JP6316054B2 - ポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂 Download PDF

Info

Publication number
JP6316054B2
JP6316054B2 JP2014066530A JP2014066530A JP6316054B2 JP 6316054 B2 JP6316054 B2 JP 6316054B2 JP 2014066530 A JP2014066530 A JP 2014066530A JP 2014066530 A JP2014066530 A JP 2014066530A JP 6316054 B2 JP6316054 B2 JP 6316054B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laminated glass
mol
resin
interlayer film
polyvinyl acetal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014066530A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015189803A (ja
Inventor
信烈 梁
信烈 梁
英裕 山口
英裕 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2014066530A priority Critical patent/JP6316054B2/ja
Publication of JP2015189803A publication Critical patent/JP2015189803A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6316054B2 publication Critical patent/JP6316054B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、透明性に優れるとともに、高い平衡弾性率を有し、合わせガラス用中間膜として用いた場合に優れた耐衝撃性能を発現することが可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関する。
ポリビニルアセタール樹脂等の樹脂からなる中間膜を、二枚以上からなるガラス板の間に挟着することにより得られる合わせガラスは、透明性、耐候性、耐貫通性に優れ、窓ガラス等に広く使用されている。
また、このような合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等や鉄道の車両、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。
例えば、特許文献1には、一対のガラス間にポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させた合わせガラスが記載されている。
しかしながら、従来の合わせガラス用中間膜は、透明性等の光学特性に加え、耐候性、耐水性、耐熱性、衝撃に対する耐衝撃性や耐貫通性が不充分となる場合があった。
これに対して、ポリビニルアセタール樹脂を各種の手法で分析し、所定の物性値を有する樹脂を使用することで、透明性、耐候性、耐水性、耐熱性等の諸性能を改善する方法が行われており、例えば、特許文献2には、粘度平均重合度、ビニルアルコール単位量、ビニルアセテート単位量、及び、アセタール化度が所定の範囲内であるポリビニルアセタール樹脂を用いることで、耐候性、耐水性、耐熱性等を向上させる方法が記載されている。
しかしながら、合わせガラス用中間膜に使用する樹脂として、このようなポリビニルアセタール樹脂を用いた場合でも、樹脂そのものの弾性率が低いことにより、所望の耐衝撃性、耐貫通性が得られないという問題点があった。
特開平05−186250号公報 特開昭62−156112号公報
本発明は、透明性に優れるとともに、高い平衡弾性率を有し、合わせガラス用中間膜として用いた場合に優れた耐衝撃性能を発現することが可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、示差走査熱量測定を行った場合において、融点が150〜250℃、融解熱量が10〜100mJ/mgであり、かつ、アセタール化度が5〜50モル%であり、かつ、シンジオタクチック水酸基率が28〜60モル%であるポリビニルアセタール樹脂である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、示差走査熱量測定を行った場合における融点及び融解熱量、アセタール化度、並びに、シンジオタクチック水酸基率が所定の範囲内であるポリビニルアセタール樹脂を合わせガラス用中間膜に使用した場合、透明性に優れるとともに、高い平衡弾性率を有し、優れた耐衝撃性能も実現することが可能になることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、示差走査熱量測定を行った場合において、融点が150〜250℃、融解熱量が10〜100mJ/mgである。
なお、本発明において、示差走査熱量測定(DSC)とは、物質および基準物質の温度をプログラムに従って変化させながら、その物質と基準物質に対するエネルギー入力の差を温度の関数として測定する方法である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、示差走査熱量測定を行った場合において、融点の下限が150℃、上限が250℃である。上記融点が150℃未満であると、結晶存在による高弾性率効果を得ることができず、本発明効果を発揮できないことがある。また、250℃を超えると、結晶が肥大化されすぎて、透明性が低下することがある。上記融点の好ましい下限は170℃、好ましい上限は220℃である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、示差走査熱量測定を行った場合において、融解熱量の下限が10mJ/mg、上限が100mJ/mgである。上記融解熱量が10mJ/mg未満であると、合わせガラス用中間膜とした場合に平衡弾性率が低下、100mJ/mgを超えると、透明性が低下する。
上記融点の好ましい下限は11mJ/mg、好ましい上限は70mJ/mgである。
本発明のポリビニルアセタール樹脂について、10〜250℃で示差走査熱量測定を行った場合のDSC曲線の一例を図1に示す。なお、上方の曲線はDDSC曲線、下方の曲線はDSC曲線である。図1に示すDSC曲線において、192.9℃付近にピークトップを有するピークは、融解ピークいわゆる融点である。本発明において、融解熱量は、融解ピークの変曲点から変曲点を結んだ直線と融解ピークを構成するラインとで囲まれる部分の面積として定義される。なお、示差走査熱量測定は、例えば、示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス社製、DSC6220)を用いて行うことができる。
なお、示差走査熱量測定において、融解ピークが検出されない場合は、融点及び融解熱量が測定できないとして、本発明の範囲外とする。
DSCの測定条件としては、例えば、窒素フロー条件でファーストサイクルとして10℃/minで室温より250℃まで昇温し、5分保持した後に、10℃/minで10℃まで降温させる。続いて、セカンドサイクルとして5℃/minで250℃まで昇温させ、セカンドサイクルにて示されるDSC曲線を用いて融解熱量及び融点を評価する方法を用いることができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、シンジオタクチック水酸基率が28〜60モル%である。
上記シンジオタクチック水酸基率とは、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の立体的な状態を示し、ポリビニルアセタール樹脂中の全水酸基に対するシンジオタクチック水酸基の比率で表すことができる。なお、ポリビニルアセタール樹脂中の全水酸基量(モル%)、及び、シンジオタクチック水酸基量(モル%)は、13C−NMRで評価することができる。
測定方法の一例としては、例えば、シンジオタクチック水酸基量は、13C−NMRチャートでの63.5〜64.5ppmの積分比より求め、その値をAとし、ポリビニルアセタール樹脂中の全水酸基量は、62.5〜69.0ppmのようにして求め、その値をBとする。その後、シンジオタクチック水酸基率を、A/B×100(モル%)で表される式を用いて算出する方法が挙げられる。
上記シンジオタクチック水酸基率は、その比率が高いほど高融点化することになると考えられる。
上記シンジオタクチック水酸基率が28モル%未満であると、平衡弾性率の向上効果が見られず、60モル%を超えると、結晶化が進行しすぎて、可塑剤との相溶性が低下し、例えば、合わせガラス用中間膜として使用した場合に、可塑剤がブリードアウトを起こす。
上記シンジオタクチック水酸基率の好ましい下限は30モル%、好ましい上限は45モル%である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、アセタール環構造のメゾ/ラセモ比率の好ましい下限が60、好ましい上限が95である。上記アセタール環構造のメゾ/ラセモ比率が60未満であると、相対的にシンジオタクチック水酸基が増加することにより、成型粘度が上昇し、成型不良を起こすことがあり、メゾ/ラセモ比率が95を超えると、相対的にアイソタクティック水酸基が増加することにより、融点が低下し、高弾性率効果を発現しないことがある。より好ましい下限は80、より好ましい上限は90である。
なお、本発明において、「アセタール環構造のメゾ/ラセモ比率」とは、アセタール環の立体構造において、シンジオタクチック構造を有する水酸基から形成されるアセタール環構造(ラセモアセタール環)を有するアセタール基の量に対して、アイソタクティック構造を有する水酸基から形成されるアセタール環構造(メゾアセタール環)を有するアセタール基の量の比率であり、例えば、ポリビニルアセタール樹脂をジメチルスルホシキド等の溶剤に溶解させ、測定温度150℃においてプロトンNMRを測定し、4.5ppm付近に現れるメゾアセタール環構造に由来するピークと、4.2ppm付近に現れるラセモアセタール環構造に由来するピークの積分値を比較することや、カーボンNMRを測定し、100ppm付近に現れるメゾアセタール環構造に由来するピークと、94ppm付近に現れるラセモアセタール環構造に由来するピークの積分値を比較することによって測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(本明細書中、アセタール基がアセトアセタール基である場合には、アセトアセタール化度ともいい、アセタール基がブチラール基である場合には、ブチラール化度ともいう)は5〜50モル%である。上記アセタール化度が5モル%未満であると、合わせガラス用中間膜に使用する場合に透明性が低下する。上記アセタール化度が50モル%を超えると、相対的に水酸基量が少なくなり、結晶性が低下する。上記アセタール化度の好ましい下限は10モル%、好ましい上限は40モル%である。なお、アセタール化度とは、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除して求めたモル分率を百分率で示した値である。アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」を用いて測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール化度は、好ましい下限が5モル%、好ましい上限が40モル%である。アセトアセタール化度が5モル%未満であると、可塑剤との相溶性が低下しブリードすることがあり、アセトアセタール化度が40モル%を超えると、水酸基が減少することで耐貫通性が低下することがある。
本発明のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は50モル%、好ましい上限は95モル%である。上記水酸基量が50モル%未満であると、合わせガラスの耐貫通性が低下することがある。上記水酸基量が95モル%を超えると、合わせガラス用中間膜が硬くなりすぎるために取り扱い性に問題が生じることがある。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量のより好ましい下限は60モル%、より好ましい上限は90モル%である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除して求めたモル分率を百分率で示した値である。水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」を用いて原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は好ましい下限が1モル%、好ましい上限が25モル%である。上記アセチル基量が25モル%を超えると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがある。
なお、アセチル基量とは、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除して求めたモル分率を百分率で示した値である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は好ましい下限は1000、好ましい上限は3000である。上記平均重合度が1000未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがある。上記平均重合度が3000を超えると、樹脂の剛性が大きくなり過ぎるため、合わせガラス用中間膜の成形が困難になることがある。上記平均重合度のより好ましい下限は1500、より好ましい上限は2500である。
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、原料となるポリビニルアルコールの平均重合度によって求めることができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、通常、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより製造できる。
上記アルデヒドは、従来公知のアルデヒドを用いることが出来る。一般に、炭素数が1〜10のアルデヒドが用いられ、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド 、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。 その中でも、ブチルアルデヒドを用いて得られるポリビニルブチラールが最も好ましい。
特に、本発明のポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては、例えば、ポリビニルアルコールを溶媒に溶解する溶解工程、及び、ポリビニルアルコールをアセタール化するアセタール化工程を有し、樹脂を溶解させた状態で、3〜10時間かけてアセタール化工程を行う方法を用いることが好ましい。
このような方法を用いることで、融点及び融解熱量が所定の範囲内であるポリビニルアセタール樹脂が得られる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の製造方法において、「樹脂を溶解させた状態」とは、ポリビニルアルコール及び得られるポリビニルアセタール樹脂が目視で無色透明であるといえることを意味する。
上記溶解工程において、使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。
上記有機溶媒としては、炭化水素類、ケトン類、アルコール類、グリコール類等を用いることができる。
上記炭化水素類としては、トルエン、クロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、又は、アミルメチルケトン等が挙げられ、上記アルコール類としては、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノ―ル、又は、ドデシルアルコール等が挙げられ、上記グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、又は、トリエチレングリコール等が挙げられる。
上記アセタール化工程におけるアセタール化反応の時間は3〜10時間であることが好ましい。上記アセタール化反応の時間が3時間未満であると、アセタール化度が低下し、結晶性が低くなる。10時間を超えると、樹脂劣化が起こり黄変する原因となることがある。好ましくは4〜6時間である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂を用いて成形することで合わせガラス用中間膜が得られる。このような合わせガラス用中間膜もまた本発明の1つである。
本発明の合わせガラス用中間膜は、可塑剤を用いることが好ましい。
上記可塑剤として、例えば、一塩基性有機酸エステル系可塑剤、多塩基性有機酸エステル系可塑剤、有機リン酸系可塑剤等を用いることができる。
上記一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)又はデシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステルが挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール−ジ−カプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート等のトリエチレングリコールの一塩基性有機酸エステルが好適に用いられる。
上記多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸又はアゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールとのエステル等が挙げられる。なかでも、ジブチルセバシン酸エステル(例えばトリエチレングリコール−ジ−ブチルセバケート等)、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適に用いられる。
上記有機リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20〜60重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜50重量部である。上記可塑剤の含有量が20重量部未満であると、得られる合わせガラス用中間膜や該合わせガラス用中間膜が用いられた合わせガラスの衝撃吸収性が不充分となることがあり、60重量部を超えると、可塑剤がブリードアウトして得られる合わせガラス用中間膜や合わせガラスの光学歪みが大きくなったり、透明性やガラスと合わせガラス用中間膜との接着性等が損なわれたりすることがある。
本発明の合わせガラス用中間膜は、接着力調整剤を含有することが好ましい。特に、合わせガラスを製造するときには、上記接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記接着力調整剤としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、変成シリコーンオイル等が好適に用いられる。上記接着力調整剤として、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。
上記塩を構成する酸としては、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、2−エチル酪酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸の有機酸、又は、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。合わせガラスを製造するときに、ガラスと合わせガラス用中間膜との接着力を容易に調製できることから、接着力調整剤として、マグネシウム塩を用いることが好ましい。
上記接着力調整剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は0.1重量部である。上記接着力調整剤の含有量が上記下限以上であると、耐貫通性により優れた合わせガラス用中間膜とすることができる。上記接着力調整剤の含有量が上記上限以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性がより一層向上する。
本発明の合わせガラス用中間膜は、マロン酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤;酸化防止剤;光安定剤;界面活性剤;難燃剤;帯電防止剤;耐湿剤;熱線反射剤;熱線吸収剤;キレート剤;耐候剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、本発明のポリビニルアセタール樹脂と、他のポリビニルアセタール樹脂とを含有するポリビニルアセタール樹脂組成物を、本発明のポリビニルアセタール樹脂の融点−20℃〜融点+20℃の範囲内で熱延伸させて得られるものであることが好ましい。
熱延伸工程としては、所望の温度にて5分間静止させて、一方向に1〜10cm/minで延伸する方法が好ましい。
このような合わせガラス用中間膜は、耐衝撃性に優れ、かつ、耐熱劣化性を向上させることができるという利点がある。
上記他のポリビニルアセタール樹脂としては、本発明のポリビニルアセタール樹脂と異なるものであれば、特に限定されず、合わせガラス用中間膜に使用される一般的なポリビニルアセタール樹脂を使用することができる。具体的には、他のポリビニルアセタール樹脂としては、重合度1700、ブチラール基量68モル%、水酸基量31モル%、アセチル基量1モル%のものを使用することが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜において、本発明のポリビニルアセタール樹脂の含有量は、他のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましい。本発明のポリビニルアセタール樹脂の含有量が1重量部未満であると、効果発現が見込めないことがあり、30重量部を超えると、透明性が悪化することがある。
より好ましくは10〜20重量部である。
本発明は、本発明のポリビニルアセタール樹脂の融点−20℃〜融点+20℃の範囲内で熱延伸させて得られるものである。熱延伸における温度が、本発明のポリビニルアセタール樹脂の融点−20℃未満であると、樹脂同士が混和されず、得られる合わせガラス用中間膜は平衡弾性率が低いものとなる。本発明のポリビニルアセタール樹脂の融点+20℃を超えると、樹脂劣化による黄変が発生することがある。
少なくとも二枚のガラス板の間に、本発明の合わせガラス用中間膜が挟着されてなる合わせガラスも本発明の1つである。
上記ガラス板としては特に限定されず、従来公知の透明板ガラス等を用いることができる。
また、ガラス板の代わりにポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の透明性のプラスチック板を用いてもよい。
上記合わせガラスを製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
上記合わせガラスは、合わせガラス用中間膜の含水率2重量%以下の領域で測定したパンメル値が3〜8であることが好ましい。
なお、パンメル値とは、合わせガラスを−18℃±0.6℃の温度に16時間放置し、この合わせガラスの中央部を頭部が0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、ガラスが部分剥離した後の膜の露出度(面積%)により規定した値であり、表1で定義される。
Figure 0006316054
本発明によれば、透明性に優れるとともに、高い平衡弾性率を有し、合わせガラス用中間膜として用いた場合に優れた耐衝撃性能を発現することが可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供できる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂について、示差走査熱量測定を行った場合のDSC曲線の一例である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド13gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が溶解していることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は5モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は94モル%であった。
また、以下の方法で測定した融点は194℃、融解熱量は21.5mJ/mgであった。
(融点)
得られたポリビニルアセタール樹脂について、示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス社製、DSC6220)を用いてDSC測定を行った。温度プログラムとして、ファーストサイクルとして10℃から250℃まで10℃/分で昇温し、250℃から10℃まで10℃/分で降温した。セカンドサイクルとして10℃から250℃まで5℃/分で昇温し、セカンドサイクルにおけるDSC曲線より融点を読み取った。本測定は窒素雰囲気下にて行い、保持時間は何れも5分とした。
なお、融解ピークが出現しない場合には、融点が「無」であるとした。
(融解熱量)
上記「(融点)」と同様の方法で、DSC測定を行い、DSC曲線における融解ピークの変曲点から変曲点を結んだ直線と融解ピークを構成するラインとで囲まれる部分の面積を求めることで融解熱量を算出した。なお、融解ピークが出現しない場合には、融解熱量が「無」であるとした。
(2)合わせガラス用中間膜の製造
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレツクBH−8)100重量部に対して、得られたポリビニルブチラール樹脂5重量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)40重量部、及び、接着力調整剤として酢酸マグネシウムを0.05重量部添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練し、押出機を用いて成型した後、190℃で一軸延伸することにより、平均膜厚8.0mmの合わせガラス用中間膜を得た。
(3)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を、その両端から透明なフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み込み、これをゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
(実施例2)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド26gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が溶解していることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は10モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は89モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定した融点は195℃、融解熱量は11.4mJ/mgであった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例3)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド52gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が溶解していることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は20モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は79モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定した融点は186℃、融解熱量は11mJ/mgであった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例4)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
エタノール/トルエンをそれぞれ1:1の重量比で混合した溶液3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド79gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が溶解していることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は30モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は69モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定した融点は172℃、融解熱量は10.5mJ/mgであった。
(2)合わせガラス用中間膜の製造
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレツクBH−8)100重量部に対して、得られたポリビニルブチラール樹脂1重量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)40重量部、及び、接着力調整剤として酢酸マグネシウムを0.05重量部添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、押出機を用いて成型した後、170℃で一軸延伸することにより、平均膜厚8.0mmの合わせガラス用中間膜を得た。
(3)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例5)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
実施例2と同様の方法でポリビニルブチラール樹脂を作成した。
(2)合わせガラス用中間膜の製造
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレツクBH−8)100重量部に対して、得られたポリビニルブチラール樹脂1重量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)40重量部、及び、接着力調整剤として酢酸マグネシウムを0.05重量部添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、押出機を用いて成型した後、190℃で一軸延伸することにより、平均膜厚8.0mmの合わせガラス用中間膜を得た。
(3)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例6)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
実施例2と同様の方法でポリビニルブチラール樹脂を作成した。
(2)合わせガラス用中間膜の製造
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレツクBH−8)100重量部に対して、得られたポリビニルブチラール樹脂10重量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)40重量部、及び、接着力調整剤として酢酸マグネシウムを0.05重量部添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、押出機を用いて成型した後、190℃で一軸延伸することにより、平均膜厚8.0mmの合わせガラス用中間膜を得た。
(3)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(比較例1)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
メタノール3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド145gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が一部未溶解となっていることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は55モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は44モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定したところ、融点、融解熱量は「無」であった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(比較例2)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド26gを加え、この温度を2時間保持して反応を完了させた。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は10モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は89モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定したところ、融点、融解熱量は「無」であった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(比較例3)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
メタノール3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド8gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が一部未溶解となっていることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は3モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は96モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定した融点は195℃、融解熱量は13.5mJ/mgであった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(比較例4)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド13gを加え、この温度を1時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が溶解していることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は5モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は94モル%であった。
また、実施例1と同様の方法で測定したところ、融点、融解熱量は「無」であった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(比較例5)
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水3159gに、平均重合度1700、けん化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を288gを加えて加熱溶解した。
反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸357gとn−ブチルアルデヒド79gを加え、この温度を5時間保持して反応を完了させた。なお、反応中は樹脂成分が一部未溶解となっていることを目視にて確認した。
その後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−dに溶解させ、2重量%の溶液とした後、プロトンNMRを用いて計算したところ、ブチラール化度は30モル%、アセチル基量は1モル%、水酸基量は69モル%であった。また、実施例1と同様の方法で測定した融点は149℃、融解熱量は3.8mJ/mgであった。
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、表2記載の延伸温度、添加量にて合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて以下の評価を行った。
[樹脂の評価]
(1)シンジオタクチック水酸基率
得られたポリビニルアセタール樹脂を重水素化ジメチルスルホシキドに溶解し、測定温度25℃においてカーボンNMRを測定し、62.0〜70.0ppm間の全吸収強度を樹脂中の水酸基を100モル%とし、64.1〜64.8ppm間の吸収をシンジオタクチック水酸基強度として、下記の通り算出した。
シンジオタクチック水酸基率(モル%)=((シンジオタクチック水酸基強度)/(全吸収強度))×100
(2)メゾ/ラセモ比率
得られたポリビニルアセタール樹脂を重水素化ジメチルスルホシキドに溶解し、測定温度150℃においてプロトンNMRを測定し、4.5ppm付近に現れるメゾアセタール環構造に由来するピークと、4.2ppm付近に現れるラセモアセタール環構造に由来するピークの積分値を比較することでメゾ/ラセモ比率を求めた。
[合わせガラス用中間膜の評価]
(3)平衡弾性率測定
粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック社製、ARES)を用いて粘弾性測定を行った。なお、サンプルのジオメトリーには8mmのパラレルプレートを用いた。サンプルサイズは直径8mmの円状にフィルムを切り出し、測定プログラムとしては、測定周波数1.0Hz歪みを1.0%に設定し、昇温速度5.0℃/minで温度分散測定を行った。平衡弾性率は、tanδピーク値温度より+30℃の弾性率を平衡弾性率として評価した。得られた平衡弾性率が3.00E+07Paを超える場合を「○」、3.00E+07〜1.00E+07Paである場合を「△」、1.00E+07Pa未満である場合を「×」として評価した。
[合わせガラスの評価]
(4)パンメル値
得られた合わせガラスを−18℃±0.6℃の温度に16時間放置し、この合わせガラスの中央部を頭部が0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、ガラスが部分剥離した後の膜の露出度(面積%)を算出した後、表2を用いてパンメル値を評価した。なお、上記パンメル値が3〜8であることが好ましい。
(5)ヘイズ値
JIS K 6714に準拠した方法で、得られた合わせガラスのヘイズ値を積分式濁度計(東京電色社製)を用いて、340〜1800nmの光線に対するヘイズ値を測定した。測定したヘイズ値が0.5未満である場合を「○」、0.5〜0.7である場合を「△」、0.7を超える場合を「×」として評価した。
Figure 0006316054
本発明によれば、透明性に優れるとともに、高い平衡弾性率を有し、合わせガラス用中間膜として用いた場合に優れた耐衝撃性能を発現することが可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供できる。

Claims (3)

  1. 示差走査熱量測定を行った場合において、融点が150〜250℃、融解熱量が10〜100mJ/mgであり、アセタール化度が5〜50モル%であり、かつ、シンジオタクチック水酸基率が28〜60モル%である
    ことを特徴とするポリビニルアセタール樹脂。
  2. 請求項1載のポリビニルアセタール樹脂を用いてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  3. 少なくとも二枚のガラス板の間に、請求項記載の合わせガラス用中間膜が挟着されてなることを特徴とする合わせガラス。
JP2014066530A 2014-03-27 2014-03-27 ポリビニルアセタール樹脂 Active JP6316054B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014066530A JP6316054B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 ポリビニルアセタール樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014066530A JP6316054B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 ポリビニルアセタール樹脂

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015189803A JP2015189803A (ja) 2015-11-02
JP6316054B2 true JP6316054B2 (ja) 2018-04-25

Family

ID=54424610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014066530A Active JP6316054B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 ポリビニルアセタール樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6316054B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6403970B2 (ja) * 2014-03-31 2018-10-10 積水化学工業株式会社 ポリビニルアセタール樹脂
CN108779210A (zh) * 2016-03-31 2018-11-09 积水化学工业株式会社 聚乙烯醇缩醛离聚物树脂材料、聚乙烯醇缩醛离聚物树脂膜以及夹层玻璃

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60177005A (ja) * 1984-02-21 1985-09-11 Sekisui Chem Co Ltd 光学式情報記録体
JPS62156112A (ja) * 1985-09-27 1987-07-11 Kao Corp 冷水可溶性ポリビニルアルコ−ル誘導体
JP2710838B2 (ja) * 1989-08-11 1998-02-10 株式会社クラレ ポリビニルアセタールおよびその製造方法
JPH04114005A (ja) * 1990-09-05 1992-04-15 Kuraray Co Ltd ポリビニルアセタールおよびフイルム
JP4057071B2 (ja) * 1994-11-24 2008-03-05 積水化学工業株式会社 ポリビニルアセタールの製造方法、ポリビニルアセタール、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
JP2011102341A (ja) * 2009-11-10 2011-05-26 Sekisui Chem Co Ltd ポリビニルアセタールの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015189803A (ja) 2015-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5913102B2 (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
JP6262975B2 (ja) ポリビニルアセタール樹脂
JP2010235432A (ja) 合わせガラス用中間膜、及び、合わせガラス
JP7411639B2 (ja) 合わせガラスの中間膜用変性ビニルアセタール樹脂
JP5469279B1 (ja) 層間接着性に優れる積層体
JP6316054B2 (ja) ポリビニルアセタール樹脂
JP6564324B2 (ja) 合わせガラス用中間膜、及び、合わせガラス
JP4365559B2 (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
JP2004067427A (ja) 合わせガラス用中間膜および合わせガラス
WO2017171042A1 (ja) ポリビニルアセタールアイオノマー樹脂フィルム及び合わせガラス
JPH1036146A (ja) 遮音性合わせガラス
JP6570755B1 (ja) 樹脂発泡体
JP4365560B2 (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
WO2017171041A1 (ja) ポリビニルアセタールアイオノマー樹脂材、ポリビニルアセタールアイオノマー樹脂フィルム及び合わせガラス
JP6434689B2 (ja) 中間膜用ポリビニルアセタール樹脂
JP2007039300A (ja) 合わせガラス用中間膜および合わせガラス
JP2011225432A (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
JP2002326844A (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
CN108883623B (zh) 包含流动性减小的增塑的聚乙烯醇缩醛层的多层膜
WO2017057498A1 (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
JP4125835B2 (ja) 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
JP6033753B2 (ja) 層間接着性に優れる積層体
JP2017071771A (ja) ポリビニルアセタール樹脂組成物
JP2023544293A (ja) 高温でクリープ性が低減した合わせガラス
JP2000103653A (ja) 中間膜用組成物、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180327

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6316054

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250