JP6325884B2 - ガス遮断装置 - Google Patents

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本発明は、内管漏洩の有無を検出するガス遮断装置に関するものである。
従来、区間演算手段により区間平均流量の判定回数分の平均値を用いることにより、脈動下であっても安定して流量なしを判定することができ、ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン等の使用による脈動が発生しているような環境下であっても、実際には漏洩していないにも関わらず内管漏洩警告が発生するという誤判定を防止するガス遮断装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、流量センサからの流量信号に基づく流量が所定の判定値より大きく、且つ所定の判定値より大きい状態が所定時間以上連続している場合に、内管漏洩があると判定し、遮断弁を駆動してガス流路を遮断する。流量センサは、遮断弁の下流側に位置しているため、遮断弁でガスの流入が遮断されると、流量センサに流れ込む流量はゼロになる。このとき、内管漏洩が発生していれば、遮断された内管に残っていたガスが漏洩し、ガス圧力が低下する。一方、ガス圧力が低下しない場合には、流量センサに流れ込む流量はゼロであるので、流量センサのゼロ流量値の判定が可能となる。この場合、流量センサからの流量信号に基づく流量値がゼロにならない場合には、流量センサに異常があると判断される。このため、流量センサの経年変化等による異常を判断できるので、内管漏洩の誤判定を改善できるガスメータが開示されている(例えば、特許文献2)。
特開2010−216724号公報 特開2004−219259号公報
しかしながら、前記従来の特許文献1のガス遮断装置及び特許文献2のガスメータでは、ガス配管にガスの漏洩がなく、ガス配管にガスが流れていない未使用状態であっても、ガス配管容量(特に業務用等の大容量の配管)において、温度変化(上昇・低下)等による影響で、長時間にかけてガスの流れ(正流もしくは逆流)が発生し(以下、呼吸動作と記述)、内管漏洩警告が発生する可能性があるという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、内管漏洩の誤判定を抑制できるガス遮断装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のガス遮断装置は、ガス供給管に接続され、ガス流量を一定時間間隔で計測する流量計測手段と、前記流量計測手段で計測された計測値より流量値を求める演算手段と、前記演算手段により算出された流量値を所定時間蓄積して区間平均流量を算出するとともにその間の最大流量と最小流量を求める区間演算手段と、あらかじめ設定した期間において、前記所定時間毎に前記区間演算手段で求めた区間平均流量その最大流量と最小流量の差の絶対値の昇順にN個保持することができ、そのN個の区間平均流量の平均流量を算出してガス流量の有無を判定する流量有無判定手段とを備え、前記流量有無判定手段は、前記区間平均流量が判定許容範囲以内で、N個の区間平均流量の平均流量が平均判定流量以内の場合に流量なしと判定し、それ以外の場合は漏れありと判定することができる。
本発明のガス遮断装置を用いることにより、内管漏洩判定期間中における最大最小差の絶対値のばらつきの少ない平均付近のN個の区間平均流量のみで判定できるため、実際には漏洩していないにも関わらず呼吸動作などによって内管漏洩警告が発生することを低減することが可能となる。
本発明の実施の形態1におけるガスメータのブロック図。 同超音波流量計測手段の概略構成図。 同ガス流量の変化を示す特性図。 同区間平均流量の判定閾値を示す図。 同流量有無判定の動作手順を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
第1の発明は、ガス供給管に接続され、ガス流量を一定時間間隔で計測する流量計測手段と、前記流量計測手段により流量値を求める演算手段と、前記演算手段により算出された流量値を所定時間蓄積して区間平均流量を算出するとともにその間の最大流量と最小流量を求める区間演算手段と、前記区間演算手段の各データをあらかじめ設定した期間における最大最小差の絶対値の昇順にN個保持することができ、そのN個の平均流量を算出してガス流量の有無を判定する流量有無判定手段とを備え、前記区間平均流量が判定許容範囲以内で、前記流量有無判定手段にて求めたN個の平均流量が平均判定流量以内の場合に流量なしと判定し、それ以外の場合は流量ありと判定するものである。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態におけるガス遮断装置として、ガスメータを用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のガスメータのブロック図を示すものである。
図1において、ガスメータ1は、ガス供給管aの途中に設けられ、ガス供給管aの下流側には、各顧客宅内に設置された1台以上のガス器具(図示せず)が接続されている。
図1において、ガスメータ1は、遮断手段2、流量計測手段3、表示器4、感震器5、演算手段6、区間演算手段8、流量有無判定手段9、制御手段10を有して構成される。なお、遮断装置2の下流側に流量計測手段3が設けられている。
流量計測手段3は、ガス供給管aの経路中に接続され、後述するように、超音波信号を用いてガス供給管a内のガス流により生じる伝搬時間差を求め、ガスの瞬時流量を検出するものである。
演算手段6は、流量計測手段3により検出された瞬時流量を基に、瞬時流量を積算してガス流量(流量値)を算出するものである。この流量計測手段3及び演算手段6が流量計測部の機能を実現する。
区間演算手段8は、演算手段6が算出した流量値を所定時間蓄積して区間平均流量を算出するものである。
流量有無判定手段9は、所定時間毎に区間演算手段8によN個の区間平均流量Qtをその最大流量と最小流量との差の絶対値の昇順に保持し、内管漏洩を判断するための流量有無判定処理を行うものである。
制御手段10は、ガスメータ1内の各部の動作制御の他、流量有無判定手段9による流量有無判定結果ならびに内管漏洩確定による警告やガスの遮断などの保安処理などを行うものである。
ここで、制御手段10、演算手段6、区間演算手段8,流量有無判定手段9は、マイクロコンピュータ(マイコン)等を構成するプロセッサ及び動作プログラムにより構成され、プロセッサにおいて所定の動作プログラムを実行して対応する処理を行うことにより、各機能を実現している。
なお、本実施の形態1における流量計測手段3は、超音波方式の計測手段を使用しているが、計測方式としては、他の流量計測方式でも、フルイディック方式などの短時間に一定サイクルで連続計測可能である他の方式を用いてもよい。
表示器4は、LED、液晶ディスプレイ等により構成され、ガス流量やガス器具の動作状態、警告などを表示するものである。感震器5は、地震などの振動を検出してその検出信号を制御手段10に出力するものである。遮断手段2は、ガス供給管aの経路中に接続され、制御手段10からの指示に基づいてガス供給管aを閉塞してガスの供給を遮断するものである。圧力センサ12は、ガスメータ1内に接続され、ガス供給管aの経路中の圧力を測定するものである。また、圧力判定手段13は、定期的に圧力センサ12により測定された圧力値を判定する手段である。
流量計測手段3及び演算手段6の動作について、以下に詳述する。図2は、流量計測手段3の概略構成図である。
流量計測手段3は、ガス供給管aに連通する矩形断面を持つ計測流路30を有し、この計測流路30の相対向する流路壁の上流側と下流側には、一対の超音波送受信器31、32が配置されている。これらの超音波送受信器31、32は、超音波伝播経路が計測流路30を流動するガス流を斜めに横切るように設定され、交互に超音波を送受信させることによって、ガス流に対して順方向と逆方向に超音波を伝搬させている。
このとき、超音波送受信器31、32間の距離、すなわち測定距離をL、ガス流に対する超音波伝播経路の角度をφ、超音波送受信器31からその下流にある超音波送受信器32への超音波伝播時間をt1、超音波送受信器32からその上流にある超音波送受信器31への超音波伝播時間をt2、音速をCとすると、流速Vは以下の式により求められる。
V=L/2cosφ((1/t1)−(1/t2))
この流速Vと計測流路30の断面積とからガス流の瞬時流量を算出する。瞬時流量の計測の時間間隔は、超音波の送受信が可能な範囲で設定できる。
一般的に、使用するガス器具によって起動時間や制御によりガス流量が変化する時間が異なるため、計測時間間隔を小さくすることは、器具判別を瞬時に行うためには有利となる。しかし、計測時間間隔を短くするほど、電池により駆動しているガスメータ等では、電池の消耗が大きくなる。また、計測時間間隔が従来のガスメータで使用している膜式方式と同等の2桁オーダーの秒数間隔になると、流量変化の差分を見て判断することが困難になる。
本実施の形態では、ガス器具が使われていないときは、2秒間隔の周期的な瞬時流量の計測を行い、その差分値をとってガス器具の起動を判別する。なお、計測時間間隔を更に短くすることも可能である。例えば、ガス器具起動後は、計測精度を上げるために計測時間間隔を短くするなどの制御を行ってもよい。
次に、流量有無判定手段9の動作について、以下に詳述する。図3は、脈動時のガス流量の変化を示す特性図で、図4は、区間平均流量Qtの判定許容範囲を示す図である。
図3は、流量計測手段3により測定されたガスの瞬時流量値を示している。ガス器具の未使用時に瞬時流量がゼロ付近で安定していれば、流量なしの判定は容易であり、また、瞬時流量が微少流量で安定していれば、内管漏洩の検出も容易である。
しかしながら、呼吸動作等の影響による流量が発生している場合には、流量なしを判定できず、所定時間継続すると、内管漏洩が発生していないにも関わらず、内管漏洩と判定してしまう課題があった。
呼吸動作によりガス流が発生している場合には、圧力変動が大きいことから、流量なし判定をおこなう際に、ガス配管内の圧力値が所定範囲以内の場合において、所定時間の間における区間平均流量Qtの最大値(最大流量)Qtmax、最小値(最小流量)Qtminおよび平均値(平均流量)を求め、これらを安定度合いの判定に用いる。
図4は、区間平均流量Qtの安定度合いを判定する閾値について示している。平均判定流量をQh(L/h)とすると、−QhからQhの範囲が判定の閾値(判定許容範囲)となる。区間平均流量Qtが−QhからQhの範囲を外れる場合は、流量ありとする。図4中に、判定の閾値である−QhからQhの範囲内に収まった区間平均流量Qtの第1判定回数分を示している。第1判定回数分の区間平均流量Qtの平均流量が判定許容範囲を外れていれば、流量ありとする。
図5は、本実施の形態における流量有無判定9の動作手順を示すフローチャートである。流量有無判定手段9は、図5に示すステップS1からステップS12の制御フローを実行するプログラムを格納したものである。
ステップS1において、区間平均流量Qtおよび区間中の最大値Qtmax、最小値Qtminを更新する。
ステップS2において、区間演算手段8からの最大流量Qtmaxと最小流量Qtminとの差が許容範囲幅未満か否か判定し、許容範囲幅未満であれば、ステップS3に移行する。ステップS3においては、区間演算手段8からの区間平均流量Qtが判定許容範囲以内か否か判定し、判定許容範囲以内であれば、ステップS4に移行する。
ステップS3において、区間平均流量Qtが判定許容範囲以外であれば、流量ありと判断して、ステップS6に移行して、期間判定タイマをアップする。
ステップS3において、区間演算手段8からの区間平均流量Qtが判定許容範囲以内であれば、ステップS4において、前記最大流量Qtmaxと前記最小流量Qtminとの差の絶対値(あらかじめ設定した期間における最大最小差の絶対値)の昇順に区間平均流量値Qtを並べて、区間平均流量値Qtを最大最小差の絶対値とともに保持し、保持数がN個を超えるかどうかを判定し、超えていればS5へ進む。S5においては、N+1個目に保持している値(保持している最大最小差の絶対値の中で最も大きな値、および、その最大最小差の絶対値に対応する区間平均流量Qt)を削除する。
ステップS6において、期間判定タイマをアップする。ステップS7においては、期間判定タイマが所定値に到達したかどうか判定し、到達した場合は、ステップS8において、ステップS4で保持したN個分の区間平均流量Qtの平均流量を算出し、ステップS9において、保持しているN個の最大最小差の絶対値とN個の区間平均流量Qtとをクリアする。
ステップS10において、ステップS8にて算出した平均流量の絶対値が平均判定流量以内か否か判定し、平均判定流量以内であれば、漏洩なしとしてステップS11に移行し、ステップS11において、漏洩判定タイマをクリアする。ステップS10において、平均流量の絶対値が平均判定流量以内でなければ、ステップS12に移行し、漏洩ありと判定する。
このように、前記流量有無判定手段は、区間平均流量が判定許容範囲以内で、前記流量有無判定手段で算出したN個の区間平均流量Qtの平均流量が平均判定流量以内の場合に流量なしと判定すると共に、算出した平均流量が平均判定流量より大きい場合は漏れありと判定する。
以上のように、本実施の形態においては、区間の最大最小差の絶対値の昇順に並べたN個の区間平均流量Qtの平均をとることにより、呼吸動作が発生中であっても、最大最小差の絶対値のばらつきの少ないN個の区間平均流量Qtを用いて判定するため、安定して流量の有無を判定することができ、内管漏洩の誤警告を防止や、漏洩を精度よく判定することで、経年劣化等による流量計測異常を早期に発見することができる。
以上のように、本発明にかかるガス遮断装置は、脈動や呼吸動作が発生しているような環境下であっても内管漏洩を判定できることから、水や気体の洩れを検出する方式にも適用できる。
1 ガスメータ
2 遮断手段
3 流量計測手段
4 表示器(表示部)
5 感震器
6 演算手段
8 区間演算手段
9 流量有無判定手段
10 制御手段
12 圧力センサ
13 圧力判定手段

Claims (1)

  1. ガス供給管に接続され、ガス流量を一定時間間隔で計測する流量計測手段と、
    前記流量計測手段で計測された計測値より流量値を求める演算手段と、
    前記演算手段により算出された流量値を所定時間蓄積して区間平均流量を算出するとともにその間の最大流量と最小流量を求める区間演算手段と、
    あらかじめ設定した期間において、前記所定時間毎に前記区間演算手段で求めた区間平均流量その最大流量と最小流量の差の絶対値の昇順にN個保持することができ、そのN個の区間平均流量の平均流量を算出してガス流量の有無を判定する流量有無判定手段とを備え、
    前記流量有無判定手段は、前記区間平均流量が判定許容範囲以内で、N個の区間平均流量の平均流量が平均判定流量以内の場合に流量なしと判定し、それ以外の場合は漏れありと判定することを特徴とするガス遮断装置。
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