JP6327923B2 - ポリアセタール樹脂組成物、及びそれからなる成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、短期ないし長期にわたる熱安定性及び優れた色調性を有するポリアセタール樹脂組成物、並びにその成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は、剛性、強度、靭性、摺動性、クリープ性等に優れた樹脂材料であり、自動車部品や電気・電子機器及び各種機構部品を中心に広範に亘って使用されている。
ところで、従来より、ポリアセタール樹脂に様々の化合物を添加して、ポリアセタール樹脂を含む組成物の物性やその成形品の成形性を向上させるために、種々の技術が提案されている。例えば、ポリアセタール樹脂に、ヒンダードフェノール酸化防止剤と12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムとポリアミド6/66/610/12を添加して、成形品のホルムアルデヒド付着量や連続成形時におけるモールドデポジット発生量を改良した技術(特許文献1)や、酸化防止剤と12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムとメラミンとカーボンブラックを添加して、ホルムアルデヒドガス発生量や連続成形時におけるモールドデポジット発生量を改良した技術(特許文献2)や、ヒンダードフェノール酸化防止剤と12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムと含窒素化合物と滑剤を添加して、酸性雰囲気下での耐久性を改良した技術(特許文献3)などが提案されている。
特開平4−168143号公報 特開平11−140272号公報 特開2010−31200号公報
しかしながら、上述のように、ポリアセタール樹脂は、自動車部品や電気・電子機器等の重要な機構部品であることが多く、その品質は短期ないし長期に亘って安定であることが求められている。また、上記のポリアセタール樹脂を用いた部品の中には、優れた色調性を備えることを求められることもあった。そして、例えば、前記の特許文献1ないし3の従来の技術をもってしても、短期ないし長期に亘る十分な熱安定性及び優れた色調性が達成されていなかった。
上記事情に鑑み、本発明は、短期ないし長期の熱安定性及び優れた色調性を有するポリアセタール樹脂組成物、並びに成形体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、ヒドロキシ基を一個以上有する脂肪酸金属塩の物性を特定の範囲にすることにより、ポリアセタール樹脂組成物の物性が向上することに着目し、さらに、ヒドロキシ基を一個以上有する脂肪酸金属塩の物性の中でもその色調を特定の範囲とすることで、ポリアセタール樹脂組成物の色調性の改良だけでなく、短期ないし長期の熱安定性を向上させることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕(A)ポリアセタール樹脂と、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)酸化防止剤0.1〜2.0質量部と、
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(C)色調b値が3〜10であるヒドロキシ基を一個以上有する脂肪酸金属塩0.01〜2.0質量部と、
を含むポリアセタール樹脂組成物。
〔2〕前記脂肪酸金属塩の色調b値が3〜8である上記[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔3〕前記脂肪酸金属塩の色調b値が3〜6である上記[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔4〕上記[1]から[3]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体。
本発明により、短期ないし長期の熱安定性及び優れた色調性を有するポリアセタール樹脂組成物、並びに成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(ポリアセタール樹脂組成物)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂と、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)酸化防止剤0.1〜2.0質量部と、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(C)色調b値が3〜10であるヒドロキシ基を一個以上有する脂肪酸金属塩(以下、「(C)脂肪酸金属塩」とも称す)0.01〜2.0質量部と、を含むポリアセタール樹脂組成物である。
−(A)ポリアセタール樹脂−
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂は、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマー、並びにそれらの混合物である。
ポリアセタールホモポリマーは、オキシメチレン基を主鎖に有し、重合体の両末端がエステル基又はエーテル基により封鎖され、ホルムアルデヒド及び公知の分子量調節剤を原料とし公知のオニウム塩系重合触媒を用いて炭化水素等を溶媒として公知のスラリー法、例えば特公昭47―6420号公報や特公昭47−10059号公報に記載の重合方法で得ることができる。
ポリアセタールコポリマーは、トリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合して得られるポリオキシメチレン共重合体である。トリオキサンは、ホルムアルデヒドの3量体であり、一般的に酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留等の方法で精製して用いられる。トリオキサン、環状エーテル及び環状ホルマールは、高度に精製されている必要があり、水、メタノール、ギ酸等のポリマー末端基に水酸基を誘導する不純物の含有量は、全モノマー量に対して、30質量ppm以下、好ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは3質量ppm以下である。
重合方法は、従来公知の方法、例えば、US-A-3027352、US-A-3803094、DE-C-1161421、DE-C-1495228、DE-C-1720358、DE-C-3018898及び特開昭58-98322号、特開平7-70267号に記載の方法によって重合することができ、その後、ベント部を有する溶融混練可能な押出し機等によって不安定末端部を除去し、ポリマー末端部が安定化されたポリアセタールコポリマーを得ることができる。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキセタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられ、中でもエチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記コモノマーの添加量は、トリオキサン1molに対して0.03〜15.0mol%が好ましい。より好ましくは、0.1〜10.0mol%であり、更に好ましくは、0.5〜8.0mol%の範囲である。
コモノマー添加量が前記範囲にあると、剛性、靱性、耐熱性のバランスに優れる。
重合触媒としては、ルイス酸に代表されるホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン化物が挙げられ、特に、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましい。例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートを好適例として挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合触媒の添加量は、前記トリオキサン1molに対して0.1×10-5〜0.1×10-3molの範囲が好ましく、より好ましくは0.3×10-5〜0.5×10-4molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10-5〜0.4×10-4molの範囲である。
重合触媒の添加量が前記範囲内であるとき、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
また、前記ポリアセタール樹脂のメルトインデックス値(ASTM−D1238に準拠)は、0.1g/10min〜90.0g/10minであることが好ましく、より好ましくは0.5g/10min〜70.0g/10min、更に好ましくは1.0g/10min〜50.0g/10minである。
メルトインデックス値が前記範囲にあると、成形性に優れる。
−(B)酸化防止剤−
本実施形態で用いる(B)酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等が挙げられる。
本実施形態では、これらヒンダードフェノール系酸化防止剤の中でもトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、及びテトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。(B)酸化防止剤が上記化合物であると、ポリアセタール樹脂組成物の色調性を十分に確保することができる。
前記(B)酸化防止剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.1〜2.0質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5質量部、更に好ましくは0.2〜1.0質量部である。(B)酸化防止剤の添加量が前記範囲にあると、ポリアセタール樹脂組成物の短期の熱安定性が優れる。
−(C)脂肪酸金属塩−
本実施形態で用いる(C)脂肪酸金属塩の、それを構成するヒドロシキ基を一個以上有する脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシラウリン酸、3−ヒドロキシラウリン酸、2−ヒドロキシミロスチン酸、3−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、16−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、3−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシリノール酸、などが挙げられる。
(C)脂肪酸金属塩の、それを構成する脂肪酸が、ヒドロキシル基を一個以上有することにより、ヒドロキシル基を有しない脂肪酸と比較して、脂肪酸自体の熱安定性が優れるため、当該脂肪酸が配合されたポリアセタール樹脂組成物の長期の熱安定性も優れるものとすることができる。
(C)脂肪酸金属塩の、それを構成する金属としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、バリウム、亜鉛、などが挙げられる。
好ましい(C)脂肪酸金属塩としては、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウムを挙げることができる。(C)脂肪酸金属塩が上記化合物であると、ポリアセタール樹脂組成物の長期の熱安定性を十分に向上させることができる。
なお、(C)脂肪酸金属塩の脂肪酸及び脂肪酸金属塩を形成する金属種は、それぞれ1種のみでも、2種以上の混合物でもよい。
本実施形態で用いる(C)脂肪酸金属塩の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01〜2.0質量部であり、好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.02〜1.0質量部である。(C)脂肪酸金属塩の添加量が前記範囲にあると、ポリアセタール樹脂組成物の長期の熱安定性が優れる。
前記(C)脂肪酸金属塩の合成方法は、特に限定されないが、例えば、(C)脂肪酸金属塩の脂肪酸の原料を、後述する方法により色調調整のための処理(脱色処理)をした後、当該処理した原料を水素添加して加水分解し、次いで、この脂肪酸と金属から、例えば、複分解法、湿式直接法及び乾式直接法等の方法を用いて(C)脂肪酸金属塩を得ることができる。
なお、(C)脂肪酸金属塩の脂肪酸の原料としては、特に限定されないが、例えば、ヒマシ油等が挙げられる。
前記(C)脂肪酸金属塩の原料を色調調整するための処理は、特に限定されないが、例えば、(C)脂肪酸金属塩の脂肪酸の原料を、活性炭又はゼオライト等に通すことで行うことができ、当該処理を行った後(C)脂肪酸金属塩を合成することにより、前記色調b値を3〜10とすることできる。即ち、色調b値が3〜10になるように処理を行うことにより、原料中の不純物が吸着されて色調が改善されたものと推定され、これによりポリアセタール樹脂組成物の長期の熱安定性がより優れたものとなる。
なお、(C)脂肪酸金属塩の色調b値は3〜10であるが、好ましくは3〜8、より好ましくは3〜6である。これにより、ポリアセタール樹脂組成物の長期の熱安定性がさらに優れるものとなる。
上述のように、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂に、特定量(前述)の(B)酸化防止剤及び(C)脂肪酸金属塩を含有させることによって、短期ないし長期の熱安定性及び優れた色調性を有するものとなる。
−その他−
本実施形態のポリアセタール樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂に使用されている添加剤、例えば、熱安定剤、耐候(光)安定剤、離型(潤滑)剤、着色剤等を単独、又はこれらを組み合わせて用いることが出来る。
(ポリアセタール樹脂組成物の製造方法)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、上述した(A)〜(C)の成分及びその他の成分を混合し、混練機を用いて混練することによって、製造することができる。
混練機としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられ、特に、生産性の観点から、押出機が好ましく、安定な大量生産性の観点から、単軸又は二軸の押出機が更に好ましい。
混練温度は、ベースとなるポリアセタール樹脂の好ましい加工温度に従って定められてよく、例えば、140〜260℃としてよく、180〜230℃とすることが好ましい。
各成分を混練機に加える順序は、特に限定されず、例えば、1種ずつ又は複数種まとめて混練機に加えてよく、また、複数種の成分からなる混合物を予め調製してもよい。
(成形体)
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を含む。
前述の通り、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、短期ないし長期の熱安定性及び優れた色調性を有するため、本実施形態の成形体は、様々な用途の成形体とすることができる。
本実施形態の成形体は、特に限定されないが、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の公知の成形方法を用いて、製造することができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で適用した物性測定方法、及び原料は以下と通りとした。
〔物性測定方法〕
<色調b値>
(C)脂肪酸金属塩の色調b値の測定は、脂肪酸金属塩そのものを、打錠機にて径20mm、厚み2mmの円柱に打錠し、この打錠したものを、測色色差計(NIPPON DENSHOKU社製 Color Meter ZE2000)にて測定した。
また、ポリアセタール樹脂組成物の色調b値の測定は、ポリアセタール樹脂組成物のペレットを、同様に、測色色差計にて測定した。
測定した色調b値は、その数字が大きいほど黄色が強いことを示す。
<短期熱安定性>
ポリアセタール樹脂組成物のペレット(3±0.01g)を、窒素雰囲気下(50ml/hr)で、230℃に加熱、溶融させ、滞留時間30分間に発生するホルムアルデヒドガスを、1mol/lの亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させ、生成する水酸化ナトリウムを、1/100規定の硫酸で滴定し、ホルムアルデヒドガス量に換算して求めた。この滴定には、指示薬としてチモールフタレインを用い、青色が無色となった時点を終点とした。ホルムアルデヒドガス量が少ないほど、ポリアセタール樹脂組成物の短期熱安定性が優れることを意味する。
<長期熱安定性>
射出成形機(東芝製100GN)を用いて、成形温度200℃、金型温度80℃にて、幅10mm、長さ110mm、厚み3mmの試験片を成形し、この試験片を120℃に設定したギヤオーブン中にて耐久テストを実施した。耐久テストの評価は、試験片へのクラックの発生時間とした。試験片へのクラックの発生時間が長いほど、長期耐久性に優れていることを意味する。
〔原料〕
実施例、比較例には下記成分を用いた。
<(A)ポリアセタール樹脂>
A−1:
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8(L:重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)。以下、同じ。))を80℃に調整した。
重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hrと、有機溶剤として環状タイプのシクロヘキサン6.2g/hrと、直鎖タイプのn−ヘキサン0.3g/hrとを温度28℃にて連続的に混合した混合液と、低分子量アセタール化合物としてメチラール2.4g/hrと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを、トリオキサン3500g/hrに連続的に混合した混合液とを、別々の配管にて重合反応機に連続的に供給し重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃で3hr乾燥しポリアセタールコポリマーを得た。
得られたものの融点は164.2℃、メルトフローインデックスは10.2g/10minであった。なお、融点は、パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、昇温速度2.5℃/minで測定した。また、メルトフローインデックスは、ASTM D1238に従い、東洋精機製のMELT INDEXERを用いて、190℃、2.16kgで測定した。
A−2:
熱媒を通すことのできるジャケット付きの5Lの攪拌付重合装置を温度60℃、攪拌回転数700rpmに調整した。
溶媒としてn−ヘキサン10L/hrで連続供給しながら、水分を50ppm以下にしたホルムアルデヒドガス(以下Mと省略する)を680g/hr、触媒としてジアルキルジメチルアンモニウムアセテートを5×10-5mol/mol−M、分子量調節剤として無水酢酸を6.5×10-4mol/mol−Mで連続供給し、重合を行い粗ポリアセタール重合体を得た。得られた粗ポリアセタール重合体はセントルにて濾過した。
次いで、ジャケット付きの10Lの攪拌付装置を用いて、n−ヘキサン/無水酢酸の比が1.5の混合液、触媒として酢酸カリウムを混合液に対して40ppm、粗ポリアセタール重合体をスラリー濃度として25%になるように仕込み、温度150℃、攪拌回転数100rpmで末端安定化を実施した。得られたものをセントルにて濾過、洗浄、窒素下で100℃で3hr乾燥を行ってポリアセタールホモポリマーを得た。
得られたものの融点は175.2℃、メルトフローインデックスは22.3g/10minであった。
<(B)酸化防止剤>
トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:IRGANOX245)
<(C)脂肪酸金属塩>
C−1:
脂肪酸の原料であるヒマシ油は、活性炭を用いて、常温、1時間、当該ヒマシ油100質量部に対して活性炭30質量部の条件で脱色処理したものを使用し、その後、脱色処理したヒマシ油を水素添加してヒマシ硬化油を得、次いで加水分解して12−ヒドロキシステアリン酸を得た。この12−ヒドロキシステアリン酸を水で乳化させたものと、水酸化カルシウムをゼオライト触媒を用い温度80℃で湿式直接法にて合成反応を行った。次いで脱水、乾燥、粉砕の工程を経て、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムを得た。得られたものの色調b値は7.0であった。
C−2:
活性炭での脱色を強化するために処理時間を2時間にした以外は、C1と同じ操作を行い、より色調b値の低い12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムを得た。得られたものの色調b値は4.2であった。
C−3:
活性炭での脱色を弱めるために処理時間を0.5時間にした以外は、C1と同じ操作を行い、色調b値の高い12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムを得た。得られたものの色調b値は8.5であった。
C−4:
水酸化カルシウムに替えて水酸化アルミニウムを用いた以外は、C1と同じ操作を行い、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウムを得た。得られたものの色調b値は6.8であった。
C−5:
脂肪酸の原料であるヒマシ油をそのまま用いた以外は、C1と同じ操作を行い、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムを得た。得られたものの色調b値は12.4であった。
C−6:
ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製、商品名:CS−2)を脂肪酸金属塩として用いた。この色調b値は3.2であった。
〔実施例1〕
(A−1)ポリアセタール樹脂と、(A−1)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)酸化防止剤0.5質量部と、(C−1)脂肪酸金属塩0.5質量部とを、ヘンシェルミキサーにて均一に混合し、次いで、混合物を、200℃に設定されたベント付の2軸押出し機(L/D=40)を用いて、減圧脱気しながら押出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られた樹脂ペレットを80℃で4時間乾燥した。乾燥した樹脂ペレットを用いて、ペレットについての<色調b値>、<短期熱安定性>、<長期熱安定性>を前記各種評価方法により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2、3〕
(C)脂肪酸金属塩成分の色調b値を変えたものを使用した以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
(C)脂肪酸金属塩の金属を変えたものを使用した以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5、6〕
(B)酸化防止剤、(C)脂肪酸金属塩の添加量を変えた以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
(A−1)ポリアセタール樹脂を(A−2)ポリアセタール樹脂にした以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1、2〕
(C)脂肪酸金属塩の色調b値が本実施形態の範囲外のものを使用した以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
(C)脂肪酸金属塩がヒドロキシ基を含有しないものを使用した以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4、5〕
(B)酸化防止剤及び(C)脂肪酸金属塩のいずれか一方を含めない以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
〔比較例6、7〕
(B)酸化防止剤及び(C)脂肪酸金属塩の添加量が本実施形態の範囲外である以外は、実施例1と同じ操作を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0006327923
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前記表1、表2の評価結果から明らかなように、実施例1〜7と比較例1〜7によれば、(B)酸化防止剤と(C)脂肪酸金属塩とが、各々、本発明の範囲内であることにより、ペレットの色調b値を低減することができ、また短期熱安定性及び長期熱安定性を向上させることができることがわかった。
本発明は、短期ないし長期の熱安定性及び優れた色調性を有するポリアセタール樹脂組成物、並びに成形体を提供することができる。

Claims (4)

  1. (A)ポリアセタール樹脂と、
    前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)酸化防止剤0.1〜2.0質量部と、
    前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(C)色調b値が3〜10であるヒドロキシ基を一個以上有する脂肪酸金属塩0.01〜2.0質量部と、
    を含むポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記脂肪酸金属塩の色調b値が3〜8である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸金属塩の色調b値が3〜6である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体。
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