JP4495340B2 - ウェーハ温度ランピング中でのウェーハの放射状温度勾配制御方法および装置 - Google Patents

ウェーハ温度ランピング中でのウェーハの放射状温度勾配制御方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の分野は一般に半導体製造に関し、より具体的にはウェーハ温度ランピング中の、ウェーハの放射状温度分布を制御する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスを製造する際、しばしばウェーハ表面上に薄膜が形成される。図1に、この堆積プロセスあるいは成長プロセス中に、ウェーハを加熱するのに使用する典型的な処理装置が示されている。使用される処理装置は、しばしば通常赤外線ランプによって供給される赤外線により、ウェーハ3とサセプタ5の両側から加熱するよう構成される。熱源の電力、通常赤外線ランプである1および7は、図1に説明されているように、サセプタのウェーハ側(通常表側)への熱が、サセプタの反対側(通常底側)への熱から分離して制御されるよう、調整されている。
【0003】
図1に示すように、典型的な処理装置では出力は表側と底側から等しく加えられ、ウェーハ3とサセプタ5をそれぞれ加熱する。ウェーハ3はサセプタ5よりも薄く、また熱質量が少ないので、ウェーハ3はサセプタ5よりもずっと速く温度上昇する。このため、ウェーハ3とサセプタ5の加熱は不均一なものになる。場合によっては、加熱中にウェーハ3は、サセプタの温度を200℃以上越えることがあり、それによってウェーハ3が損傷する可能性がある。
【0004】
この問題を克服する1つの解決策は、表側および底側の熱源への電力を別々に制御することである。図1に示すように、1つ目の高温計9がウェーハ3の温度を検出するために使用され、2つ目の高温計11がサセプタ5の温度を検出するために使用される。高温計は、赤外線に対する感度の高いデバイスである。高温計は基板から放出される光を収集し、放出された光に基づいて基板の温度を決定する。表側および底側の熱源の電力は、それぞれ制御装置15、13によって別々に制御される。サセプタ5の温度は、当業者には良く知られる従来のPID(比例微積分)アルゴリズム温度ランピングを用いて、第2の熱源7への電力を制御することによって処理温度までランピングされる。高温計11はサセプタ5の温度をモニターし、その温度を用いて第2の熱源7によって加えられる、サセプタ5の裏面への放射エネルギー束量を制御する。
【0005】
ウェーハの温度をモニターする第2の高温計9は、サセプタ5のウェーハ側への放射エネルギー束量を制御するのに使用される。マイクロプロセッサやメモリなど処理制御システム17は、温度ランピング中に、ウェーハ温度をサセプタ温度と比較してウエーハ3をサセプタ5とほぼ等しい温度に保つよう、ウェーハの熱源1の電力を調節する。ウェーハ3の温度は、ランピング中、サセプタの温度よりもわずかに上回っているか、わずかに下回っているように設定される。
【0006】
表側の熱源と底側の熱源とを別々に制御することにより、ウェーハとサセプタ間の温度差はより正確に制御され得る。
【0007】
時の経過にともない、処理されるウェーハの直径は絶えず増加する。加えて、ウェーハ上に形成される電子回路はさらに小型化する傾向にある。特に重要であるのは、均一なウェーハ温度である。これにより、たとえば処理中のウェーハの直径にわたる堆積の厚さなどの均一な結果が保証される。従来技術によるウェーハおよびサセプタの温度制御方法は、ウェーハとサセプタ間の温度差をより正確に制御可能にするが、ウェーハ及びサセプタの中央部分と外側部分間の放射状温度勾配を制御する手段は備わっていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ウェーハおよび/またはサセプタの温度をランピングするときに、ウェーハおよび/またはサセプタの放射状温度勾配を制御できる方法と装置が必要とされる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
ウェーハおよびサセプタの温度ランピング中に、ウェーハとサセプタの放射状温度勾配を制御する方法および装置を開示する。
【0010】
1つの実施形態によれば、第1の熱源が主にウェーハの中央部分に向けられ、第2の熱源が主にウェーハの外側部分に向けられ、第3の熱源が主にサセプタの中央部分に向けられ、第4の熱源が主にサセプタの外側部分に向けられる。ウェーハおよびサセプタの温度ランピングは、第1、第2、第3および第4の熱源に電力を加えることによって行われる。ランピング中、第1と第2の熱源の電力比はウェーハ温度の関数として変化し、第3と第4の熱源の電力比はサセプタ温度の関数として変化する。
【0011】
本発明は例として説明されたものであり、添付の図面に限定されたものではなく、図面では同様の引例が類似の要素を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
ウェーハおよびサセプタの温度ランピング中に、ウェーハおよびサセプタの放射状温度勾配を制御する方法および装置が開示される。以下の説明では、発明を完全に理解できるように、ウェーハやサセプタ温度をランピングするのにPID(比例微積分)を使用したり、サセプタ温度を検出するのに高温計を使用したりといった、数々の具体的な詳細が与えられる。しかしながら、通常の当業者には、本発明がこれら具体的な詳細なしにも実行可能であることは明らかであろう。その他の例では、本発明を不必要に分かり難くすることを避けるために、良く知られた構造や処理ステップを具体的な詳細に示していない。
【0013】
図2を参照すると、ウェーハ106およびサセプタ102の温度ランピング用装置が示されている。サセプタ102は上面103と下面104を有している。上面103は、ランピング処理中にウェーハ106を保持するよう配置される。1実施形態によれば、図2に説明されるように、サセプタ102の上側に位置する第1の加熱アセンブリ110と、サセプタの下側に位置する第2の加熱アセンブリ120が備えられる。加熱アセンブリ110は、第1の熱源112と第2の熱源116を含む。第1の熱源112は、主にウェーハ106の中央部分に向けられる1つ以上の赤外線ランプ113を含む。第2の熱源116は、主にウェーハ106の外側部分に向けられる1つ以上の赤外線ランプ117を含む。ウェーハの外側部分は、一般に、ウェーハの端側にあるウェーハ部として定義される。加熱アセンブリ120は第3の熱源122と第4の熱源126を含む。第3の熱源122は、主にサセプタ102の下面104の中央部分に向けられる1つ以上の赤外線ランプ123を含む。第4の熱源126は、主にサセプタ102の下面104の外側部分に向けられる1つ以上の赤外線ランプ127を含む。サセプタの外側部分は、一般に、サセプタの端側にあるサセプタ部として定義される。第1、第2、第3および第4の各熱源は、それぞれ制御装置114、118、124および128によって制御される。制御装置114、118、124および128は、コンピュータ115または他のタイプの制御システムによって、代わるがわる制御される。
【0014】
ウェーハ106とサセプタ102の温度を決定するために、第1の温度測定装置119と第2の温度測定装置129がそれぞれ使用される。ウェーハとサセプタの温度がランピングされている間に、コンピュータ115は、高温計119と129を利用してサンプルを採ることにより、ウェーハ106とサセプタ102の温度をモニターする。熱源への電力は、通常コンピュータ115上のPID(比例微積分)アルゴリズムによって制御される。その他の制御方法もまた使用できることは理解されることである。
【0015】
上で議論したように、均一な処理結果を得るためには、処理中のウェーハ106の表面にわたって放射状温度勾配を最小にすることが重要である。本発明に従えば、ウェーハのランピング中の放射状温度勾配は、サセプタの片側もしくは両側に2つ以上の熱源を用いて、各熱源を主にウェーハおよび/またはサセプタ表面に沿って、異なる半径方向位置に向けることによって最小限にされる。図2の実施形態において、第1の熱源112のヒーター113は、主にウェーハ106の中央部分に向けれられ、一方第2の熱源116のヒーター117は、主にウェーハの外側部分に向けられる。ウェーハを初期温度から最終温度までランピングする間、第1電力P1が第1の熱源112に与えられ、第2電力P2が第2の熱源116に与えられ、第3電力P3が第3の熱源122に与えられ、第4電力P4が第4の熱源126に与えられる。第1の加熱アセンブリ110に与えられる全電力Ptotal1は、P1+P2である。第2の加熱アセンブリ120に与えられる全電力Ptotal2は、P3+P4である。本発明によれば、電力P1とP2の比と電力P3とP4の比は、ウェーハおよびサセプタのランピング中、コンピュータ115内の1つ以上のルックアップ・テーブルに格納された、所定の電力比セットにしたがって変化する。電力P1とP2の比は、高温計119によって測定されたウェーハ温度の関数として供される。電力P3とP4の比は、高温計129によって測定されたサセプタ温度の関数として供される。あるいは、電力P1とP2の比、および電力P3とP4の比は、サセプタ温度のみの関数か又はウェーハ温度のみの関数として供される。
【0016】
図2において、第1の熱源112のヒーター113が、ウェーハの中央部分により近い半径方向位置に置かれて示され、一方第2の熱源116のヒーター117が、ウェーハの外側部分により近い半径方向位置に置かれて示されている。第1および第2の熱源ランプの位置は、この配置に限定されるものではないことに注意することが重要である。たとえば、ヒーター113よび117は単独のヒーター配列中に設置されてもよい。そのような実施形態では、ヒーターからウェーハ表面に沿って、異なる半径方向位置に熱を向けるために反射体が使用される。
【0017】
ウェーハ106およびサセプタ102の温度をランピングする1つの方法は、電力P1とP2の比および電力P3とP4の比が、初期状態のセットから最終状態のセットまで推移する間に1回以上変化する、複数のステップランピング手順を使用することである。たとえば、650℃の初期温度から1150℃の最終温度まで推移するときに、第1、第2、第3および第4の熱源のそれぞれに与えられる電力が、表1に記載される電力比率にしたがって変化する:
【表1】
Figure 0004495340
初期のウェーハ温度650℃では、加熱アセンブリ110に与えられる全電力Ptotal1の52%と48%が、それぞれ第1の熱源112と第2の熱源116に分配される。同様に、初期のサセプタ温度650℃では、加熱アセンブリ120に与えられる全電力Ptotal2の12.5%と87.5%が、それぞれ第3の熱源122と第4の熱源126に分配される。ウェーハおよびサセプタの温度を最終温度1150℃までランピングする間、電力比は全部で4回変化する。ウェーハ106とサセプタ102の温度が1150℃近くになると、制御システムが電力P1、P2、P3およびP4を、その最終電力比設定点である62%、38%、15%および85%にそれぞれ調節する。
【0018】
一般に電力比は、ウェーハ106とサセプタ102が、原則として同時に平衡温度に達するよう設定されるのが望ましい。システムに与えられる全電力PTOTALは、加熱アセンブリ110と120に与えられる電力の和、すなわちPTOTAL=Ptotal1+Ptotal2である。ウェーハとサセプタがほぼ同時に平衡温度に達する1つの方法は、やはり温度ランピング中に、第1および第2の加熱アセンブリ110と120に対する電力比を変化させることである。
【0019】
表1に記載された電力比は、ただ説明を目的としたものであることに注意すべきである。電力比は変数の数によって変化する。これには、限定するものではないが次のものを含む。すなわち、1)熱源配置、2)サセプタ構造および熱質量、3)ウェーハ・サイズおよび熱質量、4)サーマル・リアクタの全体設計、と、5)処理ガス流や処理ガス温度などの処理変数である。
【0020】
ウェーハ106とサセプタ102の、温度ランピングの別の方法は、内部ランプと外部ランプ間の電力比を継続的に調節するソフトウェアを採用することである。たとえば、表1の複数のステップランピング手順を使用する代わりに、各熱源に与えられる電力を、650℃における初期電力比から1150℃における最終電力比まで、線形的に変化させてもよい。例として、ウェーハおよび/またはサセプタの温度が900℃のとき、電力P1とP2の比は58%/42%、一方で電力P3とP4の比は13.75%/86.25%である。この場合も、ウェーハ106とサセプタ102の温度が1150℃付近になると、制御システムが電力P1、P2、P3およびP4を、それぞれの最終電力比設定点である62%、38%、15%および85%に調節する。
【0021】
一般に、コンピュータ115の中のルックアップ・テーブルは一連の較正ステップを使用して生成されている。較正ステップは通常、熱源に電力をかけて、試験ウェーハおよび/またはサセプタの温度を様々な半径方向位置で同時に測定することを伴う。通常、試験ウェーハおよび/またはサセプタに取り付けられたり、あるいはそれらの内部に組み込まれた熱電対が、較正ステップ中の正確な温度を表示する。較正中に得られた値は、1つ以上の数学方程式を用いて、各熱源の電力/温度較正曲線を決めるために使用される。プログラム格納デバイス内のソフトウェアが、これら数学方程式を使用してルックアップ・テーブルを生成し、これらルックアップ・テーブルがコンピュータ115内に格納される。
【0022】
ウェーハ106やサセプタ102の温度ランピング中、電力比は非線形的な方法によって変化させてもよい。ある場合では、非線形的方法による電力比の変化が、放射状熱勾配を最小化したり、および/またはランピング時間を削減する方法として望ましいことがある。
【0023】
図2に示されたコンピュータ115は、制御システムの1つの形態であるが、プロセッサ、メモリおよび入出力デバイスを有するものとして定義されている。メモリ中に格納されたコンピュータ・プログラムは、第1、第2、第3および第4の熱源に与えられる電力を決定、制御する。コンピュータ115は、サセプタとウェーハの温度をモニターすることによって処理機能を実行し、そのようにしてウェーハ106およびサセプタ102の温度を決定、制御するように示されているが、その他の可能性も存在する。たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)デバイスやプログラム可能論理デバイス(PLD)、ハードワイヤ論理回路を使用することも出来るだろう。
【0024】
本発明は、特定の熱源配置に限定されるものでもなければ、ウェーハとサセプタの表面に沿って放射状に熱を分配するために2つの熱源のみを使用することに限定されるものでもない、という点に注目することは重要である。放射状温度勾配のより正確な制御を実現するために、ウェーハやサセプタの異なる半径方向位置に向けられた3個以上の熱源の使用も考えられる。さらに本発明は、サセプタ上方に配置された単一の温度測定装置と、サセプタ102の下方に配置された単一の温度測定装置に限定されるものではないことに注意することが重要である。ある場合では、ウェーハおよび/またはサセプタの温度を、異なる半径方向位置で測定するのに複数の温度測定装置が使用されてもよい。さらに、本発明は赤外線ランプの使用のみに限定されるものでないことが理解されるであろう。その他の熱源もまた、使用することができる。
【0025】
図7は、図2の装置を使用してサセプタ102とウェーハ106の温度をランピングする1つの方法を説明するフローチャートである。図7のブロック201〜204に示される第1のステップは、1)第1の電力を、ウェーハ106の中央部温度に影響する第1の熱源112に加え、2)第2の電力を、ウェーハ106の外部温度に影響する第2の熱源116に加え、3)第3の電力を、サセプタ102の中央部温度に影響する第3の熱源122に加え、4)第4の電力を、サセプタ102の外部温度に影響する第4の熱源126に加えるものである。ウェーハとサセプタの温度のランピング中、第1と第2電力の比と、第3と第4電力の比は、ブロック205とブロック206に説明されるように、変化させられる。ウェーハとサセプタの温度ランピングが、ランピング中ウェーハとサセプタの温度が上昇する加熱ステップを含むことができるか、または逆に、ウェーハとサセプタの温度ランピングが、ランピング中ウェーハとサセプタの温度が低下する冷却ステップを含むことができるということは注意されるべきである。
【0026】
図8は別のランピング方法を説明するフローチャートである。ブロック301とブロック302に示される第1のステップは、1)第1の熱源112と第2の熱源116の複数の電力比を、ウェーハ106の温度関数として供し、2)第3の熱源122と第4の熱源126の複数の電力比を、サセプタ102の温度関数として供するものである。上述のように、これらの値は通常、コンピュータ115中に格納されたルックアップ・テーブル内に供給される。そしてブロック303とブロック304に説明されるように、第1加熱アセンブリ110と第2加熱アセンブリ120に電力が加えられる。先に記述したように、第1の加熱アセンブリ110は熱源112と116を含み、また第2の加熱アセンブリ120は熱源122と126を含む。ウェーハとサセプタの温度がランピングされると、ブロック305とブロック306に示すように、ウェーハおよびサセプタ温度が測定される。上で言及したように、1つの実施形態では、温度測定装置はウェーハ106の温度を測定する第1の高温計119と、サセプタ102の温度を測定する第2の高温計129を含んでいる。しかしながら本発明は、特定のいかなる形態の温度測定装置にも限定されるものではないことは理解されるべきである。ウェーハ温度ランピング中、第1の熱源112と第2の熱源116の電力比は、ブロック305で得られた現在のウェーハ温度とブロック301で与えられる複数の第1の電力比とを、併せ用いて変化させられる。同様に、サセプタ温度のランピング中、第3の熱源122と第4の熱源126の電力比は、ブロック306で得られた現在のサセプタ温度とブロック302で与えられる複数の第2の電力比とを、併せ用いて変化させられる。
【0027】
図9のフローチャートに説明される別の実施形態では、第1の加熱アセンブリの電力Ptotal1と、第2の加熱アセンブリの電力Ptotal2との比も、やはりウェーハおよびサセプタ温度のランピング中に変化させられる。すなわち、第1の加熱アセンブリ110に加えられる電力と第2の加熱アセンブリ120に加えられる電力の割合が、両加熱アセンブリに加えられる全電力PTOTAL中で異なった割合をとるのである。
【0028】
先述の実施形態では、第1の加熱アセンブリ110が、サセプタ102の上面103上に置かれたウェーハ106を主に加熱するために備えられる。第2の加熱アセンブリ120も、サセプタ102の下面104を主に加熱するために備えられる。しかしながら、ある場合においては、サセプタ102とウェーハ106のランピングを達成するために、必ずしも2つの別々の加熱アセンブリを備える必要はない。図3に示すように、サセプタとウェーハの温度ランピングは下部の加熱アセンブリ120のみを使用することで達成される。サセプタ102は通常、石英などの熱伝導性物質で作られているため、サセプタの下面104上にかけられる熱は上面103およびウェーハ106へ伝わる。したがって、1つの実施形態によれば、サセプタおよびウェーハ温度のランピングは、第1の電力を熱源122へ、第2の電力を熱源126へ加え、ランピング手順中に第1と第2の電力の比を変化させることによって達成される。図10のブロック401〜403は、図3の装置を使用してサセプタ温度をランピングするステップを説明したものである。図3の装置では、高温計129によって測定された現在のサセプタ温度を使用して、電力比が変化させられる。電力比はまた、ウェーハ106の温度測定値、またはウェーハとサセプタ温度の組み合わせを使用しても変化させられる。さらに、電力比は、サセプタおよび/またはウェーハの現在の温度測定値にしたがって、あるいは代わりに、サセプタおよび/またはウェーハの温度予想値にしたがっても変化させられる。
【0029】
次に図4を参照すると、ウェーハ106とサセプタ102の温度が上部の加熱アセンブリ110のみを用いてランピングされる装置が示されている。ウェーハのランピングは、第1の電力を熱源112に、第2の電力を熱源116に加え、第1と第2電力の比をランピング手順中に変化させることによって達成される。図11のブロック501〜503は、図4の装置を使用してウェーハ温度をランピングするステップを説明するものである。図4の装置では、高温計119によって測定された現在のウェーハ温度を使用して、電力比を変化させる。しかしながら、電力比はサセプタ温度に応じても変化され得ることが理解されるであろう。
【0030】
図5を参照して、サセプタ102とウェーハ106の温度をランピングする別の装置が示される。先述のように、サセプタ102は上面103と下面104を有している。上面103はランピングプロセス中ウェーハ106を保持するよう配置される。図5に示される実施形態によれば、サセプタ102上方に位置する第1の加熱アセンブリ140と、サセプタ下方に位置する第2の加熱アセンブリ150が備えられる。加熱アセンブリ140は、1つ以上の赤外線ランプ142の形態をとり、それらランプが一般にサセプタの上面103に向けられた、第1の熱源を含んでいる。それに対し加熱アセンブリ150は、少なくとも第2の熱源152と第3の熱源156を含んでいる。第2の熱源152は、サセプタ102の下面104の主に中央部分に向けられた、1つ以上の赤外線ランプ153を含む。第3の熱源156は、サセプタ102の下面104の主に外側部分に向けられた、1つ以上の赤外線ランプ157を含む。第1、第2および第3の各熱源はそれぞれ、制御装置144、154および158によって制御される。制御装置144、154および158は、コンピュータ139によって、代わるがわる制御される。
【0031】
第1および第2の温度測定装置146と159は、ウェーハ106とサセプタ102の温度特定に使用される。ウェーハとサセプタの温度ランピング中、コンピュータ139は高温計146および159を用いてサンプルを採ることにより、ウェーハ106およびサセプタ102の温度をモニターする。熱源に対する電力は、通常コンピュータ139上のPID(比例微積分)アルゴリズムによって制御される。ウェーハおよびサセプタの温度ランピングは、第1電力をランプ142に、第2電力をランプ152に、そして第3電力をランプ157に加え、第2と第3電力の比をランピング手順中に変化させることによって達成される。図12のブロック601〜604には、図5の装置を使用してウェーハおよびサセプタ温度をランピングするステップが示される。
【0032】
図6を参照して、サセプタ102とウェーハ106の温度をランピングする別の装置が示される。図6の実施形態によれば、少なくとも第1の熱源162と第2の熱源166を含む、第1の加熱アセンブリ160がある。第1の熱源162は、サセプタ102の上面103の主に中央部分に向けられる、1つ以上の赤外線ランプ163を含む。説明される実施形態においては、ウェーハの中央部分はサセプタの中央部分と一致することに注意されたい。第2の熱源166は、サセプタ102の上面104の主に外側部分に向けられる、1つ以上の赤外線ランプ167を含む。第2の加熱アセンブリ170は、サセプタ102の下方に配置される。加熱アセンブリ170は、1つ以上の赤外線ランプ172の形態をとり、これら赤外線ランプが一般にサセプタの下面104に対して向けられている、第3の熱源を含む。第1、第2および第3の各熱源は、それぞれ制御装置164、168および174によって制御される。制御装置164、168および174は、代わるがわるコンピュータ179によって制御される。
【0033】
第1、第2の温度測定装置169および176は、ウェーハ106とサセプタ102の温度決定に使用される。ウェーハとサセプタの温度ランピング中、コンピュータ179が高温計169および176を使用してサンプルを採ることにより、ウェーハ106とサセプタ102の温度をモニターする。ウェーハおよびサセプタ温度のランピングは、第1電力をランプ163に、第2電力をランプ167に、第3電力をランプ172に加え、第1と第2電力の比をランピング手順中に変化させることによって達成される。図13のブロック601〜604は、図6の装置を使用してウェーハとサセプタの温度をランピングするステップを説明したものである。
【0034】
上述の説明で、数々の特定な詳細は説明のために与えられたものであり、本発明を制限するものではない。当業者には、これら特定の詳細なしに本発明が実施可能であることが明らかであろう。さらに、ある場合においては、本発明を不必要に分かり難くしないため、よく知られる半導体装置やプロセスは詳細中に述べられていない。したがって、本発明の方法および装置は、添付の請求により規定される。
【0035】
ウェーハおよび/またはサセプタに沿って異なる半径方向位置に向けられる、2つ以上の独立制御された熱源を使用することにより、ウェーハとサセプタの温度をランピングする方法および装置が記述された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 温度ランピング中、ウェーハとサセプタを加熱するのに使用される従来技術の処理装置の例である。
【図2】 本発明の1実施形態における、ウェーハおよびサセプタを加熱するのに使用する処理装置の説明図である。
【図3】 本発明の1実施形態における、サセプタを加熱するのに使用する処理装置の説明図である。
【図4】 本発明の1実施形態における、ウェーハを加熱するのに使用する処理装置の説明図である。
【図5】 本発明の別の実施形態における、ウェーハおよびサセプタを加熱するのに使用する処理装置の説明図である。
【図6】 本発明のさらに別の実施形態における、ウェーハおよびサセプタを加熱するのに使用する処理装置の説明図である。
【図7】 本発明の1実施形態における、ウェーハおよびサセプタの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【図8】 本発明の別の実施形態における、ウェーハおよびサセプタの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【図9】 本発明のさらに別の実施形態における、ウェーハおよびサセプタの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【図10】 本発明の1実施形態における、サセプタの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【図11】 本発明の1実施形態における、ウェーハの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【図12】 本発明の別の実施形態における、ウェーハおよびサセプタの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【図13】 本発明のさらに別の実施形態における、ウェーハおよびサセプタの温度ランピング方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…第1の熱源、3…ウェーハ、5…サセプタ、7…第2の熱源、9…高温計、11…高温計、13…電力制御装置、15…電力制御装置、17…処理制御システム、102…サセプタ、103…上面、104…下面、106…ウェーハ、110…第1加熱アセンブリ、112…第1の熱源、113…赤外線ランプ、114…制御装置、115…コンピュータ、116…第2の熱源、117…赤外線ランプ、118…制御装置、119…温度測定装置、120…第2加熱アセンブリ、122…第3の熱源、123…赤外線ランプ、124…制御装置、126…第4の熱源、127…赤外線ランプ、128…制御装置、129…温度測定装置、139…コンピュータ、140…第1加熱アセンブリ、142…赤外線ランプ、144…制御装置、146…温度測定装置、150…第2加熱アセンブリ、152…第2の熱源、153…赤外線ランプ、154…制御装置、156…第3の熱源、157…赤外線ランプ、158…制御装置、159…温度測定装置、160…第1加熱アセンブリ、162…第1の熱源、163…赤外線ランプ、164…制御装置、166…第2の熱源、167…赤外線ランプ、168…制御装置、169…温度測定装置、170…第2加熱アセンブリ、172…赤外線ランプ、174…制御装置、176…温度測定装置、179…コンピュータ

Claims (9)

  1. サセプタの中央部分の温度に最も直接的に影響する第1の熱源と、サセプタの外側部分の温度に最も直接的に影響する第2の熱源を使用して、サセプタの温度をランピングする方法であって、前記方法は
    a)第1電力を第1の熱源に、第2電力を第2の熱源に加えるステップと
    b)第1電力と第2電力の比を、サセプタの温度ランピング中に変化させて、前記サセプタの温度ランピング中に前記サセプタの中央部分および外側部分の放射状温度勾配を最小にするステップと、
    を含む、サセプタ温度ランピング方法。
  2. ステップb)のサセプタのランピングが、PID(比例微積分)ランピングによって決定される、請求項1に記載の方法。
  3. 第1電力と第2電力の比が、サセプタ温度と複数の電力比を併用して制御され、前記複数の電力比はコンピュータ内に格納されている、請求項1に記載の方法。
  4. ランピング中、現在のサセプタ温度を特定し、前記現在のサセプタ温度を電力比の表と併用して、第1電力と第2電力の比を変化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. サセプタを初期のサセプタ温度から最終サセプタ温度までランピングし、第1電力と第2電力の比を、初期のサセプタ温度における初期の電力比から最終サセプタ温度における最終電力比まで線形的に変化させる、請求項1に記載の方法。
  6. 上面と下面を有し、前記上面はウェーハを保持するように配置されるサセプタと
    前記下面の中央部分の温度に影響するように主に向けられる第1の熱源と
    前記下面の外側部分の温度に影響するように主に向けられる第2の熱源と
    前記第1と第2の熱源の電力比を変化させて、前記サセプタの温度ランピング中に前記サセプタの中央部分および外側部分の放射状温度勾配を最小にする手段と、
    を含む装置。
  7. サセプタの上面に向けられた第3の熱源をさらに含む、請求項に記載の装置。
  8. サセプタの下面の温度を検出する温度センサーをさらに含み、前記温度センサーは出力を有する、請求項に記載の装置。
  9. 前記第1と第2の熱源の電力比を変化させる手段が、前記温度センサーの出力を入力として持つ制御装置を含む、請求項に記載の装置。
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