JP6314484B2 - 溶銑脱りん方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉を用いた溶銑脱りんにおいて、りん濃度を制御する溶銑脱りん方法に関する。
精錬工程におけるりん濃度の制御は、鋼の品質管理上非常に重要である。特に、主要な脱りん工程である溶銑脱りん吹錬では、りん濃度の制御のために、吹込み酸素量、生石灰やスケール等の副原料投入量、上吹きランス高さ、上吹き酸素流量、底吹きガス流量等が、操作量として用いられている。これら操作量は、目標りん濃度や溶銑情報、及び、過去の操業実績に基づいて作成された操業基準等、吹錬開始前に得られる情報で決定されることが多い。
しかしながら、同じような操業条件でも、実際の吹錬における脱りん挙動の再現性は、あまり良くない。そのため、上記のような吹錬開始前に得られる情報のみに基づいて決定された操作量による溶銑脱りん吹錬では、りん濃度のばらつきが大きくなるという問題があった。
上記問題に対応すべく、まず、吹錬中に定周期で得られる排ガス成分や排ガス流量の測定値を活用した技術がこれまでに提案されている。特許文献1には、吹錬中の排ガス組成や流量、酸素ガス流量、副原料投入量及び溶銑成分から酸素バランスを逐次計算することにより求められる蓄積酸素量に基づき、転炉内のFeO生成量を推定し、その推定したFeO量に応じて、上吹きランス高さ、酸素ガス流量及び底吹きガス流量のうち少なくともいずれか一つを調整して、処理後のりん濃度を低減する過程を含む、高炭素極低りん鋼の溶製方法が開示されている。
また、吹錬中のスラグ中のFeO含有量の挙動が脱りん反応に及ぼす影響が大きいことに着目した技術として、特許文献2には、吹錬中のスラグ中のFeO含有量が30mass%以上になったときに、底吹き羽口からの攪拌ガス流量を増加させてスラグ−メタル間の攪拌を強化する溶銑の脱りん方法が開示されている。
特開2006−206930号公報 特許第4779388号公報
式(1)に脱りん反応式を示す。以下において、「(物質X)」はスラグ内の物質Xを示し、「[物質Y]」は溶銑内の物質Yを示す。式(1)に示したように、脱りん反応を促進させるためにはスラグ中CaO濃度及びスラグ中FeO濃度を高める必要がある。特許文献1及び特許文献2に開示されている方法は、何れも、脱りん反応式の左辺の(FeO)に着目した方法である。
そして、上記の脱りん反応速度を評価する場合には、相対的な値であるスラグ中FeO濃度[mass%又はmol%]が用いられる。
特許文献1では、絶対値である転炉内のFeO生成量[kg]を基準として、各種操作量を調整する方法が提案されている。しかしながら、実際の溶銑脱りん吹錬では、チャージ毎に初期溶銑Si成分や投入生石灰量(CaO)が変化するため、スラグ量もチャージ毎に異なる。また、同一チャージの吹錬中であっても、脱珪反応の進行等によって時々刻々スラグ量は変化する。また同じFeO生成量[kg]であってもスラグ量が異なればスラグ中のFeO濃度は異なる。以上より、転炉内のFeO生成量[kg]を基準とした特許文献1の方法では操作量を適切に調整できない可能性があり、特許文献1の方法に基づいた高炭素極低りん鋼溶製の実現には疑問が残る。
一方、特許文献2では、底吹きガス流量の操作の基準としてスラグ中FeO濃度(30mass%)が用いられている。しかしながら、特許文献2には、吹錬中のスラグ中FeO濃度の具体的な算出方法に関する記載がない。
そこで本発明は、転炉を用いた溶銑脱りんにおいて、吹錬中のスラグ中FeO濃度を精度良く推定し、推定したスラグ中FeO濃度を用いて、りん濃度を目標りん濃度に精度良く的中させることが可能な、溶銑脱りん方法を提供することを課題とする。
一般に、式(1)で示した脱りん反応はスラグメタル界面で生じ、このスラグメタル界面反応を表現するモデル(競合反応モデル)が「S.Ohguchi et.al:‘Simultaneous dephosphorisation and desulphurization of molten pig iron’、Ironmaking and Steelmaking、11(1984)、p.41」に提案されている(以下において、当該文献を「非特許文献」ということがある。)。しかし、このモデルは、スラグメタル界面反応のみに注目しており、火点反応が考慮されていない。そのため、転炉を用いた溶銑脱りん吹錬にはそのまま適用できない。そこで、本発明者らは、火点反応での(SiO)生成及び(FeO)生成を表現する計算処理と、競合反応モデルをベースとしたスラグメタル界面反応を表現する計算処理とを統合して、吹錬中のスラグ中FeO濃度を逐次推定することにより、吹錬中のスラグ中FeO濃度を精度良く推定することが可能になることを知見した。さらに、排ガス情報を活用することにより、火点反応における(FeO)生成の予測精度を高めることが可能になることを知見した。本発明は、このような知見に基づいて完成させた。以下、本発明について説明する。
本発明は、転炉を用いた溶銑脱りん吹錬における溶銑の脱りんを行う方法であって、溶銑条件のデータ及び副原料のデータを含む溶銑脱りん吹錬の操業データを収集するデータ収集工程と、転炉から排出される排ガスの排ガス成分データ及び排ガス流量データ、並びに、データ収集工程で収集した溶銑脱りん吹錬の操業データ、を用いて火点反応の演算を行う火点反応演算工程と、該火点反応工程で算出されたデータを用いてスラグメタル界面反応の演算を行うことにより、吹錬中のスラグ中FeO濃度を逐次推定するスラグメタル界面反応演算工程と、を有する、溶銑脱りん方法である。
ここに、本発明において、「溶銑条件のデータ」とは、溶銑脱りん吹錬に供される溶銑に関するデータをいい、具体的には、例えば、溶銑重量、溶銑成分(C、Si、Mn、P等)、溶銑温度、溶銑率等のデータが含まれ得る。
以下の本発明の説明において、濃度に関する「%」の表示は、特に断りがある場合を除いて「mass%」の意味で用いる。
また、上記本発明において、上記スラグメタル界面反応演算工程で火点領域以外の溶銑Si濃度が推定され、推定された上記溶銑Si濃度が0.02%に到達した時点における上記スラグ中FeO濃度が20%以下の場合に、送酸速度の減少、ランス高さの上昇、及び、酸素含有副原料の投入、からなる群より選択された何れかを行う、脱りん促進処理工程を有することが好ましい。
また、上記本発明において、スラグメタル界面反応演算工程で推定されたスラグ中FeO濃度が50%以上の場合に、送酸速度の増加、ランス高さの下降、及び、鎮静剤の投入、からなる群より選択された何れかを行う、スロッピング抑制処理工程を有することが好ましい。
本発明によれば、転炉を用いた溶銑脱りんにおいて、吹錬中のスラグ中FeO濃度を精度良く推定し、推定したスラグ中FeO濃度を用いて、りん濃度を目標りん濃度に精度良く的中させることが可能な、溶銑脱りん方法を提供することができる。
本発明の溶銑脱りん方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 本発明におけるスラグ中FeO濃度の推定方法例の概要を説明する図である。 本発明の溶銑脱りん方法を実施可能なシステム構成例を説明する図である。 実施例におけるりん濃度の推定結果(計算値)及び実測値を示す図である。 実施例におけるスラグ中FeO濃度の推定結果(計算値)及び実測値を示す図である。 比較例におけるりん濃度の推定結果(計算値)及び実測値を示す図である。 比較例におけるスラグ中FeO濃度の推定結果(計算値)及び実測値を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明は本発明の例示であり、本発明は以下に説明する形態に限定されない。
図1は、本発明の溶銑脱りん方法の一実施形態を説明するフローチャートである。図1に示した本発明は、データ収集工程(STEP1)と、火点反応演算工程(STEP2)と、スラグメタル界面反応演算工程(STEP3)と、スラグ中FeO濃度が20%以下であるか否かを判断する工程(STEP4)と、脱りん促進処理工程(STEP5)と、スラグ中FeO濃度が50%以上であるか否かを判断する工程(STEP6)と、スロッピング抑制処理工程(STEP7)と、吹錬が終了しているか否かを判断する工程(STEP8)と、を有している。
<データ収集工程(STEP1)>
データ収集工程(STEP1)は、溶銑条件のデータ及び副原料のデータを含む溶銑脱りん吹錬の操業データを収集する工程である。STEP1で収集される溶銑条件のデータは、溶銑重量、溶銑成分(C、Si、Mn、P等)、溶銑温度、及び、溶銑率である。また、STEP1で収集される副原料のデータには、溶銑脱りん吹錬時に転炉内へと投入される副原料の成分及び重量が含まれる。
<火点反応演算工程(STEP2)>
火点反応演算工程(STEP2)は、転炉から排出される排ガスの、成分及び流量のデータ、並びに、STEP1で収集した溶銑脱りん吹錬の操業データ、を用いて、火点反応の演算を行う工程である。図1に示した本発明では、STEP2の結果を用いる後述するスラグメタル界面反応演算工程(STEP3)により、転炉を用いた溶銑脱りん吹錬中のスラグ中FeO濃度(以下において、単に「スラグ中FeO濃度」ということがある。)を逐次推定する。
本発明における、スラグ中FeO濃度の推定方法例の概要を、図2に示す。図2に例示したように、本発明では、スラグ中FeO濃度を推定する際に、火点反応を扱う計算処理、及び、競合反応モデルに基づくスラグメタル界面反応を扱う計算処理を行う。図1に示した本発明では、火点反応を扱う計算処理がSTEP2に相当し、競合反応モデルに基づくスラグメタル界面反応を扱う計算処理が後述するSTEP3に相当する。
STEP2で扱う火点反応について説明する。火点では、メタル含有成分の反応として[Si]、[C]、及び、[Fe]の酸化反応が発生すると仮定する。そして、各メタル含有成分の物質収支を式(2)〜(4)のように表す。
ここで、[Si]、[C]、及び、[Fe]は火点領域におけるメタル含有成分[%]、[Si]、[C]、及び、[Fe]は火点領域以外におけるメタル含有成分[%]、kSiは脱珪反応速度定数[%/s]、ΔCは排ガス情報から求めた脱炭速度[%/s]、ΔFeは排ガス情報から求めた鉄の酸化速度[%/s]、Vは火点領域のメタル体積[m]、Qは還流量[m/s]である。
排ガス情報から求めた脱炭速度(ΔC)は、排ガス流量及び排ガス成分の測定データを用いて、式(5)から算出する。
ここで、Qoffgasは排ガス流量[m/h(NTP)]、COは排ガス中のCO濃度[%]、COは排ガス中のCO濃度[%]、Wは火点領域の重量[ton]である。
排ガス情報から求めた鉄の酸化速度(ΔFe)は、炉外から炉内へと供給された酸素(FO)から脱炭反応と脱珪反応に消費された酸素を差し引いた酸素を用いて、式(6)で表す。
ここで、FOは炉内供給酸素[m/h(NTP)]である。
さらに、上記の火点における(SiO)の生成速度と(FeO)の生成速度を、式(2)及び式(4)を用いて、それぞれ、式(7)及び式(8)で表す。
ここで、(SiO及び(FeO)は火点域で生成したスラグ含有成分[%]、Wはスラグ重量[ton]である。
また、火点領域の熱収支式は、火点反応で生じる各反応熱を考慮して、式(9)のように表す。
ここで、cpfは火点領域の比熱[kcal/(kg・℃)]、Hreac,fは火点領域の反応熱[kcal/s]、RQは還流による熱流入[kcal/s]、RQは還流による熱流出[kcal/s]である。
以上の定式化により、火点における酸化反応によるメタル含有成分の挙動ならびにスラグへ供給される酸化物((SiO)と(FeO))の挙動を表現できる。STEP2では、上記式(2)〜(9)の計算が行われる。
<スラグメタル界面反応演算工程(STEP3)>
スラグメタル界面反応演算工程(STEP3)は、STEP2で算出されたデータを用いてスラグメタル界面反応の演算を行うことにより、吹錬中のスラグ中FeO濃度を逐次推定する工程である。STEP3で扱うスラグメタル界面反応について、以下に説明する。
スラグメタル界面における反応は、スラグメタル界面濃度とメタルバルク濃度との差を推進力とする物質移動によって生じると考えられる。メタル含有成分i([X])の物質収支式を式(10)で表す。
ここで、[X]はメタルバルクの含有成分i[%]であり、[X]={[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[Fe]}とする。ここで、「メタルバルク」とは火点領域以外の領域を表し、火点領域以外の溶銑Si濃度は式(10)より算出される。また、[X ]はスラグメタル界面における含有成分iの平衡濃度[%]、Vは火点領域以外のメタル体積[m]、Aはスラグメタル界面の面積[m]、Kは含有成分iの物質移動係数[m/s]、[Xi,f]は火点領域における含有成分iの濃度[%]、WXi,SUBは副原料投入による含有成分iの増加を考慮した含有成分iの投入項[%/s]である。
上記非特許文献に記載されているように、式(10)のスラグメタル界面における含有成分iの平衡濃度([X ])は、界面酸素濃度aoを用いて表される。界面酸素濃度aoは、スラグメタル界面における酸素収支式より算出する。
このとき、スラグ成分の物質収支もメタル含有成分と同様に、物質移動律速に基づいた考え方で式(11)のように表現できる。
ここで、(XO)はスラグ含有成分jの濃度[%]であり、(XO)={(CaO)、(SiO)、(FeO)、(MgO)、(P)、(Al)}とする。また、(XO )はスラグメタル界面におけるスラグ含有成分jの平衡濃度[%]、Vはスラグ体積[m]、Kはスラグ含有成分jの物質移動係数[m/s]、WXOj,SUBは副原料投入によるスラグ含有成分jの増加を考慮したスラグ含有成分jの投入項[%/s]である。
ただし、(SiO)に関しては、右辺最終項に、上記式(7)で表される火点反応における(SiO)の生成速度を追加した式(12)で表し、(FeO)に関しては、右辺最終項に、上記式(8)で表される火点反応における(FeO)の生成速度を追加した式(13)で表す。この処理により、火点反応で生成した(SiO)と(FeO)がスラグ領域へ流入する現象を表現できる。
次に、スラグメタル界面反応を構成するメタル領域及びスラグ領域における熱収支式を、それぞれ式(14)(15)で表す。
ここで、Wは火点領域以外の重量[ton]、cpは火点領域以外の比熱[kcal/(kg・℃)]、Hreacはスラグメタル界面の反応熱[kcal/s]、RQ’は火点領域から火点領域以外の領域への還流による熱流入[kcal/s]、RQ’は火点領域以外の領域からの還流による熱流出[kcal/s]、QSUBは副原料溶解による抜熱量[kcal/s]である。
ここで、cpはスラグ領域の比熱[kcal/(kg・℃)]、Hreac,Sはスラグメタル界面の反応熱[kcal/s]、RQはスラグ表面からの抜熱量[kcal/s]である。
STEP3では、上記式(10)〜(15)の計算が行われる。
以上の式(2)〜(15)の計算を行うSTEP2及びSTEP3によって、吹錬中のスラグ中(FeO)濃度を逐次推定できるようになる。
<スラグ中FeO濃度が20%以下であるか否かを判断する工程(STEP4)>
スラグ中FeO濃度が20%以下であるか否かを判断する工程(STEP4)は、STEP3で推定された火点領域以外の溶銑Si濃度推定値が0.02%に到達した時点における、スラグ中(FeO)濃度が20%以下であるか否かを判断する工程である。STEP4で肯定判断がなされた場合(スラグ中(FeO)濃度が20%以下である場合)、処理はSTEP5へと送られる。これに対し、STEP4で否定判断がなされた場合(スラグ中(FeO)濃度が20%よりも高い場合)、処理はSTEP6へと送られる。
<脱りん促進処理工程(STEP5)>
脱りん促進処理工程(STEP5)は、STEP4で肯定判断がなされた場合、すなわち、STEP3で推定された火点領域以外の溶銑Si濃度推定値が0.02%に到達した時点における、スラグ中(FeO)濃度が20%以下の場合に、送酸速度の減少、ランス高さの上昇、及び、酸素含有副原料の投入、からなる群より選択された何れか(1又は2以上)を行う工程である。
換言すれば、STEP5は、STEP3で推定されたスラグ中(FeO)濃度を用いて、目標りん濃度への的中精度を向上させることを目的に行われる工程である。
本発明者らによる過去の操業データの調査の結果、吹錬初期のスラグ中(FeO)濃度を高位に保つことが、低位安定した脱りんには有効であることがわかった。そして、火点領域以外の溶銑Si濃度推定値が0.02%に到達した時点におけるスラグ中(FeO)濃度推定値が20%以下と低位にある場合には、目標りん濃度に応じて例えば表1に示すような操作を行うことにより、りん濃度を目標りん濃度以下へと高精度に制御できる。
<スラグ中FeO濃度が50%以上であるか否かを判断する工程(STEP6)>
スラグ中FeO濃度が50%以上であるか否かを判断する工程(STEP6)は、STEP3で推定されたスラグ中(FeO)濃度が50%以上であるか否かを判断する工程である。STEP6で肯定判断がなされた場合(STEP3で推定されたスラグ中(FeO)濃度が50%以上である場合)、処理はSTEP7へと進められる。これに対し、STEP6で否定判断がなされた場合(STEP3で推定されたスラグ中(FeO)濃度が50%未満である場合)、処理はSTEP8へと進められる。
<スロッピング抑制処理工程(STEP7)>
スロッピング抑制処理工程(STEP7)は、STEP6で肯定判断がなされた場合、すなわち、STEP3で推定されたスラグ中(FeO)濃度が50%以上の場合に、送酸速度の増加、ランス高さの下降、及び、鎮静剤の投入、からなる群より選択された何れか(1又は2以上)を行う工程である。
実際の転炉を用いた溶銑脱りん吹錬では、炉内のスラグが炉外へ噴出するスロッピングを抑制することが望ましい。大きなスロッピングが発生すると緊急停止等の生産性低下を引き起こすこともある。スロッピングの発生原因のひとつとして、一般に、高いスラグ中(FeO)濃度が挙げられる。そこで、STEP7では、STEP3で推定された吹錬中のスラグ中(FeO)濃度推定値が50%以上となる場合に、表2に示すような操作を行う。これにより、スラグ中(FeO)濃度推定値を50%よりも低位に保つことが可能となり、その結果、スロッピングを抑制することができる。
<吹錬が終了しているか否かを判断する工程(STEP8)>
吹錬が終了しているか否かを判断する工程(STEP8)では、吹錬が終了しているか否かが判断される。STEP8で否定判断がなされた場合(吹錬が終了していない場合)にはSTEP2に戻り、STEP8で肯定判断がなされるまで、STEP2〜STEP8の処理が繰り返される。これに対し、STEP8で肯定判断がなされた場合(吹錬が終了している場合)には、計算を終了する。
上記形態の本発明によれば、転炉を用いた溶銑脱りん吹錬においてスラグ中(FeO)濃度を高精度で推定し、この推定値に基づいて吹錬中の送酸速度やランス高さ等を調整することにより、スロッピングを抑制しつつりん濃度を目標値に精度良く的中させることができる。
図3は、本発明の溶銑脱りん方法を実施可能な、溶銑脱りんシステムの構成例を説明する図である。図3に示した溶銑脱りんシステム10において、溶銑・副原料データ1は、チャージ毎の溶銑重量、溶銑成分(C、Si、Mn、P等)、溶銑温度、溶銑率等の溶銑条件と吹錬中に投入された副原料等のデータである。パラメータ2では、脱珪速度定数や物質移動係数のパラメータを設定する。目標データ3は、チャージ毎の溶銑脱りんにおける目標りん濃度のデータである。火点反応演算部4では、上記STEP2が行われる。具体的には、排ガス情報(排ガス流量、排ガス成分)を用いて式(2)〜(9)に基づいて火点における[C]、[Si]、[Fe]の推定計算、及び、(SiO)の生成速度及び(FeO)の生成速度の計算が行われる。スラグメタル界面反応演算部5では、上記STEP3が行われる。具体的には、式(10)〜(15)に基づき火点反応演算部4で算出した(SiO)の生成速度と(FeO)の生成速度を活用して、競合反応モデルに基づくスラグメタル界面反応を表現する計算を行うことにより、スラグ中(FeO)濃度を推定する。さらに、火点領域以外の領域であるメタルバルクにおける含有成分の変化を表す式(10)により、火点領域以外の溶銑Si濃度を推定する。また、脱りん促進処理演算部6では、上記STEP5が行われる。具体的には、スラグメタル界面反応演算部5で算出したスラグ中(FeO)濃度に基づいて、例えば表1にしたがって決定された操作を行う。また、スロッピング抑制処理演算部7では、上記STEP7が行われる。具体的には、スラグメタル界面反応演算部5で算出したスラグ中(FeO)濃度に基づいて、例えば表2にしたがって決定された操作を行う。スラグメタル界面反応演算部5、脱りん促進処理演算部6、及び、スロッピング抑制処理演算部7の演算結果は、入出力部8に表示される。このように構成される溶銑脱りんシステム10を用いることにより、転炉を用いた溶銑脱りん吹錬中のスラグ中FeO濃度を精度良く推定し、推定したスラグ中FeO濃度を用いて、りん濃度を目標りん濃度に精度良く的中させることが可能になる。
本発明に関する上記説明では、脱りん促進処理工程(STEP5)及びスロッピング抑制処理工程(STEP7)を有する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、脱りん促進処理工程又はスロッピング抑制処理工程を有しない形態とすることも可能であるほか、脱りん促進処理工程及びスロッピング抑制処理工程の両方を有しない形態とすることも可能である。ただし、目標りん濃度への的中精度を向上させやすい形態にする観点から、本発明は、脱りん促進処理工程を有する形態とすることが好ましい。また、スロッピングを抑制しやすい形態にする観点から、本発明は、スロッピング抑制処理工程を有する形態とすることが好ましい。
表3に条件を示した溶銑へ、表4に示した副原料を投入しながら溶銑脱りん吹錬を行った。この溶銑脱りん吹錬中に、本発明の溶銑脱りん方法(実施例)、及び、火点反応を考慮しない従来の競合反応モデル(比較例)のそれぞれを用いて、スラグ中FeO濃度及びりん濃度を推定した。実施例におけるりん濃度の推定結果(計算値)及び実測値を図4Aに、実施例におけるスラグ中FeO濃度の推定結果(計算値)及び実測値を図4Bに、比較例におけるりん濃度の推定結果(計算値)及び実測値を図5Aに、比較例におけるスラグ中FeO濃度の推定結果(計算値)及び実測値を図5Bに、それぞれ示す。
図4B及び図5Bに示したように、実施例では、スラグ中FeO濃度を、比較例よりも高精度に推定できた。その結果、図4A及び図5Aに示したように、実施例では、りん濃度を、比較例よりも高精度に推定できた。
以上より、本発明によれば、吹錬中のスラグ中FeO濃度を精度良く推定することが可能なので、推定したスラグ中FeO濃度を用いて、りん濃度を目標りん濃度に精度良く的中させることが可能であることが分かった。
1…溶銑・副原料データ
2…パラメータ
3…目標データ
4…火点反応演算部
5…スラグメタル界面反応演算部
6…脱りん促進処理演算部
7…スロッピング抑制処理演算部
8…入出力部
10…溶銑脱りんシステム

Claims (3)

  1. 転炉を用いた溶銑脱りん吹錬における溶銑の脱りんを行う方法であって、
    溶銑条件のデータ及び副原料のデータを含む溶銑脱りん吹錬の操業データを収集する、データ収集工程と、
    前記転炉から排出される排ガスの排ガス成分データ及び排ガス流量データ、並びに、前記データ収集工程で収集した前記溶銑脱りん吹錬の操業データ、を用いて火点反応の演算を行う、火点反応演算工程と、
    前記火点反応工程で算出されたデータを用いてスラグメタル界面反応の演算を行うことにより、吹錬中のスラグ中FeO濃度を逐次推定する、スラグメタル界面反応演算工程と、
    を有する、溶銑脱りん方法。
  2. 前記スラグメタル界面反応演算工程で火点領域以外の溶銑Si濃度が推定され、推定された前記溶銑Si濃度が0.02%に到達した時点で前記スラグ中FeO濃度が20%以下の場合に、送酸速度の減少、ランス高さの上昇、及び、酸素含有副原料の投入、からなる群より選択された何れかを行う、脱りん促進処理工程を有する、請求項1に記載の溶銑脱りん方法。
  3. 前記スラグメタル界面反応演算工程で推定された前記スラグ中FeO濃度が50%以上の場合に、送酸速度の増加、ランス高さの下降、及び、鎮静剤の投入、からなる群より選択された何れかを行う、スロッピング抑制処理工程を有する、請求項1又は2に記載の溶銑脱りん方法。
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