(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置及び取引プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、自動取引装置に適用した例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の自動取引装置1の機能的構成について示したブロック図である。図2は、この実施形態の自動取引装置1の外観斜視図である。
自動取引装置1は、金融機関の店舗やコンビニエンスストア等に設置されるものであり、取引処理を行う顧客(ユーザ)の操作や、ホストコンピュータ2との通信を伴う情報処理(例えば、トランザクション処理)により、当該顧客との取引処理(例えば、当該顧客の口座への現金の預入処理等)を行うものである。
自動取引装置1は、制御部10、データ記憶部20、操作表示部30、カードリーダ40、レシートプリンタ50、現金処理部60、ジャーナルプリンタ70を有している。
制御部10は、自動取引装置1内の各部の動作を制御する機能を担っているものであり、取引処理部110、及び通信部120を有している。また、データ記憶部20は、制御部10が情報処理を行うために必要な各種情報等を格納するデータ記憶手段であり、例えば、各種メモリ等により構成することができる。
制御部10は、例えば、プロセッサ等を含むプログラムの実施構成(コンピュータ)に実施形態のプログラム(取引処理部110の処理構成を含むプログラム)等をインストールすることにより実現することができる。上述のプログラムは、例えば、データ記憶部20に記憶しておき、自動取引装置1が起動したときに、制御部10が読み込んで実行するようにしても良い。
通信部120は、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。なお、通信部120については、既存の自動取引装置等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
取引処理部110は、顧客との取引を行うための情報処理(顧客への情報の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴って自動取引装置1内の各構成要素の制御等を行うものである。
操作画面表示部としての操作表示部30は、当該自動取引装置1のユーザインタフェース機能を担っている。操作表示部30は、タッチパネルディスプレイを用いて顧客に操作画面を提供するものである。操作表示部30は、取引処理部110の制御に応じた操作画面を表示して、情報出力及び操作受付(情報入力の受付け)を行うことが可能である。
カードリーダ40は、顧客からカード挿入排出口41に挿入されたキャッシュカードを吸入してのデータ読取を行うものである。
レシートプリンタ50は、取引内容を印字したレシートをレシート排出部51から排出するものである。
ジャーナルプリンタ70は、取引内容の履歴を用紙(例えば、ジャーナル用のロール紙)に印刷するものである。
現金処理部60は、顧客から入金された現金(紙幣及び又は硬貨)を収納する機能と、収納されている現金を顧客に出金(排出)する機能を担っている。なお、現金処理部60は、既存の自動取引装置等と同様のものを適用することができる。この実施形態では、現金処理部60は、紙幣を収納する紙幣収納部610と、硬貨を収納する硬貨収納部620を有しているものとする。紙幣収納部610では、図2に示す紙幣入出金口611から紙幣の入出金を行うことが可能である。また、硬貨収納部620では、図2に示す硬貨入出金口621から硬貨の入出金を行うことが可能である。
次に、取引処理部110が顧客から暗証番号や取引金額等の取引情報の入力を受付ける処理(以下、「取引情報入力処理」と呼ぶ)の内容について説明する。
取引処理部110は、第1の取引情報としての暗証番号の入力を受付ける操作画面(以下、「暗証番号入力画面」、又は「第1の情報入力操作画面」と呼ぶ)の入力を受付けた後に、第2の取引情報としての取引金額の入力を受付ける操作画面(以下、「取引金額入力画面」、又は「第2の情報入力操作画面」と呼ぶ)を表示する際、取引金額入力画面と暗証番号入力画面との違いを認識しやすくする表示を行う。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、上記のような構成を有する第1の実施形態の自動取引装置1の動作について説明する。
まず、自動取引装置1において暗証番号や取引金額等の特定情報の入力を伴う取引処理が行われる場合の例として、出金取引が行われる場合の動作について説明する。
図3は、自動取引装置1を構成する制御部10(取引処理部110)で出金取引が行われる場合の動作について示したフローチャートである。
まず、キャッシュカードがカードリーダ40に挿入されたものする(S101)。
そして、取引処理部110は、図4に示すような取引処理の選択画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)を、操作表示部30の画面に表示させる(S102)。
図4は、操作表示部30の画面上に表示される取引選択画面の構成例について示した説明図である。図4の取引選択画面では、当該顧客の口座(例えば、カードリーダ40に挿入したキャッシュカードに対応する口座)から出金する出金取引を開始するためのボタンB101(「出金」と表示されたボタン)と、当該顧客の口座以外の他の口座への口座間振込みを受付ける振込取引を開始するためのボタンB102(「振込」と表示されたボタン)と、当該顧客の口座に入金(預金)する預入取引を開始するためのボタンB103(「預入」と表示されたボタン)と、当該顧客の口座の残高照会を受付けるためのボタンB104(「残高照会」と表示されたボタン)とが配置されている。
そして、取引選択画面で出金取引を開始するためのボタンB101が押下されると、取引処理部110は、暗証番号の入力を受付ける暗証番号入力画面を操作表示部30の画面に表示させる(S103)。
暗証番号入力画面で、顧客により暗証番号が入力されると(S104)、取引処理部110は、顧客に取引金額の入力を要求する取引金額入力画面を操作表示部30に表示させて、取引金額の入力を受付ける(S105)。このとき、暗証番号入力画面から取引金額(出金金額)の入力を要求する操作画面に遷移する際の詳細処理及び取引金額入力画面の詳細画面については後述する。また、取引処理部110は、取引金額入力画面で取引き金額が入力された後に、顧客に入力された取引金額を確認させる操作画面(以下、「取引金額確認画面」と呼ぶ)を表示させて、顧客から取引金額の確認を受付ける。
次に、取引処理部110は、当該取引(出金取引)に係る情報処理(例えば、ホストコンピュータ2との電文を用いたトランザクション処理)を実行し、成功したものとする(S107)。
次に、取引処理部110は、取引の情報処理結果に従ってレシートプリンタ50からのレシート出力処理(S108)、カードリーダ40からのカード排出処理(S109)、現金処理部60からの現金出金処理(S110)を行うことになる。
次に、取引処理部110が顧客から暗証番号及び取引金額の入力を受付ける際の処理について説明する。
上述の通り、取引処理部110は、暗証番号入力画面で暗証番号の入力を受付けた後に、取引金額入力画面で取引金額の入力を受付ける際、暗証番号入力画面と取引金額入力画面との違いを顧客に認識しやすくする表示を行う。以下では、暗証番号入力画面と取引金額入力画面との違いを顧客に認識しやすくする表示方式の2つの例(後述する「第1の表示方式」及び「第2の表示方式」)について説明する。
[第1の表示方式]
第1の表示方式に対応する場合、取引処理部110は、取引金額入力画面に、表示中の画面が暗証番号入力画面でない旨の警告を行うメッセージ(以下、「警告メッセージ」と呼ぶ)を追加表示する。
図5、図6は、それぞれ第1の表示方式における暗証番号入力画面、取引金額入力画面の構成例について示した説明図である。
図5に示す暗証番号入力画面では、暗証番号を入力するためのソフトキーパッドK201と、取引中止を受付けるための取消ボタンB201(「取消」と表示されたボタン)と、暗証番号が入力された桁数を表示するためのフィールドF201が配置されている。ソフトキーパッドK201は、0〜9の番号入力キー(ボタン)により構成されている。
図6に示す取引金額入力画面では、取引金額を入力するためのソフトキーパッドK301と、取引中止を受付けるための取消ボタンB301(「取消」と表示されたボタン)と、入力された取引金額を表示するためのフィールドF301が配置されている。ソフトキーパッドK301は、0〜9の数字入力キー(ボタン)、「万」、「千」の入力キー(ボタン)、及び取引金額の入力完了を受付けるための「円」の入力キー(ボタン)により構成されている。さらに、図6に示す取引金額入力画面では、表示中の画面が暗証番号入力画面でない旨の警告を行うために「暗証番号入力ではありません」という警告メッセージも追加表示されている。
図6に示す取引金額入力画面において、警告メッセージは、同じ位置での表示継続に限定されず、取引金額入力画面内で動作(例えば、スクロール表示や浮遊表示等)を行うようにしてもよい。これにより、取引金額入力画面において、警告メッセージが顧客に認識されやすくなる。これは、人間は、動いているものに着目しやすいという習性を利用したものである。
図7は、第1の表示方式における取引金額入力画面で、取引金額入力後に表示される取引金額確認画面である。図7に示す取引金額確認画面には、取引金額を表示するためのフィールドF401と、取引金額の確認を受付けて次の処理の移行するための確認ボタンB401(「確認」と表示されたボタン)と、取引中止を受付けるための取消ボタンB402(「取消」と表示されたボタン)とが配置されている。
[第2の表示方式]
第2の表示方式に対応する場合、取引処理部110は、暗証番号入力画面(上述の図5と同様の操作画面)で暗証番号入力後、取引金額入力画面を表示する前に、別の操作画面を表示する。すなわち、第2の表示形式では、取引処理部110は、暗証番号入力画面と取引金額入力画面との間に別の操作画面(以下、「挿入操作画面」と呼ぶ」)を挿入表示する。
例えば、第2の表示方式では、取引処理部110は、暗証番号入力画面(上述の図5と同様の操作画面)で暗証番号入力後、図8に示すような挿入操作画面を表示するようにしてもよい。
図8に示す挿入操作画面では、取引金額入力画面に進むためのボタンB501(「金額入力へ進む」と表示されたボタン)と、取引中止を受付けるための取消ボタンB502(「取消」と表示されたボタン)と、所定の情報(例えば、広告等を表すメッセージ)を表示可能なフィールドF501、F502が配置されている。なお、図8に示す挿入操作画面では、取引金額入力画面に進むためのボタンB501が配置されていれば、その他のオブジェクトの構成については限定されないものである。
第2の表示方式では、取引処理部110は、図8に示す挿入操作画面で、取引金額入力画面に進むためのボタンB501が押下されると、図9に示す取引金額入力画面を表示する。
図9に示す取引金額入力画面では、取引金額を入力するためのソフトキーパッドK601と、取引中止を受付けるための取消ボタンB601(「取消」と表示されたボタン)と、入力された取引金額を表示するためのフィールドF601が配置されている。図9に示す取引金額入力画面は、上述の図6の取引金額入力画面から、警告メッセージを省略した構成となっている。なお、取引処理部110は、第2の表示方式に対応した場合でも、第1の表示形式と同様に、取引金額入力画面に警告メッセージを追加表示するようにしてもよい。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態の自動取引装置1では、取引処理部110が、暗証番号入力画面の後に取引金額入力画面を表示して取引金額の入力を受ける際に、取引金額入力画面と暗証番号入力画面との違いを認識しやすくする表示(上述の第1の表示方式又は第2の表示方式のいずれかの表示方式による表示)を行っている。これにより、第1の実施形態の自動取引装置1では、暗証番号入力画面の後に取引金額入力画面を表示して取引金額の入力を受ける際に、顧客が暗証番号入力画面から金額入力画面に変わったと認識させやすくすることができ、誤入力(例えば、取引金額入力画面で暗証番号の数字を入力してしまうこと等)を抑制することができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による取引装置及び取引プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、自動取引装置に適用した例について説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の自動取引装置1の構成も上述の図1を用いて説明することができる。以下、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を説明する。
第2の実施形態の取引処理部110は、暗証番号入力画面で入力された暗証番号を保持し、その次に表示される取引金額入力画面に暗証番号の一部又は全部の桁が入力された場合に、所定の表示処理(例えば、警告メッセージの出力や、入力された数字のマスク表示等)を行う。これにより第2の実施形態の取引処理部110は、暗証番号入力画面と取引金額入力画面との違いを顧客に認識しやすくする表示を行う構成となっている。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、上記のような構成を有する第2の実施形態の自動取引装置1の動作について説明する。
第2の実施形態の自動取引装置1の動作についても第1実施形態と同様に上述の図3のフローチャートを用いて説明することができる。以下では、第2の実施形態の自動取引装置1の動作について第1の実施形態との差異を説明する。
上述の通り、第2の実施形態の取引処理部110は、暗証番号入力画面で入力された暗証番号を保持し、その次に表示される取引金額入力画面に暗証番号の一部又は全部の桁が入力された場合に、所定の表示処理を行う。以下では、取引金額入力画面で暗証番号の一部又は全部が入力された場合に、取引処理部110が行う所定の表示方式(後述する「第3の表示方式」、「第4の表示方式」、及び「第5の表示方式」)について説明する。
[第3の表示方式]
第3の表示方式に対応する場合、取引処理部110は、取引金額入力画面で入力された取引金額の数字が、暗証番号の先頭n桁(nは暗証番号の全桁の桁数以下の整数)と一致した時点で、図10に示すように取引金額入力画面上に表示される数字(取引金額として入力を受付けた数字)を所定の記号等の他の文字に置き換えるマスク表示処理を行う。
図10(a)〜図10(c)は、取引処理部110が上述の第3の表示方式に対応する際の取引金額入力画面の画面遷移について示した説明図である。
図10に示す取引金額入力画面のレイアウト構成自体は、上述の図9と同様となっているが、第1の実施形態と同様に警告メッセージを表示する構成としてもよい。図10に示す取引金額入力画面には、上述の図9の取引金額入力画面と同様に、取引金額を入力するためのソフトキーパッドK601と、取引中止を受付けるための取消ボタンB601(「取消」と表示されたボタン)と、入力された取引金額を表示するためのフィールドF601が配置されている。
図10の例では、暗証番号入力画面で入力された暗証番号を「1234」の4桁としている。また、図10の例では、暗証番号入力画面の次に表示される取引金額入力画面で、入力された数値(フィールドF601に表示された数値)の先頭2桁が暗証番号の先頭2桁と一致した時点で、表示する数値(フィールドF601に表示する数値)を、数値以外の記号(図10では丸の記号)に置き換えて表示(マスク表示)する処理について示している。
図10(a)では、取引金額入力画面で先頭の数値として「1」が入力された状態について示している。この時点では、また取引金額入力画面ではまだ1桁の数値しか入力されていないので、取引処理部110は、暗証番号との比較処理を行わない。
図10(b)では、取引金額入力画面の表示状態が図10(a)に示す状態で、さらにソフトキーパッドK601の「2」の数字キーが押下された状態について示している。この時点で、取引処理部110は、入力された数値「12」と取引金額を入力する前に入力された暗証番号の先頭2桁「12」とを比較して、一致すると判断されることになる。したがって、図10(b)では、フィールドF601に表示された数値がマスク表示処理(丸の記号に置き換えた表示処理)されている。
一方、図10(c)では、取引金額入力画面の表示状態が図10(a)に示す状態で、さらにソフトキーパッドK601の「3」の数字キーが押下された状態について示している。この時点で、取引処理部110は、入力された数値「13」と取引金額を入力する前に入力された暗証番号の先頭2桁「13」とを比較し、一致しないと判断されることになる。したがって、図10(c)では、フィールドF601に表示された数値はそのままの状態(マスク表示処理されていない)で維持されている。
[第4の表示方式]
第4の表示方式では、取引処理部110は、取引金額入力画面で入力された取引金額の数字が、暗証番号の先頭n桁(nは暗証番号の全桁の桁数以下の整数)と一致した時点で、図11に示すように、警告メッセージを含むポップアップウィンドウを表示する処理を行う。
図11(a)〜図11(c)は、取引処理部110が上述の第4の表示方式に対応する際の取引金額入力画面の画面遷移について示した説明図である。
図11に示す取引金額入力画面のレイアウト構成自体は、上述の図9と同様となっているが、第1の実施形態と同様に警告メッセージを表示する構成としてもよい。
図11の例では、暗証番号入力画面で入力された暗証番号を「1234」の4桁としている。また、図11の例では、取引金額入力画面で、入力された数値(フィールドF601に表示された数値)の先頭2桁が暗証番号の先頭2桁と一致した時点で、ポップアップウィンドウW701(警告メッセージを表示するポップアップウィンドウ)を表示する構成となっている。
図11(a)では、取引金額入力画面で先頭の数値として「1」が入力された状態について示している。この時点では、また取引金額入力画面ではまだ1桁の数値しか入力されていないので、取引処理部110は、暗証番号との比較処理を行わない。
図11(b)では、取引金額入力画面の表示状態が図11(a)に示す状態で、さらにソフトキーパッドK601の「2」の数字キーが押下された状態について示している。この時点で、取引処理部110は、入力された数値「12」と取引金額を入力する前に入力された暗証番号の先頭2桁「12」とを比較して、一致すると判断することになる。したがって、図11(b)では、ポップアップウィンドウW701が取引金額入力画面の上に重ねて表示されている。ポップアップウィンドウW701は、図11(b)に示すように取引金額入力画面に入力された数値が表示された部分を覆うような位置とすることが望ましい。
図11(b)に示すポップアップウィンドウW701には、「この画面は金額入力です。入力を続けますか?」という警告メッセージと共に、取引金額の入力をしなおすためのボタンB701(「入力しなおす」と表示されたボタン)と、取引金額の入力を続行するためのボタンB702とが配置されている。ポップアップウィンドウW701で、入力をしなおすためのボタンB701が押下された場合、取引処理部110は、ポップアップウィンドウW701を消去して取引金額入力画面を上述の図9の状態に戻し取引金額の再入力が可能な状態とする。一方、ポップアップウィンドウW701で、入力を続けるためのボタンB702が押下された場合、取引処理部110は、ポップアップウィンドウW701の消去だけを行い、取引金額の入力を続行(「12」に続く桁の数値入力の受付を続行)する処理を行う。
一方、図11(c)では、取引金額入力画面の表示状態が図11(a)に示す状態で、さらにソフトキーパッドK601の「3」の数字キーが押下された状態について示している。この時点で、取引処理部110は、入力された数値「13」と取引金額を入力する前に入力された暗証番号の先頭2桁「13」とを比較し、一致しない判断することになる。したがって、図11(c)では、ポップアップウィンドウW701は表示されない状態となっている。
[第5の表示方式]
第5の表示方式では、取引処理部110は、取引金額入力画面で入力された取引金額の数字が、暗証番号の全桁と一致した場合、図12に示すように、入力された数値(暗証番号)については表示をマスクしつつ、取引金額の入力の確認を促す操作画面を表示する。すなわち、第5の表示方式では、取引金額入力画面で入力された取引金額の数字自体はマスク表示処理されず、顧客に金額確認をさせる前に、取引金額の入力であったか否かを確認する確認画面(以下、「入力内容確認画面」と呼ぶ)が表示される。
図12は、取引処理部110が第5の表示方式に対応し、入力された取引金額が暗証番号と一致(全桁一致)する場合の操作画面の遷移について示した説明図である。図13は、取引処理部110が第5の表示方式に対応し、入力された取引金額が暗証番号と一致しない場合の操作画面の遷移について示した説明図である。
図12(a)、図13(a)に示す取引金額入力画面のレイアウト構成自体は、上述の図9と同様となっているが、第1の実施形態と同様に警告メッセージを表示する構成としてもよい。また、図12、図13の例では、入力された暗証番号を「1234」の4桁としている。
図12(a)では、取引金額入力画面で「1234」が入力された状態について示している。
図12(a)に示すように取引金額として暗証番号と一致する「1234」が入力され、さらにソフトキーパッドK601の「円」のキーが押下された場合、取引処理部110は、操作表示部30に図12(b)に示す入力内容確認画面を表示する。
図12(b)に示す入力内容確認画面では、「入力された内容は金額でお間違えありませんか?」という警告メッセージと共に、取引金額の入力をしなおすためのボタンB801(「入力しなおす」と表示されたボタン)と、取引金額の入力を続行するためのボタンB802(「間違いない」と表示されたボタン)と、取引中止を受付けるための取消ボタンB803(「取消」と表示されたボタン)とが配置されている。図12(b)の入力内容確認画面で、入力をしなおすためのボタンB801が押下された場合、取引処理部110は、再度取引金額入力画面を表示して取引金額の再入力が可能な状態(上述の図9の状態)とする。
一方、図12(b)の入力内容確認画面で、入力を続けるためのボタンB802が押下された場合、取引処理部110は、図12(c)のような取引金額確認画面で取引金額の確認を行う。図12(c)に示す操作画面では、取引金額を表示するためのフィールドF901と、取引金額の確認を受付けて次の処理の移行するための確認ボタンB901(「確認」と表示されたボタン)と、取引中止を受付けるための取消ボタンB902(「取消」と表示されたボタン)とが配置されている。また、図12(c)に示す操作画面では、取引金額を表示するためのフィールドF901に表示された取引金額(暗証番号と一致した数字)がマスク表示処理され、さらに、「暗証番号と同じためマスクしています」というメッセージが追加表示されている。取引処理部110は、図12(c)に示す取引金額確認画面で確認ボタンB901が押下された場合には取引を続行し、取消ボタンB902が押下された場合取引を中止することになる。
一方、図13の例では、図13(a)に示すように取引金額入力画面には暗証番号とは一致しない「10,000」が取引金額として入力されるため、取引処理部110は、図13(b)に示す取引金額確認画面(上述の図7に示す第1の表示方式における取引金額確認画面と同様の取引金額確認画面)を用いて、顧客に取引金額の確認を誘導することになる。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態の自動取引装置1(取引処理部110)は、暗証番号入力画面で入力された暗証番号を保持し、その次に表示される取引金額入力画面に暗証番号の一部又は全部の桁が入力された場合に、所定の表示処理(例えば、上述の第3〜第5の表示方式のいずれかの表示処理)を行う。これにより、第2の実施形態の自動取引装置1(取引処理部110)では、顧客が、誤って取引金額入力画面で暗証番号を入力してしまった場合でも、その旨を顧客に知らせることができる。また、これにより、第2の実施形態の自動取引装置1(取引処理部110)では、顧客が、誤って取引金額入力画面で暗証番号を入力してしまった場合でも、盗み見等により暗証番号が漏えいすることを抑制することができる。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による取引装置及び取引プログラムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、自動取引装置に適用した例について説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
図14は、第3の実施形態の実施形態の自動取引装置1Aの機能的構成について示したブロック図である。図15は、この実施形態の自動取引装置1Aの外観斜視図である。
以下では、第3の実施形態の自動取引装置1Aについて、第1及び第2の実施形態との差異のみを説明する。
第3の実施形態の自動取引装置1Aは、PINPAD装置80が追加されている点で第1及び第2の実施形態と異なっている。
PINPAD装置80は、取引金額等の数字入力を受付けることが可能なデバイスであり、ハードキー部81を有している。
図16は、PINPAD装置80を構成するハードキー部81の平面図である。なお、図16では、ハードキー部81以外の部分については省略して図示している。
図16に示すように、ハードキー部81には、0〜9の数字入力キー(ボタン)、「万」、「千」の入力キー(ボタン)、及び取引金額の入力完了を受付けるための「円」の入力キー(ボタン)を含むテンキー811が配置されているものとする。PINPAD装置80では、このハードキー部81のキー押下により、取引金額等の数字入力を受付けることができる。
第3の実施形態の取引処理部110は、暗証番号の入力を受付ける際には、操作表示部30の操作画面上(暗証番号入力画面)のソフトキーパッドを用いた番号入力(情報入力)受付けを行い、取引金額の入力を受付ける際には、ハードキー(PINPAD装置80)のみを用いた金額入力(情報入力)受付けを行うものとする。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、上記のような構成を有する第3の実施形態の自動取引装置1Aの動作について説明する。
第3の実施形態の自動取引装置1A(取引処理部110)の動作も上述の図3のフローチャートを用いて示すことができるため、以下では、第3の実施形態の自動取引装置1Aの動作について第1の実施形態との差異のみを説明する。
第3の実施形態の取引処理部110では、ステップS103、S104で暗証番号入力画面(上述の図5等)を用いて暗証番号の入力を受付ける際、ソフトキーパッドK201からの番号入力を受付ける点は同様である。ただし、第3の実施形態の取引処理部110では、暗証番号入力画面で、PINPAD装置80からの番号入力を並行して受付けない構成としてもよい。すなわち、取引処理部110は、暗証番号入力画面では、暗証番号入力画面上のソフトキーパッドK201(操作画面上のオブジェクト)からのみ暗証番号の入力を受付けるようにしてもよい。
また、第2の取引処理部110では、上述のステップS105、S106で、取引金額入力画面を用いて取引金額を受付ける際に、ソフトキーパッドではなく、PINPAD装置80を用いて取引金額の入力を受付ける。すなわち、第3の実施形態の自動取引装置1Aでは、情報入力を受付ける情報入力手段として、操作表示部30上に表示されたソフトキーパッド、及びハードキー(PINPAD装置80)を備えている。言い換えると、第3の実施形態の自動取引装置1Aでは、PINPAD装置80により、操作表示部30とは異なる装置を用いて情報入力を受付け可能な情報入力手段が構成されている。なお、上述の「操作表示部30とは異なる装置を用いて情報入力を受付け可能な情報入力手段」は、操作表示部30と分離された異なる装置(デバイス)であればよく、例えば、ハードキーに限定されず別のタッチパネルディスプレイに表示されたソフトキーパッドであってもよい。
図17は、第3の実施形態の取引処理部110が、操作表示部30に表示させる取引金額入力画面の構成例について示した説明図である。
図17に示す第3の実施形態の取引金額入力画面では、上述の図6の取引金額入力画面に加えて、PINPAD装置80を用いた取引金額入力に誘導するための画像G301が表示されている。また、図17に示す画像G301は、自動取引装置1Aの全体におけるPINPAD装置80の位置を示す画像となっており、より顧客にPINPAD装置80による取引金額入力を認識させやすくしている。
また、図17に示す第3の実施形態の取引金額入力画面では、第1の実施形態と同様に、表示中の画面が暗証番号入力画面でない旨の警告を行うために「暗証番号入力ではありません」という警告メッセージも追加表示されている。さらに、図17に示す第3の実施形態の取引金額入力画面では、PINPAD装置80を用いた取引金額入力を誘導するための「PINPADから金額を入力してください。最後に円を押してください。」というメッセージも表示している。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と比較して以下のような効果を奏することができる。
第3の実施形態の自動取引装置1Aでは、操作表示部30に加えて、PINPAD装置80を備え、暗証番号入力画面では操作表示部30(ソフトキーパッド)を用いた番号入力を受付け、取引金額入力画面では、PINPAD装置80を用いた金額入力を受付ける。さらに、第3の実施形態の取引金額入力画面では、例えば図17に示すように、PINPAD装置80を用いた金額入力を誘導(警告)する情報(メッセージや画像)を表示することにより、顧客に暗証番号ではなく金額入力を入力する画面であることを、より強く認識させ、誤って暗証番号の入力をしてしまうことをより強く抑止することができる。
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(D−1)上記の各実施形態では、本発明の取引装置を自動取引装置(ATM)に適用する例について説明したが、その他の複数の取引情報入力(例えば、暗証番号及び取引金額の入力)を伴う取引装置に適用するようにしても良い。例えば、電子マネーをチャージしたICカードを利用可能な取引装置(例えば、交通機関の券売機等)に本発明を適用するようにしても良い。
(D−2)上記の各実施形態の自動取引装置では、取引金額入力画面の表示方式を変更することを中心に説明したが、暗証番号入力画面の構成(各オブジェクトのレイアウト構成)を変更することにより、顧客に取引金額入力画面と暗証番号入力画面との違いを認識しやすくする表示を行うようにしてもよい。
図18は、暗証番号入力画面のレイアウトを取引金額入力画面と異なるレイアウトにした場合の例について示した説明図である。図18(a)は、上述の図5に示す暗証番号入力画面の各オブジェクトの配置パターンを変更した例について示している。図18(b)は、上述の図6に示す取引金額入力画面と同じ内容の画面を再度図示している。図18(a)に示す暗証番号入力画面では、上述の図5の暗証番号入力画面と比較すると、ソフトキーパッドK201を構成する各入力キーを横一列に並べた配置とし、さらに、ソフトキーパッドK201の位置とフィールドF201(暗証番号が入力された桁数を表示するためのフィールド)の位置を入れ替えている。
図18に示すように、暗証番号入力画面を取引金額入力画面とのレイアウトを変更することにより、顧客に暗証番号入力画面から、取引金額入力画面に遷移したことを認識させやすくすることができる。なお、図18では、上記の各実施形態と比較して暗証番号入力画面のレイアウトを変更する例について示したが、取引金額入力画面の側を変更するようにしてもよい。
また、本発明の自動取引装置では、上述の図18のような操作画面のレイアウト変更を、全ての顧客に対して行うのではなく、一部の顧客に対してだけ行うようにしてもよい。例えば、本発明の自動取引装置は、過去に所定回数以上取引金額入力画面で暗証番号を入力してしまったことのある顧客についてだけ、上述のような操作画面のレイアウト変更を行うようにしてもよい。
過去に所定回数以上取引金額入力画面で暗証番号を入力してしまったことのある顧客を管理する方法としては、例えば、第2の実施形態の図11(b)や図12(b)の操作画面で入力のしなおしの選択操作がなされた場合に、当該選択操作があったことを記録(例えば、キャッシュカードやホストコンピュータのデータ上に記録)しておくようにしてもよい。
(D−3)第3の実施形態の自動取引装置では、ソフトキーパッドで暗証番号の入力を受付け、PINPAD装置で取引金額の入力を受付けているが、これを逆にするようにしてもよい。すなわち、第3の実施形態の自動取引装置において、暗証番号の入力をPINPAD装置で受付け、取引金額の入力をソフトキーパッドで受付けるようにしてもよい。