JP5567314B2 - 透明基板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、透明基板およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、屈曲性、可撓性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する透明基板およびその簡便な製造方法に関する。
近年、映像通信技術の発展により、フラットパネルディスプレイ(FPD:例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置)のような表示装置および太陽電池は、軽量・薄型化が進んでいる。従来、表示装置および太陽電池に用いられる基板には、多くの場合ガラス基板が用いられている。ガラス基板は、透明性や耐溶剤性、ガスバリア性、耐熱性に優れる。しかし、ガラス基板を構成するガラス材の薄型化を図ると、軽量化されると同時に可撓性に優れるものの、耐衝撃性が不十分となり、ハンドリングが困難となる問題が生じる。
薄型ガラス基板のハンドリング性を向上させるため、ガラス表面が樹脂でコーティングされた可撓性基板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような可撓性基板に用いられる樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂もしくはUV硬化性樹脂をガラスに直接塗布し硬化させる方法や熱可塑性樹脂を粘着剤または接着剤を介して貼り付ける方法が一般的に考えられる。しかし、これらの方法では以下に示すような点で薄型ガラスを補強する上で十分とは言えない。まず、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いた場合、一般的に当該樹脂が非常に脆いため、ガラスの破断と共に樹脂自体が破断してしまいガラスの破壊を抑制する効果が少ない。次に、熱可塑性樹脂を粘着剤または接着剤で貼り付けた場合、熱可塑性樹脂は非常に強靭であるものの粘着剤または接着剤がガラスの補強に干渉してしまい十分な性能が得られない。
特開平11−329715号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、屈曲性、可撓性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する透明基板およびその簡便な製造方法を提供することにある。
本発明の透明基板は、無機ガラスと、該無機ガラスの片側または両側に熱可塑性樹脂の溶液を塗布することにより得られた熱可塑性樹脂層を含む、透明基板であって、該溶液が、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を主成分とし、該無機ガラスと該熱可塑性樹脂層との間にエポキシ基末端カップリング剤層を備え、該無機ガラス上に該カップリング剤層が直接形成され、該カップリング剤層上に該熱可塑性樹脂層が直接形成されている。
好ましい実施形態においては、上記水酸基が、フェノール性水酸基である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリアリレートおよびポリカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を末端水酸基変性した熱可塑性樹脂である。
好ましい実施形態においては、上記透明基板の総厚が、150μm以下である。
好ましい実施形態においては、上記無機ガラスの厚みが、100μm以下である。
好ましい実施形態においては、上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、150℃〜350℃である。
好ましい実施形態においては、上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、ポリエチレンオキサイド換算で2.0×10〜150×10である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層の弾性率が、1GPa以上である。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂層の破壊靭性値が1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2である。
好ましい実施形態においては、上記透明基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径が、50mm以下である。
本発明の別の局面によれば、本発明の透明基板を用いて作製された、表示素子が提供される。
本発明の別の局面によれば、本発明の透明基板を用いて作製された、太陽電池が提供される。
本発明の別の局面によれば、本発明の透明基板を用いて作製された、照明素子が提供される。
本発明の別の局面によれば、透明基板の製造方法が提供される。この製造方法は、無機ガラスの表面をエポキシ基末端カップリング剤によりカップリング処理する工程と、該カップリング処理された無機ガラス表面に、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を含む溶液を塗布し、熱可塑性樹脂層を形成する工程とを含む。
本発明によれば、無機ガラスの片側または両側に特定の熱可塑性樹脂層を有することにより、屈曲性、可撓性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止する透明基板を提供することができる。さらに、本発明によれば、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を主成分とする溶液を塗布して得られる当該熱可塑性樹脂層と上記無機ガラスとの間にエポキシ基末端カップリング剤層を備えることにより、熱可塑性樹脂層と無機ガラスとの強固な密着性を得ることができる。その結果、特定の熱可塑性樹脂層を有することの効果(高屈曲性、高可撓性、高耐衝撃性、クラック進展の防止)がより優れる透明基板を提供することができる。このような透明基板は、薄型無機ガラスを使用してもハンドリング性に優れる。
本発明の1つの実施形態による透明基板の概略断面図である。
A.透明基板の全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による透明基板の概略断面図である。この透明基板100は、無機ガラス10と、無機ガラス10の片側または両側(好ましくは図示例のように両側)に配置された熱可塑性樹脂層11、11´とを備え、無機ガラス10と熱可塑性樹脂層11、11´との間にエポキシ基末端カップリング剤層12、12´をさらに備える。
上記エポキシ基末端カップリング剤層は、図1に示すように、上記無機ガラス上に直接(すなわち、接着剤または粘着剤を介することなく)形成されている。また、上記熱可塑性樹脂層は、図1に示すように、上記エポキシ基末端カップリング剤層上に直接(すなわち、接着剤または粘着剤を介することなく)形成されている。このような構成であれば、熱可塑性樹脂層が、接着剤または粘着剤を介して無機ガラスに設けられるよりも、より強固に無機ガラス(カップリング剤層を有する無機ガラス)と密着し得るので、寸法安定性に優れ、切断時にクラックが進展し難い透明基板を得ることができる。
上記エポキシ基末端カップリング剤層は、好ましくは、無機ガラスと化学結合(代表的には、共有結合)している。その結果、上記無機ガラスと上記エポキシ基末端カップリング剤層との密着性に優れる透明基板を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂層は、上記エポキシ基末端カップリング剤層と化学結合(代表的には、共有結合)により結合、または相互作用していると推測される。その結果、上記エポキシ基末端カップリング剤層と上記熱可塑性樹脂との密着性に優れる透明基板を得ることができると考えられる。
本発明の透明基板は、必要に応じて、上記熱可塑性樹脂層の無機ガラスとは反対側に任意の適切なその他の層を備え得る。上記その他の層としては、例えば、ハードコート層、透明導電性層等が挙げられる。
上記透明基板の総厚は、好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは140μm以下であり、特に好ましくは80μm〜130μmである。本発明によれば、上記のように熱可塑性樹脂層を有することにより、無機ガラスの厚みを、従来のガラス基板よりも格段に薄くすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂層は、薄くても耐衝撃性および靭性の向上に寄与し得るので、軽量・薄型で、かつ、優れた耐衝撃性を有する透明基板が得られる。無機ガラスおよび熱可塑性樹脂層の厚みは後述する。
上記透明基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径は、好ましくは50mm以下であり、さらに好ましくは40mm以下である。本発明の透明基板は、特定の樹脂層を備えることにより、優れた可撓性(例えば、上記のような範囲の破断直径)を示す。
上記透明基板の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。好ましくは、上記透明基板は、180℃で2時間の加熱処理を施した後の光透過率の減少率が5%以内である。このような減少率であれば、FPDの製造プロセスにおいて必要な加熱処理を施しても、実用上許容可能な光透過率を確保できるからである。
上記透明基板の表面粗度Ra(実質的には、上記熱可塑性樹脂層または上記その他の層の表面粗度Ra)は、好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。上記透明基板のうねりは、好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以下である。このような特性の透明基板であれば、品質に優れる。なお、このような特性は、例えば、後述する製法により実現され得る。
上記透明基板は、その線膨張係数が、好ましくは15ppm/℃以下であり、さらに好ましくは10ppm/℃以下であり、特に好ましくは1ppm/℃〜10ppm/℃である。上記透明基板は、上記無機ガラスを備えることにより、優れた寸法安定性(例えば、上記のような範囲の線膨張係数)を示す。より具体的には、上記無機ガラス自体が剛直であることに加えて、上記熱可塑性樹脂層が該無機ガラスに拘束されることにより熱可塑性樹脂層の寸法変動も抑制することができる。その結果、上記透明基板は全体として優れた寸法安定性を示す。
B.無機ガラス
本発明の透明基板に用いられる無機ガラスは、板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。上記無機ガラスは、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。上記無機ガラスのアルカリ金属成分(例えば、NaO、KO、LiO)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
上記無機ガラスの厚みは、好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは20μm〜90μmであり、特に好ましくは30μm〜80μmである。本発明においては、無機ガラスの片側または両側に熱可塑性樹脂層を有することによって、無機ガラスの厚みを薄くすることができる。
上記無機ガラスの波長550nmにおける透過率は、好ましくは85%以上である。上記無機ガラスの波長550nmにおける屈折率nは、好ましくは1.4〜1.65である。
上記無機ガラスの密度は、好ましくは2.3g/cm〜3.0g/cmであり、さらに好ましくは2.3g/cm〜2.7g/cmである。上記範囲の無機ガラスであれば、軽量の透明基板が得られる。
上記無機ガラスの成形方法は、任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記無機ガラスは、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃〜1600℃の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製される。上記無機ガラスの薄板成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形された無機ガラスは、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。
上記無機ガラスは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販の無機ガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。市販の無機ガラスとしては、例えば、コーニング社製「7059」、「1737」または「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、NHテクノグラス社製「NA−35」、日本電気硝子社製「OA−10」、ショット社製「D263」または「AF45」等が挙げられる。
C.エポキシ基末端カップリング剤層
本発明の透明基板は、上記熱可塑性樹脂層と上記無機ガラスとの間にエポキシ基末端カップリング剤層を備える。また、上記エポキシ基末端カップリング剤層は上記無機ガラス上に直接配置される。
上記エポキシ基末端カップリング剤層は、上記無機ガラスをエポキシ基末端カップリング剤によりカップリング処理することにより得られる。上記エポキシ基末端カップリング剤層は上記熱可塑性樹脂層との密着性に優れる。これは、上記エポキシ基末端カップリング剤中のエポキシ基が、後述の末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂と化学結合または相互作用し得るからであると推測される。また、上記エポキシ基末端カップリング剤中のシリル基は、上記無機ガラスの有する置換基(例えば、水酸基)と化学結合することができるので、上記エポキシ基末端カップリング剤層は上記無機ガラスとの密着性にも優れる。
上記エポキシ基末端カップリング剤の具体例としては、2―(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
上記エポキシ基末端カップリング剤は、市販品を用いてもよい。市販のエポキシ基末端カップリング剤としては、例えば、信越化学工業社製、商品名「KBM−303」(2―(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)、商品名「KBM−403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、商品名「KBE−402」(3―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、商品名「KBE−403」(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)が挙げられる。
上記エポキシ基末端カップリング剤層の厚みは、好ましくは0.001μm〜10μm、さらに好ましくは0.001μm〜2μmである。
D.熱可塑性樹脂層
本発明の透明基板に用いられる熱可塑性樹脂層は、上記無機ガラスの片側または両側に熱可塑性樹脂の溶液を塗布することにより得られる。上記溶液は、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を主成分とする。このような熱可塑性樹脂層であれば、上記エポキシ基末端カップリング剤層と強固に密着させることができる。これは、上記水酸基と上記エポキシ基末端カップリング剤のエポキシ基とが、反応して化学結合するか、または相互作用し得るからであると推測される。その結果、上記エポキシ基末端カップリング剤層と上記無機ガラスとの強固な密着性と相まって、上記熱可塑性樹脂と上記無機ガラス(エポキシ基末端カップリング剤層を有する無機ガラス)とが強固に密着した透明基板を得ることができる。また、このように無機ガラスとの密着性に優れる熱可塑性樹脂層は、無機ガラスに強力に拘束されて、寸法変動が小さくなる。その結果、熱可塑性樹脂層を備える透明基板は、優れた寸法安定性を示す。
上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂の含有量は、上記溶液に含まれる熱可塑性樹脂の全量に対して、好ましくは80重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量%〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。
上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂は、任意の適切なものが採用され得る。上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート等を末端水酸基変性した熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。このような熱可塑性樹脂を用いれば、上記エポキシ基末端カップリング剤層との密着性に優れ、かつ靭性にも優れる熱可塑性樹脂層を得ることができる。このように靭性に優れる熱可塑性樹脂層を用いれば、切断時のクラックが進展しがたい透明基板を得ることができる。なお、上記末端水酸基変性は、任意の適切な方法が用いられ得る。
上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂の重合度は、好ましくは90〜6200、さらに好ましくは130〜4900、特に好ましくは150〜3700である。
上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、好ましくは2.0×10〜150×10であり、さらに好ましくは3×10〜120×10であり、特に好ましくは3.5×10〜90×10である。上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が2.0×10未満であると、上記熱可塑性樹脂層の靭性が不足し、無機ガラスを補強するという効果が不十分となるおそれがあり、150×10を超えると高粘度になりすぎるためハンドリング性が悪くなるおそれがある。
上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、150℃〜350℃であり、好ましくは180℃〜320℃であり、さらに好ましくは210℃〜290℃である。このような範囲であれば、耐熱性に優れる透明基板を得ることができる。
上記水酸基は、好ましくは、フェノール性水酸基である。フェノール性水酸基を有する熱可塑性樹脂であれば、上記熱可塑性樹脂層と上記エポキシ基末端カップリング剤層とを強固に密着させることができる。
上記水酸基の含有量は、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂100重合度あたり、好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.5〜2.0である。水酸基の含有量がこのような範囲であれば、上記エポキシ基末端カップリング剤との反応性に優れる熱可塑性樹脂を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂層の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは80%以上である。上記熱可塑性樹脂層の波長550nmにおける屈折率(n)は、好ましくは1.3〜1.7である。
上記熱可塑性樹脂層の弾性率は、好ましくは1GPa以上であり、さらに好ましくは1.5GPa以上である。上記の範囲とすることによって、無機ガラスを薄くした場合でも、当該樹脂層が変形時の欠陥への引き裂き方向の局所的な応力を緩和するので、無機ガラスへのクラックや破断が生じ難くなる。
上記熱可塑性樹脂層の破壊靭性値は、好ましくは1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2であり、さらに好ましくは2MPa・m1/2〜6MPa・m1/2である。
上記熱可塑性樹脂層は、耐薬品性を有することが好ましい。具体的には、表示素子作製の際の洗浄工程等に用いられる溶剤に対して、耐薬品性を有することが好ましい。表示素子作製の際の洗浄工程等に用いられる溶剤としては、アセトンが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂層の厚みは、好ましくは1μm〜60μm、さらに好ましくは1μm〜40μmである。熱可塑性樹脂層が上記無機ガラスの両側に配置される場合、それぞれの熱可塑性樹脂層の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。好ましくは、それぞれの熱可塑性樹脂層の厚みは同一である。さらに、それぞれの熱可塑性樹脂層は、同一の熱可塑性樹脂で構成されてもよく、異なる熱可塑性樹脂で構成されてもよい。好ましくは、それぞれの熱可塑性樹脂層は、同一の熱可塑性樹脂で構成される。したがって、最も好ましくは、それぞれの樹脂層は、同一の熱可塑性樹脂で同一の厚みになるように構成される。このような構成であれば、加熱処理されても、無機ガラスの両面に熱応力が均等に掛かるため、反りやうねりがきわめて生じ難くなる。
上記熱可塑性樹脂層は、好ましくは、イミダゾール類、エポキシ類および/またはオキセタン類をさらに含有する。上記熱可塑性樹脂層が、イミダゾール類、エポキシ類および/またはオキセタン類を含有すれば、当該熱可塑性樹脂層と上記エポキシ基末端カップリング剤層を有する無機ガラスとを安定的に密着させることができるので、高い歩留まりで透明基板を得ることができる。
上記イミダゾール類、エポキシ類および/またはオキセタン類を含む熱可塑性樹脂層は、当該化合物を添加した熱可塑性樹脂の溶液を上記エポキシ基末端カップリング剤層を有する無機ガラスに塗布することにより得ることができる。上記イミダゾール類の添加量としては、熱可塑性樹脂に対して、好ましくは0.5重量%〜5重量%、さらに好ましくは1重量%〜4重量%である。上記エポキシ類の添加量としては、熱可塑性樹脂に対して、好ましくは1重量%〜15重量%、さらに好ましくは3重量%〜10重量%である。上記オキセタン類の添加量としては、熱可塑性樹脂に対して、好ましくは0.5重量%〜10重量%、さらに好ましくは1重量%〜5重量%である。
上記イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、エポキシイミダゾールアダクト、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−ウンデシルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−エチル−4´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
上記エポキシ類としては、分子中にエポキシ基を持つものであれば、任意の適切なものが使用できる。上記エポキシ類としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物等のビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型等の含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型等の芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型等のグリシジル型;ジシクロペンタジエン型等のジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型;およびこれらの変性型等のエポキシ系樹脂が挙げられる。これらのエポキシ系樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。好ましくは、上記エポキシ類は、ビスフェノールA型エポキシ系樹脂、脂環式型エポキシ系樹脂、含窒素環型エポキシ系樹脂、又はグリシジル型エポキシ系樹脂である。
上記オキセタン類は、好ましくは、下記一般式(I)、(II)、または(III)で表わされる化合物である。
Figure 0005567314
上記式(I)中、Rは水素原子、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素数1〜10のアルキル基を表わす。
Figure 0005567314
Figure 0005567314
上記式(III)中、Rはシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素数1〜10のアルキル基を表わす。nは1から5までの整数である。
上記オキセタン類としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂層は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加剤としては、例えば、希釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔軟剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、補強剤等が挙げられる。樹脂組成物に含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
E.その他の層
上記透明基板は、必要に応じて、上記熱可塑性樹脂層の無機ガラスとは反対側に、任意の適切なその他の層を備え得る。上記その他の層としては、例えば、ハードコート層、透明導電性層等が挙げられる。
上記ハードコート層は、上記透明基板に耐薬品性、耐擦傷性および表面平滑性を付与させる機能を有する。
上記ハードコート層を構成する材料としては、任意の適切なものを採用し得る。上記ハードコート層を構成する材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。なかでも好ましくは、耐熱性に優れるエポキシ系樹脂である。上記ハードコート層はこれらの樹脂を熱または活性エネルギー線により硬化させて得ることができる。
上記透明導電性層は、電極または電磁波シールドとして機能し得る。
上記透明導電性層に用いられ得る材料としては、例えば、銅、銀等の金属;インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物;ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子;カーボンナノチューブを含む組成物等が挙げられる。
F.透明基板の製造方法
本発明の透明基板の製造方法は、上記無機ガラスの表面をエポキシ基末端カップリング剤によりカップリング処理する工程と、カップリング処理された上記無機ガラス表面に、上記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を含む溶液を塗布し、熱可塑性樹脂層を形成する工程とを含む。
上記カップリング処理の方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、例えば、上記エポキシ基末端カップリング剤の溶液を上記無機ガラスの表面に塗布した後、熱処理する方法が挙げられる。
上記エポキシ基末端カップリング剤の溶液を調製する際に使用する溶媒としては、エポキシ基末端カップリング剤と反応しない溶媒であれば、任意の適切な溶媒を使用できる。当該溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒、および水が挙げられる。
上記カップリング処理の際の熱処理方法は、任意の適切な熱処理方法が採用され得る。代表的には、熱処理温度は50℃〜150℃であり、熱処理時間は1分〜20分である。熱処理により、エポキシ基末端カップリング剤と無機ガラス表面とを化学結合により結合させることができる。
上記熱可塑性樹脂を含む溶液の塗布工程の際に使用される溶媒としては、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、高極性溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等が挙げられる。芳香族系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、フェノール等が挙げられる。高極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂を含む溶液の塗布方法としては、エアドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、電着コーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティング法;フレキソ印刷等の凸版印刷法、ダイレクトグラビア印刷法、オフセットグラビア印刷法等の凹版印刷法、オフセット印刷法等の平版印刷法、スクリーン印刷法等の孔版印刷法等の印刷法が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂層は、好ましくは、熱可塑性樹脂を含む溶液を塗布した後、塗布層を乾燥して得られる。乾燥方法としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的には100℃〜200℃であり、乾燥時間は代表的には1分〜30分である。乾燥している間に、エポキシ基末端カップリング剤と末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂とを反応させることができる。
G.用途
本発明の透明基板は、任意の適切な表示素子、太陽電池または照明素子に用いられ得る。表示素子としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。照明素子としては、例えば、有機EL素子等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、厚みはアンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
末端水酸基変性(末端水酸基含有量:平均100重合量当たり1.6の末端水酸基)されたポリエーテルサルホン(スミカエクセル 5003P:住友化学社製)36.2gをシクロペンタノン172gおよびN,N−ジメチルホルムアミド10.8gの混合溶媒に溶かし、溶液16.5重量%を得た。さらに、該溶媒30gに対して、2-メチルイミダゾール0.15gと、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3´,4´−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド 2021:ダイセル化学工業社製)0.25gと、3−エチル−3((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル)オキセタン(OXT−221:東亜合成社製)0.2gを添加しキャステイング溶液とした。
別途、無機ガラス(D263:ショット社製、厚み50μm、縦10cm×横4cm)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてエポキシ基末端カップリング剤(KBM−403:信越化学工業社製)を当該無機ガラスの片面表面に塗布した後、110℃で5分間熱処理をした。上記カップリング処理した無機ガラス表面に上記キャスティング溶液を塗工し、150℃で10分間、170℃で20分間乾燥を行い、熱可塑性樹脂層を形成した。
同様の処理を上記無機ガラスのもう一方の表面にも行い、総厚み120μmの透明基板を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさとし、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
エポキシ基末端カップリング剤(KBM−403:信越化学工業社製)に代えて、エポキシ基末端カップリング剤(KBE−403:信越化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明基板を得た。
ポリエーテルサルホンに、ポリアリレート(M−1000:ユニチカ社製)3.62gを混合した以外は、実施例1と同様にして透明基板を得た。
(比較例1)
エポキシ基末端カップリング剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして透明基板を得た。
(比較例2)
末端水酸基変性されたポリエーテルサルホン(スミカエクセル 5003P:住友化学社製)に代えて、末端水酸基変性をしていないポリエーテルサルホン(スミカエクセル 5200P:住友化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明基板を得た。
(比較例3)
エポキシ基末端カップリング剤(KBM−403:信越化学工業社製)に代えて、アミノ基末端カップリング剤(KBM−603:信越化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明基板を得た。
(比較例4)
無機ガラス(D263:ショット社製、厚み50μm、縦10cm×横4cm)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、続けてエポキシ基含有カップリング剤(KBM−403、信越化学工業社製)を当該無機ガラスの片面表面に塗布した後、110℃で5分間熱処理した。カップリング処理した上記無機ガラス表面に光カチオン硬化剤(SP−170:アデカ社製)を添加したエポキシ樹脂(セロキサイド2021p:ダイセル化学工業社製)を塗工し、UV光(波長:365nm、積算光量:300mJ/cm以上)で樹脂を硬化させた。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行った後、150℃で30分間熱処理し未反応成分を反応させ、総厚み120μmの無機ガラス、エポキシ基含有カップリング剤層、およびエポキシ樹脂層の積層体を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさとし、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
(比較例5)
無機ガラス(D263:ショット社製、厚み50μm、縦10cm×横4cm)の片面表面をメチルエチルケトンで洗浄後、アクリル系粘着剤を転写したPETを、アクリル系粘着剤面が無機ガラスと接触するようにして無機ガラスに貼着した。同様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い、総厚み146μmの積層体(PET/アクリル系粘着剤/無機ガラス/アクリル系粘着剤/PET)を得た。
なお、無機ガラスの両面に形成された各層は、それぞれ縦10cm×横3cmの大きさで形成し、上記無機ガラスの縦10cm×横1cm部分は露出させた。
〈評価〉
上記で得られた透明基板および積層体を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)密着性試験
JIS K 5400の碁盤目剥離試験により評価した。すなわち、得られた透明基板および積層体の片面最外層の表面上10mm角中に1mm間隔にカッターで切れ目を入れ、100個の碁盤目を作り、粘着テープをその上に貼り付けた後、剥離し、無機ガラスから剥離した樹脂層の碁盤目の数により密着性を評価した。
(2)破断直径
(a)実施例および比較例で得られた透明基板および比較例で得られた積層体を評価用試料として準備した。
(b)無機ガラス露出部分の縦辺端部の中央に5mm以下のクラックを入れた。
(c)評価用試料の縦辺を屈曲させ、クラックが、無機ガラス露出部分を進展し、さらに樹脂等の積層領域において1cm進展した時点での、縦辺を円周とする円の直径を破断直径とした。
実施例および比較例で得られた透明基板および積層体の最外層の弾性率を以下の方法で評価した。
(3)弾性率
Hysitron社製 製品名「Tribo Indenter」を用いて、ハードコート層の単一押し込み測定(押し込み因子:Berkovich(三角錐形)、押し込み深さ:230nm〜280nm)により測定した。
実施例および比較例で得られた透明基板および積層体の最外層を構成する樹脂の破壊靭性値およびガラス転移温度(Tg)を以下の方法で評価した。
(4)破壊靭性値
厚み50μm、幅2cm、長さ15cmの短冊状樹脂サンプルを作製し、短冊長手方向の端部(中央部分)にクラック(5mm)を入れた。オートグラフ(島津製作所製、AG−I)により短冊長手方向に引っ張り応力を加えクラックからの樹脂破断時の応力を測定した。試験条件は、チャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとして行った。得られた破断時の引っ張り応力σとクラック長a、サンプル幅bを以下の式(内田老鶴圃発行 岡田明著「セラミックスの破壊学」P.68〜70)に代入し、破断時の破壊靭性値KICを求めた。
Figure 0005567314
(5)ガラス転移温度(Tg)
DSC(示差走査熱量計)を用いて、ピークの変極点から評価した。
Figure 0005567314
表1から明らかなように、実施例1および2の透明基板は、エポキシ基末端カップリング剤と末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂とを組み合わせて用いることにより、当該熱可塑性樹脂層の密着性に優れる。また、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂由来の熱可塑性樹脂層を用いることにより、破断直径が低く、弾性率および破壊靭性値の高い透明基板を得ることができる。これらは、本発明の透明基板が、屈曲性、可撓性および耐衝撃性に優れ、かつガラスのクラックの進展を著しく防止し得ることを示している。
本発明の透明基板は、表示素子、太陽電池または照明素子に用いられ得る。表示素子としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。照明素子としては、例えば、有機EL素子等が挙げられる。
10 無機ガラス
11、11´ 熱可塑性樹脂層
12、12´ エポキシ基末端カップリング剤層
100 透明基板

Claims (14)

  1. 無機ガラスと、該無機ガラスの片側または両側に熱可塑性樹脂の溶液を塗布することにより得られた熱可塑性樹脂層を含む、透明基板であって、
    該溶液が、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を主成分とし、
    該無機ガラスと該熱可塑性樹脂層との間にエポキシ基末端シランカップリング剤層を備え、
    該無機ガラス上に該カップリング剤層が直接形成され、該カップリング剤層上に該熱可塑性樹脂層が直接形成されている、
    透明基板。
  2. 前記水酸基が、フェノール性水酸基である、請求項1に記載の透明基板。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリアリレートおよびポリカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を末端水酸基変性した熱可塑性樹脂である、請求項1または2に記載の透明基板。
  4. 前記透明基板の総厚が、150μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の透明基板。
  5. 前記無機ガラスの厚みが、100μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の透明基板。
  6. 前記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、150℃〜350℃である、請求項1から5のいずれかに記載の透明基板。
  7. 前記末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、ポリエチレンオキサイド換算で2.0×10〜150×10である、請求項1から6のいずれかに記載の透明基板。
  8. 前記熱可塑性樹脂層の弾性率が、1GPa以上である、請求項1から7のいずれかに記載の透明基板。
  9. 前記熱可塑性樹脂層の破壊靭性値が1MPa・m1/2〜10MPa・m1/2である、請求項1から8のいずれかに記載の透明基板。
  10. 前記透明基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径が、50mm以下である、請求項1から9のいずれかに記載の透明基板。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の透明基板を用いて作製された、表示素子。
  12. 請求項1から10のいずれかに記載の透明基板を用いて作製された、太陽電池。
  13. 請求項1から10のいずれかに記載の透明基板を用いて作製された、照明素子。
  14. 無機ガラスの表面をエポキシ基末端シランカップリング剤によりカップリング処理する工程と、
    該カップリング処理された無機ガラス表面に、末端に水酸基を有する熱可塑性樹脂を含む溶液を塗布し、熱可塑性樹脂層を形成する工程とを含む、透明基板の製造方法。
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