JP6323315B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
近年、半導体装置の高耐圧化、低損失化などを可能とするため、半導体装置を構成する材料としての炭化珪素の採用が進められている。
特表2012−510951号公報(特許文献1)には、黒鉛製の坩堝を用いて昇華法により炭化珪素単結晶を製造する方法が記載されている。特許文献1において、坩堝の上部および下側の各々には抵抗ヒータが設けられている。坩堝および抵抗ヒータは、黒鉛製の断熱材で囲まれている。
特表2012−510951号公報
本発明の一態様の目的は、結晶成長中の温度制御が不安定になることを抑制することが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供することである。
本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、頂面と、頂面と反対側の底面と、頂面と底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、坩堝の内部の底面側に配置された原料と、坩堝の内部の頂面側に、原料と対面して配置された種結晶と、頂面を加熱するための第1加熱部と、底面を加熱するための第2加熱部と、第1加熱部および第2加熱部を覆うように配置され、頂面と対向する位置および底面と対向する位置の各々に開口部が設けられた断熱材と、開口部を通して頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、開口部を通して底面の温度を測定可能に構成された第2温度計とを準備する工程と、第1加熱部および第2加熱部の各々に電力を供給して坩堝を加熱することにより、原料を昇華させて種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備える。炭化珪素単結晶を成長させる工程は、第1加熱部および第2加熱部のそれぞれに供給する電力を、第1温度計および第2温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、第2加熱部に供給する電力を、第2温度計によって測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1加熱部に供給する電力を、第2加熱部に供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有する。第2の工程における第1加熱部に供給する電力は、第1の工程における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比と、第2の工程における第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される。
上記によれば、結晶成長中の温度制御が不安定になることを抑制することが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供することができる。
実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造装置の構成を示す縦断面模式図である。 第2抵抗ヒータの構成を示す斜視模式図である。 第2抵抗ヒータおよび第2電源の構成を示す平面模式図である。 図1のIV−IV線に沿った矢視横断面模式図であり、第1抵抗ヒータおよび第1電源の構成を示す横断面模式図である。 図1のV−V線に沿った矢視横断面模式図であり、第3抵抗ヒータおよび第3電源の構成を示す横断面模式図である。 実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造装置における坩堝の温度制御を説明する機能ブロック図である。 実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法を示すフロー図である。 実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法の第1工程を示す縦断面模式図である。 坩堝の温度およびチャンバ内の圧力の時間的変化を示す図である。 第1抵抗ヒータへの供給電力、上部放射温度計により測定される頂面の温度およびチャンバ内の圧力の時間的変化を示す図である。 第1抵抗ヒータの制御の切り替えを実現するための制御処理手順を示したフロー図である。 実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法の第2工程を示す縦断面模式図である。 実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造装置の構成を示す縦断面模式図である。 実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造装置における坩堝の温度制御を説明する機能ブロック図である。
[本発明の実施形態の説明]
昇華法により炭化珪素単結晶を製造する製造装置においては、坩堝内に配置された炭化珪素原料の昇華と種結晶上での再結晶が生じるように、坩堝を加熱するための加熱部が設けられている。このような製造装置では、通常、装置の外郭を構成するチャンバ内において、坩堝の周囲を覆うように断熱材を配置した状態で、加熱部への供給電力によって加熱部の発生熱量を制御することにより、炭化珪素原料および種結晶の各々の温度を調整する。これにより、炭化珪素原料と種結晶との間に昇華再結晶に必要な温度勾配が形成される。
上記の温度勾配を管理するため、チャンバの外部には、坩堝の外表面に対面する位置に、坩堝の温度を測定するための放射温度計が設けられている。そして、チャンバおよび断熱材の各々には、坩堝の外表面の一部がチャンバから露出するように測温用の開口部が設けられている。放射温度計は、当該開口部を通して坩堝の温度を測定可能に構成されている。
炭化珪素単結晶の成長中、種結晶を保持する蓋部と炭化珪素原料を収容する収容部とのつなぎ目などに形成される間隙を通して原料ガスが坩堝の外部に拡散することがある。坩堝は底面から頂面に向かう方向に温度が低くなっているため、坩堝の外部に拡散した原料ガスは、この温度勾配に従って頂面に向かう方向へ輸送される。そのため、坩堝を覆っている断熱材では、頂面に対向している部分において原料ガスが再結晶化することがある。特に、頂面に対向して配置された開口部付近において原料ガスが再結晶化すると、当該開口部の内壁面に炭化珪素が付着する。炭化珪素の付着量が多くなると、開口部が徐々に塞がれるため、開口部を通して坩堝の温度を正確に測定することが難しくなる。これにより、坩堝の温度の管理が困難となるため、結晶成長中の温度制御が不安定になることがある。その結果、坩堝の温度変動が生じることで、炭化珪素単結晶内にクラックなどを発生させることがある。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、頂面と、頂面と反対側の底面と、頂面と底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、坩堝の内部の底面側に配置された原料と、坩堝の内部の頂面側に、原料と対面して配置された種結晶と、頂面を加熱するための第1加熱部と、底面を加熱するための第2加熱部と、坩堝を覆うように配置され、少なくとも頂面と対向する位置および底面と対向する位置の各々に開口部が設けられた断熱材と、開口部を通して頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、開口部を通して底面の温度を測定可能に構成された第2温度計とを準備する工程と、第1加熱部および第2加熱部の各々に電力を供給して坩堝を加熱することにより、原料を昇華させて種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備える。炭化珪素単結晶を成長させる工程は、第1加熱部および第2加熱部のそれぞれに供給する電力を、第1温度計および第2温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、第2加熱部に供給する電力を、第2温度計によって測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1加熱部に供給する電力を、第2加熱部に供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有する。第2の工程における第1加熱部に供給する電力は、第1の工程における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比と、第2の工程における第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される。
本発明の実施態様では、炭化珪素単結晶を成長させる工程において、第1加熱部に供給する電力は、頂面の温度の測定値と目標値との偏差に基づいたフィードバック制御が実行された後、第2加熱部に供給する電力に連動する連動制御に切り替えられる。これにより、第1加熱部および第2加熱部のそれぞれに供給する電力をフィードバック制御する、完全フィードバック制御から、第2加熱部に供給する電力のみをフィードバック制御する、部分フィードバック制御に切り替えられる。この部分フィードバック制御における第1加熱部に供給する電力は、第2加熱部に供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比を維持するように制御される。そのため、部分フィードバック制御が実行される期間においても、第1加熱部は、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できる。この結果、炭化珪素単結晶の成長中、再結晶化した炭化珪素に起因して頂面に対向して配置された測温用の開口部の閉塞が発生した場合であっても、坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
(2)上記(1)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、第1加熱部は、頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータを有し、第2加熱部は、側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータとを有する。断熱材は、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータを覆うように配置され、頂面と対向する位置、側面と対向する位置および底面と対向する位置の各々に開口部が設けられる。第2温度計は、開口部を通して底面および側面の温度を測定可能に構成される。第1の工程では、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第1温度計および第2温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する。第2の工程では、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第2温度計によって測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータに供給する電力を、第2抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御する。第2の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力は、第1の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力と第2抵抗ヒータに供給する電力との比と、第2の工程における第2抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される。
本実施態様によれば、部分フィードバック制御において、第1抵抗ヒータに供給する電力は、第2抵抗ヒータに供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1抵抗ヒータに供給する電力と第2抵抗ヒータに供給する電力との比を維持するように制御される。これにより、頂面に対向して配置された測温用の開口部が閉塞された場合であっても、第1抵抗ヒータは、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
(3)上記(1)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、坩堝は、頂面と、頂面と反対側の底面と、頂面と底面との間に位置する筒状の側面とを有する。加熱部は、頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータと、側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータとを含む。断熱材は、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータを覆うように配置され、頂面と対向する位置、側面と対向する位置および底面と対向する位置のそれぞれに開口部が設けられる。温度計は、開口部を通して頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、開口部を通して側面の温度を測定可能に構成された第2温度計と、開口部を通して底面の温度を測定可能に構成された第3温度計と含む。第1の工程では、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第1温度計、第2温度計および第3温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する。第2の工程では、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第2温度計によって測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータに供給する電力を、第3抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御する。第2の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力は、第1の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力と第3抵抗ヒータに供給する電力との比と、第2の工程における第3抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される。
本実施態様によれば、部分フィードバック制御において、第1抵抗ヒータに供給する電力は、第3抵抗ヒータに供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1抵抗ヒータに供給する電力と第3抵抗ヒータに供給する電力との比を維持するように制御される。これにより、頂面に対向して配置された測温用の開口部が閉塞された場合であっても、第1抵抗ヒータは、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
(4)上記(1)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、第1加熱部は、坩堝の外周の頂面側に巻回された第1コイルを有し、第2加熱部は、坩堝の外周の底面側に巻回された第2コイルを有する。第1の工程では、第1コイルおよび第2コイルのそれぞれに供給する電力を、第1温度計および第2温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する。第2の工程では、第2コイルに供給する電力を、第2温度計によって測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1コイルに供給する電力を、第2コイルに供給する電力と連動するように制御する。第2の工程における第1コイルに供給する電力は、第1の工程における第1コイルに供給する電力と第2コイルに供給する電力との比と、第2の工程における第2コイルに供給する電力に基づいて算出される。これにより、部分フィードバック制御において第1コイルに供給する電力は、第2コイルに供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1コイルに供給する電力と第2コイルに供給する電力との比を維持するように制御される。これにより、頂面に対向して配置された測温用の開口部が閉塞された場合であっても、第1コイルは、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、炭化珪素単結晶を成長させる工程では、第1の工程の実施中に、坩堝の内部の減圧が実施される。第2の工程における第1加熱部に供給する電力は、坩堝の内部の減圧が完了した後の第1の工程における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比と、第2の工程における第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される。これにより、部分フィードバック制御における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比は、種結晶の表面上に炭化結晶単結晶が成長している期間にフィードバック制御された電力から算出される。したがって、連動制御が実行される期間においても、第1加熱部は炭化珪素単結晶の成長のための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
(6)本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、頂面と、頂面と反対側の底面と、頂面と底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、坩堝の内部の底面側に配置された原料と、坩堝の内部の頂面側に、原料と対面して配置された種結晶と、頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータと、側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータと、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータを覆うように配置され、頂面と対向する位置に第1の開口部が設けられ、側面と対向する位置に第2の開口部が設けられ、底面と対向する位置に第3の開口部が設けられた断熱材と、第1の開口部を通して頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、第2の開口部を通して側面の温度を測定可能に構成された第2温度計と、第3の開口部を通して底面の温度を測定可能に構成された第3温度計とを準備する工程と、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータの各々に電力を供給して坩堝を加熱することにより、原料を昇華させて種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備える。炭化珪素単結晶を成長させる工程は、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第1温度計、第2温度計および第3温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第2温度計および第3温度計によってそれぞれ測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータに供給する電力を、第2抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有する。第2の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力は、第1の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力と第2抵抗ヒータに供給する電力との比と、第2の工程における第2抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される。
本実施態様によれば、部分フィードバック制御において、第1抵抗ヒータに供給する電力は、第2抵抗ヒータに供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1抵抗ヒータに供給する電力と第2抵抗ヒータに供給する電力との比を維持するように制御される。これにより、頂面に対向して配置された測温用の開口部が閉塞された場合であっても、第1抵抗ヒータは、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
(7)本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、頂面と、頂面と反対側の底面と、頂面と底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、坩堝の内部の底面側に配置された原料と、坩堝の内部の頂面側に、原料と対面して配置された種結晶と、頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータと、側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータと、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータを覆うように配置され、頂面と対向する位置に第1の開口部が設けられ、側面と対向する位置に第2の開口部が設けられ、底面と対向する位置に第3の開口部が設けられた断熱材と、第1の開口部を通して頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、第2の開口部を通して側面の温度を測定可能に構成された第2温度計と、第3の開口部を通して底面の温度を測定可能に構成された第3温度計とを準備する工程と、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータの各々に電力を供給して坩堝を加熱することにより、原料を昇華させて種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備える。炭化珪素単結晶を成長させる工程は、第1抵抗ヒータ、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第1温度計、第2温度計および第3温度計のそれぞれによって測定された坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、第2抵抗ヒータおよび第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、第2温度計および第3温度計によってそれぞれ測定された坩堝の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータに供給する電力を、第3抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有する。第2の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力は、第1の工程における第1抵抗ヒータに供給する電力と第3抵抗ヒータに供給する電力との比と、第2の工程における第3抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される。
本実施態様によれば、部分フィードバック制御において、第1抵抗ヒータに供給する電力は、第3抵抗ヒータに供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1抵抗ヒータに供給する電力と第3抵抗ヒータに供給する電力との比を維持するように制御される。これにより、頂面に対向して配置された測温用の開口部が閉塞された場合であっても、第1抵抗ヒータは、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中においては、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
<実施の形態1>
(炭化珪素単結晶の製造装置)
まず、本発明の実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造装置100の構成について説明する。
図1に示されるように、実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造装置100は、坩堝5と、第1抵抗ヒータ1と、第2抵抗ヒータ2と、第3抵抗ヒータ3と、断熱材4と、チャンバ6と、上部放射温度計9aと、側部放射温度計9bと、下部放射温度計9cと、制御装置20とを主に有している。
坩堝5は、たとえば黒鉛からなり、頂面5a1と、頂面5a1と反対側の底面5b2と、頂面5a1と底面5b2との間に位置する筒状の側面5b1とを有する。側面5b1は、たとえば円筒形状を有する。坩堝5は、種結晶11を保持可能に構成された台座5aと、炭化珪素原料12を収容可能に構成された収容部5bとを有する。台座5aは、種結晶11の裏面11aと接する種結晶保持面5a2と、種結晶保持面5a2と反対側の頂面5a1とを有する。台座5aが頂面5a1を構成する。収容部5bは底面5b2を構成する。側面5b1は、台座5aと収容部5bとにより構成されている。坩堝5内において、炭化珪素原料12を昇華させ、種結晶11の表面11b上に再結晶させることにより、炭化珪素単結晶が種結晶11の表面11b上に成長する。つまり、炭化珪素単結晶は昇華法によって製造可能に構成されている。
第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3は、坩堝5の外部に配置されており、坩堝5を加熱するための加熱部を構成する。加熱部に抵抗加熱型のヒータを用いる場合、図1に示されるように、加熱部は、坩堝5と断熱材4との間に配置されることが好ましい。第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3は、発生熱量を互いに独立して制御可能に構成されている。言い換えれば、加熱部は、坩堝5の頂面5a1、側面5b1および底面5b2の温度を互いに独立して調整することができるように構成されている。
第1抵抗ヒータ1は、頂面5a1に対面して設けられている。第1抵抗ヒータ1は、頂面5a1から離間している。第2抵抗ヒータ2は、側面5b1を取り囲むように配置された環状体から構成されている。第2抵抗ヒータ2は、側面5b1から離間している。第2抵抗ヒータ2は、底面5b2から頂面5a1に向かう方向において、頂面5a1側に位置する第1面2aと、底面5b2側に位置する第2面2bと、側面5b1に対面する第3面2cと、第3面2cとは反対側の第4面2dとを含む。第3抵抗ヒータ3は、底面5b2に対面して設けられている。第3抵抗ヒータ3は、底面5b2から離間している。
断熱材4は、坩堝5、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3を収容可能に構成されている。断熱材4は、たとえば黒鉛からなり、黒鉛フェルト、黒鉛製成形断熱材または黒鉛シートなどである。なお、成形断熱材とは、たとえば黒鉛フェルトを重ねて接着剤で固定したものを焼き固めたものである。図1に示されるように、坩堝5をチャンバ6内に配置した際、断熱材4は坩堝5を覆うように設けられている。
第1抵抗ヒータ1の一部が断熱材4から露出するように、断熱材4には開口部4a3が設けられている。開口部4a3と連通するようにチャンバ6にはビューポート6aが設けられている。断熱材4にはまた、第2抵抗ヒータ2の一部が断熱材4から露出するように、開口部4b3が設けられている。開口部4b3と連通するようにチャンバ6にはビューポート6bが設けられている。断熱材4にはさらに、第3抵抗ヒータ3の一部が断熱材4から露出するように、開口部4c3が設けられている。開口部4c3と連通するようにチャンバ6にはビューポート6cが設けられている。
[抵抗ヒータ]
図2に示されるように、第2抵抗ヒータ2は、頂面5a1から底面5b2に向かう方向に沿って延在する第1部分1xと、底面5b2側において第1部分1xと連続して設けられ、かつ側面5b1の周方向に沿って延在する第2部分2xと、第2部分2xに連続して設けられ、かつ底面5b2から頂面5a1に向かう方向に沿って延在する第3部分3xと、頂面5a1側において第3部分3xと連続して設けられ、かつ側面5b1の周方向に沿って延在する第4部分4xとを有する。第1部分1x、第2部分2x、第3部分3xおよび第4部分4xはヒータユニット10xを構成する。第2抵抗ヒータ2は、複数のヒータユニット10xが連続して設けられて環状体を構成している。
図3に示されるように、頂面5a1から底面5b2に向かう方向に沿って見た場合、第2抵抗ヒータ2は、坩堝5の側面5b1を取り囲むように設けられ、環状に構成されている。第2抵抗ヒータ2の第3面2cに接して一対の端子7が設けられている。第2抵抗ヒータ2は、一対の端子7の間に並列接続された一対の抵抗素子からなる等価回路で表わされる。一対の端子7は、環状体の中心軸を挟んで対向する位置に設けることが好ましい。これにより、等価回路上、一対の抵抗素子の抵抗値が互いに等しくなるため、両者の発生熱量を均衡させることができる。
第2電源7aは、交流電源10から電力の供給を受けて第2抵抗ヒータ2に電力を供給する。第2電源7aは、たとえば交流電力調整器(APR:AC Power Regulator)により構成される。第2電源7aは、一例として、逆並列接続された一組のサイリスタT1,T2で構成されたサイリスタスイッチを含む。制御装置20からの制御信号CS2に従ってサイリスタT1,T2の制御角が変化されることにより、第2抵抗ヒータ2に供給する電力を最大出力から最小出力まで連続調整することができる。
図4に示されるように、頂面5a1から底面5b2に向かう方向に沿って見た場合、第1抵抗ヒータ1は、旋回するにつれて中心から遠ざかる2つの曲線が当該中心で合流する形状を有する。好ましくは、第1抵抗ヒータ1は、フェルマーの螺旋形状を有する。第1抵抗ヒータ1の両端に一対の端子14が接続されている。頂面5a1に対して平行な方向に沿って見た場合、第1抵抗ヒータ1の幅W1は、頂面5a1の幅よりも小さい。第1抵抗ヒータ1の幅W1は、一対の端子14を含まないように計測される。
第1電源14aは、交流電源10から電力の供給を受けて第1抵抗ヒータ1に電力を供給する。第1電源14aは、たとえば第2電源7aと同様に、サイリスタスイッチで構成される。第1電源14aは、制御装置20からの制御信号CS1に従って第1抵抗ヒータ1に供給する電力を最大出力から最小出力まで連続調整することができる。
図5に示されるように、頂面5a1から底面5b2に向かう方向に沿って見た場合、第3抵抗ヒータ3は、旋回するにつれて中心から遠ざかる2つの曲線が当該中心で合流する形状を有する。好ましくは、第3抵抗ヒータ3は、フェルマーの螺旋形状を有する。第3抵抗ヒータ3の両端に一対の端子8が接続されている。底面5b2に対して平行な方向に沿って見た場合、第3抵抗ヒータ3の幅W3は、坩堝5の内部の幅W2(図1参照)よりも大きく、好ましくは、底面5b2の幅よりも大きい。第3抵抗ヒータ3の幅W3は、一対の端子8を含まないように計測される。
第3電源8aは、交流電源10から電力の供給を受けて第3抵抗ヒータ3に電力を供給する。第3電源8aは、たとえば第2電源7aと同様にサイリスタスイッチにより構成される。第3電源8aは、制御装置20からの制御信号CS3に従って第3抵抗ヒータ3に供給する電力を最大出力から最小出力まで連続調整することができる。
なお、第1電源14a、第2電源7aおよび第3電源8aには、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御方式を採用した交流電力調整器を用いてもよい。また、第1電源14a、第2電源7aおよび第3電源8aの各々は、交流電源10から電力の供給を受けて抵抗ヒータに供給する電力を生成可能な構成であれば、交流電力調整器に限らず、各種電源回路を用いることができる。
[放射温度計]
図1に示されるように、上部放射温度計9aは、チャンバ6の外部において坩堝5の頂面5a1に対面する位置に設けられており、開口部4a3およびビューポート6aを通して頂面5a1の温度を測定可能に構成されている。上部放射温度計9aにより測定された頂面5a1の温度Th1は制御装置20へ送られる。
側部放射温度計9bは、チャンバ6の外部において坩堝5の側面5b1に対面する位置に設けられており、開口部4b3およびビューポート6bを通して側面5b1の温度を測定可能に構成されている。側部放射温度計9bにより測定された側面5b1の温度Th2は制御装置20へ送られる。
下部放射温度計9cは、チャンバ6の外部において坩堝5の底面5b2に対面する位置に設けられており、開口部4c3およびビューポート6cを通して底面5b2の温度を測定可能に構成されている。下部放射温度計9cにより測定された底面5b2の温度Th3は制御装置20へ送られる。
放射温度計9a〜9cとして、たとえば株式会社チノー製のパイロメータ(型番:IR−CAH8TN6)が使用可能である。パイロメータの測定波長は、たとえば、1.55μmおよび0.9μmである。パイロメータの放射率設定値はたとえば0.9である。パイロメータの距離係数は、たとえば300である。パイロメータの測定径は、測定距離を距離係数で除することにより求められる。たとえば測定距離が900mmの場合、測定径は3mmである。
上部放射温度計9aに対面する位置に設けられた開口部4a3およびビューポート6aの開口径は、パイロメータの測定径より大きく、たとえば5〜30mmである。側部放射温度計9bに対面する位置に設けられた開口部4b3およびビューポート6bの開口径は、パイロメータの測定径より大きく、たとえば5〜30mm程度である。下部放射温度計9cに対面する位置に設けられた開口部4c3およびビューポート6cの開口径は、パイロメータの測定径より大きく、たとえば5〜30mm程度である。
[制御装置]
制御装置20は、代表的にはCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ領域と、入出力インターフェイスとを主体として構成される。制御装置20は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、坩堝5の温度制御を実行する。なお、制御装置20の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
制御装置20に入力される情報として、図1には、上部放射温度計9aからの頂面5a1の温度Th1、側部放射温度計9bからの側面5b1の温度Th2、および下部放射温度計9cからの底面5b2の温度Th3を例示する。図示しないが、チャンバ6内の圧力の検出値についても制御装置20に入力される。
図6は、実施の形態1による炭化珪素単結晶の製造装置100における坩堝5の温度制御を説明する機能ブロック図である。なお、図6を始めとする以下のブロック図に記載された各機能ブロックについては、予め設定されたプログラムに従って制御装置20がソフトウェア処理を実行することによって実現することができる。あるいは、制御装置20の内部に、当該機能ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)を構成することも可能である。
図6に示されるように、制御装置20は、フィードバック制御部120と、連動制御部122とを含む。フィードバック制御部120は、上部放射温度計9aから頂面5a1の温度Th1の測定値を受け、側部放射温度計9bから側面5b1の温度Th2の測定値を受け、下部放射温度計9cから底面5b2の温度Th3の測定値を受ける。フィードバック制御部120は、温度Th1,Th2,Th3の測定値の各々が目標値となるように、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3の各々に供給する電力をフィードバック制御する。
制御装置20はさらに、フィードバック制御に加えて、第1抵抗ヒータ1に供給する電力を、第2抵抗ヒータ2に供給する電力に連動するように制御する、連動制御を実行可能に構成される。制御装置20は、炭化珪素単結晶を成長させる工程(S20:図7)において、第1抵抗ヒータ1に供給する電力の制御を、フィードバック制御から連動制御に切り替える。これにより、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力をフィードバック制御する「完全フィードバック制御」から、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3に供給する電力のみをフィードバック制御する「部分フィードバック制御」に切り替えられる。完全フィードバック制御から部分フィードバック制御への切り替えの詳細については後述する。
(炭化珪素単結晶の製造方法)
次に、実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。図7に示されるように、実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、準備工程(S10)と、結晶成長工程(S20)とを備える。
[準備工程(S10)]
準備工程(S10)では、断熱材4、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2、第3抵抗ヒータ3、坩堝5および放射温度計9a,9b,9cが準備される。さらに、種結晶11および炭化珪素原料12が準備される。図8に示されるように、種結晶11および炭化珪素原料12が坩堝5の内部に配置される。炭化珪素原料12は坩堝5の収容部5b内に配置される。炭化珪素原料12は、たとえば多結晶炭化珪素の粉末である。種結晶11は、たとえば接着剤を用いて台座5aの種結晶保持面5a2に固定される。種結晶11は、たとえばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素の基板である。種結晶11は、台座5aの種結晶保持面5a2に固定される裏面11aと、裏面11aと反対側の表面11bとを有する。種結晶11の表面11bの直径は、たとえば100mm以上であり、好ましくは150mm以上である。種結晶11の表面11bは、たとえば{0001}面から8°以下程度オフした面である。種結晶11は、表面11bが、炭化珪素原料12の表面12aに対面するように配置される。
[結晶成長工程(S20)]
結晶成長工程(S20)では、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3に電力を供給して坩堝5を加熱することにより、炭化珪素原料12を昇華させて種結晶11の表面11b上に炭化珪素単結晶を成長させる。
図9は、坩堝5の温度およびチャンバ6内の圧力の時間的変化を示す図である。図9に示されるように、時刻t0において、頂面5a1の温度Th1、側面5b1の温度Th2および底面5b2の温度Th3は、いずれも温度A0である。温度A0はたとえば室温である。時刻t0から時刻t1にかけて、温度Th1は温度A1まで上昇し、温度Th2は温度A2まで上昇し、温度Th3は温度A3まで上昇する。なお、図9では、温度Th1,Th2,Th3が時刻t1において同時に温度A1,A2,A3に到達しているが、温度A1,A2,A3に到達するタイミングは必ずしも一致していなくてもよい。
温度A3は、炭化珪素が昇華可能な温度以上であって、たとえば2000℃以上2400℃以下の温度である。温度A2は温度A3よりも低い温度であり、温度A1は温度A2よりも低い温度である。温度A1は、昇華した原料ガスが再結晶する温度であって、たとえば1900℃以上2300℃以下の温度である。すなわち、底面5b2から頂面5a1に向かって温度が低くなるように、炭化珪素原料12および種結晶11の双方が加熱される。時刻t1から時刻t6までの間、頂面5a1は温度A1に保持され、側面5b1は温度A2に保持され、底面5b2は温度A3に保持される。
時刻t0から時刻t1までの間、チャンバ6内は圧力P2に保持される。圧力P2は、たとえば大気圧である。チャンバ6内の雰囲気ガスは、たとえばアルゴンガス、ヘリウムガス、または窒素ガスなどの不活性ガスである。
時刻t2において、チャンバ6内の圧力が圧力P2から圧力P1にまで低減される。圧力P2は、たとえば0.5kPa以上2kPa以下である。なお、チャンバ6内の減圧を開始するタイミングは、炭化珪素原料12および種結晶11の昇温の完了後に限られず、昇温中であってもよい。すなわち、昇温過程と並行して、チャンバ6内の減圧を行なってもよい。時刻t2から時刻t3までの間において、炭化珪素原料12が昇華し始める。減圧が完了した時刻t3から時刻t4までの間、チャンバ6内の圧力は圧力P1に保持される。
時刻t3から時刻t4までの間、チャンバ6内の圧力が圧力P1に保持されることにより、炭化珪素原料12が昇華し続ける。昇華した炭化珪素は、種結晶11の表面11b上に再結晶する。これにより、種結晶11の表面11b上に炭化珪素単結晶30(図12参照)が成長する。炭化珪素単結晶の成長中、炭化珪素原料12は炭化珪素が昇華する温度A3に維持され、かつ、種結晶11は炭化珪素が再結晶する温度A1に維持される。
[抵抗ヒータの電力制御]
以上に述べた結晶成長工程(S20)における坩堝5の温度制御は、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3の各々に供給する電力を制御することで実現される。以下、結晶成長工程(S20)における抵抗ヒータに供給する電力の制御について説明する。
結晶成長工程(S20)は、第1加熱部および第2加熱部のそれぞれに供給する電力を、第1温度計および第2温度計のそれぞれによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する第1の工程(S21:図7)と、第2加熱部に供給する電力を第2温度計によって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1加熱部に供給する電力を、第2加熱部に供給する電力と連動するように制御する第2の工程(S22:図7)とを有する。すなわち、第1の工程(S21)では完全フィードバック制御が実行され、第2の工程(S22)では部分フィードバック制御が実行される。
実施の形態1では、第1の工程(S21)の一実施態様として、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力を、放射温度計9a,9b,9cのそれぞれによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する。また、第2の工程(S22)の一実施態様として、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力を、側部放射温度計9bおよび下部放射温度計9cによってそれぞれ測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータ1に供給する電力を、第2抵抗ヒータ2に供給する電力に連動するように制御する。
[第1の工程(S21)]
第1の工程(S21)では、温度Th1,Th2,Th3の測定値をそれぞれ目標値に一致させるために、供給電力PWR1,PWR2,PWR3をそれぞれフィードバック制御する。このようなフィードバック制御は、制御装置20のフィードバック制御部120(図6参照)によって実現される。
具体的には、フィードバック制御部120は、制御周期毎に、頂面5a1の温度Th1の測定値と目標値との偏差を制御演算することによって、第1抵抗ヒータ1に供給する電力PWR1を演算する。そして、フィードバック制御部120は、演算された供給電力PWR1が第1抵抗ヒータ1に与えられるように、第1電源14aを制御するための制御信号CS1を生成する。フィードバック制御部120は、側面5b1の温度Th2の測定値と目標値との偏差を制御演算することによって、第2抵抗ヒータ2に供給する電力PWR2を演算する。そして、フィードバック制御部120は、演算された供給電力PWR2が第2抵抗ヒータ2に与えられるように、第2電源7aを制御するための制御信号CS2を生成する。フィードバック制御部120は、底面5b2の温度Th3の測定値と目標値との偏差を制御演算することによって、第3抵抗ヒータ3に供給する電力PWR3を演算する。そして、フィードバック制御部120は、演算された供給電力PWR3が第3抵抗ヒータ3に与えられるように、第3電源8aを制御するための制御信号CS3を生成する。
ただし、温度Th1,Th2,Th3の各々が放射温度計9a,9b,9cの測定可能範囲に達するまでは、温度測定値に基づいたフィードバック制御ができないため、供給電力PWR1,PWR2,PWR3の各々は予め定められた電力に制御される。
[第2の工程(S22)]
第2の工程(S22)では、第1抵抗ヒータ1に供給する電力の制御を、フィードバック制御から連動制御に切り替える。第2の工程(S22)における第1抵抗ヒータ1に供給する電力は、第1の工程(S21)における第1抵抗ヒータ1に供給する電力と第2抵抗ヒータ2に供給する電力との比と、第2の工程(S22)における第2抵抗ヒータ2に供給する電力に基づいて算出される。
なお、第2抵抗ヒータ2に供給する電力および第3抵抗ヒータ3に供給する電力は、結晶成長中、フィードバック制御が継続して実行される。したがって、以下では、第1抵抗ヒータ1に供給する電力の制御に着目して説明する。
図10は、第1抵抗ヒータ1に供給する電力PWR1、上部放射温度計9aによる頂面5a1の温度の測定値Th1、およびチャンバ6内の圧力の時間的変化を示す図である。
図10に示されるように、時刻t0から時刻t1までの間の昇温過程において、上部放射温度計9aの温度測定値Th1は、温度A0から温度A1まで上昇する。昇温過程では、制御装置20のフィードバック制御部120によって、温度測定値Th1が目標値に一致するように、第1抵抗ヒータ1に供給する電力PWR1のフィードバック制御が実行される。なお、フィードバック制御部120は、温度測定値Th1が上部放射温度計9aの測定可能範囲に到達したときにフィードバック制御の実行を開始する。
時刻t1において昇温が完了した後、フィードバック制御部120は、頂面5a1の温度Th1を温度A1に保持するために、供給電力PWR1のフィードバック制御を実行する。すなわち、時刻t1以降、温度測定値Th1と温度A1との間に偏差が発生すると、その偏差をなくすように供給電力PWR1を増減させることにより、温度測定値Th1が温度A1に保持される。供給電力PWR1のフィードバック制御は、坩堝5の内部の減圧を実施している間も実行される。
時刻t3においてチャンバ6内の圧力が圧力P1に到達した後、圧力が圧力P1に保持される時刻t3から時刻t4までの間、種結晶11の表面11b上に炭化珪素単結晶が成長する。
フィードバック制御部120は、時刻t3から所定の期間TP2が経過する時刻t8までの間、供給電力PWR1のフィードバック制御を実行する。この期間TP2において、制御装置20の連動制御部122(図6参照)は、フィードバック制御部120により設定された供給電力PWR1を示すデータを取得する。連動制御部122はさらに、フィードバック制御部120により設定された供給電力PWR2を示すデータを取得する。なお、「供給電力PWR1を示すデータ」は、フィードバック制御部120において生成される供給電力PWR1の制御指令であってもよいし、第1電源14aから第1抵抗ヒータ1に供給される電力の実績値であってもよい。同様に「供給電力PWR2を示すデータ」は、フィードバック制御部120において生成される供給電力PWR2の制御指令であってもよいし、第2電源7aから第2抵抗ヒータ2に供給される電力の実績値であってもよい。
具体的には、連動制御部122は、時刻t3よりも後の時刻t7から時刻t8までの期間TP1において、所定の周期毎に、供給電力PWR1を示すデータおよび供給電力PWR2を示すデータを取得してメモリ領域に蓄積する。ここで、期間TP1は、チャンバ6内の減圧の完了後、坩堝5内の状態が安定するのを待って開始することが好ましい。たとえば、期間TP1の始期である時刻t7は、減圧が完了した時刻t3から1時間程度経過したタイミングに設定される。
また、期間TP1の長さは、たとえば1時間以上5時間以下に設定される。期間TP1において、連動制御部122がデータを取得する周期は、たとえば10秒〜60秒程度に設定される。一例として期間TP1の長さを1時間とし、かつ、データを取得する周期を10秒とした場合には、期間TP1の間に360点のデータが取得される。
期間TP1が経過した後、連動制御部122は、期間TP1で取得した複数のデータから供給電力PWR1と供給電力PWR2との比R12(=PWR1/PWR2)を算出する。具体的には、連動制御部122は、複数のデータを統計処理することにより比R21を算出する。たとえば連動制御部122は、第i番目(iは1以上n以下の整数)の周期にて取得された供給電力PWR1(i)と供給電力PWR2(i)との比R12(i)を算出する。そして、連動制御部122は、第1番目の周期から第n番目の周期までのそれぞれに対応して算出された複数の比R12(1)〜R12(n)の平均値を算出する。
複数のデータの統計処理には、複数の比R12(1)〜R12(n)の平均値を算出する処理の他、複数の比R12(1)〜R12(n)の中央値を算出する処理や、複数の比R12(1)〜R12(n)の最頻値を算出する処理などを行なうことができる。また、平均値を算出する処理では、複数の比R12(1)〜R12(n)から異常値を除外したものを平均するようにしてもよい。たとえば、複数の比R12(1)〜R12(n)の分布の上位10%点以上のデータ、および下位10%点以下のデータを異常値として除外するようにしてもよい。
あるいは、複数の供給電力PWR1を示すデータの平均値(または中央値や最頻値)と、複数の供給電力PWR2を示すデータの平均値(または中央値や最頻値)とをそれぞれ算出し、算出された供給電力PWR1の平均値と供給電力PWR2の平均値との比R12を算出してもよい。
連動制御部122は、比R12が算出されると、比R12を保ちながら供給電力PWR2に連動するように、供給電力PWR1を制御する。具体的には、連動制御部122は、所定の周期毎にフィードバック制御部120から供給電力PWR2を示すデータを取得する。連動制御部122は、供給電力PWR2に比R12を乗じることにより、供給電力PWR1を算出する(PWR1=PWR2×R12)。
連動制御部122は、算出された供給電力PWR1に従って第1抵抗ヒータ1に電力が供給されるように、第1電源14aを制御するための制御信号CS1を生成する。これにより、第1抵抗ヒータ1に供給する電力の制御は、フィードバック制御から連動制御に切り替えられる。連動制御は、時刻t8から坩堝5の加熱を停止する時刻t6での期間、実行される。すなわち、時刻t8から少なくとも炭化珪素単結晶の成長が終了する時刻t4までの期間、連動制御が実行される。
連動制御に切り替えられた後、第1抵抗ヒータ1には、上部放射温度計9aの温度測定値Th1に依存しない電力が供給されることになる。この電力は、側面5b1の温度を温度A2に保持するためのフィードバック制御された供給電力PWR2に、比R12を保ちながら連動する電力である。言い換えれば、供給電力PWR1は、頂面5a1を種結晶11が再結晶する温度A1に保持することが可能な電力である。したがって、時刻t8以降においても、温度測定値Th1は温度A1に保たれている。
ここで、連動制御の実行中の時刻t9において、開口部4a3の閉塞が生じたことによって頂面5a1の温度測定が難しくなった場合を想定する。図10に示されるように、上部放射温度計9aの温度測定値Th1が変動するため、制御装置20は実際の頂面5a1の温度を知ることが困難となる。本実施の形態によれば、このような場合においても、第1抵抗ヒータ1には第2抵抗ヒータ2に供給する電力に連動する電力が供給され続けるため、頂面5a1の温度は時刻t9以降も温度A1に保持される。この結果、再結晶化した炭化珪素に起因して開口部4a3の閉塞が発生した後においても頂面5a1の温度変動を抑制できる。
図11は、第1抵抗ヒータ1の制御の切り替えを実現するために制御装置20が実行する制御処理手順を示したフロー図である。図11に示す制御処理は、制御周期毎に繰り返し実行される。
図11に示されるように、まず、ステップS11により、炭化珪素原料12および種結晶11の昇温が完了したか否かが判断される。昇温が完了していないと判断された場合(S11のNO判定時)、ステップS12により、温度Th1,Th2,Th3の測定値に基づいた供給電力PWR1,PWR2,PWR3のフィードバック制御が実行される(完全フィードバック制御)。
一方、昇温が完了したと判断された場合(S11のYES判定時)には、ステップS13により、チャンバ6内の減圧が完了した時刻から期間TP2以上経過したか否かが判断される。期間TP2は、図10に示されるように、減圧が完了した時刻t3から、供給電力PWR1を示すデータを取得する期間TP1の終期である時刻t8までの時間に設定されている。
減圧が完了した時刻から期間TP2以上経過していない場合(S13のNO判定時)、ステップS12により、供給電力PWR1,PWR2,PWR3のフィードバック制御が実行される。減圧が完了した時刻から期間TP2以上経過している場合(S13のYES判定時)には、ステップS14に進み、減圧が完了した時刻から期間TP2が経過したタイミングであるか否かが判断される。減圧が完了した時刻から期間TP2が経過したタイミングであると判断されると(S14のYES判定時)、ステップS15により、期間TP1において取得された複数のデータから供給電力PWR1と供給電力PWR2との比R12が算出される。
これに対して、減圧が完了した時刻から期間TP2が経過したタイミングを過ぎていると判断されると(S14のNO判定時)、ステップS16により、第1抵抗ヒータ1に供給する電力PWR1について連動制御が実行される。なお、第2抵抗ヒータ2に供給する電力PWR2および第3抵抗ヒータ3に供給する電力PWR3についてはフィードバック制御が継続して実行される(部分フィードバック制御)。
図9に戻って、チャンバ6内の圧力は、時刻t4から時刻t5にかけて圧力P1から圧力P2に上昇する。チャンバ6内の圧力が上昇することにより、炭化珪素原料12の昇華が抑制される。これにより、炭化珪素単結晶の成長が実質的に終了する。時刻t6において坩堝5の加熱を停止し、坩堝5を冷却する。坩堝5の温度が室温付近になった後、坩堝5から炭化珪素単結晶30(図12参照)が取り出される。
<実施の形態1の変形例1>
上述の実施の形態1では、第2の工程(S22:図7)において、第1抵抗ヒータ1に供給する電力を、第2抵抗ヒータ2に供給する電力に連動させる構成について説明したが、第3抵抗ヒータ3に供給する電力に連動させるようにしてもよい。すなわち、第2の工程(S22)における第1抵抗ヒータ1に供給する電力は、第1の工程(S21)における第1抵抗ヒータ1に供給する電力と第3抵抗ヒータ3に供給する電力との比と、第2の工程(S22)における第3抵抗ヒータ3に供給する電力に基づいて算出される。
具体的には、結晶成長工程(S20)では、フィードバック制御部120によって、期間TP1において、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3の各々に供給する電力がフィードバック制御される。期間TP1において、連動制御部122は、所定の周期毎に、供給電力PWR1を示すデータおよび供給電力PWR3を示すデータを取得してメモリ領域に蓄積する。そして、期間TP1が経過した後、連動制御部122は、期間TP1で取得したデータを統計処理することにより、供給電力PWR1と供給電力PWR3との比R13(=PWR1/PWR3)を算出する。
そして、期間TP1が経過した後の時刻t8から少なくとも炭化珪素単結晶の成長が終了する時刻t4までの期間において、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3の各々に供給する電力がフィードバック制御される。一方、第1抵抗ヒータ1には、底面5b2の温度を温度A3に保持するためのフィードバック制御された供給電力PWR3に、比R13を保ちながら連動する電力が供給される。
<実施の形態1の変形例2>
上述の実施の形態1では、結晶成長工程(S20)において、完全フィードバック制御から部分フィードバック制御に切り替える回数を1回としたが、複数回としてもよい。すなわち、結晶成長中、完全フィードバック制御が実行される第1の工程(S21)と、部分フィードバック制御が実行される第2の工程(S22)とを交互に繰り返す構成としてもよい。
たとえば、制御装置20は、第2の工程(S22)の実行中に上部放射温度計9aの温度測定値Th1を監視しておき、温度測定値Th1が温度A1の±10%の範囲内に収まっているか否かを判断する。温度測定値Th1が上記範囲内に収まっていると判断された場合には、制御装置20は、第1の工程(S21)に移行することにより、第1抵抗ヒータ1の電力の制御を、連動制御からフィードバック制御に切り替える。そして、再びフィードバック制御を所定期間実行した後、当該所定期間中に取得される供給電力PWR1を示すデータおよび供給電力PWR2を示すデータに基づいて比R12を算出する。これにより、当該第1の工程(S21)に続く第2の工程(S22)では、直前の第1の工程(S21)に算出された比R12を保ちながら第2抵抗ヒータ2に供給する電力に連動する電力が、第1抵抗ヒータ1に供給される。
このようにフィードバック制御と連動制御とを交互に繰り返すことにより、連動制御の実行中に第1抵抗ヒータ1に供給される電力と第2抵抗ヒータ2に供給される電力との比は、直前のフィードバック制御における比R12に更新される。そのため、結晶成長中、第1抵抗ヒータ1は、頂面5a1の温度を温度A1に保持するための熱量を発生し続けることができる。
<実施の形態2>
(炭化珪素単結晶の製造装置)
図13に示されるように、実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造装置110は、図1に示される実施の形態1に係る製造装置100と基本的に同様の構成を有している。しかしながら、坩堝5を加熱する加熱部として、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3に代えて、高周波加熱コイルである第1コイル15uおよび第2コイル15dを有している点、断熱材4に代えて断熱材4Aを有している点、および制御装置20に代えて制御装置22を有している点で製造装置100とは異なっている。そのため、同一または対応する構成には同じ符号を付し、同じ説明は繰り返さない。
[高周波加熱コイル]
図13に示されるように、第1コイル15uおよび第2コイル15dは、坩堝5の外周に巻回されている。加熱部に高周波加熱コイルが用いられる場合、高周波加熱コイルは、断熱材4Aの外部に配置されることが好ましい。なお、高周波加熱コイルは、チャンバ6の外部に配置されてもよいし、断熱材4Aとチャンバ6との間に配置されてもよい。
第1コイル15uは、坩堝5の外周の頂面5a1側に巻回される。電源15auは、交流電源(図示せず)から電力の供給を受けて第1コイル15uに電力を供給する。電源15auは、たとえばサイリスタスイッチを含む。電源15auは、制御装置22からの制御信号CSuに従って、第1コイル15uに供給する電力を最大出力から最小出力まで連続調整することができる。
第2コイル15dは、坩堝5の外周の底面5b2側に巻回される。電源15adは、交流電源(図示せず)から電力の供給を受けて第2コイル15dに電力を供給する。電源15adは、たとえばサイリスタスイッチを含む。電源15adは、制御装置22からの制御信号CSdに従って、第2コイル15dに供給する電力を最大出力から最小出力まで連続調整することができる。
[断熱材]
断熱材4Aは、坩堝5を収容可能に構成されている。断熱材4Aは、断熱材4と同じ材料で構成されている。坩堝5をチャンバ6内に配置した際、断熱材4Aは坩堝5を覆うように設けられている。
頂面5a1の一部が断熱材4Aから露出するように、断熱材4Aには開口部4a3が設けられている。開口部4a3と連通するようにチャンバ6にはビューポート6aが設けられている。なお、開口部4a3は、頂面5a1に対面する側の開口径がチャンバ6に対向する側の開口径よりも広くなっている。これにより、断熱材4Aの内表面と頂面5a1との間に間隙が形成される。この間隙に向かって頂面5a1から熱が放出されることで、頂面5a1の温度が、底面5b2の温度に比べて若干低い温度に保持される。この温度差は、頂面5a1側に配置される種結晶11と底面5b2側に配置される炭化珪素原料12との間に、昇華再結晶に必要な温度勾配を形成するのに寄与する。
底面5b2の一部が断熱材4Aから露出するように、断熱材4Aには開口部4c3が設けられている。開口部4c3と連通するようにチャンバ6にはビューポート6cが設けられている。
図13に示されるように、上部放射温度計9aは、チャンバ6の外部において頂面5a1に対面する位置に設けられており、開口部4a3およびビューポート6aを通して頂面5a1の温度を測定可能に構成されている。下部放射温度計9cは、チャンバ6の外部において底面5b2に対面する位置に設けられており、開口部4c3およびビューポート6cを通して底面5b2の温度を測定可能に構成されている。
[制御装置]
制御装置22は、制御装置20と同様に、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、坩堝5の温度制御を実行する。制御装置22に入力される情報として、図13には、上部放射温度計9aからの頂面5a1の温度Th1、および下部放射温度計9cからの底面5b2の温度Th3を例示する。図示しないが、チャンバ6内の圧力の検出値についても制御装置22に入力される。
図14は、実施の形態2の変形例による炭化珪素単結晶の製造装置110における坩堝5の温度制御を説明する機能ブロック図である。図14に示されるように、制御装置22は、フィードバック制御部120と、連動制御部122とを含む。
フィードバック制御部120は、上部放射温度計9aから頂面5a1の温度Th1の測定値を受け、下部放射温度計9cから底面5b2の温度Th3の測定値を受ける。フィードバック制御部120は、温度Th1,Th3の測定値の各々が目標値となるように、第1コイル15uおよび第2コイル15dの各々に供給する電力をフィードバック制御する。
連動制御部122は、第1コイル15uに供給する電力を第2コイル15dに供給する電力に連動させる、連動制御を実行可能に構成される。制御装置22は、炭化珪素単結晶を成長させる工程(S20:図7)において、第1コイル15uに供給する電力の制御を、フィードバック制御から連動制御に切り替える。
<炭化珪素単結晶の製造方法>
次に、実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法と基本的に同様である。すなわち、実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、準備工程(S10:図7)と、結晶成長工程(S20:図7)とを備える。結晶成長工程(S20)では、第1コイル15uおよび第2コイル15dに電力を供給して坩堝5を加熱することにより、炭化珪素原料12を昇華させて種結晶11の表面11b上に炭化珪素単結晶を成長させる。
実施の形態2に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、結晶成長工程(S20)における坩堝5の温度制御が、実施の形態1に係る炭化珪素単結晶の製造方法とは異なっている。結晶成長工程(S20)における坩堝5の温度制御は、以下に述べるように、第1コイル15uおよび第2コイル15dにそれぞれ供給する電力によって第1コイル15uおよび第2コイル15dのそれぞれの発生熱量を制御することによって実現される。
[高周波加熱コイルの供給電力制御]
結晶成長工程(S20)では、第1コイル15uおよび第2コイル15dに電力を供給して坩堝5を加熱することにより、炭化珪素原料12を昇華させて種結晶11の表面11b上に炭化珪素単結晶を成長させる。
結晶成長工程(S20)は、第1の工程(S21)と、第2の工程(S22)とを有する。実施の形態2では、第1の工程(S21)の一実施態様として、第1コイル15uおよび第2コイル15dのそれぞれに供給する電力を、上部放射温度計9aおよび下部放射温度計9cによってそれぞれ測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する。また、第2の工程(S22)の一実施態様として、第2コイル15dに供給する電力を、下部放射温度計9cによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1コイル15uに供給する電力を、第2コイル15dに供給する電力に連動するように制御する。
[第1の工程(S21)]
第1の工程(S21)では、温度Th1,Th3の測定値をそれぞれ目標値に一致させるために、第1コイル15uおよび第2コイル15dに供給する電力を増減させるフィードバック制御が実行される。このような完全フィードバック制御は、制御装置22のフィードバック制御部120(図14参照)によって実現される。
具体的には、フィードバック制御部120は、制御周期毎に、頂面5a1の温度Th1の測定値と目標値との偏差を制御演算することによって、第1コイル15uに供給する電力PWRuを演算する。そして、フィードバック制御部120は、演算された供給電力PWRuが第1コイル15uに与えられるように、電源15auを制御するための制御信号CSuを生成する。また、フィードバック制御部120は、底面5b2の温度Th3の測定値と目標値との偏差を制御演算することによって、第2コイル15dに供給する電力PWRdを演算する。そして、フィードバック制御部120は、演算された供給電力PWRdが第2コイル15dに与えられるように、電源15adを制御するための制御信号CSdを生成する。
ただし、温度Th1,Th3の各々が放射温度計9a,9cの測定可能範囲に達するまでは、温度測定値に基づくフィードバック制御ができないため、供給電力PWRu,PWRdの各々は予め定められた電力に制御される。
[第2の工程(S22)]
第2の工程(S22)では、第1コイル15uに供給する電力の制御を、フィードバック制御から連動制御に切り替える。第2の工程(S22)における第1コイル15uに供給する電力は、第1の工程(S21)における第1コイル15uに供給する電力と第2コイル15dに供給する電力との比と、第2の工程(S22)における第2コイル15dに供給する電力に基づいて算出される。なお、第2コイル15dに供給する電力は、結晶成長中、フィードバック制御が継続して実行される。したがって、以下では、第1コイル15uに供給する電力の制御に着目して説明する。
第1コイル15uの制御の切り替えは、実施の形態1に係る第1抵抗ヒータ1の制御の切り替えと基本的に同様である。すなわち、第1コイル15uの制御の切り替えは、図10に示される第1抵抗ヒータ1に供給する電力PWR1を、第1コイル15uに供給する電力PWRuに置き換え、かつ、第2抵抗ヒータ2に供給する電力PWR2を、第2コイル15dに供給する電力PWRdに置き換えることで説明することができる。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、坩堝5の昇温および坩堝5内部の減圧が実施されている間(時刻t0から時刻t3までの間)、フィードバック制御部120は、第1コイル15uに供給する電力PWRuのフィードバック制御を実行する。そして、時刻t3においてチャンバ6内の減圧が完了し、結晶成長工程(S20)が開始されると、フィードバック制御部120は、時刻t3から所定期間TP2が経過する時刻t8までの間、供給電力PWRuのフィードバック制御を実行する。
この期間TP2において、連動制御部122は、時刻t3よりも後の時刻t7から時刻t8までの期間TP1において、所定の周期毎に、フィードバック制御部120により設定された供給電力PWRuを示すデータおよび供給電力PWRdを示すデータを取得してメモリ領域に蓄積する。そして、期間TP1が経過した後、連動制御部122は、期間TP1で取得した複数のデータを統計処理することにより、供給電力PWRuと供給電力PWRdとの比Rud(=PWRu/PWRd)を算出する。
そして、期間TP1が経過した後の時刻t8から少なくとも炭化珪素単結晶の成長が終了する時刻t4までの期間において、第2コイル15dに供給する電力がフィードバック制御される。一方、第1コイル15uには、第2コイル15dに供給する電力に連動する電力が供給されるように、電源15auを制御するための制御信号CSuを生成する。具体的には、具体的には、連動制御部122は、所定の周期毎にフィードバック制御部120から供給電力PWRuを示すデータを取得すると、供給電力PWRuに比Rudを乗じることにより、供給電力PWRdを算出する(PWRd=PWRu×Rud)。これにより、第1コイル15uに供給する電力の制御は、フィードバック制御から連動制御に切り替えられる。連動制御は、時刻t8から少なくとも炭化珪素単結晶の成長が終了する時刻t4までの期間、実行される。
連動制御に切り替えられた後、第1コイル15uには、底面5b2の温度を温度A3に保持するためのフィードバック制御された供給電力PWRdに、比Rudを保ちながら連動する電力が供給される。供給電力PWRuは、頂面5a1を種結晶11が再結晶する温度A1に保持することが可能な電力である。したがって、時刻t8以降においても、温度測定値Th1は温度A1に保たれている。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、頂面5a1と、頂面5a1と反対側の底面5b2と、頂面5a1と底面5b2との間に位置する筒状の側面5b1とを有する坩堝5と、坩堝5の内部の底面5b2側に配置された原料12と、坩堝5の内部の頂面5a1側に、原料12と対面して配置された種結晶11と、頂面5a1を加熱するための第1加熱部(第1抵抗ヒータ1または第1コイル15u)と、底面5b2を加熱するための第2加熱部(第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3、または第2コイル15d)と、坩堝5を覆うように配置され、少なくとも頂面5a1と対向する位置および底面5b2と対向する位置の各々に開口部4a3,4b3,4c3が設けられた断熱材4,4Aと、開口部4a3を通して頂面5a1の温度を測定可能に構成された第1温度計9aと、開口部4c3を通して底面5b2の温度を測定可能に構成された第2温度計9b,9cとを準備する工程(S10:図7)と、第1加熱部および第2加熱部の各々に電力を供給して坩堝5を加熱することにより、原料12を昇華させて種結晶11上に炭化珪素単結晶を成長させる工程(S20:図7)とを備える。炭化珪素単結晶を成長させる工程(S20)は、第1加熱部および第2加熱部のそれぞれに供給する電力を、第1温度計9aおよび第2温度計9b,9cのそれぞれによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する第1の工程(S21:図7)と、第2加熱部に供給する電力を、第2温度計9b,9cによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1加熱部に供給する電力を、第2加熱部に供給する電力と連動するように制御する第2の工程(S22:図7)とを有する。第2の工程における第1加熱部に供給する電力は、第1の工程における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比と、第2の工程における第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される。これにより、第2の工程での部分フィードバック制御において第1加熱部に供給する電力は、第2加熱部に供給する電力に対して、第1の工程での完全フィードバック制御における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比を維持するように制御される。したがって、部分フィードバック制御が実行される期間においても、第1加熱部は、頂面の温度を目標値に保持するための熱量を発生できる。この結果、炭化珪素単結晶の成長中、頂面5a1に対向して配置された測温用の開口部4a3の閉塞が発生した場合であっても、坩堝5の温度制御が不安定になることを抑制できる。
また本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、第1加熱部は、頂面5a1に対面して設けられた第1抵抗ヒータ1を有し、第2加熱部は、側面5b1を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータ2と、底面5b2に対面して設けられた第3抵抗ヒータ3とを有する。断熱材4は、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3を覆うように配置され、頂面5a1と対向する位置、側面5b1と対向する位置および底面5b2と対向する位置の各々に開口部4a3,4b3,4c3が設けられる。第2温度計は、開口部4b3および4c3をそれぞれ通して底面5b2および側面5b1の温度を測定可能に構成される。第1の工程では、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力を、第1温度計9aおよび第2温度計9b,9cのそれぞれによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する。第2の工程では、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力を、第2温度計9b,9cによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータ1に供給する電力を、第2抵抗ヒータ2に供給する電力と連動するように制御する。第2の工程における第1抵抗ヒータ1に供給する電力は、第1の工程における第1抵抗ヒータ1に供給する電力と第2抵抗ヒータ2に供給する電力との比と、第2の工程における第2抵抗ヒータ2に供給する電力に基づいて算出される。
本実施態様によれば、部分フィードバック制御において、第1抵抗ヒータ1に供給する電力は、第2抵抗ヒータ2に供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1抵抗ヒータ1に供給する電力と第2抵抗ヒータ2に供給する電力との比R12を維持するように制御される。これにより、頂面5a1に対向して配置された測温用の開口部4a3が閉塞された場合であっても、第1抵抗ヒータ1は、頂面5a1の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
また本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、第1の工程では、第1抵抗ヒータ1、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力を、第1温度計9a、第2温度計9bおよび第3温度計9cのそれぞれによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する。第2の工程では、第2抵抗ヒータ2および第3抵抗ヒータ3のそれぞれに供給する電力を、第2温度計9b,9cによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1抵抗ヒータ1に供給する電力を、第3抵抗ヒータ3に供給する電力と連動するように制御する。第2の工程における第1抵抗ヒータ1に供給する電力は、第1の工程における第1抵抗ヒータ1に供給する電力と第3抵抗ヒータ3に供給する電力との比R13と、第2の工程における第3抵抗ヒータ3に供給する電力に基づいて算出される。
本実施態様によれば、部分フィードバック制御において、第1抵抗ヒータ1に供給する電力は、第3抵抗ヒータ3に供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1抵抗ヒータ1に供給する電力と第3抵抗ヒータ3に供給する電力との比R13を維持するように制御される。これにより、頂面5a1に対向して配置された測温用の開口部4a3が閉塞された場合であっても、第1抵抗ヒータ1は、頂面5a1の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
また本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、第1加熱部は、坩堝5の外周の頂面5a1側に巻回された第1コイル15uを有し、第2加熱部は、坩堝5の外周の底面5b2側に巻回された第2コイル15dを有する。第1の工程では、第1コイル15uおよび第2コイル15dのそれぞれに供給する電力を、第1温度計9aおよび第2温度計9cのそれぞれによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御する。第2の工程では、第2コイル15dに供給する電力を、第2温度計9cによって測定された坩堝5の温度からフィードバック制御し、第1コイル15uに供給する電力を、第2コイル15dに供給する電力と連動するように制御する。第2の工程における第1コイル15uに供給する電力は、第1の工程における第1コイル15uに供給する電力と第2コイル15dに供給する電力との比Rudと、第2の工程における第2コイル15dに供給する電力に基づいて算出される。これにより、部分フィードバック制御において第1コイル15uに供給する電力は、第2コイル15dに供給する電力に対して、完全フィードバック制御における第1コイル15uに供給する電力と第2コイル15dに供給する電力との比Rudを維持するように制御される。したがって、頂面5a1に対向して配置された測温用の開口部4a3が閉塞された場合であっても、第1コイル15uは、頂面5a1の温度を目標値に保持するための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝の温度制御が不安定になることを抑制できる。
さらに本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、炭化珪素単結晶を成長させる工程(S20)では、第1の工程(S21)の実施中に、坩堝5の内部の減圧が実施される。第2の工程(S22)における第1加熱部に供給する電力は、坩堝5の内部の減圧が完了した後の第1の工程における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比と、第2の工程における第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される。これにより、部分フィードバック制御における第1加熱部に供給する電力と第2加熱部に供給する電力との比は、種結晶の表面上に炭化結晶単結晶が成長している期間にフィードバック制御された電力から算出される。したがって、連動制御が実行される期間においても、第1加熱部は炭化珪素単結晶の成長のための熱量を発生できるため、炭化珪素単結晶の成長中の坩堝5の温度制御が不安定になることを抑制できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 第1抵抗ヒータ
1x 第1部分
2 第2抵抗ヒータ
2a 第1面
2b 第2面
2c 第3面
2d 第4面
4a3,4b3,4c3 開口部
6a,6b,6c ビューポート
2x 第2部分
3 第3抵抗ヒータ
3x 第3部分
4,4A 断熱材
4x 第4部分
5 坩堝
5a1 頂面
5a 台座
5a2 種結晶保持面
5b 収容部
5b1 側面
5b2 底面
6 チャンバ
7,8,14 端子
7a 第2電源
8a 第3電源
9a 上部放射温度計
9b 側部放射温度計
9c 下部放射温度計
10x ヒータユニット
11 種結晶
11a 裏面
11b,12a 表面
12 炭化珪素原料(原料)
14a 第1電源
15u 第1コイル
15d 第2コイル
15au,15ad 電源
20,22 制御装置
30 炭化珪素単結晶
100,110 製造装置
120 フィードバック制御部
122 連動制御部

Claims (7)

  1. 頂面と、前記頂面と反対側の底面と、前記頂面と前記底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、
    前記坩堝の内部の前記底面側に配置された原料と、
    前記坩堝の内部の前記頂面側に、前記原料と対面して配置された種結晶と、
    前記頂面を加熱するための第1加熱部と、
    前記底面を加熱するための第2加熱部と、
    前記坩堝を覆うように配置され、少なくとも前記頂面と対向する位置および前記底面と対向する位置の各々に開口部が設けられた断熱材と、
    前記開口部を通して前記頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、
    前記開口部を通して前記底面の温度を測定可能に構成された第2温度計とを準備する工程と、
    前記第1加熱部および前記第2加熱部の各々に電力を供給して前記坩堝を加熱することにより、前記原料を昇華させて前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備え、
    前記炭化珪素単結晶を成長させる工程は、
    前記第1加熱部および前記第2加熱部のそれぞれに供給する電力を、前記第1温度計および前記第2温度計のそれぞれによって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、
    前記第2加熱部に供給する電力を、前記第2温度計によって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、前記第1加熱部に供給する電力を、前記第2加熱部に供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有し、
    前記第2の工程における前記第1加熱部に供給する電力は、前記第1の工程における前記第1加熱部に供給する電力と前記第2加熱部に供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される、炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記第1加熱部は、前記頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータを有し、
    前記第2加熱部は、前記側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、前記底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータとを有し、
    前記断熱材は、前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータを覆うように配置され、前記頂面と対向する位置、前記側面と対向する位置および前記底面と対向する位置の各々に前記開口部が設けられ、
    前記第2温度計は、前記開口部を通して前記底面および前記側面の温度を測定可能に構成され、
    前記第1の工程では、前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第1温度計および前記第2温度計のそれぞれによって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、
    前記第2の工程では、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第2温度計によって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、前記第1抵抗ヒータに供給する電力を、前記第2抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御し、
    前記第2の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力は、前記第1の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力と前記第2抵抗ヒータに供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第2抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記第1加熱部は、前記頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータを有し、
    前記第2加熱部は、前記側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、前記底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータとを含み、
    前記断熱材は、前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータを覆うように配置され、前記頂面と対向する位置、前記側面と対向する位置および前記底面と対向する位置の各々に前記開口部が設けられ、
    前記第2温度計は、前記開口部を通して前記底面および前記側面の温度を測定可能に構成され、
    前記第1の工程では、前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第1温度計および前記第2温度計のそれぞれによって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、
    前記第2の工程では、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第2温度計によって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、前記第1抵抗ヒータに供給する電力を、前記第3抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御し、
    前記第2の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力は、前記第1の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力と前記第3抵抗ヒータに供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第3抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記第1加熱部は、前記坩堝の外周の前記頂面側に巻回された第1コイルを有し、
    前記第2加熱部は、前記坩堝の外周の前記底面側に巻回された第2コイルを有し、
    前記第1の工程では、前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれに供給する電力を、前記第1温度計および前記第2温度計のそれぞれによって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、
    前記第2の工程では、前記第2コイルに供給する電力を、前記第2温度計によって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、前記第1コイルに供給する電力を、前記第2コイルに供給する電力と連動するように制御し、
    前記第2の工程における前記第1コイルに供給する電力は、前記第1の工程における前記第1コイルに供給する電力と前記第2コイルに供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第2コイルに供給する電力に基づいて算出される、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記炭化珪素単結晶を成長させる工程では、前記第1の工程の実施中に、前記坩堝の内部の減圧が実施され、
    前記第2の工程における前記第1加熱部に供給する電力は、前記坩堝の内部の減圧が完了した後の前記第1の工程における前記第1加熱部に供給する電力と前記第2加熱部に供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第2加熱部に供給する電力に基づいて算出される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 頂面と、前記頂面と反対側の底面と、前記頂面と前記底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、
    前記坩堝の内部の前記底面側に配置された原料と、
    前記坩堝の内部の前記頂面側に、前記原料と対面して配置された種結晶と、
    前記頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータと、
    前記側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、
    前記底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータと、
    前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータを覆うように配置され、前記頂面と対向する位置に第1の開口部が設けられ、前記側面と対向する位置に第2の開口部が設けられ、前記底面と対向する位置に第3の開口部が設けられた断熱材と、
    前記第1の開口部を通して前記頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、
    前記第2の開口部を通して前記側面の温度を測定可能に構成された第2温度計と、
    前記第3の開口部を通して前記底面の温度を測定可能に構成された第3温度計とを準備する工程と、
    前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータの各々に電力を供給して前記坩堝を加熱することにより、前記原料を昇華させて前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備え、
    前記炭化珪素単結晶を成長させる工程は、
    前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第1温度計、前記第2温度計および前記第3温度計のそれぞれによって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、
    前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第2温度計および前記第3温度計によってそれぞれ測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、前記第1抵抗ヒータに供給する電力を、前記第2抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有し、
    前記第2の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力は、前記第1の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力と前記第2抵抗ヒータに供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第2抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される、炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 頂面と、前記頂面と反対側の底面と、前記頂面と前記底面との間に位置する筒状の側面とを有する坩堝と、
    前記坩堝の内部の前記底面側に配置された原料と、
    前記坩堝の内部の前記頂面側に、前記原料と対面して配置された種結晶と、
    前記頂面に対面して設けられた第1抵抗ヒータと、
    前記側面を取り囲むように設けられた第2抵抗ヒータと、
    前記底面に対面して設けられた第3抵抗ヒータと、
    前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータを覆うように配置され、前記頂面と対向する位置に第1の開口部が設けられ、前記側面と対向する位置に第2の開口部が設けられ、前記底面と対向する位置に第3の開口部が設けられた断熱材と、
    前記第1の開口部を通して前記頂面の温度を測定可能に構成された第1温度計と、
    前記第2の開口部を通して前記側面の温度を測定可能に構成された第2温度計と、
    前記第3の開口部を通して前記底面の温度を測定可能に構成された第3温度計とを準備する工程と、
    前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータの各々に電力を供給して前記坩堝を加熱することにより、前記原料を昇華させて前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備え、
    前記炭化珪素単結晶を成長させる工程は、
    前記第1抵抗ヒータ、前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第1温度計、前記第2温度計および前記第3温度計のそれぞれによって測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御する第1の工程と、
    前記第2抵抗ヒータおよび前記第3抵抗ヒータのそれぞれに供給する電力を、前記第2温度計および前記第3温度計によってそれぞれ測定された前記坩堝の温度からフィードバック制御し、前記第1抵抗ヒータに供給する電力を、前記第3抵抗ヒータに供給する電力と連動するように制御する第2の工程とを有し、
    前記第2の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力は、前記第1の工程における前記第1抵抗ヒータに供給する電力と前記第3抵抗ヒータに供給する電力との比と、前記第2の工程における前記第3抵抗ヒータに供給する電力に基づいて算出される、炭化珪素単結晶の製造方法。
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