JP2022028600A - 電子表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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郷司 前田
Satoshi Maeda
哲雄 奥山
Tetsuo Okuyama
敬太 今村
Keita Imamura
桂也 ▲徳▼田
Katsuya Tokuda
直樹 渡辺
Naoki Watanabe
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Abstract

【課題】タイリングにより大面積化が可能な狭額縁の電子表示装置を経済的に提供する方法を実現する。【解決手段】高分子フィルム30を基板15に貼り合わせ、該高分子フィルム30上に配線層40と電子表示デバイス60を形成した後に、表示エリアの外側に相当する部分の基板を取り除き、さらに表示エリアに隣接する近傍の高分子フィルムを取り除き、表示エリアないし表示エリアの極近傍から直接フライングリードが突き出た形とする。さらにフライングリード部を折り曲げて表示装置の側面から基板側面を経て基板背面にリードを回し、基板の背面にドライバーICを実装する。この製造方法により極めて狭額縁の電子表示デバイスを実現でき、タイリングした際にも継ぎ目が目立たなくなる。【選択図】図13

Description

本発明は狭額縁な電子表示装置に関し、特に表示パネルの裏面にドライバーICを搭載するタイプの電子表示装置に関する。以下電子表示装置を単に表示装置と記す場合もある。
液晶表示装置、あるはOLED、マイクロLEDのような自発光表示装置、電気泳動ディスプレイに代表される反射型表示装置の大画面化は留まるところを知らない。一方でこれら表示装置の製造には大面積微細加工技術と高度なクリーン環境が必要とされ、製造工場の建設には莫大な費用が必要となる。表示画素中に、たった一個の欠点画素があっても製品としては致命的な欠陥となるため表示装置は大画面化が進むほど収率が低下する。仮に欠点画素の発生頻度が1個/1平方m、であったとしても、画面寸法が1平方mの電子表示デバイスであれば確率的にほとんどの製品が不良品となってしまう。が、仮に製品寸法が10cm四方、すなわち100平方cmであれば、確率的に100製品中の不良品は1台のみとなり99個の合格品を得ることができる。
かかる背景から、大面積の電子表示装置を、中小寸法の電子表示装置をタイリングして実現する試みが行われている。タイリングにおいて重視されるのは各電子表示装置の額縁の幅である。額縁が広いと、タイリングの継ぎ目が目立ってしまい、大面積化の趣がそがれてしまう。額縁の幅は、電子表示装置に実装される駆動回路など、周辺装置・部品の配置に依存する。
一般に、表示装置の駆動回路素子は(駆動用IC、以後ドライバーICまたはドライバー素子とも云う)はTAB、COFなどを用いて表示装置の周辺部に取り付けられる。折り曲げ可能なフィルム基材を用いているTAB、またはCOFを、電子表示装置のエッジ部分において折り曲げ、電子表示装置の側面ないし裏面に駆動回路を配置する形態が提案されている(特許文献1、特許文献2)。 最近では電子表示デバイス部を高分子フィルム上に形成し、端部で折り曲げて、周辺回路などを電子表示装置の裏側に配置し、電子表示装置をコンパクトにする形態が提案されている(特許文献3、特許文献4)。
特許2987903号公報 特開平10-148839号公報 米国特許出願公開第2018/0090702号明細書 国際公開第2020/065910号
TABまたはCOFを用いたドライバー実装においては、電子表示デバイスとの電気的接続のため、表示装置に形成した電極と、TABまたはCOFの端子部分とをACF(異方性導電膜)を用いて接続することが一般的である。すなわち電子表示デバイスの周辺部分にTABまたはCOFとの接続を行うための電極を配置する必要があるため、額縁幅を電極幅より狭くすることはできない。
一方、電子表示装置の表示部をフィルム基材上に作製し、端部を折り曲げて裏に回す方法では、ドライバー素子を実装した後に、電子表示デバイス全体の変形を伴う加工を行う必要があり、ドライバー素子の破損、あるいはドライバー素子と電子表示デバイスとの接続部の破損などの恐れがある。またフィルム基材の電子表示デバイスの変形を伴う加工を行った後にドライバーICの実装を行うためには、ドライバー素子実装時の圧力、加熱、超音波振動などが、フィルム基材を通して電子表示デバイスのバックプレーン側に伝わり、特に繊細な部分である電子表示デバイスのTFTを破壊する恐れがある。
本発明者らはかかる課題を解決するために、鋭意研究を続けた結果、既存の電子表示デバイス製造設備を利用して製造可能であり、かつ狭額縁であり、駆動回路の実装についても高い良品率を得ることができる電子表示デバイスの構造およびその製造方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
[1] 電子表示デバイスであって、前記電子表示デバイスは、
基板、
基板の第一の面に接着された第一の高分子フィルム、
前記第一の高分子フィルム上に形成された電子表示デバイス、
前記電子表示デバイスに電力と駆動信号を供給するためのリード、
前記基板の第二の面に接着された第二の高分子フィルム、
前記第二の高分子フィルム上に実装された、前記電子表示デバイスを駆動するための駆動回路素子、
を含み、
前記リードの、電子表示デバイスの側面から駆動回路素子までの間の一部の区間がフライングリードであることを特徴とする電子表示デバイス。
[2] 前記フライングリードの一部が、基板側面に平行して配置されており、その平行区間の長さが基板厚さの30%以上であることを特徴とする[1]に記載の電子表示措置。
[3] 前記フライングリードの一部または全部が基板の側面に接触していることを特徴とする[1]または[2]に記載の電子表示デバイス。
[4] 前記第二の高分子フィルムと無機基板の第二の面の一部または全部がシランカップリング剤縮合物層を介して接着されていることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の電子表示装置。
[5] 前記第一の高分子フィルムと無機基板の第一の面の一部または全部がシランカップリング剤縮合物層を介して接着されていることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の電子表示装置。
[6] (a)基板と、少なくとも基板の片面に接着された高分子フィルムを有する積層体を準備する工程、
(b)高分子フィルム上に、電子表示デバイスとリードを形成する工程、
(c)前記電子表示デバイスが形成されている領域の外側にあたる基板を除去する工程、
および前記リードが形成されている領域の高分子フィルムの一部を除去しフライングリード化する工程
を経て、以下の層構成を有する各領域を形成する工程、
領域1(表示領域)の層構成:電子表示デバイス/高分子フィルム/接着層/基板
領域2(領域1に隣接する第一の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム
領域3(フライングリード領域)の層構成:リード
領域4(領域3に隣接する第二の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム
(d)領域3(フライングリード領域)を基板の側面に沿って曲げる工程、
(e)領域4(第二の配線領域)を基板の第二の面に沿って曲げ、基板の第二の面に接着する工程
を少なくとも有する電子表示装置の製造方法。
[7] 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、プラズマエッチング法であることを特徴とする[6]に記載の電子表示装置の製造方法。
[8] 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、サンドブラスト法であることを特徴とする[6]に記載の電子表示装置の製造方法。
[9] 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、機械的研削であることを特徴とする[6]に記載の電子表示装置の製造方法。
[10] 前記高分子フィルムの一部を除去する工程がアルカリ化合物の溶液を用いたエッチング法であることを特徴とする[6]に記載の電子表示装置の製造方法。
[11] 前記領域2が省かれ、領域1と領域3が直接隣接していることを特徴とする[6]~[10]のいずれかに記載の電子表示装置の製造方法。
本発明の構造によれば、TABないしCOFと電子表示デバイス部を接続するための電極領域が不要であるため、電子表示デバイスの表示部の極近傍からリードを取り出すことが可能であり、かつリード部をフライングリード化することで、表示部の極近傍ないしは表示部化の側面から直接リードを折り曲げることが可能となり、実質的に電子表示装置の額縁幅をリードの厚さ程度にまで狭くすることが可能である。
基板にガラス板などの硬質無機基板を用い、かつ好ましくは接着層を薄くすることで、ドライバーICの実装収率を格段に改善することができる。
また好ましくは、領域4を基板の裏側に接着した後にドライバーICを実装することが可能となるため、ドライバーIC実装後に発生する製品不良を低減することも可能である。
本発明では好ましくは高分子フィルムの一部または全部がシランカップリング剤の縮合物を介して基板に接着されている。シランカップリング剤縮合物層の存在はシランカップリング剤処理の結果である。かかるシランカップリング剤縮合物層の厚さは極めて薄く、基板、高分子フィルムの厚さに比較した場合には事実上無視できるレベルである。そのため、高分子フィルム層の平面性は、ほぼ基板に支配されるため極めて平滑な表面を得ることができる。これは大面積で高精細加工が必要な電子表示デバイスの形成においては必要不可欠な特性である。高分子フィルムを支持体(基板)なしで用いたり、あるいは数μm~数十μmの厚さを持つ一般的な接着剤、または粘着剤により高分子フィルムを基板に接着した場合には、高分子フィルムを折り曲げた際、高分子フィルム表面にウネリが生じ、きわめて精細な露光操作が必要な微細加工においては、このうねりの存在が致命傷となる場合がある。
シランカップリング剤縮合物層の耐熱性は、一般的な有機物からなる接着剤に比較して高く、電子表示デバイスを形成するための諸工程、より具体的にはアモルファスシリコン薄膜、ポリシリコン薄膜、酸化物半導体薄膜、化合物半導体膜などの形成工程での高温環境に十分耐えることができる。さらに、露光、現像、エッチング、レジスト剥離などの加工プロセスに用いられる薬液、溶剤、あるいはプラズマ加工などに十分耐えることができる。そのため、本発明の電子表示装置は、基板にシランカップリング剤縮合物層を介して高分子フィルムを積層して得られた積層体の高分子フィルム上にて直接的に電子表示デバイスに必要な加工を実施することが可能である。この加工方法によれば、フレキシブルなフィルムを、あたかも一枚の基板と見なして、従来型電子表示デバイスの製造装置を用いて実施することが可能である。
なお、本発明は、基板上に高分子の前駆体(代表的な例としてはポリイミドの前駆体であるポリアミド酸)溶液を塗布し、乾燥硬化して基板上で高分子フィルムを形成するプロセスについても、精緻な厚さ制御を行えば適用が可能となる。
図1は本発明の電子表示装置の、ひとつの態様の断面構成を示す概略模式図である。電子表示装置の側面部のリードがフライングリードになっている。図1の態様では、基板の、第一の面と第二の面の両方に、シランカップリング剤層を介して高分子フィルムが接着されている。 図2は本発明の電子表示装置の、ひとつの態様の断面構成を示す概略模式図である。電子表示装置の側面部のリードがフライングリードになっている。図2の態様では、基板の第一の面と高分子フィルムがシランカップリング剤層を介して接着されており、第二の面と高分子フィルムは接着剤によって接着されている。 図3は本発明の電子表示装置の、ひとつの態様の断面構成を示す概略模式図である。電子表示装置の側面部のリードがフライングリードになっている。図3の態様では、基板の第一の面と高分子フィルムが接着剤で接着されており、第二の面と高分子フィルムがシランカップリング剤縮合物層を介して接着されている。 図4は本発明の電子表示装置の、ひとつの態様の断面構成を示す概略模式図である。図4の態様では、フライングリードの全部が基板の側面に接触している。 図5はフライングリード部を設けていない態様である。 図6は、フィルムラミネート法を用いた場合の本発明の電子表示装置の製造工程の一例の前半を説明する図である。 図7は、、フィルムラミネート法を用いた場合の本発明の電子表示装置の製造工程の一例の後半を説明する図である。また、領域1~領域4が図示されている。 図8はワニス法を用いた場合の本発明の電子表示装置の製造工程の一例の前半を説明する図である。 図9はワニス法を用いた場合の本発明の電子表示装置の製造工程の一例の後半を説明する図である。また、領域1~領域4が図示されている。ただしここでは領域2を設けていない場合について図示している。 図10は、本発明の電子表示デバイスの側面部の詳細を示す模式図である。なおシランカップリング剤層、接着剤層、ドライバーIC等は省略されている。 図11は、本発明の電子表示装置の側面部の詳細を示す模式図であって、表示デバイス近傍の高分子フィルムをわずかに残して領域2を形成した場合の様子を示している。 図12は、本発明の電子表示装置の側面部の詳細を示す模式図であって、ギャップ部分に樹脂を充填した場合の様子を示している。 図13は、本発明の電子表示装置の側面部の詳細を示す模式図であって、実質的にギャップが存在せず、さらに基板側面に位置する部分の高分子フィルムが全て除去されて配線部がフライングリードとなっている場合を示している。 図14は、本発明の電子表示装置の側面部の詳細を示す模式図であって、実質的にギャップが存在せず、さらに基板側面がフライングリード化されており、さらに電子表示デバイスの表示部分の寸法が、基板寸法より大きい場合を示している。 図15は、従来から用いられているTABを用いてドライバーICを実装する場合を示す模式図である。 図16は、従来から提案されている電子表示装置の一例における、側面部分の形態を示す模式図である。 図17は、本発明の実施例において用いた模擬表示デバイスの配置図である。
以下、図を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の電子表示装置の、代表的な態様の断面構成を示す概略模式図である。
基板15は、本発明の電子表示装置全体を支える重要な要素である。
基板としては高分子の板、高分子シートなどの有機基板、ガラス繊維補強樹脂基板、無機フィラー補強樹脂基板、炭素繊維補強樹脂基板などの複合材料基板、ガラス基板、金属基板、金属箔、シリコンウエハ、その他の半導体ウエハなどの無機基板を用いることができる。実用的には平面の基板を用いることができる。基板として、厚さが数10μm程度のフレキシブルガラスを用いることもできる。無機基板15の好ましい厚さとしては、20μm以上であり、より好ましくは45μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上である。また、5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.2mm以下であり、さらに好ましくは0.7mm以下である。無機基板の厚さを上記範囲内とすることで、耐久性およびハンドリング性が良好となる。
ガラス基板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/℃以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
またこれら無機基板、好ましくは基板の表面に、クロム、ニッケル、ニクロム、モリブデン、タングステンなどの金属や、金属酸化物、金属窒化物、窒化ケイ素、窒化アルミ、炭化ケイ素などの薄膜を形成した基板を用いても良い。
また表面に陽極酸化被膜を形成した金属基板、金属箔、あるいはフッ素樹脂コーティング、シリコーン樹脂コーティングなどを行った無機基板を用いてもよい。
有機基板、複合材料基板の樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、架橋ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、架橋アクリル樹脂などを用いることができる。
<高分子フィルム>
高分子フィルム30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、その他の共重合アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、液晶ポリマー等のフィルムを用いることが出来る。なお、本発明では第一の高分子フィルムおよび第二の高分子フィルムを合わせて、高分子フィルムとする。
本発明ではこれら高分子フィルムのうち、縮重合反応により得られる高分子フィルム(縮合系の高分子フィルム)が好ましい。本発明において特に効果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上、好ましくは150℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは熱変形温度が100℃以上(好ましくは150℃以上)である性質を云う。本発明で好ましく用いられる縮重合高分子フィルム(縮合系の高分子フィルム)はポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンザゾール、ポリイミドベンザゾール、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルムであり、より好ましくはポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム又は液晶ポリマーフィルムである。
本発明で好ましく用いられる高分子フィルムはポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムであり、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどを用いることが出来る。本発明を特にフレキシブルディスプレイ素子製造に用いる場合には、無色透明性を有するポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましいが、反射型、ないし自発光型のディスプレイの背面素子を形成する場合においては、特にこの限りではない。
一般にポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(「前駆体フィルム」または「ポリアミド酸フィルム」ともいう)となし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
本発明において好ましく用いられるポリイミドフィルムとしては、以下の化学組成を含むポリイミド樹脂から得られるポリイミドフィルムを例示できる。
・ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルから得られるポリイミド樹脂、
・ビフェニルテトラカルボンとフェニレンジアミンから得られるポリイミド樹脂、
・ピロメリット酸とフェニレンジアミンから得られるポリイミド樹脂、
・ジアミン成分にベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン化合物を用いたポリイミド樹脂、
・シクロヘキシルテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸を用いたポリイミド樹脂、
・脂環族テトラカルボン酸と、アミド結合を有する芳香族ジアミンを用いたポリイミド樹脂
・フッ素を含有する単量体を用いたポリイミド樹脂、
・イオンを含有する単量体を用いたポリイミド樹脂
これらはテトラカルボン酸またはジアミンのそれぞれにおいて主たる成分を例示したものであって、第二第三の成分を配合して共重合化したポリイミド樹脂、あるいは複数組成のポリイミドを組み合わせてポリマーブレンド、またはポリマーアロイ化したポリイミド樹脂、さらに無機フィラーやポリジメチルシロキサン成分を導入したポリイミド樹脂などを用いても良い。また異なる組成のポリイミド樹脂が厚さ方向に積層された構造を有するポリイミドフィルムを用いることもできる。
本発明では高分子フィルムとして、弾性率が好ましくは3GPa以上、より好ましくは4GPa以上、さらに好ましくは5GPa以上であり、好ましくは15GPa以下、さらに好ましくは12GPa以下のポリイミドフィルムを用いることが好ましい。弾性率がこの範囲にあると、基板端部での折り曲げが可能で、かつ配線層へのダメージを最小限に留めることができる。弾性率がこの範囲より低いと折り曲げの際に高分子フィルムが大きく変形し、配線層の断線を生じる場合がある。一方で弾性率が高すぎると折り曲げが困難になる場合がある。
本発明の高分子フィルムは破断伸度が好ましくは3%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上のポリイミドフィルムであることが好ましい。破断伸度は折り曲げ性の尺度でもあり、破断伸度が低いと脆く割れやすいため、折り曲げの際にフィルムに割れ生じる場合があるが5%以上であれば折り曲げが可能である。
さらに本発明の高分子フィルムとしては厚さが3μm以上75μm以下のポリイミドフィルムであることが好ましい。フィルム厚さは6μm以上が好ましく12μm以上がさらに好ましい。また上限は60μmが好ましく45μm以下であることがさらに好ましい。フィルム厚さは折り曲げ性に関係し、所定の範囲であれば折り曲げが比較的容易となる。
さらに本発明の高分子フィルムの線膨張係数は35ppm/K以下が好ましくは18ppm/K以下が、なお好ましく、なおさらに9ppm/K以下が好ましい。線膨張係数の下限は-5ppm/Kであり、好ましくは-2ppm/Kである。さらに高分子フィルムと基板の線膨張係数の差が10ppm/K以下であることがこのましい。線膨張係数を所定範囲に収めることにより、積層体の反りが抑えられ、生産時の不良率が低減される。
本発明において高分子フィルムをストレスなく基板側面に沿って折り曲げるためには高分子フィルムの引張強度より、高分子フィルムの圧縮強度が弱くなるように調整することが好ましい。具体的には、例えば高分子フィルムにボイドを意図的に形成し、圧縮応力に対して座屈しやすくする態様を例示できる。
本発明では前記高分子フィルムが、全光線透過率85%以上、イエローインデックスが5以下のポリイミドフィルムであることが好ましい。全光線透過率は88%以上が好ましく、さらに91%以上が好ましい。上限は特に限定されないが、電子表示装置に使用するためには99%以上であれば十分であり、98%以下でも差し支えない。イエローインデックスは4以下が好ましく、さらに3以下であることが好ましい。これはすなわちポリイミドフィルムが無色透明性を有することを意味する。イエローインデックスの下限は特に限定されないが、電子表示装置に使用するためには1以上であれば十分である。無色透明性を有するポリイミドフィルムを用いた場合には、光透過型の表示方式である液晶電子表示デバイスに本発明を適用することが可能となる。
本発明の電子表示装置を製造するための、好ましい製造方法においては、行程中で基板と高分子フィルムが接着された積層体の状態を経由する。かかる積層体を得るための手法としてフィルムラミネート法とワニス法を例示することができる。
<フィルムラミネート法>
高分子フィルムと基板を接着剤ないし粘着剤などで貼り合わせて積層体を得る。接着剤としてはエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、および粘着剤を用いることができる。が、電子表示デバイス形成に高温プロセスが適用される場合には高耐熱の接着剤を用いる必要がある。さらに本発明では高耐熱な接着手法として、シランカップリング剤縮合物を介して基板と高分子フィルムを接着する手法を用いることができる。電子表示デバイス形成に高温が必要な場合には、基板にも耐熱性が要求されることから、無機基板、好ましくはガラス基板との組み合わせにおいて用いられることが好ましい。
シランカップリング剤を用いる接着法においては、高分子フィルムあるいは基板のいずれか、または両方の接着面にシランカップリング剤を塗布し、両者を重ね合わせて加熱すればよい。シランカップリング剤の有機基が高分子フィルム面と反応し、シランカップリング剤のメトキシ基、エトキシ基が無機基板表面の水酸基などと反応し、さらにシランカップリングどうしが自己縮合して縮合物層を形成して接着が行われる。本手法においては、例えば特許5224011号公報に開示される技術と組み合わせることにより、接着強度を制御し、接着強度が強い部分と弱い部分をパターン状に形成することがすることが可能であり、基板と高分子フィルムとを部分的に剥離する場面において適用することができる。
<ワニス法>
基板に高分子フィルムを構成する樹脂溶液、あるいは高分子の前駆体溶液を塗布し、基板上で乾燥、必要に応じて化学反応を行って高分子フィルムを得る方法である。代表的な例としてポリイミドフィルムを得るために、ポリイミド樹脂溶液ないしはポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を用いる例をあげることができる。
ワニス法においても、たとえば特許5862866号公報に開示される手法を用いて、基板と高分子フィルムの接着力を制御し、接着強度が強い部分と弱い部分をパターン状に形成することがすることが可能である。
なお、本発明において規定される高分子フィルムの諸特性は以下の方法で求められたものである。
<基板の厚さ、高分子フィルムの厚さ>
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定し、10点の平均値を求めた。
<高分子フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度>
測定対象とする高分子フィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG-5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定し、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を得た。
<高分子フィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃~45℃、45℃~60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<全光線透過率>
HAZEMETER(NDH5000、日本電色社製)を用いてフィルムの全光線透過率(TT)を測定した。光源としてはD65ランプを使用した。尚、同様の測定を3回行い、その算術平均値を採用した。
<イエローインデックス>
カラーメーター(ZE6000、日本電色社製)およびC2光源を使用して、ASTM D1925に準じてフィルムの三刺激値XYZ値を測定し、下記式により黄色度指数(YI)を算出した。尚、同様の測定を3回行い、その算術平均値を採用した。
YI=100×(1.28X-1.06Z)/Y
<シランカップリング剤縮合物層>
シランカップリング剤縮合物層20は、文字通りシランカップリング剤の縮合物からなる層である。シランカップリング剤層は基板と高分子フィルムを接着する働きを有する。高分子フィルムと基板の接着面の一部または全部がシランカップリング剤縮合物層を介して接着されている。シランカップリング剤縮合物層は、基板の第一の面および/または第二の面に存在していることが好ましく、基板の第一の面および第二の面に存在していることがより好ましい。また、基板の第1の面の全部および第二の面の全部に存在していることがさらに好ましい。また、高分子フィルムと基板の側面とがシランカップリング剤縮合物層を介して接着されていることも好ましい。
シランカップリング剤は、主には無機物表面などに存在する水酸基と、シランカップリング剤の分子内に含まれるメトキシ基、エトキシ基などとの間の脱アルコール縮合反応により、無機物表面を有機化する化合物の総称である。かかる脱アルコール反応はシランカップリング剤とシランカップリング剤との間でも生じ、結果としてシランカップリング剤間がシロキサン結合により連結された縮合物となる。
本発明において、シランカップリング剤とは、Si(ケイ素)の成分を10質量%以上含有する化合物であることが好ましい。さらに構造中にアルコキシ基を有するものであることが好ましい。本発明で好ましく使用できるシランカップリング剤の具体例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
前記シランカップリング剤のなかでも、1つの分子中に1個のケイ素原子を有するシランカップリング剤が特に好ましく、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。前記カップリング剤としては、前記のほかに、11-アミノ-1-ウンデセンチオールも使用することができる。
シランカップリング剤は一般に液体であり、基板あるいは高分子フィルムに塗布することにより層を得る。塗布する方法としてはウェットコーティングや蒸着法などの気相塗布方法を用いることができる。
シランカップリング剤をウェットコーティングする方法としては、シランカップリング剤の原液、あるいはアルコール溶液、水溶液などの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の従来公知の溶液の塗布手段(従来公知の塗布装置)を適宜用いることができる。
また、スポット的にシランカップリング剤を塗布する方法としてディスペンサ、スポイト、あるいは筆による描画塗布などを用いることもできる。
また、シランカップリング剤層を蒸着法の様に気相を介して塗布することもできる。具体的には、前記基板または高分子フィルムをシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露して形成する。シランカップリング剤の蒸気は、液体状態のシランカップリング剤を40℃~シランカップリング剤の沸点程度までの温度に加温することによって得ることができる。シランカップリング剤の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100~250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基側の副反応を招く恐れがあるため好ましくない。またシランカップリング剤の塗布は基板、高分子フィルムの両面に行っても良い。
<リード>
リード40は、前記高分子フィルム30の非接着側の表面に形成され、電子表示デバイスと駆動素子(ドライバーIC)とを電気的に接続(接触)する配線である。リードは、電子表示デバイス内に網の目の様に張り巡らされている配線層と接続されており、電子表示デバイス内では多層配線構造を有しているが、図では便宜上、電子表示デバイスの周辺部から、電子表示デバイスの外周に配置された部分のみを示している。配線層は原則的に金属層であることが好ましく、導電率の高い、銅、銀、アルミニウム、金、銀、ニッケル、クロム、錫、鉛など、あるいは線膨張係数の低いモリブデン、タングステンなどが主に用いられる。また必要に応じて黄銅、白銅、青銅、インバー、ステンレス鋼、半田などの合金を用いても良い。かかる配線層は、蒸着、スパッタリング、などの真空メタライジング技術、あるいは無電解メッキなどの湿式メタライジング、あるいはプラズマ溶射などのメタライジング技術を単独で、あるいは複数組み合わせて形成される。 さらに配線層はエッチング、あるいはマスキング法などによりパターニングされている。
なお、図面では簡素化のために省略しているが、配線層は樹脂などにより絶縁保護されることが好ましい。絶縁保護は、配線層の上面、下面、側面に行われることが好ましい。
<駆動回路素子(ドライバーIC)>
電子表示デバイスの駆動回路素子(ドライバーIC)50は、電子表示デバイスに画像信号と電力を供給する集積電子回路素子である。ドライバーICは従来型の半導体素子を用いればよく、ベアチップの形で実装されるものであることが好ましい。ドライバーIC50は、前記無機基板の第二の面に接着された側の高分子フィルム表面に実装(搭載)される。図では省略されているが、フェイスダウンボンディングであれば、リードから延長される電極部に接続用のバンプなどが形成される。またフェイスアップ分ディングであれば、ワイヤボンディング適性の有る表面処理が配線層に加えられる。配線層の表面処理として金メッキ、錫メッキなどを行うことは好ましい態様である。またドライバーIC実装後にはアンダーフィル剤、あるいはオーバーコート、あるいはポッド封止してもよい。
<電子表示デバイス>
本発明における電子表示デバイス60は、液晶表示装置、OLED(有機EL素子)、マイクロLEDアレイ、電気泳動ディスプレイなど、一般にFPD:フラットパネルディスプレイと呼ばれる電子表示デバイスを指し、本発明の電子表示装置における画像表示を行う部分である。CRT(ブラウン管)は含まない。原理的にはFED、PDP、蛍光表示管などに適用することも可能である。本発明はタイリングによる大面積化技術と組み合わせることが好ましく、自発光型であるOLED、マイクロLEDアレイ、あるいは電気泳動電子表示デバイス、反射型液晶表示装置のような反射型表示装置との組み合わせが好ましい。電子表示デバイス60は、前記無機基板の第一の面に接着された側の高分子フィルムの非接着側の表面に形成される。すなわち、前記高分子フィルム表面上で構築されるものであることが好ましい。
一般に電子表示デバイスはバックプレーンとフロントプレーンで構成されている。本発明における電子表示デバイス形成の一例として以下のプロセスを例示する。まず、基板に接着された高分子フィルム上の非接着側の表面に、必要に応じてガスバリア膜、アンカー層、などを形成した後に、各画素信号を直接取り扱う薄膜半導体素子と画素駆動電極などを形成し、発光体ないし電気泳動体を配置した後、対面電極、あるいは必要に応じてカラーフィルターなどを備えたフロントプレーンをビルドアップ的に形成するか、または別途作製したフロントプレーンを貼り付けることで電子表示デバイスを得る。
周知のとおり電子表示デバイスは、個々のピクセル(画素)の集合体である。本発明では電子表示デバイスの画素寸法(以下、ピクセルサイズ、または、ピクセル寸法ともいう。)をLpxとする。ピクセル寸法は、X方向またはY方向のいずれかにおいて、いずれかの方向の電子表示デバイスの寸法を同じ方向を構成する画素の数で除すことにより求めることができる。なお、カラー表示のために1画素中にRGB三色の画素が存在する場合には、RGBを一組として1ピクセルと数えることとする。反射型表示において、例えば1画素中にYMCKの4色が存在する場合にはYMCKをまとめて1ピクセルと数えることとする。
<接着剤層>
本発明において、高分子フィルムと基板とをシランカップリング剤を用いずに接着する必要がある場合には接着剤により接着し、接着剤層70を形成しても良い。接着剤としてはエレクトロニクス分野で一般的に使用されている、たとえばエポキシ樹脂系、あるいはシリコーン樹脂系などの、比較的耐熱性の高い接着剤を用いることが好ましい。本発明において、接着剤とは、Si(ケイ素)成分の含有量が10質量%未満ものであることが好ましい。さらに構造中にアルコキシ基を有さないものであることが好ましい。
<注型樹脂>
注型樹脂90は、本発明の電子表示装置の側面において、基板の側面と高分子フィルムの間にギャップが存在する場合に、ギャップを樹脂で埋めることにより、基板側面に位置する高分子フィルムを固定し、高分子フィルム上に形成されている配線層を間接的に保護する。注型樹脂にはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。
図6、図7を用いて、フィルムラミネート法を用いた場合の本発明の電子表示装置を製造するプロセスを説明する。
図6の工程Aは加工前の基板15である。
図6の工程Bは基板15表面にシランカップリング剤縮合物層20を形成した状態である。ただし、この状態ではシランカップリング剤は完全に縮合していない。この段階において特許5224011号公報に記載される接着強度の強弱パターン化のための予備処理を加えることができる。
図6の工程Cはさらに高分子フィルム30を接着した状態である。高分子フィルムの接着面は好ましくはプラズマ処理などで化学的に活性化した状態、すなわちカルボキシル基、水酸基、アミノ基、カルボニル基などの化学的活性度が高い官能基が存在する状態とすることが好ましい。シランカップリング剤の有機部分とかかる官能基が反応し、一方のシランカップリング剤のメトキシ基、エトキシ基が脱アルコール反応を生じつつ基板の表面の水酸基などと反応して両者は接着される。またシランカップリング剤どうしも縮合して縮合物層を形成する。
工程A~Cまでが「(a)基板と、少なくとも基板の片面に接着された高分子フィルムを有する積層体を準備する工程」に相当する。
図6の工程Dでは、高分子フィルム上にリードが形成される。便宜上周辺部のみを図示してある。
図6の工程Eでは電子表示デバイスが形成される。リードは、実際には電子表示デバイス内に網の目状に配置される配線層と接続されている。
工程DとEが「(b)高分子フィルム上に、電子表示デバイスとリードを形成する工程」に相当する。
図6の工程Fでは、基板の一部が取り除かれる。取り除かれる部分は電子表示デバイスが形成されたエリアの外側であり、好ましくは電子表示デバイスの表示エリアの寸法と、残る基板の寸法が同一であるか、基板寸法の方が、基板厚さに相当する寸法程度以下の範囲で小さくなるように除去することが好ましい。これにより、リードを伴う高分子フィルムが電子表示装置の周囲を額縁状に取り巻く形態となる。基板の所定の部分を取り除くには、機械的に、あるいはレーザー照射などにより基板を切断、ないし、切り欠けを生成した後に割分けすればよい。金属基板の場合には該当箇所をエッチングで除去することも可能である。不要部分の溶解除去は、基板の場合においても、理論上は強アルカリないしフッ酸などを用いることにより可能である。
図7の工程Gは、電子表示デバイス周辺を取り巻く高分子フィルムのリードが形成された面の逆面側から高分子フィルムを取り除き、リード部をフライングリードとする工程である。高分子フィルムを除去する方法としては、プラズマエッチング法、サンドブラスト法、その他の機械的研削法、薬液によるエッチング法などを用いることができる。高分子フィルムに溶剤溶解性がある場合には薬液として有機溶剤を用いることができる。ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドなどの縮合系高分子においてはアルカリ化合物の溶液でエッチングすることも可能である。アルカリ化合物の溶液としては、アルカリ水溶液が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ類の他、アンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウム、アミノアルコール類などの有機アルカリを用いることができる、また過マンガン酸カリウム、過塩素酸ナトリウムなどの強い酸化剤の溶液を用いることもできる。
工程Fと工程Gが「(c)前記電子表示デバイスが形成されている領域の外側にあたる基板を除去する工程、および高分子フィルムのリードが形成されている領域の一部を除去しフライングリード化する工程を経て、以下の層構成を有する各領域を形成する工程、
領域1(表示領域)の層構成:電子表示デバイス/高分子フィルム/接着層/基板
領域2(領域1に隣接する第一の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム
領域3(フライングリード領域)の層構成:リード
領域4(領域3に隣接する第二の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム」に相当する。なお図7の工程Gの図示において、
X1:領域1(表示領域)
X2:領域2(領域1に隣接する第一の配線領域)
X3:領域3(フライングリード領域)
X4:領域4(領域3に隣接する第二の配線領域=ドライバーIC実装部)
である。
図7の工程Hでは、基板の第二の面(裏面)の、折り曲げられた領域4の高分子フィルム側が接する箇所には、あらかじめシランカップリング剤21が塗布されている。この場合、ディスペンサなどで必要箇所に必要量を塗布すればよい。実験室的にはスポイトや絵筆を用いて塗布することも可能である。
図7の工程Iは、高分子フィルムが折り曲げられ、基板の第二の面(裏面)に高分子フィルムの該当箇所がシランカップリング剤層を介して接着されている状態を示す。この場合も工程A~工程Cと同様、シランカップリング剤が基板と高分子フィルムを接着する反応と自己縮合する反応とが同時並行的に進み、シランカップリング剤層が形成される。
工程Hと工程Iが「(d)領域3(フライングリード領域)を基板の側面に沿って曲げる工程」と「(e)領域4(第二の配線領域)を基板の第二の面に沿って曲げ、接着する工程」に相当する。
図7のJは、電子表示デバイスの駆動回路素子(ドライバーIC)を実装した状態を示す。
以上により、概略が図1(領域2が略されている)、詳細には図11に例示した側面の配線層が薄肉化された形態の電子表示装置を得ることができる。
ここに領域3を広げて領域2を省いた場合には、詳細には図10に例示した形態となる。
工程Gにおけるフライングリード化を行わなかった場合には図5の形態、詳細には図16の形態となり、額縁を狭くすることができない。
なお、ここでは高分子フィルムを無機基板に接着し、電子表示デバイス部は無機基板から剥がさず、製造に用いた無機基板部を電子表示装置に取り込む形を例示したが、工程Eまで進めた段階で高分子フィルム全体を無機基板から剥離し、新たに所定サイズの基板を用意して再接着して工程Fに進むことも可能である。製造工程適性から、電子表示デバイスの製造には耐熱性の高い無機基板の使用が好ましいが、製品として軽量化、フレキシブル化が求められる場合には高分子板、高分子シート、FRP板などの、より軽量で薄い基板を用いることは選択しうる態様の一つである。
図2は、図7の工程H~Iにおいてシランカップリング剤では無く、接着剤を用いた場合になる。無機基板の第二の面と高分子フィルムとの接着にシランカップリング剤を用いた場合には、シランカップリング剤層は極めて薄いため、高分子フィルムを剛体と見なせる無機基板が事実上直接支持する形となる。そのため、配線層を支える弾性層は高分子フィルム層だけであり、ボンディング時の加熱、加圧、超音波振動が必要以上に吸収されず、結果として低不良率のボンディングが行える。
一方で接着剤を用いる場合には、弾性層が高分子フィルムと接着剤層の二層となり、ボンディング時の超音波振動が減衰しやすい傾向となる。しかしながら図2の場合には、無機基板の第一の面側において表示素子部分の高分子フィルムと無機基板がごく薄いシランカップリング剤層で接着されているため、装置全体として超音波振動の減衰が抑えられているため、十分に高いボンディング良品率を確保することが可能である。ただし、接着剤を用いる場合には、できるだけ薄く塗布するとともに、硬化物として高弾性率を示す接着剤を用いることが好ましい。
図3は、工程Bにおいてシランカップリング剤では無く、接着剤を用いて高分子フィルムを無機基板に接着した場合である。この場合図2とは逆に、表示装置全体として、広い面積を占める接着剤層による振動吸収が生じてしまう。しかしながら、ボンディングを行う直下の接着がごく薄いシランカップリング剤層であるため、図2の場合と同様に十分に高いボンディング良品率を確保することが可能である
図4は、フライングリード部を電子表示装置の側面に沿う形で曲げ、側面に接触した形態である。詳細には図13の形となり、額縁幅をリード厚さまで狭くすることができる。
次いで図8および図9を用いてワニス法を用いた場合の本発明の電子表示装置を製造するプロセスを説明する。
図8の工程Aは加工前の基板である。
図8の工程Bは基板表面に高分子溶液ないし高分子前駆体溶液35を塗布した状態である。シランカップリング剤(層)は、用いても用いなくても良いため図からは省略している。ただし、特許5862866号公報に記載される接着強度の強弱パターン化を行う場合には、シランカップリング剤を基板に塗布し、パターン化のための予備処理を行った後に高分子溶液ないし高分子前駆体溶液を塗布すればよい。
図8の工程Cは、乾燥および必要に応じて化学反応を行って基板上にて高分子フィルムを形成した状態である。
フィルムラミネート法と同様、工程A~Cまでがワニス法における「(a)基板と、少なくとも基板の片面に接着された高分子フィルムを有する積層体を準備する工程」に相当する。以後の工程は、概ねフィルムラミネート法を用いた場合とほぼ同様である。
図8の工程Dでは、高分子フィルム上にリードが形成される。便宜上周辺部のみを図示してある。
図8の工程Eでは電子表示デバイスが形成される。リードは、実際には電子表示デバイス内に網の目状に配置される配線層と接続されている。
工程DとEがワニス法における「(b)高分子フィルム上に、電子表示デバイスとリードを形成する工程」に相当する。
図8のF工程では、基板の一部が取り除かれる。
図9の工程Gは、電子表示デバイス周辺を取り巻く高分子フィルムのリードのある面の逆面側からエッチングなどにより除去した状態を表す。この場合も配線層は、いわゆるフライングリード42となる。高分子フィルムを除去する方法についてはフィルムラミネート法と同様である。
工程Fと工程Gが「(c)前記電子表示デバイスが形成されている領域の外側にあたる基板を除去する工程、および高分子フィルムのリードが形成されている領域の一部を除去しフライングリード化する工程を経て、以下の層構成を有する各領域を形成する工程、
領域1(表示領域)の層構成:電子表示デバイス/高分子フィルム/接着層/基板
領域2(領域1に隣接する第一の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム
領域3(フライングリード領域)の層構成:リード
領域4(領域3に隣接する第二の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム」に相当する。なお図9の工程Gの図示においては、
X1:領域1(表示領域)
X3:領域3(フライングリード領域)
X4:領域4(領域3に隣接する第二の配線領域=ドライバーIC実装部)
であり、X2が省かれた状態をここでは示している。
ここでは、X2を省かない方法をフィルムラミネート法で、X2を省いた方法をワニス法で説明しているが、これは説明の便宜上であって、X2を省くか省かないかは、フィルムラミネート法、ワニス法に依存するわけでは無い。
工程Hと工程Iはフィルムラミネート法と同じである。この工程Hと工程Iが「(d)領域3(フライングリード領域)を基板の側面に沿って曲げる工程」と「(e)領域4(第二の配線領域)を基板の第二の面に沿って曲げ、接着する工程」に相当する。
図9のJは、電子表示デバイスの駆動回路素子(ドライバーIC)を実装した状態を示す。
以上により、フィルムラミネート法と同様に、図1に概略を例示した形態の電子表示装置を得ることができる。(ただし基板の第一の面と高分子フィルム層の間にシランカップリング剤層は無い)
なお、ワニス法においてもフィルムラミネート法と同様に、工程Eまで進めた段階で高分子フィルム全体を無機基板から剥離し、新たに所定サイズの基板を用意して再接着して工程Fに進むプロセスは、選択しうる態様の一つである。
本発明では電子表示装置の外形寸法Loと、電子表示デバイスの表示部の外形Ldとが以下の関係にあることが好ましい。
Lo<(1/2)×(Ld+5×Lpx)
ここに、
Lo:電子表示装置の外形寸法
Ld:電子表示デバイスの表示部の外形寸法
Lpx:電子表示デバイスの画素寸法、である。
この関係を図10を用いて説明する。図10は電子表示装置の側面近傍の断面を示している。断面の切断方向は電子表示デバイスのX方向ないしY方向のいずれか一方向である。本発明では表示装置のX方向、Y方向のいずれか一方向、好ましくは両方向で上記の関係を成立させることが必要である。
電子表示装置の外形寸法Loから、実際に画像を表示できるエリアの寸法Ldを差し引いた寸法の1/2が、表示エリアから外側にある画像表示できないエリア(オーバーハング部)の寸法Lovとなる。Lovは額縁の最小幅と理解することができる。本発明ではこのオーバーハング幅を画素寸法の2.5倍以下とすることが好ましい特徴である。
額縁幅を表示ピクセルの2.5倍程度以下とすれば、タイリングした際に生じる非表示部の幅がピクセルサイズの5倍程度以下となり、タイリングの継ぎ目を目立たなくすることができる。より好ましくは2.4倍以下であり、さらに好ましくは2.2倍以下であり、特に好ましくは2.0倍以下である。
一方でLovはフライングリード厚さTwと側面ギャップLgとの和になる。フライングリードの厚さはリードの厚さに等しい。フライングリードは有限の曲率半径Riをもって曲げられる。この場合曲率半径はLgとTwとの和に相当することなり、すなわちLovに等しい。
Ri=Lg+Tw=Lov
以上は、高分子フィルムと配線層が完全な円弧を描いて曲げられた理想的な場合の幾何学解である。実際には曲げ部分は楕円弧的に歪むため理想形からは外れるわけである。
本発明では、実施の曲げ半径RrがRiの0.7倍から3倍の間に収まるように曲げることが好ましい。すなわち、
0.7×Lov ≦ Rr ≦ 3×Lov
であることが好ましい。より好ましくは0.8倍以上2.5倍以下であり、さらに好ましくは1倍以上2倍以下である。
フライングリードが曲率半径Lovで曲げられ、かつ基板厚さTsが十分に厚い場合(Ts>2×Lov)には、基板側面と、リード高分子フィルムおよび配線層が平行する区間Lpを設けることができる。Lpは計算上
Lp=Ts-2×Lg
となる。これも理想的に変形した場合の幾何学解であり、実際には理想形からは外れる訳であるが、本発明では少なくともLpが基板厚さTsの30%以上であることが好ましい。すなわち、
Lp ≧ 0.3×Ts
であることが好ましい。より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
図12は、本発明の電子表示装置の側面部に生じるギャップ部分に樹脂を充填した場合の様子を示している。ギャップ部分に樹脂を充填して、側面の高分子フィルム形状を固定化することで、本発明の電子表示装置の側面形状を良好に維持することができる。固定化する際に型などを用いれば、側面形状を理想形状に近づけることが可能となる。
図13は、本発明の電子表示装置の側面部において実質的にギャップが存在しない場合の様子を示している。フライングリードの材質が塑性変形可能な金属材料である場合にはこのような形態に加工することが可能である。この場合にはLovはリーフライングリードの厚さに等しくなり、額縁幅を非常に狭くすることができる。
図14は、図13の形態に加えて、なおさらに、電子表示デバイスの表示エリアに踏み込んで基板と高分子フィルムを除去した形態であり、電子表示装置の外形寸法Loと電子表示デバイスの表示エリアの寸法Ldが実質的に等しくなるため、額縁を無くすることが可能となる。
図15は従来技術であるTABを用いた電子表示装置において、TAB基材である高分子フィルムと基板の第二の面との接着にシランカップリング剤を用いた場合を示している。TABのフライングリードと電子表示デバイスとはACF(異方性導電膜)により接続されている、ACF部分は表示に使えないため、額縁にACF幅が含まれてしまうため、狭額縁化が阻害されている。
図16には、本発明と類似する従来提案されてきた、電子表示装置の側面部の詳細断面模式図である。高分子フィルムが大きな曲率をもって曲げられているためオーバーハングが大きくなり額縁幅を狭くすることが困難である。このような形態となるのは、高分子フィルムのフレキシビリティが乏しく、曲率を小さくするとフィルムが破損する可能性が高くなるためである。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本実施例は、本発明を限定するものではない。
<積層体の製造A>(フィルムラミネート法1)
(ポリイミドフィルムApfの製造)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、前記反応容器内に5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N-ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、コロイダルシリカ(平均粒径:0.08μm)をジメチルアセトアミドに分散させたスノーテックス(DMAC-ST30、日産化学工業製)をコロイダルシリカがポリアミド酸溶液A中のポリマー固形分総量に対して0.7質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Apaaを得た。
得られたポリアミド酸溶液Apaaを、ダイコーターを用いて、鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、90~115℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、グリーンフィルムAgfを得た。
得られたグリーンフィルムAgfをピンテンターによって、最終ピンシート間隔が1140mmとなるように搬送し、1段目170℃で2分間、2段目230℃で2分間、3段目485℃で6分間として熱処理を施し、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈するポリイミドフィルムApfを得た。
(フィルムラミネート法による積層体製造1)
ポリイミドフィルムApfの片面にロールトゥロール方式に真空プラズマ処理装置を用い窒素プラズマ処理を行い、その後280mm×280mmの正方形にカットした。
シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBE-903」)を1質量%含むイソプロピルアルコール溶液を300mm×300mm、厚さ0.5mmのガラス基板にスピンコート法によりコーティングし、その後100℃にて1分間乾燥させた。さらにガラス周辺部のシランカップリング剤の活性を弱める処理:接着強度の強弱パターン化処理)として、ガラス中央部250mm×250mmを遮光性のあるプラスチックシートでマスクし、全面にLANテクニカルサービス社製のUV/オゾン洗浄機にて紫外光を照射した。
次いで、フィルムのプラズマ処理面とガラス板のシランカップリング剤処理面を合わせ、真空ラミネータいて両者を密着させ、150℃1分間の熱処理を行い、積層体Aを得た。
<積層体の製造B>(フィルムラミネート法2)
(ポリイミドフィルムBpfの製造)
窒素導入管、ディーン・スターク装置及び還流管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器に、窒素ガスを導入しながら、32.02質量部の2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB)、230質量部のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を加えて完全に溶解させ、次いで、44.42質量部の4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)を固体のまま分割添加した後、室温で24時間攪拌した。その後、固形分25質量%、還元粘度1.10dl/gのポリアミド酸溶液Bpaaを得た。
次に、得られたポリアミド酸溶液BpaaにDMAc204質量部を加えてポリアミド酸の濃度が15質量%になるように希釈した後、イミド化促進剤としてイソキノリン1.3質量部を加えた。次いで、ポリアミド酸溶液を攪拌しながら、イミド化剤として無水酢酸12.25質量部をゆっくりと滴下した。その後、24時間攪拌を続けて化学イミド化反応を行って、ポリイミド溶液Bsolを得た。
次に、得られたポリイミド溶液Bsol100質量部を攪拌装置と攪拌機を備えた反応容器に移し替え、攪拌しながらメタノール150質量部をゆっくりと滴下させたところ、粉体状の固体の析出が確認された。
その後、反応容器の内容物である粉末を脱水濾過し、さらにメタノールを用いて洗浄した後に50℃で24時間真空乾燥した後、260℃で更に5時間加熱し、ポリイミド粉体Bpdを得た。得られたポリイミド粉体Bpd20質量部を80質量部のDMAcに溶解させてポリイミド溶液Bを得た。
25℃45%RHに空調された大気中にて、ロールトゥロール式のコンマコーターと連続式乾燥炉を備えた装置を用いて、ポリイミド溶液Bを、仮支持体であるポリエチレンテレフタレート製フィルムA4100(東洋紡株式会社製、以下PETフィルムと略記する)の無滑材面上に最終膜厚が15μmとなるよう塗布した。次いで連続式の乾燥機により、一次加熱として、110℃にて10分間加熱し、残溶剤量が25質量%の半乾燥被膜Bgfを得て、仮支持体ごとロール状に巻き取った。
得られたロールを再び前述の装置にセットし、仮支持体とともにBgfを巻き出し、Bgfを仮支持体から剥離し、ピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンに差し込むことにより把持し、フィルムが破断しないように、かつ不必要なたるみが生じないようにピンシート間隔を調整して搬送し、最終加熱として、200℃で3分、250℃で3分、300℃で6分の条件で加熱した。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、幅530mm、長さ80mのポリイミドフィルムBpfのロールを得た。
得られたポリイミドフィムは厚さ25μm、ガラス転移温度が320℃、全光線透過率92%、イエローインデックスが0.8、引張弾性率が3.4GPa、引張破断伸度が18%、熱膨張係数(CTE)62ppm/Kであった。
(フィルムラミネート法による積層体製造2)
ポリイミドフィルムBpfを280mm×280mmにカットし、表面活性化処理として、LANテクニカルサービス社製のUVオゾン層値にて3分間UV照射を行った。
300mm×300mm、厚さ0.5mmのガラス基板をシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBE-903」)の40℃上記に5分間暴露し、次いで60℃にて5分間、乾燥窒素中で保持し、シランカップリング剤処理とした。次いで、フィルムBpfのUV照射処理面とガラス基板のシランカップリング剤処理面を合わせ、真空ラミネータいて両者を密着させ、150℃1分間の熱処理を行い、積層体Bを得た。
<積層体の製造C>(ワニス法1)
ポリイミドフィルムApfの製造の過程で得られたポリアミド酸溶液Apaaを、300mm×300mm、厚さ0.5mmのガラス基板にバーコーターにより最終フィルム厚が20μm、有効サイズが280mm×280mmとなるように塗布し、真空乾燥機で250℃30分間乾燥した後、窒素置換したイナート炉にて450℃5分間熱処理し、ポリイミドフィルム層とガラス板からなる積層体Cを得た。
<積層体の製造D>(ワニス法2)
ポリイミドフィルムBpfの製造の過程で得られたポリイミド溶液Bを、300mm×300mm、厚さ0.5mmのガラス基板にバーコーターにより最終フィルム厚が18μm、有効サイズが280mm×280mmとなるように塗布し、真空乾燥機で、窒素置換したイナート炉にて150℃10分間、250℃10分間、300℃5分間熱処理し、ポリイミドフィルム層とガラス板からなる積層体Dを得た。
<模擬デバイスの製造>
得られた積層体A~Dを用いて、それぞれのポリイミドフィルム上に模擬表示デバイスを形成した。模擬表示デバイスの配置図(上面図)を図17に示す。ガラス基板150に、ポリイミドフィルム300がラミネートまたは塗布により積層されている。リード400はポリイミドフィルム上に、ニッケルクロム合金をスパッタリングした後に100nm厚の銅をスパッタリングすることでメタライズし、次いで電気メッキにて厚さ8μmまで銅を厚付けしたのちに、エッチング法によりリード形状に加工し、さらにリード表面に無電解錫メッキ処理を行うことにより形成した。模擬表示デバイス600は、リード形成後に所定範囲以外の部分をマスクし、アモルファスシリコン薄膜を形成して表示デバイスと見なすこととした。ここまでの工程が図6の工程E、または図8の工程Eに相当する。
積層体A~Dそれぞれを用いて、各々5枚ずつ模擬表示デバイスを作製し、次に述べるフライングリード形成と模擬電子表示装置への成形加工を行った。
<実施例1A>
まず、積層体Aの、ガラス基板の裏面から、ガラス基板を透過して観察可能な模擬表示デバイスのエッジに沿ってガラス基板にスクライブを入れ、次いでガラス基板を割分することで、リード部分を支持していたガラス部を除去した。図6の工程F、または図8の工程Fに相当する。
次いで図7の工程Gまたは図9の工程Gに相当するポリイミドフィルムの部分除去を行い、フライングリードを形成した。まず模擬表示デバイスをプラズマアッシング機能のある真空チャンバーにセットし、ガラス板が除去されたフィルム部分の、リード形成されていない面(ガラスに接着していた面)の、ガラス基板から1.5mm離れた個所から外側の所定部分をステンレス鋼製のマスクで覆い、次いでガラス基板側から酸素プラズマによるアッシング加工を行い、ガラス基板とステンレス鋼マスクでカバーされていない部分:フライングリード部と切り欠き部を除去した。これにより、図7の工程Gまたは図9の工程Gに示すところの、模擬表示デバイスX1に相当する寸法が250mm、X2部分は事実上無し、フライングリード部X3が1.5mm、ドライバーIC実装部X4部分が、約8.5mmである、形態の成形前模擬デバイスを得た。
<模擬表示装置への成形>
次いで、図7または図9の工程H~Jに相当する成形加工を行った。すなわちフライングリード部を、まずガラス板の側面に沿っておりまげ、さらにガラス板の裏面に沿って折り曲げた。ガラス板の裏面の、フライングリードの外側に位置するポリイミドフィルムが触れる部分には、あらかじめシランカップリング剤を塗布しておき、ポリイミドフィルムを密着させた重ねたのちに当て板とともにクリップで固定し、100℃5分間加熱し、ポリイミドフィルムとガラス裏面とを接着した。この箇所がドライバーICを搭載する箇所に相当する。
<実施例1B、1C、1D>
同じ加工を積層体B~Dを用いて同様に実施した。それぞれ実施例1B、1C、1Dとする。実施例1Aを含め、いずれもフライングリードの欠損は見られず、成形加工中にも特に問題は無かった。
<実施例2A>
実施例1においてプラズマアッシングを行う代わりに、サンドブラスト加工を行った。サンドブラスト装置にセットする前に、模擬表示デバイスが形成されている側の全面に、厚さ50μmの感光性・アルカリ剥離性のドライフィルムレジストラミネートによるマスキングを行った。反対面側についても同様にドライフィルムレジストをラミネートし、フライングリード化する部分と、切り欠き部となる部分を遮光マスクカバーして紫外線照射を行い、次いでドライフィルムレジストの現像処理を行った。
次いで、マコー株式会社製のウェットブラスト装置にドライフィルムによるマスキング処理後の積層体をセットし、平均粒子径5μmのアルミナ研磨粒子を用いたウェットブラスト処理により、ポリイミドフィルムの不要部分を除去し、次いでドライフィルムレジストのアルカリ剥離処理を行ってフライングリードを有する成形前模擬デバイスを得た。
以下、実施例1Aと同様に成形加工を行い、フライングリード部の観察と加工性の評価を行った。
<実施例2B、2C、2D>
同じ加工を積層体B~Dを用いて同様に実施した。それぞれ実施例2B、2C、2Dとする。実施例2Aを含め、いずれもフライングリードの欠損は見られず、成形加工中にも特に問題は無かった。
<実施例3A>
実施例2におけるマスキングを、厚さ0.8μmのアルミ蒸着膜とした。次いで、マスキング処理後の積層体を攪拌機を有するステンレス鋼製の処理槽にセットし、レイテック株式会社製ポリイミドケミカルエッチング液TPE3000を用いて70℃にて10分間エッチング処理を行い、フライングリードを形成したのち、マスクに用いたアルミ蒸着膜を塩酸水溶液に夜エッチング処理にて除去した。なおTPE300はアルカリ化合物の水溶液であり、強アルカリ性である。
以下、実施例1Aと同様に成形加工を行い、フライングリード部の観察と加工性の評価を行った。
<実施例3B、3C、3D>
同じ加工を積層体B~Dを用いて同様に実施した。それぞれ実施例3B、3C、3Dとする。実施例3Aを含め、いずれもフライングリードの欠損は見られず、成形加工中にも特に問題は無かった。
<実施例4A>
ガラス不要部除去までは実施例1Aと同様に行い、マスキングを行わず、模擬表示デバイス形成後の積層体のガラス面側から直接YAGレーザーにおいて不要部をカットし、フライングリード部についてはレーザー光間欠照射によるアブレーションによりポリイミドフィルム部を除去し、フライングリードを形成した。
<実施例4B、4C、4D>
同じ加工を積層体B~Dを用いて同様に実施した。それぞれ実施例4B、4C、43Dとする。実施例3Aを含め、いずれもフライングリードの欠損は見られず、成形加工中にも特に問題は無かった。
(ポリアミド酸溶液(PAA1)および滑剤入りポリアミド酸溶液(V1)の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)を入れた。次いで、4000質量部のN-メチル-2-ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(PAA1)が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.5dl/gであった。得られたポリアミド酸溶液(PAA1)に、滑剤としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC-ST-ZL」)とをシリカ(滑剤)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.5質量%)になるように加え滑剤入りポリアミド酸溶液(V1)を得た。
なお、ポリアミド酸の還元粘度は以下の方法で測定した。
<ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)>
ポリマー(ポリアミド酸)濃度が0.2g/dlとなるようにN-メチル-2-ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
(ポリアミド酸溶液(PAA2)および滑剤入りポリアミド酸溶液(V2)の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミン(PDA)を入れた。次いで、3600質量部のN-メチル-2-ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(PAA2)が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。以下ポリアミド酸溶液(V1)の調製と同様にコロイダルシリカを加え、滑剤入りポリアミド酸溶液(V2)を得た。
(ポリアミド酸溶液(PAA3)および滑剤入りポリアミド酸溶液(V3)の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテル(ODA)を入れた。次いで、3800質量部のN-メチル-2-ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(PAA3)が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。以下同様にコロイダルシリカを加え、滑剤入りポリアミド酸溶液(V3)を得た。
〔ポリアミド酸溶液(PAA4)および滑剤入りポリアミド酸溶液(V4)の調製〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、反応容器に窒素雰囲気下、1765質量部の1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、310質量部の4,4’-オキシジフタル酸(ODPA)、1601質量部の2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB)、1136質量部の4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンズアミド(DABAN)、20000質量部のN,N-ジメチルアセトアミドを仕込んで溶解させた後、室温で24時間攪拌した。その後、適正粘度となるように適当量のN,N-ジメチルアセトアミドで希釈し、還元粘度4.50dl/gのポリアミド酸溶液(PAA4)を得た。以下同様にコロイダルシリカを加え、滑剤入りポリアミド酸溶液(V4)を得た。
〔ポリイミド溶液(PI5)および滑剤入りポリイミド溶液(V5)の調製〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、反応容器に窒素雰囲気下、4610質量部のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)と640質量部の2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB)を入れて攪拌し、TFMBをDMAC中に溶解させた。次いで、反応容器内を攪拌しながら、窒素気流下で、897.37質量部の4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸2無水物(6FDA)を10分程度かけて投入し、そのまま温度が20~40℃の温度範囲となるように調整しながら6時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリアミド酸溶液(PAA5)を得た。
次に、得られたポリアミド酸溶液(PAA5)に4100質量部のDMACを加えて希釈した後、イミド化促進剤として258.3質量部のイソキノリンを加えて、ポリアミド酸溶液を攪拌しながら30~40℃の温度範囲に保ち、そこにイミド化剤として、1225質量部の無水酢酸を約10分間かけてゆっくりと滴下しながら投入し、その後更に液温を30~40℃に保って12時間攪拌を続けて化学イミド化反応を行って、ポリイミド溶液(PI5a)を得た。
次に、得られたイミド化剤およびイミド化促進剤を含むポリイミド溶液(PI5a)10000質量部を、攪拌装置と攪拌翼を備えた反応容器に移し変え、120rpmの速度で攪拌しながら15~25℃の温度に保ち、そこに15000質量部のメタノールを10g/分の速度で滴下させた。約8000質量部のメタノールを投入したところでポリイミド溶液の濁りが確認され、粉体状のポリイミド樹脂の析出が確認された。引き続き15000質量部全量のメタノールを投入し、ポリイミド樹脂の析出を完了させた。続いて、反応容器の内容物を、吸引濾過装置により濾別し、更に10000質量部のメタノールを用いて洗浄・濾別してポリイミド樹脂粉体を得た。得られたポリイミド樹脂粉体を局所排気装置のついた乾燥機を用いて、50℃で24時間乾燥させ、更に260℃で2時間乾燥させて、残りの揮発成分を除去して、乾燥ポリイミド粉体を得た。得られた乾燥ポリイミド粉体の還元粘度は5.40dl/gであった。次に、得られた乾燥ポリイミド粉体400質量部を3000質量部のDMAcに溶解させて、ポリイミド溶液(PI5)を得た。以下同様にコロイダルシリカを加え、滑剤入りポリイミド溶液(V5)を得た。
得られたポリアミド酸溶液、またはポリイミド溶液、および滑剤入りの溶液の一覧を表1、表2に示す。
Figure 2022028600000002
Figure 2022028600000003
[フィルムの製造例]
前記滑剤入りポリアミド酸溶液(V1)を送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上に最終厚さが38μmとなるようにコーティングし、110℃にて30分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の熱処理炉に通し、第1段が200℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として480℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、さらに両端部(耳部)をスリットし、中央部のみの幅524mm、長さ約200m、厚さ38μmのポリイミドフィルムF1を得た。
以下同様に滑剤入りポリアミド酸溶液(V2)、(V3)、(V4)滑剤入りポリイミド溶液(V5)を用い、塗布厚、熱処理条件を適宜調整し、滑剤入りポリアミド酸溶液V2からポリイミドフィルムF2を、滑剤入りポリアミド酸溶液V3からポリイミドフィルムF3を、滑剤入りポリアミド酸溶液V4からポリイミドフィルムF4を、滑剤入りポリアミド酸溶液V5からポリイミドフィルムF5を得た。得られたポリイミドフィルムの特性一覧を表3に示す。なお表中の数値は、MD方向とTD方向の平均値である。MDはフィルム製膜時の長手方向、TDはフィルム製膜時の幅方向である。
Figure 2022028600000004
[ポリイミドフィルム/ガラス基板積層体]
<ポリイミドフィルムの真空プラズマ処理>
ポリイミドフィルムF1に真空プラズマ処理を行った。真空プラズマ処理は長尺フィルム処理用の装置を用い、真空チャンバー内を1×10-3Pa以下になるまで真空排気し、真空チャンバー内にアルゴンガスを導入して、放電電力100W、周波数15kHzの条件で20秒間、アルゴンガスのプラズマ処理を行った。
<ガラス基板のシランカップリング剤処理>
ガラス基板[G]として470mm×370mm、厚さ 0.7mmの日本電気硝子製OM10Gを用いた。 ホットプレートと無機基板の支持台とを備えたチャンバーをクリーンな乾燥窒素で置換した後、UV/オゾン処理を行ったガラス基板を支持台に設置し、ガラス基板の200mm下方に液面が位置するようにシランカップリング剤(3-アミノプロピルトリメトキシシラン)を満たしたシャーレを置き、シャーレをホットプレートにて100℃に加熱し、ガラス基板の下面をシランカップリング剤蒸気に3分間暴露した後にチャンバーから取り出し、クリーンベンチ内に設置し、120℃に調温されたホットプレートにガラス基板の暴露面とは逆側を熱板に接するように乗せ、1分間の熱処理を行い、シランカップリング剤処理とした。
<ラミネート>
シランカップリング剤処理を行ったガラス基板のシランカップリング剤処理面に重なるようにポリイミドフィルムのプラズマ処理面を重ね、ロールラミネータにて仮圧着した後、クリーンベンチ内に設置し、150℃に調温されたホットプレートに無機基板側を熱板に接するように乗せ、3分間熱処理を行い、ポリイミドフィルム/ガラス基板積層体(LF1)を得た。得られたポリイミド/ガラス基板の積層体は、温度20~25℃、相対湿度65±30%の環境下で保管した。
以下同様にフィルムF2とガラス基板から、ポリイミドフィルム/ガラス基板積層体(LF2)を、得た。さらに同様にフィルムF3、F4、F5とガラス基板から、ポリイミドフィルムガラス基板積層体(LF3)、(LF4)、(LF5)を得た。
<実施例5>
得られたポリイミドフィルム/ガラス基板積層体を用いて、図6、図7に示すプロセスにより、模擬的に表示パネルを作製した。便宜上、このプロセスをフィルム法と呼ぶ。ガラス基板が図6の工程Aに、シランカップリング剤処理を行ったガラス基板が工程Bに、ポリイミドフィルム/ガラス積層体が工程Cに相当する。配線層40としてはスパッタリング法によりニッケルクロム合金層を形成した後に、スパッタリング法にて銅薄膜を形成し、その後電気銅メッキにより厚付けし、エッチングレジストを用いて不要部分をエッチング除去する、いわゆるサブトラクティブ法によりパターニングを行って配線層40を形成した。
電子表示デバイス層60としてはアモルファスシリコン薄膜を半導体として用いたTFTにより駆動される電気泳動素子を形成し、レーザーカッターによりガラス基板をカットして不要部分を除去し、図7の工程Gにおいてレーザー加工機を用いてフィルム部分を除去して該当部分をフライングリード化し、フライングリード部がガラス基板側面に沿うように曲げてガラス基板の裏側まで折り曲げた。シランカップリング剤溶液21としては、3-アミノプロピルトリメトキシシランの1質量%メタノール溶液を用い、ディスペンサにて所定位置に滴下し(便宜上、表示デバイス層を上面にして図示してあるが、実際には本工程以後は上下を逆にして操作している)、乾燥したのちに折り曲げたポリイミドフィルムを、ポリイミドフィルム/ガラス基板積層体の作製に倣ってガラス基板裏側に圧着後に加熱して接着を完了し、最後にドライバーICを実装して模擬パネル(PF1)を得た。
同様にして複数の(PF1)を作成し、タイル状に並べて大面積化し、画像信号を送って表示を確認した。各模擬パネル間においても、特に画素欠陥などは無く、良好な品位の画像表示が行われることが確認できた。
<実施例6~9>
以後、ポリイミドフィルムガラス積層体(LF2)、(LF3)、(LF4)、(LF5)を用いて、同様にそれぞれから模擬パネル(PF2)、(PF3)、(PF4)、(PF5)を得た。いずれもフライングリード部に異常は無く、タイリングにより大面積で良好な画像表示結果を得た。
<実施例10>
次にワニス法による実施例を示す。図8の工程Aはガラス基板である。ガラス基板にポリアミド酸溶液(PAA1)を所定の厚さに塗布した状態が工程B、乾燥後にイナートオーブンにて加熱することによりポリイミド層と成し、すなわち、ポリイミド層/ガラス基板積層体(LS1)を得た状態が工程Cである。(ワニス法ではフィルム法との区別のためにポリイミドフィルム部分をポリイミド層と呼ぶ場合がある)以後はフィルム法と同様に操作し、図9に示す工程に進み、工程Gにおいてレーザー加工機を用いてポリイミド層の部分を除去して配線部をフライングリード化し、フライングリード部分をガラス基板側面に沿って折曲げて、以後は同様に操作して模擬パネル(PS1)を作製した。フライングリード部に異常は無く、こちらもフィルム法の場合と同様にタイリングして表示画像品位を観察し、良好な画質を得ていることを確認した。
<実施例11~13>
以下同様にポリアミド酸溶液(PAA2)、(PAA3)、(PAA4)から模擬パネル(PS2)、(PS3)、(PS4)を得た。いずれもフライングリード部に異常は無く、タイリングにより良好な画像表示結果を得た。
以上述べてきたように、本発明の電子表示装置においては狭額縁化が可能で、ドライバーIC実装の不良率が低く、好ましくは自発光型素子、反射型素子に適用可能であり、結果としてタイリング用途に好適な表示装置を実現できる。本発明は、特に大面積の表示装置を経済的に製造する技術として産業界に寄与するところは極めて大である。
1:電子表示装置
15:基板
20:シランカップリング剤縮合物層
21:シランカップリング剤(溶液)
30:高分子フィルム
32:エッチング部
35:高分子溶液または高分子前駆体溶液
40:リード(配線層)
42:フライングリード部
50:電子表示デバイスの駆動回路素子(ドライバーIC)
60:電子表示デバイス
70:接着剤層
80:異方性導電膜(ACF)
90:注型樹脂
150:ガラス基板
300:ポリイミドフィルム
310:ポリイミドフィルムの切り欠き領域
400:リード
600:模擬表示デバイス
X1:領域1(表示領域)
X2:領域2(領域1に隣接する第一の配線領域)
X3:領域3(フライングリード領域)
X4:領域4(領域3に隣接する第二の配線領域)
Lo:電子表示装置の外形寸法
Ld:電子表示デバイスの表示部の外形寸法
Lg:側面ギャップ
Lp:側面平行部寸法
Lpx:電子表示デバイスの画素寸法(ピクセルサイズ)
Lov:オーバーハング寸法(Lg+Lb)
Ts:基板厚さ
Tf:高分子フィルム厚さ
Tw:リード厚さ(フライングリード厚さ)

Claims (11)

  1. 電子表示デバイスであって、前記電子表示デバイスは、
    基板、
    前記基板の第一の面に接着された第一の高分子フィルム、
    前記第一の高分子フィルム上に形成された電子表示デバイス、
    前記電子表示デバイスに電力と駆動信号を供給するためのリード、
    前記基板の第二の面に接着された第二の高分子フィルム、
    前記第二の高分子フィルム上に実装された、前記電子表示デバイスを駆動するための駆動回路素子、
    を含み、
    前記リードの、電子表示デバイスの側面から駆動回路素子までの間の一部の区間がフライングリードであることを特徴とする電子表示デバイス。
  2. 前記フライングリードの一部が、基板側面に平行して配置されており、その平行区間の長さが基板厚さの30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子表示措置。
  3. 前記フライングリードの一部または全部が基板の側面に接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の電子表示デバイス。
  4. 前記第二の高分子フィルムと無機基板の第二の面の一部または全部がシランカップリング剤縮合物層を介して接着されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の電子表示装置。
  5. 前記第一の高分子フィルムと無機基板の第一の面の一部または全部がシランカップリング剤縮合物層を介して接着されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の電子表示装置。
  6. (a)基板と、少なくとも基板の片面に接着された高分子フィルムを有する積層体を準備する工程、
    (b)前記高分子フィルム上に、電子表示デバイスとリードを形成する工程、
    (c)前記電子表示デバイスが形成されている領域の外側にあたる基板を除去する工程、
    および前記リードが形成されている領域の高分子フィルムの一部を除去しフライングリード化する工程
    を経て、以下の層構成を有する各領域を形成する工程、
    領域1(表示領域)の層構成:電子表示デバイス/高分子フィルム/接着層/基板
    領域2(領域1に隣接する第一の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム
    領域3(フライングリード領域)の層構成:リード
    領域4(領域3に隣接する第二の配線領域)の層構成:リード/高分子フィルム
    (d)領域3(フライングリード領域)を前記基板の側面に沿って曲げる工程、
    (e)領域4(第二の配線領域)を基板の第二の面に沿って曲げ、基板の第二の面に接着する工程、
    を少なくとも有する電子表示装置の製造方法。
  7. 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、プラズマエッチング法であることを特徴とする請求項6に記載の電子表示装置の製造方法。
  8. 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、サンドブラスト法であることを特徴とする請求項6に記載の電子表示装置の製造方法。
  9. 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、機械的研削であることを特徴とする請求項6に記載の電子表示装置の製造方法。
  10. 前記高分子フィルムの一部を除去する工程が、アルカリ化合物の溶液を用いたエッチング法であることを特徴とする請求項6に記載の電子表示装置の製造方法。
  11. 前記領域2が省かれ、領域1と領域3が直接隣接していることを特徴とする請求項6~10のいずれかに記載の電子表示装置の製造方法。
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