JP6728529B2 - プリプレグ及び多層基板 - Google Patents

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Description

本発明は、プリプレグ及び多層基板に関する。
近年、情報通信量は増大する一方であり、これに応えるため、例えばICカード、携帯電話端末等の電子機器においてマイクロ波、ミリ波といった高周波領域での通信が盛んになっている。このような電子機器の部品として用いられるプリント配線板には、伝送速度の向上と伝送損失の低減とを達成するため、比誘電率の低いフッ素樹脂を絶縁層に用いる場合がある。
また、電子機器分野においては、電子機器の高密度化に伴い、プリント配線板の多層化が進んでいる。多層化したプリント配線板(多層基板)の製造においては、例えばエポキシ系接着剤等の接着剤、接着シート、シート状プリプレグなどを用いた接着や、プレス処理による熱融着などによってプリント配線板やプリント配線板用基材を接着する。
しかし、絶縁層にフッ素樹脂を用いたプリント配線板を接着剤、接着シート、シート状プリプレグ等を用いて接着すると、この接着剤等に含まれる合成樹脂が多層基板の比誘電率を増大させるため、上記フッ素樹脂の使用による比誘電率の低減効果が不十分となるおそれがある。そこで、接着剤等によって比誘電率が増大しないようにするため、例えば接着シート又はシート状プリプレグの主成分をフッ素樹脂とする方法や、上記プリント配線板を熱融着する方法が考えられる。しかし、これらの方法では、フッ素樹脂の融点が過度に高いことに起因して、例えば320℃〜350℃程度の高温プレス処理が必要となる。その結果、上述の方法には汎用の多層化プレス機(例えば設定可能温度が250℃以下)を適用できないおそれがある。また、上記プリント配線板は、導電パターンとの密着性向上のために絶縁層表面が親水化処理されていることが多く、この親水化処理された表面が他のプリント配線板の絶縁層との接着を妨げるため、高温プレスを行っても十分な接着性が得られないおそれがある。
そこで、フッ素樹脂に不飽和カルボン酸等をグラフトして得られるフッ素樹脂接着剤が提案されている(特開平07−018035号公報参照)。このフッ素樹脂によれば、上記グラフトにより酸素含有官能基が導入されることでフッ素樹脂の接着性が向上すると共に融点が低下し、その結果、上記絶縁層の親水化処理された表面との接着性を向上でき、また汎用プレス機でも接着可能になると考えられる。
特開平07−018035号公報
しかしながら、フッ素樹脂は線膨張率(熱膨張率)が比較的大きい材料であるため、上記従来のフッ素樹脂を用いた接着シート又はシート状プリプレグは、接着後の寸法安定性が不十分となり、ヒートサイクル等により層間剥離を起こすおそれがある。
また、ミリ波レーダーがレーダー特性を安定的に発揮するためには、多層基板の比誘電率εrをなるべく一定に保つことが望ましい。ここで、誘電体である多層基板の比誘電率εrは、真空の誘電率εに対する誘電率εの比(ε/ε)で表され、誘電率εは、ε=C(d/S)で表される。この式中、Cは静電容量、dは誘電体の厚み、Sは誘電体の面積を表わす。このように、誘電体における比誘電率εrはその厚みに依存する。しかし、上述の通りフッ素樹脂は線膨張率が比較的大きい材料であるため、上記接着シート又はシート状プリプレグは、接着後の温度変化に伴う厚みの変化によって比誘電率等の電気特性が変化し、ひいては多層基板の電気特性を変化させるおそれがある。これにより、多層基板の電気特性の温度依存性が増大し、屋外で使用する場合や、使用に伴って温度上昇する可能性がある場合等に、安定的にレーダー特性を発揮できないおそれがある。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、容易かつ確実に多層基板の積層が可能であると共に、接着後における寸法安定性が高く、かつ電気特性の温度依存性が低いプリプレグと、このプリプレグを用いた多層基板とを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るプリプレグは、多層基板の積層に用いるプリプレグであって、マトリックスと、このマトリックス中に配設されるシート状補強材とを備え、上記マトリックスが、酸素含有官能基を有するフッ素樹脂を主成分とする。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の一態様に係る多層基板は、絶縁層とこの絶縁層の表面側に積層される導電パターンとを有する複数のプリント配線板と、このプリント配線板同士の接着に用いるプリプレグとを備える多層基板であって、上記複数のプリント配線板のうちの少なくとも1のプリント配線板の絶縁層がフッ素樹脂を主成分とし、このフッ素樹脂を主成分とする絶縁層の接着に上述のプリプレグが用いられている。
本発明の一態様に係るプリプレグは、容易かつ確実に多層基板の積層が可能であると共に、接着後における寸法安定性が高く、かつ電気特性の温度依存性が低い。また、本発明の別の一態様に係る多層基板は、ヒートサイクルによる層間剥離が生じ難く、かつ電気特性の温度依存性が低い。
本発明の一態様に係る多層基板を示す模式的断面図である。 図1の一部を示す模式的拡大図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の実施形態に係るプリプレグは、多層基板の積層に用いるプリプレグであって、マトリックスと、このマトリックス中に配設されるシート状補強材とを備え、上記マトリックスが、酸素含有官能基を有するフッ素樹脂を主成分とする。
当該プリプレグは、マトリックスが酸素含有官能基を有するフッ素樹脂を主成分とするため、プレス温度が比較的低い汎用プレス機で多層基板の積層が可能であり、また表面を親水化処理した絶縁層を確実に接着できる。さらに、当該プリプレグは、マトリックス中に配設されるシート状補強材によって線膨張が厚み方向及び面方向のいずれの方向においても抑制されるため、接着後における寸法安定性に優れると共に、比誘電率に代表される電気特性の温度依存性が低い。
上記補強材が、織布又は不織布であるとよい。このように、上記補強材が織布又は不織布であることで、マトリックスの主成分であるフッ素樹脂が補強材に含浸した含浸構造を形成でき、その結果、線膨張を抑制し易くなる。これにより、接着後における寸法安定性をより向上でき、また電気特性の温度依存性をより低減できる。
上記補強材を構成する素材の主成分がガラス又は合成樹脂であるとよい。上記補強材を構成する素材の主成分が、比較的線膨張率し難い材料であるガラス又は合成樹脂であることで、接着後における寸法安定性をより向上でき、また電気特性の温度依存性をより低減できる。
当該プリプレグの全光線透過率としては、20%以上95%以下が好ましく、また拡散率としては3%以上60%以下が好ましい。シート状補強材を含有するプリプレグは、一般的に透明性が低下する傾向にある。しかし、当該プリプレグの全光線透過率及び拡散率をそれぞれ上記範囲とすることで、プリント配線板等に当該プリプレグを重畳した際に、当該プリプレグを介して上記プリント配線板の回路を容易かつ確実に視認できる。これにより、多層化の際にプリント配線板同士のアライメント(位置あわせ)が容易となる。
本発明の別の実施形態に係る多層基板は、絶縁層とこの絶縁層の表面側に積層される導電パターンとを有する複数のプリント配線板と、このプリント配線板同士の接着に用いるプリプレグとを備える多層基板であって、上記複数のプリント配線板のうちの少なくとも1のプリント配線板の絶縁層がフッ素樹脂を主成分とし、このフッ素樹脂を主成分とする絶縁層の接着に上述のプリプレグが用いられている。
当該多層基板は、寸法安定性に優れると共に、比誘電率に代表される電気特性の温度依存性が低い上述のプリプレグを用いて絶縁層を接着しているため、ヒートサイクルによる層間剥離が生じ難く、かつ電気特性の温度依存性が低い。
上記フッ素樹脂を主成分とする絶縁層を有するプリント配線板が、上記絶縁層の表面に積層される被覆層をさらに備え、この被覆層が上記プリプレグと当接し、上記被覆層が、ケイ素原子、窒素原子、イオウ原子又はこれらの組み合わせを含む化合物を含有するとよい。この場合、上記被覆層の平均厚さとしては、100nm以下が好ましい。また、上記被覆層における上記絶縁層と反対側の表面の対水接触角としては、30°以上90°以下が好ましい。さらに、上記絶縁層がポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はこれらの混合樹脂であるとよい。さらに、上記化合物及び上記フッ素樹脂が、飛行時間二次イオン質量分析(TOF−SIMS:Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)により検出される結合を形成しているとよい。このように、上記プリント配線板が、上記絶縁層上に積層される被覆層をさらに備え、この被覆層が上記プリプレグと当接し、上記被覆層が、ケイ素原子、窒素原子、イオウ原子又はこれらの組み合わせを含む化合物を含有し、この被覆層の平均厚さと上記絶縁層と反対側の表面の対水接触角とを上記範囲とし、上記絶縁層がPTFE、PFA、FEP又はこれらの混合樹脂を主成分とし、かつ上記化合物及び上記フッ素樹脂がTOF−SIMSにより検出される化学結合を形成していることで、上記プリント配線板の透明性を維持しつつ、250℃以下で加熱する汎用の多層化工程を行う場合における上述のプリプレグ及び上記絶縁層の接着性を向上できる。
ここで「酸素含有官能基」とは、1又は複数の酸素原子を含有する官能基をいう。「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分を指す。全光線透過率とは、JIS−K7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に準拠して測定した値を意味する。「拡散率」とは、JIS−Z8113:1998「照明用語」に準拠して測定した値を意味する。具体的には、プリプレグに対して垂直方向から平行光を照射し、出射角度5度、20度又は70度における輝度(以下、それぞれB、B20及びB70とする)に基づいて下記式(1)で求められる値をいう。「対水接触角」とは、JIS−R3257:1999「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して測定される静的対水接触角の値をいう。
拡散率(%)=100×(B70+B20)/2/B・・・(1)
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るプリプレグ及び多層基板について、適宜図面を参照しつつ詳説する。
<プリプレグ>
当該プリプレグは、多層基板の積層に用いられるシート状プリプレグであり、マトリックスと、このマトリックス中に配設されるシート状補強材とを備える。当該プリプレグは、マトリックス中に配設されるシート状補強材によって厚み方向及び面方向のいずれの方向においても線膨張が抑制されるため、接着後における寸法安定性に優れると共に比誘電率に代表される電気特性の温度依存性が低い。
(マトリックス)
当該プリプレグに用いるマトリックスは、酸素含有官能基を有するフッ素樹脂を主成分とし、多層基板の積層時、プレス処理等によって溶融することでプリント配線板やプリント配線板用基材等を接着する。当該プリプレグは、比較的比誘電率の低い材料であるフッ素樹脂をマトリックスの主成分とするため、形成される多層基板の比誘電率を低減できる。また、酸素含有官能基を有するフッ素樹脂は、フッ素樹脂の中では融点が低く、かつ親水性が比較的高い。そのため、当該プリプレグは、比較的低温のプレス処理で接着可能であり、また導電パターンとの接着性向上のために表面を親水化した絶縁層であっても確実に接着できる。
ここで「フッ素樹脂」とは、高分子鎖の繰り返し単位を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子又はフッ素原子を有する有機基(以下、「フッ素原子含有基」ともいう)で置換されたものをいう。フッ素原子含有基は、直鎖状又は分岐状の有機基中の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものであり、例えばフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロポリエーテル基等が挙げられる。
上記酸素含有官能基としては、例えばカルボキシ基又はその誘導基、水酸基、イソシアネート基、カルバモイルオキシ基、ホスホノオキシ基、ハロホスホノオキシ基、スルホ基又はその誘導基等が挙げられる。上記酸素含有官能基としては、これらの中で、水酸基及びカルボキシ基が好ましい。
酸素含有官能基を有するフッ素樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)や、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びビニリデンフルオライドの3種類のモノマーにより形成される熱可塑性フッ素樹脂(THV)や、フルオロエラストマー等のフッ素樹脂に酸素含有官能基を導入したものなどが挙げられる。
上記酸素含有官能基を有するフッ素樹脂としては、酸素含有官能基を導入したETFEが好ましい。この酸素含有官能基を導入したETFEの市販品としては、例えばダイキン社の「ネオフロン(登録商標)EFEP RP−4020」や、旭硝子社の「Fluon(登録商標)LM−720AP」等が挙げられる。
上記酸素含有官能基を有するフッ素樹脂の融点の上限としては、250℃が好ましく、230℃がより好ましく、180℃がさらに好ましい。一方、上記融点の下限としては、130℃が好ましく、150℃がより好ましい。上記融点が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた接着に汎用プレス機を適用できないおそれがある。逆に、上記融点が上記下限未満であると、当該プリプレグで接着した多層基板の耐熱性が低下するおそれがある。ここで「フッ素樹脂の融点」とは、JIS−K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定される融点ピーク温度を指す。
上記マトリックスには、上記酸素含有官能基を有するフッ素樹脂以外の任意成分が含まれてもよい。この任意成分としては、例えば酸素含有官能基を有さないフッ素樹脂、フッ素樹脂以外の他の合成樹脂、難燃剤、難燃助剤、顔料、酸化防止剤、反射付与剤、隠蔽剤、滑剤、加工安定剤、可塑剤、発泡剤等が挙げられる。上記マトリックス中の任意成分の含有量の上限としては、20質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。
上記マトリックスの30℃かつ10GHzにおける比誘電率の上限としては、3.5が好ましく、3.0がより好ましい。一方、上記比誘電率の下限としては、1.2が好ましく、1.4がより好ましい。上記比誘電率が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板において、比誘電率に代表される電気特性が低下するおそれがある。逆に、上記比誘電率が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。ここで「比誘電率」とは、JIS−C2138:2007「電気絶縁材料−比誘電率及び誘電正接の測定方法」に準拠する空洞共振器摂道法により、相対湿度50%の条件で測定される厚さ方向の値である。後述する「誘電正接」についても、同様に定義される。
上記マトリックスの−40℃以上120℃以下における平均線膨張係数の上限としては、500ppm/℃が好ましく、200ppm/℃がより好ましい。一方、上記平均線膨張係数の下限としては、15ppm/℃が好ましい。上記平均線膨張係数が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板が平面方向及び厚さ方向に線膨張し易くなるおそれがある。その結果、平面方向に線膨張することで温度変化があった際に回路の精度を維持できないおそれや、基板全体の歪みにより回路が断線するおそれがある。また、上記多層基板が厚さ方向に線膨張することで、電気特性の温度依存性が増大するおそれがある。逆に、上記平均線膨張係数が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。ここで「線膨張係数」とは、JIS−K7197:1991「プラスチックの熱機械分析による線膨脹率試験方法」に準拠して測定した値を意味し、「−40℃以上120℃以下における平均線膨張係数」とは、−40℃から120℃まで20℃間隔で測定した線膨張率の算術平均値を意味する。
(シート状補強材)
当該プリプレグに用いるシート状補強材は、マトリックス中に配設され、当該プリプレグの面方向における線膨張を抑制し、接着後における寸法安定性を向上する。また、シート状補強材は、当該プリプレグの厚み方向における線膨張を抑制することで、比誘電率に代表される電気特性の温度依存性を低減する。
当該プリプレグに用いるシート状補強材としては、例えばフィルム、織布、不織布(以下、不織布及び織布をまとめて「クロス」ともいう)等を用いることができるが、これらの中で、織布及び不織布が好ましい。このように、シート状補強材として織布又は不織布を用いることで、マトリックスがシート状補強材の内部に含浸した含浸構造を形成でき、その結果、当該プリプレグの線膨張を抑制し易くなる。
当該プリプレグにおけるシート状補強材の体積比率の上限としては、65体積%が好ましく、45体積%がより好ましい。一方、シート状補強材の体積比率の下限としては、5体積%が好ましく、10体積%がより好ましく、35体積%がさらに好ましい。シート状補強材の体積比率が上記上限を超えると、当該プリプレグの接着性が低下するおそれや、当該プリプレグを用いた多層基板の比誘電率が増大するおそれがある。逆に、シート状補強材の体積比率が上記下限未満であると、当該プリプレグが線膨張し易くなり、その結果、寸法安定性が低下するおそれや、電気特性の温度依存性が増大するおそれがある。ここで「シート状補強材の体積比率」とは、平面視で補強材が含まれる領域における体積比率を意味する。
上記シート状補強材は、当該プリプレグの厚み方向の中間に主に配設され、これにより1層の補強材層を形成しているとよい。このように、上記シート状補強材が厚み方向の中間に主に含まれることで、当該プリプレグの接着後の特に平面方向での寸法安定性をより向上できる。但し、シート状補強材は、当該プリプレグの表面付近に配設されてもよく、厚み方向がそれぞれ異なる複数の位置に配設され、これにより複数の補強材層を形成していてもよい。また、上記補強材層は、1層のシート状補強材により構成されていても、重なりあった複数枚のシート状補強材により構成されていてもよい。
上記シート状補強材を構成する素材の主成分としては、マトリックスよりも線膨張係数が小さいものであれば特に限定されるものではないが、多層基板における導電パターンの材料として使われることの多い銅と線膨張係数の差が少ないものが好ましい。具体的な上記素材の−40℃以上120℃以下における平均線膨張係数としては、例えば10ppm/℃以上30ppm/℃以下とすることができる。このように、上記シート状補強材の素材を銅との線膨張係数の差が少ないものとすることで、当該プリプレグを用いて形成される多層基板における回路の寸法安定性や回路導通のヒートサイクルに対する安定性を向上できる。さらに、上記素材は、絶縁性と、フッ素樹脂の融点で溶融流動しない耐熱性と、フッ素樹脂と同等以上の引っ張り強さと、耐腐食性とを有することが望ましい。このような観点から、シート状補強材を構成する素材の主成分としては、ガラス及び合成樹脂が好ましい。これにより、当該プリプレグの接着後の寸法安定性を確実に向上できる。
このようなシート状補強材の具体例としては、例えばガラス繊維をクロス状に加工したガラスクロス、このようなガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させたフッ素樹脂含有ガラスクロス、金属、セラミックス等の無機繊維をクロス状に加工した無機クロス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、アラミド、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂繊維をクロス状に加工した樹脂クロス、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、熱硬化樹脂、架橋樹脂等を主成分とする耐熱フィルムなどが挙げられる。なお、上記樹脂クロス及び耐熱フィルムとしては、後述する当該プリプレグの製造方法で熱圧着する工程の温度以上の融点(又は熱変形温度)を有するものが好ましい。上記ガラスクロス、無機クロス及び樹脂クロスが織布である場合、その織り方としては、当該プリプレグを薄くするためには平織りが好ましいが、当該プリプレグを屈曲し易くするためには綾織り及びサテン織りが好ましい。この他、公知の織り方を適用することができる。
なお、LCPを主成分とするフィルムは、不透明であり、かつ厚さ方向での線膨張係数が比較的大きい。しかし、LCP繊維をクロス状に加工した樹脂クロスは、網目の存在によって透明性を確保でき、かつ厚さ方向での線膨張係数が比較的小さい。そのため、LCP繊維をクロス状に加工した樹脂クロスは当該プリプレグに適用可能である。
上記ガラスクロスを構成するガラス繊維としては、例えばJIS−R3410:2006に規定されるEガラス、ECRガラス、ARガラス、Aガラス、Sガラス、Cガラス、Dガラス等が挙げられる。これらの中で、汎用繊維用ガラスであるEガラスよりも低誘電率のガラス繊維が好ましく、具体的にはDガラスが好ましい。
上記フッ素樹脂含有ガラスクロスにおいてガラスクロスに含浸しているフッ素樹脂は、当該プリプレグのマトリックスと同種のフッ素樹脂でも別種のフッ素樹脂でもよい。
上記シート状補強材としては、当該プリプレグの接着後の寸法安定性をより向上する観点から、ガラスクロスが好ましい。
当該プリプレグに用いるシート状補強材の枚数は、1枚でも複数枚でもよい。上記シート状補強材の枚数の上限としては、6枚が好ましく、4枚がより好ましい。一方、上記シート状補強材の枚数の下限としては、2枚が好ましい。上記シート状補強材の枚数が上記上限を超えると、当該プリプレグにおけるマトリックスの含有量が減少し、その結果、接着性が低下するおそれや、接着後の比誘電率が増大するおそれがある。逆に、上記シート状補強材の枚数が上記下限未満であると、当該プリプレグの接着後の寸法安定性が低下するおそれや、電気特性の温度依存性が増大するおそれがある。
上記シート状補強材の1枚の平均厚みの上限としては、200μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、上記平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。上記シート状補強材の平均厚みが上記上限を超えると、当該プリプレグの可撓性が低下するおそれがある。逆に、上記シート状補強材の平均厚みが上記下限未満であると、当該プリプレグの接着後における寸法安定性を向上するために上記シート状補強材を多数使用する必要が生じ、製造効率が低下するおそれがある。
上記シート状補強材の平均合計厚みの上限としては、200μmが好ましく、100μmがより好ましい。一方、上記平均合計厚みの下限としては、15μmが好ましく、45μmがより好ましく、80μmがさらに好ましい。上記シート状補強材の平均合計厚みが上記上限を超えると、当該プリプレグの可撓性が低下するおそれがある。逆に、上記シート状補強材の平均合計厚みが上記下限未満であると、当該プリプレグにシート状補強材を用いたことによる線膨張係数の低減効果が不十分となり、当該プリプレグを用いた多層基板の寸法安定性が低下するおそれや、電気特性の温度依存性が増大するおそれがある。
ここで、本明細書において、「平均厚み」とは、対象物の厚み方向に切断した断面における測定長さ内の表面側の界面の平均線と、裏面側の界面の平均線との間の距離を指す。この「平均線」とは、界面に沿って引かれる仮想直線であって、界面とこの仮想直線とによって区画される山の総面積(仮想直線よりも上側の総面積)と谷の総面積(仮想直線よりも下側の総面積)とが等しくなるような線を意味する。
上記ガラスクロスを形成するガラス繊維の密度の上限としては、5g/mが好ましく、3g/mがより好ましい。一方、上記密度の下限としては、1g/mが好ましく、2g/mがより好ましい。上記密度を上記範囲とすることで、当該プリプレグの強度及び寸法安定性をバランスよく向上でき、また製造時の反りを抑制できる。ここで「ガラス繊維の密度」とは、JIS−L1013:2010「化学繊維フィラメント糸試験方法」に準拠して測定した値を意味する。後述する「ガラス繊維の引張強度」及び「ガラス繊維の最大伸び率」についても同様に定義されるものとする。
上記ガラスクロスを形成するガラス繊維の引張強度の上限としては、10GPaが好ましく、5GPaがより好ましい。一方、上記引張強度の下限としては、1GPaが好ましく、2GPaがより好ましい。上記引張強度を上記範囲とすることで、当該プリプレグの強度及び寸法安定性をバランスよく向上でき、また製造時の反りを抑制できる。
上記ガラスクロスを形成するガラス繊維の引張弾性率の上限としては、200GPaが好ましく、100GPaがより好ましい。一方、上記引張弾性率の下限としては、10GPaが好ましく、50GPaがより好ましい。上記引張弾性率を上記範囲とすることで、当該プリプレグの強度及び寸法安定性をバランスよく向上でき、また製造時の反りを抑制できる。ここで「引張弾性率」とは、引張応力とひずみとの関係を表わす複素弾性率であり、引張試験機により測定される値を意味する。
上記ガラスクロスを形成するガラス繊維の最大伸び率の上限としては、20%が好ましく、10%がより好ましい。一方、上記最大伸び率の下限としては、1%が好ましく、3%がより好ましい。上記最大伸び率を上記範囲とすることで、当該プリプレグの強度及び寸法安定性をバランスよく向上でき、また製造時の反りを抑制できる。
上記ガラスクロスを形成するガラス繊維の軟化点の上限としては、1,200℃が好ましく、1,000℃がより好ましい。一方、上記軟化点の下限としては、700℃が好ましく、800℃がより好ましい。上記軟化点が上記上限を超えると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。逆に、上記軟化点が上記下限未満であると、当該プリプレグの製造時にガラス繊維が軟化して反り等が生じるおそれがある。ここで「軟化点」とは、JIS−K7234:1986に規定する環球法により測定した軟化点を意味する。
上記シート状補強材の30℃かつ10GHzにおける比誘電率の上限としては、10が好ましく、6がより好ましく、5がさらに好ましい。一方、上記比誘電率の下限としては、1.2が好ましく、1.5がより好ましく、1.8がさらに好ましい。上記比誘電率が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板において伝送損失が発生し易くなるおそれがあると共に、十分な伝送速度が得られないおそれがある。逆に、上記比誘電率が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。
上記シート状補強材の−40℃以上120℃以下における厚み方向での平均線膨張係数の上限としては、5ppm/℃が好ましく、4.7ppm/℃がより好ましい。一方、上記平均線膨張係数の下限としては、−5ppm/℃が好ましく、0ppm/℃がより好ましい。上記平均線膨張係数が上記上限を超えるか、又は上記下限未満であると、当該プリプレグにおける電気特性の温度依存性を十分に低減できないおそれがある。
上記マトリックスの平均線膨張係数に対する上記シート状補強材の平均線膨張係数の比の上限としては、0.95が好ましく、0.1がより好ましい。一方、上記比の下限としては、0.001が好ましく、0.002がより好ましい。上記比が上記上限を超えると、当該プリプレグにおける電気特性の温度依存性を十分に低減できないおそれがある。逆に、上記線膨張係数が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。
(プリプレグの特性)
当該プリプレグの平均厚さの上限としては、300μmが好ましく、150μmがより好ましい。一方、上記平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。上記平均厚さが上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板が不要に厚くなるおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記下限未満であると、当該プリプレグの強度が低下するおそれや、十分な接着性を発揮できないおそれがある。
当該プリプレグの全光線透過率の上限としては、95%が好ましく、85%がより好ましい。一方、上記全光線透過率の下限としては、20%が好ましく、50%がより好ましく、70%がさらに好ましい。上記全光線透過率が上記上限を超えると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。逆に、上記全光線透過率が上記下限未満であると、プリント配線板等に当該プリプレグを重畳した際に、当該プリプレグを介して上記プリント配線板の回路を視認し難くなり、アライメントが困難となるおそれがある。
当該プリプレグの拡散率の上限としては、3%が好ましく、10%がより好ましい。一方、上記拡散率の下限としては、60%が好ましく、35%がより好ましく、20%がさらに好ましい。上記拡散率が上記上限を超えると、プリント配線板等に当該プリプレグを重畳した際に、当該プリプレグを介して上記プリント配線板の回路を視認し難くなり、アライメントが困難となるおそれがある。逆に、上記拡散率が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。
当該プリプレグの30℃かつ10GHzにおける比誘電率の上限としては、4.5が好ましく、3.5がより好ましく、2.5がさらに好ましい。一方、比誘電率の下限としては、2.0が好ましく、2.3がより好ましい。上記比誘電率が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板において伝送損失を十分に小さくできないおそれや十分な伝送速度が得られないおそれがある。逆に、上記比誘電率が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。
当該プリプレグの120℃かつ10GHzにおける比誘電率の上限としては、4.5が好ましく、3.5がより好ましく、2.5がさらに好ましい。一方、上記比誘電率の下限としては、2.0が好ましく、2.2がより好ましい。上記比誘電率が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板において伝送損失を十分に小さくできないおそれや十分な伝送速度が得られないおそれがある。逆に、上記比誘電率が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。
周波数条件を10GHzとした時の当該プリプレグの30℃における比誘電率εr30℃と120℃における比誘電率εr120℃との変化率(100×(εr30℃−εr120℃)/εr30℃)の上限としては、5%が好ましく、3.5%がより好ましく、1.5%がさらに好ましい。一方、上記比誘電率の変化幅の下限としては、特に限定されないが、例えば0.1%である。上記比誘電率の変化幅が上記上限を超えると、接着後における電気特性の温度依存性を十分に低減できないおそれがある。
当該プリプレグの30℃かつ10GHzにおける誘電正接の上限としては、0.005が好ましく、0.002がより好ましい。一方、上記誘電正接の下限としては、特に限定されないが、例えば0.001である。上記誘電正接が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板における伝送損失を十分に小さくできないおそれや十分な伝送速度が得られないおそれがある。
周波数条件を10GHzとした時の当該プリプレグの30℃における誘電正接tanδ30℃と120℃における誘電正接tanδ120℃との変化幅(tanδ30℃及びtanδ120℃の差の絶対値)の上限としては、0.001が好ましく、0.0003がより好ましく、0.00015がさらに好ましい。一方、上記誘電正接の変化幅の下限としては、例えば0.00001である。上記誘電正接の変化幅が上記上限を超えると、接着後における電気特性の温度依存性を十分に低減できないおそれがある。逆に、上記誘電正接の変化幅が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。
当該プリプレグの−40℃以上120℃以下における厚み方向での平均線膨張係数の上限としては、500ppm/℃が好ましく、350ppm/℃がより好ましく、150ppm/℃がさらに好ましい。一方、上記平均線膨張係数の下限としては、特に限定されないが、例えば80ppm/℃である。上記平均線膨張係数が上記上限を超えると、接着後における寸法安定性を十分に向上できないおそれや、電気特性の温度依存性を十分に低減できないおそれがある。
また、当該プリプレグの−40℃以上120℃以下における平面方向での平均線膨張率の上限としては、50ppm/℃が好ましく、35ppm/℃がより好ましい。一方、上記平均線膨張係数の下限としては、15ppm/℃が好ましい。上記平均線膨張係数が上記上限を超えると、当該プリプレグを用いた多層基板において、温度変化があった際に回路の精度を維持できないおそれや、基板全体の歪みにより回路が断線するおそれがある。逆に、上記平均線膨張係数が上記下限未満であると、材料選択の幅が狭まるおそれがある。なお、当該プリプレグは、厚みよりも幅及び長さの方が通常大きい(例えば平均厚みが10μm以上300μm以下に対して平均幅及び平均長さが10mm以上である)ため、線膨張の際、平面方向の寸法変化幅の方が厚み方向の寸法変化幅よりも大きくなり易い。そのため、上記マトリックスの平均線膨張率は、平面方向においては特に小さくする必要性が高く、一方で厚み方向においては平面方向より大きくても許容される。
<プリプレグの製造方法>
次に、当該プリプレグの好ましい製造方法の例示として、第1の製造方法及び第2の製造方法について説明する。この第1の製造方法及び第2の製造方法は、いずれも当該プリプレグを容易かつ確実に製造できる。
(プリプレグの第1の製造方法)
当該プリプレグの第1の製造方法は、シート状補強材の両面にフッ素樹脂を主成分とする樹脂フィルムを重畳する重畳工程と、上記重畳体を真空吸引しつつ熱圧着する熱圧着工程とを備える。
[重畳工程]
本工程では、シート状補強材の両面にフッ素樹脂を主成分とする樹脂フィルムを重畳する。上記シート状補強材としては、当該プリプレグにおいて説明したシート状補強材と同様のもの等を用いることができる。また、上記樹脂フィルムの主成分としては、当該プリプレグのマトリックスの主成分として例示したものと同様のフッ素樹脂等を用いることができる。
上記重畳工程で得られる重畳体における上記補強材の体積比率としては、60体積%が好ましく、40体積%がより好ましく、30体積%がさらに好ましい。一方、シート状補強材の体積比率の下限としては、10体積%が好ましく、20体積%がより好ましく、25体積%がさらに好ましい。上記補強材の体積比率を上記範囲とすることで、形成される当該プリプレグの接着性と、接着後における電気特性の温度依存性の低減と、伝送特性の向上とをバランスよく達成できる。
[熱圧着工程]
本工程では、上記重畳工程で得られた重畳体を真空吸引しつつ熱圧着する。上記熱圧着温度の上限としては、400℃が好ましく、300℃がより好ましい。一方、上記熱圧着温度の下限としては、上記樹脂フィルムの主成分であるフッ素樹脂の融点が好ましく、上記フッ素樹脂の分解開始温度がより好ましい。より詳しくは、上記熱圧着温度の下限としては、上記フッ素樹脂の融点よりも10℃高い温度が好ましく、上記フッ素樹脂の融点よりも30℃高い温度がより好ましい。具体的な熱圧着温度の下限としては、200℃が好ましく、220℃がより好ましい。上記熱圧着温度が上記上限を超えると、得られる当該プリプレグが変形するおそれがある。逆に、上記温度が上記下限未満であると、シート状補強材及び樹脂フィルムが一体化した当該プリプレグを得ることが難しくなるおそれがある。ここで「分解開始温度」とはフッ素樹脂が熱分解し始める温度をいい、「分解温度」とはフッ素樹脂が熱分解によってその質量が10%減少する温度をいう。
上記熱圧着の圧力としては、0.01MPa以上1200MPa以下が好ましい。また、上記熱圧着の加圧時間としては、5秒以上10時間以下が好ましい。
上記真空吸引の際の真空度の上限としては、10MPaが好ましく、1MPaがより好ましく、10kPaがさらに好ましい。一方、真空度の下限としては、特に限定されないが、例えば0.01Paである。真空度を上記上限以下とすることにより、樹脂フィルム及びシート状補強材の密着性を向上できる。また、シート状補強材として織布又は不織布を用いる場合には、織布又は不織布の空隙に上記樹脂フィルムの樹脂を確実に含浸させ、シート状補強材及びマトリックスがより強固に一体化した当該プリプレグを得ることができる。
当該プリプレグの第1の製造方法では、樹脂フィルム及びシート状補強材の密着性をより向上する観点から、上記熱圧着の開始前から真空吸引を開始することが好ましい。
(プリプレグの第2の製造方法)
当該プリプレグの第2の製造方法は、織布又は不織布である補強材の表面及び内部にフッ素樹脂を主成分とする組成物を含浸させる含浸工程と、含浸させた上記組成物を加熱する加熱工程とを備える。
[含浸工程]
含浸工程では、織布又は不織布である補強材の表面及び内部にフッ素樹脂を主成分とする組成物を含浸させる。不織布及び織布としては、当該プリプレグにおいて説明した不織布及び織布と同様のもの等を用いることができる。また、上記フッ素樹脂としては、当該プリプレグのマトリックスの主成分として例示したものと同様のフッ素樹脂等を用いることができる。上記組成物としては、例えば溶媒にフッ素樹脂粒子が分散したフッ素樹脂ディスパージョン等が挙げられる。当該プリプレグの補強材織布又は不織布である補強材の表面及び内部に上記組成物を含浸させる方法としては、例えば織布又は不織布の表面に上記組成物を塗布する方法、上記組成物にガラスクロス又は樹脂クロスを浸漬する方法等が挙げられる。
上記組成物の含む固形分と上記補強材との合計における上記補強材の体積比率としては、60体積%が好ましく、40体積%がより好ましく、30体積%がさらに好ましい。一方、シート状補強材の体積比率の下限としては、10体積%が好ましく、20体積%がより好ましく、25体積%がさらに好ましい。上記補強材の体積比率を上記範囲とすることで、形成される当該プリプレグの接着性と、接着後における電気特性の温度依存性の低減と、伝送特性の向上とをバランスよく達成できる。ここで「固形分」とは、上記組成物における溶媒以外の成分をいう。
[加熱工程]
加熱工程では、含浸させた上記組成物を加熱する。加熱工程は、含浸させた上記組成物が乾燥し硬化する焼き付け工程に相当する。加熱工程後には、織布又は不織布の表面にフッ素樹脂の層が形成されると共に、織布又は不織布の内部にフッ素樹脂が含浸する。
加熱工程の温度の上限としては、400℃が好ましく、300℃がより好ましい。一方、加熱工程の温度の下限としては、150℃が好ましく、200℃がより好ましい。加熱工程の温度が上記下限未満であると、含浸させた上記組成物の乾燥及び硬化が不十分となるおそれがある。逆に、加熱工程の温度が上記上限を超えると、得られる当該プリプレグが変形するおそれがある。
第2の製造方法では、織布又は不織布の一方の面にフッ素樹脂の層を形成した後、他方の面に再度フッ素樹脂の層を形成してもよい。また、第2の製造方法では、織布又は不織布の両面に同時にフッ素樹脂の層を形成してもよい。
第2の製造方法では、上記含浸工程及び加熱工程を2回以上繰り返してもよい。例えば、上記組成物の塗布と加熱とを繰り返し行えば、所定の厚みを有するフッ素樹脂の層を容易に形成できる。
第2の製造方法では、織布又は不織布の表面及び内部にフッ素樹脂を主成分とする組成物を含浸させる。このため、第2の製造方法では、補強材及びマトリックスがより強固に一体化した当該プリプレグを容易かつ確実に得ることができる。
<多層基板>
当該多層基板は、絶縁層とこの絶縁層の表面側に積層される導電パターンとを有する複数のプリント配線板と、このプリント配線板同士の接着に用いるプリプレグとを備える多層基板であって、上記複数のプリント配線板のうちの少なくとも1のプリント配線板の絶縁層がフッ素樹脂を主成分とし、このフッ素樹脂を主成分とする絶縁層の接着に当該プリプレグが用いられている。
当該多層基板は、少なくとも1のプリント配線板の絶縁層がフッ素樹脂を主成分とすることで、比誘電率を低減でき、その結果、伝送速度の増大と伝送損失の低減とが可能となる。また、当該多層基板は、上記フッ素樹脂を主成分とする絶縁層の接着に当該プリプレグが用いられているため、上記フッ素樹脂を主成分とする絶縁層を確実に接着することができる。さらに、当該多層基板は、当該プリプレグを用いて上記フッ素樹脂を主成分とする絶縁層を接着しているため、この絶縁層に由来する誘電率の低さを維持できる。さらに、当該プリプレグは接着後における寸法安定性が高く、かつ電気特性の温度依存性が低いため、当該多層基板はヒートサイクルによる層間剥離が生じ難く、かつ電気特性の温度依存性が低い。当該多層基板は、例えば車載用ミリ波レーダー等のミリ波レーダー、サーバー、光通信用機器等に用いる基板として好適に用いることができる。
以下、図1及び図2に当該多層基板の一例を示す。図1に示す当該多層基板は、一方の表面側(図1及び図2における上側)から順番に第1プリント配線板1、第2プリント配線板2、及び第3プリント配線板3が積層される。第1プリント配線板1及び第2プリント配線板2は、第1接着層4を介して積層される。また、第2プリント配線板及び第3プリント配線板は、第2接着層5を介して積層される。
第1プリント配線板1は、第1絶縁層1aと、この第1絶縁層1aにおける第2プリント配線板2とは反対側に積層される第1導電パターン1bとを備える。第2プリント配線板2は、第2絶縁層2aと、この第2絶縁層2aの両面に積層される一対の第2導電パターン2bとを備える。第3プリント配線板3は、第3絶縁層3aと、この第3絶縁層3aにおける第2プリント配線板2とは反対側に積層される第3導電パターン3bとを備える。3枚のプリント配線板のうち、一方の最表面に配設されるプリント配線板である第1プリント配線板1の有する第1絶縁層1aはフッ素樹脂を主成分とする。また、第1プリント配線板1及び第2プリント配線板2を接着する第1接着層4は、当該プリプレグにより形成される層である。つまり、第1絶縁層1aと、第2プリント配線板2における第1プリント配線板1側の第2導電パターン2bとの接着には、当該プリプレグが用いられる。
当該多層基板をミリ波レーダー、サーバー、光通信用機器等の高周波用途に適用する場合、基板全体の比誘電率が低いことが好ましいが、基板の表面付近での比誘電率の低さが特に重要となる。そのため、上述のように、当該多層基板のうち、一方の最表面に配設される第1プリント配線板1の有する第1絶縁層1aの主成分をフッ素樹脂とすることで、当該多層基板の表面付近での比誘電率を効果的に低減することができる。
(プリント配線板)
第1プリント配線板1〜第3プリント配線板3としては、第1プリント配線板の有する第1絶縁層1aの主成分をフッ素樹脂とする以外は特に限定されず、従来公知のプリント配線板を用いることができる。第1プリント配線板1〜第3プリント配線板3の平面視で導電パターンが積層されていない領域における全光線透過率及び拡散率としては、例えば上述の当該プリプレグの全光線透過率及び拡散率と同様とすることができる。第1絶縁層1a〜第3絶縁層3aのそれぞれの平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば5μm以上100μm以下とすることができる。また、第1導電パターン1b〜第3導電パターン1bのそれぞれの平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば2μm以上30μm以下とすることができる。
上述の通り、第1絶縁層1aの主成分はフッ素樹脂である。上記フッ素樹脂としては、例えばPTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFE、ECTFE、PVF、THV等が挙げられる。また、上記フッ素樹脂としては、フッ素樹脂架橋物を用いることもできる。第1絶縁層1aの低誘電率化及び低誘電正接化の観点からは、上記フッ素樹脂としては、PTFE、PFA、FEP及びこれらの混合樹脂が好ましい。一方、第1絶縁層1aの透明性の観点からは、上記フッ素樹脂としては、PTFE架橋物、PFA及びその架橋物、FEP及びその架橋物、並びにこれらの混合樹脂が好ましい。
第2絶縁層2a〜第3絶縁層3aの主成分としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド等の合成樹脂などが挙げられる。なお、第2絶縁層2a及び第3絶縁層3aの主成分としては、フッ素樹脂を用いることもできるが、コストの点から他の合成樹脂を用いることが好ましい。また、第1絶縁層1a〜第3絶縁層3aは、上述の合成樹脂により主に構成されていてもよいが、上述の合成樹脂を主成分とするマトリックスと、このマトリックス中に配設されるシート状補強材とにより構成されていてもよい。上記シート状補強材としては、例えば当該プリプレグにおいて説明したシート状補強材と同様のもの等が挙げられる。
第1プリント配線板1は、透明性を維持しつつ、当該プリプレグにより形成される第1接着層4と、第1絶縁層1aとの接着性を向上するため、第1絶縁層1aにおける第1接着層4側の表面に直接積層される図示しない被覆層をさらに備え、この被覆層によって第1接着層4と当接していてもよい。このような被覆層の具体例としては、ケイ素原子、窒素原子、イオウ原子又はこれらの組み合わせを含む化合物を含有し、この化合物と第1接着層4に含まれるフッ素樹脂とが飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)により検出される結合を形成している層が挙げられる。このような被覆層を備える場合、第1絶縁層1aの主成分としては、PTFE、PFA、FEP及びこれらの混合樹脂が好ましい。
上記被覆層の平均厚さの上限としては、100nmが好ましく、50nmがより好ましい。一方、上記被覆層の平均厚さの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記被覆層の平均厚さが上記上限を超えると、当該多層基板の電気特性が低下するおそれがある。上記被覆層の平均厚さが上記下限未満であると、上記被覆層による第1接着層4と第1絶縁層1aとの接着性の向上効果が不十分となるおそれがある。
上記被覆層における第1絶縁層1aと反対側の表面(第1接着層4と当接している表面)の対水接触角の上限としては、90°が好ましく、80°がより好ましい。一方、上記対水接触角の下限としては、30°が好ましく、60°がより好ましい。上記対水接触角を上記範囲とすることで、第1接着層4と第1絶縁層1aとの接着性をより向上できる。
上記ケイ素原子、窒素原子、イオウ原子又はこれらの組み合わせを含む化合物としては、例えばシランカップリング剤等が挙げられる。
TOF−SIMSにより検出される結合としては、例えば共有結合等が挙げられる。
上記被覆層は、例えばフッ素樹脂を主成分とする絶縁層の表面に、ケイ素原子、窒素原子、イオウ原子又はこれらの組み合わせを含む化合物を含有するコーティング材を塗工することにより形成できる。
なお、上記被覆層は、第1絶縁層1aにおける第1接着層4側の表面に直接積層されていることが好ましいが、それ以外の箇所に積層されていてもよい。具体的には、例えば第1絶縁層1aにおける第1導電パターン1b側の表面や、第2絶縁層2a及び第3絶縁層3aの一方又は両方の表面に直接積層されていてもよい。絶縁層及び導電パターンの間にシランカップリング剤で被覆層を形成した場合、上記絶縁層及び導電パターンの接着性を向上できる。
第1導電パターン1b〜第3導電パターン3bを構成する導電物質としては、例えば銅、銀、金、鉄、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、ITO(Indium Tin Oxide)等の金属、合成樹脂と金属との混合物である導電性樹脂などが挙げられる。
中でも、上記導電物質としては、コスト、電気特性及び可撓性の観点より、銅が好ましい。第1導電パターン1b〜第3導電パターン3bを銅により構成することで、優れた伝送特性と、良好なフレキシブル性と、コストの安さとをバランスよく達成できる。
(第1接着層)
図2示すように、第1接着層4は、マトリックス6と、このマトリックス中に配設される織布又は不織布であるシート状補強材7とを備える。マトリックス6の主成分は、酸素含有官能基を有するフッ素樹脂である。このフッ素樹脂は、非架橋でも架橋されていてもよいが、架橋されていることが好ましい。酸素含有官能基を有するフッ素樹脂は比較的低融点であるが、このように、マトリックス6の主成分を架橋フッ素樹脂とすることで第1接着層4の耐熱性を向上でき、その結果、当該多層基板を実装のためにリフロー処理する際に、各プリント配線板間のズレを抑制できる。
(第2接着層)
第2接着層5としては、特に限定されず、従来公知の接着剤、接着シート、シート状プリプレグ等により形成することができる。なお、第2接着層5は、当該プリプレグにより形成される層であってもよい。また、第2接着層5は必須ではなく、第2プリント配線板2及び第3プリント配線板3を熱融着する場合には省略することもできる。
なお、当該多層基板は、第1導電パターン1b〜第3導電パターン3bを互いに通電させるため、図示しないビアホール等の通電部を通常有する。
上述の通り、図1及び図2は当該多層基板の一例であり、当該多層基板は他の構成を備えていてもよい。具体的には、当該多層基板は、2枚又は4枚以上のプリント配線板が積層されたものであってもよい。また、当該多層基板の備える各プリント配線板は、絶縁層の一方の表面側にのみ導電パターンが積層されていても、絶縁層の両方の表面側に導電パターンが積層されていてもよい。さらに、フッ素樹脂を主成分とする絶縁層を有するプリント配線板は、一方の最表面以外に積層されていてもよい。
<多層基板の製造方法>
次に、当該多層基板の製造方法の一例を説明する。この製造方法には、絶縁層及びこの絶縁層の一方又は両方の表面側に積層される導電パターンを有するプリント配線板と、当該プリプレグとを少なくとも用いる。また、この製造方法には、必要に応じ、絶縁層及びこの絶縁層の一方の表面側に積層される導電層を有するプリント配線板用基材をさらに用いてもよい。このプリント配線板及びプリント配線板用基材のうちの少なくとも1つは、フッ素樹脂を主成分とする絶縁層を有する。なお、上記プリント配線板用基材は、上記絶縁層の他方の表面側に積層される導電パターンをさらに備えてもよい。
当該多層基板の製造方法は、上記プリント配線板に、当該プリプレグを介し、別のプリント配線板又は上記プリント配線板用基材を重畳する重畳工程と、上記重畳工程で得られた重畳体を熱圧着する熱圧着工程とを備える。当該多層基板の製造方法は、上記重畳工程でプリント配線板用基材を用いる場合、このプリント配線板用基材の導電層にパターンを形成するパターン形成工程をさらに備える。これにより、2枚のプリント配線板により構成される当該多層基板が得られる。この製造方法は、当該多層基板を容易かつ確実に製造できる。
この製造方法では、上記重畳工程で上記プリント配線板の両面に一対のプリント配線板用基材又はプリント配線板を重畳することにより、3枚のプリント配線板により構成される当該多層基板を得てもよい。また、この製造方法では、得られた当該多層基板の一方又は両方の表面側にさらに別のプリント配線板用基材又はプリント配線板を重畳し、上記熱圧着工程及び必要に応じてパターン形成工程と同様の工程を繰り返すことにより、さらなる多層化が可能である。さらに、この製造方法では、上記重畳工程で上記プリント配線板の替わりにプリント配線板の積層体を用いてもよい。
(重畳工程)
本工程では、上記プリント配線板に、当該プリプレグを介し、別のプリント配線板又は上記プリント配線板用基材を重畳する。本工程でプリント配線板用基材を用いる場合、このプリント配線板用基材の絶縁層に導電層が積層される方向と反対側の表面を当該プリプレグに対向させる。一方、上記プリント配線板は、いずれの面を当該プリプレグに対向させてもよい。
(熱圧着工程)
本工程では、上記重畳工程で得られた重畳体を熱圧着し、これによりプリント配線板同士、又はプリント配線板及びプリント配線板用基材を熱融着させる。上記熱圧着温度の上限としては、250℃が好ましく、220℃がより好ましい。一方、上記熱圧着温度の下限としては、当該プリプレグにおけるマトリックスの主成分であるフッ素樹脂の融点が好ましく、上記フッ素樹脂の分解開始温度がより好ましい。より詳しくは、上記熱圧着温度の下限としては、上記フッ素樹脂の融点よりも10℃高い温度が好ましく、上記フッ素樹脂の融点よりも20℃高い温度がより好ましい。具体的な熱圧着温度の下限としては、180℃が好ましく、190℃がより好ましい。上記熱圧着温度が上記上限を超えると、当該プリプレグが変性して電気特性等が低下するおそれがある。逆に、上記温度が上記下限未満であると、プリント配線板やプリント配線板用基材が十分に熱融着しないおそれがある。
上記熱圧着の圧力としては、0.01MPa以上1200MPa以下とすることができる。また、上記熱圧着の加圧時間としては、5秒以上10時間以下とすることができる。
(パターン形成工程)
本工程では、上記プリント配線板用基材における導電層にパターンを形成する。上記パターンを形成する方法としては、特に限定されないが、例えばエッチング等が挙げられる。上記エッチング方法としては、特に制限されないが、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法等が挙げられる。上記エッチング法としてサブトラクティブ法を適用する場合、上記プリント配線板用基材の導電層にパターンのマスキングを施した後、エッチングすることにより、配線を形成できる。これにより、上記プリント配線板用基材に由来するプリント配線板が得られる。
(電離放射線照射工程)
上記製造方法では、上記熱圧着工程で得られたプリント配線板同士の積層体、又はプリント配線板及びプリント配線板用基材の積層体に、電離放射線を照射する電離放射線照射工程をさらに備えることが好ましい。このように、当該多層基板の製造方法が電離放射線照射工程をさらに備えることで、当該プリプレグに含まれているフッ素樹脂を架橋し、その耐熱性を向上できる。その結果、当該多層基板の耐熱性が向上し、当該多層基板をリフロー処理等のために加熱する際に層間のズレや剥離を抑制できる。また、架橋によりフッ素樹脂の結晶化を抑制し、視認性を向上できる。本工程では、当該プリプレグのマトリックスが、PTFE、FEP及びPFAのうち少なくとも1種に酸素含有官能基を導入したフッ素樹脂である場合、上記フッ素樹脂の融点以上の温度で加熱しながら電離放射線を照射するとよい。一方、上記マトリックスがETFE、PVDF、PVF及びTHVのうち少なくとも1種に酸素含有官能基を導入したフッ素樹脂である場合、常温で照射架橋できる。
電離放射線照射時に加熱する場合、その加熱温度としては、当該プリプレグのマトリックスであるフッ素樹脂の融点以上であれば特に限定されないが、上記フッ素樹脂の融点より5℃高い温度が好ましく、融点より15℃高い温度がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、上記フッ素樹脂の融点より50℃高い温度が好ましく、融点より30℃高い温度がより好ましい。また、具体的な上記加熱温度は、上記フッ素樹脂の種類に合わせて適宜変更可能であるが、その下限としては、200℃が好ましく、210℃がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、400℃が好ましく、300℃がより好ましい。上記加熱温度で電離放射線を照射することにより、フッ素樹脂の主鎖の切断を抑制しつつ、分子間の架橋を促進できる。上記加熱温度が上記上限を超える場合、フッ素樹脂の分解のおそれがある。
上記電離放射線照射は、大気雰囲気下で行ってもよく、無酸素雰囲気下で行ってもよい。上記無酸素雰囲気下における酸素濃度の上限としては、100ppmが好ましく、10ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましい。上記酸素濃度が上記上限を超えると、電離放射線の照射によってフッ素樹脂が分解するおそれがある。
上記電離放射線としては、例えばγ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオン線等が挙げられ、電子線が好ましい。また、電離放射線の照射線量の下限としては、10kGyが好ましく、70kGyがより好ましく、100kGyがさらに好ましい。一方、上記照射線量の上限としては、2,000kGyが好ましく、500kGyがより好ましく、200kGyがさらに好ましい。上記照射線量が上記下限より小さい場合、フッ素樹脂の架橋反応が十分進行しないおそれがある。逆に、上記照射線量が上記上限を超える場合、フッ素樹脂の主鎖が切断されるおそれがある。そのため、上記照射線量を上記範囲とすることで、フッ素樹脂の主鎖の切断を抑制しつつ、架橋を十分に進行させることができる。なお、加速電圧としては、例えば800kV以上1,500kV以下とすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
(プリプレグの製造)
シート状補強材としての1枚のガラスクロス(ユニチカ社のEガラス「♯1030」、平均厚さ30μm)の両面に、一対のフッ素樹脂フィルム(ダイキン社の「ネオフロン(登録商標)EFEP RP−4020」、平均厚さ50μm)を重畳して重畳体を得た。次に、対象物を真空中でプレス可能なプレス機(北川精機社製)を用い、真空引きで周囲を真空状態とした後、上記重畳体を熱圧着した。得られた熱圧着体を製造例1のプリプレグとした。熱圧着条件は、温度250℃、圧力20MPa、時間20分、真空度1kPaとした。なお、上記「RP−4020」の主成分は酸素原子含有基を導入したETFEであり、その融点は170℃である。
(多層基板の製造)
フッ素樹脂を主成分とする絶縁層と、この絶縁層の一方の面に直接積層される被覆層と、この被覆層における上記絶縁層と反対側の表面に積層される導電パターンとを有する2枚のプリント配線板を用意した。この2枚のプリント配線板の絶縁層は、マトリックスとしてのFEPと、厚さ方向の中央部に配設され、上記FEPが含浸しているガラスクロス「#1030」とを備え、平均厚さ100μmである。また、上記被覆層は、銅と絶縁層との接着向上させるため、コーティング材としてアミノシランを塗布することで形成したもので、ケイ素原子、窒素原子及び炭素原子を含む化合物を含有し、平均厚さが30nm以下である。上記導電パターンは、上記絶縁層に積層した銅箔を塩化銅でエッチングすることで形成した。このエッチング後、プリント配線板の表面に露出した上記被覆層をTOF−SIMSで分析した結果、コーティングに由来するNHとフッ素樹脂に由来するCFとが結合したNH−CF結合のフラグメントが検出され、上記コーティング剤と上記絶縁層に含まれるフッ素樹脂とが結合していることが確認された。上記被覆層における上記絶縁層と反対側の表面の対水接触角は70°であった。また、エッチング後のプリント配線板の平面視で導電パターンが積層されていない領域における全光線透過率及び拡散率を後述の方法で測定したところ、全光線透過率は80%、拡散率は15%であった。このプリント配線板は、他のプリント配線板等に重畳した場合に下面を透過することができた。
1枚のプリント配線板と、製造例1のプリプレグと、別の1枚のプリント配線板とをこの順番で重畳し、得られた重畳体を汎用プレス機(北川精機社製)で200℃、20分間熱圧着した。得られた熱圧着体を製造例1の多層基板とした。
[製造例2]
製造例1と同様の操作でプリプレグを製造した。得られたプリプレグを用いて製造例1と同様にして熱圧着体を製造し、得られた熱圧着体に電子線照射を行った。照射条件は、温度23℃、大気雰囲気、照射線量150kGyとした。電子線照射後の熱圧着体を製造例2の多層基板とした。
[製造例3]
シート状補強材として上記ガラスクロスを2枚用いて合計厚さを60μmとした以外は製造例2と同様に操作し、製造例3のプリプレグ及び多層基板を得た。
[製造例4]
シート状補強材として上記ガラスクロスを3枚用いて合計厚さを90μmとした以外は製造例2と同様に操作し、製造例4のプリプレグ及び多層基板を得た。
[製造例5]
シート状補強材として上記ガラスクロスを4枚用いて合計厚さを120μmとした以外は製造例2と同様に操作し、製造例5のプリプレグ及び多層基板を得た。
[製造例6]
フッ素樹脂フィルムとしてダイキン社の「ネオフロン(登録商標)FEP」、(平均厚さ50μm)を用いた以外は製造例2と同様に操作し、製造例6のプリプレグを得た。なお、上記「ネオフロンFEP」の主成分は酸素原子含有基を導入していないFEPであり、その融点は270℃である。製造例6のプリプレグは、上記汎用プレス機では熱圧着できなかったため、多層基板は得られなかった。
[製造例7]
シート状補強材を用いず、フッ素樹脂フィルムを2枚直接重畳した以外は製造例2と同様に操作し、製造例7のプリプレグ及び多層基板を得た。
Figure 0006728529
<評価>
製造例1〜7のプリプレグについて、平均線膨張係数、比誘電率、全光線透過率、拡散率及び視認性を評価した。また、製造例1〜5及び7の多層基板を用い、比誘電率、ヒートサイクル時層間剥離及びリフロー耐性を測定した。
[平均線膨張係数]
プリプレグの平均線膨張係数は、JIS−K7197:1991「プラスチックの熱機械分析による線膨脹率試験方法」に準拠し、厚さ方向及び平面方向において測定した。具体的には、−40℃から120℃まで20℃間隔で測定し、その算術平均値を求めた。
[比誘電率]
プリプレグ及び多層基板の比誘電率は、JIS−C2138:2007「電気絶縁材料−比誘電率及び誘電正接の測定方法」に準拠する空洞共振器摂道法により、相対湿度50%の条件で測定される厚さ方向の値を求めた。比誘電率は、30℃及び120℃での測定値と、その変化幅(100×{30℃での比誘電率−120℃での比誘電率}/30℃での比誘電率)とを求めた。多層基板において比誘電率の変化率が1.0以下である場合を「A(良好)」、1.0超3.0以下である場合を「B(やや良好)」、3.0超である場合を「C(良好でない)」と評価した。
[全光線透過率]
プリプレグの全光線透過率は、JIS−K7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に準拠して測定した。
[拡散率]
プリプレグの拡散率は、JIS−Z8113:1998「照明用語」に準拠して測定した。具体的には、プリプレグに対して垂直方向から平行光を照射し、出射角度5度、20度又は70度における輝度(以下、それぞれB、B20及びB70とする)を測定し、下記式(1)で算出した。
拡散率(%)=100×(B70+B20)/2/B・・・(1)
[視認性]
プリプレグの視認性は、上記プリント配線板に重畳し、上記プリント配線板の回路が視認できる場合を「A(良好)」、視認できない場合を「B(良好でない)」と評価した。
[ヒートサイクル時層間剥離]
多層基板のヒートサイクル時層間剥離は、恒温槽で−40℃、10分と、120℃、10分とのサイクルを100回行い、上記サイクル後に層間剥離が生じている場合を「B(良好でない)」、層間剥離していない場合を「A(良好)」と評価した。
[リフロー耐性]
多層基板のリフロー耐性は、リフロー炉を用いてピーク温度が260℃となるように30秒間加熱し、上記加熱後にプリプレグに由来する層が溶融している場合を「B(良好でない)」、溶融していない場合を「A(良好)」と評価した。
Figure 0006728529
表1及び表2に示すように、製造例1〜5のプリプレグは、マトリックス中に配設されるシート状補強材を備えるため、シート状補強材を備えない製造例7のプリプレグと比較し、線膨張し難く、かつ比誘電率の温度依存性が小さかった。また、製造例1〜5のプリプレグを用いた多層基板は、製造例7のプリプレグを用いた多層基板と比較し、層間剥離が起こり難く、かつ比誘電率の温度依存性が小さかった。さらに、製造例1〜5のプリプレグは、酸素含有官能基を有する比較的低融点のフッ素樹脂をマトリックスの主成分として用いたため、250℃でのプレスで多層基板を製造できた。一方、製造例6のプリプレグは、酸素原子を含有しない比較的高融点のフッ素樹脂をマトリックスの主成分として用いたため、250℃でのプレスでは多層基板を製造できなかった。
本発明の一態様に係るプリプレグは、容易かつ確実に接着できると共に、接着後における寸法安定性が高く、かつ電気特性の温度依存性が低い。また、本発明の別の一態様に係る多層基板は、ヒートサイクルによる層間剥離が生じ難く、かつ電気特性の温度依存性が低い。
1 第1プリント配線板
1a 第1絶縁層
1b 第1導電パターン
2 第2プリント配線板
2a 第2絶縁層
2b 第2導電パターン
3 第3プリント配線板
3a 第3絶縁層
3b 第3導電パターン
4 第1接着層
5 第2接着層
6 マトリックス
7 シート状補強材

Claims (7)

  1. 多層基板の積層に用いるプリプレグであって、
    マトリックスと、
    このマトリックス中に配設される複数枚のシート状補強材と
    を備え、
    上記マトリックスが、酸素含有官能基を有するフッ素樹脂を主成分とし、
    全光線透過率が20%以上95%以下、拡散率が3%以上60%以下であるプリプレグ。
  2. 上記複数枚のシート状補強材として、2枚以上6枚以下のシート状補強材が用いられている請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 上記複数枚のシート状補強材の平均合計厚みが、15μm以上200μm以下である請求項1又は請求項2に記載のプリプレグ。
  4. 上記シート状補強材が、織布又は不織布である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のプリプレグ。
  5. 上記シート状補強材を構成する素材の主成分がガラス又は合成樹脂である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 絶縁層とこの絶縁層の表面側に積層される導電パターンとを有する複数のプリント配線板と、
    このプリント配線板同士の接着に用いるプリプレグと
    を備える多層基板であって、
    上記複数のプリント配線板のうちの少なくとも1のプリント配線板の絶縁層がフッ素樹脂を主成分とし、
    このフッ素樹脂を主成分とする絶縁層の接着に請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリプレグが用いられている多層基板。
  7. 上記フッ素樹脂を主成分とする絶縁層を有するプリント配線板が、
    上記絶縁層の表面に積層される被覆層をさらに備え、
    この被覆層が上記プリプレグと当接し、
    上記被覆層が、ケイ素原子、窒素原子、イオウ原子又はこれらの組み合わせを含む化合物を含有し、
    上記被覆層の平均厚さが100nm以下であり、
    上記被覆層における上記絶縁層と反対側の表面の対水接触角が30°以上90°以下であり、
    上記絶縁層がポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はこれらの混合樹脂を主成分とし、
    上記化合物及び上記フッ素樹脂が、飛行時間二次イオン質量分析により検出される結合を形成している請求項に記載の多層基板。
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