼ含有液と、反応液と、泥岩集合体に付与する方法には特に制限はない。
泥岩集合体に対し、ウレアーゼ含有液と、反応液と、を逐次又は同時に付与してもよく、ウレアーゼ含有液と反応液とを混合して得られる固化液を付与してもよい。
付与する方法としては、泥岩集合体にウレアーゼ含有液と、反応液と、を散布する方法、泥岩集合体をウレアーゼ含有液と反応液との混合液である固化液に浸漬する方法、泥岩集合体を含む土構造物にウレアーゼ含有液と、反応液と、を注入する方法等が挙げられる。しかし、上記方法には制限されず、ウレアーゼ含有液と反応液、又は固化液が泥岩集合体と接触することができれば、公知の液体付与方法を任意に適用することができる。
(ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ含有液)
ウレアーゼ生産微生物は、尿素を分解するウレアーゼ(尿素分解酵素)を生産可能な微生物であり、ウレアーゼを生成し、生成されたウレアーゼの触媒作用により尿素を加水分解して炭酸イオンを生成させる微生物を指す。
ウレアーゼ生産微生物としては、バチルス、スポロサルシナ、スポロラクトバチルス、クロストリジウム、デスルホトマキュルムを含む属の一覧から選択される細菌等が挙げられる。
培養液が含みうるウレアーゼ生産微生物は、上記の例に限定されず、多くのウレアーゼを生成し得る微生物を使用することができる。
培養液に含まれるウレアーゼ生産微生物は、市販品を用いてもよく、処理対象である残土から採取して培養した微生物を用いてもよく、本開示の処理方法により処理した泥岩集合体を適用する現場より採取して培養した微生物を用いてもよい。
本開示の工程(I)に用いる培養液中におけるウレアーゼ生産微生物の含有量には特に制限はない。効果の観点からは、培養液中に含まれるウレアーゼ生産微生物及び後述の栄養源の種類と含有量とを制御することにより、培養液中のウレアーゼの含有量を、5mg/l(リットル)以上100mg/l以下の範囲とすることが好ましく、5mg/l以上10mg/l以下の範囲とすることがより好ましい。
培養液には、必要に応じて、ウレアーゼ生産微生物に加え、他の成分を含んでもよい。他の成分としては、ウレアーゼ生産微生物の栄養源、pH緩衝剤等が挙げられる。
培養液に含まれ得る栄養源には特に制限はなく、有機物、無機塩等を栄養源として使用することができる。
有機物としては、具体的には、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、魚エキス、ペプトン、スクロース、トリプトン、グルコース、ジャガイモ抽出液、廃糖蜜、コンポスト廃液のしぼり汁等が挙げられる。
無機塩としては、具体的には、KHPO、NaHPO等のリン酸塩、NHCl等のアンモニア塩、KNO3、NHNO等の硝酸塩、微量金属元素溶液等が挙げられる。
培養液に栄養源を含有させる場合、1種のみを含有させてもよく、2種以上を含有させてもよい。
培養液に用いられる液状媒体としては、純水、水道水、及び河川水などの環境水から選ばれる水等を用いることができる。
なお、培養液は、含まれる微生物が微小であり、微生物以外の成分は、いずれも水溶性成分であるために、培養液の泥岩集合体を含む建設残土への浸透性は殆ど水と変らず、泥岩集合体に対する浸透性は良好である。
本開示では、既述の培養液に代えて、尿素分解酵素としてのウレアーゼを含有するウレアーゼ含有液を用いることもできる。培養液に代えて用い得るウレアーゼ含有液におけるウレアーゼとしては、水に溶解又は分散した場合、媒体である水の泥岩集合体への浸透性を低下させない程度の、浸透性が良好な水溶液を調製しうるウレアーゼであればいずれも用いることができる。
ウレアーゼは、一般に市販されている、酵素としてのウレアーゼを適宜入手して用いることができる。
(尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液)
反応液は、ウレアーゼ生産微生物が生成したウレアーゼ又はウレアーゼ含有液に含まれるウレアーゼと反応して固化する成分、具体的には、尿素及びカルシウムイオンを含有し、その他の成分をさらに含有してもよい。
(尿素)
尿素としては、一般に入手可能な農業用肥料、試薬などを用いることができる。
固化液に含まれる尿素の含有量は、6g/l(リットル)以上30g/l以下であることが好ましく、8g/l以上20g/l以下であることがより好ましい。
尿素の含有量が上記範囲において、反応液の泥岩集合体への浸透性が良好な範囲に維持され、カルシウムイオンを固化させるに充分な量の炭酸イオンを生成することができ、かつ、含有量に対する効果の観点から、コスト的にも有利である。
(カルシウムイオン)
カルシウムイオンは、ウレアーゼと尿素との反応により生成した炭酸イオンと反応して炭酸カルシウムを生成する成分である。泥岩集合体の表面及び泥岩集合体に含まれる個々の泥岩同士が形成する空隙において、生成された炭酸カルシウムにより泥岩集合体に水比浸透性の炭酸カルシウム皮膜が形成される。また、泥岩集合体の外表面に炭酸カルシウム皮膜が形成されるのみならず、さらに、例えば、泥岩集合体における個々の泥岩の周辺部に炭酸カルシウム皮膜が形成される、個々の泥岩間の空隙が炭酸カルシウムにより充填される、等の現象を生じる場合があり、これらの現象の少なくともいずれかにより泥岩集合体のスレーキングを、さらに高いレベルで抑制することができる。
反応液には、水溶液中でカルシウムイオンを生成させうるカルシウム塩化合物を含有さればよい。前記カルシウム塩化合物を水に溶解させることで、反応液にカルシウムイオンを含有させることができる。
反応液の調製に用いうる水溶性のカルシウム塩としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。
反応液に含まれるカルシウムイオンの含有量は、6g/l以上45g/l以下であることが好ましく10g/l以上40g/l以下であることがより好ましい。
カルシウムイオンの含有量が上記範囲において、反応液の泥岩集合体への浸透性を低下させることなく、尿素と反応して泥岩集合体表面或いはその内部に充分な厚みの炭酸カルシウム皮膜を形成させることができる。
反応液には、尿素及びカルシウムイオンに加え、必要に応じて、その他の成分をさらに含有してもよい。
その他の成分としては、pH調整剤、反応遅延材等が挙げられる。
pH調整剤としては、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。反応液は、pH調整剤を用いて、pHを6.0〜9.0の範囲に調整することが、培養液との反応性の観点から好ましい。
ウレアーゼ含有液と反応液とは、既述のように、泥岩集合体に別々に付与してもよく、両者を予め混合した固化液として付与してもよい。
泥岩集合体のなかでも、特に泥岩の各粒子の粒径が小さく、粘土化している如き泥岩集合体を処理する場合、ウレアーゼ含有液と反応液とを散布する方法、注入する方法などをとる際には、泥岩集合体中へのウレアーゼ含有液と反応液との浸透性がより向上するという観点から、ウレアーゼ含有液と反応液と別々に付与することが好ましい。
ウレアーゼ含有液と反応液とが接触することで、或いは、ウレアーゼ含有液と反応液とを混合して固化液を調製することで、ウレアーゼ(尿素分解酵素)と、反応液に含まれる尿素とが接触し、ウレアーゼ生産微生物由来の或いは酵素として含まれるウレアーゼにより、尿素が分解され、炭酸イオンが生成される。
生成された炭酸イオンは、反応液に含まれるカルシウムイオンと反応し、下記式に記載の如き反応により、炭酸カルシウムが析出し、泥岩集合体の表面に炭酸カルシウム皮膜を形成する。
(反応1:ウレアーゼ活性による尿素の加水分解)
CO(NH+2HO→(ウレアーゼ)→2NH +CO 2−(炭酸イオン)
(反応2:炭酸カルシウム析出)
Ca2+(カルシウムイオン)+CO 2−→ CaCO(固化物)
固化物である炭酸カルシウム皮膜が、泥岩集合体の表面、個々の泥岩の表面に形成され、さらに、泥岩集合体中の個々の泥岩間の空隙に浸透して、炭酸カルシウムが空隙を充填することで、泥岩集合体のスレーキング及び泥岩集合体からの重金属の浸出が効果的に抑制される。
ウレアーゼ含有液と反応液又は両者の混合物である固化液の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。
泥岩集合体にウレアーゼ含有液と反応液又は両者の混合物である固化液を散布又は注入により付与する場合には、既述の各成分の好ましい付与量を考慮して、適宜、付与量を調整すればよい。
固化液に泥岩集合体を浸漬する場合には、十分に泥岩集合体が隠れる量の固化液に浸漬させればよい。
(ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与した前記泥岩集合体を乾燥する工程(工程(II)))
本開示の泥岩集合体の処理方法は、上記工程(I)の後で、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与した前記泥岩集合体を乾燥する工程(工程(II))を含むことができる。
まず、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を泥岩集合体に付与した後、泥岩集合体を乾燥させる工程を行うことで、泥岩集合体の表面に付着した液、泥岩集合体の内部に浸透した液等が乾燥することにより速やかに炭酸カルシウム皮膜が形成される。従って、緻密な炭酸カルシウム皮膜がより速やかに形成され、スレーキング防止などの効果がより向上すると考えられる。
また、工程(II)により固化液等を乾燥することで形成された炭酸カルシウム皮膜を有する泥岩集合体に、さらに、工程(I)を行うことで、形成された炭酸カルシウム皮膜の表面に親和性よく、新たに生成した炭酸カルシウムが付着して、膜厚がより厚く、より強固な炭酸カルシウム皮膜が形成され易くなる。
本開示の泥岩集合体の処理方法においては、浸漬用のモールドに泥岩集合体を充填した状態で固化液を投入し、モールド内で、泥岩集合体の表面に炭酸カルシウム皮膜を析出させる方法をとることができる。モールド内に予め泥岩集合体を充填することで、固化液中で、泥岩集合体の表面のみならず、泥岩の周辺部にも炭酸カルシウム皮膜が形成され、泥岩と泥岩の接触点にも炭酸カルシウム皮膜が形成される。このため、スレーキング抑制効果がより高まると考えられる。即ち、個々の泥岩と泥岩との接触点から粘土化(スレーキング)が発生し易いことから、泥岩をモールド内に充填して、本開示の処理を行うことにより、泥岩と泥岩との接触点において炭酸カルシウム皮膜が形成され易くなり、スレーキング防止効果がより高まるためと考えられる。
また、泥岩集合体を含む建設残土を、バットに拡げて配置し、そこに固化液を付与して炭酸カルシウム皮膜を形成させることもできる。この方法では、モールドに充填した状態で固化液を付与する場合に比較して、個々の泥岩の炭酸カルシウム皮膜の形成性は良好であるが、処理後の泥岩集合体をモールドに充填して評価したスレーキング抑制効果は、前者の方法による評価結果の方がやや良好であった。これは、バットに拡げて処理する方法では、泥岩同士の接触点が少なくなり、接触点における炭酸カルシウム皮膜の形成性がやや低くるためと考えられる。
このことから、モールド内に充填した状態と類似の状態と考えられる既存の盛土などの土構造物に本開示の泥岩集合体の処理方法を適用することで、良好な効果を得られることが期待できる。
〔スレーキング防止方法〕
本開示のスレーキング防止方法は、泥岩集合体を含む土構造物に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む。
本開示のスレーキング防止方法は、新たに構築された土構造物及び既存の土構造物のいずれにも適用することができる。
上記工程において用いられるウレアーゼ含有液と反応液又は固化液は、前記本開示の泥岩集合体の処理方法において用いたものと同じであり、好ましい例も同様である。
土構造物としては、盛土、建設残土を利用した建造物の基礎部分及び導路の基礎部分、河川の堤防、切土等によって地表面に出現した地山などが挙げられる。
土構造物に対し、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を付与する方法には特に制限はない。例えば、土構造物に、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を散布する方法、ウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液を土構造物中に注入する方法等が挙げられる。ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を注入する場合、土構造物に穴を形成して注入してもよく、土構造物に注入管を挿入して、中空管から液を注入してもよい。
なお、付与方法は、上記方法には限定されず、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液が、土構造物中に存在する泥岩集合体に対し、十分な量で付与することができれば、公知の液体付与方法を任意に適用することができる。
ウレアーゼ含有液と反応液とを別々に、逐次、土構造物に付与する場合、ウレアーゼ含有液と反応液との付与順は任意であり、いずれが先に土構造物に付与されてもよい。
付与量は、スレーキング防止処理の対象となる土構造物の規模、スレーキング防止処理が必要な土構造物の深さから、適宜決定することができる。このとき、土構造物中に存在する泥岩集合体に十分な量のウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液を付与することが、効果の観点から好ましい。
ウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液の付与に注入管を用いる場合、注入管の挿入本数、挿入位置は、処理する土構造物の、基礎上に既に構築された建造物の有無、処理に要する期間などを考慮して任意に選択することができる。
複数の注入管を用いる場合、一方の注入管から、ウレアーゼ含有液を注入し、他方の注入管から反応液を注入することもできる。
また、注入管から、ウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液を付与し、注入管と離間して設けられた吸収管から吸引を行うことで、土構造物中に効率よくウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液を行き渡らせることもできる。
本開示のスレーキング防止方法では、流動性、浸透性に優れたウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を、土構造物に付与するのみで、現地においてスレーキング防止処理することができ、通常、対応が困難である建物などの構造物が存在する土構造物においても、実施することができることが、従来公知の方法ではなし得なかった本開示のスレーキング防止方法における利点の一つである。
なお、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液の土構造物への注入を、より効率よく行なうため、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を、注入管に加圧注入してもよい。
なお、加圧注入を行なうため、注入管に蓋を設け、蓋部分で空気圧を注入することにより、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液の加圧注入を効率よく行なうことができる。空気圧を付与する方法としては、例えばコンプレッサーを使用するなど、公知の方法を適宜、適用することができる。
本開示のスレーキング防止方法において、土構造物に付与するウレアーゼ含有液と反応液又は固化液の付与量は、目的に応じて適宜選択できる。
ウレアーゼ含有液と反応液、又は固化液の添加量は、処理対象となる粘性土地盤における粘性土粒子の間隙体積に対しての比率を勘案して規定することができる。
培養液及び固化液の添加量は、土粒子の間隙体積PVに対し、0.05から3.0であることが好ましく、0.1から2.0であることがより好ましい。
なお、間隙体積PVは相対密度Drから換算される。例えば、総体積をVcmとすると、相対密度をDr=a%とした場合、間隙の総量はaVcmとなる。
本開示のスレーキング防止方法が実施された土構造物であることは、以下に記載する方法により炭酸カルシウム析出率と間隙比との関係を確認することで、推定することができる。
さらに、ボーリングなどの地盤調査により、地盤のN値を測定すること、ボーリングなどの地盤調査により地盤のコアを採取して、室内実験などを行うこと、等の手段によって、分析、確認することにより、本開示のスレーキング防止方法が実施された土構造物であることを推定することができる。
なお、N値は、JIS A 1219(2001年) 標準貫入試験により求めることができる。
本開示のスレーキング防止方法では、前記ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を、複数回行うことが効果の観点から好ましい。
既存の土構造物に、まず、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を付与する工程を行い、その後、その工程を複数回行うことで、泥岩集合体の表面等に形成される炭酸カルシウム皮膜がより厚く、より強固となるため、スレーキング防止効果がより高まる。
なかでも、2回目以降の工程を行う場合、1回目の工程の後、ある程度の期間をおいて2回目を行うことで、1回目の工程で形成される炭酸カルシウム皮膜上に、さらに新たな炭酸カルシウム皮膜が形成されることで、より緻密であり、より強固な皮膜が形成される。
例えば、1回目の工程により ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を付与した後、1時間以上の時間をおいて、2回目の工程を行うことが好ましい。例えば、1回目の工程(前工程)から、2回目の工程(後工程)を行うまでの期間は、1時間以上であることが好ましく、6時間以上であることが好ましく、12時間以上であることがより好ましい。3回以上同じ工程を繰り返す場合も、同様の時間をおいて行うことが好ましい。
なお、既存の土構造物に本開示のスレーキング防止方法を行う場合には、1回目の工程終了後に、降雨などにより水が浸透すると、形成された炭酸カルシウム皮膜の厚みが減少する場合があるため、計画された回数の工程がすべて終了するまで、現場を遮水シートで被覆することも好ましい方法である。
また、スレーキング防止方法の実施中又は実施後に、降雨などにより、既に土構造物中に水が浸透したことが明らかになった場合には、2回、3回及び4回など、処理工程の回数を増やすことで、目的とするスレーキング防止効果を達成できると考えられる。
本開示のスレーキング防止方法は、既存の土構造物のいずれにも適用することができ、簡易な方法により良好なスレーキング防止効果が得られることから、道路の基礎部分の盛土、建造物の基礎部分、河川の近傍に造成された土塁、盛土、堤防など、雨水、河川の水、土中からの湧出水などが懸念される多くの土構造物のいずれにも適用することができ、応用範囲は広い。
<残土の重金属浸出防止方法>
本開示の残土の重金属浸出防止方法は、トンネル掘削又は構造物構築の掘削工事において排出される泥岩集合体を含む残土の排出時に、排出された前記残土に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む。
トンネルの掘削時又は構造物構築時の掘削工事においては、多くの残土が排出され、残土には、泥岩集合体が多く含まれる。大量に排出される残土は、通常、土構造物の構築に利用されるため、予め処理することで、残土の利用箇所における残土に含まれる重金属の浸出を防止することにより、残土利用した箇所における環境汚染を抑制することができ、さらにスレーキング防止効果も得られるため、好ましい。
例えば、トンネル掘削時に排出される泥岩集合体を含む残土の排出時に、排出された前記残土に、ウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液を付与する。用いられるウレアーゼ含有液及び反応液、もしくは、固化液は前記本開示の泥岩集合体の処理方法において用いたものと同じであり、好ましい例も同様である。
付与方法としては、残土のコンベアでの搬出時に、残土にウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を振りかける方法、ウレアーゼ含有液と反応液又は固化液が満たされた液槽中をコンベア搬送して浸漬させる方法等が挙げられる。
また、現場近くにサイトを設け、サイト内にウレアーゼ含有液と反応液又は固化液を満たしておき、サイト内に残土を投入し、所定時間保持した後、搬出する方法などをとることができる。
本開示の残土の重金属浸出防止方法を、搬出された残土に適用することで、スレーキングが防止され、且つ、雨水などによる重金属の浸出が抑制された残土が容易に得られる。
以下、具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、以下「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
水1000mL〔ミリリットル〕に、ウレアーゼ7mg、尿素20g及び塩化カルシウム37gを添加して、混合し、固化液を調製した。
泥岩集合体は、実際のサイトから採取した泥岩集合体を19mm〜37.5mmの粒径に調製して被検体とした。
被検体としての泥岩集合体2.5kgを、内径14.7cm 高さ12.7cmの円筒形の圧縮容器(モールド)に充填して、得られた固化液を、泥岩集合体が十分に浸漬される量で供給し、泥岩集合体を固化液に1時間浸漬した。
その後、固化液を除去し、1時間自然乾燥した。
この工程を、24時間の間隔で3回繰り返し、実施例1の処理された泥岩集合体を得た。
〔実施例2〕
泥岩集合体を、圧縮容器に充填することに代えて、バットに拡げ、実施例1と同様にして得られた固化液を、泥岩集合体が十分に浸漬される量で供給し、1時間浸漬した。
その後、固化液を除去し、1時間自然乾燥した。
この工程を、24時間の間隔で3回繰り返し、実施例2の処理された泥岩集合体を得た。
〔比較例1〕
未処理の泥岩集合体を比較例1とした。
(泥岩集合体の評価)
1.スレーキング評価用前処理
得られた実施例1、実施例2及び比較例1の泥岩集合体を、自然状態で1日(20kN/m)載荷した後、1日水浸させ、2日間空気を通気させる(1回目)。さらに1日水浸させ、2日間空気を通気させた(2回目)。
2.圧縮歪み抑制評価
圧縮歪み抑制の評価試験は、20kN/mという荷重一定下において乾湿繰り返した時の泥岩集合体の圧縮量について調べた。
結果を、図2に示す。図2のグラフでは、「1回目」の破線の間で、固化液を浸漬し、その後、固化液を除去して、「2回目」の破線の時間まで乾燥を行い、「2回目」の破線の間で、2回目の固化液浸漬を行い、固化液を除去して、「3回目」の破線の時間まで乾燥を行い、「3回目」の破線の間で、3回目の固化液浸漬を行った。
図2に示すように、実施例1の処理済み泥岩集合体では、1回目の処理及び乾燥後に、比較例1に比較して若干の圧縮歪みの改良効果が見られ、2回目処理後、3回目処理後には、比較例1に比較して、さらに圧縮歪み抑制効果が良好となったことがわかる。
また、実施例2の処理済み泥岩集合体も、実施例1よりは圧縮歪み抑制効果はやや低いが、未処理の比較例1の泥岩集合体に対しては、優位に沈下歪みの抑制効果が見られた。ここで、沈下歪みは、圧縮歪みと同義である。
図3は、実施例1、実施例2及び比較例1について、20kN/mという一定荷重の積載時に、上記泥岩集合体の処理方法を2回繰り返して処理を行った後の泥岩集合体の試料について、沈下歪みと経過時間との関連を示すグラフである。
図3の結果より、浸漬後5分以上にて、比較例1の泥岩集合体では、沈下歪みが著しくなったのに対し、実施例1及び実施例2の処理方法を施した泥岩集合体では、沈下歪みが抑制され、その効果は、経過時間を長くしても維持されていることがわかる。また、実施例1の処理方法を行った泥岩集合体は、実施例2の処理方法で得た泥岩集合体よりも、沈下歪みの抑制効果はより良好であった。
図4は、実施例1、実施例2及び比較例1について、20kN/mという一定荷重の積載時に、上記泥岩集合体の処理方法を3回繰り返して処理を行った後の泥岩集合体の試料について、20kN/mという荷重を積載後の、沈下歪みと経過時間との関連を示すグラフである。
図4の結果より、積載開始直後から、比較例1の泥岩集合体では、沈下歪みが大きいのに対し、実施例1及び実施例2の処理方法を施した泥岩集合体では、沈下歪みは抑制され、その効果は、経過時間を長くしても維持されていることがわかる。また、実施例1の処理方法を行った泥岩集合体は、実施例2の処理方法で得た泥岩集合体よりも、沈下歪みの抑制効果はより良好であった。
3.外観評価
図5は、3回の処理を行い、圧縮歪み抑制評価を行った後の泥岩集合体の写真である。実施例1の処理を行った泥岩集合体では、大きな泥岩集合体の形状が維持され、表面に白い炭酸カルシウム皮膜が形成されていることがわかる。実施例2の処理を行った泥岩集合体では、実施例1よりもやや集合体のサイズが小さいが、表面にうっすら白い炭酸カルシウム皮膜が形成されていることがわかる。
図5により、実施例1及び実施例2の処理を行った泥岩集合体は、炭酸カルシウム皮膜により被覆されていることが確認できた。このため、泥岩集合体への水分の浸透が抑制されてスレーキングが防止されていることが確認された。このことから、本開示の泥岩集合体の処理方法により、泥岩集合体内部への水分浸透に起因する、泥岩集合体の内部に存在する重金属の浸出が抑制されることが期待できる。
比較例1として、未処理の泥岩集合体の写真も図5に示す。未処理の泥岩集合体である比較例1の圧縮歪み抑制効果が低いのは、先に述べたとおりであるが、外観においても、スレーキングにより、泥岩集合体の形状が崩れ、微細な粉体が混合していることがわかる。
既述のように、本発明の泥岩集合体の処理方法によれば、荷重が積載されている状態でも、スレーキングが防止され、その結果、荷重をかけた後でも、スレーキングによる沈下歪みが抑制されており、実施例の泥岩集合体の処理方法によれば、土構造物のスレーキングによる地盤の沈降、土構造物の崩壊等の抑制等が期待できることがわかる。
10 泥岩集合体
12 泥岩
14 炭酸カルシウム皮膜

Claims (5)

  1. 泥岩集合体に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、泥岩集合体の処理方法。
  2. ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する固化液と、を付与した前記泥岩集合体を乾燥する工程をさらに含む、請求項1に記載の泥岩集合体の処理方法。
  3. 泥岩集合体を含む土構造物に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、スレーキング防止方法。
  4. 前記ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を複数回行う、請求項3に記載のスレーキング防止方法。
  5. トンネル掘削又は構造物構築の掘削工事において排出される泥岩集合体を含む残土の排出時に、排出された前記残土に、ウレアーゼ生産微生物を含む培養液及びウレアーゼ水溶液から選ばれる少なくとも1種と、尿素水溶液及びカルシウムイオンを含有する反応液と、を付与する工程を含む、残土の重金属浸出防止方法。
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