JP5111948B2 - ポリオキシメチレン樹脂製延伸体 - Google Patents

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Description

本発明は、棒状又はフィラメント状に加工されたポリオキシメチレン樹脂製延伸体に関するものであり、高剛性で且つ高強度で、更に高延伸倍率の際の連続生産安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂製延伸体に関するものである。
ポリオキシメチレン樹脂は結晶性エンジニアリングプラスチックであり、剛性、強度、耐熱性、耐クリープ性といった機械的特性や摺動特性が要求され、各種機構部品を中心に広範囲に亘って使用されている。しかしながら、その多くは射出成形によって生産されており、棒状やフィラメント状に加工して使用されていない。その理由としては、ポリオキシメチレン樹脂は高結晶性樹脂である為に溶融状態から固化する過程で成形体中にボイド(中空部)が発生し易い為、成形体中にボイドが存在すると延伸倍率を上げる事が出来ず、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体を得ることができないことが挙げられる。
ポリオキシメチレン樹脂製延伸体として、ポリオキシメチレン重合体中に特定量のオキシアルキレン単位を含むポリオキシメチレン共重合体からなるポリオキシメチレン樹脂製延伸体が知られている(例えば特許文献1〜3参照。)。しかしながら、これらのポリオキシメチレン樹脂製延伸体は、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリアミドよりも高剛性で且つ高強度の延伸体を得ることはできるが、更に高剛性で且つ高強度の延伸体を得る為には高い延伸倍率まで延伸しなければならず、連続生産安定性に問題があった。
特開2004−181718号公報 特開2005−264355号公報 特開2001−181928号公報
本発明の目的は、高剛性、且つ高強度で、更に高延伸倍率の際の連続生産安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂製延伸体を提供するものである。
本発明者らは、上記のような課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、ポリオキシメチレン樹脂に特定のブロック成分を導入することにより、ポリオキシメチレン樹脂の結晶構造を微細化することができ、低い延伸倍率でも高剛性、且つ高強度で、更に連続生産安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られる事を見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、以下の通りである。
1.下記一般式(I)で表されるA−B−A型ポリオキシメチレンブロック共重合体からなる棒状またはフィラメント状に加工された樹脂製延伸体であり、引張弾性率が14GPa以上であることを特徴とするポリオキシメチレン樹脂製延伸体。
Figure 0005111948
(式中、A以外(以下Bブロックという)は、m=70〜98モル%、n=2〜30モル%、m+n=100モル%であり、nはmに対してランダムあるいはブロックで存在し、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン残基。k=2〜6から選ばれる整数であり、2つのkは各々同一であっても異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。Aは、下記一般式(II)で表されるポリオキシメチレン共重合体残基。)
Figure 0005111948
(R1は水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。jは2〜6から選ばれる整数である。x=90〜99.9モル%、y=10〜0.1モル%、x+y=100モル%、yはxに対してランダムに存在する。)
2.ポリオキシメチレンブロック共重合体のBブロック成分である両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分が、ポリオキシメチレンブロック共重合体に対して、0.01〜10質量%の範囲で存在することを特徴とする上記1記載のポリオキシメチレン樹脂製延伸体。
3.ポリオキシメチレンブロック共重合体が、メルトインデックス値0.1〜20g/10minであることを特徴とする上記1または2に記載のポリオキシメチレン樹脂製延伸体。
本発明は、同延伸倍率の従来延伸体に比べて、高剛性、且つ高強度であり、更に高延伸倍率の際の連続生産安定性に優れたポリオキシメチレンブロック共重合体からなるポリオキシメチレン樹脂製延伸体を提供するものである。
以下、本発明について、詳細に述べる。
本発明で用いるポリオキシメチレンブロック共重合体とは、下記一般式(I)
Figure 0005111948
(式中、A以外(以下Bブロックという)は、m=70〜98モル%、n=2〜30モル%、m+n=100モル%であり、nはmに対してランダムあるいはブロックで存在し、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン残基。k=2〜6から選ばれる整数であり、2つのkは各々同一であっても異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。Aは、下記一般式(II)で表されるポリオキシメチレン共重合体残基。)
Figure 0005111948
(R1は水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。jは2〜6から選ばれる整数である。x=90〜99.9モル%、y=10〜0.1モル%、x+y=100モル%、yはxに対してランダムに存在する。)
で表されるA−B−A型のポリオキシメチレンブロック共重合体である。
ポリオキシメチレンブロック共重合体のBブロック成分は、両末端をヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンである。その水素添加率は100%(不飽和結合を持たない構造)が好ましいが、水素添加率が100%でなくても、ヨウ素価20g−I/100g(JIS−K−0070に準ずる)以下の範囲で不飽和結合を含むものであれば本発明の目的とする高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレンブロック共重合体からなるポリオキシメチレン樹脂製延伸体を得ることができる。
Bブロック成分は、一般式(I)のmが70〜98モル%、nは2〜30モル%であることが必要である。mとnがこの範囲内であれば、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶構造は緻密化され、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体を得ることができる。好ましくはm=80〜95モル%であり、n=5〜20モル%である。又、nはmに対してランダム或いはブロックで存在し、好ましくはランダムである。
また、Bブロック成分である両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ブタジエンの数平均分子量(Mn)は、500〜10000である。数平均分子量がこの範囲であれば、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶構造は緻密化され、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体を得ることができる。好ましい数平均分子量は、1000〜5000である。また、好ましい分子量分布(Mw/Mn)は2未満である。
分子量の測定方法は、浸透圧法や末端定量法或いはGPC法により測定することができる。例えば、ウォターズ社製150C−GPC装置で、1,2,4−トリクロロベンゼンをキャリアとして用い、140℃の温度でポリスチレン標準試料換算して測定できる。
次に、Bブロック成分の両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ブタジエンの末端を構成するヒドロキシアルキル基について説明する。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基及びそれらのアルキル基或いはアリール基置換体であり、製造方法は、それぞれの基に相当するアルキレンオキシド或いは置換アルキレンオキシドをポリブタジエンの両末端に存在するリビングアニオンと反応させることにより合成することができる。中でも好ましくは、ヒドロキシエチル基であり、両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンは、ポリブタジエンをヒドロキシアルキル化した後、更に水素添加することによって合成される。
本発明に用いるポリオキシメチレンブロック共重合体のAブロックは一般式(II)で表される。一般式(II)中のx単位は開環重合したトリオキサンに起因するオキシアルキレン単位であり、y単位は開環重合した環状ホルマール(又は環状エーテル)に起因するオキシアルキレン単位である。y単位はx単位に対し、ランダムに存在する。x=90〜99.9モル%であり、y=10〜0.1モル%で、x+y=100モル%である。この範囲内にあれば、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体を容易に製造することができ、好ましい範囲は、y=0.1〜8モル%であり、更に好ましくはy=0.1〜5モル%の範囲である。jは2〜6から選ばれる整数である。R1は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。
具体的な環状ホルマール(又は環状エーテル)は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサンなどから選ばれる1種以上である。中でも1,3−ジオキソラン、1,3、5−トリオキセパン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましく、特に好ましくは1,3−ジオキソランである。
次に、ポリオキシメチレンブロック共重合体の重合方法について説明する。Bブロック成分を構成する両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンを連鎖移動剤として存在させた条件下で、トリオキサンと環状ホルマール(及び/又は環状エーテル)とを共重合させることにより製造することができる。上記モノマー以外に、水、メタノール、メチラール等の分子量調節剤を必要に応じて更に存在させて共重合させることができる。
両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分の重合反応機への添加フィード方法は、環状ホルマール(又は環状エーテル)と予め混合し重合反応機にフィードしても良いし、環状ホルマールとは別系統で重合反応機にフィードしても良く、また主原料であるトリキサンに予め添加混合しても良い。その添加フィード方法は、特に限定するものではない。
重合触媒は、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物等が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステル又は無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的に三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルが好適例として挙げられる。これら重合触媒の使用量は、トリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールの合計量1モルに対し1×10−6モル〜1×10−3モルが好ましく、5×10−6モル〜1×10−4モルが更に好ましい。
重合方法は、特に制限はないが、好ましくは塊状重合法を挙げることができ、この塊状重合はバッチ式、連続式のいずれかであってもよい。この塊状重合は、溶融状態にあるモノマーを用いて重合の進行とともに固体塊状ポリマーを得る方法である。得られた重合ポリマーは重合触媒を失活させ、更にポリオキシメチレンブロックポリマーの不安定末端を処理し安定化する工程を経て、実用に供する。
重合されたポリオキシメチレンブロック共重合体中の重合触媒の失活は、前記の重合反応によって得られたポリオキシメチレン共重合体を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の触媒中和失活剤の少なくとも一種を含む水溶液又は有機溶剤溶液中に投入し、スラリー状態で一般的には数分〜数時間攪拌することにより行われる。触媒中和失活後のスラリーはろ過、洗浄により、未反応モノマーや触媒中和失活剤、触媒中和失活塩が除去された後、乾燥される。また、アンモニア、トリエチルアミン等の蒸気とポリオキシメチレンブロック共重合体とを接触させて重合触媒を失活させる方法や、ヒンダードアミン類、トリフェニルホスフィン及び水酸化カルシウム等のうちの少なくとも一種とポリオキシメチレン共重合体とを混合機で接触させて触媒を失活させる方法も用いることができる。
次に、ポリオキシメチレンブロック共重合体の分子量について述べる。ポリオキシメチレンブロック共重合体の分子量は、ポリオキシメチレンブロック共重合体のメルトインデックス値で代用可能であり、ポリオキシメチレンブロック共重合体のメルトインデックス値が0.1〜20g/10minの範囲が好ましく、より好ましくは、0.1〜5g/10minの範囲である。更に好ましくは0.1〜3g/10minの範囲である。ポリオキシメチレンブロック共重合体のメルトインデックス値がこの範囲であれば、ポリオキシメチレンブロック共重合体の粘性が増大し延伸し易くなり、より高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られやすい。
次に、重合されたポリオキシメチレンブロック共重合体の同定方法について説明する。ポリオキシメチレンブロック共重合体を塩酸などの酸性水溶液中で加水分解させると、オキシメチレン単位の繰返しよりなる部分はホルムアルデヒドとなり、ポリオキシメチレン中にランダムに挿入されたオキシアルキレンユニットの部分はアルキレングリコールになり、Bユニットの部分は重合前のヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエンになる。ホルムアルデヒド及びアルキレングリコールは、水で抽出分離されガスクロマトグラフィーで定量される。ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンは、ホルムアルデヒド及びアルキレングリコールが抽出分離された後の残渣をGPC分析、あるいは重量分析することで定量することができる。
次に、A−B−A型かA−B型の確認同定方法について説明する。ポリオキシメチレンブロック共重合体の構造を同定する方法は、ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンの片末端がヒドロキシ基のみを連鎖移動剤として重合したA−B型ポリオキシメチレンブロック共重合体と、両末端ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンを連鎖移動剤として重合したA−B−A型ポリオキシメチレンブロック共重合体のホルムアルデヒド量を定量することで、ポリマー構造を同定することができる。ポリオキシメチレンブロック共重合体中のホルムアルデヒド量は、末端安定化する前の重合ポリマーを窒素雰囲気下で190℃、30分間加熱し、発生したホルムアルデヒドを亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させ硫酸で滴定し、その滴定量からホルムアルデヒド量を定量する。ポリオキシメチレンブロック共重合体の不安定末端が同じであれば、A−B−A型ポリオキシメチレンブロック共重合体のホルムアルデヒド量は、A−B型ポリオキシメチレンブロック共重合体の2倍であり、ポリオキシメチレンブロック共重合体の分子構造を同定することができる。
次に、ポリオキシメチレンブロック共重合体中に存在するヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分の挿入量の定量方法について述べる。まず、ポリオキシメチレンブロック共重合体を1規定の塩酸を用いて120℃で3時間かけて分解し、その後トルエンを加えて120℃のオイルバスで蒸発乾固させる。この操作を3回以上繰返した後、更にトルエンを加えて2回蒸発乾固させ、その残渣を最初に仕込んだペレット重量で割り返す事で、ポリオキシメチレンブロック共重合体中に存在するヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンを求めることができる。
ポリオキシメチレンブロック共重合体中のヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分は、ポリオキシメチレンブロック共重合体に対して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%である。更に好ましくは、0.01〜3質量%の範囲である。ポリオキシメチレンブロック共重合体中のヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分がこの範囲内であれば、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶構造は緻密化され、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られる。
本発明においてポリオキシメチレンブロック共重合体中のヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンの分散形態も重要であり、ポリオキシメチレンブロック共重合体中に最大分散径が20μm以下の分散径で均一に分散していることが好ましい。より好ましくは最大分散粒子径が10μm以下であり、更に好ましくは5μm以下の分散粒子径である。
ポリオキシメチレンブロック共重合体中のヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分の分散粒子径は、電子顕微鏡で観察することができる。この時のポリオキシメチレンブロック共重合体の超箔切片は、ウルトラミクロトームを用いて80nmの薄さとし、この超箔切片を電子顕微鏡で観察する。ポリオキシメチレンブロック共重合体中のヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分の最大分散粒子径が20μm以下である場合は、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶構造は緻密化され、より高倍率に延伸することが可能になり、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られる。
ポリオキシメチレンブロック共重合体の球晶サイズは、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μmある。球晶サイズは、偏光顕微鏡で観察することができる。まず、ポリオキシメチレンブロック共重合体の超箔切片をウルトラミクロトームで5μmの薄さに切り出し、偏光顕微鏡で観察する等の方法により測定することが出来る。
本発明のポリオキシメチレンブロック共重合体製延伸体には、ポリオキシメチレンブロック共重合体のBブロック成分である両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分が、ポリオキシメチレンブロック共重合体に対して0.01〜10質量%の範囲、メルトインデックス値が0.1〜20g/10minの範囲であれば、ポリオキシメチレン共重合体、又はホルムアルデヒド単独重合体(ポリオキシメチレン樹脂)をブレンド添加しても良い。ポリオキシメチレン共重合体の分子量と融点は、特に制限するものではなく、通常使用されているポリオキシメチレン共重合体を使用することができる。
ポリオキシメチレンブロック共重合体とポリオキシメチレン共重合体の混合比率は、具体的には、ポリオキシメチレンブロック共重合体とポリオキシメチレン共重合体の質量比が1/99〜99/1の比率であり、好ましくは10/90〜99/1の範囲である。更に好ましくは30/70〜99/1の範囲である。ポリオキシメチレンブロック共重合体とポリオキシメチレン共重合体の質量比が上記の範囲であれば、高剛性で且つ高強度の延伸体を連続に安定生産する事ができる。ポリオキシメチレンブロック共重合体の延伸方法は、ポリオキシメチレンブロック共重合体を押出し機で可塑化し、溶融したポリオキシメチレンブロック共重合体を押出し機ダイから紡出直後に冷却槽で冷却した後、延伸槽前後の巻取りローラの回転速度比で延伸倍率を調整し、高剛性、高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体を製造する。
この時の冷却槽及び延伸槽の冷却媒体は、多価アルコールに代表されるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリンや流動パラフィン、シリコーン化合物類、水(熱水)である。中でも好ましくは、水(熱水)、グリセリン、エチレングリコールである。
押出し機ダイから冷却槽液面までの距離は1〜20cmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜15cm、更に好ましくは1〜10cmの範囲である。押出し機ダイから冷却槽液面までの距離がこの範囲内であれば、溶融したポリオキシメチレンブロック共重合体の揺れが抑えられ、湾曲や波打ち状態になることはなく、真円度に優れた延伸体を得ることができる。
冷却槽の冷却媒体の温度は、冷却槽を出たポリオキシメチレンブロック共重合体未延伸体の表面温度が2℃〜ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶化開始温度の範囲になるように冷却槽の温度をコントロールすることが好ましく、より好ましくは60℃〜ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶化開始温度、更に好ましくは90℃〜ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶化開始温度の範囲である。冷却槽を出たポリオキシメチレンブロック共重合体未延伸体の表面温度がこの範囲であれば、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶構造は緻密化・微細化され、より高倍率に延伸することが可能になり、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られる。
延伸槽の温度は、延伸槽出のポリオキシメチレンブロック共重合体延伸体の表面温度がポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶化開始温度からポリオキシメチレンブロック共重合体の融点の範囲でコントロールされることが好ましい。延伸槽出のポリオキシメチレンブロック共重合体延伸体の表面温度がこの範囲であれば、ポリオキシメチレン共重合体の粘性が増大し、粘性が増大することでより延伸し易くなり、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られる。延伸槽に使用する媒体は冷却槽で使用する冷却媒体と同一であっても異なっていても良い。
延伸槽内のポリオキシメチレンブロック共重合体の滞留時間は、1秒〜10分の範囲が好ましく、より好ましくは1秒〜8分の範囲、更に好ましくは1秒〜5分の範囲である。延伸槽内の滞留時間がこの範囲内であれば、ポリオキシメチレンブロック共重合体延伸体の温度分布がより均一になり高倍率に延伸することができ、高剛性で且つ高強度のポリオキシメチレン樹脂製延伸体が得られる。冷却槽及び延伸槽は、一槽であっても二槽以上を組み合わせても何れでも良く、特に制限するものではない。また、延伸槽から出たポリオキシメチレン樹脂製延伸体は、必要に応じてアニール処理することも可能である。アニール処理温度は、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶化開始温度から融点の範囲である。アニール処理時間は1秒〜10分が好ましく、より好ましくは1秒〜5分、更に好ましくは1秒〜3分の範囲である。
ポリオキシメチレンブロック共重合体を可塑化する押出し機は、特に制限するものではなく、単軸押出し機であっても2軸押出し機であっても良い。スクリュー形状も特に制限はないが、L/Dが15以上のスクリュー形状が好ましく、混練ゾーン(圧縮ゾーン)を有するものであれば良い。より好ましくは、真空ベント部を有し且つ押出し機先端にギヤポンプを備えたものである。
ポリオキシメチレンブロック共重合体には必要に応じて、従来ポリオキシメチレン重合体に添加している各種安定剤や着色剤を添加することができる。例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ポリアミド樹脂、メラミン、メラミン誘導体、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルやポリアルキレングリコールなどの離型剤、カーボンブラックや酸化チタン、酸化鉄などの各種着色剤を単独、またはこれらを組み合わせて用いることも可能である。これら各種安定剤や着色剤は、一般には押出し機を用いて溶融混練することで添加することができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明を具体的に説明する。しかし、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。以下、実施例、比較例における測定条件を述べる。
1.メルトインデックス値
ASTM D1238に従い、東洋精器社製MELT INDEXERを用いて、190℃、2.16kgで測定した。
2.融点
ポリオキシメチレンブロック共重合体のペレットから5mg採取し、下記条件にて融点を測定した。
・装置:パーキンエルマー社製DSC−7
・測定条件:80℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、2分間ホールドした。その後、5℃/minの降温速度で130℃まで降温させた。130℃に到達後、2.5℃/minの昇温速度で200℃まで昇温させ、その時の吸熱曲線からピークトップの温度を読み取り、ポリオキシメチレンブロック共重合体の融点とした。
3.結晶化開始温度
ポリオキシメチレンブロック共重合体のペレットから5mg採取し、下記条件にて融点を測定した。
・装置:パーキンエルマー社製DSC−7
・測定条件:80℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、2分間ホールドした。その後、10℃/minの降温速度で130℃まで降温させ、発熱曲線の立ち上がり温度を読み取り、ポリオキシメチレンブロック共重合体の結晶化開始温度とした。
4.ポリオキシメチレンブロック共重合体の分子構造同定
下記(1)〜(3)により、ポリオキシメチレンブロック共重合体のモノマー構成を同定することができる。
(1) ポリマー中の環状ホルマール(又は環状エーテル)に起因するアルキレングリコールの定量は、ポリマーと1規定の塩酸を耐圧ビンに仕込み、130℃で2時間加熱し、ホルムアルデヒド、アルキレングリコール、そしてヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンに加水分解させる。そして分解させた水溶液中には、ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン相分離されるので、水溶液中のアルキレングリコールをガスクロマトグラフィーで定量した。
(2) ヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエンは、上記の加水分解水溶液からポリブタジエンを抽出分離され、ウォターズ社製150C−GPC装置で、1,2−4−トリクロロベンゼンをキャリアとして用い、140℃の温度で定量した。
(3) ブロックポリマーの数平均分子量は、東ソー(株)製HLC−8120及びカラムとして昭和電工(株)HFIP806(30cmカラム2本)、キャリアとしてHFIPを用い、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用い、温度40℃、流量0.5ml/minで測定した。
5.両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分の定量方法
重合直後の粗ポリオキシメチレンブロック共重合体を1規定の塩酸で分解し、その分解物をトルエン抽出した。この抽出物から両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンをエバポレーターで蒸発乾固し、残渣を天秤で測定した後、仕込みのポリオキシメチレンブロック共重合体から両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分を求めた。尚、蒸発乾固成分が両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンであることは、赤外吸収スペクトルを測定することで同定し確認した。
6.液状水素添加ポリブタジエンの最大分散粒子径
ポリオキシメチレンブロック共重合体の樹脂ペレットから80nmの厚さの超箔切片を切り出し、電子顕微鏡を用いて最大分散粒子径を測定した。
7.球晶観察
ポリオキシメチレンブロック共重合体の樹脂ペレットから5μmの厚さの超箔切片を切り出し、偏光顕微鏡を用いて最大球晶サイズを観察した。
8.延伸体の引張弾性率
ポリオキシメチレンブロック共重合体製延伸体の両端を引張試験機のチャックに巻きつけるようにして挟み、下記測定条件で引張弾性率を測定した。
・チャック間距離:300mm
・引張速度 :300mm/min
9.延伸体の引張強度
上記の引張弾性率測定と同一の条件でポリオキシメチレンブロック共重合体製延伸体を引張り、応力歪み曲線の最大降伏点の荷重を延伸体の断面積で割り返して求めた。
10.生産性
冷却槽を出た未延伸のポリオキシメチレンブロック共重合体を延伸槽に導き、延伸槽出の回転ローラに巻きつけ、連続に延伸を行った。この時の冷却槽出の回転ローラは1m/minの速度(一定)とし、延伸槽出の回転ローラの回転速度を1m/minから順に回転速度を上げ、目標とする延伸倍率に設定した。その後、回転速度を変更せず、1時間以上延伸体が破断せず生産できたか確認した。
次に、使用成分について説明する。
[Bブロック成分:両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン]
・両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン(A)
数平均分子量(Mn)=2100
m=90モル%、n=10モル%、水素添加率=100%、k=2
・両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン(B)
数平均分子量(Mn)=1500
m=90モル%、n=10モル%、水素添加率=100%、k=2
・両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン(C)
数平均分子量(Mn)=3000
m=90モル%、n=10モル%、水素添加率=100%、k=2
[ポリオキシメチレンブロック共重合体]
a) POM−1
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を75℃に調整し、水+蟻酸=4ppmであるトリオキサンを5kg/hrで、同時に環状ホルマールとして1、3―ジオキソランを4.2mol%(トリオキサン1molに対して)で供給し、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートを4.0×10ー5mol(トリオキサン1molに対して)になるように、また分子量調節剤として、両末端ヒドロキシルアルキル化された水素添加ポリブタジエン(A)(Mn=2100、1,2結合を90モル%、1,4結合を10モル%、1,4結合は1,2結合に対してランダムに存在する)を5.0×10ー4mol(トリオキサン1molに対して)になるように連続的にフィードし重合を行った。重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った後、このポリマーを濾過、洗浄した。濾過洗浄後、粗ポリオキシメチレンブロック共重合体1質量部に対し第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を窒素換算で20質量ppmになるよう添加し、均一に混合し120℃で乾燥した。
この粗ポリオキシメチレンブロック共重合体をHFIPに溶解させ、シクロヘキサンを添加しポリマーを再沈殿させた。再沈殿ポリマーと分離された濾液を全て蒸留した後、ヒドロキシエチル化された液状水素添加ポリブタジエン残渣をウォターズ社製150C−GPC装置で1,2,4−トリクロロベンゼンをキャリアとして用い、140℃の温度で分析した。結果、ヒドロキシエチル化された水素添加ポリブタジエンは存在しておらず、全てのヒドロキシエチル化された水素添加ポリブタジエンが連鎖移動されていることを確認した。
次に、この粗ポリオキシメチレンブロック共重合体の分子構造を特定する為、粗ポリオキシメチレンブロック共重合体に含まれているホルムアルデヒドを定量した。定量方法は、190℃で30分間加熱した時に放出されるホルムアルデヒド量を亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させ、硫酸で滴定することで求めた。比較に、両末端ヒドロキシエチル化された液状水素添加ポリブタジエンと等モルのメタノールを連鎖移動剤に用い、上記と同様の方法で重合、触媒失活、乾燥したポリオキシメチレン共重合体とした。粗ポリオキシメチレンブロック共重合体に含まれているホルムアルデヒド量は、メタノール連鎖移動で得られたポリオキシメチレン共重合体よりも1.98倍のホルムアルデヒド発生量であった。この結果から、粗ポリオキシメチレンブロック共重合体はA−B−A型のポリオキシメチレンブロック共重合体であることを確認した。
上記乾燥した粗ポリオキシメチレンブロック共重合体100質量部に対し、末端安定化剤として、水2質量部及び塩基性物質としてトリエチレルアミン1質量部とを溶融混練し、不安定末端であるヒドロキシオキシメチレン基を加水分解し安定化した。この時の押出し機の条件は、シリンダー温度200℃に設定し、ベント付き2軸押出し機を用いてペレット化した。使用した2軸押出し機は、ホルムアルデヒドと水、トリエチルアミンを除去する目的で、ベント部を設け、ベント部の減圧度は30Torrとした。得られた末端安定化したポリオキシメチレンブロック共重合体を塩酸分解し、連鎖移動剤として用いたヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンを定量した。ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンは、末端安定化したポリオキシメチレンブロック共重合体に対して1.24質量%であった。又、メルトインデックス値は、1.21g/10minであった。
また、末端安定化したポリオキシメチレンブロック共重合体のペレット中に存在する両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエンの最大分散粒子径は、3μm以下であり、最大球晶サイズは1μm以下であった。この末端安定化処理したポリオキシメチレンブロック共重合体100重量部に、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.3質量部、平均粒子径が4μm以下のポリアミド6−6を0.005質量部、ステアリン酸カルシウムを0.1質量部、グリセリンモノステアリン酸エステル0.1質量部をそれぞれ添加し、押出し機で溶融混練させ、ポリオキシメチレンブロック共重合体組成物を得た。その他の物性を、表1に示した。
b) POM−2
ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンの量を変更した以外は、POM−1と同じ操作を行い、ポリオキシメチレンブロック共重合体組成物を得た。得られたポリオキシメチレンブロック共重合体の物性値を、表1に示した。
c) POM−3
1,3−ジオキソランの量を変更した以外は、POM−1と同じ操作を行い、ポリオキシメチレンブロック共重合体組成物を得た。得られたポリオキシメチレンブロック共重合体の物性値を、表1に示した。
d)POM−4
ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンの種類を(A)から(B)に変更した以外は、POM−1と同じ操作を行った。得られたポリオキシメチレンブロック共重合体組成物の物性値を、表1に示した。
e) POM−5
ヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンの種類を(A)から(C)に変更した以外は、POM−1と同じ操作を行った。得られたポリオキシメチレンブロック共重合体組成物の物性値を表1に示した。
f)POM−6
連鎖移動剤をヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンをメチラール(トリオキサン1molに対して6×10-4mol)に変更して、POM−1と同じ操作を行った。得られたポリオキシメチレン共重合体組成物の物性値を表1に示した。
[参考例]
シリンダー温度195℃、ギヤポンプの温度195℃に設定し、ベント口付き単軸50Φ押出し機(L/D=18)を用いて、ポリオキシメチレンブロック共重合体(POM−1)を溶融させ、紡口径1Φの円形断面の穴3個を有するダイから連続にフィラメント状の成形体を紡出させた。この時の樹脂温度は195℃であった。その後、押出し機ダイと冷却槽液面までの距離を5cmとし、140℃に設定した冷却槽(グリセリン浴)で冷却させた。この時の巻取り速度は1m/minとした。その後、155℃に設定したグリセリンの入った延伸槽(長さ=3m)に投入し、巻取り速度比を変えながら2段延伸で延伸倍率を調整し、連続的に延伸体が得られるか生産性を確認した。
得られたポリオキシメチレンブロック共重合体延伸体の引張弾性率を引張試験機で測定した。結果を表2に示した。
[実施例2〜5]
延伸倍率を変更した以外は、参考例と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
[ 実施例6〜9]
ポリオキシメチレンブロック共重合体の種類を変更した以外は、参考例と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
[実施例10]
ポリオキシメチレンブロック共重合体(POM-2)とポリオキシメチレン共重合体(POM-6)を50:50の比率でペレットブレンドし、このブレンド物100質量部に対して、更に酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.3質量部、平均粒子径が4μm以下のポリアミド6−6を0.005質量部、ステアリン酸カルシウムを0.1質量部、グリセリンモノステアリン酸エステル0.1質量部をそれぞれ添加し、押出し機で溶融混練させ、ポリオキシメチレンブロック共重合体組成物を得た。得られたポリオキシメチレンブロック共重合体組成物の最大球晶サイズは、偏光顕微鏡で観察した結果、1μm以下の球晶サイズであり、液状水素化ポリブタジエンの最大分散粒子径は3μm以下であった。また、メルトインデックス値は2.62g/10分、融点は165℃、結晶化開始温度は147℃であった。
このポリオキシメチレンブロック共重合体組成物を参考例に記載した延伸条件にて延伸させ、同時に連続延伸生産性も評価した。得られたポリオキシメチレンブロック共重合体延伸体の引張弾性率を引張試験機で測定した。結果を表2に示した。
[比較例1]
シリンダー温度195℃、ギヤポンプの温度195℃に設定し、ベント口付き単軸50Φ押出し機(L/D=18)を用いて、ポリオキシメチレン共重合体(POM−6)を溶融させ、紡口径1Φの円形断面の穴3個を有するダイから連続にフィラメント状の成形体を紡出させた。この時の樹脂温度は195℃であった。その後、押出し機ダイと冷却槽液面までの距離を5cmとし、140℃に設定した冷却槽(グリセリン浴)で冷却させた。この時の巻取り速度は1m/minとした。その後、155℃に設定したグリセリンの入った延伸槽(長さ=3m)に投入し、巻取り速度比を変えながら2段延伸し、延伸倍率を調整し、連続的に延伸体が得られるか生産性を確認した。
得られたポリオキシメチレン共重合体延伸体の引張弾性率を引張試験機で測定した。結果を表3に示した。
[比較例2、3]
延伸倍率を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表3に示した。
[比較例4]
ポリオキシメチレン共重合体(POM−6)100質量部に対して、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.3質量部、平均粒子径が4μm以下のポリアミド6−6を0.005質量部、ステアリン酸カルシウムを0.1質量部、グリセリンモノステアリン酸エステル0.1質量部と、更に結晶化核剤として窒化ホウ素(平均粒子径:5μm)を0.005質量部をそれぞれ添加し、押出し機で溶融混練させ、ポリオキシメチレン共重合体組成物を得た。得られたポリオキシメチレン共重合体組成物の最大球晶サイズは、偏光顕微鏡で観察した結果、1μm以下の球晶サイズであり、メルトインデックス値は2.61g/10分、融点は164℃、結晶化開始温度は148℃であった。
このポリオキシメチレン共重合体組成物を参考例に記載した延伸条件にて延伸させ、同時に連続延伸生産性も評価した。得られたポリオキシメチレン共重合体延伸体の引張弾性率を引張試験機で測定した。結果を表3に示した。
Figure 0005111948
Figure 0005111948
Figure 0005111948
本発明のポリオキシメチレンブロック共重合体製延伸体は、高剛性で且つ高強度であり、使用目的によりネット状の形態に加工し、土木、建築分野、工業用資材、の用途に広く使用することができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表されるA−B−A型ポリオキシメチレンブロック共重合体からなる棒状またはフィラメント状に加工された樹脂製延伸体であり、引張弾性率が14GPa以上であることを特徴とするポリオキシメチレン樹脂製延伸体。
    Figure 0005111948


    (式中、A以外(以下Bブロックという)は、m=70〜98モル%、n=2〜30モル%、m+n=100モル%であり、nはmに対してランダムあるいはブロックで存在し、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエン残基。k=2〜6から選ばれる整数であり、2つのkは各々同一であっても異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。Aは、下記一般式(II)で表されるポリオキシメチレン共重合体残基。
    Figure 0005111948


    (R1は水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。jは2〜6から選ばれる整数である。x=90〜99.9モル%、y=10〜0.1モル%、x+y=100モル%、yはxに対してランダムに存在する。)
  2. ポリオキシメチレンブロック共重合体のBブロック成分である両末端ヒドロキシアルキル化された液状水素添加ポリブタジエン成分が、ポリオキシメチレンブロック共重合体に対して、0.01〜10質量%の範囲で存在することを特徴とする請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂製延伸体。
  3. ポリオキシメチレンブロック共重合体が、メルトインデックス値0.1〜20g/10minであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオキシメチレン樹脂製延伸体。
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