JP6320160B2 - コロナ放電器及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置において用いられるコロナ放電器、及びその画像形成装置に関するものである。
従来、例えば電子写真方式を用いた画像形成装置では、電子写真感光体(感光体)の表面を帯電器で帯電させ、その後帯電した感光体の表面を画像情報に応じて露光することで、感光体の表面に静電潜像を形成する。感光体の表面を帯電させる帯電器としては、コロナ放電器(コロナ放電発生器)が広く用いられている。
一般に、コロナ放電器の放電電極は、金属などの導電体からなり、感光体から所定の間隔を隔てて配置される。そして、放電電極に高電圧を印加することにより、放電電極からの放電を利用して、被帯電体としての感光体を帯電させる。とりわけ、感光体の帯電電位を安定させるために、放電電極と感光体との間にグリッド部材(グリッド電極)を備えるスコロトロンと呼ばれるコロナ放電器が広く用いられている。
放電電極の形状としては、多数の針状電極(針状電極列)を有する針形状、細いワイヤ自体を電極として用いるワイヤ形状、あるいはストリップ形状などがある。放電電極は、繰り返し放電するため、放電部に異物が付着し、放電が阻害される場合がある。
特許文献1では、針状電極列の針状電極の先端部にシリカなどの異物が付着し、コロナ放電を阻害する課題に対して、針状電極の表面に、ダイヤモンドを含む炭素の膜(以下、炭素を含む材料で形成された膜を「炭素膜」ともいう。)を形成する技術が提案されている。このような炭素膜は、放電電極への異物の付着を抑制し、放電電極の耐久性を向上させることができるので、放電電極の保護層を構成する表面層として有効である。
特開2000−58225号公報
炭素膜は、硬度が堅く、耐久性に優れる。しかし、炭素膜の被覆部を屈曲(大きく湾曲)させたりその一部分に大きな圧力をかけたりすると、炭素膜の表面にヒビ、クラック、あるいは剥がれなどが生じやすくなることがある。
すなわち、例えばワイヤ状の放電電極(放電ワイヤ)は、感光体との間の距離を略一定に保つために、ある程度のテンションをかけて固定されるのが一般的である。そして、放電ワイヤを固定する際に、放電ワイヤを突起に結び付けたり、放電ワイヤを結んで輪を作った後に突起に引っ掛けたり、ネジや板状部材で挟み込んだりする。そのため、放電ワイヤを屈曲させたり、放電ワイヤの一部分に圧力をかけたりすることがある。また、放電ワイヤが、位置決め用の部材などに押圧されることで、放電ワイヤを屈曲させたり、放電ワイヤの一部分に圧力をかけたりすることがある。表面に炭素膜が設けられている場合、放電ワイヤを屈曲、挟持又は押圧すると、炭素膜の表面にヒビ、クラック、あるいは剥がれなどが生じやすくなる。そして、一部分にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じると、そこを起点として炭素膜が脆くなり、剥がれやすくなる。
なお、以上では、コロナ放電器が感光体を帯電させるための帯電手段である場合を例に従来の課題について説明したが、コロナ放電器は画像形成装置において他の用途にも用いられることがある。例えば、コロナ放電器は、感光体などの像担持体に担持されたトナーに電荷付与する電荷付与手段、感光体などの像担持体を除電するための除電手段、感光体などの像担持体から被転写体にトナーを転写させるための転写手段などとしても用いられる。これらいずれの用途においても上記同様の課題がある。また、以上では、放電電極として放電ワイヤを例として、従来の課題について詳しく説明したが、放電電極の形状が他の形状である場合も上記同様の課題がある。
したがって、本発明の目的は、放電電極の表面層にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じることを抑制して放電電極の耐久性を向上することのできるコロナ放電器及び画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係るコロナ放電器及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、ワイヤ状の放電電極と、前記放電電極の長手方向の両端部で前記放電電極を保持する保持部と、前記放電電極に接触しながら前記放電電極の長手方向に沿って移動して前記放電電極を清掃する清掃部材と、を有し、前記放電電極に電圧を印加してコロナ放電を発生させるコロナ放電器において、前記放電電極は、金属で形成された基材と、前記基材の一部の上にダイヤモンドライクカーボンを含む材料で形成された表面層と、を有し、前記放電電極の長手方向において、前記表面層が設けられる領域の全域は、前記両端部側の前記保持部において前記放電電極が保持される部分間の領域の両端より内側にあり、前記清掃部材が前記放電電極に接触する領域の全域は、前記表面層が設けられる領域の両端より内側にあることを特徴とするコロナ放電器である。
また、本発明の他の態様によると、像担持体に形成したトナー像を記録材に転写して出力する画像形成装置において、上記本発明のコロナ放電器を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、放電電極の表面層にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じることを抑制して放電電極の耐久性を向上することができる。
画像形成装置の模式的な断面図である。 図1の画像形成装置の画像形成部の模式的な断面図である。 帯電器の長手方向の模式的な断面図である。 帯電器の短手方向の断面図である。 帯電器の一方の端部の一部切り欠き斜視図である。 帯電器の放電ワイヤの取り付け方法の一例を示す模式図である。 帯電器の放電ワイヤの取り付け方法の他の例を示す模式図である。 帯電器の放電ワイヤの保護層を形成する範囲を説明するための説明図である。 ta−Cの構造を説明するための模式図である。 ダイヤモンド構造と黒鉛構造を説明するための模式図である。
以下、本発明に係るコロナ放電器及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、フルカラー画像の出力が可能な中間転写方式を採用したタンデム型のプリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。各画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれ電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する。
なお、本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、静電潜像を現像するのに用いるトナーの種類(分光特性、色)が異なることを除き実質的に同一である。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
図2は、画像形成部Sをより詳細に示す模式的な断面図である。画像形成部Sは、像担持体としてのドラム型(円筒形)の電子写真感光体である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、感光ドラム1を帯電する帯電手段としての、コロナ放電器で構成された帯電器2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置(レーザスキャナ装置)3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。
また、4個の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、3個のローラに張架されており、そのうちの一つである駆動ローラが回転駆動されることで図中矢印R2方向に回転(周回移動)する。中間転写ベルト7の内周面側において、各感光ドラム1と対向する位置に、上記一次転写ローラ5が配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて付勢(押圧)されており、中間転写ベルト7と感光ドラム1とが接触する一次転写部N1を形成している。また、中間転写ベルト7の外周面側において、上記3個のローラのうちの一つである対向ローラと対向する位置に、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ8が配置されている。二次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して上記対向ローラに向けて付勢(押圧)されており、中間転写ベルト7と二次転写ローラ8とが接触する二次転写部N2を形成している。
その他、画像形成装置100には、記録材Pを二次転写部N2に給送する給送装置、トナー像を記録材Pに定着させる定着装置などが設けられている。
画像形成時には、回転する感光ドラム1の表面は、帯電器2により略一様に帯電処理される。その後、帯電した感光ドラム1の表面は、露光装置3によって画像情報に応じて走査露光される。これにより感光ドラム1上に、画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4に収容されているトナーによってトナー像として現像(可視化)される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用により、中間転写ベルト7へと転写(一次転写)される。例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のような動作が各画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト7上に順次に重ね合わせるようにして転写される。中間転写ベルト7へと転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、クリーニングブレードを備えるドラムクリーニング装置6により除去されて回収される。
中間転写ベルト7上に転写されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ8の作用により、記録材Pへ転写(二次転写)される。記録材Pは、給送手段としての給送装置において、カセット9から給送されて、中間転写ベルト7上のトナー像と同期するようにして二次転写部N2まで搬送される。記録材Pへと転写されずに中間転写ベルト7上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、図示しない中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置により除去されて回収される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置10へと搬送される。定着装置10において、記録材Pは、トナーと接触する加熱回転体とこれに圧接する加圧回転体とに挟持されて搬送される。これにより、トナーが加熱溶融されて、記録材Pへ定着される。その後、画像が定着された記録材Pは、画像形成装置100の外部へと排出される。
2.帯電器の基本的な構成
次に、本実施例における帯電器2の基本的な構成について説明する。画像形成装置100、あるいは帯電器2などの画像形成装置100の要素について、図1、図2の紙面手前側を「前」側、紙面奥側を「後」側とする。この前側と後側を結ぶ奥行方向は、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)と略平行である。また、その「前」側から見た場合の左右をそれぞれ「左」側、「右」側とする。
図3は、帯電器2の長手方向の断面図であり、同図中の左側が帯電器2の前側、右側が後側となるように示している。また、図4は、帯電器2の短手方向の断面図であり、帯電器2を前側から見た様子を示している。また、図5は、帯電器2の前側を上方から見た斜視図であり、帯電器2の内部がわかるよう後述するシールド部材を一部切り欠いている。
本実施例では、感光ドラム1の表面を帯電させる帯電器2は、コロナ放電器(コロナ放電発生器)、特に、スコロトロンで構成されている。帯電器2は、帯電器2の筐体となる一面が開放されたシールドケース21を有する。シールドケース21の長手方向の両端部には、前ブロック22a、後ブロック22bがそれぞれ設けられており、これら前ブロック22a、後ブロック22b間に、放電電極としての放電ワイヤ23が展張(張設)されている。また、シールドケース21の開放面において、放電ワイヤ23と感光ドラム1との間に、制御電極としてのグリッド部材24が設けられている。帯電器2は、シールドケース21の開放面を、帯電器2の作用対象としての被帯電体である感光ドラム1に近接させた状態で感光ドラム1に対向して配置される。本実施例では、帯電器2は感光ドラム1の母線に沿って設置されており、帯電器2の長手方向は感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)と略平行な関係にある。
更に説明すると、帯電器2は、帯電器2の長手方向に沿って(本実施例では略平行に)配置された放電電極としての放電ワイヤ23と、これを囲むように設けられたシールドケース21と、を有する。シールドケース21は、放電ワイヤ23を挟んで互いに対向するように放電ワイヤ23の長手方向に沿って(本実施例では略平行に)配置された右側シールド部材21a、左側シールド部材21bを有する。また、シールドケース21は、放電ワイヤ23を挟んで感光ドラム1と対向する位置において、放電ワイヤ23の長手方向に沿って(本実施例では略平行に)配置された頂部シールド部材21cを有する。また、帯電器2は、シールドケース21の感光ドラム1に対向する開口部2aにおいて、放電ワイヤ23と感光ドラム1との間に、放電ワイヤ23の長手方向に沿って(本実施例では略平行に)配置された、制御電極としてのグリッド部材24を有する。
本実施例では、シールド部材(右側シールド部材、左側シールド部材、頂部シールド部材)21a、21b、21cは、それぞれ導電体としての金属製の板状部材を加工して形成されている。右側シールド部材21a、左側シールド部材21bのそれぞれの放電ワイヤ23に対向する面は実質的に平面状であり、互いに略平行に配置されている。頂部シールド部材21cは、右側シールド部材21aと左側シールド部材21bとを、感光ドラム1とは反対の端部側において繋ぐように設けられており、頂部シールド部材21cには、後述するホルダ29が移動するための開口部が形成されている。
放電ワイヤ23は、シールドケース21で囲まれた空間の内側において帯電器2の長手方向に沿って張架されている。放電ワイヤ23には、図示しない高圧電源から高圧電圧が印加される。これにより、コロナ放電が発生することで、感光ドラム1に電荷が付与される。放電ワイヤ23としては、導電体としての金属製の線材(ワイヤ)を好適に用いることができる。この金属は、タングステン、モリブデン、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、チタンのうち少なくとも1つの元素を含有するものであってよい。中でも、放電ワイヤ23の材料としては、ステンレススチール、ニッケル、モリブデン、タングステンなどの金属材料を好適に用いることができる。本実施例では、金属の中で非常に安定性の高いタングステンを使用した。また、放電ワイヤ23の直径は、40μm〜100μmであることが好ましい。本実施例では、基材としての直径が60μmのタングステン製のワイヤの上に、表面層としての保護層を形成したものを、放電ワイヤ23として使用した。
本実施例では、放電ワイヤ23の保護層(保護膜)は、基材としてのタングステン製のワイヤの表面に、テトラヘデラルアモルファスカーボン(Tetrahedral Amorphous Carbon:ここでは「ta−C」ともいう。)の膜を成膜(コーティング)することで形成した。放電ワイヤ23の表面に形成した保護層の構成や成膜範囲の詳細については後述する。また、保護層の成膜方法の詳細についても後述する。
グリッド部材24は、放電ワイヤ23よりも感光ドラム1側において帯電器2の長手方向に沿って張架されている。本実施例では、グリッド部材24としては、平板状のエッチンググリッドを用いた。グリッド部材24には、放電ワイヤ23に接続された高圧電源とは別の図示しない高圧電源から高圧電圧が印加される。グリッド部材24に所定の電圧を印加することにより、放電ワイヤ23から感光ドラム1へ流れる電流を制御し、感光ドラム1の帯電電位を所望の電位へ収束させることができる。本実施例では、グリッド部材24として、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)からなる厚さ約0.03mmの薄板(板金)で構成された基材に、エッチング加工によって多数の貫通孔となるメッシュ(開口部)パターンが形成されたものを使用した。
3.放電ワイヤの取り付け方法
感光ドラム1の長手方向における帯電の均一性が得られるように、放電ワイヤ23は、放電ワイヤ23と感光ドラム1との距離が略一定になるように取り付けられている。感光ドラム1の長手方向における帯電の均一性を必要とするのは、画像を形成する領域であるため、放電ワイヤ23は、少なくとも感光ドラム1の長手方向における画像形成領域において、放電ワイヤ23と感光ドラム1との距離が略一定になるように配置される。ここで、放電ワイヤ23と感光ドラム1との距離における略一定とは、典型的には、±2.0mm以内を意味する。
放電ワイヤ23は、線径が細い金属性のワイヤである。そのため、放電ワイヤ23と感光ドラム1との距離を略一定にするためには、ある程度の力で放電ワイヤにテンションをかけることが望まれる。
図6(a)、(b)は、それぞれ本実施例における帯電器2の前側、後側における放電ワイヤ23の取り付け方法を示す模式図である。本実施例では、前ブロック22a、後ブロック22bのそれぞれの内部を中空にして、保持部としての前保持部61、後保持部62をそれぞれ設けた。
より詳細には、図6(a)に示すように、前保持部61は、取り付け部としての前突起61aを有する。帯電器2の前側における放電ワイヤ23の長手方向(軸線方向)の一方の端部側は、この前突起61aに結び付けて固定する。本実施例では、放電ワイヤ23を前突起61aに掛け回す部分や結ぶ部分(結び目)が、帯電器2の前側において放電ワイヤ23を屈曲させる必要のある固定部Faとなる。
一方、図6(b)に示すように、後保持部62は、取り付け部としての後突起62aと、テンション付与手段としての付勢部材であるバネ62bと、距離調整手段としての押圧部材62cと、を有する。つまり、放電ワイヤ23の長手方向の両端部側を突起に結び付けてテンションをかけるように取り付ける方法もある。しかし、この方法では、放電ワイヤ23は伸延性がないか又は乏しいため、放電ワイヤ23と感光ドラム1との距離を略一定に保つようなテンションをかけることは難しい。そのため、帯電器2の後側における放電ワイヤ23の長手方向の他方の端部はバネ62bに結び付けて固定し、このバネ62bを後突起62aに引っ掛けて固定する。放電ワイヤ23は、バネ62bを介することによりテンションがかかり、感光ドラム1と放電ワイヤ23との距離を略一定に保つことが可能となる。また、放電ワイヤ23をバネ62bに固定した部分よりも帯電器2の前側(内側)に、距離調整手段としての押圧部材62cが設けられている。放電ワイヤ23は、押圧部材62cに引っ掛けられている。押圧部材62cは、放電ワイヤ23と感光ドラム1との距離を調整するために、感光ドラム1との間の距離を変更するように位置を変えることできるようになっている。この距離調整手段としての押圧部材62cは、前保持部61、後保持部62の両方に設けてもよいが、本実施例ではそのうちの一方である後保持部62にのみ設けられている。放電ワイヤ23の押圧部材62cに接触している部分には圧力がかかる。本実施例では、放電ワイヤ23が押圧部材62cに接触する部分が、帯電器2の後側において放電ワイヤ23の一部を押圧する必要のある位置決め部Fbとなる。
また、放電ワイヤ23の取り付け方法としては、図7(a)に示すように基台64に結合(螺合)される締結部材としてのネジ63に結び付けたり、それに代えて又は加えてネジ63と基台64とで挟み込んだりして固定してもよい。ネジ63で放電ワイヤ23を挟み込む場合、ネジ63の首(座面)と放電ワイヤ23との間などにワッシャーを介在させてもよい。また、放電ワイヤ23の取り付け方法としては、図7(b)に示すように、挟持部材としての平板65a、65bの一方又は両方向から力をかけて、放電ワイヤ23を挟み込んで動かないように固定してもよい。
いずれの取り付け方法、距離調整方法においても、通常、放電ワイヤの一部分に圧力がかかったり、結び付けるために屈曲させたりする必要がある。
なお、放電ワイヤ23には高電圧が印加されるため、上述の取り付け部(突起)、距離調整手段(押圧部材)、締結部材(ネジ)、挟持部材(平板)などの部材は、難燃性であることが望ましい。
4.放電ワイヤとグリッド部材の清掃
画像形成を繰り返し行うと、放電ワイヤ23、グリッド部材24の表面には、帯電器2内を浮遊する微粒子(放電生成物、粉塵、飛散したトナーや外添材)などの異物が付着する場合がある。放電ワイヤ23、グリッド部材24に異物が付着すると、主走査方向においてその異物が付着した位置に対応する箇所の感光ドラム1の帯電電位がずれて、帯電ムラによる画像濃度ムラなどが発生することがある。なお、本実施例では、主走査方向は、感光ドラム1及び帯電器2の長手方向と略平行である。そのため、本実施例では、付着した異物を除去するために、放電ワイヤ23、グリッド部材24のそれぞれを清掃する。
4−1.清掃部材
図3及び図4を参照して、放電ワイヤ23、グリッド部材24を清掃する清掃部材について説明する。帯電器2は、放電ワイヤ23を清掃するための電極清掃部材としての清掃パッド25と、グリッド部材24を清掃するためのグリッド清掃部材としての清掃ブラシ26と、を有する。
清掃パッド25は、放電ワイヤ23を挟み込むように配置されており、放電ワイヤ23の長手方向に沿って移動することで放電ワイヤ23を摺擦して清掃する。清掃パッド25は、清掃パッド支持部27によって支持されている。清掃パッド25は、清掃パッド支持部27に対して着脱可能に取り付けられている。
清掃ブラシ26は、グリッド部材24の放電ワイヤ23側の面に接触するように配置されており、放電ワイヤ23の長手方向に沿って移動することでグリッド部材24を摺擦して清掃する。清掃ブラシ26は、清掃ブラシ支持部28によって支持されている。清掃ブラシ26は、清掃ブラシ支持部28に対して着脱可能に取り付けられている。本実施例では、清掃ブラシ26は、画像形成中にグリッド部材24に余計な応力をかけないように、待機位置(ホームポジション)にあるときは、グリッド部材24から離間するように配置されている。また、清掃ブラシ26を支持する清掃ブラシ支持部28の清掃ブラシ26の両端部の近傍には、グリッド部材24の高さ位置をガイドして清掃するためのグリッドガイド部(図示せず)が配置されている。グリッド部材24の清掃動作時に、グリッドガイド部は、グリッド部材24と清掃ブラシ26の高さの関係が略一定になるようにガイドする。これにより、清掃ブラシ26のグリッド部材24に対する所定の侵入量と接触圧とを保ちながら、清掃を行うことができるようになっている。
清掃パッド支持部27と清掃ブラシ支持部28とは、一体的に連結されて、保持部材としてのホルダ29を構成している。ホルダ29は、清掃パッド25及び清掃ブラシ26を保持して、詳しくは後述する移動機構によって駆動されることで放電ワイヤ23の長手方向に沿って移動する。これにより、清掃パッド25及び清掃ブラシ26が放電ワイヤ23の長手方向に沿って移動させられて、放電ワイヤ23及びグリッド部材24がそれぞれ清掃される。このホルダ29は、放電ワイヤ23の長手方向に沿って移動する移動部材の一例である。
清掃パッド25としては、スポンジの表面に難燃化処理したフェルトを貼りつけたものを用いた。この清掃パッド25は、放電ワイヤ23を両側から挟むように配置される。そして、スポンジがある程度の変形する程度の力で放電ワイヤ23を挟みこむことで、放電ワイヤ23の全周面に清掃パッド25が接触する。放電ワイヤ23の表面に接触してこれを清掃する部材として、アルミナ、炭化珪素などの研磨剤を塗布したシートを使用しても良い。ただし、弾性部材を設けて、放電ワイヤ23の全周に接触するよう配置することが好ましい。
清掃ブラシ26としては、アクリル系ブラシを難燃化処理し、基布に織り込んだものを使用した。なお、これ以外にも、ナイロン、PVC(ポリ塩化ビニル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などで形成されたブラシ部材を使用しても良い。また、植毛系に限らず、フェルト、スポンジのような弾性部材や、アルミナ、炭化珪素などの研磨剤を塗布したシートを使用しても良い。
4−2.清掃部材の移動機構
次に、図3、図4及び図5を参照して、清掃部材の移動機構(駆動機構)について説明する。本実施例では、上述のように、電極清掃部材としての清掃パッド25、グリッド清掃部材としての清掃ブラシ26は、移動部材としてのホルダ29によって一体的に同時に移動させられる。ホルダ29は、シールドケース21の上部に設けられたレール(図示せず)によって移動方向が規制されて、放電ワイヤ23の長手方向に沿って往復移動する。
本実施例では、ホルダ29を移動させる移動機構40は、駆動源としての駆動モータM、スクリュー41、駆動伝達部42などを有して構成される。駆動モータMは、前ブロック22aに取り付けられている。駆動モータMの回転軸には図示しないウォームギアが取り付けられている。このウォームギアは、スクリュー41の一端に接続された図示しない駆動受ギアと噛み合っている。スクリュー41は、その長手方向(回転軸線方向)の両端がそれぞれ前ブロック22a、後ブロック22bによって回転自在に支持されている。スクリュー41は、その長手方向が帯電器2の長手方向と略平行となるように、前ブロック22aと後ブロック22bとの間に懸架されている。スクリュー41は、放電電極23の長手方向に沿う回転軸線を中心として回転する回転部材の一例である。
スクリュー41の外周部には、スパイラル状の溝が形成されており、このスパイラル状の溝と係合する駆動伝達部42がホルダ29に固定されている。これにより、駆動伝達部42は、スクリュー41と係合してスクリュー41の回転に伴ってホルダ29と共に帯電器2の長手方向に移動する。つまり、駆動伝達部42は、スクリュー41の回転駆動力を放電ワイヤ23の長手方向に沿う方向の駆動力に変えてホルダ29に伝達する。本実施例では、駆動伝達部42は、ホルダ29とスクリュー41との間で駆動力の接続と切断を行うことができる。具体的には、駆動伝達部42は、スクリュー41のスパイラル状の溝と係合する係合部42aと、係合部42aをスクリュー41の径方向に所定の力で加圧する加圧部42bと、を有する。駆動伝達部42の係合部42aは、加圧部42bによってスクリュー41に向けて付勢された状態で、スクリュー41に対して可動とされている。これによって、ホルダ29が可動範囲の端部で突き当て部材に突き当たった場合でも、スクリュー41を回転させるための負荷は一定値よりは大きくならず、スクリュー41は回転し続けることが可能である。したがって、例えば、ホルダ29が十分移動し終えられる時間を予め設定しておき、駆動モータMの回転時間を一律その設定時間としておくことが可能となる。
なお、ホルダ29が突き当て部材に突き当たる位置に到達したことを検知する検知手段として、フォトインタラプタなどで構成されたポジションセンサを設けることができる。これにより、ホルダ29が可動範囲の端部に到達したことを検知した時点で、駆動モータMの回転を停止又は逆回転させるなど、次の動作を開始することができる。この場合、ホルダ29が突き当て部材に突き当たった状態でスクリュー29は回転しなくてよい。例えば、ホルダ29が可動範囲における前側の端部にあることを検知する第1ポジションセンサと、後側の端部にあることを検知する第2ポジションセンサと、を設けることができる。
本実施例では、制御手段としての制御回路50が、駆動モータMの駆動のON/OFF、回転方向などを制御する。
なお、ホルダ29の往復移動における往路動作と復路動作は、個別に実行しても、連続して往復動作としてもよい。
清掃パッド25、清掃ブラシ26による放電ワイヤ23、グリッド部材24の清掃動作を実行するタイミングは、次のように設定することができる。例えば、制御回路50が、画像形成を所定枚数分行ったことを検知した場合に、ホルダ29を移動させて、放電ワイヤ23、グリッド部材24の表面をそれぞれ清掃させることができる。この場合、清掃動作は、画像形成枚数が所定値に到達した際に、ジョブ(一の画像形成開始指示による単数又は複数の記録材に対する一連の画像形成動作)を中断して行ってもよいし、当該ジョブが終了した後に続けて又は次のジョブを開始する前に行ってもよい。また、画像形成を行わずに一定時間以上経過した場合も、放電ワイヤ23、グリッド部材24の表面の腐食、該表面への異物の付着などの可能性があるので、清掃動作を行うようにしてもよい。清掃動作を実行するタイミングは、繰り返し画像形成を行った際の放電ワイヤ23、グリッド部材24への異物付着の時間推移や表面状態の変化などをデータとして取得しておき、そのデータに基づいて適宜決定すればよい。
5.帯電器や清掃装置などの長手配置
前述のように、放電ワイヤ23の表面に形成した保護層は、屈曲させたり、挟み込むなどして一部分に圧力をかけると、剥がれやすくなる。また、放電ワイヤ23の表面に形成した保護層は、保護層が有る部分と無い部分との境界部を摺擦すると、剥がれやすくなる。つまり、炭素膜が表面に設けられている放電ワイヤを摺擦することによっても、炭素膜が剥がれやすくなることがある。すなわち、(1)放電ワイヤの表面の全面に炭素膜がある場合と、(2)放電ワイヤの表面に炭素膜が有る部分と無い部分との境界部がある場合とで、同一の力で摺擦した場合の炭素膜の剥がれやすさに違いがあることがわかった。上記(2)の境界部とは、炭素膜の形成開始部又は終了部を意味している。同一の力で摺擦した場合、上記(1)の場合に比べて、上記(2)の場合の方が、炭素膜が剥がれやすい。炭素膜が剥がれている状況を顕微鏡などを用いて観察したところ、摺擦時に炭素膜の有無による境界部の僅かな段差にひっかかり、その境界部の段差を起点として剥がれやすくなっていることがわかった。
そこで、本実施例では、放電ワイヤ23の保護層を形成する範囲を定めることで、上述のように保護層が剥がれやすくなることを抑制する。
図8は、本実施例における帯電器2の長手方向における各要素の配置関係を示している。
シールドケース21、前ブロック22a、後ブロック22bで形成された帯電器2の開口部2aの、帯電器2の長手方向における長さは、360mmである。開口部2aは、放電ワイヤ23からの放電が感光ドラム1に対して影響する領域である。帯電器2の長手方向における開口部2aの範囲を「帯電可能領域」ともいう。つまり、帯電器2の長手方向における帯電可能領域の長さL104は、帯電器2の長手方向における開口部2aの長さと同じ360mmである。より詳細には、帯電可能領域は、帯電器2の長手方向における画像形成領域の中心に対して、帯電器2の前側をプラス、後側をマイナスとすると、±180mmの範囲に位置する。
帯電器2の長手方向における画像形成領域の長さL105は、帯電可能領域の長さL104よりも狭い330mmである。より詳細には、画像形成領域は、帯電器2の長手方向における画像形成領域の中心に対して、帯電器2の前側をプラス、後側をマイナスとすると、±165mmの範囲に位置する。つまり、放電ワイヤ23の長手方向において、画像形成領域(長さL105)は、帯電可能領域(長さL104)の内側にある。
また、帯電可能領域内において帯電ムラがあることは好ましくないため、帯電可能領域の全域を清掃パッド25によって清掃できるようした。上述のように、清掃パッド25は、放電ワイヤ23の表面に接触してこれを摺擦しながら放電ワイヤ23の表面の異物を清掃する。つまり、帯電器2の長手方向における清掃パッド25が放電ワイヤ23に接触する領域(これを「清掃部材接触領域」ともいう。)の長さは、帯電可能領域の長さL104と同じ360mmである。より詳細には、清掃部材接触領域は、帯電器2の長手方向における画像形成領域の中心に対して、帯電器2の前側をプラス、後側をマイナスとすると、±180mmの範囲に位置する。
そして、清掃部材接触領域内に、放電ワイヤ23の保護層の有る部分と無い部分との境界部があると、境界部を起点として保護層が剥がれやすくなる場合がある。そのため、清掃部材接触領域内には、放電ワイヤ23の保護層の境界部を設けないようにすることが好ましい。そこで、本実施例では、帯電器2の長手方向において清掃部材接触領域よりも広い範囲に保護層を成膜した。つまり、本実施例では、帯電器2の長手方向における放電ワイヤ23の保護層の成膜領域の長さL103は、帯電器2の長手方向における清掃部材接触領域の長さL104(=360mm)よりも大きい365mmとした。より詳細には、成膜領域は、帯電器2の長手方向における画像形成領域の中心に対して、帯電器2の前側をプラス、後側をマイナスとすると、±182.5mmの範囲に位置する。つまり、放電ワイヤ23の長手方向において、清掃部材接触領域(長さL104)は、保護層の成膜領域(長さL103)の内側にある。
また、帯電器2内に取り付けた状態での帯電器2の長手方向における放電ワイヤ23の全長L100は、400mmである。そして、この放電ワイヤ23の全長L100のうち、放電ワイヤ23の長手方向の両端部は、前保持部61、後保持部62において放電ワイヤ23の取り付けや感光ドラム1との距離の調整のために必要な保持領域となっている。帯電器2の前側における放電ワイヤ23の長手方向の一方の端部側の保持領域の長さL101、帯電器2の後側における放電ワイヤ23の長手方向の他方の端部側の保持領域の長さL102は、いずれも15mm程度である。保持領域では、上述のように、放電ワイヤ23を固定、位置決めするために、放電ワイヤ23を屈曲させたり、放電ワイヤ23の一部分に圧力がかかったりする。そのため、保持領域内に保護層があると、屈曲部や圧力がかかった部分の保護層に、ヒビ、クラック、あるいは剥がれなどが生じやすくなってしまう場合がある。保護層の一部分にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じると、そこを起点に保護層が剥がれやすくなる場合がある。そのため、放電ワイヤ23が屈曲されたり、放電ワイヤ23の一部分に圧力がかかったりする保持領域内には、保護層を設けないことが好ましい。そこで、本実施例では、帯電器2の長手方向において帯電器2の両端部側の保持領域間の領域(これを「展張領域」ともいう。)よりも狭い範囲に保護層を成膜した。ここで、この展張領域は、より詳細には、放電ワイヤ23の長手方向の両端部側の保持部61、62において放電ワイヤが屈曲、挟持又は押圧される部分間の領域(最も内側の位置間の領域)である。本実施例では、図6(a)、(b)に示す固定部Fa、位置決め部Fb間の距離である。帯電器2の長手方向における展張領域の長さL106(=L100−L101−L102)は、370mmである。より詳細には、展張領域は、帯電器2の長手方向における画像形成領域の中心に対して、帯電器2の前側をプラス、後側をマイナスとすると、ほぼ±185mmの範囲に位置する。上述のように、帯電器2の長手方向における放電ワイヤ23の保護層の成膜領域の長さL103は360mmであり、帯電器2の長手方向における展張領域の長さL106よりも小さくなっている。つまり、放電ワイヤ23の長手方向において、保護層の成膜領域(長さL103)は、展張領域(長さL106)の内側にある。
このように、本実施例では、成膜領域の長さL103は、清掃部材接触領域の長さL104より大きくする。つまり、L104<L103の関係を満たすようにする。また、成膜範囲L103は、展張領域の長さL106(=L100−L101−L102)よりも小さくする。つまり、L103<L106の関係を満たすようにする。以上より、本実施例では、成膜領域の長さL103を、L104<L103<L106(=L100−L101−L102)の関係を満たすように設定する。なお、本実施例では、長さL100、L103〜L106を有する各領域は、それぞれ共通の中心位置を基準に帯電器2の前側、後側に延在している。したがって、保護層の成膜領域(長さL103)は展張領域(長さL106)の内側にあり、清掃部材接触領域(長さL104)は保護層の成膜領域(長さL103)の内側にある。これによって、成膜した保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれなどが生じることを抑制することができる。
6.放電ワイヤの保護層
6−1.化学的性質
上述のように、本実施例では、放電ワイヤ23は、タングステン製のワイヤである基材と、この基材の表面にta−C(テトラヘデラルアモルファスカーボン)の膜を成膜(コーティング)することで形成された保護層と、を有する。
ここで、ta−Cは、ダイヤモンドライクカーボン(diamond‐like carbon:ここでは「DLC」ともいう。)に分類される、放電生成物に対して化学的に不活性度が高く、離型性が高く空気中の浮遊物が付着しにくい材料である。DLCの構造は、通常水素を若干含有した、ダイヤモンド結合(又はsp3結合)とグラファイト結合(又はsp2結合)とが混在した非晶質(アモルファス)構造をとる。
図9は、ta−Cの構造を説明するための模式図である。白丸(図中○)が炭素原子を、線(図中−)が結合状態を示す。ta−Cは、ミクロ的には四面体結晶構造を有し、マクロ的にみると非晶質構造を持つ化学種(アモルファス)である。ta−Cは、sp3結合とsp2結合とが混在した構造であり、組成として硬度に感度を持つsp3結合(ダイヤモンド構造)と、摺動性に感度を持つsp2結合(グラファイト構造)と、の両方を備える。そのため、結合の割合に応じて、耐摩擦性や耐磨耗特性などが変化する。なお、sp3混成軌道のみ炭素原子が結晶化すると、図10(a)に示すようにダイヤモンド構造となる。同様に、sp2混成軌道のみの炭素原子であれば、図10(b)のようにグラファイト(黒鉛)構造となる。
このような構造を備えるta−Cは、他の材料に比べ、常温では空気、水などに対して不活性、耐腐食性、低摩耗性、自己潤滑性、高硬度、表面平滑性に優れている。また、ta−Cは、化学的吸着及び酸化反応などが起きにくい特性を有し、磨耗や傷の発生による部分的機能劣化に対しても有効な部材である。そのため、放電ワイヤ23の周辺を浮遊する異物が放電ワイヤ23の表面に付着しても離れやすい。
放電ワイヤ23の表面に形成された保護層(ta−C層)は、帯電性能を阻害せずに高い耐腐食効果を得る機能が最大限に発揮できるよう、体積抵抗率、膜厚、及び表面の平滑性を最適化することが望ましい。体積抵抗率は、帯電部材に適した体積抵抗率(中抵抗)となるように材料特性を調整することが好ましい。そのため、保護層(ta−C層)の体積抵抗率は、10〜1010Ω・cm程度がよい。本実施例は、より好ましい10〜10Ω・cm程度の体積抵抗率となるように、保護層(ta−C層)を形成した。また、本実施例では、sp3結合とsp2結合との割合(すなわち、sp3:sp2)が9:1〜7:3となるta−C層の成膜条件を選んだ。
6−2.保護層の形成方法
本実施例では、放電ワイヤ23の基材(タングステン製のワイヤ)に対して、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc Technology)法を用いてta−C層を形成した。ta−Cは、Crよりも耐腐食性などの面で優れた特性を備える材料であるが、成膜(コーティング)方法が限られている。具体的には、ワイヤの表面にDLCを成膜するためには、所謂、蒸着(スパッタ)で成膜するのが一般的である。
蒸着による成膜は、めっき液に基材を浸ける「液浸めっき」などと異なり、ワイヤを低圧の保護層形成室(チャンバー)内に保持し、保護層を形成する材料を一方向から吹きつける。そのため、ワイヤの全ての円周面に保護層が形成されるよう、低圧チャンバーの中で移動回転させながら、保護層を形成する。
なお、保護層を形成することを、ライニング(lining)、フェイシング(facing)、コーティング(coating)などと呼ぶ場合がある。また、これらを総括して表面処理と呼ぶ場合もある。
FCVA法により基材にta−C層を形成する際には、黒鉛をバキュームアーク放電により炭素プラズマを発生させ、そこからイオン化した炭素を抽出して、基材上に堆積させる。なお、FCVA法の他に、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などで成膜してもよい。当然、保護層を形成する材料に応じて適切な処理方法を選択すればよく、上記処理方法に限るものではない。
6−3.ワイヤへの保護層の形成
FCVA法などの蒸着による保護層の成膜には指向性を備える。つまり、ワイヤの保護層の材料を吹き付ける面とその反対側の面では保護層の成長速度が異なる。そのため、ワイヤの全周面に保護層が形成されるよう、蒸着しているチャンバー内でワイヤを回転移動させながら蒸着する。蒸着中にワイヤを回転移動させることにより、ワイヤの全周面にわたって十分な厚みの保護層を形成することができる。なお、ワイヤの表面に形成する保護層の厚みは0.02μm以上とすることが好ましい。
ここで、保護層(ta−C層)を形成した後のワイヤの表面性について説明する。ta−C層の表面の粗さが粗くなると、ワイヤの表面に形成されたta−C層の表面積を増やす方向になる。ta−C層の表面積が大きくなると、ta−C層の表面に放電生成物、あるいは、エアロゾルや飛散してきたトナー又は外添材などが付着する可能性が高くなる。このような付着や腐食は、画像不良を招く恐れがある。そのため、ta−C層の表面を平滑化することが好ましい。
6−4.ta−C層の成膜条件
次に、保護層(ta−C層)を形成の条件について詳しく説明する。
ta−C層(保護層)の成膜温度は、0℃以上、350℃以下が好ましく、40℃以上、220℃以下がより好ましい。また、成膜速度は、1.5nm/secに設定し、ワイヤの全周面になるべく均一に成膜するよう、成膜チャンバーの中でワイヤを回転移動させながら成膜を行い、膜厚は0.10μmとした。
ここで、基材の材料の色と保護層の色とに差があれば、光学濃度を測定することで膜厚を検知することができる。具体的には、例えばSUSは金属光沢を備える銀白色であり、それに対してta−Cは膜厚に応じて、赤茶色、青紫色(群青色)、青みがかった銀色と、順次に色が変わる。そのため、膜厚を色味、濃度差で検知することができる。当然、保護層の材料が無色透明や同系色の場合などには、膜厚を色だけでは判断できない。このような場合に、正確に層厚を測定したいときは、断面を電子顕微鏡で観察すればよい。
保護層の材料としてアモルファスカーボン(ta−C)を用いる場合、保護層中の炭素(カーボン)はsp3構造とsp2構造とが一定割合で存在する。本発明者の検討により、sp2構造よりsp3構造を多く含む方が、耐腐食性、耐摩耗性に優れることが判明した。これは、sp2構造が多いとグラファイト平面層間にミクロ孔充填が発生しやすく、他の化学種(本実施例ではオゾン、放電生成物、遊離基)を吸着、充填しやすい状態になる。腐食自身は両者の組成において遜色がないが、他の因子(もらい錆など)による腐食の影響が組成比に影響したものと考えられる。これに対し、sp3構造の組成を多くすることによりナノ細密構造となり、結晶構造の割合を高めることが、上記の他因子による弊害を抑制したものと考えられる。
そこで、ta−C層のsp3構造とsp2構造との組成割合としては、sp3:sp2=6:4以上の割合でsp3構造を多く含むことが好ましい。また、sp3:sp2=7:3以上の割合でsp3構造を多く含むことがより好ましい。本実施例では、sp3構造とsp2構造との組成割合がsp3:sp2=7:3となる成膜条件を選んだ。
なお、保護層中の炭素のsp3構造とsp2構造との割合は、ラマン顕微鏡(例えば、ナノフォトン社製RAMAN−11)などを用いて検出することができる。より具体的には、光源として単色光であるレーザー光をta−C層に照射して、発生したラマン散乱光を分光器や干渉計で検出してスペクトル分布を得る。取得したスペクトルのピークに基づき、sp3構造とsp2構造との割合を算定することができる。
また、組成割合を変更する成膜方法としては、FCVA法の他に、次の方法を用いてもよい。特開2005−15325に記載されているレーザーアブレーション法、表面科学Vol.24,No.7,pp.411−416に記載されている高周波マグネトロンスパッタリング法などである。これにより、基板温度、パルス電圧、アシストガス流量、雰囲気内ガス種及びアニール処理温度を設定することにより様々な組成割合の保護層を成膜することができる。
本実施例では、ta−C層を放電ワイヤ23の表面層として成膜することで耐腐食性に加えて、耐摩耗性や耐付着性を良好にすることができる。これにより、放電ワイヤ23の腐食に加えて、摩耗、異物の付着に起因する画像不良の発生を長期にわたって抑制できる。なお、放電ワイヤ23の表面層の材料は、ta−Cであることがより好ましいが、炭素を含むそれ以外の材料を用いてもよい。
7.保護層の耐久性
次に、保護層を成膜した放電ワイヤの耐久性について説明する。
7−1.ワイヤの屈曲試験
表1は、ta−C層を成膜した放電ワイヤの屈曲試験の結果である。屈曲試験は、次のようにして行った。タングステン製の直径60μmのワイヤの表面に0.10μmのta−C層を成膜して形成した放電ワイヤを準備する。そして、ある点を境に、放電ワイヤを曲げていく。放電ワイヤを曲げた部分(曲げ角度を付けた部分)の成膜状態を光学顕微鏡にて観察した。光学顕微鏡にて観察した保護層の状態が、曲げる前と同等である場合、すなわち、ヒビ、クラック、あるいは剥がれなどの異常が見つからない場合は“○(良好)”と判断した。また、保護層に、ヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じる前兆と考えらえる凹凸が発見された場合は“△(やや不良)”と判断した。そして、保護層に明らかにヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じ、保護層が剥がれて基材であるワイヤの表面がむき出しになってしまった場合は“×(不良)”と判断した。
Figure 0006320160
表1の結果からわかるように、放電ワイヤの曲げ角度が30°以下の場合は、保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じない。しかし、放電ワイヤの曲げ角度が40°に近くなると、保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれの前兆と考えらえる凹凸が確認された。そして、放電ワイヤの曲げ角度が50°以上になると、保護層にはっきりとヒビ、クラック、あるいは剥がれが確認されるようになった。
なお、保護層の構成などによる剥がれやすさに応じて、許容し得る曲げ角度は変わり得る。ここでは、許容し得ないほど保護層を剥がれやすくする程度に放電電極を曲げる(大きく湾曲させる)ことを、放電電極を「屈曲」させるという。上述の屈曲試験の結果からわかるように、典型的には、放電電極を屈曲させるとは、40°以上曲げる(大きく湾曲させる)ことをいう。図6(a)に示すように放電ワイヤを突起に結び付けて固定する場合、通常、放電ワイヤは40°以上に曲げることになる。
また、図6(b)に示すように押圧部材で放電ワイヤを押圧する場合、あるいは図7(a)、(b)に示すようにネジや板状部材で挟み込む場合のように、一部分に圧力がかかる場合の放電ワイヤの表面も光学顕微鏡にて観察した。その結果、これらの場合にも、保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれが観察された。
以上のように、放電ワイヤを屈曲させたり、放電ワイヤの一部分に圧力をかけたりして、ワイヤ保護層に負荷をかけてしまうと、成膜した保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じてしまうことがわかる。そして、保護層に発生したヒビ、クラック、あるいは剥がれは、大きさ問わず、どこか一部分に生じると、そこを起点として保護層が剥がれやすくなってしまう。
これに対し、本実施例では、上述のように、屈曲されたり、一部分に圧力がかけられたりする、固定部Faや位置決め部Fbが設けられる放電ワイヤ23の保持領域には、保護層を設けないようにする。これによって、保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じることを抑制できる。
7−2.放電ワイヤの清掃動作の繰り返し試験
表2は、画像形成を行いながら定期的に放電ワイヤの清掃動作を行う清掃動作の繰り返し試験の結果である。清掃動作の繰り返し試験は、次のようにして行った。画像形成0.1万枚ごとに1回の清掃動作を行いながら、画像形成と放電ワイヤの清掃動作を繰り返し行った。清掃動作に対する耐久性を比較するために、図8を参照して説明した保護層の成膜領域の長さL103と清掃部材接触領域の長さL104との大小関係をふった条件1、2について試験を行った。条件1、2は、次のとおりである。比較例、本実施例のいずれにおいても、保護層の成膜領域、清掃部材接触領域は、それぞれ共通の中心位置を基準に帯電器2の前側、後側に延在している。
条件1(比較例):L104(370mm)>L103(365mm)
条件2(本実施例):L104(360mm)<L103(365mm)
なお、表2における“○(良好)”、“△(やや不良)”、“×(不良)”の評価基準は、上述の屈曲試験の場合と同様である。また、条件1、2のいずれの場合も成膜領域が異なることを除いて帯電器2の構成は実質的に同じである。
Figure 0006320160
表2からわかるように、条件1(比較例)の場合は、20万枚を超えたあたりから、僅かに保護層の有る部分と無い部分との境界部にバリのような凹凸が確認された。更に繰り返し試験を行い、30万枚超えると、保護層の有る部分と無い部分との境界部のバリのような凹凸が成長し、保護層の剥がれが確認された。そして、40万枚以降も試験を続けると、保護層の剥がれている領域は、徐々に広がっていき、100万枚に到達したときには、放電ワイヤの表面の保護層の何割かは完全に剥がれてしまっている状態であった。
一方、条件2(本実施例)の場合は、100万枚分の清掃動作を行っても、保護層にヒビ、クラック、あるいは剥がれは確認されなかった。
以上のように、放電ワイヤの保護層の有る部分と無い部分との境界部に清掃パッドが接触すると、保護層が剥がれやすくなることがわかる。
これに対し、本実施例では、上述のように、放電ワイヤの保護層の有る部分と無い部分との境界部に接触しないように清掃パッドによる清掃領域を設定する。これにより、保護層が剥がれやすくなることを抑制することができる。
以上、本実施例によれば、放電ワイヤ23の表面に形成した保護層に、ヒビ、クラック、あるいは剥がれが発生することを抑制して、保護層を長期にわたって維持することができる。これにより、放電ワイヤ23への異物の付着や放電による腐食を長期にわたって抑制することができる。したがって、感光ドラム1の帯電ムラによる不良画像の発生を長期にわたって抑制することができる。
その他
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
保持部におけるヒビ、クラック、あるいは剥がれなどの抑制と、清掃部材での摺擦による剥がれの抑制とは、それぞれ一方を達成することでも相応の効果が得られる。つまり、コロナ放電器は、放電電極が基材の一部の上に炭素を含む材料で形成された表面層を有し、表面層が、放電電極が屈曲、挟持又は押圧されるなどして保持される部分以外の部分に設けられている構成とすることができる。また、コロナ放電器は、放電電極が基材の一部の上に炭素を含む材料で形成された表面層を有し、表面層が有る部分と無い部分との境界部が、清掃部材が放電電極に接触する領域の外に設けられている構成とすることができる。ただし、上述のように、保護層の一部分にヒビ、クラック、あるいは剥がれが生じると剥がれやすくなる。そのため、保持部におけるヒビ、クラック、あるいは剥がれなどの抑制と、清掃部材での摺擦による剥がれの抑制との両方を達成することで、これらは相乗的に作用して、放電電極の寿命を飛躍的に向上することができる。
また、上述の実施例では、コロナ放電器(コロナ放電発生器)が、感光体の表面を帯電させる帯電器である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コロナ放電器は、像担持体上のトナー像を転写の前に帯電させるトナー帯電手段、転写後に像担持体上に残留した転写残トナーを帯電させる転写残トナー帯電手段などとしても用いられる。また、コロナ放電器は、像担持体の表面を除電する除電手段、像担持体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段などとしても用いられる。これらの場合、像担持体は、感光体に限らず、中間転写体であってもよい。コロナ放電器がこれらいずれの用途に用いられる場合であっても、本発明を同様に適用することで、同様の効果が得られる。
また、画像形成装置において用いられるコロナ放電器の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、空気中の塵埃を吸着除去する電気集塵装置、悪臭や有害ガスを分解するガス浄化装置などの任意の電気機器において用いられるコロナ放電器にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
また、放電電極の形状は、ワイヤ状に限定されるものではなく、例えば前述の針形状やストリップ形状などであってもよい。
1 感光ドラム
2 帯電器
21 シールドケース
22a 前ブロック
22b 後ブロック
23 放電ワイヤ
24 グリッド部材
61 前保持部
62 後保持部

Claims (9)

  1. ワイヤ状の放電電極と、前記放電電極の長手方向の両端部で前記放電電極を保持する保持部と、前記放電電極に接触しながら前記放電電極の長手方向に沿って移動して前記放電電極を清掃する清掃部材と、を有し、前記放電電極に電圧を印加してコロナ放電を発生させるコロナ放電器において、
    前記放電電極は、金属で形成された基材と、前記基材の一部の上にダイヤモンドライクカーボンを含む材料で形成された表面層と、を有し、
    前記放電電極の長手方向において、前記表面層が設けられる領域の全域は、前記両端部側の前記保持部において前記放電電極が保持される部分間の領域の両端より内側にあり、前記清掃部材が前記放電電極に接触する領域の全域は、前記表面層が設けられる領域の両端より内側にあることを特徴とするコロナ放電器。
  2. 前記表面層が有る部分と無い部分との境界部は、前記放電電極の長手方向において前記清掃部材が前記放電電極に接触する領域の両端より外側に設けられていることを特徴とする請求項に記載のコロナ放電器。
  3. 前記コロナ放電器は、被帯電体を帯電させる帯電器であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコロナ放電器。
  4. 前記放電電極は、前記保持される部分に結び目を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のコロナ放電器。
  5. 前記放電電極を押圧する押圧部材を有し、前記表面層は前記放電電極における前記押圧部材によって押圧される部分には設けられていないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコロナ放電器。
  6. 前記金属は、タングステン、モリブデン、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、チタンのうち少なくとも1つの元素を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のコロナ放電器。
  7. 前記表面層は、テトラヘデラルアモルファスカーボンを含む材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のコロナ放電器。
  8. 前記表面層のテトラヘデラルアモルファスカーボンの炭素は、sp3構造の割合がsp2構造の割合よりも多いことを特徴とする請求項に記載のコロナ放電器。
  9. 像担持体に形成したトナー像を記録材に転写して出力する画像形成装置において、請求項1〜のいずれか一項に記載のコロナ放電器を有することを特徴とする画像形成装置。
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