JP4781030B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
近年、各用途において、熱を放散する放熱性に優れた樹脂材料が求められている。
放熱性に優れた樹脂材料を得るには、熱伝導性に優れた充填材を高濃度で添加する必要があるが、多量の充填材を樹脂と同時に溶融混練すると、得られた成形材料には黒点が生じる、樹脂が変色する、十分な放熱性が得られないといった問題があった。
特許文献1には、熱可塑性樹脂にフィラーを高濃度で充填し光ピックアップ用錠剤を得る方法が提案されている。
また、特許文献3には、ポリアリーレンサルファイド樹脂に熱伝導性充填材を高濃度で充填しヒートシンク用錠剤を得る方法が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示された方法は、多量の充填材を樹脂と同時に溶融混練するものであり、得られた成形材料の外観や、ヒートサイクル後の熱伝導率については記載が無い。
特許文献4には、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂を含む組成物の溶融状態に無機充填材を添加する方法が提案されているが、充填量は重量%で50%程度であり、充填材添加により組成物の寸法安定性を改良したものである。また熱伝導率ついては記載が無い。
特許文献6には、ゴムと超高分子量ポリエチレンと架橋剤からなるポリマーアロイ配合物が提案され、その中に充填材を100重量部程度添加する方法が提案されている。この充填材は増量、補強、耐候性向上、耐酸化劣化防止性向上のために添加されたものであり、熱伝導率や、材料の外観に関しては記載が無い。
特許文献7には、スチレン−ブタジエン共重合体組成物に架橋剤を添加し、加熱および電子線照射により架橋体を得る方法が提案されている。これは架橋ゴムにおける高温引き裂き強度の増加および耐オゾン性の改良を目的としたものである。架橋ゴムの充填材にカーボンブラックや酸化亜鉛を添加することも提案されているが、熱伝導率や、材料の外観に関しては記載が無い。
特許文献9には、スチレン−ブタジエンラテックスを含む密閉性化合物が提案され、その中にラテックス100重量部に対し、80〜140部の充填材を添加させることが提案されている。これは、食品用密閉性化合物の耐油性改良を目的としたものであり、熱伝導率や、材料の外観に関しては記載が無い。
非特許文献1には、CPUやIC等の電子部品から生じる熱をヒートシンクへ伝導する放熱シートや、電子部品から生じる熱をシート全体に拡散させる熱拡散シートについて提案されている。これは単体で引張強度が低く、自己粘着性があるため、シート両面を保護フィルムで挟み込んだ状態で流通している。
1.熱可塑性樹脂(A)1〜35重量%および熱伝導率10〜400W/mKを有する充填材(B)の中から選ばれる1種以上65〜99重量%からなる樹脂組成物の製造方法で、予め成分(A)を溶融状態とした後、成分(B)を添加するという工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法、
2.押出機を用いる該樹脂組成物の製造方法で、予め成分(A)を溶融状態とした後、成分(B)を途中に設置されたフィード口より送り込むという工程により、充填材を高濃度充填量としたことを特徴とする上記1に記載の樹脂組成物の製造方法、
3.成分(A)が、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、水添共重合体、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂およびメタアクリル系樹脂から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする上記1または2に記載の樹脂組成物の製造方法、
4.成分(A)が、水添共重合体であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法、
5.成分(B)が、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックスおよび炭化物系セラミックスから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1または2に記載の樹脂組成物の製造方法、
6.成分(B)が、酸化亜鉛であることを特徴とする、上記5に記載の樹脂組成物の製造方法、
7.成分(B)が、テトラポッド形状の酸化亜鉛であることを特徴とする、請求項5に記載の樹脂組成物の製造方法、
8.予め成分(A)を溶融状態とした後、熱伝導率10〜400W/mKの成分(B)の中から選ばれる1種以上を添加するという工程により得られる上記1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
9.上記8記載の樹脂組成物からなるフィルムまたはシート、
である。
本発明における熱可塑性樹脂の製造方法は、予め溶融状態とした熱可塑性樹脂(A)1〜35重量%中に、熱伝導率が10〜400W/mKを有する充填材(B)の中から選ばれる1種以上65〜99重量%を添加するという工程を用いる必要がある。
成分(B)の添加量が65重量%に満たないと組成物に十分な熱伝導性が発現できない。成分(B)の添加量が65重量%の場合、例えば(B)の比重が5.78、成分(A)の比重が1の場合には、24体積%となり、組成物は熱伝導率に優れたものになる。
この組成で充填材を添加する際、予め熱可塑性樹脂(A)を溶融状態にしておく必要がある。
結晶性樹脂の場合は、熱可塑性樹脂の融点+20℃以上に加熱混練して溶融状態にすることが好ましく、融点+50℃以上に加熱混練して溶融状態にすることがさらに好ましい。
(A)と(B)を同時に添加すると、(B)の添加量が多い為、混練機を磨耗させたり、組成物に過度のシェアがかかり、充填材が必要以上に粉砕される、発熱により組成物に黒点状の異物が生じる、組成物が焼けて変色する等の現象を起こし好ましくない。
この際、熱可塑性樹脂(A)を溶融状態にした状態で、(B)の充填材を添加する必要がある。
好ましくは押出機を用いて、予め熱可塑性樹脂(A)を溶融状態とした後、(B)の充填材を押出機の途中に設置されたフィード口より送り込むという工程により、(B)の充填材を樹脂中高濃度に添加する熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
具体的としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性エラストマー、水添共重合体、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、メタアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン系樹脂等から選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。
上述した熱可塑性樹脂のうち、機械的性質、成形性、などの点から、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性エラストマー、水添共重合体、ポリオレフィン系樹脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく用いられ、中でも、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性エラストマー、水添共重合体、ポリオレフィン系樹脂がより好ましく用いられる。最も好ましくは水添共重合体が用いられる。
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは一般式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位を有する共重合体である。
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量体単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと、下記一般式(3)で示されるビスフェノールとの共重合体等がある。
これらのポリフェニレンエーテル系樹脂は、0.5g/dlクロロホルム溶液において30℃で測定された還元粘度が0.04〜0.70の範囲にあるものが用いられ、
より好ましくは0.20〜0.60の範囲のものが用いられる。
本発明の用途には、熱安定性の観点からコポリマーが好ましく、熱安定性と剛性のバランスからコモノマー量の少ないコポリマーが最も好ましい。また本発明で用いるポリオキシメチレン樹脂のメルトフローレート(ASTM−D1238−57Tの条件で測定)は、0.5〜100g/10分、好ましくは1.0〜80g/10分、さらに好ましくは5〜60g/分、最も好ましくは7〜50g/10分の範囲である。0.5g/10分未満では成形加工が困難であり、100g/10分を越えると耐久性が不十分である。
ホルムアルデヒドや蟻酸の捕捉剤としては(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体、(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、およびカルボン酸塩が挙げられる。
(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体としては、ジシアンジアミド、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂(例えばナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等)、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの中では、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミドが好ましく、ポリアミド樹脂とポリ−β―アラニンがさらに好ましい。
(イ)ベンゾトリアゾール系物質としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられ、好ましくは2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
(ロ)シュウ酸アニリド系物質としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
オキシメチレン系樹脂組成物における安定剤の好ましい組み合わせは「ヒンダードフェノール(特にトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン))、「ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体(特にポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン)」および「アルカリ土類金属の脂肪酸塩(特に脂肪酸カルシウム塩)」の併用である。その添加量はポリオキシメチレン樹脂に対して、「ヒンダードフェノール」0.1〜0.5重量%、「ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体」0.1〜0.5重量%、および「アルカリ土類金属の脂肪酸塩(特に脂肪酸カルシウム塩)」0.1〜0.3重量%の範囲である。
スチレン系共重合体水素添加物とは、ビニル芳香族−共役ジエンブロック共重合体、ビニル芳香族−共役ジエンランダム共重合体等の水素添加物等が挙げられる。特にビニル芳香族−共役ジエンブロック共重合体を水素添加したものが好ましい。
ここで、スチレン系共重合体とは、ビニル芳香族−共役ジエンブロック共重合体、ビニル芳香族−共役ジエンランダム共重合体等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックSは、ビニル芳香族化合物と共役ジ エン化合物との重量比が100/0〜51/49、好ましくは100/0〜70/30の組成範囲からなる重合体ブロックであり、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物が共重合した場合、このブロックにおける共役ジエン化合物の分布は、ランダム、テーパー(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれら任意の組合せのいずれでもあってよい。
ビニル芳香族化合物の含有量は、10〜60重量%が好ましく、60重量%を越えると、それ自身樹脂状となり、組成物の耐衝撃性が低いものになってしまう。また、上記ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状またはこれらの組合せなどいずれでもよい。そして、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックSあるいは共役ジエンを主体とするブロックEのそれぞれは、同一の構造であってもよいし、モノマー成分含有量、それらの分子鎖における分布、ブロックの分子量、ミクロ構造などの各構造が異なるものであってもよい。
上記のスチレン系共重合体を、公知の方法、例えば、特公昭42−8704号公報に記載の方法で水添することによりスチレン系ブロック共重合体水素添加物は得られる。本発明は、共役ジエン部分の80%以上を水素添加させることが好ましい。水素添加の割合が高い程、ポリオレフィン系樹脂組成物との相容性が良く、また、熱劣化を受けにくいため、優れた組成物が得られる。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いた機器分析により分析できる。
酸変性水添ブロック共重合体中のカルボン酸基またはその誘導体基を含有する分子単位の含有量は、赤外分光光度計や滴定等による方法により容易に把握することができる。また、本発明においては、使用する酸変性水添ブロック共重合体中の不飽和カルボン酸またはその誘導体の付加量が全体の平均値として上記範囲を満たす範囲内において未変性のスチレン系共重合体水素添加物が含まれていてもよい。
好ましいものとしては無水マレイン酸変性スチレン共役ジエンブロック共重合水素添加物があげられる。
本発明で用いる水添共重合体とは、共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体に、水素を添加してなる水添共重合体であり、以下の特徴を満足するものである。さらに、変性されたものも含む。
本発明の、水添共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は50重量%を越え、90重量%以下、好ましくは50重量%越え、88重量%以下、更に好ましくは50〜86重量%である。ビニル芳香族化合物の含有量が上記で規定する範囲のものを使用することは、柔軟性にとみ、耐磨耗性、耐傷付き性、強度等に優れた水添共重合体組成物を得るために必要である。なお、水添共重合体等におけるビニル芳香族化合物の含有量は、水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物含有量で把握しても良い。
ビニル芳香族炭化水素のブロック重量(重量%)
=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重量/水素添加前の共重合体の重量)×100
なお、本発明において水添共重合体におけるビニル芳香族化合物のブロック率(ブロック率とは、該共重合体中の全ビニル芳香族化合物量に対するビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量の割合をいう)は、50重量%未満、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは18重量%以下であることが、より柔軟性の良好な組成物を得る上で推奨される。
本発明において、水添共重合体の分子量分布は、成形加工性の点で,1.5〜5.0が好ましく、より好ましくは1.6〜4.5、更に好ましくは1.8〜4であることが推奨される。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布の形状は特に制限はなく、R(ピーク)が二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいが、Rが一つであるモノモーダルの分子量分布を持つ水添共重合体が好ましい。
なお、共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。
本発明で使用する水添共重合体は、示差走査熱量測定法(DSC法)において、 −50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが実質的に存在しない水素添加物が好ましい。ここで、−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが実質的に存在しないとは、この温度範囲において結晶化に起因するピークが現れない、もしくは結晶化に起因するピークが認められる場合においてもその結晶化による結晶化ピーク熱量が3J/g未満、好ましくは2J/g未満、更に好ましくは1J/g未満であり、特に好ましくは結晶化ピーク熱量が無いものである。
1 B
2 B−A
3 B−A−B
4 (B−A)m−X
5 (B−A)n−X−Ap
(ここで、Bは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Aはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。)
また、本発明において、水素添加前の共重合体鎖中におけるビニル結合含量の最大値と最小値との差が10%未満、好ましくは8%以下、更に好ましくは6%以下であることが推奨される。共重合体鎖中のビニル結合は、均一に分布していてもテーパー状に分布していても良い。ここで、ビニル結合含量の最大値と最小値との差とは、重合条件、すなわちビニル量調整剤の種類、量及び重合温度で決定されるビニル量の最大値と最小値である。
また、本発明において、水添共重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。水添共重合体の分子量分布は、同様にGPCによる測定から求めることができる。
また、ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。
具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル結合(1,2または3,4結合)の含有量の調整や共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。第3級アミン化合物としては一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。
またエーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布を好ましい適正範囲に調整する上で連続重合方法が推奨される。重合温度は、一般に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃至10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
また、3官能以上の多官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、一般式R4-nSiXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3または4)で示されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素およびこれらの臭素化物等、一般式R4-nSiXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3または4)で示されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
好ましい変性水添共重合体は、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性水添共重合体である。かかる変性水添共重合体は、有機リチウム化合物を重合触媒として上述のような方法で得た共重合体のリビング末端に、官能基含有の変性剤を付加反応させることにより、共重合体に水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している変性物(以後、変性共重合体と呼ぶ)に水素を添加することにより得ることができる。
なお、変性された水添共重合体は変性剤の種類により、変性剤を反応させた段階で一般に水酸基やアミノ基等は有機金属塩となっていることもあるが、その場合には水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基等にすることができる。
具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaが推奨される。
また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
上記のようにして得られた水添共重合体又は変性水添共重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体又は変性水添共重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば水添後の溶液にアセトンまたはアルコール等の重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、水添共重合体又は変性水添共重合体の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。
尚、本発明で使用する水添共重合体又は変性水添共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、アクリル系ビニルモノマーとエチレンとの共重合体(EEA、EMMA等)あるいは酢酸ビニルモノマーとエチレンとの共重合体(EVA)等を挙げることができる。しかしながら、これらの中でも高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が、安価に入手できる為、特に好ましい。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、密度0.94〜0.97g/cm3のポリエチレンは、剛性、耐薬品性の観点から、好ましく、その中でも密度が高いほど剛性、耐薬品性の観点から更に好ましい。
ポリエチレン系樹脂の分子量については、特に規定は無いが、分子量1万以上のものが耐熱性の観点で好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモのポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとの共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等を挙げることができる。
本発明で使用する(C)オレフィン系樹脂には、上述の如くポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂があるが、ポリプロピレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂と比較して耐熱性が高く好ましい。中でもホモのポリプロピレン系樹脂、ブロック共重合ポリプロピレンは最も耐熱性が高くより好ましい。
また芳香族ビニル単量体からなる樹脂は、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ニトリルゴム、天然ゴム等をゴム成分として含んでいても良い。
ポリスチレン系樹脂の製造方法は特に限定されず、当業者に良く知られている塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれの方法でも製造することができる。
本発明で用いるABS樹脂としては、ゴム質重合体に、これと共重合可能な一種または二種以上の単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体、及び一種または二種以上の単量体を共重合して得られる共重合体、からなるゴム強化熱可塑性樹脂である。
グラフト共重合体におけるゴム質重合体の重量平均粒子径は、耐衝撃性等の機械的強度、成形加工性、成形品外観のバランスから、好ましくは0.1〜1.2μm、より好ましくは0.15〜0.8μm、更に好ましくは0.15〜0.6μm、最も好ましくは0.2〜0.4μmである。
グラフト共重合体、及び共重合体は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することが出来る。
グラフト共重合体、及び共重合体からなるゴム強化熱可塑性樹脂において、ゴム質重合体の含有量は5〜60重量%、好ましくは8〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。これが5重量%未満であると耐衝撃強度の劣ったものとなり、60重量%を超えると成形性の劣ったものとなる。
メタクリル系樹脂の製造方法は特に限定されず、既存の重合法で製造することができる。
本発明で用いることができる芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記式(4)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
中でも下記式(7)で表されるものが好ましい一例である。
また、本発明に用いることができる芳香族ポリカーボネートは、三価以上の芳香族基を分岐点とする分岐構造を有していても良い。
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、通常5000〜500000であり、好ましくは10000〜100000であり、より好ましくは13000〜50000、特に好ましくは15000〜30000である。
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造したものを使用することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とポリカーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液および塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法または溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033(米国特許第4948871号に対応)、特開平1−271426、特開平3−68627(米国特許第5204377号に対応))等の方法により製造された物を用いることができる。
また、芳香族ポリカーボネートのフェノール着末端量は、ホスゲン法においては例えば米国特許4736013号公報等に記載の方法により、一方、溶融法や固相重合法のようなエステル交換法では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートのモル比調整や、特公平7−98862号広報記載の方法等で調整することが可能である。
また、本発明では芳香族ポリカーボネートが、主鎖に分岐構造を有するほう皇族ポリカーボネートであることが、成形加工性を向上させるうえで好ましい。このような分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートを得る方法として、三価以上の多価ヒドロキシ化合物を共重合成分として添加する製造方法、例えば米国特許4677162号公報、同4562242号公報、ドイツ国特許3149812号公報等に示されている方法もあるが、本発明で用いることができる特に好ましい分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートは、米国特許5932683号公報に記載された方法で製造することができる。
本発明で用いるフッ素樹脂とは、フッ素ゴムとフッ素樹脂よりなるフッ素系熱可塑性エラストマーをいい、そこに使用されるフッ素ゴムとしてはフッ化ビニリデン/三フッ化塩化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン/六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/六フッ化プロピレン/四フッ化エチレン三元共重合体がある。フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン/ポリプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン/パーフロロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン/エチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがある。
この充填材には炭素系導電性充填材は除く。本件でいう炭素系導電性充填材とは、グラファイト、カーボンブラック等の炭素系導電充填材を言う。また、充填材には水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を除く。また、充填材にはフェライト等の磁性体も除く。
また、熱伝導性充填材の形状は繊維状及び/または非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、球状)であっても良い。熱伝導性に方向性を持たせたい場合は繊維状の方が好ましく、また均質な熱伝導性を持たせたいならば非繊維状の方が好ましい。
均質で且つ効率的に熱伝導性を出すには、テトラポッド形状を有する酸化亜鉛ウイスカーが好ましい。テトラポッド形状の酸化亜鉛とは、中心の核部、この核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部からなり、前記針状結晶部の基部の径が0.7〜14μm、特に1〜14μmであり、前記針上結晶部の基部から先端までの長さが3〜200μm、特に10〜200μmである形態的および寸法的特徴を有するものである。
本発明において、(A)熱可塑性樹脂と(B)熱伝導率が10〜400W/mKのセラミックス充填材との比率は、(A)熱可塑性樹脂と(B)充填材の合計100重量%に対し、(A)熱可塑性樹脂1〜35重量%(B)充填材65〜99重量%であることが必要である。充填材の重量%が65重量%未満だと組成物中の充填材のパーコレーションが不十分で目的とする熱伝導性を得られない。(A)熱可塑性樹脂10〜27重量%(B)充填材73〜90重量%であることがより好ましく、(A)熱可塑性樹脂10〜20重量%(B)充填材80〜90重量%であることがさらに好ましい。
本発明において、(A)の熱可塑性樹脂に、(B)の熱伝導率が10〜400W/mKのセラミックス充填材の中から選ばれる1種以上を添加する方法は、予め(A)の熱可塑性樹脂を溶融状態にした後、(B)の充填材を添加する工程であることが必要である。
予め(A)の熱可塑性樹脂を溶融状態にするとは、非結晶性樹脂の場合は、熱可塑性樹脂のTg+50℃以上に加熱混練して溶融状態にすることが好ましく、Tg+70℃以上に加熱混練して溶融状態にすることがさらに好ましい。
結晶性樹脂の場合は、熱可塑性樹脂の融点+20℃以上に加熱混練して溶融状態にすることが好ましく、融点+50℃以上に加熱混練して溶融状態にすることがさらに好ましい。
本発明の可塑性樹脂組成物を製造する方法は、(A)の熱可塑性樹脂を溶融した状態で、(B)の充填材を添加する方法であれば、通常の樹脂組成物の製造に用いられる方法が採用でき、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベンダー、各種ニーダ−等の溶融混練機を用いて複合化することができる。
この際、(A)の熱可塑性樹脂を溶融状態にした状態で、(B)の充填材を添加する必要がある。
本発明の製造方法によって得られる高濃度無機充填材含有熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてそれ自体公知の各種配合剤を加えることが出来る。具体的には、フェノール系、サルファイト系、フォスファイト系、アミン系等の耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、金属石けん、ワックス等の滑剤、ベンガラ、群青、紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料等の着色剤、などが配合されていても良い。
本発明の製法にて得られる高濃度無機充填材含有熱可塑性樹脂組成物からなるシートまたはフィルムの製法は特に制限は無く、一般公知の方法で行うことが出来る。
延伸シートの場合には、例えば溶融した樹脂組成物をT−ダイを用いて押出す方法、またはカレンダーロールにて樹脂組成物の溶融し、シート状に成形する方法が一般的である。また、延伸シートまたはフィルムの場合には、溶融した樹脂組成物をT−ダイまたはサーキュラーダイなどから押出した後、テンター法やバブル法で延伸する方法が採用できる。このうち、T−ダイより押出したシートをロール群の速度比により一方向に延伸した後、テンターで垂直方向延伸する逐次ニ軸延伸法や、テンターで同時ニ軸延伸する方法が好ましい。
本発明のシートまたはフィルムは、必要に応じて帯電防止性や滑り性、防曇性付与のために表面処理等の二次加工を施すことができる。
本発明のシートは、圧空成形法、真空成形法、プラグアシスト成形法、熱板接触圧空成形法などの公知の方法により、ニ次成形することが出来る。
本発明のシートまたはフィルムは、成形時に生じるトリム等を粉砕して成形することにより容易にリサイクル使用できる。
本発明のシートまたはフィルムは、成形性、熱伝導性、表面平滑性に優れており、電子機器分野におけるCPUやIC等の電子部品から生じる熱をヒートシンクに伝導する放熱シートや、電子部品から生じる熱をシート全体に拡散させる熱拡散シートとして最適である。
尚、以下の実施例において、原材料の調整、組成物の製造方法、原材料および組成物の特性や物性の測定は、次のようして行った。
1. 原材料
<(A)熱可塑性樹脂>
(1)水添共重合体−1
水添共重合体は以下の方法で調製した。なお、下記の実施例において、水添反応に用いた水添触媒は、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子量が約1,000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合量約85%)150グラムを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加攪拌して室温で保存した。
水添共重合体―1の調製は、内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.076重量%、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下TMEDAと称する)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、その後モノマーとしてスチレン8重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、得られた共重合体に、上記水添触媒を共重合体の重量に対してチタンとして100重量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3重量%添加し、水添共重合体(以下、ポリマ−1と称する)を得た。ポリマ−1の水添率は99%であった。また、動的粘弾性測定の結
果,tanδのピ−ク温度は−15℃に存在した。また,DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
(2)酸化亜鉛−1(松下アムテック株式会社製 商品名 パナテトラ WZ−0501)
ZnO:テトラポッド形状 針状短繊維長 2〜50μm、針状短繊維径 0.2〜3.0μm 表面処理未処理品 比重5.78 熱伝導率 51W/mK)
(3)酸化亜鉛−2(東邦亜鉛株式会社製 商品名 銀嶺A)
ZnO:粒子状 平均粒子径 0.2μm、比重 5.67 熱伝導率 50W/mK)
<高濃度無機充填材含有熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるシートの特性評価>
(1)硬度の測定
Aタイプ硬度計をもちい、JIS K6301に準じた方法で硬度を測定した。結果を表1に示す。
(2)比重の測定
アルファーミラージュ社製 型式 MD−200S 比重計をもちい、JIS K 7112に準じた方法で比重を測定した。結果を表1に示す。
(3)熱伝導率の測定
表1の組成の配合物ペレットを、200℃に設定したオープンロール及び加熱プレス成形機にて試験片(厚さ2mm×縦120mm×横220mm)を得た。
得られた試験片を縦120mm×横120mmの大きさに切り出し、150℃の加熱オーブンにてヒートサイクルを3回繰り返したのち、試験片の熱伝導率を測定した。
熱伝導率の測定は、京都電子工業株式会社製 迅速熱伝導率計 QTM−500および ボックス式プローブ PD−11 を用い耐火煉瓦の熱伝導率測定法である熱線法(JIS R2618)を改良したQTMプローブ法(特許 第893318号)にて測定した。
測定は、熱伝導率0.036 (W/mk)の発泡ポリエチレン、0.24のシリコン、1.42の石英ガラスを標準サンプルとしてボックス式プローブ PD−11をキャりブレーションした後、京都電子工業株式会社製 うす膜測定用ソフトウエア(特許第1810084号)を使用して厚さ2mmに調整した試験サンプルの熱伝導率を求めた。結果を表1に示す。
アドバンテスト社製 R8340 ウルトラハイレジスタンスメータ および同社製R12704A レジスティビティチェンバ を用い、JIS K 6911に準じた方法で体積抵抗率を測定した。印加電圧は500ボルトとした。結果を表1に示す。
(5)シート表面の白色度の測定
ミノルタ製 分光測色計 型式 CM2002 を用い、ASTM E313に準じてシート表面の白色度を測定した。結果を表1に示す。
(6)成形品表面の黒点の測定
表1の組成の配合物ペレットを、250℃に設定したされた単軸押出機(40mmφ、L/D=28 ユニオンプラスチック社製)および250℃に設定されたダイス(リップ開口部の厚み 1.2mm、幅400mm)を用いてシート成形を行った。吐出量は10kg/hに設定し、シートが幅350〜400mm 厚さ0.8〜1.2mm の範囲になるようロール引き取り速度を調整した。得られたシートサンプルを1mの長さでサンプリングし、目視にて、シート表面に観察される1mm角以上の黒点の数を計測した。得られた結果を表1に示す。この数値が低いほど成形品の外観が優れていることになる。
表1の組成の配合物ペレットを、250℃に設定したされた単軸押出機(25mmφ、L/D=20 東洋精機社製 ラボプラストミル 型式 50M および単軸押出機 型式 D2020 )および250℃に設定されたダイス(リップ開口部の厚み 1mm、幅60mm 東洋精機社製 型式 T60F)を用いてシート成形を行った。吐出量は1kg/hに設定し、シートが幅40〜45mm 厚さ0.5〜1.0mm の範囲になるようコンベア式引取り装置(東洋精機社製 型式 コンベア CON型)の速度を調整した。
得られたシートサンプルを1mの長さでサンプリングし、手で触った触感にて表面平滑性を測定した。得られた結果を表1に示す。表中、滑らかな触感が得られたものを◎とし、ゲル状物の突起によるブツブツした蝕感が得られたものほど×とした。表記が◎のものほど成形品の表面平滑性が優れていることになる。
1)スチレン含有量
紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
2)ポリスチレンブロック含量
水添前の重合体を用い、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法で測定した。
3)ビニル結合量及び水添率
核磁気共鳴装置(BRUKERミ製、DPX−400)を用いて測定した。
4)分子量及び分子量分布
GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。
また、分子量分布は,得られた重量平均分子量と数平均分子量の比である。
DSC[マックサイエンス社製、DSC3200S]で測定した。室温から30℃/分の昇温速度で150℃まで昇温し、その後10℃/分の降温速度で−100℃まで降温して結晶化カーブを測定して結晶化ピークの有無を確認した。また、結晶化ピークがある場合、そのピークが出る温度を結晶化ピーク温度とし、結晶化ピーク熱量を測定した。
6)変性率
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、資料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む資料溶液に関して、上記4のポリスチレン系ゲル(昭和電工製:Shodex)のGPCと、シリカ系カラムGPC(デュポンミ製Zorbax)の両クロマトグラムを測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
表1の組成の配合物を260℃に設定された同方向回転ニ軸押出機(25mmφ、L/D=52、加熱部分の全長1300mm、加熱バレル数12個のバレルより構成されるWERNER社製ZSK−25押出機)により、トップより水添共重合体、押出機途中に設置されたサイドフィード開口部より充填材をフィードし、溶融混練した後、ストランド状に押出しペレタイズした。
水添共重合体はトップよりフィードし、トップから860mmの加熱領域途中に2箇所設けられた混練ゾーンにて溶融状態とした。その後、トップから920mm付近に設けられた開口部より充填材を添加し、920mmから1300mmの加熱領域途中に設けられた1箇所の混練ゾーンを経て混合し、ストランド状に押出し、ペレタイズした。
得られた試験片を縦120mm×横120mmの大きさに切り出し、150℃の加熱オーブンにてヒートサイクルを3回繰り返したのち、試験片の熱伝導率を測定した。
また、ヒートサイクル試験を行わなかったサンプルにて、比重を測定した。
また、得られたペレットを、250℃に設定したされた単軸押出機(40mmφ、L/D=25)および250℃に設定されたダイス(リップ開口部の厚み 1.2mm、幅300mm)を用いてシート成形を行った。吐出量は10kg/hに設定し、シートが幅250〜300mm 厚さ0.8〜1.2mm の範囲になるようロール引き取り速度を調整した。得られたシートサンプルを1mの長さでサンプリングし、目視にて、シート表面の黒点評価を行った。
得られたシートサンプルを1mの長さでサンプリングし、手で触った触感にて表面平滑性評価を行った。
表1に示した組成の配合物を、トップより水添共重合体および充填材の全量をフィードする以外は、実施例1と同様の方法で押出混連を実施し、ペレタイズした。
得られたペレットは、実施例1と同様の方法で成形し、各種試験を実施した。結果を表1に示した。
Claims (7)
- 共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であって、−50〜100℃の温度範囲において示差走査熱量測定法(DSC法)に基づく結晶化ピークが実質的に存在しない水素添加共重合体からなる熱可塑性樹脂(A)1〜35重量%および熱伝導率10〜400W/mKを有する充填材の中から選ばれる1種以上の充填材(B)65〜99重量%からなる樹脂組成物の製造方法で、予め成分(A)を溶融状態とした後、成分(B)を添加するという工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
- 押出機を用いる該樹脂組成物の製造方法で、予め成分(A)を溶融状態とした後、成分(B)を途中に設置されたフィード口より送り込むという工程により、充填材を高濃度充填量としたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 成分(B)が、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックスおよび炭化物系セラミックスから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 成分(B)が、酸化亜鉛であることを特徴とする、請求項3に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 成分(B)が、テトラポッド形状の酸化亜鉛であることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法により得られる、共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であって、−50〜100℃の温度範囲において示差走査熱量測定法(DSC法)に基づく結晶化ピークが実質的に存在しない水素添加共重合体からなる熱可塑性樹脂(A)1〜35重量%および熱伝導率10〜400W/mKを有する充填材の中から選ばれる1種以上の充填材(B)65〜99重量%からなる樹脂組成物。
- 請求項6記載の樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。
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