JP6315758B2 - フッ素樹脂基材、プリント基板、表示パネル、表示装置、タッチパネル、照明装置、及びソーラパネル - Google Patents

フッ素樹脂基材、プリント基板、表示パネル、表示装置、タッチパネル、照明装置、及びソーラパネル Download PDF

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Description

本発明は、表面改質されたフッ素樹脂基材、並びに、このフッ素樹脂基材を有するプリント基板、表示パネル、表示装置、タッチパネル、照明装置及びソーラパネルに関する。
液晶パネル、有機ELパネル(organic electroluminescence panel)等の表示パネルでは、画素(液晶や発光層)をガラス基板で支持する。また、タッチパネルにもガラス基板が用いられている。しかし、ガラス基板は曲げの力に対して脆いため、従来構造では表示パネルやタッチパネルに可撓性を持たせることは難しい。このため、表示パネルの可撓性を実現するため、ガラス基板に替えて樹脂製の透明シートの採用が検討されている(特許文献1参照)。ここで、透明シートに要求される特性としては、高い光透過率、他の部材に対する接着性(すなわち表面活性)、及び製造過程における加熱に耐えうる耐熱性である。
ソーラパネルでは、保護シートとして樹脂製の透明シートが採用されている。この透明シートについても、同様の要求がある。すなわち、透明シートには、発電効率を高める若しくは従来と同様の発電効率を維持するための高い光透過率、他の部材に対する接着性、及び製造過程における耐熱性が要求されている。
特開2005−99410号公報
液晶パネルにおいては、透明シートとして、ポリイミド樹脂の採用が検討されている。しかし、耐熱性については十分にその要求に応えることができるものの、光透過率に関しては課題が残る。これに対して、フッ素樹脂シートは、優れた光透過率及び耐熱性を有するが、接着性(すなわち表面活性)がポリイミドシートに比べて劣るため、その採用が検討されていないのが実情である。また、ソーラパネルにおいても、同様の理由により、フッ素樹脂基材の採用が検討されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性を有するフッ素樹脂基材、並びに、このフッ素樹脂基材を有するプリント基板、表示パネル、表示装置、タッチパネル、照明装置、及びソーラパネルを提供することにある。
本発明に係るフッ素樹脂基材は、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上のフッ素樹脂層と、このフッ素樹脂層の表面の少なくとも一部に形成されている改質層とを有し、前記改質層は、シロキサン結合構造を有し、シロキサン基以外の官能基を含み、かつ純水との接触角が90°以下の親水性を有する。
上記フッ素樹脂基材は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性を有する。
実施形態に係るフッ素樹脂基材の断面図である。 プリント基板の平面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 プリント基板の他の例を示す平面図である。 回路モジュールの模式図である。 フッ素樹脂基材の製造方法を示す模式図である。 実施形態に係る有機ELパネルの模式図。 実施形態に係る液晶パネルの模式図。 実施形態に係る反射型表示パネルの模式図。 実施形態に係るタッチパネルの模式図。 実施形態に係る他の構造のタッチパネルの模式図。 実施形態に係る照明装置の模式図。 実施形態に係るソーラパネルの模式図。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明に係るフッ素樹脂基材は、(1)50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上のフッ素樹脂層と、このフッ素樹脂層の表面の少なくとも一部に形成されている改質層とを有し、前記改質層は、シロキサン結合構造を有し、シロキサン基以外の官能基を含み、かつ純水との接触角が90°以下の親水性を有する。
改質層は、純水との接触角が90°以下の親水性を有するため、フッ素樹脂基材は反応性に富む。ここで、「反応性に富む」には、接着性などの物理的作用が大きいことを含む。このため、このフッ素樹脂基材は表面活性である。また、この改質層は、シロキサン結合構造を有するため経時的に安定である。
すなわち、上記構成のフッ素樹脂基材は、従来のフッ素樹脂基材に比べて、表面改質状態(表面活性である状態)が安定している。なお、表面改質状態とは、元のフッ素樹脂基材に比べて表面活性になっていることを意味する。すなわち、表面改質状態とは、元のフッ素樹脂基材に比べて、極性溶媒に対して表面の接触角が小さくなっていること、化学物質との反応性が高くなっていること、または樹脂との接着性(剥離強度)が高くなっていることの少なくとも1つを満たすことを意味する。
フレキシブル基板に使用されている従来のポリイミドシートでは、厚さ50μmにおいて波長600nmの光の透過率が70%以下であり、透過率が低い。これに対して、上記構成では、また、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であるフッ素樹脂層を有する。シロキサン結合構造は可視光を殆ど吸収しない。すなわち、このフッ素樹脂基材は、従来のポリイミドシートに比べて、光透過率が高い。
このフッ素樹脂基材は、光透過率が高く、かつ表面活性に改質されて他の部材との接着性も良好であるため、例えば表示パネル、タッチパネル、ソーラパネル等の光を透過させる部分を有する装置において、入光部または出光部に好適に用いることができる。
(2)フッ素樹脂基材の前記改質層が形成されている部分において、エポキシ樹脂接着剤を介して接着されるポリイミドシートの剥離強度が1.0N/cm以上であることが好ましい。この構成により、フッ素樹脂基材からポリイミドシートを剥がれにくくすることができる。なお、剥離強度の値は、JIS K 6854 −2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法により測定される値を示す。
(3)上記フッ素樹脂基材の前記改質層は次の構成を有することが好ましい。
すなわち、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下であって、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるエッチング液を使用して45℃以下、2分以内の条件で浸漬するエッチング処理に対して、改質層はエッチング耐性を有することが好ましい。
この構成により、フッ素樹脂基材に金属層を形成してエッチング処理を行ったとしても、フッ素樹脂基材の表面改質状態(表面活性)を維持することができる。このため、エッチング処理後にフッ素樹脂基材に対して各種の処理を行ったとき、その処理後の状態を良好なものとすることができる。
(4)上記フッ素樹脂基材において、前記改質層の平均表面粗さがRa4μm以下である領域を有することがより好ましい。
この構成によれば、当該領域における光の散乱を低減することができるためフッ素樹脂基材の光透過率を更に高くすることができる。
(5)上記フッ素樹脂基材において、前記改質層の厚さが平均400nm以下であることが好ましい。
この構成により、改質層の厚さを平均400nmよりも大きくする場合に比べて、当該領域における光の散乱と吸収を低減することができるためフッ素樹脂基材の光透過率を更に高くすることができる。
(6)上記フッ素樹脂基材は、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であることが好ましい。
この構成によれば、このフッ素樹脂基材を被覆材として用いる場合において、水蒸気透過率が0.1g/m・24hよりも高いフッ素樹脂を用いる場合に比べて、水による被覆対象物の劣化を抑制することができる。なお、蒸気透過率は、JIS K 7126(プラスチックフィルム及びシートの気体透過度測定方法)に準じた方法で測定した値である。
(7)実施形態に係るプリント基板は、上記フッ素樹脂基材を有し、前記改質層が設けられている部分において、この部分の少なくとも一部に導電配線を有する。すなわち、導電配線が改質層を介してフッ素樹脂に接着する。このため、導電配線の剥離を抑制することができる。
(8)実施形態に係る表示パネルは、発光層と、この発光層を保持し、この発光層の光を外部に放出させる面に構成された透明シートとを備え、前記透明シートとして上記フッ素樹脂基材が用いられている。
上記フッ素樹脂基材は、光透過率が高く、耐熱性に優れかつ表面活性である。また、フッ素樹脂には耐候性がある。
すなわち、このフッ素樹脂基材は表面活性があることから、従来のフッ素樹脂基材に比べて接着物の接着、層形成、表面処理等が簡単に行うことが可能である。すなわち、フッ素樹脂基材は、各種製品の構成部材への適用(接着や圧着等)が容易であるという加工容易性を有する。また、他の透明樹脂部材を使用する場合に比べて、製造過程における加熱によって生じる変形が小さい。また、フッ素樹脂基材は耐候性があるため、他の透明樹脂部材に比べて、室外においてもその劣化が小さい。更に、フッ素樹脂基材は光透過率が高いことから、表示パネルの輝度を高めることができる。表示装置は、このように優れた特性を有するフッ素樹脂基材を有するため、従来のフッ素樹脂基材を有する表示装置に比べて、製造性(製造が容易であること)、耐候性及び輝度に優れる。
(9)他の実施形態に係る表示パネルは、液晶と、この液晶を保持し、この液晶を透過する光を外部に放出させる面に構成された透明シートとを備え、前記透明シートとして上記フッ素樹脂基材が用いられている。このような形態の表示パネルにおいても、透明シートとして上記フッ素樹脂基材が用いられているため、上記表示パネルと同様の効果を有する。
(10)他の実施形態に係る表示パネルは、電気泳動素子と、この電気泳動素子を保持し、この電気泳動素子に反射する光を外部に放出させる面に構成された透明シートとを備え、前記透明シートとして、上記フッ素樹脂基材が用いられている。このような形態の表示パネルにおいても、透明シートとして上記フッ素樹脂基材が用いられているため、上記記載の表示パネルと同様の効果(製造性及び耐候性に優れるという効果)を有する。なお、この種の表示パネルは、反射型表示パネルとして構成されることが多い。フッ素樹脂基材は光透過率が高いことから、従来の透明樹脂部材を採用する反射型表示パネルに比べて、光を透過しやすくかつ電気泳動素子で反射する光を外部に放出しやすい。このため、この表示装置は視認性が高くなる。
(11)他の実施形態に係る表示パネルは、発光層、液晶、または電気泳動素子を制御する薄型電界効果トランジスタが配置されているTFT回路基板と、発光層、液晶、または電気泳動素子を覆う透明シートとを備え、前記TFT回路基板の支持基材及び前記透明シートが共に上記フッ素樹脂基材である。
薄型電界効果トランジスタ(以下、「TFT」という。)を300℃程度で製造する技術が提案されている。一方、フッ素樹脂は300℃程度の耐熱性を有する。そして、上記フッ素樹脂基材は、従来のフッ素樹脂基材に比べて、表面活性であり、積層膜の形成が容易である。このようなことから、上記フッ素樹脂基材にTFT回路を形成することができる。そして、このようなTFT回路基板は、ガラスにTFT回路を形成した回路基板に比べて、可撓性がある。また、透明シートは、上記フッ素樹脂基材により構成されている。すなわち、この表示パネルは可撓性を有する。
(12)実施形態に係る表示装置は、上記表示パネルを有する。
この表示装置によれば、上記構成の表示パネルを有するため、製造性、耐候性及び輝度(または視認性)に優れる。
(13)実施形態に係るタッチパネルは、互いに対向して配置される第1及び第2の透明電極と、これら透明電極をそれぞれ支持する2枚の透明シートとを備え、前記透明シートとして、上記フッ素樹脂基材が用いられている。
上記フッ素樹脂基材は、光透過率が高く、耐熱性に優れかつ表面活性である。また、フッ素樹脂には耐候性がある。すなわち、このフッ素樹脂基材は、表面活性があることから、従来のフッ素樹脂基材に比べて、加工容易性に優れている。また、他の透明樹脂部材を使用する場合に比べて、製造過程における加熱によって生じる変形が小さい。また、他の透明樹脂部材に比べて、室外においてもその劣化が小さい。更に、光透過率が高いことから、タッチパネルの光透過率を高めることができる。すなわち、このタッチパネルは、製造性、耐候性及び視認性に優れる。
(14)実施形態に係る照明装置は、発光層と、この発光層を支持する透明シートとを備え、前記透明シートとして、上記フッ素樹脂基材が用いられている。
上記フッ素樹脂基材は、加工容易性、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性である。また、光透過率が高いことから、照明装置の省エネを図ることができる。すなわち、この照明装置は、製造性及び省エネ性に優れる。
(15)実施形態に係るソーラパネルは、保護シートと、太陽電池とを備え、前記保護シートとして、上記フッ素樹脂基材が用いられている。
上記フッ素樹脂基材は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性である。また、光透過率が高いことから、ソーラパネルの発電効率を向上させることができる。すなわち、このソーラパネルは、製造性及び発電効率に優れる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るフッ素樹脂基材、プリント基板、表示パネル、表示装置、タッチパネル、照明装置、及びソーラパネルの具体例を、図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びこの特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[フッ素樹脂基材]
図1を参照して、フッ素樹脂基材1について説明する。
フッ素樹脂基材1は、フッ素樹脂により形成されるフッ素樹脂層2と、このフッ素樹脂層2の表面の少なくとも一部に形成されている改質層3とを有する。なお、ここで、フッ素樹脂層2の表面とは、フッ素樹脂層2における一面とこの反対側の他面とを含むフッ素樹脂層2の全周面をいう。図1では、片面の全体に改質層3が形成された構成となっているが、これは一例であって、改質層3の形成される領域は、片面の一部であってもよいし、また、両面の全体または両面それぞれの一部分であってもよい。
フッ素樹脂層2を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの3種類のモノマーからなる熱可塑性フッ素樹脂)、フロオロエラストマー、等が挙げられる。また、これら化合物を含む混合物やコポリマーが、フッ素樹脂層2を構成する材料として用いられる。また、その用途により、曲げ強度や耐熱性や放熱性を向上させるため、フィラーを含むフッ素樹脂がフッ素樹脂層2を構成する材料として用いられる。また、フッ素樹脂基材1の曲げ強度を向上させるため、フッ素樹脂層2にファイバシート(例えば、ガラスクロス)層を設けてもよい。また、フッ素樹脂層2に中空構造を設けてもよい。
フッ素樹脂層2は、次の光学特性を有する。
すなわち、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更に、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。表示パネル、表示装置、タッチパネル、ソーラパネル等、光を利用する装置は、透明シートを介して光を放射(出光)し、または入光する。このため、これらの装置において、上記構成のフッ素樹脂層2を有するフッ素樹脂基材1を用いることにより、光の利用効率を高めることができる。
更に、このフッ素樹脂層2は、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上であることが、より好ましい。これにより、光を利用する装置に、このフッ素樹脂基材1を用いるとき光の利用効率を更に高めることができる。
また、フッ素樹脂基材1は次の構成を備えることが好ましい。
フッ素樹脂基材1は、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であることが好ましい。このような構成によれば、フッ素樹脂基材1によって水蒸気を遮断することができる。このため、このフッ素樹脂基材1は、水蒸気の侵入で性能が劣化する装置に採用される。例えば、有機発光材料は水蒸気により劣化するため、有機ELパネルでは、水蒸気透過率の低い保護シートが必要とされる。このような用途に、上記構成のフッ素樹脂基材1が好適に採用される。
また、フッ素樹脂基材1は、吸水率が0.01質量%以下であることが好ましい。
この特性により、フッ素樹脂基材1の吸水による体積膨張、または吸水した水の凍結によるフッ素樹脂基材1の劣化を抑制することができる。また、フッ素樹脂基材1が被覆材として用いられる場合には、被覆対象物が水分によって変質することまたは劣化することを抑制することができる。
また、フッ素樹脂基材1は、その用途により、可撓性を有することが好ましい。例えば、このフッ素樹脂基材1は、可撓性の表示パネルに用いることができる。
また、フッ素樹脂基材1は、その用途により、適度な弾性を備えることが好ましい。この場合、フッ素樹脂の結晶度を高くする。
更に、フッ素樹脂基材1は難燃性であることが好ましい。例えば、フッ素樹脂基材1は、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.)が策定するUL規格の一種であるUL−94またはV−0を満たすことが好ましい。これにより、フッ素樹脂基材1の安全性が高くなるため、その用途が拡大する。
改質層3は、シロキサン結合構造を有する。また、改質層3とフッ素樹脂層2とは互いに化学結合する。改質層3とフッ素樹脂層2の間には多数の化学結合が存在するが、これらの化学結合は、共有結合だけで構成される場合、または、共有結合及び水素結合の両者を含む場合のいずれかの構成であると考えられる。また、改質層3は、シロキサン基以外の他の官能基も有する。改質層3は親水性を有する。
改質層3とフッ素樹脂層2とが互いに共有結合している部分について説明する。
シロキサン結合を構成するSi原子(以下、この原子を「シロキサン結合のSi原子」という。)は、N原子、C原子、O原子、及びS原子のいずれか少なくとも1つの原子を介してフッ素樹脂層2のC原子と共有結合する。例えば、シロキサン結合のSi原子は、次の原子団を介してフッ素樹脂層2のC原子と結合する。原子団としては、−O−、−S−、−S−S−、−(CH)n−、−NH−、−(CH)n−NH−、−(CH)n−O−(CH)m−(n,mは1以上の整数である。)等が挙げられる。
また、この改質層3は、次のエッチング耐性を有することが好ましい。
すなわち、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下であって、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるエッチング液を使用して、45℃以下、2分以内の条件で浸漬するエッチング処理に対して、改質層3が除去されないことが好ましい。ここで、改質層3が除去されないとは、親水性が失われないことを示し、改質層3が設けられた部分における水に対する接触角が90°を超えないことを示す。なお、エッチング処理により、改質層3が形成されている領域において疎水性を示す微小部分が斑状に生じる場合もあるが、この領域全体としては親水性を有する場合は、このような状態は親水性が維持されているものとする。
また、改質層3は、塩化銅含有のエッチング液に対するエッチング耐性を有することが好ましい。なお、改質層3が、塩化鉄含有のエッチング液に対して上記エッチング耐性を有する場合は、この改質層3は、塩化銅含有のエッチング液に対して上記エッチング耐性を有することが確認されている。
改質層3が形成されている部分は、純水に対する接触角が90°以下となっていることが好ましい。接触角が90°よりも大きいとき、接着物の接着強度(すなわち剥離強度)が低くなるためである。より好ましくは、改質層3が形成されている部分の接触角は80°以下である。ここで、接触角は、接触角測定器(ERMA製、G-I-1000)により測定される値である。なお、接着物としては、例えば、導電性接着剤、異方導電性接着剤、カバーレイフィルムの接着剤、基板同士を接着するためのプリプレグ樹脂、コーティング樹脂、半田レジスト、電磁波シールド材、熱伝導材、強化剤、接着剤、タック付与剤、インク、導電性ペースト、導電配線、部品を固定及び補強するための接着剤、カバーレイフィルム等が挙げられる。
更に、改質層3が形成されている部分において、改質層3の表面と水との接着エネルギは50dyne/cm以上であることが好ましい。この値は、従来のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)よりも高い。すなわち、このような特性によれば、従来のフッ素樹脂に比べて接着性が高くなる。
改質層3の厚さは平均400nm以下であることが好ましく、更に好ましくは平均200nm以下である。なお、改質層3の厚さは光干渉式膜厚測定機、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)、電子顕微鏡で測定される距離である。このように改質層3の厚さを規定することにより、改質層3を設けることに起因する光透過率の低下を抑制することができる。
改質層3は、親水性の官能基を有する。この官能基は、シロキサン結合を構成するSi原子に結合している。
改質層3が親水性の官能基を有することにより、フッ素樹脂基材1が親水性になり、その表面の濡れ性が向上する。このため、フッ素樹脂基材1を極性溶媒中で表面処理する場合において、その処理速度や表面処理の均一性(処理の斑がないこと)を向上させることができる。
官能基は、フッ素樹脂基材1に付けられる接着剤、被覆樹脂、被覆部材、及びインクに対して活性であるものが好ましい。
フッ素樹脂基材1に付けられる接着剤としては、例えば、導電性接着剤、異方導電性接着剤、カバーレイフィルムの接着剤、基板同士を接着するためのプリプレグ樹脂が挙げられる。接着剤を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、PEEK(polyetheretherketone)、PAI(Polyamide imide)、PES(poly ether sulfone)、SPS(syndiotactic polystyrene)またはこれらの1または2以上を含む樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂について電子線やラジカル反応等により架橋し、こうして得られた樹脂を接着剤の材料として用いてもよい。
官能基の選択により、エポキシ樹脂接着剤を有するポリイミドシート(カバーレイフィルムとして用いられるシート)の剥離強度を所定値以上に設定することができる。なお、この種のフッ素樹脂基材1が用いられる回路モジュールにおいて要求される信頼性の観点から、エポキシ樹脂接着剤を有するポリイミドシート(カバーレイフィルムとして用いられるシート)の剥離強度は1.0N/cm以上であることが好ましい。更に好ましくは、この剥離強度は5.0N/cm以上である。
官能基として、例えば、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、及びメルカプト基が挙げられる。なお、改質層3は、これら官能基の群から選択される少なくとも1種を有する。すなわち、改質層3には、2種以上の官能基が含まれる場合もある。改質層3に異なる性質の官能基を付与することにより、フッ素樹脂基材1の反応性を多様なものとすることができる。これにより、フッ素樹脂基材1において、多種多様な接着物についてその接着性を向上させることができる。
官能基は、シロキサン結合構造の構成要素であるSi原子に直接または1個または複数個のC原子(例えば、メチレン基やフェニレン基)を介して結合している。
フッ素樹脂基材1において、透明性が要求される領域は、改質層3の表面粗さを規定することが好ましい。例えば、この領域の平均表面粗さはRa4μm以下に設定される。また、より好ましくは、この領域の平均表面粗さはRa2μm以下に設定される。ここで、平均表面粗さとは算術平均粗さ(JIS B 0601(2001年))を示す。このように改質層3の表面粗さを規定することにより、この領域の光透過率を向上させることができる。例えば、改質層3の厚さが400nm以下である場合、平均表面粗さを4μm以下にすることによって、改質層3を設けたことによる光透過率の低下幅を5%以下に抑えることができる。
上記構成のフッ素樹脂基材1は、例えば、プリント基板の絶縁層として用いられる。この場合、フッ素樹脂基材1には、接着物として、被覆部材、被覆樹脂、接着剤、インク等が付けられる。例えば、被覆部材としてカバーレイフィルムが挙げられる。被覆部材は、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、SPS、フッ素樹脂、架橋ポリオレフィン、シリコーン樹脂等で形成される。
また、上記構成のフッ素樹脂基材1は、他のプリント基板のカバーレイフィルムとしても用いることができる。
例えば、絶縁層としてのフッ素樹脂基材1を有するプリント基板に、カバーレイフィルムとして上記構成のフッ素樹脂基材1を用いることができる。すなわち、絶縁層と被覆材との両者に低誘電材料を採用する。このような構成によれば、信号伝送損失が低い高周波回路モジュールを得ることができる。なお、この場合、絶縁層及びカバーレイフィルムが共にフッ素樹脂であるため、熱溶融で両者を接着することができる。例えば、このプレスは、180℃以上400℃以下、20分以上30分以下、3MPa以上4MPa以下の条件で行われる。
また、ポリイミドや液晶ポリマを絶縁層として有するプリント基板にも、上記構成のフッ素樹脂基材1をカバーレイフィルムとして採用することができる。この場合は、接着剤を介してプリント基板とフッ素樹脂基材1とを接着させる。なお、上記フッ素樹脂基材1は、改質層3が存在するため、この面を接着面とすることにより既存の接着剤(例えばエポキシ樹脂等)により、両者を貼り合せることができる。
カバーレイフィルムとしてのフッ素樹脂基材1の厚さは、3.0μm以上100μm以下が好ましい。より好ましくは、フッ素樹脂基材1の厚さは、6.0μm以上55μm以下である。厚さが3.0μmよりも小さい場合、引っ張り強度の低下により製造過程で破れるおそれがあり、厚さが100μよりも大きい場合には可撓性が低下する。
[プリント基板]
図2及び図3を参照して、プリント基板10の一例について説明する。
プリント基板10は、上記構成のフッ素樹脂基材1と、このフッ素樹脂基材1の少なくとも一方の面に形成されている導電配線11とを有する。導電配線11は、フッ素樹脂基材1の少なくとも一部の領域に形成されている。また、導電配線11の少なくとも一部は被覆材13で覆われている。なお、プリント基板10の用途によっては、この被覆材13は省略される。
改質層3は、フッ素樹脂層2において導電配線11及び被覆材13が設けられる領域を含むように形成されていることが好ましい。すなわち、導電配線11が改質層3の上に、被覆材13が改質層3の上に設けられることが好ましい。このような構成により、導電配線11及び被覆材13の剥離強度が向上する。
なお、フッ素樹脂層2において、汚れ防止が必要な表面領域には、部分的(例えば、裏面側)に改質層3を設けず、この部分に疎水性を備えるようにしてもよい。これにより、この部分において、汚れの原因となる物質の付着を抑制することができる。ここで、部分とは、フッ素樹脂層2の表面及び裏面を併せた領域を全体として定義したときの全体の一部を示し、例えば、表面のみに改質層3が形成されている場合には、裏面がこの「部分」に相当する。
導電配線11は、例えば銅、銀、金、SUS(ステンレス)、鉄、アルミニウム、ニッケル、ITO(Indium Tin Oxide)等により形成される。導電配線11は、樹脂と金属粉末の混合体である導電性樹脂や導電性接着剤によって形成してもよい。なお、導電配線11には、ランド、グランドパターン、電極、金属補強層、ダミー層等が含まれる。
被覆材13には、カバーレイフィルム等の被覆部材と、未硬化時に流動性を有する被覆樹脂とが含まれる。被覆樹脂としては、コーティング樹脂、半田レジスト、導電性接着剤、電磁波シールド材、熱伝導材、強化剤、接着剤、タック付与剤、カバーレイフィルムの接着剤、インク、導電性ペースト等が挙げられる。これらの被覆樹脂の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、PEEK、PAI、PES、SPSまたはこれらの1または2以上を含む樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂について電子線やラジカル反応等により架橋し、こうして得られた樹脂を被覆樹脂の材料として用いてもよい。更に、これらの樹脂にボイドや気泡(空孔)を含有させて、こうして得られた樹脂を被覆樹脂の材料として用いてもよい。
なお、被覆材を構成する樹脂として、上記樹脂のうちでも、フッ素樹脂基材1を構成するフッ素樹脂に対して接着性が高い樹脂が好ましく、この樹脂の例としては、例えば、フッ素樹脂、PEEK、PES、PAI、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
また、フッ素樹脂、架橋ポリオレフィン、SPS、及びこれらにボイドや気泡(空孔)を有する被覆材は、誘電率εを3以下に設定することができる。このため、このような構造を有する被覆材は、低誘電損失を必要とする部材(例えば、高周波用の部材)として好適である。
図3は、プリント基板10の図2におけるA−A断面図である。
被覆材13としてのカバーレイフィルムは、接着剤層14と保護層15とを備えている。導電配線11は改質層3の上に形成されている。カバーレイフィルムの接着剤層14は改質層3に接着している。これにより、カバーレイフィルムを剥がれにくくすることができる。
図4に、プリント基板の他の例を説明する。
このプリント基板10Xは、タッチパネルに用いられる電極シートである。なお、図4に示す電極シートは、タッチパネルに用いられる2枚の電極シートのうちの一枚である。この電極シートと他の電極シートとは、配線パターンの各電極部17(後述)の延長方向が互いに異なっている。すなわち、各電極シートの電極部は、両シートを重ねあわせたときに各電極部17が互い交差するように構成されている。ここでは、一方の電極シートについて説明する。
電極シートとしてのプリント基板10Xは、フッ素樹脂基材1(フッ素樹脂層2と、フッ素樹脂層2の表面及び裏面に形成されている改質層3を含むもの。)と、表面側の改質層3上に形成されている電極パターン16とを備える。なお、電極パターン16は上記導電配線11により構成されている。
裏面側の改質層3は、製造工程においてワークの搬送のために用いられるワーク搬送板(ガラス板等)にフッ素樹脂材(フッ素樹脂層2を構成する部材)が配置されるとき、このフッ素樹脂材が位置ずれしないようにワーク搬送板に固定するために設けられている。なお、裏面側の改質層3は、ワーク搬送板からワーク(フッ素樹脂層2を構成するフッ素樹脂材)の引き剥がしが容易に行えるように、斑がある状態で形成されていることが好ましい。例えば、フッ素樹脂層2の裏面において、改質層3が、ドット模様に、ストライプ模様に、若しくは改質層3がないスポットがドット模様となるように、形成される。この構成により、フッ素樹脂層2を構成するフッ素樹脂材が薄くかつ可撓性が高く搬送しにくいものであっても搬送可能となり、かつワーク搬送板からの剥離も容易となる(以下、この性質を「ワーク搬送性」という。)。
更に、フッ素樹脂層2の裏面において所定領域のみに、改質層3を形成することもできる。例えば、矩形のフッ素樹脂層2の裏面において、中央部を除く部分、すなわち外周に沿うように改質層3を形成してもよい。この場合、中央部は、フッ素樹脂が露出するため、この部分においては、ワーク搬送板が密着しない。このような構成によっても、ワーク搬送性が高くなる。
フッ素樹脂層2は、次の光学特性を有することが好ましい。
すなわち、フッ素樹脂層2は、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、この条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。また、このフッ素樹脂層2は、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上であることが、より好ましい。これにより、光の利用効率を更に高めることができる。更に、フッ素樹脂基材1は、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であることが好ましい。これにより、フッ素樹脂基材1によって水蒸気を遮断することができるため、電極パターン16の腐食や剥離を抑制することができる。また、改質層3の表面粗さは、Ra4μm以下、更に、2μm以下であることが好ましい。これによって、プリント基板10Xの光透過率を向上させることができる。
電極パターン16は、互いに平行かつ等間隔に配置された複数の電極部17(導電配線11の一部分)を有する。なお、他の電極シートの電極部は、この電極部17に対して直交するように配置されている。電極パターン16は、例えば、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウム、SUS(ステンレス)またはこれらの積層体により形成されている。また、電極パターン16は、ITO等の酸化物の透明導電体により形成することもできる。
電極パターン16は、例えば、後述するフッ素樹脂基材の製造方法で示す担持体100のエッチングにより形成される。
また、電極パターン16は、導電性インク(ナノオーダの直径の金属粒子を含むインク)を用いてインクジェット法で形成することも可能である。すなわち、焼結温度が100℃〜300℃である導電性インク(ナノオーダの直径の金属粒子を含むインク)を用いることにより、フッ素樹脂層2を実質的に変質させることもなく、電極パターン16を形成することができる。
タッチパネルの用途においては、電極パターン16の配線幅は10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、更に、3μm以下が好ましい。配線幅が10μmよりも大きいとき、タッチパネルにおいて配線が目立つようになり、表示画面が見にくくなるためである。
上記プリント基板10Xによれば次の効果を有する。
プリント基板10Xのフッ素樹脂層2がフッ素樹脂により形成されているため、耐熱性が高い。このため、加熱工程を含む製造方法においてこのプリント基板10Xを用いることができる。特に、フッ素樹脂はリフローに耐えうる耐熱性を有するため、プリント基板10Xをリフロー炉にも投入することができる。すなわち、電極パターン16に電子部品を半田で実装する場合、リフローによる電子部品の実装が可能となる。このため、耐熱性のない透明樹脂部材を用いているプリント基板に比べて、製造性に優れる。また、電極パターン16が改質層3を介してフッ素樹脂層に接着するため、電極パターン16の剥離が抑制されている。更に、フッ素樹脂層2の裏面に改質層3が形成されているため、製造工程においてワーク搬送不良が抑制される。すなわち、このプリント基板10Xは、このような改質層3を有しないフッ素樹脂層を有するプリント基板に比べて、製造上の歩留りが高いという効果を有する。
[回路モジュール]
図5を参照して、回路モジュール20について説明する。
回路モジュール20は、上記プリント基板10と、このプリント基板10に実装される電子部品21とを有する。電子部品21に接続する導電配線11は、半田レジストやカバーレイフィルム等の被覆材13で覆われている。電子部品21としては、例えば、抵抗、コンデンサ、コイル、コネクタ、スイッチ、IC(Integrated Circuit)、発光素子、受光素子、加速度センサ、音響デバイス(圧電素子、シリコンマイクロフォン等)、磁気センサ、温度センサ、同軸ケーブル等が挙げられる。
この回路モジュール20は、上記プリント基板10を有しており、リフローに耐える耐熱性があるため、従来のフッ素樹脂基材を有する回路モジュールに比べて、製造性に優れる。また、従来のエポキシ樹脂基材を有する回路モジュールに比べて、耐熱性に優れる。
[高周波回路モジュール]
高周波回路モジュールについて説明する。
高周波回路モジュールは、上記プリント基板10と、このプリント基板10に実装される高周波デバイス(電子部品21の一種)とを有する。電子部品21に接続する導電配線11は、半田レジストやカバーレイフィルム等の被覆材13で覆われている。
この高周波回路モジュールはフッ素樹脂基材1を有するため、エポキシ樹脂基材を有する高周波回路モジュールに比べて、高周波信号の信号伝送損失が低い。また、導電配線11及び半田レジストは改質層3上に設けられる。このため、高温高湿環境下においても導電配線11及び半田レジストがフッ素樹脂基材1から剥がれにくい。これにより、高温高湿環境下においても、導電配線11の剥離による断線や、半田レジストの剥離による回路特性の劣化が抑制される。このため、改質層3のない従来のフッ素樹脂基材を有する高周波回路モジュールに比べて、高周波回路モジュールの特性劣化を小さくすることができる。
[フッ素樹脂基材の製造方法]
図6を参照して、フッ素樹脂基材1の製造方法を説明する。
第1工程では、担持体100に、シランカップリング剤と、アルコールと、水を含むプライマ材料101を付着させる(図6(A)参照。)。担持体100にプライマ材料101を付着させる方法は、限定されない。例えば、浸漬法、スプレー法、塗布法など、いずれの方法でも採用される。そして、乾燥により、プライマ材料101のアルコールを除去する。アルコールの除去は、自然乾燥、加熱による乾燥、または減圧による乾燥のいずれの方法でも採用される。なお、この乾燥は、第2工程の熱圧着を行うプレス機900において、連続して行ってもよい。乾燥後、加熱(例えば、120℃15分)し、担持体100にシランカップリング剤を反応させる。
シランカップリング剤の下限濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して0.1質量%以上に設定され、好ましくは、0.5質量%以上に設定される。シランカップリング剤の濃度が低すぎるときには、実質的な改質効果が生じないためである。
シランカップリング剤の上限濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して5.0質量%以下に設定され、好ましくは、3.0質量%以下に設定され、更に好ましくは、1.5質量%以下に設定される。シランカップリング剤の濃度が高くなりすぎるときには、シランカップリング剤の凝集が生じ、担持体100の表面において、均一な厚さのプライマ材料101の膜が形成されにくくなるためである。
水は微量で足りるが、シランカップリング剤の縮合の際の必須物質である。
水の割合は、例えば、アルコールの全体量に対して0.01質量%以上0.1質量%以下に設定される。
シランカップリング剤としては、少なくとも2個以上の加水分解性の官能基と、有機物質に反応しやすい官能基とを含むケイ素化合物が用いられる。
加水分解性の官能基とは、具体的には、アルコキシ基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
有機物質に反応しやすい官能基としては、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、及びメルカプト基が挙げられる。シランカップリング剤は、これらの官能基の群の少なくとも1種を含む。なお、プライマ材料101には、官能基が異なる2種以上のシランカップリング剤を含めることもできる。
なお、この中でも、N原子またはS原子を含むシランカップリング剤が好適に用いられる。N原子またはS原子を含むシランカップリング剤によれば、導電配線11とフッ素樹脂層2との間の接着強度(すなわち剥離強度)を高めることができるためである。
N原子を含むシランカップリング剤としては、アミノアルコキシシラン、ウレイドアルコキシシラン、またはこれらの誘導体が挙げられる。また、これらにフェニル基等の変性基を導入したシランカップリング剤も用いることができる。
アミノアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン
・3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン
・3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
・3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン
・3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
ウレイドアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
・3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン
・γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
Sを含むシランカップリング剤としては、メルカプトアルコキシシラン、スルフィドアルコキシシラン、これらの誘導体が挙げられる。また、これらにフェニル基等の変性基を導入したシランカップリング剤も用いることができる。
メルカプトアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン
・3−メルカプトオルガニルアルコシキシラン(オルガニルとは、メチレン基、フェニレン基で構成される基である。)
スルフィドアルコキシシランとしては、次の化合物が挙げられる。
・ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド
・ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド
プライマ材料101に含まれるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tertブタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。または、これらのアルコール群から選択される2種以上を含む溶液がプライマ材料101の溶媒として用いられる。
担持体100としては無機物質が用いられる。例えば、担持体100は、銅、金、銀、鉄、アルミニウム、ニッケルなどの金属、ガラス、シリコン、またはシリコーン樹脂、カーボンブラック、またはセラミックなどの材料により形成される。或いは、担持体100は、これら材料の複合体である。
担持体100として、剥離時において溶解法(後述参照。)を採用するときは、エッチング液により溶解するものが採用される。例えば、銅、鉄、アルミニウム等の金属シートが、プライマ材料101の担持体100として用いられる。
担持体100の形状は、特に限定されるものではないが、改質層3が形成される対象物の形状に合致するように構成される。
例えば、板状またはシート状のフッ素樹脂材102に改質層3を形成する場合は、板状の担持体100が用いられる。また、曲面を有するフッ素樹脂材102に改質層3を形成する場合には、この曲面に沿う形状の担持体100が用いられる。
担持体100においてプライマ材料101が付着する部分(以下、「付着面」という。)の平均表面粗さを所定値以下にすることが好ましい。特に、高周波の表皮深さから、表面粗さはRa4μm以下、より好ましくは1μm以下が望ましい。これにより、改質層3の平均表面粗さを小さくすることができる。また、プライマ材料101を付着させる担持体100の表面は、液体のプライマ材料が均一に塗布されるような表面に調整することが望ましい。特に濡れ性は良好な方がよく、水との接触角は100°以下となるようにすることが望ましい。
なお、担持体100の付着面において、全体の所定領域の平均表面粗さを所定値以下とし、この所定領域の周囲の部分の平均表面粗さを所定値よりも大きくしてもよい。この場合、所定領域に対応する部分の改質層3の表面粗さを、この周囲の部分の表面粗さよりも小さくすることができる。
第2工程では、プライマ材料101を挟むように担持体100とフッ素樹脂材102とを積層し、この積層体をプレス機900で熱圧着する(図6(B)参照。)。担持体100とフッ素樹脂材102との間に気泡や空隙が形成されないようにするために、この熱圧着は減圧下で行うことが好ましい。また、担持体100の酸化を抑制するため、低酸素条件下で行うことが好ましい。例えば、窒素雰囲気中で熱圧着が行われる。
フッ素樹脂材102は、フッ素樹脂基材1におけるフッ素樹脂層2を構成する部材である。フッ素樹脂基材1の用途により、各種の添加剤(フィラー)を含むフッ素樹脂材102が用いられる。また、フッ素樹脂基材1に曲げ強度が要求されているときには、ガラスクロス等のシートを含むフッ素樹脂材102が用いられる。
熱圧着条件は、次の条件で行うことが好ましい。
すなわち、フッ素樹脂材102の融点以上(更に好ましくは、分解開始温度以上)、かつフッ素樹脂材102の分解温度以下の温度で熱圧着を行うことが好ましい。ここで、分解開始温度とは、フッ素樹脂材102が熱分解し始める温度をいい、分解温度とは、フッ素樹脂材102が熱分解によってその質量が10%減少する温度をいう。
フッ素樹脂材102の融点以上の温度で熱圧着を行う理由は、このような温度未満では、フッ素樹脂材102が活性化しないためである。また、フッ素樹脂材102の分解開始温度以上とすることにより、フッ素樹脂材102の一部がラジカル化するためフッ素樹脂材102が、更に活性化するためである。すなわち、融点以上とすることにより、好ましくは分解開始温度以上とすることにより、フッ素樹脂の一部がラジカルになり、シランカップリング剤の官能基と反応すると考えられる。
例えば、フッ素樹脂材102の融点よりも30℃以上の温度、より好ましくは、フッ素樹脂材102の融点よりも50℃以上の温度がよい。FEPの場合は、融点が約270℃であるため、温度を300℃以上、好ましくは320℃以上に設定して熱圧着を行うことが好ましい。熱圧着の上限温度は600℃、より好ましくは500℃である。これにより、フッ素樹脂材102の分解を抑制することができる。
圧力は、0.01MPa以上100.0MPa以下に設定される。加圧時間は、0.01分以上1000分以下である。圧力及び加圧時間は制限されるものではなく、シランカップリング剤の反応性等を考慮して設定される。
このような熱圧着により、プライマ材料101がフッ素樹脂材102の表面に膜状に固定されて、改質層3になる。
また、熱圧着により、シランカップリング剤が有する官能基の一部が担持体100に結合し、他の官能基の一部がフッ素樹脂材102のフッ素樹脂に結合する。
これらの結合は、後述する剥離強度の大きさや改質層3がエッチング耐性を有することから、共有結合、または、水素結合及び共有結合の両者を含むものであると推察される。共有結合によれば、化学的作用(エッチング処理等の作用)により改質層3が除去されにくいためである。なお、この結合が水素結合である可能性を否定しない理由は、改質層3が膜状に広がった高分子であり、この高分子とフッ素樹脂との間において多数の水素結合が形成され、両者が強く結合している可能性があり、これらの結合(水素結合と共有結合)が混在しているとも推定されるためである。
第3工程では、担持体100の少なくとも一部を除去する。
担持体100の除去方法として、剥離法や溶解法がある。
まず、溶解法について説明する。
担持体100が金属シートである場合は、溶解法が適用される。フッ素樹脂材102から金属シートを剥離することが困難であるためである。
フッ素樹脂基材1(導電配線11がない基材)を製造する場合は、担持体100とフッ素樹脂材102との積層体をエッチング液に浸漬する。そして、担持体100を全て除去する。
担持体100として銅材を用いるときは、エッチング液により積層体の担持体100(銅)を溶解する。エッチング液としては、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下であって、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるものが好適に用いられる。エッチング液が用いられる場合において、エッチング液条件として、30℃以上45℃以下で、浸漬時間としては30秒以上2分以下とすることが好ましい。このような条件によれば、銅箔を除去し、かつフッ素樹脂材102から改質層3が除去されることを抑制することができる。
担持体100の溶解による除去により、改質層3には次の変化が生じると考えられる。
担持体100とフッ素樹脂材102との熱圧着によりシランカップリング剤の官能基の一部は、担持体100に化学結合している。この化学結合部分が、担持体100の溶解によりエッチング液に晒されるようになるため、加水分解により元の官能基に戻るか、または水酸基等を有する他の官能基に変化すると考えられる。
次に、剥離法について説明する。
剥離法では、担持体100として、担持体100とフッ素樹脂材102との熱圧着後にフッ素樹脂材102から担持体100を容易に剥離するものが採用される。例えば、担持体100として、シリコーンシートや金属箔が用いられる。
このような担持体100を用いる場合においては、第3工程の作業が簡略化される。すなわち、溶解処理を行うことなく、担持体100をフッ素樹脂材102から除去することができる。剥離法は、転写法ともいえるが、転写の際にプライマ材料101を変質させてかつフッ素樹脂材102に結合させている点が、単なる転写とは異なる。
本技術による改質層3の形成方法について、従来の課題とともに説明する。
フッ素樹脂は濡れ性が低く、フッ素樹脂材102の表面に液体の反応材料を直接塗布する方法では、反応材料の分布に斑が発生するため、フッ素樹脂材102の表面に均一に官能基を導入することが困難である。このため、従来では、フッ素樹脂材102を改質するためプラズマ法が用いられている。プラズマによればフッ素樹脂材102の表面にラジカル種を容易に形成することができ、フッ素樹脂材102の表面に親水基を容易に導入することができる。しかし、プラズマによって処理されたフッ素樹脂材102の表面状態は不安定であるため、その表面が徐々に元の安定な状態(表面不活性な状態)に戻る。このようにプラズマ処理では、フッ素樹脂材102の表面改質状態を長期にわたって維持することができないといった問題がある。
このような課題を解決するために、本技術では、まず、担持体100に、シランカップリング剤、アルコール及び水を含むプライマ材料101を付着させる。ここで、担持体100の表面は濡れ性が良いため、液体状態のプライマ材料101は斑なく均一に担持体100の表面に塗布される。
次に、プライマ材料101に含まれるシランカップリング剤は官能基を有するため、担持体100に膜状態に広がる。この過程において、自己集積化によってシランカップリング剤は規則的に配列すると考えられる。すなわち、所定の官能基(例えば、アルコキシ基)が、担持体100に向くようにシランカップリング剤が配列する。このような配列状態は、アルコールを除去した後においても維持されると考えられる。そして、この状態で、この担持体100を120℃前後の温度で加熱し、シロキサン結合を作る。これにより、シロキサン結合構造が平面に網目状に配列する高分子膜が形成されると考えられる。
更に、この状態で、プライマ材料101が担持体100とフッ素樹脂材102との間に挟まれるようにして、担持体100とフッ素樹脂材102とを積層する。そして、両者をフッ素樹脂材102の融点以上の温度で熱圧着する。
このような方法によれば、次の作用が生ずる。
プライマ材料101は、担持体100に膜状に広がっているため、プライマ材料101がフッ素樹脂材102に接触しても、フッ素樹脂の撥水性によってプライマ材料101が斑状にならない。これは、プライマ材料101が膜状であることの他にも、プライマ材料101の乾燥及び加熱時にシロキサン結合が形成されていることにも起因すると考えられる。このため、フッ素樹脂材102に略均一の厚さ(斑が少ない状態)でプライマ材料101が押し付けられる。そして、フッ素樹脂材102と担持体100とをフッ素樹脂材102の融点以上の温度で熱圧着するため、シランカップリング剤の官能基の一部がフッ素樹脂に結合し、かつシランカップリング剤の官能基の他の一部が担持体100に結合すると考えられる。
[プリント基板の製造方法]
プリント基板10の製造方法は、上記フッ素樹脂基材1の製造方法に類似する。そこで、上記フッ素樹脂基材1の製造方法を参照しながら説明する。
第1工程では、担持体100としての金属シートに、プライマ材料101を付着させる。プライマ材料101はシランカップリング剤とアルコールと水とを含む。この工程は、フッ素樹脂基材1の製造方法における第1工程と同様である。
第2工程では、乾燥により、担持体100に付着したプライマ材料101のアルコールを除去した後、担持体100を加熱する。そして、プライマ材料101が挟まれるように担持体100とフッ素樹脂材102とを積層し、担持体100とフッ素樹脂材102とを熱圧着する。
次に、従来のプリント基板の製造方法で採用されるエッチング法と同様の方法で配線パターンを形成する。例えば、担持体100としての金属層にレジストパターンを形成し、エッチング液に積層体(担持体100、金属層、及びレジストパターンの積層体)を浸漬し、この後、レジストパターンを除去する。これにより、導電配線11が形成される。
このようなプリント基板10によれば、改質層3が表面に露出するため、従来のプリント基板に比べて、半田レジスト、導電性接着剤、カバーレイフィルム等の接着物を剥がれにくくすることができる。
フッ素樹脂基材1の製造方法及びプリント基板10の製造方法の特徴は次の点にある。
すなわち、この製造方法では、フッ素樹脂材102に対してプラズマ処理またはアルカリ処理を行っていない点にある。すなわち、この種の処理を行うことなく、表面活性状態を有するフッ素樹脂基材1またはプリント基板10を製造することができる。また、このような製造方法によれば、改質層3をフッ素樹脂基材1の表面またはプリント基板10の表面に比較的簡単に設けることができる。
本実施形態のプリント基材、及びプリント基板、及び回路モジュールの効果をそれぞれ説明する。
(1)本実施形態に係るフッ素樹脂基材1は、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上のフッ素樹脂層2と、このフッ素樹脂層2の表面の少なくとも一部に形成されている改質層3とを有し、改質層3は、シロキサン結合構造を有し、シロキサン基以外の官能基を含み、かつ純水との接触角が90°以下の親水性を有する。
改質層3は、純水との接触角が90°以下の親水性を有するため、フッ素樹脂基材1は反応性に富む。また、この改質層3は、シロキサン結合構造を有するため経時的に安定である。すなわち、上記構成のフッ素樹脂基材1は、従来のフッ素樹脂基材に比べて、表面改質状態(表面活性である状態)が安定している。
また、このフッ素樹脂基材1は、光透過率が高く、かつ表面活性に改質されて他の部材との接着性も良好であるため、例えば表示パネル、タッチパネル、ソーラパネル等の光を透過させる部分を有する装置において入光部または出光部に好適に用いることができる。
フッ素樹脂基材1の改質層3の表面は表面活性で親水性を有することから、接着剤塗布やコーティング、スパッタリング、めっき、蒸着などの表面加工手段を使った、樹脂や金属、ガラス、セラミックス、シリコン、ITOなどとの密着品質(密着強度、均一性、信頼性など)を高くすることができる。また、高い耐熱性を有することから、フッ素樹脂基材1を電子部品搭載のためにリフローにかけることも可能である。すなわち、フッ素樹脂基材1は、従来のフッ素樹脂基材に比べて、高い加工容易性を有し、製造上の観点から製品の構成部品または構成部材として扱いやすいものとなっている。このため、接着工程やリフロー工程を経て製造される製品においてフッ素樹脂基材1を好適に用いられる。
(2)上記フッ素樹脂基材1の改質層3が形成されている部分において、エポキシ樹脂接着剤を介して接着されるポリイミドシートの剥離強度が1.0N/cm以上であることが好ましい。この構成により、例えばカバーレイフィルムとして貼り付けられるポリイミドシートについて、フッ素樹脂基材1からこの種のポリイミドシートを剥がれにくくすることができる。なお、更に好ましくは、この剥離強度は5.0N/cm以上である。
(3)上記フッ素樹脂基材1の改質層3は次の構成を有することが好ましい。すなわち、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下であって、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるエッチング液を使用して45℃以下、2分以内の条件で浸漬するエッチング処理に対して、改質層3はエッチング耐性を有することが好ましい。
この構成により、フッ素樹脂基材1に金属層を形成してエッチング処理を行ったとしても、フッ素樹脂基材1の表面改質状態(表面活性)を維持することができる。このため、エッチング処理後にフッ素樹脂基材1に対して各種の処理を行ったとき、その処理後の状態を良好なものとすることができる。例えば、フッ素樹脂基材1に対して半田レジストを塗布する処理や接着剤を塗布する処理はエッチング後に行わる場合が多いが、フッ素樹脂基材1に対してエッチング処理が行われたとしても改質層3が維持されるため、これらの接着物(半田レジストや接着剤)の剥離強度は十分に大きい値になる。
(4)上記フッ素樹脂基材1において、改質層3の平均表面粗さがRa4μm以下である領域を有するように構成してもよい。この構成によれば、当該領域において、フッ素樹脂基材1の光透過率を高くすることができる。
(5)上記フッ素樹脂基材1において、改質層3の厚さが平均400nm以下であることが好ましい。
この構成によれば、改質層3の厚さを平均400nmよりも大きくする場合に比べて、当該領域における光の散乱と吸収を低減することできるためフッ素樹脂基材の光透過率を更に高くすることができる。なお、改質層3の厚さが400nm以下である場合、平均表面粗さを4μm以下にすることによって、改質層3における光透過率の低下幅を5%以下に抑えることができる。
(6)上記フッ素樹脂基材1は、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であることが好ましい。
この構成によれば、このフッ素樹脂基材1を被覆材として用いる場合において、水蒸気透過率が0.1g/m・24hよりも高いフッ素樹脂を用いる場合に比べて、水による被覆対象物の劣化を抑制することができる。
(7)上記フッ素樹脂基材1は、用途によって、適度な可撓性を有することが好ましい。この構成によれば、フッ素樹脂基材1を支持基材として用いた基板やモジュールに、可撓性を備えさせることができる。
(8)上記フッ素樹脂基材1において、改質層3とフッ素樹脂層2との結合が化学結合であることが好ましい。すなわち、当該結合が、改質層3とフッ素樹脂層2との境界の凹凸形状から生じる単なるアンカー効果による物理的作用による結合ではなく、共有結合、または、水素結合及び共有結合の両者を含む結合のいずれかであることが好ましい。この構成によれば、改質層3とフッ素樹脂層2とが単に物理的作用によって結合する場合に比べて、改質層3とフッ素樹脂との結合が大きくなる。このため、改質層3が単にアンカー効果等の物理的作用によってだけでフッ素樹脂に接着しているフッ素樹脂基材に比べて、フッ素樹脂基材1の表面改質状態を長期にわたって維持することができる。
(9)上記プリント基板10は、上記フッ素樹脂基材1を有し、改質層3が設けられている部分において、この部分の少なくとも一部に導電配線11を有することが好ましい。すなわち、導電配線11が改質層3を介してフッ素樹脂に接着する。このため、導電配線11の剥離を抑制することができる。
また、上記プリント基板10は、導電配線11の少なくとも一部及びフッ素樹脂基材1の少なくとも一部を覆う被覆材13(カバーレイフィルム、半田レジスト等)を有し、この被覆材13とフッ素樹脂基材1との間に改質層3が介在することが好ましい。これにより、被覆材13の剥離強度が高くなる。
(10)回路モジュール20は上記プリント基板10を有する。この回路モジュール20によれば、改質層3の存在により、プリント基板10に接着する接着物の剥離が抑制されるため、回路モジュール20の信頼性が高くなる。また、上記プリント基板10を有するため、従来のフッ素樹脂基材を有する回路モジュールに比べて、製造性に優れる。また、従来のエポキシ樹脂基材を有する回路モジュールに比べて、耐熱性に優れる。
(11)高周波回路モジュールは上記プリント基板10を有する。この高周波回路モジュールによれば、プリント基板10に接着する接着物の剥離が抑制されるため、高周波回路モジュールの信頼性が高くなる。
上記フッ素樹脂基材1は、上記効果を有するため、その応用範囲は広い。
すなわち、従来のフッ素樹脂基材は、フッ素樹脂の性質すなわち化学安定性が高いことに起因して、他の部材との接着性が乏しい。これは、フッ素樹脂基材を他の部材に接着させるための接着剤が少ないといったことを示し、フッ素樹脂基材を他の部材に接着させるためには特殊な方法を取らざるを得ないといった課題を生じさせていた。この点、上記フッ素樹脂基材1は改質層3を有する。すなわち、上記フッ素樹脂基材1は、改質層3がある部分において表面活性であり、この部分において既存の接着剤を用いて他の部品に接着させることができる。また、改質層3は、エッチング処理等の化学作用に対しても安定であり、かつ信頼性も高い。このようなことから、フッ素樹脂基材1の応用範囲が広がる。以下、上記フッ素樹脂基材1を採用した各種装置について説明する。
[有機ELパネル]
図7を参照して、表示パネルの一例として、有機ELパネル30について説明する。
有機ELパネル30は、封止フィルム31と、バリア層32と、透明電極33と、発光層34と、この発光層34を制御するTFT回路基板35と、この発光層34を保持し、この発光層34の光を外部に放出させる面に構成された透明シート36とを備えている。
封止フィルム31及び透明シート36は、TFT回路基板35及び発光層34を封止する。バリア層32は、水蒸気の侵入を防止する層であり、アルミニウム等により形成される。透明電極33はバリア層32に形成される。
発光層34は、有機発光材料により形成されている。TFT回路基板35は、TFT回路が形成された基板であり、従来製法によりガラス基板に製造される。
透明シート36として上記フッ素樹脂基材1が用いられている。特に、透明シート36としては、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であるフッ素樹脂基材1を採用することが好ましい。なお、フッ素樹脂基材1の厚さは25μmに限定されるものではなく、有機ELパネル30の仕様によって設定される。
透明シート36は、接着剤層37を介してTFT回路基板35に接着される。なお、透明シート36としてのフッ素樹脂基材1は、改質層3が形成されている面が接着剤層37に接触する。この構成により、透明シート36による封止効果が生じる。
ここで、透明シート36に上記フッ素樹脂基材1に用いているが、更に、封止フィルム31を上記フッ素樹脂基材1により構成してもよい。この場合において、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であるフッ素樹脂基材1を採用することが好ましい。これによって、外気からの水分の透過を抑制することができるため、有機発光材料の水分による劣化を低減することができる。このため、水分透過を抑制するためのバリア層32を省略し、またはバリア層32を薄膜化することも可能である。また、この場合、フッ素樹脂基材1で構成された封止フィルム31の改質層3は、バリア層32または透明電極33との界面に形成されているため、バリア層32または透明電極33との密着性がよくなり、品質の高いパネル製品を製造することができる。
また、TFT回路基板35の支持基材として、フッ素樹脂基材1を採用することもできる。この場合、フッ素樹脂基材1の変形を抑制する観点から、TFTは300℃以下で形成することが好ましい。なお、TFT回路の一部としての透明電極及び上記透明電極33は、例えば、ITOにより形成される。
本実施形態の有機ELパネル30によれば次の効果を有する。
上記フッ素樹脂基材1は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性である。また、フッ素樹脂には耐候性がある。これらの性質から、次のことが言える。すなわち、このフッ素樹脂基材1は、表面活性があることから、従来のフッ素樹脂基材に比べて、加工容易性に優れている。また、耐熱性に優れることから他の透明樹脂部材を使用する場合に比べて、製造過程における加熱によって生じる変形が小さい。また、耐候性に優れることから他の透明樹脂部材に比べて、室外においてもその劣化が小さい。更に、光透過率が高いことから、有機ELパネル30の輝度を高めることができる。すなわち、この有機ELパネル30は、製造性(製造が容易であること)、耐候性及び輝度に優れる。
また、上記フッ素樹脂基材1の改質層3はエッチング耐性が高いため、エッチング処理工程を含む製造方法を用いてフッ素樹脂基材1に剥離強度の高い導電配線11(例えば、銅配線)を形成しても、フッ素樹脂基材1の接着性は維持される。このため、導電配線11が形成されたフッ素樹脂基材1を有する有機ELパネル30は、改質層3のないフッ素樹脂基材を有するものに比べて、導電配線11の剥離が抑制されるため、その信頼性が高くなる。
特に、フッ素樹脂基材1が耐熱性に優れることから、リフローを行ってもフッ素樹脂基材1の劣化(変形及び変色等が生じること)が小さい。このようにフッ素樹脂基材1はリフローに対する耐熱性を十分に備えていることから、フッ素樹脂基材1に電子部品を配置したものをリフロー炉に投入することができる。従来の透明シート(例えば、PET(Polyethylene-terephthalate))は耐熱性が低くリフロー炉に投入することが困難であったが、本実施形態のフッ素樹脂基材1の採用によりこれが可能になるため、従来の透明シートを有する有機ELパネルに比べて、製造工程を簡単にすることができるメリットがある。
また、本実施形態の有機ELパネル30において、TFT回路基板35の支持基材、透明シート36、及び封止フィルム31を上記フッ素樹脂基材1により構成してもよい。これにより、有機ELパネル30に可撓性を持たせることができ、また、湾曲した有機ELパネル30にも好適に採用されうる。
また、この有機ELパネル30を有するテレビやモニタ等の表示装置は、上記フッ素樹脂基材1を有するため、輝度が高く、耐候性に優れる。また、封止フィルム31を上記フッ素樹脂基材1により構成し、外側の面には改質層3を形成しないことによって疎水性を持たせてもよい。このような構成によれば、フッ素樹脂の撥水性により、この表示装置は防水性に優れ、汚れにくくすることができる。
[液晶パネル]
図8を参照して、表示パネルの一例として、液晶パネル40について説明する。
液晶パネル40は、第1の偏光層41aと、第1の透明シート41と、カラーフィルタ42と、透明電極43と、第1の配向膜44と、液晶45と、第2の配向膜46と、TFT回路基板47と、第2の透明シート48と、第2の偏光層48aとを備えている。
第1の透明シート41及び第2の透明シート48は、液晶45を保持するものであり、この液晶を透過する光を外部に放出させる面を構成する。第1の透明シート41及び第2の透明シート48として、上記フッ素樹脂基材1が用いられている。特に、フッ素樹脂層2が、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、この条件での光透過率が95%以上であることがより好ましい。また、更に、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上の特性を有することが好ましい。これにより、液晶パネル40の輝度が向上する。
第1の透明シート41は、接着剤を介してカラーフィルタ42に接着される。また、第2の透明シート48は、接着剤を介してTFT回路基板47に接着される。なお、これらの透明シート41,48として用いられているフッ素樹脂基材1は、改質層3が形成されている面が接着剤に接触する。この構成により、透明シート41,48による封止効果が生じる。
ここで、TFT回路基板47の支持基材として、フッ素樹脂基材1を採用することもできる。これにより、液晶パネル40に可撓性を持たせることができる。この場合、フッ素樹脂基材1の変形を抑制する観点から、TFTは300℃以下で形成することが好ましい。なお、TFT回路の一部としての透明電極及び上記透明電極43は、例えば、ITOまたは細線の金属配線(例えば、幅10μm以下)により形成される。また、TFT回路基板47の支持基材としてフッ素樹脂基材1を用いる場合は、改質層3の上に、銅、銀、金、ニッケル、アルミニウム、SUS(ステンレス)等の金属またはこれらの積層体により回路を形成することが好ましい。
本実施形態の液晶パネル40によれば次の効果を有する。
上記フッ素樹脂基材1は、光透過率が高く、耐熱性に優れかつ表面活性である。また、フッ素樹脂には耐候性がある。これらの性質から、次のことが言える。すなわち、このフッ素樹脂基材1は、表面活性があることから、従来のフッ素樹脂基材に比べて、製造性に優れている。また、耐熱性に優れることから他の透明樹脂部材を使用する場合に比べて、製造過程における加熱によって生じる変形が小さい。また、耐候性に優れることから他の透明樹脂部材に比べて、室外においてもその劣化が小さい。更に、光透過率が高いことから、液晶パネル40の輝度を高めることができる。すなわち、この液晶パネル40は、製造性、耐候性及び輝度に優れる。
また、上記フッ素樹脂基材1の改質層3はエッチング耐性が高いため、エッチング処理工程を含む製造方法を用いてフッ素樹脂基材1に剥離強度の高い導電配線11(例えば、銅配線)を形成しても、フッ素樹脂基材1の接着性は維持される。このため、導電配線11が形成されたフッ素樹脂基材1を有する液晶パネル40は、改質層3のないフッ素樹脂基材を有するものに比べて、導電配線11の剥離が抑制されるため、その信頼性が高くなる。
特に、フッ素樹脂基材1が耐熱性に優れることから、リフローを行ってもフッ素樹脂基材1の劣化(変形及び変色等が生じること)が小さい。このため、半田を用いてフッ素樹脂基材1に電子部品を実装する場合、リフローによる実装可能である(以下、これを「リフロー実装可能」という。)。このようなことから、従来の透明シートを有する液晶パネルに比べて製造工程を簡単にすることができるメリットがある。
また、本実施形態の液晶パネル40において、TFT回路基板47の支持基材及び透明シート41,48の全てが上記フッ素樹脂基材1で構成されてもよい。これにより、液晶パネル40に可撓性を持たせることができる。
また、この液晶パネル40を有する液晶テレビや液晶モニタ等の表示装置は、上記フッ素樹脂基材1を有するため、輝度が高く、耐候性に優れる。また、フッ素樹脂の撥水性を有するため防水性を有し、汚れにくくすることができる。
[反射型表示パネル]
図9を参照して、表示パネルの一例として、反射型表示パネル50について説明する。
反射型表示パネル50は、透明シート51と、この透明シート51に形成されている透明電極52と、電気泳動素子53と、TFT回路基板54と、支持基板55とを備えている。
透明シート51は、電気泳動素子53を保持し、この電気泳動素子に反射する光を外部に放出させる面を構成する。
ここで、透明シート51として、上記フッ素樹脂基材1が用いられている。特に、フッ素樹脂層2が、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。また、更に、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上の特性を有することが好ましい。これにより、画面の視認性が高くなる。
透明シート51として用いられているフッ素樹脂基材1は、改質層3が内側となるように配置されている。すなわち、改質層3の面に、透明電極(例えば、ITO)が形成されている。改質層3を介して透明電極がフッ素樹脂層2に固定されているため、この透明電極がフッ素樹脂基材1から剥がれにくい構造となっている。
ここで、TFT回路基板54の支持基材として、フッ素樹脂基材1を採用することもできる。これにより、反射型表示パネル50に可撓性を持たせることができる。この場合、フッ素樹脂基材1の変形を抑制する観点からTFTは300℃以下で形成することが好ましい。
本実施形態の反射型表示パネル50によれば、上記液晶パネル40と同様の効果(製造性及び耐候性に優れるという効果)を奏する。
また、この反射型表示パネル50は、透明シート51として従来の透明樹脂部材を用いている反射型表示パネル50に比べて、光を透過しやすくかつ電気泳動素子53で反射する光を外部に放出しやすい。このため、この反射型表示パネル50は視認性が高い。
また、本実施形態の反射型表示パネル50において、TFT回路基板54の支持基材及び透明シート51が共に上記フッ素樹脂基材1で構成されてもよい。これにより、反射型表示パネル50に可撓性を持たせることができる。
また、この反射型表示パネル50を有する表示装置(所謂、電子ペーパ)は、上記フッ素樹脂基材1を有するため、視認性が高く、耐候性に優れる。また、フッ素樹脂の撥水性を有するため防水性を有する。また、フッ素樹脂基材1はリフロー実装可能であるため、反射型表示パネル50の製造工程は簡略化される。
[タッチパネル]
図10を参照して、タッチパネル60の一例について説明する。
タッチパネル60は、抵抗膜方式のタッチパネルである。例えば、図10に示すように、タッチパネル60は、第1の透明シート61と、第1の透明電極62と、パネル領域を区分するためのドット状のスペーサ63と、第2の透明電極64と、第2の透明シート65とを備えている。第1の透明電極62と第2の透明電極64とは互いに対向するように配置されている。
ここで、第1の透明シート61及び第2の透明シート65として、上記フッ素樹脂基材1が用いられている。特に、フッ素樹脂層2が、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。また、更に、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上の特性を有することが好ましい。これにより、このタッチパネル60が装着される表示装置の表示画面について、その視認性が高くなる。
第1及び第2の透明シート61,65として用いられているフッ素樹脂基材1は、改質層3が内側となるように配置されている。すなわち、改質層3の面に、透明電極(例えば、ITO)が形成されている。改質層3を介して透明電極がフッ素樹脂層2に固定されているため、この透明電極がフッ素樹脂基材1から剥がれにくい構造となっている。
本実施形態のタッチパネル60によれば次の効果を奏する。
上記フッ素樹脂基材1は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性である。また、フッ素樹脂には耐候性がある。これらの性質から、次のことが言える。すなわち、このフッ素樹脂基材1は、表面活性があることから、従来のフッ素樹脂基材に比べて、製造性に優れている。また、耐熱性に優れることから他の透明樹脂部材を使用する場合に比べて、製造過程における加熱によって生じる変形が小さい。また、耐候性に優れることから他の透明樹脂部材に比べて、室外においてもその劣化が小さい。更に、光透過率が高いことから、タッチパネル60の光透過率を高めることができる。すなわち、このタッチパネル60は、製造性、耐候性及び視認性に優れる。
また、上記フッ素樹脂基材1の改質層3はエッチング耐性が高いため、エッチング処理工程を含む製造方法を用いてフッ素樹脂基材1に剥離強度の高い導電配線11(例えば、銅配線)を形成しても、フッ素樹脂基材1の接着性は維持される。このため、導電配線11が形成されたフッ素樹脂基材1を有するタッチパネル60は、改質層3のないフッ素樹脂基材を有するものに比べて、導電配線11の剥離が抑制されるため、その信頼性が高くなる。
[タッチパネル]
図11を参照して、タッチパネル70について別の例を挙げる。
タッチパネル70は、静電容量方式のタッチパネルである。例えば、図11に示すように、タッチパネル70は、第1の透明シート71と、第1の透明電極72と、絶縁層73(または空気層)と、第2の透明電極74と、第2の透明シート75とを備えている。第1の透明電極72と第2の透明電極74とは互いに対向するように配置されている。
ここで、第1の透明シート71及び第2の透明シート75として、上記フッ素樹脂基材1が用いられている点、及び改質層3が内側となるようにフッ素樹脂基材1が配置されている点は、上記抵抗膜方式のタッチパネル60と同様である。したがって、このタッチパネル70においても、上記タッチパネル60と同様の効果を奏する。すなわち、このタッチパネル70は、製造性、耐候性、視認性及び信頼性に優れる。
[照明装置]
図12を参照して、照明装置80の一例を説明する。
照明装置80は、発光層81と、この発光層81を支持する透明シート85とを有する。発光層81は、陰極82と、有機発光層83と、透明電極84とを備えている。透明シート85は、この透明電極84側に配置されている。すなわち、有機発光層83から発する光は、透明電極84及び透明シート85を介して外部に放出される。
ここで、透明シート85として、上記フッ素樹脂基材1が用いられている。特に、フッ素樹脂層2が、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。また、更に、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上の特性を有することが好ましい。
また、フッ素樹脂基材1としては、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であるものを採用することが好ましい。これにより、有機発光層83の水分による劣化を抑制することができる。
本実施形態の照明装置80によれば次の効果を奏する。
上記フッ素樹脂基材1は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性である。また、光透過率が高いことから、照明装置80の省エネを図ることができる。すなわち、この照明装置80は、製造性及び省エネ性に優れる。
また、フッ素樹脂基材1として、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下であるものを採用する場合には、この特性を有しない従来のフッ素樹脂基材を用いる場合に比べて、水蒸気に起因する照度の低下を抑制することができる。
[ソーラパネル]
図13を参照して、ソーラパネル90について説明する。
ソーラパネル90は、透明な保護シート91と、太陽電池92と、保護シート91と太陽電池92との間に配置された透明電極93と、電極94とを備えている。電極94は、太陽電池92において透明電極93が配置された面とは反対側の面に設けられている。
ここで、保護シート91として上記フッ素樹脂基材1が用いられている。特に、フッ素樹脂層2が、50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上であることが好ましく、更には、同条件で光透過率が90%以上であることがより好ましい。また、更に、50μm厚における波長456nmの光透過率が90%以上の特性を有することが好ましい。これにより、このソーラパネル90は、光透過率がこれよりも低い透明樹脂シートを用いる場合に比べて、発光効率が高くなる。
また、フッ素樹脂基材1は、改質層3が内側となるように配置されている。すなわち、改質層3の面に、透明電極93が配置されている。このため、透明電極93の剥離が生じにくい。
また、フッ素樹脂は、他の樹脂に比べても耐候性が高い。
このため、保護シート91として他の樹脂を用いる場合に比べて、ソーラパネルの寿命を長くすることができる。
また、フッ素樹脂基材1において、外側面に撥水性を保持させることが好ましい。すなわち、フッ素樹脂基材1の一方の面に改質層3を形成し、他方の面はフッ素樹脂特有の撥水性を保持させる。これにより、雨水による汚れ付着を抑制することができる。
本実施形態のソーラパネル90によれば次の効果を奏する。
上記フッ素樹脂基材1は、光透過率が高く、耐熱性に優れ、かつ表面活性である。また、光透過率が高いことから、ソーラパネル90の発電効率を向上させることができる。すなわち、このソーラパネル90は、製造性及び発電効率に優れる。
更に、保護シート91として配置されたフッ素樹脂基材1において、外側面が撥水性を有するように構成した場合は、雨水による汚れの付着が抑制されることから、ソーラパネル90では清掃頻度を低くすることができる。
次に、実施例1及び実施例2を説明する。
実施例1及び実施例2においては、試験内容及び試験結果を踏まえて、上記フッ素樹脂基材1の特性について説明する。
[実施例1]
本実施形態に係るフッ素樹脂基材1及び比較に係るフッ素樹脂基材について、剥離強度の試験結果を表1に示す。
この試験に使用した試料(試料1と2)は次のように形成した。
フッ素樹脂層2を構成するフッ素樹脂シート(上記フッ素樹脂材102に対応するもの)として、厚さ0.05mm、寸法幅10mm×長さ500mmのFEP(ダイキン工業株式会社製、FEP−NE−2)を用いた。
改質層3は次のように形成した。
プライマ材料101のシランカップリング剤としては、アミノシランを用いた。
プライマ材料101のアルコールとしては、エタノールを用いた。水は、添加していない。すなわち、空気中に存在する水、及びアルコールに含まれる不純物としての水を用いた。シランカップリング剤の濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して1質量%とした。担持体100として銅箔(厚さ18μm、表面粗度0.6μm)を用いた。浸漬法により、担持体100としての銅箔にプライマ材料101を付着し、乾燥し、120℃で加熱した。これにより、銅箔にプライマ材料101の層を形成した。そして、この銅箔を上記フッ素樹脂シートに熱圧着した。この後、銅箔の全てをエッチング液で除去した。これによって形成された改質層の厚さは、電子顕微鏡による測定で30nmであった。
エッチング処理では、塩化鉄含有のエッチング液を、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下となるように制御し、温度45℃、浸漬時間2分の条件でエッチングを行った。
そして、試料1は、エッチング処理後、水で洗浄し、乾燥した直後に、厚さ25μmエポキシ樹脂接着剤層と厚さ13μmのポリイミド層とを有するポリイミドシート(以下、「試験用ポリイミドシート」という。)で、フッ素樹脂基材1を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。剥離強度の測定は、JIS K 6854 −2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法で行った。
また、試料2は、エッチング処理後、水で洗浄し、乾燥した後に、1週間にわたって空気雰囲気で放置した。その後、試験用ポリイミドシートでフッ素樹脂基材1を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。
一方、比較に係るフッ素樹脂基材(試料3と4)については、上記フッ素樹脂シート(厚さ0.05mm、寸法幅10mm×長さ500mmのFEP(FEP−NE−2))をプラズマ処理した。キャリアガスとしてNを用いた。反応ガスとしては、CF、Oを用いた。キャリアガスと反応ガスとの体積比は、1650/1000(キャリアガス/反応ガス)とした。ガス圧力は27Pa、流量1650sccm、電力5000Wで、容量結合型のプラズマ装置を用いて、30分間のプラズマ処理を行った。
そして、試料3は、プラズマ処理の直後に、試験用ポリイミドシートでフッ素樹脂基材(プラズマ処理品)を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。
また、試料4は、1週間にわたって空気雰囲気で放置した。その後、試験用ポリイミドシートでフッ素樹脂基材(プラズマ処理品)を被覆した。その後、24時間経過後に、試験用ポリイミドシートの剥離強度を測定した。
剥離強度の測定は、JIS K 6854 −2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法で行った。剥離強度の測定結果を表1に示す。
[結果]
(1)表1に示されるように、処理直後においては、プラズマ処理したフッ素樹脂シートに対するポリイミドシートの剥離強度よりも、本実施形態に係るフッ素樹脂基材1に対するポリイミドシートの剥離強度が大きい。
(2)また、プラズマ処理したフッ素樹脂シートでは、1週間の放置により、ポリイミドシートの剥離強度が大幅に低下している。これに対して、本実施形態に係るフッ素樹脂基材1では、1週間にわたって放置した後において剥離強度に若干の低下があるものの、その大きさはある程度維持されている。これは、フッ素樹脂層2に形成された改質層3が安定であることを示す。
なお、表1に示す変化率は、(PB−PA)/PA×100により計算される値である。この式において、「PA」及び「PB」は次の内容を示す。「PA」は、試験に係るフッ素樹脂シートに改質層3を形成して洗浄及び乾燥した直後に試験用ポリイミドシートを接着し、24時間の経過後に剥離強度の測定を行ったときの試験用ポリイミドシートの剥離強度を示す。「PB」は、試験に係るフッ素樹脂シートに改質層3を形成して洗浄及び乾燥し、1週間にわたって空気雰囲気で放置後に試験用ポリイミドシートを接着し、24時間の経過後に剥離強度の測定を行ったときの試験用ポリイミドシートの剥離強度を示す。
この試験では、エポキシ樹脂接着剤を介して接着したポリイミドシートの剥離強度を比較しているが、接着剤の種類に関わらず、結果(2)の傾向がある。すなわち、接着剤の種類にかかわらず、プラズマ処理したフッ素樹脂シートは、1週間の放置により表面活性が殆ど消失する傾向にある。一方、本実施形態のフッ素樹脂基材1は、エポキシ樹脂接着剤のみならず、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を主成分とする接着剤に対しても接着性を有し、1週間経過後のおいてもその接着性は略維持されている。すなわち、本実施形態のフッ素樹脂基材1は1週間の放置によっても表面活性の低下が小さい。
[実施例2]
本実施形態に係るプリント基板10について、剥離強度の試験結果を表2に示す。以下、実施例の条件を説明する。
信頼性試験に使用した試料は次のように形成した。
フッ素樹脂層2を構成するフッ素樹脂シート(上記フッ素樹脂材102に対応するもの)として、厚さ0.05mm、寸法幅10mm×長さ500mmのFEP(ダイキン工業株式会社製、NF−0050)を下記の試料No1,2,5,6に使用した。また、PFA(ダイキン工業株式会社製、AF―0050)を下記の試料No3,4,7,8に使用した。
改質層3は次のように形成した。
プライマ材料101のシランカップリング剤としては、アミノシランを用いた。
プライマ材料101のアルコールとしては、エタノールを用いた。水は、添加していない。すなわち、空気中に存在する水、及びアルコールに含まれる不純物としての水を用いた。シランカップリング剤の濃度は、プライマ材料101全体の質量に対して1質量%とした。担持体100として銅箔(厚さ18μm、表面粗さ0.6μm)を用いた。浸漬法により、担持体100としての銅箔にプライマ材料101を付着し、乾燥し、120℃で加熱した。これにより、銅箔にプライマ材料101の層を形成した。このプライマ層の厚さは30nmであった。そして、この銅箔を上記フッ素樹脂シートに熱圧着した。
次に、エッチング法で、厚さ18μm、幅100μm、ピッチ100μmで25本の銅配線を形成した。エッチング処理では、塩化鉄含有のエッチング液を、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下となるように制御し、温度45℃、浸漬時間2分の条件でエッチングを行った。
厚さ25μmエポキシ樹脂接着剤層と厚さ13μmのポリイミド層とを有するポリイミドシートで、銅配線を被覆した。
信頼性試験では、相対湿度85%、温度85度の条件下で上記プリント基板10を100時間放置した。
銅配線及びポリイミドシートについて剥離強度を測定した。
剥離強度の測定は、信頼性試験の前後で行った。剥離強度の測定に係るものは、信頼性試験の前後において互いに隣接するものを用いた。剥離強度の測定は、JIS K 6854 −2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−2部:180度はく離」に準じた方法で行った。
[結果]
(1)表2に示されるように、試料No1〜No8について、信頼性試験前の剥離強度は、判定基準である1.0N/cm以上である。なお、比較例として、改質層3の形成を行わずプラズマ照射後に上記実施例と同様の方法で銅配線を形成した試料については、信頼性試験前の剥離強度は、判定基準である1.0N/cmよりも小さい値であった。
(2)また、試料No1〜No8について、信頼性試験の前後において剥離強度の変化率は小さい。すなわち、剥離強度の変化率((P2−P1)/P1×100)は、判定基準である±10%の範囲内である。このように本実施形態のプリント基板10においては導電配線11及びポリイミドシート(被覆部材)の剥離強度が高く、かつ信頼性試験の前後において剥離強度の変化率が小さい。
(3)また、表1及び表2には示していないが、次の試験を行った。
実施例2の試料No1〜No8と同一条件で作成した試料(No11〜No18)について、エッチング耐性の試験を行った。なお、試料は、エッチングで全ての銅箔を除去し、銅配線を形成していない。すなわち、フッ素樹脂基材の表面に改質層3のみを形成した。そして、フッ素樹脂基材(改質層3を含む。)のエッチング耐性を確認するために、温度45℃、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下となるように制御されたエッチング液に、フッ素樹脂基材を2分間にわたって浸漬した。また、このエッチング試験の前後において、試験用ポリイミドシートについての剥離強度を比較した。この結果、剥離強度は、いずれの試料についてもその変化率は±10%以内であった。ここで、変化率は、(エッチング試験後の剥離強度−エッチング試験前の剥離強度)/(エッチング試験前の剥離強度)×100の式で示される値を示す。すなわち、この結果によれば、エッチングレートが低温化により低下することを考慮すると、改質層3は、少なくとも、比重が1.31g/cm以上1.33g/cm以下であって遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるエッチング液を使用して45℃以下、2分以内の条件で浸漬するエッチング処理に対して、改質層3はエッチング耐性を有することが分かる。
このことは次のことを意味する。
銅箔付きフッ素樹脂基材1(銅箔とフッ素樹脂層2との間に改質層3が介在するフッ素樹脂基材1)において、上記エッチング液を使用して45℃以下2分以内の条件で浸漬するエッチング処理であれば、露出した改質層3がエッチング液に晒される時間は2分よりも短い時間となる。このため、フッ素樹脂基材1をこのようなエッチング条件でエッチングした場合、改質層3の劣化は更に小さくなっていると考えられる。
(4)また、表1及び表2には示していないが、上記試料No1〜No8と同一条件で作成した試料(No21〜No28)について、水に対する接触角(以下、「対水接触角」という。)について試験を行った。以下に、その試験結果を説明する。
水に対する接触角(以下、「対水接触角」という。)は、改質層形成処理前のPFAでは平均115°であり、また改質層形成処理前のFEPでは平均114°であった。
これに対して、プライマ材料を介して銅箔をPFA(またはFEP)に接着した後にこの銅箔をエッチング除去したPFA(またはFEP)の対水接触角は、いずれも60°〜80°に低下した。すなわち、改質層形成処理(フッ素樹脂に対してプライマ材料を介して銅箔を接着してからこの銅箔を除去する処理)により親水化していることが確認された。このため、改質層形成処理によれば、エッチング除去面に対するエポキシ接着剤等による接着強度を、未処理のフッ素樹脂に比べて、高くすることができる。
[その他の実施形態]
本技術は、上記実施形態に限定されるものではない。
以下、その他の実施形態について説明する。
・本実施形態のフッ素樹脂基材1は、上記に示した装置以外にも様々なものに採用されうる。すなわち、安定な改質層3の存在によりフッ素樹脂基材としての接着性が改善されているため、他の部材との接着が容易であることから、従来において透明樹脂が採用されている部分において代替が可能である。そして、フッ素樹脂特有の優れた効果を発揮させる。
・本実施形態のフッ素樹脂基材1の改質層3を更に変質させてもよい。例えば、改質層3に表面に存在する官能基と他の化合物とを反応(重合、置換、加水分解等)させることにより、フッ素樹脂基材1の更に別の機能を生じさせることが可能である。
・上記実施形態では、フッ素樹脂基材1に導電配線11(透明電極を含む。)を形成することを示した。更に、フッ素樹脂基材1に、スルーホールやバイアホールを形成することもできる。ガラス基板では、スルーホールやバイアホールの形成が困難であり、その配線に制約があった。この点、フッ素樹脂基材1またはこれらの積層板である多層プリント配線板を、ガラス基板に替えて採用することにより、従来に比べて更に多用な機能を表示装置等に付与することが可能となる。
・上記プリント基板10は一層の絶縁層(フッ素樹脂層2)を有する基板であるが、従来の多層プリント配線板の製造方法と同様の方法により、上記フッ素樹脂基材1及び上記プリント基板10を積層して多層プリント配線板を形成することができる。上記フッ素樹脂基材1及びプリント基板10は表面に改質層3を有するため、これらフッ素樹脂基材1とプリント基板10とは接着剤を介して互いに強く接着させることができる。このため、フッ素樹脂基材1及びプリント基板10を用いることにより、信頼性の高い多層プリント配線板を提供することができる。
1…フッ素樹脂基材
2…フッ素樹脂層
3…改質層
10,10X…プリント基板
11…導電配線
13…被覆材
14…接着剤層
15…保護層
16…電極パターン
17…電極部
20…回路モジュール
21…電子部品
30…有機ELパネル
31…封止フィルム
32…バリア層
33…透明電極
34…発光層
35…TFT回路基板
36…透明シート
37…接着剤層
40…液晶パネル
41a…第1の偏光層
41…第1の透明シート
42…カラーフィルタ
43…透明電極
44…第1の配向膜
45…液晶
46…第2の配向膜
47…TFT回路基板
48…第2の透明シート
48a…第2の偏光層
50…反射型表示パネル
51…透明シート
52…透明電極
53…電気泳動素子
54…TFT回路基板
55…支持基板
60…タッチパネル
61…第1の透明シート
62…第1の透明電極
63…スペーサ
64…第2の透明電極
65…第2の透明シート
70…タッチパネル
71…第1の透明シート
72…第1の透明電極
73…絶縁層
74…第2の透明電極
75…第2の透明シート
80…照明装置
81…発光層
82…陰極
83…有機発光層
84…透明電極
85…透明シート
90…ソーラパネル
91…保護シート
92…太陽電池
93…透明電極
94…電極
100…担持体
101…プライマ材料
102…フッ素樹脂材
900…プレス機

Claims (13)

  1. 可撓性を有する透明なフッ素樹脂基材であって、
    50μm厚における波長600nmの光透過率が85%以上のフッ素樹脂層と、前記フッ素樹脂層の表面の少なくとも一部に形成される平均厚さ400nm以下の改質層とを有し、
    前記改質層は、シロキサン結合構造を有し、シロキサン基以外の官能基を含み、純水との接触角が90°以下の親水性を有し、かつ、エッチング処理に対してエッチング耐性を有し、
    前記エッチング処理は、塩化鉄を含み、比重が1.31g/cm 以上1.33g/cm 以下であって、遊離塩酸濃度が0.1mol/L以上0.2mol/L以下であるエッチング液を使用して45℃以下、2分以内の条件で浸漬する処理である
    フッ素樹脂基材。
  2. 前記改質層が形成されている部分において、エポキシ樹脂接着剤を介して接着されるポリイミドシートの剥離強度が1.0N/cm以上である
    請求項1に記載のフッ素樹脂基材。
  3. 前記改質層の平均表面粗さがRa4μm以下である領域を有する
    請求項1または請求項2に記載のフッ素樹脂基材。
  4. 前記フッ素樹脂基材は、温度25℃相対湿度90%で25μm厚における水蒸気透過率が0.1g/m・24h以下である
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材を有し、前記改質層が設けられている部分において、この部分の少なくとも一部に導電配線を有する
    プリント基板。
  6. 発光層と、この発光層を保持し、この発光層の光を外部に放出させる面に構成された透明シートとを備え、
    前記透明シートとして、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材が用いられている
    表示パネル。
  7. 液晶と、この液晶を保持し、この液晶を透過する光を外部に放出させる面に構成された透明シートとを備え、
    前記透明シートとして、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材が用いられている
    表示パネル。
  8. 電気泳動素子と、この電気泳動素子を保持し、この電気泳動素子に反射する光を外部に放出させる面に構成された透明シートとを備え、
    前記透明シートとして、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材が用いられている
    表示パネル。
  9. 発光層、液晶、または電気泳動素子を制御する薄型電界効果トランジスタが配置されているTFT回路基板と、発光層、液晶、または電気泳動素子を覆う透明シートとを備え、
    前記TFT回路基板の支持基材及び前記透明シートが共に請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材である
    表示パネル。
  10. 請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の表示パネルを有する表示装置。
  11. 互いに対向して配置される第1及び第2の透明電極と、これら透明電極をそれぞれ支持する2枚の透明シートとを備え、
    前記透明シートとして、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材が用いられている
    タッチパネル。
  12. 発光層と、この発光層を支持する透明シートとを備え、
    前記透明シートとして、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材が用いられている
    照明装置。
  13. 保護シートと、太陽電池とを備え、
    前記保護シートとして、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素樹脂基材が用いられている
    ソーラパネル。
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