JP2009279929A - 表示素子用基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屈曲性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する表示素子用基板およびその簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】無機ガラス10と、該無機ガラスの片側または両側に配置された熱可塑性樹脂層(A)11,11’とを備え、熱可塑性樹脂の溶液を塗工する前に、該無機ガラスの表面をアミノ基含有カップリング剤、エポキシ基含有カップリング剤およびイソシアネート基含有カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤によりカップリング処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示素子用基板およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、屈曲性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する表示素子用基板およびその簡便な製造方法に関する。
近年、映像通信技術の発展により、フラットパネルディスプレイ(FPD:例えば、液晶表示素子、有機EL表示素子)のような表示素子は、軽量・薄型化が進んでいる。従来、表示素子の基板には、多くの場合ガラス基板が用いられている。ガラス基板は、透明性や耐溶剤性、ガスバリア性、耐熱性に優れる。しかし、ガラス基板を構成するガラス材の薄型化を図ると、軽量化されると同時に可撓性に優れるものの、耐衝撃性が不十分となり、ハンドリングが困難となる問題が生じる。
薄型ガラス基板のハンドリング性を向上させるため、ガラス表面が樹脂でコーティングされた可撓性基板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような可撓性基板に用いられる樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂もしくはUV硬化性樹脂をガラスに直接塗布し硬化させる方法や熱可塑性樹脂を粘着剤または接着剤を介して貼り付ける方法が一般的に考えられる。しかし、これらの方法では以下に示すような点で薄型ガラスを補強する上で十分とは言えない。まず、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いた場合、一般的に当該樹脂が非常に脆いため、ガラスの破断と共に樹脂自体が破断してしまいガラスの破壊を抑制する効果が少ない。次に、熱可塑性樹脂を粘着剤または接着剤で貼り付けた場合、熱可塑性樹脂は非常に強靭であるものの粘着剤または接着剤がガラスの補強に干渉してしまい十分な性能が得られない。
特開平11−329715号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、屈曲性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する表示素子用基板およびその簡便な製造方法を提供することにある。
本発明の表示素子用基板は、無機ガラスと、該無機ガラスの片側または両側に配置された熱可塑性樹脂層(A)とを備え、該熱可塑性樹脂層(A)が、一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂を含む、表示素子用基板:
Figure 2009279929

式(1)中、Rは炭素数6〜24の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数6〜24の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基または水素原子であり、式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、水素原子または炭素数5〜12の脂環式炭化水素基であり、Aはカルボニル基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、mは0〜8の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(A)の上記無機ガラスとは反対側に配置された熱可塑性樹脂層(B)をさらに備え、該熱可塑性樹脂層(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、前記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有さない。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(A)と上記無機ガラスとの間に配置されたアミノ基含有カップリング剤、エポキシ基含有カップリング剤およびイソシアネート基含有カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤を含む層をさらに備える。
好ましい実施形態においては、上記表示素子用基板の総厚が、150μm以下である。
好ましい実施形態においては、上記無機ガラスの厚みが、80μm以下である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(A)のガラス転移温度が、110℃以上であり、上記熱可塑性樹脂層(B)のガラス転移温度が、110℃以上である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(A)および/または上記熱可塑性樹脂層(B)の弾性率が、1GPa以上である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(A)および/または上記熱可塑性樹脂層(B)の破壊靭性値が1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、上記熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂と相溶性を有する。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層(B)が、ポリアミドイミドを含む。
好ましい実施形態においては、上記表示素子用基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径が50mm以下である。
本発明の別の局面によれば、表示素子用基板の製造方法が提供される。この製造方法は、無機ガラスの表面に上記一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂の溶液を塗工し、熱可塑性樹脂層を形成する工程を含む。
好ましい実施形態においては、上記表示素子用基板の製造方法は、上記熱可塑性樹脂の溶液を塗工する前に、該無機ガラスの表面をアミノ基含有カップリング剤、エポキシ基含有カップリング剤およびイソシアネート基含有カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤によりカップリング処理する工程をさらに含む。
本発明によれば、無機ガラスの片側または両側に特定の熱可塑性樹脂層を有することにより、屈曲性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する表示素子用基板を提供することができる。このような表示素子用基板は、薄型無機ガラスを使用してもハンドリング性に優れる。
本発明の1つの実施形態による表示素子用基板の概略断面図である。
A.表示素子用基板の全体構成
図1(a)は、本発明の好ましい実施形態による表示素子用基板の概略断面図である。この表示素子用基板100は、無機ガラス10と、無機ガラス10の片側または両側(好ましくは、図示例のように両側)に配置された熱可塑性樹脂層(A)11、11´とを備える。図1(b)は、本発明の別の実施形態による表示素子用基板の概略断面図である。この実施形態においては、表示素子用基板101は、該熱可塑性樹脂層(A)11、11´の上記無機ガラス10とは反対側に熱可塑性樹脂層(B)12、12´をさらに備える。図1(c)は、本発明のさらに別の実施形態による表示素子用基板の概略断面図である。この実施形態においては、表示素子用基板102は、無機ガラス10と熱可塑性樹脂層(A)11、11´との間にカップリング剤を含む層(以下、カップリング剤層と称することもある)13、13´をさらに備える。
上記のように熱可塑性樹脂層(B)は、好ましくは、上記熱可塑性樹脂層(A)の上記無機ガラスとは反対側に配置される。該熱可塑性樹脂層(B)は、上記熱可塑性樹脂層(A)が無機ガラスの両側に配置される場合、両側それぞれの熱可塑性樹脂層(A)の無機ガラスとは反対側に配置されてもよく、どちらか片側の熱可塑性樹脂層(A)の無機ガラスとは反対側に配置されてもよい。好ましくは、熱可塑性樹脂層(B)は、両側それぞれの熱可塑性樹脂層(A)の無機ガラスとは反対側に配置される。
好ましくは、図1(c)に示すように、上記カップリング剤層は上記無機ガラスに直接(すなわち、接着剤または粘着剤を介することなく)設けられている。さらに好ましくは、上記カップリング剤層中のカップリング剤は無機ガラスと化学結合(代表的には、共有結合)している。特に好ましくは、カップリング剤層中のカップリング剤は上記無機ガラスと化学結合(代表的には、共有結合)し、かつ上記熱可塑性樹脂層(A)は上記カップリング剤層に直接設けられている(すなわち、熱可塑性樹脂層(A)はカップリング剤層のみを介して、無機ガラスに設けられている)。このような構成であれば、熱可塑性樹脂層(A)が、接着剤または粘着剤を介して無機ガラスに設けられるよりも、より強固に無機ガラス(カップリング剤層を有する無機ガラス)と密着し得るので、寸法安定性に優れ、切断時にクラックが進展し難い表示素子用基板を得ることができる。なお、カップリング剤と上記熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂とは化学結合(代表的には、共有結合)により結合、または相互作用していると推測される。その結果、上記のような強固な密着性が得られると考えられる。
本発明の表示素子用基板は、無機ガラスと、カップリング剤層と、接着剤層と、熱可塑性樹脂層(A)とがこの順で配置されていてもよい(図示せず)。また、本発明の表示素子用基板は、必要に応じて、最外層として任意の適切なその他の層を備え得る。上記その他の層としては、例えば、ハードコート層、透明導電性層等が挙げられる。
上記表示素子用基板の総厚は、好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは120μm以下であり、特に好ましくは50μm〜120μmである。本発明によれば、上記のように熱可塑性樹脂層(A)および熱可塑性樹脂層(B)を有することにより、無機ガラスの厚みを、従来のガラス基板よりも格段に薄くすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂層(A)および熱可塑性樹脂層(B)は、薄くても耐衝撃性および靭性の向上に寄与し得るので、軽量・薄型で、かつ、優れた耐衝撃性を有する表示素子用基板が得られる。無機ガラス、熱可塑性樹脂層(A)、および熱可塑性樹脂層(B)それぞれの厚みは後述する。
上記表示素子用基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径は、好ましくは50mm以下であり、さらに好ましくは40mm以下である。
上記表示素子用基板の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。好ましくは、上記表示素子用基板は、180℃で2時間の加熱処理を施した後の光透過率の減少率が5%以内である。このような減少率であれば、FPDの製造プロセスにおいて必要な加熱処理を施しても、実用上許容可能な光透過率を確保できるからである。
上記表示素子用基板の表面粗度Ra(実質的には、上記熱可塑性樹脂層(A)、上記熱可塑性樹脂層(B)または上記その他の層の表面粗度Ra)は、好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。上記表示素子用基板のうねりは、好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以下である。このような特性の表示素子用基板であれば、品質に優れる。なお、このような特性は、例えば、後述する製法により実現され得る。
上記表示素子用基板は、その線膨張係数が、好ましくは15ppm/℃以下であり、さらに好ましくは10ppm/℃以下であり、特に好ましくは1ppm/℃〜10ppm/℃である。上記表示素子用基板は、上記無機ガラスを備えることにより、優れた寸歩安定性(例えば、上記のような範囲の線膨張係数)を示す。より具体的には、上記無機ガラス自体が剛直であることに加えて、上記熱可塑性樹脂層(A)および熱可塑性樹脂層(B)が該無機ガラスに拘束されることにより熱可塑性樹脂層(A)および熱可塑性樹脂層(B)の寸法変動も抑制することができる。その結果、上記表示素子用基板は全体として優れた寸法安定性を示す。
B.無機ガラス
本発明の表示素子用基板に用いられる無機ガラスは、板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。上記無機ガラスは、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。上記無機ガラスのアルカリ金属成分(例えば、NaO、KO、LiO)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
上記無機ガラスの厚みは、好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは20μm〜80μmであり、特に好ましくは30μm〜70μmである。本発明においては、無機ガラスの片側または両側に熱可塑性樹脂層(A)および熱可塑性樹脂層(B)を有することによって、無機ガラスの厚みを薄くすることができる。
上記無機ガラスの波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。上記無機ガラスの波長550nmにおける屈折率nは、好ましくは1.4〜1.65である。
上記無機ガラスの密度は、好ましくは2.3g/cm〜3.0g/cmであり、さらに好ましくは2.3g/cm〜2.7g/cmである。上記範囲の無機ガラスであれば、軽量の表示素子用基板が得られる。
上記無機ガラスの成形方法は、任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記無機ガラスは、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃〜1600℃の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製される。上記無機ガラスの薄板成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形された無機ガラスは、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。
上記無機ガラスは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販の無機ガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。市販の無機ガラスとしては、例えば、コーニング社製「7059」、「1737」または「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、NHテクノグラス社製「NA−35」、日本電気硝子社製「OA−10」、ショット社製「D263」または「AF45」等が挙げられる。
C.熱可塑性樹脂層(A)
本発明の表示素子用基板に用いられる熱可塑性樹脂層(A)は、上記無機ガラスの片側または両側に配置される。該熱可塑性樹脂層(A)は、下記一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂を含む。このような熱可塑性樹脂を含むことにより、上記無機ガラス、カップリング剤層または接着剤層との密着性に優れ、かつ靭性にも優れる熱可塑性樹脂層(A)を得ることができる。その結果、切断時にクラックが進展し難い表示素子用基板を得ることができる。また、このように無機ガラス、カップリング剤層または接着剤層との密着性に優れる熱可塑性樹脂層(A)は、無機ガラスに強力に拘束されて、寸法変動が小さくなる。その結果、熱可塑性樹脂層(A)を備える表示素子用基板は、優れた寸法安定性を示す。
Figure 2009279929

式(1)中、Rは炭素数6〜24の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数6〜18の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基である。Rは炭素数6〜24の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基、または水素原子であり、好ましくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、または水素原子である。式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、水素原子、または炭素数5〜12の脂環式炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、水素原子、または炭素数5〜10の脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、水素原子、または炭素数5〜8の脂環式炭化水素基である。Aはカルボニル基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、好ましくはカルボニル基または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくはカルボニル基または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基である。mは0〜8の整数を表し、好ましくは0〜6の整数を表し、さらに好ましくは0〜3の整数を表す。nは0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。
上記熱可塑性樹脂層(A)を構成する熱可塑性樹脂の重合度は、好ましくは10〜6000、さらに好ましくは20〜5000、特に好ましくは50〜4000である。
上記熱可塑性樹脂層(A)を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、エステル基含有シクロオレフィンポリマーが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
上記熱可塑性樹脂層(A)のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは120℃〜350℃である。このような範囲であれば、耐熱性に優れる表示素子用基板を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂層(A)の弾性率は、好ましくは1GPa以上であり、さらに好ましくは1.5GPa以上である。上記の範囲とすることによって、無機ガラスを薄くした場合でも、当該樹脂層が変形時の欠陥への引き裂き方向の局所的な応力を緩和するので、無機ガラスへのクラックや破断が生じ難くなる。
上記熱可塑性樹脂層(A)の破壊靭性値は、好ましくは1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2であり、さらに好ましくは2MPa・m1/2〜6MPa・m1/2である。
上記熱可塑性樹脂層(A)の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。上記熱可塑性樹脂層(A)の波長550nmにおける屈折率(n)は、好ましくは1.3〜1.7である。
上記熱可塑性樹脂層(A)は、耐薬品性を有することが好ましい。具体的には、表示素子作製の際の洗浄工程等に用いられる溶剤に対して、耐薬品性を有することが好ましい。表示素子作製の際の洗浄工程等に用いられる溶剤としては、アセトンが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂層(A)の厚みは、好ましくは1μm〜60μm、さらに好ましくは1μm〜40μmである。1つの実施形態においては、表示素子用基板が上記熱可塑性樹脂層(B)を有する場合、熱可塑性樹脂層(A)の厚みは、好ましくは1μm〜10μm、さらに好ましくは2μm〜8μmである。熱可塑性樹脂層(A)が上記無機ガラスの両側に配置される場合、それぞれの熱可塑性樹脂層(A)の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。好ましくは、それぞれの熱可塑性樹脂層(A)の厚みは同一である。さらに、それぞれの熱可塑性樹脂層(A)は、同一の熱可塑性樹脂で構成されてもよく、異なる熱可塑性樹脂で構成されてもよい。好ましくは、それぞれの熱可塑性樹脂層(A)は、同一の熱可塑性樹脂で構成される。したがって、最も好ましくは、それぞれの樹脂層は、同一の熱可塑性樹脂で同一の厚みになるように構成される。このような構成であれば、加熱処理されても、無機ガラスの両面に熱応力が均等に掛かるため、反りやうねりがきわめて生じ難くなる。
上記熱可塑性樹脂層(A)は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加剤としては、例えば、希釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔軟剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、補強剤等が挙げられる。樹脂組成物に含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
D.熱可塑性樹脂層(B)
好ましくは、本発明の表示素子用基板は、上記熱可塑性樹脂層(A)の上記無機ガラスとは反対側に熱可塑性樹脂層(B)をさらに備える。熱可塑性樹脂層(B)を設けることにより、機械的強度および耐熱性にさらに優れる表示素子用基板を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂層(B)は、上記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有さない熱可塑性樹脂を含む。
好ましくは、上記熱可塑性樹脂層(B)に含まれる熱可塑性樹脂は、上記熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂と相溶性を有する。
上記熱可塑性樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリサルホンが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、弾性率およびガラス転移温度が高いので好ましい。これらのなかでも、ポリアミドイミドは、熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂と良好な相溶性を有するので、特に好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
上記熱可塑性樹脂層(B)のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは150℃〜350℃である。このような範囲であれば、耐熱性に優れる表示素子用基板を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂層(B)の弾性率は、好ましくは1GPa以上であり、さらに好ましくは1.5GPa以上である。上記の範囲とすることによって、無機ガラスを薄くした場合でも、当該樹脂層が変形時の欠陥への引き裂き方向の局所的な応力を緩和するので、無機ガラスへのクラックや破断が生じ難くなる。
上記熱可塑性樹脂層(B)の破壊靭性値は、好ましくは1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2であり、さらに好ましくは2MPa・m1/2〜6MPa・m1/2である。
上記熱可塑性樹脂層(B)の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。上記熱可塑性樹脂層(B)の波長550nmにおける屈折率(n)は、好ましくは1.3〜1.7である。
上記熱可塑性樹脂層(B)の厚みは、好ましくは5μm〜60μm、さらに好ましくは20μm〜50μm、特に好ましくは20μm〜40μmである。熱可塑性樹脂層(B)が、表示素子用基板の両側に配置される場合、それぞれの熱可塑性樹脂層(B)の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。好ましくは、それぞれの熱可塑性樹脂層(B)の厚みは同一である。さらに、それぞれの熱可塑性樹脂層(B)は、同一の熱可塑性樹脂で構成されてもよく、異なる熱可塑性樹脂で構成されてもよい。好ましくは、それぞれの熱可塑性樹脂層(B)は、同一の熱可塑性樹脂で構成される。したがって、最も好ましくは、それぞれの樹脂層は、同一の熱可塑性樹脂で同一の厚みになるように構成される。このような構成であれば、加熱処理されても、無機ガラスの両面に熱応力が均等に掛かるため、反りやうねりがきわめて生じ難くなる。
上記熱可塑性樹脂層(B)は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加剤としては、例えば、希釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔軟剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、補強剤等が挙げられる。樹脂組成物に含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
E.カップリング剤層
好ましくは、本発明の表示素子用基板は、上記熱可塑性樹脂層(A)と上記無機ガラスとの間にカップリング剤層をさらに備える。さらに好ましくは、該カップリング剤層は上記無機ガラスに直接配置され、該熱可塑性樹脂層(A)は該カップリング剤層に直接配置される。
上記熱可塑性樹脂層(A)が上記カップリング剤層に直接配置されている場合、上記カップリング剤は、上記熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂と化学結合(代表的には、共有結合)により結合、または相互作用し得ると推測される。その結果、上記熱可塑性樹脂層(A)とカップリング剤層を有する無機ガラスとの密着性が非常に高くなり、切断時にクラックが進展し難い表示素子用基板を得ることができると考えられる。
上記カップリング剤としては、アミノ基含有カップリング剤、エポキシ基含有カップリング剤およびイソシアネート基含有カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤が挙げられる。好ましくは、アミノ基含有カップリング剤である。これらのカップリング剤が有するアミノ基、エポキシ基およびイソシアネート基の置換位置は、分子の末端であってもよいし、末端でなくてもよい。このようなカップリング剤であれば、上記熱可塑性樹脂層(A)は、該カップリング剤層を介して上記無機ガラスと強固に密着し得る。なお、カップリング剤中のアミノ基、エポキシ基またはイソシアネート基が上記熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂の上記一般式(1)または(2)で表される部分と化学結合または相互作用すると推測され、かつカップリング剤中のシリル基は上記無機ガラスの有する置換基(例えば、水酸基)と化学結合し得る。その結果、上記のような強固な密着性が得られると考えられる。
上記アミノ基含有カップリング剤は、好ましくはアミノ基を有するアルコキシシランまたはアミノ基を有するハロゲン化シランである。特に好ましくはアミノ基を有するアルコキシシランである。
上記アミノ基を有するアルコキシシランの具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、6−アミノへキシルトリメトキシシラン、6−アミノへキシルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンが挙げられる。
上記アミノ基を有するハロゲン化シランの具体例としては、3−アミノプロピルトリクロロシラン、3−アミノプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジメチルクロロシラン、6−アミノへキシルトリクロロシラン、11−アミノウンデシルトリクロロシランが挙げられる。
上記エポキシ基含有カップリング剤の具体例としては、2―(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
上記イソシアネート基含有カップリング剤の具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
上記カップリング剤は、市販品を用いてもよい。市販のアミノ基含有カップリング剤としては、例えば、信越化学工業社製、商品名「KBM−602」(N―2−(アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、商品名「KBM−603」(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、商品名「KBE−603」(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、商品名「KBM−903」(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、商品名「KBE−903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、商品名「KBM−573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)および商品名「KBE−9103」(3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン)が挙げられる。市販のエポキシ基含有カップリング剤としては、例えば、信越化学工業社製、商品名「KBM−303」(2―(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)、商品名「KBM−403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、商品名「KBE−402」(3―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、商品名「KBE−403」(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)が挙げられる。市販のイソシアネート基含有カップリング剤としては、例えば、信越化学工業社製、商品名「KBE−9007」(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)が挙げられる。
上記カップリング剤層の厚みは、好ましくは0.001μm〜10μm、さらに好ましくは0.001μm〜2μmである。
F.接着剤層
上記接着剤層を構成する材料としては、任意の適切な樹脂を採用し得る。上記接着層を構成する材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。このような樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ類および/またはオキセタン類を含むエポキシ系樹脂;アクリル系樹脂;シリコーン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、耐熱性に優れるエポキシ系樹脂である。なお、これらの樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。上記エポキシ類としては、分子中にエポキシ基を持つものであれば、任意の適切なものが使用できる。上記エポキシ類としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物等のビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型等の含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型等の芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型等のグリシジル型;ジシクロペンタジエン型等のジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型;およびこれらの変性型等が挙げられる。これらのエポキシ類は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。好ましくは、上記エポキシ類は、ビスフェノールA型、脂環式型、含窒素環型、またはグリシジル型である。上記オキセタン類としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン等が挙げられる。
上記接着層の厚みは、好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm〜10μmであり、特に好ましくは0.1μm〜7μmである。上記接着層の厚みがこのような範囲であれば、表示素子用基板の屈曲性を損なわずに、上記無機ガラスと上記熱可塑性樹脂層(A)との優れた密着性を実現することができる。
G.その他の層
上記表示素子用基板は、必要に応じて、最外層として、任意の適切なその他の層を備え得る。上記その他の層としては、例えば、ハードコート層、透明導電性層等が挙げられる。
上記ハードコート層は、上記表示素子用基板に耐薬品性、耐擦傷性および表面平滑性を付与させる機能を有する。
上記ハードコート層を構成する材料としては、任意の適切なものを採用し得る。上記ハードコート層を構成する材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。なかでも好ましくは、耐熱性に優れるエポキシ系樹脂である。上記ハードコート層はこれらの樹脂を熱または活性エネルギー線により硬化させて得ることができる。
上記透明導電性層は、電極または電磁波シールドとして機能し得る。
上記透明導電性層に用いられ得る材料としては、例えば、銅、銀等の金属;インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物;ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子;カーボンナノチューブを含む組成物等が挙げられる。
H.表示素子用基板の製造方法
本発明の表示素子用基板の製造方法は、上記無機ガラスの表面に上記熱可塑性樹脂層(A)を形成することを含む。上記熱可塑性樹脂層(A)の形成方法としては、溶液塗工による方法、接着剤層を介して上記無機ガラス上に熱可塑性樹脂フィルムを貼着することによる方法等が挙げられる。好ましくは、溶液塗工による方法である。このような方法であれば、溶液塗工により形成された上記熱可塑性樹脂層(A)が無機ガラスにより直接拘束されるので、寸法安定性により優れた表示素子用基板を得ることができる。
上記溶液塗工により上記熱可塑性樹脂層(A)の形成する方法は、好ましくは、上記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂の溶液を上記無機ガラスの片側または両側に塗工し塗工層を形成する塗工工程と、該塗工層を乾燥させる乾燥工程と、および乾燥後の塗工層を熱処理する熱処理工程からなる。
上記塗工工程の際に使用される塗工溶媒は、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒;トルエン、ベンゼン、フェノール等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒等が挙げられる。なかでも好ましくは、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、セロソルブ系溶媒またはエーテル系溶媒である。塗工溶媒としてこのような溶媒を用いれば、高温高湿下においても上記熱可塑性樹脂層(A)と上記無機ガラスとの密着性を十分に維持し、耐久信頼性に優れる表示素子用基板を得ることができる。
上記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂の溶液の塗工方法としては、エアドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、電着コーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティング法;フレキソ印刷等の凸版印刷法、ダイレクトグラビア印刷法、オフセットグラビア印刷法等の凹版印刷法、オフセット印刷法等の平版印刷法、スクリーン印刷法等の孔版印刷法等の印刷法が挙げられる。
乾燥工程としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的には100℃〜200℃であり、乾燥時間は代表的には1分〜10分である。
熱処理工程としては、任意の適切な熱処理方法が採用され得る。代表的には、熱処理温度は100℃〜300℃であり、熱処理時間は5分〜45分である。表示素子用基板がカップリング剤層を有する場合、該熱処理によりカップリング剤と熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂とを化学結合または相互作用させることができると推測される。
本発明の表示素子用基板の製造方法は、好ましくは、上記熱可塑性樹脂層(A)を形成する前に、上記無機ガラスの表面をカップリング処理することを含む。カップリング剤は、E項で説明したとおりである。
上記カップリング処理の方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、例えば、上記カップリング剤の溶液を上記無機ガラスの表面に塗布した後、熱処理する方法が挙げられる。
上記カップリング剤の溶液を調製する際に使用する溶媒としては、カップリング剤と反応しない溶媒であれば、任意の適切な溶媒を使用できる。該溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;メタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒;および水が挙げられる。
上記カップリング処理の際の熱処理方法は、任意の適切な熱処理方法が採用され得る。代表的には、熱処理温度は50℃〜150℃であり、熱処理時間は1分〜10分である。熱処理により、カップリング剤と無機ガラス表面とを化学結合により結合させることができる。
上記接着剤層を介して上記無機ガラス上に熱可塑性樹脂フィルムを貼着することにより上記熱可塑性樹脂層(A)の形成する方法は、好ましくは、上記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂の溶液を、剛直性を有する基材上に塗工した後、これを乾燥することにより、熱可塑性樹脂フィルムを形成するフィルム形成工程と、該熱可塑性樹脂フィルムを、上記無機ガラスの片側または両側に接着剤前駆体層を介して貼着する貼着工程と、該接着剤前駆体層を活性エネルギー線照射または加熱処理により硬化させて接着剤層を形成する接着剤硬化工程とを含む。また、上記熱可塑性樹脂フィルムを貼着する前に、上記無機ガラスをカップリング処理してもよい。カップリング処理の方法としては、上述の方法が採用され得る。
上記フィルム形成工程における塗工溶媒としては、上記溶液塗工による方法の塗工工程で用いられ得る塗工溶媒と同様の溶媒が採用され得る。塗工方法としては、上記溶液塗工による方法の塗工工程で用いられ得る塗工方法と同様の方法が採用され得る。乾燥方法としては、上記溶液塗工による方法の乾燥工程で用いられ得る乾燥方法と同様の方法が採用され得る。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、上記基材から剥離した後、無機ガラスに貼着してもよく、基材から無機ガラスに転写して貼着してもよい。また、上記熱可塑性樹脂フィルムには、上記無機ガラスに貼着する前または貼着した後に、アニール処理を行ってもよい。アニール処理を行うことにより残存溶媒や未反応のモノマー成分等の不純物を効率的に除去することができる。上記アニール処理の温度は、好ましくは、100℃〜200℃である。また、上記アニール処理の処理時間は、好ましくは、5分〜20分である。
上記接着剤前駆体層を構成する材料としては、F項で説明した樹脂が用いられ得る。
上記貼着工程においては、上記接着剤前駆体を上記熱可塑性樹脂フィルム上に塗工した後、接着剤前駆体層と無機ガラスとを貼着してもよく、上記接着剤前駆体を上記無機ガラス上に塗工した後、接着剤前駆体層と無機ガラスとを貼着してもよい。
上記活性エネルギー線照射の方法としては、例えば、照射積算光量が100mJ/cm〜2000mJ/cmの紫外線を1分〜10分間照射させる方法が挙げられる。
上記加熱処理の条件は、代表的には、加熱温度が100℃〜200℃で、加熱時間が5分〜30分である。
本発明の表示素子用基板の製造方法は、好ましくは上記熱可塑性樹脂層(A)の上記無機ガラスとは反対側に上記熱可塑性樹脂層(B)をさらに形成させることを含む。上記熱可塑性樹脂層(B)は、好ましくは、上記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有さない熱可塑性樹脂の溶液を用いて、上記熱可塑性樹脂層(A)の形成方法と同様の方法で形成される。
I.用途
本発明の表示素子用基板は、任意の適切な表示素子に用いられ得る。表示素子としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。これらの中でも、本発明の表示素子用基板は、有機ELディスプレイに好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、厚みはアンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(参考例1)ポリアミドイミドの合成
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、トリメリット酸無水物(TMA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)によって、ポリアミドイミドを合成した。重量平均分子量は約110000であった。
スチレン−無水マレイン酸コポリマー(Aldrich社製、重量平均分子量220000)をメチルイソブチルケトンに20重量%となるように溶解した。
別途、厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス(D263、ショット社製)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてアミノ基含有カップリング剤(KBM−603、信越化学工業社製)を塗工し、110℃で5分間熱処理した。カップリング処理した上記無機ガラス表面に上記スチレン−無水マレイン酸溶液を塗工し、160℃で10分間乾燥後、200℃で30分間熱処理を行った。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い、総厚み60μmの積層体を得た。
さらに、該積層体の片面表面に参考例1で合成した7重量%のポリアミドイミドのメチルイソブチルケトン溶液を塗工し、160℃で10分間乾燥後、200℃で30分間熱処理を行った。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い、無機ガラス、アミノ基含有カップリング剤層、熱可塑性樹脂(スチレン−無水マレイン酸コポリマー)層および熱可塑性樹脂(ポリアミドイミド)層を有する総厚み120μmの表示素子用基板を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
得られた表示素子用基板を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
メチルイソブチルケトンに代えて塩化メチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして表示素子用基板を得た。得られた表示素子用基板を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
ジイソプロピルフマレート10gをガラスアンプル中に取り、ラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、次にアンプル内を窒素置換および脱気を繰り返した後密封し、40℃で48時間塊状重合を行った。重合後内容物をベンゼンに溶解し、大量のメタノールに投入してポリマーを沈殿させ、濾別し十分にメタノール洗浄した後、減圧乾燥して、重量平均分子量235000のポリ(ジイソプロピルフマレート)を得た。
得られたポリ(ジイソプロピルフマレート)5gをトルエン70gおよびトリクロロエタン30gの混合溶媒に溶解し、ポリ(ジイソプロピルフマレート)濃度が5重量%のキャスティング溶液を得た。
別途、厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス(D263、ショット社製)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてアミノ基含有カップリング剤(KBM−603、信越化学工業社製)を塗工し、110℃で10分間熱処理した。カップリング処理した上記無機ガラス表面に上記キャスティング溶液を塗工し、90℃で5分間、120℃で10分間乾燥した。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行った。その後、180℃で20分間の熱処理を行い、無機ガラス、アミノ基含有カップリング剤層および熱可塑性樹脂層を有する総厚み125μmの表示素子用基板を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
得られた表示素子用基板を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
実施例3で用いたキャスティング溶液をポリエチレンテレフタレート上に塗工した後、乾燥し、厚み30μmのポリ(ジイソプロピルフマレート)のフィルムを得た。得られたフィルムをポリエチレンテレフタレートから剥離した後に、上記フィルムの表面にコロナ処理を行った。
別途、厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス(D263、ショット社製)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてエポキシ基末端カップリング剤(KBM−403、信越化学工業社製)を塗工し、110℃で10分間熱処理した。次いで、3,4−エポキシシクロへキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル化学工業社製)80g、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(OXT−221、東亜合成社製)20g、エポキシ末端カップリング剤(KBM−403、信越化学工業社製)3g、光重合開始剤(SP−170、ADEKA社製)4gからなる接着剤前駆体液をカップリング処理した上記無機ガラス表面に塗工し、その上に上記フィルムを貼着した。さらに、UV光(波長:365nm、照射積算光量:600mJ/cm)を照射し、その後、150℃で15分間の熱処理を行った。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い、無機ガラス、エポキシ基末端カップリング剤層、接着剤層および熱可塑性樹脂層を有する総厚み120μmの表示素子用基板を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
得られた表示素子用基板を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス(D263、ショット社製)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてアミノ基含有カップリング剤(KBM−603、信越化学工業社製)を塗布し、110℃で5分間熱処理した。カップリング処理した上記無機ガラス表面に参考例1で合成した7重量%のポリアミドイミドのメチルイソブチルケトン溶液を塗工し、160℃で10分間乾燥後、200℃で30分間熱処理を行った。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い、無機ガラス、アミノ基含有カップリング剤層、およびポリアミドイミドを有する総厚み120μmの層の積層体を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
得られた積層体を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス(D263、ショット社製)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてエポキシ基含有カップリング剤(KBM−403、信越化学工業社製)を塗布し、110℃で5分間熱処理した。カップリング処理した上記無機ガラス表面に光カチオン硬化剤(SP−170:アデカ社製)を添加したエポキシ樹脂(セロキサイド2021p:ダイセル化学工業社製)を塗工し、UV光(波長:365nm、照射積算光量:300mJ/cm以上)で樹脂を硬化させた。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行った後、150℃で30分間熱処理し未反応成分を反応させ、無機ガラス、エポキシ基含有カップリング剤層、およびエポキシ樹脂層を有する総厚み120μmの積層体を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
得られた積層体を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス(D263、ショット社製)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、アクリル系粘着剤を転写したPETを、アクリル系粘着剤面が無機ガラスと接触するようにして無機ガラスに貼着した。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い、総厚み146μmの積層体(PET/アクリル系粘着剤/無機ガラス/アクリル系粘着剤/PET)を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
得られた積層体を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
〈評価〉
上記で得られた表示素子用基板および積層体を下記の方法で評価した。
(1)密着性試験
JIS K 5400の碁盤目剥離試験により評価した。すなわち、樹脂層(ポリアミドイミド、エポキシ樹脂またはPET)側の表面上10mm角中に1mm間隔にカッターで切れ目を入れ、100個の碁盤目を作り、粘着テープをその上に貼り付けた後、剥離し、無機ガラスから剥離した樹脂層の碁盤目の数により密着性を評価した。
(2)破断直径
(a)実施例で得られた表示素子用基板および比較例で得られた積層体を評価用試料として準備した。
(b)無機ガラス露出部分の縦辺端部の中央に5mm以下のクラックを入れた。
(c)評価用試料の縦辺を屈曲させ、クラックが、無機ガラス露出部分を進展し、さらに樹脂等の積層領域において1cm進展した時点での、縦辺を円周とする円の直径を破断直径とした。
(3)密着信頼性試験
実施例2および3で得られた表示素子用基板を、温度60℃、湿度90%の環境下に100時間おいた後、上記密着性試験を行った。
さらに、実施例1、2および比較例1で形成したポリアミドイミドからなる層、実施例3および4で形成したポリ(ジイソプロピルフマレート)からなる層、比較例2で形成したエポキシ樹脂層ならびに比較例3で用いたPETの弾性率を下記の方法で評価した。結果を、表1に示す。
(4)弾性率
Hysitron社製 製品名「Tribo Indenter」を用いて、ハードコート層の単一押し込み測定(押し込み因子:Berkovich(三角錐形)、押し込み深さ:230nm〜280nm)により測定した。
実施例1、2および比較例1で用いたポリアミドイミド、実施例3および4で用いたポリ(ジイソプロピルフマレート)、比較例2で用いたエポキシ樹脂ならびに比較例3で用いたPETの破壊靭性値を下記の方法で評価した。結果を、表1に示す。
(5)破壊靭性値
厚み50μm、幅2cm、長さ15cmの短冊状樹脂サンプルを作製し、短冊長手方向の端部(中央部分)にクラック(5mm)を入れた。オートグラフ(島津製作所製、AG−I)により短冊長手方向に引っ張り応力を加えクラックからの樹脂破断時の応力を測定した。試験条件は、チャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとして行った。得られた破断時の引っ張り応力σとクラック長a、サンプル幅bを以下の式(内田老鶴圃発行 岡田明著「セラミックスの破壊学」P.68〜70)に代入し、破断時の破壊靭性値KICを求めた。
Figure 2009279929
Figure 2009279929
表1から明らかなように、実施例1〜4の表示素子用基板は、熱可塑性樹脂層の密着性および密着信頼性に優れ、破断直径が低い値を示し、弾性率および破壊靭性値が高い値を示している。これらは、本発明の表示素子用基板が、屈曲性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止し得ることを示している。
本発明の表示素子用基板は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示素子に広く用いられ得る。
10 無機ガラス
11、11´ 熱可塑性樹脂層(A)
12、12´ 熱可塑性樹脂層(B)
13、13´ カップリング剤層
100、101、102 表示素子用基板

Claims (13)

  1. 無機ガラスと、該無機ガラスの片側または両側に配置された熱可塑性樹脂層(A)とを備え、
    該熱可塑性樹脂層(A)が、一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂を含む、
    表示素子用基板:
    Figure 2009279929

    式(1)中、Rは炭素数6〜24の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数6〜24の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基または水素原子であり、式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、水素原子または炭素数5〜12の脂環式炭化水素基であり、Aはカルボニル基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、mは0〜8の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。
  2. 前記熱可塑性樹脂層(A)の前記無機ガラスとは反対側に配置された熱可塑性樹脂層(B)をさらに備え、
    該熱可塑性樹脂層(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、前記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有さない、
    請求項1に記載の表示素子用基板。
  3. 前記熱可塑性樹脂層(A)と前記無機ガラスとの間に配置されたアミノ基含有カップリング剤、エポキシ基含有カップリング剤およびイソシアネート基含有カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤を含む層をさらに備える、前記請求項1または2に記載の表示素子用基板。
  4. 前記表示素子用基板の総厚が、150μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の表示素子用基板。
  5. 前記無機ガラスの厚みが、80μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の表示素子用基板。
  6. 前記熱可塑性樹脂層(A)のガラス転移温度が、110℃以上であり、前記熱可塑性樹脂層(B)のガラス転移温度が、110℃以上である、請求項1から5のいずれかに記載の表示素子用基板。
  7. 前記熱可塑性樹脂層(A)および/または前記熱可塑性樹脂層(B)の弾性率が、1GPa以上である、請求項2から6のいずれかに記載の表示素子用基板。
  8. 前記熱可塑性樹脂層(A)および/または前記熱可塑性樹脂層(B)の破壊靭性値が1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2である、請求項2から7のいずれかに記載の表示素子用基板。
  9. 前記熱可塑性樹脂層(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、前記熱可塑性樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂と相溶性を有する、請求項2から8のいずれかに記載の表示素子用基板。
  10. 前記熱可塑性樹脂層(B)が、ポリアミドイミドを含む、請求項2から9のいずれかに記載の表示素子用基板。
  11. 前記表示素子用基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径が50mm以下である、請求項1から10のいずれかに記載の表示素子用基板。
  12. 無機ガラスの表面に一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂の溶液を塗工し、熱可塑性樹脂層を形成する工程を含む、表示素子用基板の製造方法:
    Figure 2009279929

    式(1)中、Rは炭素数6〜24の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数4〜14の脂環式炭化水素基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数6〜24の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基または水素原子であり、式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、水素原子または炭素数5〜12の脂環式炭化水素基であり、Aはカルボニル基または炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基であり、mは0〜8の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。
  13. 前記熱可塑性樹脂の溶液を塗工する前に、該無機ガラスの表面をアミノ基含有カップリング剤、エポキシ基含有カップリング剤およびイソシアネート基含有カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤によりカップリング処理する工程をさらに含む、請求項12に記載の表示素子用基板の製造方法。
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