JP5768721B2 - 溶銑の脱燐吹錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉で溶銑を予備脱燐処理する脱燐吹錬の際に取鍋スラグを使用し、その使用原単位を高めることによって副原料使用コストを低減すると共に、取鍋スラグ投棄量を削減しスラグ処理コストをも低減することができる、溶銑の脱燐吹錬方法に関する。
製鋼工程で発生するスラグには脱燐スラグ、脱炭スラグ、取鍋スラグ等があり、従来はそのいずれもが埋め立て投棄処理や路盤材原料として処理されてきた。しかし近年、埋め立て投棄場所の確保が難しい上に投棄費用は増加傾向にあるため、発生したスラグの再利用方法の確立が求められている。
これまで取鍋スラグ再利用方法として、特許文献1には転炉型反応容器で脱硅・脱硫を行う工程において、二次精錬スラグと脱硫剤を添加する方法、特許文献2には取鍋スラグを熱間で脱炭炉に装入し、脱硫剤の一部として再利用する方法、特許文献3には発生した含燐量の少ない取鍋スラグを脱燐精錬工程で脱燐剤の一部として使用し、リサイクル使用することで投棄量を抑制する方法、特許文献4には還元スラグから硫黄分を低減することで、還元スラグの石灰分を造滓材として有効利用する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献2および特許文献3に記載された方法においては、使用する取鍋スラグのCaO、Al成分は規制されているものの、S成分に関する制約は設定されていない。しかし、実際に発生する取鍋スラグには必ずS成分が含まれており、使用量およびS濃度によっては、脱燐吹錬後の溶銑中S濃度(終点[S])が操業管理範囲以上に上昇してしまう恐れがある。また、この問題に対処する方法として、特許文献1に記載されたように脱硫剤を同時に使用する方法や、特許文献4に記載されたような事前脱硫処理を行う方法があるが、いずれも余分なコストが発生してしまい再利用した際のコストメリットが低下してしまう。
つまり、S成分を含有した取鍋スラグを脱燐吹錬へ使用するにあたり、終点[S]値を必要な所定濃度以下にコントロールすることを意識した上で、なおかつ、スラグを再利用するコストメリットを享受することは、公知の発明だけでは困難である。
特開2001−294924号公報 特開2009−221560号公報 特開平8−53705号公報 特開2008−163391号公報
本発明は、取鍋精錬で発生する取鍋スラグを溶銑の脱燐吹錬時に使用し、その使用原単位を高めることによって副原料使用コストを低減すると共に、取鍋スラグ投棄量を削減しスラグ処理コストをも低減することができる技術を確立することを課題とする。但し、同時に、取鍋スラグ使用量を増やしながらも所定の終点[S]以下に溶銑中S成分をコントロールできることが課題となる。
取鍋精錬で発生した取鍋スラグの投棄量を削減する手段として、転炉で溶銑予備脱燐処理する脱燐吹錬の際に取鍋スラグを使用する方法を考える。取鍋スラグには脱燐処理用副原料の成分として有効なCaOが多く含まれているほか、溶銑脱燐処理において滓化促進作用を有するAlが含まれているので、取鍋スラグを適切に使用すれば生石灰や蛍石等の副原料使用量を低減または削除することも併せて期待されるからである。
しかし、一方、取鍋スラグには少なからずS成分が含まれているため、何も制約無しに使用すると脱燐吹錬終了時点での溶銑中S濃度の上昇が懸念される。そこで、取鍋スラグ組成に応じて使用する取鍋スラグ量を調整することによって、取鍋スラグ中のS成分が脱燐吹錬終了時点での溶銑中S濃度に及ぼす影響をコントロールし、取鍋スラグの使用量を増加させることを着想した。
先ず脱燐吹錬時に使用可能な取鍋スラグ量は、以下の(i)式〜(iii)式を用いることで、(iv)式により算出できると考える。なお、本明細書の記載において、各種成分の含有率や濃度を表す単位(%)は、全て質量%の意味で用いる。
(i)式はSの物質バランス式であり、取鍋スラグ中Sおよび装入溶銑中SをインプットS、脱炭吹錬後スラグ中Sおよび脱燐吹錬後溶銑中SをアウトプットSとしたものである。
(ii)式は80t転炉での脱燐吹錬における装入塩基度(CaO質量/SiO質量):Vと脱燐吹錬終了時のスラグと溶銑間のS分配比(スラグ中S質量濃度/溶銑中S質量濃度):Zとの関係を調査した結果(図1)から、調査したV=1.0〜2.5の範囲で、Zの最小値をVの一次関数として定めたものである。
装入塩基度Vは、脱燐吹錬に用いるCaO成分含有副原料、SiO成分含有副原料と、装入溶銑中のSi濃度に基づいて、(iii)式により計算する。
CaO含有副原料iには、生石灰、石灰石、ドロマイト等の天然鉱物起源の副原料のほか、転炉スラグや取鍋スラグ等の製鋼精錬時の副生成物が例示される。また、SiO含有副原料iには、珪砂やかんらん岩等の天然鉱物起源の副原料のほか、CaO含有副原料iと同じ転炉スラグや取鍋スラグ等の製鋼精錬時の副生成物も例示される。各種スラグには、CaOもSiOも含まれていることが多いからである。
副原料には天然鉱物起源のものを用いると、そのCaOやSiO濃度のバラツキが小さいために、装入塩基度の計算精度を高めることができるので好ましい。しかし、その選択は操業の実情に応じて通常行われているもので、本発明の実施においてそれらの原料の使用に限定される必要は無い。
(ii)式と(iii)式を(i)式に代入することにより、取鍋スラグ使用可能量Yを計算する(iv)式が導き出される。
Y=(SZ/X)M+1000(S−S)/X・・・・・(i)
S:脱燐吹錬終了時の溶銑中目標S濃度(%)
:装入溶銑中S濃度(%)
M:脱燐吹錬終了時の溶銑1トン当たりスラグ量(kg/t)
X:取鍋スラグのS濃度(%)
Y:溶銑1トン当たりの取鍋スラグ使用量(kg/t)
Z:脱燐吹錬終了時のS分配比(スラグ中S質量濃度/溶銑中S質量濃度)(−)
Z=3.5V−3.7 (1.0≦V≦2.5)・・・・・(ii)
V:装入塩基度(CaO質量/SiO質量)
V=Σa/(Σb+21.4(Si−0.01)・W)・・・・(iii)
:脱燐吹錬時のCaO成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのCaO含有率(%)
:脱燐吹錬時のSiO成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのSiO含有率(%)
Si:装入溶銑中Si濃度(%)
W:装入溶銑量(t)
Y={S(3.5V−3.7)/X}M+1000(S−S)/X・・・・・(iv)
は溶銑成分で決定され、Xは使用する取鍋スラグ組成により決定され、Sは溶製する材質規格および操業基準により決定されるため、取鍋スラグ使用原単位Yは脱燐吹錬時のスラグ量Mと装入塩基度Vにより決定することが出来ると考えられる。
(iv)式は、Sの物質バランスを表す(i)式に、S分配比に関する装入塩基度の効果の最小値を表す(ii)式を代入した実験式であるため、今回実験的に調査した条件の範囲内において(iv)式によりMとVとを調整してYを定めれば、溶製する材質規格から定められる脱燐吹錬後の溶銑中S濃度の上限濃度以下に、安定して収めることができることになる。
但し、(iv)式には取鍋スラグ使用量が右辺にも使用副原料の一つとして含まれているので、実際に使用するYの値を脱燐吹錬開始前に決定するためには、試行錯誤による繰り返し計算が必要になる。
本発明は、なるべく多くの取鍋スラグを脱燐吹錬に使用して、使用副原料コストを低減すると共に取鍋スラグの投棄量を減少させることが目的であるから、その目的達成のためには(iv)式に合致するまで繰り返し計算してYを決定することが最も効果的ではある。しかし、実際的には(iv)式での計算値に近づけるべく、(iv)式の1/2以上の取鍋スラグ量を用いることによって、前記した本発明の目的達成のための取鍋スラグ使用量増加効果をあげることができる。
また、このような本発明の特徴は、実施例で示すように取鍋スラグのS濃度(X)が0.3%以上等と高い場合に、特に有効に発揮される。
このような知見にもとづいて完成された本発明は次の通りである。
(1)転炉内の溶銑に取鍋スラグを供給して上吹きランスから酸素を吹き付けて予備脱燐処理を行う溶銑の脱燐吹錬方法であって、該転炉内に供給する取鍋スラグの量(R)を、該取鍋スラグの量(R)が溶銑1トン当たり下記の(1)式の範囲に収まるように、装入塩基度(V)と脱燐吹錬時の炉内スラグ生成予測量(M)とが下記の(2)式の範囲内において調整することを特徴とする、溶銑の脱燐吹錬方法。
0.5[{S(3.5V−3.7)/X}M+1000(S−S)X]≦R≦{S(3.5V−3.7)/X}M+1000(S−S)X ・・・・・ (1)
1.0≦V≦2.5、10≦M≦40 ・・・・・ (2)
ここで、S:装入溶銑中のS濃度(%)、
S:脱燐吹錬終了時の溶銑中目標S濃度(%)、
X:取鍋スラグ中のS濃度(%)、
V:装入塩基度(CaO質量/SiO質量)、
M:脱燐吹錬終了時の炉内スラグ生成予測量(kg/溶銑t)
(2)前記Xが0.3%以上である、上記(1)に記載の脱燐吹錬方法。
本発明により、S成分を有する取鍋スラグを転炉で溶銑予備脱燐処理する脱燐吹錬に使用することができ、その使用量を増やすことによって副原料使用コストを低減すると共に、取鍋スラグ投棄量を削減しスラグ処理コストをも低減することができるようになった。
さらに、本発明によって、取鍋スラグ組成に応じて取鍋スラグの使用量を他の副原料使用量等と共に調整し、取鍋スラグ使用量を増やしながらも脱燐吹錬終了時の溶銑中S濃度を所定の数値以下にコントロールすることが可能になった。
装入塩基度とS分配比との関係の調査結果を示すグラフである。 脱燐吹錬における処理後スラグ中の酸化鉄濃度とMn酸化物濃度の調査結果を示すグラフである。 取鍋スラグ使用原単位と脱燐吹錬終了時の溶銑中S濃度(終点[S])の関係を示すグラフである。
転炉に溶銑を装入して上吹きランスから酸素を吹き付け、その酸素吹付け終了時に溶銑中C濃度を3.5〜4.0質量%、P濃度を0.030質量%以下等に低減する溶銑予備脱燐処理時の脱燐吹錬において、脱燐吹錬後に所定の溶銑中S濃度以下に収められる範囲内で、取鍋スラグを副原料の一つとして極力多く使用する。
この脱燐吹錬後の所定の溶銑中S濃度は、当該溶銑の向先製品の成分規格並びに脱燐吹錬後の脱炭吹錬及び取鍋精錬予定等から、脱燐吹錬開始前に定めておく。
また、脱燐吹錬に供する溶銑の成分に関しては、本発明に係る取鍋スラグ使用量の範囲を表す(1)式の要件を満たすことができる成分であること以外に必須の要件は無いのであるが、通常はその溶銑中S濃度の数値を上記所定の脱燐吹錬後の溶銑中S濃度の数値以下になるように、溶銑予備脱硫処理を施しておくことが望ましい。そのように溶銑中S濃度を低減しておかないと、実際使用可能な取鍋スラグ量が少量に限られてしまうからである。
実際に転炉内へ供給する取鍋スラグ使用量(R)は、所定の脱燐吹錬後の溶銑中S濃度や装入する溶銑中S濃度に応じて、脱燐吹錬時のスラグ生成予測量(M)と装入塩基度(V)が適当な範囲内で、前記(1)式に合うように調整して決定する。
この装入塩基度(V)は、脱燐吹錬に供する溶銑のSi含有質量と、使用予定の取鍋スラグ及び他の副原料に含まれているCaO及びSiO質量とから、脱燐吹錬開始前に算出する。したがって、使用溶銑のほか、使用予定の取鍋スラグ及び他の副原料の組成を予め分析して承知しておかなければならない。
この装入塩基度(V)は1.0〜2.5の範囲内にする必要がある。装入塩基度(V)が1.0未満では、脱P能の低下や脱燐吹錬末期にスロッピングが生じやすくなるほか、転炉耐火物の溶損が激しくなってしまうからである。また、装入塩基度(V)が2.5を超える条件では、CaO使用量が多くなり副原料コストが高くなってしまうからである。
脱燐吹錬後のスラグ生成予測量(M)は、脱燐吹錬時に炉内に投入する予定の取鍋スラグ及び他の副原料の合計質量と、脱燐吹錬時に溶銑が酸化されて生成するスラグ成分の予想質量との合算値であって、脱燐吹錬開始前又は脱燐吹錬開始後2分以内に算出する。この予測量Mは取鍋スラグの使用量に影響するので、その算出が遅くなると取鍋スラグの炉内への投入が間に合わなくなるおそれがあるからである。
この算出は、例えば(v)式を用いて行うことができる。なお、脱燐吹錬後のスラグ生成予測量(M)は、この(v)式以外であっても当業者にとって自明な他の手段で予測してもよく、本発明はこの(v)式を用いることには限定されない。但し、Mは溶銑トン当たり10kg〜40kgが適当である。10kg/溶銑t未満ではスピッティングが多くなるし、40kg/溶銑tを超えるとスロッピングが多くなって、共に操業阻害要因になるほか鉄歩留まりが低下してしまうからである。
(v)式の右辺では、CaO含有副原料やSiO含有副原料等の使用副原料の合計質量に、溶銑中SiとTiとがそれぞれ0.01%を残して全てSiOとTiOになると仮定した場合の質量を合算し、その総合算値を酸化鉄生成予測値およびMn酸化物生成予測値を用いてそのスラグ量への影響を補正している。
スラグ中酸化鉄濃度とMn酸化物濃度の生成予測値は溶銑の成分分析値から予測することが困難なため、図2に示す実績調査に基づく平均値としてFeO=11.5%、MnO=6.5%を代入することで定めた。
M={Σa+(Σb+21.4(Si−0.01)W)+Σc+Σd+Σe+(Σf+16.7(Ti−0.01)W)}/0.82
・・・・・(v)
:脱炭吹錬時のCaO成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのCaO含有率(%)
:脱炭吹錬時のSiO成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのSiO含有率(%)
:脱炭吹錬時のMgO成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのMgO含有率(%)
:脱炭吹錬時のAl成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのAl含有率(%)
:脱炭吹錬時のCaF成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのCaF含有率(%)
:脱炭吹錬時のTiO成分を含有する副原料iの炉内投入量(kg)
:副原料iのTiO含有率(%)
Si:装入溶銑中のSi濃度(%)
Ti:装入溶銑中のTi濃度(%)
Mn:装入溶銑中のMn濃度(%)
W:装入溶銑量(t)
取鍋スラグ使用量(Y)を計算する(iv)式は、前述したように、Sの物質バランスを表す(i)式に、S分配比に関する装入塩基度の効果の最小値を表す(ii)式を代入した実験式である。したがって、使用予定の溶銑成分分析値(Si,S)、脱燐吹錬後の所定の溶銑中S濃度(S)、使用予定の取鍋スラグ中S濃度(X)、並びに10≦M≦40、かつ1.0≦V≦2.5となる範囲で、使用予定の取鍋スラグの量(Y')及び使用予定の他の副原料の量を(iii)式及び(v)式に代入してMとVとを算出し、その算出したMとVとを(iv)式の右辺に代入してYの値を得ているために、そのとき得られる値(Y)は、その組合せ条件(Si、S0、S、X、V、M)において、安定して使用することができる取鍋スラグ量の最大値である。
但し、前述したように、(iv)式の右辺中には取鍋スラグの使用予定量(Y')が含まれていて、取鍋スラグの使用予定量(Y')が取鍋スラグ使用量(Y)に合致するとは限らない。
もし、先に(iii)式及び(v)式に代入した取鍋スラグ使用予定量(Y')がYよりも多い場合には、取鍋スラグ使用予定量(Y')を少し減らして、上記と同様な確認を行う。
一方、先に(iii)式及び(v)式に代入した取鍋スラグ使用予定量(Y')がYよりも少ない場合には、取鍋スラグ使用予定量(Y')を少し増やして、上記と同様な確認を行えば良いのであるが、前記した(iv)式は、その組合せ条件(Si、S0、S、V、M)において安定して使用することができる取鍋スラグ量の最大値(Y)であるから、その値を超えさせることは不適当である。
したがって、(iii)式及び(v)式に代入した取鍋スラグ使用予定量(Y')がYよりも少ない場合には、取鍋スラグ使用予定量(Y')を少し増やす調整を行う判断に、(iv)式の右辺を1/2とした判定式を用いる。すなわち、(iii)式及び(v)式に代入した取鍋スラグ使用予定量(Y')がYの1/2よりも少ない場合には、取鍋スラグ使用予定量(Y')を少し増やして、その算出値がYの1/2以上になるように調整する。
上底吹き機能を有するヒートサイズ:80t/チャージの転炉を用いて、上吹酸素流量を7500Nm/hr、底吹ガス流量を1150Nm/hrの条件で、副原料の一部として溶銑1トン当たり3.0〜10.6kgの取鍋スラグを使用して、溶銑を予備脱燐処理する脱燐吹錬を行った。
その際、脱燐吹錬開始前に当該吹錬に用いる予定の溶銑及び各種副原料の組成を分析して把握しておき、装入塩基度(V)を(iii)式、スラグ生成予測量(M)を(v)式を用いて算出して、さらにその算出結果を(iv)式に代入して、そのYの値が本発明に係る取鍋使用量(R)の調整要否判断式である(1)式、(2)式の範囲に含まれるかどうかを判断した。
判断にはコンピュータを用い、概ね10回〜30回程度の繰返し計算を行って、使用副原料の種類と使用量を定めた。その際に使用した取鍋スラグの組成を表1に、脱燐処理に供した溶銑の組成を表2に、溶銑トン当たりの副原料使用量を表3に、それぞれ示す。
Figure 0005768721
Figure 0005768721
Figure 0005768721
また、脱燐吹錬終了時に溶銑成分および炉内スラグを採取し、成分分析した結果を、それぞれ表4および表5に示す。
いずれの吹錬結果も、脱燐吹錬開始前に予定した所定の吹錬後溶銑中S濃度以下の要件を満たしていて、上吹き酸素吹付けに伴うスピッティングやスロッピングの発生も、特に発生しないことが確認できた。
Figure 0005768721
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さらに、本発明の実施にあたって、特に、製品に含まれるS濃度の低下を求められている鋼種を製造する場合には、脱燐吹錬前に溶銑の脱硫予備処理を行っており、脱燐吹錬中に所定のS濃度以上になってしまうことは避けなければならない。
そこで、溶銑[S]=0.001%、装入塩基度V=2.4、脱燐吹錬スラグ量M=25kg/t条件のもと、溶銑1トン当たりの取鍋スラグ使用量(取鍋スラグ原単位)を変化させた時の、取鍋スラグ原単位と吹錬後溶銑中S濃度(終点[S])の関係を調査した。その結果を、図3に示す。
このとき、Mは(v)式により算出したものであり、M=25kg/tかつV=2.4となるように取鍋スラグを含む炉内投入副原料の種類と量とを調整しつつ、取鍋スラグ原単位を(1)式を満足するように増加させた。取鍋スラグ中S濃度(X)は、0.3%以上である0.33%、0.58%、0.89%の3種類を選んだ。図3中に、各取鍋スラグS濃度における(iv)式の計算結果を、破線ないし点線で併記する。
図3の実績プロットから、取鍋スラグ中S濃度(X)が高いほど、また、取鍋スラグ使用量(装入溶銑1t当たりの取鍋スラグ使用原単位)が多いほど、脱燐吹錬終了時の溶銑中S濃度(終点[S]%)が高くなる傾向にあることが分かる。
但し、これらの各取鍋スラグは、それぞれ前記した取鍋スラグ使用量(Y)を計算する(iv)式を用いて、その使用量可能判別式である(1)式、(2)式に照らして使用されたものである。したがって、各実績プロットは、各取鍋スラグ中S濃度(X)をパラメータとして図中に破線ないし点線で表示した(iv)式の計算値の近傍下部に存在している。
このことによって、スラグ中S濃度(X)が0.3%以上の取鍋スラグを適切に使用して、取鍋スラグ使用量を増やしつつも脱燐吹錬終了時の溶銑中S濃度を所定の許容濃度以下に収めるという、本発明の目的が達成されていることを確認することができた。

Claims (2)

  1. 転炉内の溶銑に取鍋スラグを供給し、上吹きランスから酸素を吹き付けて予備脱燐処理する溶銑の脱燐吹錬方法であって、該転炉内に供給する上記取鍋スラグの量(R)を、該取鍋スラグの量(R)が溶銑1トン当たり下記の(1)式の範囲に収まるように、装入塩基度(V)と脱燐吹錬時の炉内スラグ生成予測量(M)とが下記の(2)式の範囲内において調整することを特徴とする、溶銑の脱燐吹錬方法
    0.5[{S(3.5V−3.7)/X}M+1000(S−S)X]≦R≦{S(3.5V−3.7)/X}M+1000(S−S)X ・・・・・ (1)
    1.0≦V≦2.5、10≦M≦40 ・・・・・ (2)
    ここで、S:装入溶銑中のS濃度(質量%)、
    S:脱燐吹錬終了時の溶銑中目標S濃度(質量%)、
    X:取鍋スラグ中のS濃度(質量%)、
    V:装入塩基度(CaO質量/SiO質量)、
    M:脱燐吹錬終了時の炉内スラグ生成予測量(kg/溶銑t)
  2. 前記Xが0.3質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐吹錬方法
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