JPWO2019117200A1 - 溶鉄の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、精度よく二次吹錬スラグ塩基度を調整することである。本発明の溶鉄の精錬方法は、溶鉄の精錬を転炉型容器を用いて行なう際に、予め、一次吹錬スラグの中間排滓量を目的変数とし、一次吹錬スラグ塩基度およびスラグ排出開始角度のうちいずれか1つ以上、並びに一次吹錬スラグ量を含む情報を説明変数とする重回帰分析を行ない、溶銑を転炉型容器内に装入して一次吹錬を行ない、次いで、一次吹錬処理後のスラグの一部を該容器外に排出させる中間排滓を行なった後に、前記重回帰分析の結果を用いて一次吹錬スラグの中間排滓量および一次吹錬スラグの炉内残留量を算出し、引き続き、該容器内に残留させた一次吹錬後の溶銑およびスラグに対して石灰系媒溶材を添加して二次吹錬を行なうにあたり、前記一次吹錬スラグの炉内残留量および前記一次吹錬スラグの計算組成を用いて二次吹錬処理で添加する石灰系媒溶材量を製鋼時間の延長なく算出する。

Description

本発明は、上吹き転炉、底吹き転炉、上底吹き転炉等の転炉型容器(以下、転炉と略称する)における溶鉄の精錬方法に関するものであり、中間排滓を挟んで一次吹錬と二次吹錬とを続けて行なう溶鉄の精錬方法に関する。
転炉における精錬方法として、現在チャージの一次吹錬(脱珪のみ、または脱珪および脱燐を目的とする)により生成された比較的低塩基度のスラグを中間排滓により一部炉外へ排出した後、炉内に残留したスラグへ石灰系媒溶材を添加し比較的高塩基度のスラグを生成させる二次吹錬(脱燐および脱炭の少なくとも一方)を行なうことにより、石灰系媒溶材量やスラグ排出量を低減する方法がある。
この方法では、二次吹錬時に石灰系媒溶材を添加してスラグ塩基度を調整することで、脱燐量(脱炭吹錬の場合は脱燐量およびカバースラグ量の少なくとも一方)を調整することが可能だが、添加すべき石灰系媒溶材の適正量は、目標となるスラグ塩基度に加えて、中間排滓直後の炉内残留スラグ量と炉内残留スラグ塩基度によって変化する。ところが、炉内残留スラグ量および炉内残留スラグ塩基度は操業における種々の因子により変動するため、各チャージにおけるスラグ塩基度や中間排滓量を正確に把握しなければ、二次吹錬時に添加するCaO量の不足による脱燐不良、またはCaOの過剰添加による過剰脱燐を招くという問題がある。
このような問題を解決する方法として、現在チャージの中間排滓におけるスラグ排出量を秤量することにより中間排滓量を把握する方法や、吹錬状況を表す大量のデータを用いてスラグ塩基度実績をより精度良く推定する方法などが提案されている。即ち、中間排滓の前後での排滓鍋の秤量値の質量変化を中間排滓量とみなし、二次吹錬で添加するCaO量を調整する方法(特許文献1)や大量の過去データから当該処理と類似した処理のスラグ実績値から当該処理のスラグ塩基度を推定する方法(特許文献2)である。
特開2010-126790号公報 特開2016-188404号公報
しかしながら、特許文献1の方法のように、中間排滓の前後での秤量器の質量変化を中間排滓量とみなす方法では、中間排滓されたスラグ中に含まれる粒鉄の質量とスラグ量を区別することができず、中間排滓量を過剰に見積もってしまうという問題がある。また、スラグ中に含まれる粒鉄量はスラグの性状、中間排滓状況などにより大きくばらつくため、中間排滓によって排出されたスラグ中の粒鉄含有比率を一定として評価することも困難である。また、スラグ排出量の秤量器などの大掛かりな設備投資も必要となる。
また特許文献2の方法のように、過去の類似処理のスラグ成分実績からスラグ塩基度を推定する場合、二次吹錬のスラグ塩基度を適正に調整するためには一次吹錬のスラグ塩基度だけでなく、中間排滓後に二次吹錬に持ち越されるスラグ量を把握する必要があるが、更に、操業上のネックとなるのは製鋼時間の延長である。特許文献1のような方法では、中間排滓を終えて秤量が終了するまで、正確な脱燐剤量が計算できない。脱燐剤は通常炉上ホッパーに巻き上げ、またはディスペンサーに圧送の形で準備するため、所定の脱燐剤が供給可能になるまで二次吹錬開始時間が遅れてしまうのである。特許文献2には持ち越されるスラグ量の取り扱い方については一切示されておらず、二次吹錬スラグの塩基度を直接推定する際に必要と考えられる中間排滓に関連して記録し、参照するべき操業パラメータについても一切言及されていない。また、この方法では、大量の操業データから、操業条件の類似性に基づいてスラグ中各成分の濃度が導かれるだけであり、吹錬制御において重要な情報の一つであるスラグ量に関する情報は、中間排滓量が不明なため欠如しているという問題もあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、転炉における一次吹錬工程、中間排滓工程、および二次吹錬工程を含む精錬方法において、一次吹錬のスラグ性状や中間排滓状況から中間排滓量を推定、算出し、二次吹錬で必要なCaO量を適正に添加することで、精度よく二次吹錬スラグ塩基度を調整することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一次吹錬処理後スラグの中間排滓量について、一次吹錬処理後スラグ量や、一次吹錬処理後スラグ塩基度、スラグ排出開始角度(「スラグが炉外に流出し始める時の転炉の傾動角度」を言う)などから推定可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。ここで、スラグ塩基度は、一般に「スラグ中CaO濃度(質量%)/スラグ中SiO濃度(質量%)」で表わされるものであるが、分子にe×スラグ中MgO濃度(質量%)を付加したり、分母にf×スラグ中Al濃度(質量%)(eおよびfは、それぞれ1以下の係数)を付加したりする指標を用いることもでき、各々の操業条件によって決めれば良い。スラグ中MgO濃度が15質量%以上、かつ、「スラグ中CaO濃度(質量%)/スラグ中SiO濃度(質量%)」が0.8未満となる操業を含む場合には、分子に上記のMgO濃度の項を付加する指標を用いることが望ましい。スラグ中Al濃度が30質量%以上、かつ、「スラグ中CaO濃度(質量%)/スラグ中SiO濃度(質量%)」が4.0超えとなる操業を含む場合には、分母に上記のAl濃度の項を付加する指標を用いることが望ましい。通常の一次吹錬及び二次吹錬のスラグでは、上記のようなスラグ組成になることはほとんどなく、「スラグ中CaO濃度(質量%)/スラグ中SiO濃度(質量%)」を指標とするスラグ塩基度が十分適用可能である。なお、スラグ塩基度の単位は無次元である。また、スラグ排出開始角度θは、転炉直立状態を0°として炉口からスラグが炉外へ流出し始めた角度としている。
すなわち、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
[1]溶鉄の精錬方法であって、
溶鉄の精錬を転炉型容器を用いて行なう際に、予め、一次吹錬スラグの中間排滓量を目的変数とし、一次吹錬スラグ塩基度およびスラグ排出開始角度のうちいずれか1つ以上、並びに一次吹錬スラグ量を含む情報を説明変数とする重回帰分析を行ない、
溶銑を前記転炉型容器内に装入して、脱珪のみ、または脱珪および脱燐を目的とする一次吹錬を行ない、
次いで、一次吹錬処理後のスラグの一部を前記転炉型容器外に排出させる中間排滓を行なった後に、前記重回帰分析の結果を用いて一次吹錬スラグの中間排滓量および一次吹錬スラグの炉内残留量を算出し、
引き続き、前記転炉型容器内に残留させた一次吹錬後の溶銑およびスラグに対して石灰系媒溶材を添加して二次吹錬を行なうにあたり、前記一次吹錬スラグの炉内残留量および前記一次吹錬スラグの計算組成を用いて前記二次吹錬で添加する石灰系媒溶材量を算出し、二次吹錬の待ち時間なく二次吹錬スラグの塩基度制御の精度を上げる、溶鉄の精錬方法。
[2]下記(1)式を用いて、前記一次吹錬スラグの中間排滓量を算出する、[1]に記載の溶鉄の精錬方法。
WD(n)= a1+b1×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-c1×BC,1(n) …(1)式
ここで、WD(n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
BC,1(n): 一次吹錬スラグ塩基度(無次元数)
a1、b1、c1:定数
[3]下記(2)式を用いて、前記一次吹錬スラグの中間排滓量を算出する、[1]に記載の溶鉄の精錬方法。
WD(n)= a2+b2×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-d2×θ(n) …(2)式
ここで、WD(n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
θ(n): スラグ排出開始角度(°)
a2、b2、d2:定数
[4]下記(3)式を用いて、前記一次吹錬スラグの中間排滓量を算出する、[1]に記載の溶鉄の精錬方法。
WD(n)= a3+b3×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-c3×BC,1(n)-d3×θ(n) …(3)式
ここで、WD (n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
BC,1(n): 一次吹錬スラグ塩基度(無次元数)
θ(n): スラグ排出開始角度(°)
a3、b3、c3、d3:定数
本発明の溶鉄の精錬方法は、二次吹錬の待ち時間なく二次吹錬スラグの塩基度制御の精度を上げることができる。より詳細には、本発明によれば、一次吹錬のスラグ性状および中間排滓状況から中間排滓量を推定することが可能となるため、製鋼時間の延長なく二次吹錬開始時における一次吹錬スラグの炉内残留量と一次吹錬スラグ塩基度に基づいて二次吹錬で添加すべきCaO量を調整し、二次吹錬スラグ塩基度を精度よく調整することができる。
本発明による転炉の精錬方法の概要を示すフロー図である。 各実施例における二次吹錬スラグ塩基度の推移を示すグラフである。
以下に、添付図面を参照しながら、本発明を実施するために適した形態について説明する。
まず、図1に本発明の一実施形態に係る転炉の精錬方法の概要と各工程で算出される項目について示す。前チャージの二次吹錬スラグを現在チャージの一次吹錬にリサイクルする転炉の操業方法では、以下に説明する第1工程〜第5工程を繰り返し行なう。以下では、着目する現在チャージをnチャージ(nは自然数)、その前のチャージを(n−1)チャージ、次のチャージを(n+1)チャージとして説明する。
nチャージ目の第1工程(装入)では、例えば、鉄スクラップ1が装入された転炉(転炉型容器)2に、溶銑装入鍋3から溶銑4を装入する。このとき、炉内には(n−1)チャージ目の二次吹錬スラグ5がある。
第2工程(一次吹錬)を実施する前に、nチャージ目の溶銑装入量W(n)や溶銑中Si濃度MSi(n)(質量%)、スクラップ装入量WSC(n)、Si熱源の投入量などはあらかじめ決定されることから、(n−1)チャージ目の二次吹錬スラグ5のスラグ量W(n-1)とスラグ塩基度BC,2(n-1)の値がわかれば、nチャージ目の一次吹錬で投入すべきスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,1(n)が算出される。例えば後述する実施例のように脱炭炉滓で塩基度調整を行なう場合、nチャージ目の一次吹錬スラグ量W(n)と一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)はそれぞれ物質収支から以下の(4)式および(5)式のように算出される。なお、以下では、スラグ塩基度BC,1(n)は、スラグ中CaO濃度(質量%)/スラグ中SiO濃度(質量%)を意味するものとして説明する。
Figure 2019117200
Figure 2019117200
W2は二次吹錬スラグのCaO濃度(質量%)とSiO濃度(質量%)の和であり、CaOおよびSiO以外の成分含有量により異なるが、操業の平均的な値(例えば実施例では50.6)を固定値として採用すれば良い。XW1は一次吹錬スラグ7のCaO濃度(質量%)とSiO濃度(質量%)の和であり、同様にCaOおよびSiO以外の成分含有量により異なるが、操業の平均的な値(例えば実施例では60.0)を固定値として採用すれば良い。XSLはスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材(実施例では脱炭炉滓)のCaO濃度(質量%)とSiO2濃度(質量%)の和である。CSLはスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材(実施例では脱炭炉滓)のCaO濃度(質量%)、SSLはスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材(実施例では脱炭炉滓)のSiO2濃度(質量%)である。スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材として複数の材料を用いる場合は、上記の式中のWSL,1(n)×XSL/100、WSL,1(n)×CSL /100、及びWSL,1(n)×SSL /100の各項については、複数の材料毎に積算した値を用いればよい。また、WCaO,1(n)、WSiO2,1(n)はそれぞれ一次吹錬で投入するスラグ塩基度調整用石灰系媒溶材以外の副原料に由来するCaO量、SiO2量(Si燃焼により発生するSiO2を含む)である。なお、上記の計算式は、一次吹錬において溶銑中の珪素をほぼ全て脱珪するような操業を前提としているが、脱珪の途中で一次吹錬を終了するような操業の場合には、操業条件から経験的に指定される溶銑の脱珪量(質量%)で式中のMSi(n)を置き換えればよい。ここで、一次吹錬で投入すべきスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,1(n)を調整することで目標とする塩基度BC,1(n)を得ることができる。また、特にスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材を添加せず、WCaO,1(n)、WSiO2,1(n)を調整することで目標とする塩基度BC,1(n)を得ることもできる。以上のように、一次吹錬スラグの組成(計算組成)は、炉内に残留させたスラグの量と組成の推定値、反応生成物の量及び炉内への添加物の量と組成から計算により推定することができる。
nチャージ目の第2工程では、溶銑4が装入された転炉2内に必要に応じてフェロシリコンやSiCといったSi熱源やCaO、脱炭炉滓等の一次吹錬副原料6を添加し、生成する一次吹錬スラグ7を目標塩基度(例えば、塩基度1.5以下)になる様に調整し、上吹きランス8等から精錬用酸素を吹き込みながら脱珪のみ、または脱珪および脱燐を目的とした一次吹錬を行なう。この際、算出される一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)を目標塩基度に一致させるように、スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,1(n)を決定する。
第2工程終了後、第3工程として一次吹錬スラグ7の一部を転炉2外へ排出する中間排滓を実施する。ここで、発明者らは、炉外に排出された一次吹錬スラグ10の量、即ち中間排滓量W(n)(以下、「排滓量」と呼ぶ)の推定方法として、誤差の大きい秤量による方法に代えて、様々な操業条件から推定する方法を用いることを着想し、地金(スラグ中粒鉄含む)を除いた排滓量の実績を調査、蓄積して、様々な操業因子との関係を定量的に明らかにすることにより本発明を完成させるに至った。即ち、一次吹錬スラグ量W1(n)に加えて、一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)、転炉を傾動して中間排滓する際のスラグ排出開始角度θ(n)からなる群のうちいずれか1つ以上の情報を用いて算出することで、排滓量を精度よく推定することができる。
例えば、後述する実施例では、一次吹錬スラグの中間排滓量(排滓量)を目的変数とする重回帰分析を行っており、排滓量WD(n)を以下の式で推定している。
(i)一次吹錬スラグ量W1(n)および一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)から算出する場合
WD(n)= a1+b1×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-c1×BC,1(n) …(1)式
ここで、WD (n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
BC,1(n): 一次吹錬スラグ塩基度(無次元数)
また、定数であるa1、b1、c1は、後述するように重回帰分析により求め、それぞれ6.26、0.143、2.86とした。
(ii)一次吹錬スラグ量W1(n)およびスラグ排出開始角度θ(n)から算出する場合
WD(n)= a2+b2×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-d2×θ(n) …(2)式
ここで、WD (n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
θ(n): スラグ排出開始角度(°)
また、定数であるa2、b2、d2は、後述するように重回帰分析により求め、それぞれ9.19、0.1592、0.0885とした。
(iii)一次吹錬スラグ量W1(n)、一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)、およびスラグ排出開始角度θ(n)から算出する場合
WD(n)= a3+b3×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-c3×BC,1(n)-d3×θ(n) …(3)式
ここで、WD (n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
BC,1(n): 一次吹錬スラグ塩基度(無次元数)
θ(n): スラグ排出開始角度(°)
また、定数であるa3、b3、c3、d3は、後述するように重回帰分析により求め、それぞれ9.25、0.146、1.78、0.0650とした。
推定式中のそれぞれの項の係数については、転炉の容積や形状によって変化するため、形状の異なる転炉で適用可能な係数を求めるためには、排滓量の実績値と変数となる操業因子との関係について予め重回帰分析を行ない、得られた重回帰式を用いて評価する必要がある。このとき、排滓量の実績値としては、中間排滓されたスラグと粒鉄を含む排出物から、粉砕して磁選する方法、再溶解して比重分離する方法、またはこれらの両方を用いた方法等によって排出物中に含まれる粒鉄を分離し、スラグ量を求めることが望ましい。
上記は、重回帰分析の説明変数として一次吹錬スラグ塩基度およびスラグ排出開始角度のうちいずれか1つ以上、並びに一次吹錬スラグ量を用いたが、その他にも任意の説明変数を用いることができる。例えば、中間排滓時間(sec)、スラグ排出終了角度(°)、溶銑温度、溶銑配合率、アルミナ投入量、スラグ中(T.Fe)濃度の推定値などを好適に用いることができる。なお、スラグ中(T.Fe)濃度(=トータルFe濃度)はスラグ中に存在する酸化鉄に含まれる鉄分をスラグ量で除したものとして、排ガス成分から脱炭に消費された酸素量を求めて積算し、酸素の物質収支から求める方法などにより推定することができる。上記(1)〜(3)式では、一次吹錬スラグ量に関してW1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}とすることによって、実質的に一次吹錬スラグ原単位(kg/t-溶銑)としているが、同一または類似形式の転炉で操業する場合はW1(n)(t/ch)を用いても本発明の実施に差し支えない。
また、上記(1)〜(3)式では、重回帰式として線形を用いているが、線形に限られるものではなく非線形であっても良い。非線形の例としては、例えば、α、β、γを決定すべきパラメータとして、下記(6)式のような関数形について重回帰分析を行った結果を用いることができるが、他にも、パラメータを含む式がモデル式の分母やべき乗の指数に入っていたり、指数、対数、三角関数などの内部に入っている場合のような多様な関数形が非線形重回帰の対象となり得る可能性があることは言うまでもない。
WD(n)= (α+β×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)})×exp(-γ×BC,1(n))・・・(6)式
排滓量WD(n)の推定から、第4工程の二次吹錬に持ち越される一次吹錬スラグ9の質量WS(n)(一次吹錬スラグ残留量と呼ぶ)も以下の(7)式で算出することができる。
WS(n)=W1(n)-WD(n) ・・・(7)式
nチャージ目の第4工程では、CaO、脱炭炉滓等の二次吹錬副原料11を添加し、生成する二次吹錬スラグ12を目標塩基度(例えば、塩基度2.0以上)になる様に調整し、上吹きランス8等から精錬用酸素を吹き込みながら脱燐または脱燐・脱炭を目的とした二次吹錬を行なう。二次吹錬においては、一次吹錬スラグ残留量WS(n)と一次吹錬スラグの計算組成(例えば塩基度BC,1(n)の値)を使用して、nチャージ目の二次吹錬で投入するスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,2を調整することで、目標とする二次吹錬スラグ塩基度BC,2(n)を得ることができる。例えば後述する実施例のように脱炭炉滓で塩基度調整を行なう場合、nチャージ目の二次吹錬スラグ量W2(n)と二次吹錬スラグ塩基度BC,2(n)はそれぞれ以下の(8)式および(9)式のように算出される。
Figure 2019117200
Figure 2019117200
スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材として複数の材料を用いる場合は、上記の式中のWSL,2(n)×XSL /100、WSL,2(n)×CSL /100、及びWSL,2(n)×SSL /100の各項については、複数の材料毎に積算した値を用いればよい。WCaO,2(n)、WSiO2,2(n)はそれぞれ二次吹錬で投入するスラグ塩基度調整用石灰系媒溶材以外の副原料に含まれるCaO量、SiO2量(Siの場合は燃焼により発生するSiO2を含む)である。ここで、二次吹錬で投入すべきスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,2(n)を調整することで、目標とするBC,2(n)得ることができる。また、特にスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材を添加せず、WCaO,2(n)、WSiO2,2(n)を調整することで目標とするBC,1(n)を得ることもできる。
第4工程終了後、溶銑または溶鋼を出湯する第5工程を行ない、炉内に残留させたnチャージ目の二次吹錬スラグは(n+1)チャージ目に持ち越され、再び第1工程から順に操業を繰り返す。
以上のように本発明を用いればスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,2(n)やその他の副原料等に含まれるWCaO,2(n)、WSiO2,2(n)を適正に調整することにより、二次吹錬スラグ塩基度BC,2(n)を精度よく調整することができる。例えば一次吹錬の後、中間排滓で十分にスラグを排出できなかった場合でも、本発明により算出した現在チャージの一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)と一次吹錬スラグ残留量WS(n)、二次吹錬で添加する脱燐用石灰系媒溶材量を考慮して、二次吹錬で投入すべきスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材量WSL,2(n)やその他脱燐用の石灰系媒溶材を含むWCaO,2(n)、WSiO2,2(n)を調整し、二次吹錬スラグ塩基度BC,2(n)を精度よく目標値に調整することができる。これにより、溶鉄の燐濃度の制御精度を向上させたり、目標とする溶鉄の燐濃度を得るためのCaO使用量を抑制したりすることが可能となる。確保すべき二次吹錬スラグ塩基度BC,2(n)は目標となる処理後の溶鉄中燐濃度や処理後の溶鉄温度などにより変化するが、例えば一次吹錬で脱珪を目的とし、二次吹錬で脱炭吹錬の予備処理として脱燐処理を目的とする場合は、二次吹錬スラグ塩基度BC,2(n)を2.1以上とすることが好ましい。
また、確保すべき一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)は目標となる処理後の溶鉄中燐濃度や処理後の溶鉄温度などにより変化するが、例えば一次吹錬で脱珪を目的とし、二次吹錬で脱炭吹錬の予備処理として脱燐処理を目的とする場合は、一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)を0.8以上1.5以下とすることが好ましい。一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)を0.8より低下させると、前チャージの二次吹錬スラグから溶銑への復燐が大きく、処理後溶銑燐濃度が上昇することになる。一方、一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)を1.5より高くすると、処理後溶銑燐濃度は低位だが、排出した一次吹錬スラグ中の粒鉄量が増大して処理後Fe歩留が低下してしまうことになる。また、処理後溶銑燐濃度を低位安定とするためには、一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)を1.1以上1.5以下とすることがより好ましい。
上底吹き転炉を使用し、スクラップ量46.2tと溶銑量283.8t(溶銑のSi濃度は0.4質量%)を装入し、一次吹錬では脱珪処理を行ない、中間排滓を実施後、二次吹錬では脱燐処理を行ない、二次吹錬スラグは全量次チャージに持ち越した。比較例、本発明例とも、この一連の処理を10チャージ連続で行なったが、1チャージ目については、一次吹錬では炉内に残留スラグがない状態で処理を開始している。いずれの実施例においても、一次吹錬におけるスラグ塩基度調整は脱炭炉滓を用いて行ない、二次吹錬においては脱燐用石灰系媒溶材である塊石灰添加量を変化させてスラグ塩基度調整を実施した。
比較例1ではロードセルを具備したスラグ排出鍋搬送台車(図示せず)を用いて、中間排滓時の実測排出物質量WM(n)を測定し、排滓量WD(n)の推定式として、実測排出物質量WM(n)を用いる以下の(10)式を用いた。
WD(n)= 0.85 × WM(n) ・・・(10)式
(10)式では、実測排出物質量WM(n)に対して、金属Feが調査した多数チャージでの平均で15質量%含まれていたことから、金属Fe分を除外した0.85を乗じている。比較例2では排滓量WD(n)の推定式として、一次吹錬スラグ量W1(n)のみを用いる以下の(11)式を用いた。
WD(n)= 3.76+0.126×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)} ・・・(11)式
本発明例1では排滓量WD(n)の推定式として、一次吹錬スラグ量W1(n)および一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)を用いる上述の(1)式を用いた。本発明例2では排滓量WD(n)の推定式として、一次吹錬スラグ量W1(n)およびスラグ排出開始角度θ(n)を用いる上述の(2)式を用いた。本発明例3では排滓量WD(n)の推定式として、一次吹錬スラグ量W1(n)および一次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)、スラグ排出開始角度θ(n)を用いる上述の(3)式を用いた。各推定式に従って算出された排滓量WD(n)を用いて、二次吹錬スラグ塩基度BC,1(n)が目標値2.40となるように二次吹錬で投入する塊石灰量を調整した。
なお、実施例では、一次吹錬スラグのCaO濃度(質量%)とSiO2濃度(質量%)の和XW1=60.0、二次吹錬スラグのCaO濃度(質量%)とSiO2濃度(質量%)の和XW2=50.6とした。スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材として一次吹錬で使用した脱炭炉滓では、CaO濃度(質量%)とSiO2濃度(質量%)の和XSL=50、スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材のCaO濃度(質量%)CSL=40、スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材のSiO2濃度(質量%)SSL=10として、スラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材として二次吹錬で使用した塊石灰では、それぞれXSL=95、CSL=95、SSL=0として計算した。また、一次吹錬では、スラグ塩基度調整用石灰系媒溶材として脱炭炉滓のみを使用し、スラグ塩基度調整用石灰系媒溶材以外の副原料は使用しなかった。二次吹錬ではスラグ塩基度調整用の石灰系媒溶材として塊石灰のみを使用し、推定した排滓量に基づいて算出される二次吹錬後スラグの計算塩基度が目標値の2.40となるように塊石灰量(すなわちWSL,2(n))を調整した。また、二次吹錬でスラグ塩基度調整用石灰系媒溶材以外の副原料は使用しなかった。
表1および表2に比較例1および比較例2、表3〜5に本発明例1〜3における操業諸元と推定結果および添加物の実績値のまとめを示し、図2に各実施例の二次吹錬スラグ塩基度(実測値)の推移を示す。
Figure 2019117200
実測排出物質量WM(n)を用いて排滓量を推定した比較例1の場合、目標とするスラグ塩基度2.40に対して実績値が大きくばらつく結果となり、全10チャージの塩基度実績値の標準偏差(σ)は0.102であり全ての実施例の中で最も大きかった。つまり、大きくばらつき、精度よく二次吹錬スラグ塩基度を調整できなかった。これは排出物中に含まれる金属Fe量のばらつきが大きく、排滓量の推定値と実績値に大きな乖離が生じてしまうためである。また、二次吹錬に必要な脱燐剤を準備し、供給可能になるまでの時間、すなわち二次吹錬開始待ち時間は0.8〜3.1分、平均で約2分であった。
Figure 2019117200
一次吹錬スラグ量のみで排滓量を推定した比較例2の場合、吹き込んだスラグ量は中間排滓開始前にわかるため、中間排滓開始時点から二次吹錬の脱燐剤量を計算できる。このため、二次吹錬開始待ち時間は0分であった。目標とするスラグ塩基度2.40に対して実績値が目標値から大きく外れている処理が散見され、全10チャージの塩基度実績値の標準偏差(σ)は0.089であった。つまり、ばらつきがあり、精度よく二次吹錬スラグ塩基度を調整できなかった。例えば5チャージ目の処理では比較的小さい傾動角から中間排滓しているため、排滓量が多く、一次吹錬スラグの炉内残留量は少ないことが予想されるが、スラグ排出開始角度の情報を用いていないため、推定排滓量は実際の排滓量よりも少なく見積もられたと考えられる。その結果、一次吹錬スラグの炉内残留量に対して二次吹錬で投入した塊石灰量が過剰となっている。続く6チャージ目では大きく炉傾動させるまで一次吹錬スラグが排出されなかったことから、排滓量が少なく、一次吹錬スラグの炉内残留量は多いことが予想されるが、推定排滓量は実際の排滓量よりも少なく見積もられたと考えられる。その結果、一次吹錬スラグの炉内残留量に対して二次吹錬で投入した塊石灰量が不足となっている。
Figure 2019117200
本発明例1では、一次吹錬スラグ量に加えて、一次吹錬スラグ塩基度も考慮して排滓量を推定している。これらは中間排滓前にわかる情報のため、比較例2と同様の理由により二次吹錬開始待ち時間は0分であった。一次吹錬スラグ塩基度は中間排滓時のスラグの流動性に大きく影響しているため、一次吹錬スラグの目標塩基度の変更を伴う処理の場合、精度よく二次吹錬スラグ塩基度を調整できると考えられる。全10チャージの塩基度実績値の標準偏差(σ)は0.059であり、比較例よりも二次吹錬スラグ塩基度を精度よく調整することができた。
Figure 2019117200
本発明例2では、一次吹錬スラグ量に加えて、排出開始角度も考慮して排滓量を推定している。このうち排出開始角度は、中間排滓を開始してからわかる情報ではあるが、中間排滓時間の方が二次吹錬で必要な脱燐剤の準備時間より長いことで、二次吹錬開始待ち時間は0分であった。排滓状況を示す直接的な因子の変動を反映したパラメータは、一次吹錬スラグ塩基度よりさらに大きく排滓量に影響すると考えられ、全10チャージの塩基度実績値の標準偏差(σ)は0.035であり、二次吹錬スラグ塩基度をより精度よく調整することができた。
Figure 2019117200
本発明例3では、一次吹錬スラグ量に加えて、一次吹錬スラグ塩基度、排出開始角度を全て考慮して排滓量を推定している。発明例2と同様の理由により、二次吹錬開始待ち時間は0分であった。これらのパラメータを全て考慮することで、二次吹錬スラグ塩基度をさらに精度よく調整することができ、全10チャージの塩基度実績値の標準偏差(σ)は0.019まで低下した。
1 鉄スクラップ
2 転炉(転炉型容器)
3 溶銑装入鍋
4 溶銑
5 (n−1)チャージ目の二次吹錬スラグ
6 一次吹錬副原料
7 一次吹錬スラグ
8 上吹きランス
9 二次吹錬に持ち越される一次吹錬スラグ
10 炉外に排出された一次吹錬スラグ
11 二次吹錬副原料
12 二次吹錬スラグ

Claims (4)

  1. 溶鉄の精錬方法であって、
    溶鉄の精錬を転炉型容器を用いて行なう際に、予め、一次吹錬スラグの中間排滓量を目的変数とし、一次吹錬スラグ塩基度およびスラグ排出開始角度のうちいずれか1つ以上、並びに一次吹錬スラグ量を含む情報を説明変数とする重回帰分析を行ない、
    溶銑を前記転炉型容器内に装入して、脱珪のみ、または脱珪および脱燐を目的とする一次吹錬を行ない、
    次いで、一次吹錬処理後のスラグの一部を前記転炉型容器外に排出させる中間排滓を行なった後に、前記重回帰分析の結果を用いて一次吹錬スラグの中間排滓量および一次吹錬スラグの炉内残留量を算出し、
    引き続き、前記転炉型容器内に残留させた一次吹錬後の溶銑およびスラグに対して石灰系媒溶材を添加して二次吹錬を行なうにあたり、前記一次吹錬スラグの炉内残留量および前記一次吹錬スラグの計算組成を用いて前記二次吹錬で添加する石灰系媒溶材量を算出し、二次吹錬の待ち時間なく二次吹錬スラグの塩基度制御の精度を上げる、溶鉄の精錬方法。
  2. 下記(1)式を用いて、前記一次吹錬スラグの中間排滓量を算出する、請求項1に記載の溶鉄の精錬方法。
    WD(n)= a1+b1×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-c1×BC,1(n) …(1)式
    ここで、WD(n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
    W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
    WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
    WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
    BC,1(n): 一次吹錬スラグ塩基度(無次元数)
    a1、b1、c1:定数
  3. 下記(2)式を用いて、前記一次吹錬スラグの中間排滓量を算出する、請求項1に記載の溶鉄の精錬方法。
    WD(n)= a2+b2×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-d2×θ(n) …(2)式
    ここで、WD(n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
    W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
    WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
    WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
    θ(n): スラグ排出開始角度(°)
    a2、b2、d2:定数
  4. 下記(3)式を用いて、前記一次吹錬スラグの中間排滓量を算出する、請求項1に記載の溶鉄の精錬方法。
    WD(n)= a3+b3×W1(n)×1000/{WH(n)+WSC(n)}-c3×BC,1(n)-d3×θ(n) …(3)式
    ここで、WD (n): nチャージ目の一次吹錬スラグの中間排滓量(t/ch)
    W1(n): nチャージ目の一次吹錬スラグ量(t/ch)
    WH(n): nチャージ目の溶銑装入量(t/ch)
    WSC(n): nチャージ目のスクラップ装入量(t/ch)
    BC,1(n): 一次吹錬スラグ塩基度(無次元数)
    θ(n): スラグ排出開始角度(°)
    a3、b3、c3、d3:定数
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