JP6328516B2 - エアゾール組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、安定な噴射状態が維持され、かつ、安定した氷結物を得ることのできるエアゾール組成物に関する。より詳細には、本発明は、ハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングが調整されており、噴射直後にノズル内で氷結物が形成されることが防止される結果、ノズル内で詰まることが無く安定な噴射状態が維持され、かつ、安定した氷結物を得ることのできるエアゾール組成物に関する。
従来、噴射物が氷結するエアゾール組成物を充填したエアゾール製品が知られている。このようなエアゾール製品に使用されるエアゾール組成物として、たとえば特許文献1には、含水原液と、ジメチルエーテルや液化石油ガス等の噴射剤と、イソペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン等の噴射助剤とからなり、水性原液と噴射剤および噴射助剤とが乳化したエアゾール組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のエアゾール組成物は、噴射剤として液化石油ガスやジメチルエーテル等を含む。この場合、エアゾール組成物は、燃焼性が高くなりやすい。また、エアゾール組成物は、噴射助剤としてイソペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン等を含む。この場合、エアゾール組成物は、噴射の勢いが抑制されやすい。そのため、このエアゾール組成物を充填したエアゾール製品は、炎に向けてエアゾール組成物を噴射する際の噴射物の火炎の伸びを測定する火炎長試験において、火炎が噴射ノズル側に逆流する逆火現象を生じやすく、燃焼性がより高くなるという問題がある。
このような問題に鑑みて、噴射剤の種類を変更したエアゾール組成物が提案されている。特許文献2には、水性原液と、液密度の高い重質液化ガスを含む液化ガスとからなり、水性原液と液化ガスとが乳化したエアゾール組成物が開示されている。また、特許文献3には、有効成分として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含み、噴射剤としてジメチルエーテル、液化石油ガス、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン等を含む害虫駆除剤が開示されている。
特開平2−255890号公報 特開2012−17464号公報 国際公開第2013/183754号
しかしながら、特許文献2に記載のエアゾール組成物は、沸点の低い液化ガスを用いているため、噴射直後や噴射過程において噴射物が氷結しやすい。そのため、このエアゾール組成物は、噴射ノズル内で氷結して噴射ノズルを詰まらせる可能性がある。その結果、このエアゾール組成物は、所望の噴射状態(噴射パターン)で噴射されない可能性がある。また、このエアゾール組成物は、噴射時の圧力が高いため、噴射ノズルから噴射されると噴射物が広がりやすく適用箇所から噴射ノズルを30cm程度離すと、噴射物が広がってしまい適用箇所に届く前に液化ガスのエネルギーを消費してしまい氷結物が形成されにくい。そのため、このエアゾール組成物は、使用範囲が制限されやすい。さらに、このエアゾール組成物は、噴射時の圧力が高いため、適用箇所において付着しにくく飛び散りやすい。
また、特許文献3に記載の害虫駆除剤は、その具体例として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと噴射剤、さらには灯油を配合した実施例が例示されている。これら害虫駆除剤は、水を含まない溶解系のエアゾール組成物である。溶解系のエアゾール組成物は、噴射されると微細な霧状になりやすい。そのため、このエアゾール組成物は、広範囲に噴射できるものの、気化しやすく冷却効果が持続しない。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、燃焼性が低く、かつ、噴射ノズルを詰まらせにくく、安定な噴射状態が維持され、かつ、安定した氷結物を得ることのできるエアゾール組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のエアゾール組成物には、以下の構成が主に含まれる。
(1)界面活性剤と水とを含有する水性原液と、沸点が5〜30℃の第1のハイドロフルオロオレフィンと、沸点が−30〜−5℃の第2のハイドロフルオロオレフィンとを含み、前記水性原液と、前記第1のハイドロフルオロオレフィンおよび前記第2のハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化している、エアゾール組成物。
このような構成によれば、エアゾール組成物は、沸点の異なるハイドロフルオロオレフィン(第1のハイドロフルオロオレフィンおよび第2のハイドロフルオロオレフィン)を含む。これらハイドロフルオロオレフィンは、水性原液と乳化されている。そのため、エアゾール組成物は、噴射された後に、これらハイドロフルオロオレフィンが気化するタイミングが調整されやすい。その結果、エアゾール組成物は、たとえば噴射ノズルから噴射される前に凍結することが防がれ、噴射ノズルを詰まらせにくい。したがって、エアゾール組成物は、安定な噴射状態が維持され、かつ、安定した氷結物を形成することができる。また、エアゾール組成物は、噴射された後に、ハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングが調整されるため、適用箇所に到達して付着した後に氷結物を形成させることができる。そのため、適用箇所に到達する前に氷結する場合と比べて、適用箇所に付着しやすく、飛び散りにくい。さらに、ハイドロフルオロオレフィンは、液化石油ガス等と比較して燃焼しにくい。そのため、エアゾール組成物は、燃焼しにくく、火気に対して安全性が高い。
(2)前記第1のハイドロフルオロオレフィンは、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、(1)記載のエアゾール組成物。
このような構成によれば、第1のハイドロフルオロオレフィンは、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである。1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、第2のハイドロフルオロオレフィンと混合されることにより、エアゾール組成物が噴射された際のハイドロフルオロオレフィンの混合物の気化するタイミングを調整しやすい。そのため、エアゾール組成物は、噴射ノズルから噴射される際に、噴射ノズルをより詰まらせにくい。その結果、エアゾール組成物は、安定な噴射状態が維持されやすく、かつ、安定した氷結物をより形成しやすい。
(3)前記第1のハイドロフルオロオレフィンは、前記エアゾール組成物中に10〜35質量%含まれ、好ましくは12〜30質量%含まれている、(1)または(2)記載のエアゾール組成物。
このような構成によれば、第1のハイドロフルオロオレフィンは、エアゾール組成物中に10〜35質量%含まれる。このような含有量で第1のハイドロフルオロオレフィンが第2のハイドロフルオロオレフィンと混合されることにより、エアゾール組成物は、噴射された際にハイドロフルオロオレフィンの混合物が気化するタイミングが調整されやすい。また、噴射物は、氷結されやすい。
(4)前記第2のハイドロフルオロオレフィンは、前記エアゾール組成物中に40〜80質量%含まれ、好ましくは45〜70質量%含まれている、(1)〜(3)のいずれかに記載のエアゾール組成物。
このような構成によれば、第2のハイドロフルオロオレフィンは、エアゾール組成物中に40〜80質量%含まれる。このような含有量で第2のハイドロフルオロオレフィンが含まれる場合、噴射物中の水性原液を凍結させるだけの充分な気化熱が得られる。そのため、噴射物は、氷結されやすい。
(5)前記水性原液は、前記エアゾール組成物中に10〜40質量%含まれ、好ましくは12〜35質量%含まれている、(1)〜(4)のいずれかに記載のエアゾール組成物。
このような構成によれば、水性原液は、エアゾール組成物中に10〜40質量%含まれる。このような含有量で水性原液が含まれる場合、水性原液は、ハイドロフルオロオレフィンの混合物と乳化しやすくなる。また、得られるエアゾール組成物は、乳化状態が安定しやすい。
(6)前記水は、前記水性原液中に50〜99.5質量%含まれ、好ましくは60〜99.3質量%含まれ、より好ましくは70〜99.0含まれている、(1)〜(5)のいずれかに記載のエアゾール組成物。
このような構成によれば、水は、水性原液中に50〜99.5質量%含まれる。このような含有量であれば、水性原液は、ハイドロフルオロオレフィンの混合物と乳化されやすい。また、水性原液は、界面活性剤や、必要に応じて種々の任意成分が含有されやすい。
本発明によれば、燃焼性が低く、噴射ノズルを詰まらせにくく、安定な噴射状態が維持され、かつ、安定した氷結物を得ることのできるエアゾール組成物を提供することができる。
[エアゾール組成物]
本発明の一実施形態のエアゾール組成物について詳細に説明する。本実施形態のエアゾール組成物は、エアゾール製品に充填されて使用され、適用箇所(たとえばハンカチやタオル、または直接皮膚や頭髪など)に噴射されると氷結して氷結物を形成する。エアゾール組成物は、界面活性剤と水とを含有する水性原液と、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(沸点が5〜30℃の第1のハイドロフルオロオレフィンおよび沸点が−30〜−5℃の第2のハイドロフルオロオレフィンの混合物)とを含む。水性原液と、ハイドロフルオロオレフィンの混合物とは、乳化している。そのため、エアゾール組成物は、ハイドロフルオロオレフィンの混合物が気化するタイミングが適切に調整される。その結果、エアゾール組成物は、噴射ノズルを詰まらせにくく、安定な噴射状態が維持され、かつ、安定した氷結物が得られる。以下、それぞれの構成について説明する。
<水性原液>
水性原液は、後述するエアゾール製品の容器本体に充填された状態において、ハイドロフルオロオレフィンの混合物と乳化される液体成分であり、界面活性剤と水とを含む。水性原液は、ハイドロフルオロオレフィンの混合物とともに外部に噴射されると、ハイドロフルオロオレフィンの気化熱により冷却され、氷結物を形成する。
水性原液の含有量は、エアゾール組成物中10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。また、水性原液の含有量は、エアゾール組成物中40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。水性原液の含有量が10質量%未満の場合、噴射後に得られる氷結物の量が少なくなり、氷結物による冷却効果が得られにくくなる傾向がある。一方、水性原液の含有量が40質量%を超える場合、噴射物が氷結しにくくなる傾向がある。
(界面活性剤)
界面活性剤は、容器本体内で水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させるための成分である。界面活性剤により乳化されたエアゾール組成物は、噴射されると、ハイドロフルオロオレフィンが気化するときの気化熱が水性原液中の水に伝わりやすくなる。そのため、噴射物は氷結しやすい。
界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤等が好適に使用される。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等が例示される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテル等が例示される。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、POEモノラウレート、POEモノステアレート、POEモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、PEG−20ソルビタンココエート、POEソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、POEグリセリルモノステアレート、POEグリセリルモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットテトラステアレート、POEソルビットテトラオレエート等が例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノミリステート、デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルジオレエート、ヘキサグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、PEG−40水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油、PEG−80水添ヒマシ油等が例示される。シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が例示される。天然系界面活性剤としては、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、レシチン等が例示される。
界面活性剤の含有量としては特に限定されず、水性原液およびハイドロフルオロオレフィンの混合物を適切に乳化することができる量であればよい。このような含有量としては、水性原液中0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましい。また、界面活性剤の含有量は、水性原液中15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%未満の場合、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが適切に乳化されにくくなる傾向がある。一方、界面活性剤の含有量が15質量%を超える場合、エアゾール組成物が適用箇所に噴射された後に、界面活性剤が適用箇所上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
(水)
水は、水性原液の主溶媒であり、噴射された後にハイドロフルオロオレフィンの気化熱により氷結される。水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等が例示される。
水の含有量は水性原液中50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、水の含有量は、水性原液中99.5質量%以下であることが好ましく、99.3質量%以下であることがより好ましく、99.0質量%以下であることがさらに好ましい。水の含有量が50質量%未満の場合、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化しにくくなる傾向がある。一方、水の含有量が99.5質量%を超える場合、界面活性剤や適宜含有される任意成分を適切に含有させにくくなる傾向がある。
<ハイドロフルオロオレフィンの混合物>
ハイドロフルオロオレフィンの混合物は、沸点が5〜30℃の第1のハイドロフルオロオレフィンおよび沸点が−30〜−5℃の第2のハイドロフルオロオレフィンの混合物であり、容器本体に加圧充填された状態において、水性原液と乳化される液体成分である。本実施形態のエアゾール組成物は、このように沸点の異なるハイドロフルオロオレフィンが併用されているため、噴射された後にハイドロフルオロオレフィンの混合物が気化するタイミングが適切に調整される。
(第1のハイドロフルオロオレフィン)
第1のハイドロフルオロオレフィンは、沸点が5〜30℃であるハイドロフルオロオレフィンである。第1のハイドロフルオロオレフィンは、後述する沸点が−30〜−5℃である第2のハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングを調整し、水性原液が噴射ノズルなどで凍結して噴射ノズルを詰まらせないよう安定した噴射状態にする、噴射されたエアゾール組成物が適用箇所に到達するまでに氷結することを防ぎ、適用箇所上で氷結させる等の目的で含有される。
第1のハイドロフルオロオレフィンとしては、沸点が5〜30℃であるハイドロフルオロオレフィンであれば特に限定されない。一例を挙げると、第1のフルオロオレフィンは、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(沸点18.9℃、HFO−1233zd)等が好適に使用される。
第1のハイドロフルオロオレフィンの含有量は特に限定されず、後述する第2のハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングを適切に調整することのできる量であればよい。このような含有量としては、エアゾール組成物中10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。また、第1のハイドロフルオロオレフィンの含有量は、エアゾール組成物中35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。第1のハイドロフルオロオレフィンの含有量が10質量%未満の場合、第2のハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングを充分に調整されない傾向がある。一方、第1のハイドロフルオロオレフィンの含有量が35質量%を超える場合、噴射物が氷結しにくくなる傾向がある。
(第2のハイドロフルオロオレフィン)
第2のハイドロフルオロオレフィンは、沸点が−30〜−5℃であるハイドロフルオロオレフィンである。第2のハイドロフルオロオレフィンは、容器本体内では蒸気圧を有する液体であり、噴射されると気化し、その気化熱により水性原液を冷却して氷結させる等の目的で含有される。
第2のハイドロフルオロオレフィンとしては、沸点が−30〜−5℃であるハイドロフルオロオレフィンであれば特に限定されない。一例を挙げると、第2のハイドロフルオロオレフィンは、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(沸点−19℃、HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(沸点−29℃、HFO−1234yf)等が好適に使用される。
第2のハイドロフルオロオレフィンの含有量は特に限定されず、上記した第1のハイドロフルオロオレフィンにより気化するタイミングが適切に調整される量であればよい。このような含有量としては、エアゾール組成物中40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましい。また、第2のハイドロフルオロオレフィンの含有量は、エアゾール組成物中80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。第2のハイドロフルオロオレフィンの含有量が40質量%未満の場合、水性原液が氷結しにくくなる傾向がある。一方、第2のハイドロフルオロオレフィンの含有量が80質量%を超える場合、噴射物が噴射ノズル等で氷結しやすく、安定した噴射状態が得られにくくなる傾向がある。
<エアゾール組成物の任意成分>
次に、本実施形態のエアゾール組成物が好適に含む任意成分について説明する。本実施形態のエアゾール組成物は、上記した成分以外にも、種々の任意成分が適宜含有されてもよい。たとえば、水性原液は、界面活性剤と水以外にも、アルコール類、有効成分、水溶性高分子、油性溶剤、パウダー等が含有されてもよい。また、エアゾール組成物は、ハイドロフルオロオレフィンの混合物以外にも、液化ガスが含有されてもよい。
(アルコール類)
アルコール類は、水に溶解しない有効成分などの溶媒、噴射物の氷結状態を調整する等の目的で適宜含有される。
アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の2〜3価のポリオール等が例示される。
アルコールが含有される場合の含有量は、水性原液中0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、水性原液中30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が0.1質量%未満の場合、アルコールを含有することによる効果が得られにくい傾向がある。一方、アルコールの含有量が30質量%を超える場合、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化されにくくなる傾向や、凍結物が形成されにくくなる傾向がある。
(有効成分)
有効成分は、皮膚や頭髪等の適用箇所に所望の効果を付与するために適宜含有される。
有効成分としては、清涼剤、鎮痒剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、収斂剤、抗炎症剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、血行促進剤、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、殺菌消毒剤、アミノ酸、ビタミン類、制汗成分、害虫忌避剤、消臭成分、洗浄剤、トリートメント剤、香料等が例示される。
清涼剤としては、l−メントール、カンフル、ミントオイル等が例示される。鎮痒剤としては、クロタミトン、d−カンフル等が例示される。消炎鎮痛剤としては、サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェン等が例示される。抗真菌剤としては、オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィンおよびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が例示される。収斂剤としては、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸等が例示される。
抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレン等が例示される。局所麻酔剤としては、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカイン等が例示される。抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等が例示される。血行促進剤としては、トウガラシチンキ、センブリエキス、ニンニクエキス、ニコチン酸ベンジル、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、等が例示される。
保湿剤としては、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、アロエ抽出液、イチョウエキス、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、DL−ピロリドンカルボン酸塩、尿素等が例示される。紫外線吸収剤としては、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、オクトクリレン、オキシベンゾン−3、オキシベンゾン−4、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等が例示される。
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が例示される。殺菌消毒剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン等が例示される。アミノ酸としては、グリシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン等が例示される。ビタミン類としては、トコフェロールおよび酢酸トコフェロール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム等が例示される。制汗成分としては、クロロヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム等が例示される。害虫忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、ハーブエキス等が例示される。消臭成分としては、緑茶エキス、柿タンニン、銀等が例示される。
洗浄剤としては、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤等が例示される。
両性界面活性剤としては、ベタイン型、アミンオキシド型等が例示される。ベタイン型両面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルベタイン、ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン等が例示される。アミンオキシド型両面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾール型、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン等のアミノ酸型、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシド等が例示される。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が例示される。アミノ酸系界面活性剤としては、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルグルタミン酸、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩等が例示される。N−アシルグルタミン酸塩としては、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムおよびN−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム等が例示される。N−アシルグルタミン酸としては、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸等が例示される。N−アシルグリシン塩としては、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等が例示される。N−アシルアラニン塩としては、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミン等が例示される。
トリートメント剤としては、カチオン性界面活性剤等が例示される。カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が例示される。
有効成分が含有される場合の含有量は、水性原液中0.01質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、水性原液中30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が0.01質量%未満の場合、有効成分を含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、有効成分の含有量が30質量%を超える場合、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化されにくくなる傾向がある。
(水溶性高分子)
水溶性高分子は、水性原液の粘性を調整し、水性原液とハイドロフルオロオレフィンとの乳化を安定させる、噴射物中にハイドロフルオロオレフィンを長く保持させて水性原液を氷結させやすくしたり、氷結物の硬さや溶けやすさ等を調整するといった目的で適宜含有される。
水溶性高分子としては、セルロース系高分子、ガム質等が例示される。セルロース系高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が例示される。ガム質としては、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム等が例示される。他にも、水溶性高分子としては、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、カルボキシビニルポリマー等が例示される。
水溶性高分子が含有される場合の含有量は、水性原液中0.01質量以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましい。また、水溶性高分子は、水性原液中5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01質量%未満の場合、水溶性高分子を含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、水溶性高分子の含有量が5質量%を超える場合、粘度が高くなり過ぎて水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化されにくくなる傾向や、使用感が悪くなる傾向がある。
(油性溶剤)
油性溶剤は、噴射物の状態を調整する、適用箇所(たとえば皮膚等)にうるおいを与えて使用感を向上させる、水に溶解しにくい有効成分を溶解させる等の目的で適宜含有される。
油性溶剤としては、油脂、脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーンオイル、炭化水素およびこれらの混合物が例示される。
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油等が例示される。脂肪酸としては、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が例示される。高級アルコールとしては、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等が例示される。エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル等が例示される。シリコーンオイルとしては、ジメチコン、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。炭化水素としては、流動パラフィン、イソパラフィン等が例示される。
油性溶剤が含有される場合の含有量は、水性原液中0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、油性溶剤の含有量は、水性原液中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。油性溶剤の含有量が0.1質量%未満の場合、油性溶剤を含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、油性溶剤の含有量が10質量%を超える場合、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化されにくくなる傾向や、噴射物が氷結しにくくなる傾向がある。
(パウダー)
パウダーは、水性原液中に分散される粒子(粉体)であり、水性原液とハイドロフルオロオレフィンとの接触を促し、水性原液とハイドロフルオロオレフィンとを乳化しやすくする、適用箇所において氷結物を塗り拡げる際に滑りを良くしたり、適用箇所が皮膚である場合に皮脂を吸収してサラサラにする等、使用感を向上させる目的で適宜含有される。
パウダーとしては、タルク、シリカ、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリカビーズ、ガラスビーズ、樹脂ビーズ等が例示される。
パウダーが含有される場合の含有量は、水性原液中0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、水性原液中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が0.05質量%未満の場合、パウダーを含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、パウダーの含有量が10質量%を超える場合、エアゾール組成物を充填したエアゾール製品を長期間静置状態で保管した際に、容器本体内でケーキングし、振っても分散しにくくなる傾向がある。
(液化ガス)
液化ガスは、エアゾール組成物の圧力を低くして噴射の勢いを調整し、噴射物を適用箇所に付着しやすくする、氷結物の氷結状態を調整する等の目的で適宜含有される。
液化ガスとしては、液化石油ガス、ジメチルエーテルおよびこれらの混合物が例示される。なお、エアゾール組成物の圧力をさらに低くする、冷却効果を調整しやすくする等の目的で、イソペンタン、ノルマルペンタン等の炭素数が5個の炭化水素が含有されてもよい。
液化ガスが含有される場合の含有量は特に限定されず、第2のハイドロフルオロオレフィンの一部が適宜置き替えられればよい。このような液化ガスの含有量としては、エアゾール組成物中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、液化ガスの含有量としては、エアゾール組成物中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。液化ガスの含有量が1質量%未満の場合、液化ガスを含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、液化ガスの含有量が20質量%を超える場合、エアゾール組成物の燃焼性が高くなりやすい傾向がある。
以上、本実施形態のエアゾール組成物は、沸点の異なるハイドロフルオロオレフィン(第1のハイドロフルオロオレフィンおよび第2のハイドロフルオロオレフィン)を含み、これらハイドロフルオロオレフィンは、水性原液と乳化されている。そのため、エアゾール組成物は、噴射された後に、これらハイドロフルオロオレフィンが気化するタイミングが調整されやすい。その結果、エアゾール組成物は、たとえば噴射ノズルから噴射される前に凍結することが防がれ、噴射ノズルを詰まらせにくい。したがって、エアゾール組成物は、噴射状態が乱されることなく、安定な噴射状態で適切に適用箇所に噴射される。また、エアゾール組成物は、ハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングが調整されるため、適用箇所に到達して付着した後に氷結物を形成させることができる。そのため、適用箇所に到達する前に氷結する場合と比べて、適用箇所に付着しやすく、飛び散りにくい。その結果、適用箇所において安定した氷結物が得られる。さらに、ハイドロフルオロオレフィンは、液化石油ガス等と比較して燃焼しにくい。そのため、エアゾール組成物は、燃焼しにくく、火気に対して安全性が高い。
[エアゾール製品]
次に、上記エアゾール組成物を充填したエアゾール製品について説明する。本実施形態のエアゾール製品は、上記エアゾール組成物を充填する容器本体と、容器本体に取り付けられるエアゾールバルブと、エアゾール組成物を噴射する噴射孔が形成された噴射ノズルを有する噴射ボタンとを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール製品の構成は、本実施形態に限定されず、上記エアゾール組成物を充填でき、適切に噴射できる構成であればよい。そのため、以下に示されるエアゾール製品の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
(容器本体)
容器本体は、エアゾール組成物を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体は、汎用の形状であってよい。本実施形態の耐圧容器は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、水性原液を充填するための充填口である。容器本体は、開口に後述するエアゾールバルブを取り付けて閉止することによりエアゾール容器となる。
容器本体の材質は特に限定されず、エアゾール組成物を加圧状態で充填できる程度の耐圧性を有していればよい。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。
(エアゾールバルブ)
エアゾールバルブは、容器本体の開口に取り付けられて容器本体内を密封するための部材であり、上下動することにより容器本体内と外部との連通/遮断を切り替えることができる弁機構を有する。弁機構は、下方に押し下げることにより外部と連通するステム孔を有するステムと、ステム孔をシールするステムラバーと、ステムを下方から常時垂直上方向に付勢するスプリングとを備える。エアゾール組成物は、ステム孔が開放されるとステム孔を通り、ステム内の通路を通り、噴射ボタンへ送られる。また、エアゾールバルブは、弁機構から容器本体内にハイドロフルオロオレフィンの混合物を充填することができる。
なお、エアゾールバルブの構造は特に限定されず、汎用のエアゾールバルブが適宜用いられる。また、耐圧容器にエアゾール組成物を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、耐圧容器の開口から水性原液を充填し、エアゾールバルブにより開口を閉止し、エアゾールバルブの弁機構からハイドロフルオロオレフィンの混合物を充填して水性原液と乳化させる方法が採用される。ほかにも、エアゾールバルブを固着する前にハイドロフルオロオレフィンの混合物を充填するアンダーカップ充填が採用されてもよい。なお、ハイドロフルオロオレフィンは、第1のハイドロフルオロオレフィンおよび第2のハイドロフルオロオレフィンの混合物が充填される代わりに、それぞれのハイドロフルオロオレフィンが別々に充填されてもよい。
エアゾール組成物を充填した容器本体の内圧は、25℃において0.2〜0.5MPa程度である。
(噴射ボタン)
噴射ボタンは、エアゾールバルブを経て取り込まれたエアゾール組成物を噴射するための部材であり、噴射孔が形成された噴射ノズルを有する。噴射ボタンは、内部にエアゾール組成物が通過する噴射通路を備える。噴射通路の一端はステム内の通路と連通しており、他端はエアゾール組成物を噴射するための噴射孔が形成されている。
上記の通り、エアゾール製品は、沸点の異なるハイドロフルオロオレフィンを含み、かつ、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化されたエアゾール組成物を噴射する。上記実施形態において説明したとおり、エアゾール組成物は、ハイドロフルオロオレフィンの気化するタイミングを調整しやすいため、噴射通路や噴射孔の断面積が比較的小さくても、噴射通路内や噴射孔の周囲において氷結物が生じにくく、詰まりにくい。
噴射孔の断面積(直径)は特に限定されない。噴射孔の断面積は、適用箇所や、目的とする噴射状態を得るために適宜調整される。たとえば、対象物までの距離が5〜20cmであり、腕、脚、頭髪などの人体に噴射する場合、噴射孔の断面積は、0.1〜1.5mm2に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、噴射孔までの噴射通路がまっすぐに連通している噴射ノズルを有することが好ましい。
また、噴射物を広範囲に氷結させる場合、噴射孔の断面積は、0.1〜0.3mm2程度に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、メカニカルブレークアップ機構を備えた噴射ノズルを有することが好ましい。メカニカルブレークアップ機構は、エアゾール組成物が噴射される際に、エアゾール組成物を旋回させながら噴射孔に導入するための機構であり、外周から中心にある噴射孔に向かってエアゾール組成物を流入させるための複数の溝を有する。噴射されるエアゾール組成物は、噴射ボタンがこのような細かな溝が形成されたメカニカルブレークアップ機構を備えている場合であっても、溝を詰まらせにくい。
さらに、適用箇所から離れた位置から噴射する場合、噴射孔の断面積は、0.03〜0.3mm2程度に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、長さが1〜10mm程度であり、噴射孔までの通路がまっすぐに連通している噴射ノズルを有することが好ましい。
ほかにも、噴射物を手のひらや手にひらにのせたハンカチやタオル等の至近距離に噴射する場合、噴射孔の断面積は、3〜10mm2程度に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、噴射孔までの通路がまっすぐに連通している噴射ノズルを有することが好ましい。
本実施形態の噴射ボタンは、これら種々の目的に応じて種々の断面積や噴射通路の形状が採用される場合であっても、噴射孔や噴射通路で噴射物が氷結することを防ぐことができる。その結果、エアゾール製品は、種々の目的に応じて、噴射されるエアゾール組成物の噴射状態が乱されることなく、安定な噴射状態で適切にエアゾール組成物を適用箇所に噴射することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
以下の処方にしたがって水性原液1を調製し、ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd、第1のハイドロフルオロオレフィンの一例)および1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、第2のハイドロフルオロオレフィンの一例))を表1に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
<水性原液1>
POE(20)・POP(8)・セチルエーテル(*1) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*2) 0.5
フェノキシエタノール 0.5
シリカ(*3) 0.1
タルク 0.5
精製水 97.9
(合計) 100.0(質量%)
*1:NIKKOL PBC−44、日光ケミカルズ(株)製
*2:HEC SE850、ダイセル化学工業(株)製
*3:AEROSIL 200、日本アエロジル(株)製
*4:1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd)
沸点18.9℃、液密度1.30g/ml、蒸気圧0.11MPa(20℃)
*5:1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)
沸点−19℃、液密度1.19g/ml、蒸気圧0.41MPa(20℃)
(比較例1)
実施例1において調製した水性原液1をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、イソペンタンおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを表2に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とイソペンタンと1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
*6:イソペンタン、沸点27.8℃、液密度0.62g/ml、蒸気圧0.08MPa(20℃)
(比較例2)
実施例1において調製した水性原液1をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、メチルパーフルオロブチルエーテルおよび1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを表3に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とメチルパーフルオロブチルエーテルと1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
*7:メチルパーフルオロブチルエーテル(CF−61 住友スリーエム(株)製)、沸点61℃、液密度1.53g/ml、蒸気圧0.03MPa(20℃)
(比較例3)
実施例1において調製した水性原液1をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび液化石油ガスを表4に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液と1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと液化石油ガスとを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
*8:ノルマルブタン(沸点−0.5℃)、イソブタン(沸点−11.7℃)、プロパン(沸点−42℃)の混合物(液化石油ガス、LPG)、液密度0.55g/ml、蒸気圧0.40MPa(20℃)
(比較例4)
実施例1において調製した水性原液1をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、イソペンタンおよび液化石油ガスを表5に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とイソペンタンと液化石油ガスとを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
(比較例5)
実施例1において調製した水性原液1をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを表6に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液と1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
(比較例6)
実施例1において調製した水性原液1をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、液化石油ガスを表7に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
(実施例2)
以下の処方にしたがって水性原液2を調製し、ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd、第1のハイドロフルオロオレフィンの一例)および1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、第2のハイドロフルオロオレフィンの一例))を表8に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
<水性原液2>
POE(20)・POP(8)・セチルエーテル(*1) 0.5
フェノキシエタノール 0.5
タルク 0.5
精製水 98.5
(合計) 100.0(質量%)
(実施例3)
ハイドロフルオロオレフィンの含有量を、以下の表9に記載の割合に変更した以外は、実施例2と同様の方法によりエアゾール組成物を調製した。
(実施例4)
ハイドロフルオロオレフィンの含有量を、以下の表10に記載の割合に変更した以外は、実施例2と同様の方法によりエアゾール組成物を調製した。
(実施例5)
ハイドロフルオロオレフィンの含有量を、以下の表11に記載の割合に変更した以外は、実施例2と同様の方法によりエアゾール組成物を調製した。
(実施例6)
水性原液とハイドロフルオロオレフィンの含有量を、以下の表12に記載の割合に変更した以外は、実施例2と同様の方法によりエアゾール組成物を調製した。
(実施例7)
水性原液とハイドロフルオロオレフィンの含有量を、以下の表13に記載の割合に変更した以外は、実施例2と同様の方法によりエアゾール組成物を調製した。
(実施例8)
水性原液とハイドロフルオロオレフィンの含有量を、以下の表14に記載の割合に変更した以外は、実施例2と同様の方法によりエアゾール組成物を調製した。
(実施例9)
以下の処方にしたがって水性原液3を調製し、ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd、第1のハイドロフルオロオレフィンの一例)および1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、第2のハイドロフルオロオレフィンの一例))およびジメチルエーテルを表15に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。
<水性原液3>
POEラウリルエーテル(*9) 1.0
ヒドロキシエチルセルロース(*2) 0.5
フェノキシエタノール 0.5
1,3ブチレングリコール 2.0
精製水 96.0
(合計) 100.0(質量%)
*9:NIKKOL PL−21、日光ケミカルズ(株)製
実施例1および比較例1〜6で得られたそれぞれのエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、以下のノズル1〜ノズル4を有する噴射ボタンをそれぞれ取り付け、エアゾール製品を製造した。実施例2〜8で得られたエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、ノズル1を有する噴射ボタンを取り付け、エアゾール製品を製造した。実施例9で得られたエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、ノズル4を有する噴射ボタンを取り付け、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について、以下の評価方法により、噴射の安定性、噴射物の状態および火炎長を評価した。結果を表16に示す。また、実施例1および比較例6で得られたそれぞれのエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、ノズル4を有する噴射ボタンを取り付け、エアゾール製品を製造し、得られたエアゾール製品を噴射して、経時的な噴射状態の変化を評価した。結果を表17に示す。
(噴射ノズル)
ノズル1:断面積0.38mm2、噴射孔までの通路がまっすぐに連通した噴射ノズル。
ノズル2:断面積0.07mm2、噴射孔までの通路がまっすぐに連通した噴射ノズル。
ノズル3:断面積0.20mm2、メカニカルブレークアップ機構を備えた噴射ノズル。
ノズル4:断面積5.8mm2、噴射孔までの通路がまっすぐに連通した噴射ノズル。
1.噴射の安定性
エアゾール製品を25℃の恒温水槽に1時間浸漬し、その後、2秒間の噴射を10回繰り返し、噴射の安定性を以下の評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
◎:全て噴射パターンが変化せず、安定した噴射状態であった。
○:1〜2回噴射パターンが変化したが、それ以外は安定した噴射状態であった。
△:3回以上噴射パターンが乱れた。
×:噴射パターンが乱れ、さらに詰まりが発生した。
2.噴射物の状態
エアゾール製品を25℃の恒温水槽に1時間浸漬し、その後、対象物に噴射し、形成された噴射物の状態を以下の評価基準に基づいて評価した。なお、ノズル1を用いる場合には、5cm離れた対象物(ペーパータオル)に3g噴射した。ノズル2を用いる場合には、50cm離れた対象物(ペーパータオル)に3g噴射した。ノズル3を用いる場合には、5cm離れた対象物(ペーパータオル)に3g噴射した。ノズル4を用いる場合には、至近距離(3cm離れた)から対象物(ペーパータオル)に3g噴射した。
<評価基準>
◎1:ピラミッド状の氷結物が形成された。
◎2:50cm離れた対象物上で氷結物が形成された。
◎3:平面状の大きな氷結物が形成された。
◎4:発泡して立体的な氷結物が形成された。
○1:噴射物の一部で氷結物を形成した。
○2:小さな粒状の氷結物が形成された。
×:氷結物は形成されなかった。
3.火炎長
エアゾール製品を25℃の恒温水槽に1時間浸漬した。その後、ノズル1〜3を備えたエアゾール製品に関しては、高さ5cmの炎に向けて15cm離れた位置からエアゾール組成物を噴射したときの火炎の伸びを測定し、ノズル4を備えたエアゾール製品に関しては、噴射物に直接炎を近づけたときの着火状態を以下の評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>ノズル1〜3
◎1:火炎の伸びは認められなかった。
△1:火炎の伸びは45cm以内であり、逆火しなかった。
×1:逆火した。
<評価基準>ノズル4
◎2:着火しなかった。
○2:着火したが、直ぐに火が消えた。
×2:着火し、5秒以上燃え続けた。
5.噴射状態の経時変化
エアゾール製品を25℃の恒温水槽に1時間浸漬した。その後、エアゾール組成物を噴射したときの噴射状態の経時変化を写真撮影した。
表16に示されるように、水性原液と沸点の異なるハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させた実施例1〜9のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、いずれのノズルを使用した場合でも安定した噴射状態であった。特に、実施例1〜4および6〜9のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、全ての噴射パターンが変化せず、安定な噴射状態であった。また、実施例1〜9のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、いずれのノズルを使用した場合でも所望の氷結物が形成された。さらに、実施例1〜9のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、火炎の伸びが認められず(ノズル1〜3)、噴射物に直接炎を近づけた場合であっても着火しなかった、または着火したが直ぐに火が消えた(ノズル4)。
一方、沸点が−30〜−5℃である第2のハイドロフルオロオレフィンとイソペンタンを併用した比較例1のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、ノズル2およびノズル3を使用した場合に噴射パターンが乱れた。また、比較例1のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、逆火が発生しなかったものの火炎の伸びが認められ(ノズル1〜3)、噴射物に直接炎を近づけた場合に着火し、5秒以上燃え続けた(ノズル4)。
沸点が−30〜−5℃である第2のハイドロフルオロオレフィンとメチルパーフルオロブチルエーテルを併用した比較例2のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、噴射物が発泡するのみで氷結しなかった。
沸点が5〜30℃である第1のハイドロフルオロオレフィンと液化石油ガスを併用した比較例3のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、ノズル1〜4の全てで噴射パターンが乱れた。また、比較例3のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、逆火が発生しなかったものの火炎の伸びが認められ(ノズル1〜3)、噴射物に直接炎を近づけた場合に着火し、5秒以上燃え続けた(ノズル4)。
ハイドロフルオロオレフィンを使用せずに液化石油ガスとイソペンタンを併用した比較例4のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、噴射物が発泡するのみで氷結しなかった。また、比較例4のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、火炎の伸びが認められ、さらに逆火が発生し(ノズル1〜3)、噴射物に直接炎を近づけた場合に着火し、5秒以上燃え続けた(ノズル4)。
沸点が−30〜−5℃である第2のハイドロフルオロオレフィンのみを含む比較例5のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、噴射パターンが乱れ、さらに詰まりが発生した。また、比較例5のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、ノズル2を使用した場合はハイドロフルオロオレフィンが気化するタイミングが早く対象物上で噴射物が氷結しなかった。さらに、比較例5のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、火炎の伸びが認められず(ノズル1〜3)、噴射物に直接炎を近づけた場合であっても着火しなかった(ノズル4)。
ハイドロフルオロオレフィンを使用せずに液化石油ガスのみを使用した比較例6のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、噴射パターンが乱れ、さらに詰まりが発生した。また、比較例6のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、ノズル2を使用した場合は液化ガスが気化するタイミングが早く対象物上で噴射物が氷結しなかった。さらに、比較例6のエアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、逆火が発生しなかったものの(ノズル1〜3)、噴射物に直接炎を近づけた場合に着火し、5秒以上燃え続けた(ノズル4)。
表17に示されるように、水性原液と沸点の異なるハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させた実施例1のエアゾール組成物を噴射した場合、噴射物は、噴射パターンが乱れることなく一定方向に噴射された。一方、ハイドロフルオロオレフィンを使用しなかった比較例6のエアゾール組成物を噴射した場合、ノズル通路内で凍結してしまい、通路内の一部が塞がれ、噴射物は、上下左右に噴射パターンが乱れた。また、噴射後に比較例6のエアゾール組成物を噴射したエアゾール製品のノズルを確認すると完全に塞がれており、詰まりを生じた。
(処方例1 UVカットスプレー)
以下の処方にしたがって水性原液4を調製し、ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd、第1のハイドロフルオロオレフィンの一例)および1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、第2のハイドロフルオロオレフィンの一例))を表18に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。得られたエアゾール組成物を充填したエアゾールバルブに、ノズル1を有する噴射ボタンを取り付け、エアゾール製品を調製した。
<水性原液4>
POE(20)・POP(8)・セチルエーテル(*1) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*2) 0.1
メチルパラベン 0.1
タルク 0.5
プロピレングリコール 3.0
酸化チタン 5.0
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(*10) 1.5
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(*11) 9.0
精製水 80.3
(合計) 100.0(質量%)
*10:ユビナールA plus Glanular(商品名)、BASFジャパン(株)製
*11:パルソールMCX(商品名)、BASFジャパン(株)製
(処方例2 ファンデーション)
以下の処方にしたがって水性原液5を調製し、ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd、第1のハイドロフルオロオレフィンの一例)および1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、第2のハイドロフルオロオレフィンの一例))を表19に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。得られたエアゾール組成物を充填したエアゾールバルブに、ノズル1を有する噴射ボタンを取り付け、エアゾール製品を調製した。
<水性原液5>
POE(20)・POE(8)セチルエーテル(*1) 0.5
タルク 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*2) 0.1
メチルパラベン 0.1
顔料 10.0
パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(*12) 3.0
オリーブ油(*13) 2.0
スクワラン(*14) 1.0
エタノール 3.0
香料 0.1
精製水 79.7
合計 100.0(質量%)
*12:エスカロール507(商品名)、ISPジャパン(株)製
*13:クロピュア OL(商品名)、クローダジャパン(株)製
*14:スクワラン(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
(処方例3 冷感シャンプー)
以下の処方にしたがって水性原液6を調製し、ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。ポリエチレンテレフタレート製耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、ハイドロフルオロオレフィンの混合物(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233zd、第1のハイドロフルオロオレフィンの一例)および1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze、第2のハイドロフルオロオレフィンの一例))を表20に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、水性原液とハイドロフルオロオレフィンの混合物とを乳化させ、エアゾール組成物を調製した。得られたエアゾール組成物を充填したエアゾールバルブに、ノズル1を有する噴射ボタンを取り付け、エアゾール製品を調製した。
<水性原液6>
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*15) 12.0
POE(20)オレイルエーテル(*16) 3.0
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*17) 12.0
ヒドロキシエチルセルロース(*2) 0.5
メチルパラベン 0.1
グリセリン 1.0
精製水 71.4
合計 100.0(質量%)
*15:アンヒトール 20AB(商品名)、花王(株)製
*16:BO−20V(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*17:エマール270J(商品名)、花王(株)製
処方例1〜3で得られたそれぞれのエアゾール製品について、噴射の安定性、噴射物の状態および火炎長を評価した。結果を表21に示す。
表21に示されるように、処方例1〜3のエアゾール製品は、いずれも安定に噴射でき、所望の氷結物を形成することができた。また、処方例1〜3のエアゾール製品は、火炎の伸びが認められなかった。

Claims (4)

  1. 界面活性剤と水とを含有する水性原液と、
    沸点が5〜30℃の第1のハイドロフルオロオレフィンと、
    沸点が−30〜−5℃の第2のハイドロフルオロオレフィンとを含み、
    前記水性原液と、前記第1のハイドロフルオロオレフィンおよび前記第2のハイドロフルオロオレフィンの混合物とが乳化しており、
    前記第1のハイドロフルオロオレフィンは、エアゾール組成物中に10〜35質量%含まれ、
    前記水は、前記水性原液中に50〜99.5質量%含まれている、エアゾール組成物。
  2. 前記第1のハイドロフルオロオレフィンは、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1記載のエアゾール組成物。
  3. 前記第2のハイドロフルオロオレフィンは、前記エアゾール組成物中に40〜80質量%含まれている、請求項1または2記載のエアゾール組成物。
  4. 前記水性原液は、前記エアゾール組成物中に10〜40質量%含まれている、請求項1〜のいずれか1項に記載のエアゾール組成物。
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