JPWO2020129887A1 - 炉内残留スラグ量の推定方法および推定装置 - Google Patents

炉内残留スラグ量の推定方法および推定装置 Download PDF

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Abstract

転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において、簡便かつ精度の高い炉内残留スラグ量の推定方法を提供する。炉内残留スラグ量の推定方法は、脱珪または脱燐処理後であって排滓開始前に、転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定する工程Aと、工程Aで測定した結果に基づいて、炉内スラグのフォーミング鎮静特性を推定する工程Bと、工程Bで推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、炉内残留スラグ量を推定する工程Cと、を含む。

Description

本発明は、炉内残留スラグ量の推定方法、すなわち、転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において、排滓後に炉内に残留するスラグの量を推定する方法に関する。
転炉での溶銑の脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグの一部を下方に配置した排滓鍋に流下させて排滓し、その後再度転炉を直立させて生石灰(主成分はCaO)等の副原料を添加し、引き続き精錬を行う方法がある(例えば特許文献2参照)。
特開2007−308773号公報 特開平5−140627号公報 国際公開2018/020929号
この方法では、転炉内でスラグをフォーミング(泡立ち)させてスラグの嵩体積を増加させることにより排滓しやすくし、排滓量を確保している。ここで、スラグのフォーミングは、溶鉄中の炭素(C)とスラグ中の酸化鉄(FeO)の反応により、一酸化炭素(CO)ガスが生成し、そのCOガスがスラグに保持されることにより発生する。
排滓後に転炉を直立させて生石灰等の副原料を添加して引き続き精錬を行うが、通常、炉内残留スラグ量に応じて、副原料の添加量を調整する。そのため、炉内残留スラグ量の推定がばらつくと、副原料の添加量の過不足が生じる。例えば、炉内残留スラグ量を実際よりも多めに推定した場合は、副原料の過剰添加によるコストの悪化を招く。一方、炉内残留スラグ量を実際よりも少なめに推定した場合は、副原料の添加不足による燐等の成分の不適合(以下、「成分はずれ」という。)を招きやすい。通常は成分はずれを防止するため、副原料を過剰気味に添加することが多い。つまり、炉内残留スラグ量の推定精度が低いと、副原料使用量の増加、発生スラグ量の増加、熱損失の増加、鉄分歩留の悪化等に伴うコスト悪化の課題がある。
従来、炉内残留スラグ量の推定は、オペレータが目視で排滓状況を観察したり、排滓台車に設置した秤量器により排滓量を秤量したりすることにより排滓量を推定し、炉内の推定スラグ量から排滓量を差し引くなどの方法で行われてきた。しかし、排滓中にフォーミングしたスラグが鎮静してスラグの体積が刻々と変化するため、オペレータの目視による推定では推定精度が低いという課題があった。また、秤量器による秤量の場合は、フォーミングしたスラグが排滓鍋の容量を超えて溢出して秤量器を損傷したり、台車の振動等により秤量器の精度が悪化したりするため、秤量器の設備保全負荷が高いうえ、スラグ中に不可避的に混入している粒鉄分の補正も必要となるなど、安定して精度の高い秤量を行うことが困難であった。
また、特許文献1には、転炉の傾転角度と炉内残留スラグ量に相関があることを見出し、傾転角度を基に炉内残留スラグ量を制御する方法が開示されている。しかし、この方法は、転炉の傾転角度と炉内残容積の関係を利用した方法であり、脱炭処理後のフォーミングしていないスラグ、すなわち嵩密度が一定であるスラグへの適用を前提としているため、脱珪または脱燐処理後のフォーミングしたスラグへの適用はできない。
また、特許文献3には、転炉から排滓されたフォーミングを伴うスラグの重量を推定する排滓重量推定方法が開示されている。この方法では、転炉から排滓されるスラグの体積流量の経時変化を推定した体積流量推移を導出すると共に、転炉から排滓されるスラグの嵩密度の経時変化を推定した嵩密度推移を導出し、体積流量推移および前記嵩密度推移の対応する各時点におけるスラグの体積流量と嵩密度との積を積算して得られる値を、転炉から排滓されたスラグの排滓重量の推定値として導出する。
本発明は、従来技術の課題に鑑み、転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において、簡便かつ精度の高い炉内残留スラグ量の推定方法を提供することを目的とする。
本願の発明者らは、精度の高い炉内残留スラグ量の推定のために、排滓中にフォーミングしたスラグが鎮静してスラグの嵩体積が変化する挙動を推定し、それを基に炉内残留スラグ量を推定することを発想し、鋭意検討を行った。その結果、フォーミング鎮静特性を推定し、推定したフォーミング鎮静特性および排滓中の転炉の傾転パターンに基づいて炉内残留スラグ量を推定する方法を確立し、本発明を完成させた。本発明の要旨とするところは以下の通りである。
<1>
転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において排滓後に炉内に残留するスラグの量を推定する方法であって、
脱珪または脱燐処理後かつ排滓開始前に、転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定する工程Aと、
工程Aで測定した結果に基づいて、炉内スラグのフォーミング鎮静特性を推定する工程Bと、
工程Bで推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、炉内残留スラグ量を推定する工程Cと、
を含む
ことを特徴とする炉内残留スラグ量の推定方法。
<2>
工程Cは、
工程Bで推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとに、鎮静挙動および排出挙動を逐次計算する工程Dを含む
ことを特徴とする<1>に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<3>
工程Cは、
排滓開始時点のスラグ状態を、工程Bで推定した鎮静特性に基づいて推定する工程Eを含む
ことを特徴とする<2>に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<4>
工程Cは、
転炉の傾転パターンに基づいて、残留スラグ容積推移を推定する工程Fと、
工程Bで推定した鎮静特性、および、工程Fで推定した残留スラグ容積推移に基づいて、排滓中に同時に進行する鎮静挙動および排出挙動を推定する工程Gと、を含む
ことを特徴とする<1>に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<5>
工程Gは、
工程Bで推定した鎮静特性、および、工程Fで推定した残留スラグ容積推移に基づいて、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとにスラグ状態を逐次計算する工程Hを含む
ことを特徴とする<4>に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<6>
工程Gは、
排滓開始時点のスラグ状態を、工程Bで推定した鎮静特性に基づいて推定する工程Iを含む
ことを特徴とする<5>に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<7>
工程Fでは、流出中のスラグのヘッド分に相当する体積を考慮して推定する
ことを特徴とする<4>〜<6>の何れか一項に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<8>
工程Aは、マイクロ波距離計を使用して行う
ことを特徴とする<1>〜<7>の何れか一項に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
<9>
転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において排滓後に炉内に残留するスラグの量を推定する装置であって、
脱珪または脱燐処理後かつ排滓開始前に転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定した結果に基づいて、炉内スラグのフォーミング鎮静特性を推定する鎮静特性推定部と、
前記鎮静特性推定部で推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、炉内残留スラグ量を推定する炉内残留スラグ量推定部と、を備える
ことを特徴とする炉内残留スラグ量の推定装置。
<10>
前記炉内残留スラグ量推定部は、
転炉の傾転パターンに基づいて、残留スラグ容積推移を推定する残容積推移推定部と、
排滓開始時点のスラグ状態を、前記鎮静特性推定部で推定した鎮静特性に基づいて推定する排滓開始時スラグ状態推定部と、
前記鎮静特性推定部で推定した鎮静特性、および、前記残容積推移推定部で推定した残留スラグ容積推移に基づいて、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとにスラグ状態を逐次計算する逐次計算部と、を備える
ことを特徴とする<9>に記載の炉内残留スラグ量の推定装置。
本発明により、転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において、排滓後の炉内残留スラグ量の推定が簡便となり、かつ推定精度が向上する。それにより、炉内残留スラグ量の推定のばらつきを抑制し、副原料を過不足なく添加できる。以上の効果により、コスト削減(副原料使用量の削減、発生スラグ量の削減、熱損失の抑制、鉄分歩留の向上)が可能となる。
転炉が直立した状態での炉内のスラグ高さの経時変化を示す図であり、(a)は脱珪または脱燐処理終了直後の状態を示しており、(b)は脱珪または脱燐処理終了後ある程度時間が経過した時の状態を示している。 脱燐処理後に転炉内のスラグ高さを測定した結果の一例を示す図である。 実施例において、排滓前にマイクロ波距離計でスラグ高さを測定し、その高さ変化からフォーミング鎮静特性を推定した結果を示す図である。 実施例において、排滓中の転炉の傾転パターンを示す図である。 実施例において、図3Aに示したフォーミング鎮静特性と図3Bに示した傾転パターンから推定した炉内残留スラグ量の経時変化を示す図である。 実施例の炉内残留スラグ量の推定において、実秤値からの計算値、本発明の方法による推定値、オペレータの目視による推定値、特許文献1の方法による推定値を対比させた図である。 実施形態の炉内残留スラグ量推定装置の構成を示す機能ブロック図である。 実施形態の炉内残留スラグ量推定装置を実現するコンピュータの構成を示すブロック図である。
〔フォーミング鎮静について〕
図1は、脱珪または脱燐処理後、転炉6が直立した状態での転炉内のスラグ高さの経時変化を示している。スラグ上層はフォーミングして気泡を多量に含む低密度スラグ層3であり、スラグ下層は破泡後の気泡を含まないスラグが沈降した高密度スラグ層4であり、その下に溶鉄5がある。図1(a)は脱珪または脱燐処理終了直後の状態を示しており、図1(b)は脱珪または脱燐処理終了後ある程度時間が経過した時の状態を示している。
図1に示すように、時間経過に伴い、フォーミングスラグ(低密度スラグ層3)中の気泡が破泡し、スラグ高さが低下すること、すなわちフォーミングが鎮静することが判る。具体的には、鎮静した低密度スラグ層3は高密度スラグ層4になるため、低密度スラグ層の高さが大きく低下するとともに高密度スラグ層の高さが僅かに上昇する。
脱燐処理後に転炉内のスラグ高さを測定した結果の一例を図2に示す。
図中の破線はマイクロ波距離計1による連続測定結果、点(○)は測定棒2による非連続測定結果を示している。両者の値はほぼ一致している。
転炉内のスラグ高さとは、スラグ上面高さから溶鉄高さを差し引いた高さ、すなわち、スラグ層のみの高さである。スラグ上面高さをマイクロ波距離計1や測定棒2によって測定し、測定したスラグ上面高さから溶鉄高さを差し引くことで、スラグ高さを算出する。溶鉄高さは、転炉形状や装入鉄量から算出するか、もしくは処理前に測定する。
なお、マイクロ波距離計1や測定棒2による測定は脱燐処理中や脱燐処理直後も可能であり、時間t=0は脱燐処理終了直後を意味している。
〔排滓中のフォーミング鎮静とその影響〕
転炉を傾転し、フォーミングによるスラグの嵩体積増加を利用して排滓する際(スラグを排出している最中)にも、同様にフォーミング鎮静が生じている。
したがって、フォーミング鎮静が速い場合には、排滓後半でスラグの嵩体積が減少するため、十分に排滓できず、炉内残留スラグ量(重量)が増加する。一方、フォーミング鎮静が遅い場合には、排滓後半でもスラグの嵩体積を確保できるため、十分に排滓でき、炉内残留スラグ量が減少する。このように、炉内残留スラグ量はフォーミング鎮静速度の影響を受けることになる。
別の説明をすると、排滓終了時点で同じ嵩体積のスラグが残留した場合でも、その嵩体積に占める低密度スラグと高密度スラグの割合が、フォーミング鎮静速度の影響を受けることになる。同じ嵩体積でも低密度スラグと高密度スラグの割合に応じて重量が変化するため、炉内残留スラグ量(重量)が、フォーミング鎮静速度の影響を受けることとなる。
〔フォーミング鎮静特性は、スラグの物性、ガス発生速度などの様々な因子の影響を受ける。〕
ここで、フォーミングの状況は、脱珪または脱燐処理後の時間経過に伴い変化するが、その鎮静特性は、スラグの物性(粘度、表面張力など)、ガスの発生速度などの影響を受ける。これらの因子のうち、スラグの物性はスラグの組成や温度の影響を受け、ガスの発生速度はスラグの組成や温度に加え、転炉の形状や操業条件(底吹き条件等)の影響を受ける。
これら組成や温度、操業条件は必ずしも一定ではなく、ばらつきを持っている。これらのばらつきに応じ、フォーミングの状況、さらには排滓後の炉内残留スラグ量(重量)もばらつくことになる。このような事情が炉内残留スラグ量の高精度な推定を困難にしている。
そこで、本願の発明者らは、フォーミング鎮静特性を推定することが炉内残留スラグ量の推定に重要となることを知見し、炉内スラグのフォーミング鎮静特性の推定方法を確立すること、さらに推定したフォーミング鎮静特性および排滓中の転炉の傾転パターンから炉内残留スラグ量を推定することを発想し、鋭意検討を行った。
〔鎮静特性の推定〕
そこで、本発明では、脱珪または脱燐処理後であって排滓開始前の転炉が直立した状態で、転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定する。そして、その測定結果から炉内スラグのフォーミング鎮静特性(以下、単に「鎮静特性」という。)を推定する。
この方法によれば、鎮静特性の推定に用いるスラグ高さの測定結果として、炉内残留スラグ量を推定する対象である操業のスラグを測定した結果を用いるから、当該操業(炉内残留スラグ量を推定する対象である操業)に特有の事情がスラグに与える影響を取り込むことができる。なお、この点は、特許文献3開示の方法との相違点の一つである。
〔スラグ高さ変化の測定方法〕
転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定する方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
一つの方法としては、図1に示すように、測定棒2を複数回浸漬してそれに付着したスラグの高さから求める方法である。他の方法としては、マイクロ波距離計1を用いて連続的に測定する方法である。マイクロ波距離計とは、転炉内のダスト等を透過する性質を持つ波長のマイクロ波を炉上に設置したアンテナから発信および受信し、スラグ上面までの距離を測定する装置である。
測定結果(スラグ高さ変化)から鎮静特性を推定する場合、測定棒等を用いて非連続で測定する方法よりも、マイクロ波距離計等を用いて連続的に測定する方法の方が、推定精度、測定時間、測定負荷の面から有利となる。
〔鎮静特性推定方法の具体例〕
測定結果から鎮静特性を推定する具体的な方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
一つの方法としては、排滓開始前の測定結果から、外挿法(補外法)により推定する方法がある。他の方法としては、排滓開始前の測定結果から鎮静特性を推定する計算モデルを予め作成しておき、この計算モデルのパラメータを排滓開始前の測定結果から算出して推定する方法がある。なお、排滓中のフォーミング鎮静速度は、転炉の形状の影響や底吹きガス流量等の操業条件の影響を受けるため、転炉毎に予備試験を行い、上記の推定を行うことが必要となる。
図3Aの実線は鎮静特性を推定する計算モデルによる推定結果(後述する実施例)である。排滓前の測定結果(図中の破線)に基づいてモデルのパラメータを決定することで推定した。
〔鎮静特性および傾転パターンに基づいて炉内残留スラグ量を推定〕
次に、推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて炉内残留スラグ量を推定する。以下でその具体例を説明する。
〔残留スラグ容積推移Vr、tを導出する〕
まず、傾転パターンに基づいて、炉内残留スラグ体積の推移Vr,t(残留スラグ容積推移)を推定する。
排滓中の炉内残留スラグ体積は、転炉の傾転パターンによって変化する。
例えば、転炉の傾転速度が非常に遅く、ほぼ準静的に傾転しているとみなせる場合、ある傾転角度における炉内残留スラグ体積は、その傾転角度における炉口下端位置を含む水平面よりも下方にある炉内容積から、溶鉄の体積分を差し引いたものとなる。
一方、転炉の傾転速度が比較的速い場合は、流出中のスラグのヘッド分に相当する体積が炉内残留スラグ体積として付加される。
そのため、炉内残留スラグ体積推移(残留スラグ容積推移)の推定に際しては、ヘッド分を考慮することが精度の観点からして好ましい。ヘッド分を考慮して炉内残留スラグ体積を推定する方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法がある。
一つの方法としては、数値流体計算を用いる方法がある。この方法では、転炉の形状および傾転パターンを入力条件として、炉内残留スラグ体積を計算し、傾転パターンと炉内残留スラグ体積の対応付けをする。実際の排滓においては、傾転速度はたかだか1°/sec程度であり、傾転パターンと炉内残留スラグ体積を予め計算しておき、回帰式を作成しておけば、計算負荷も抑えられる。
他の方法としては、数値流体計算の代わりにモデル実験を行うことにより、同様の対応付けを行うこともできる。
尚、炉内残留スラグ体積の推定に際しては、転炉の形状の影響を受けるため、転炉毎に計算や実験を行い、上記の対応付けを行うことが必要となる。
〔鎮静特性および残留スラグ容積に基づいて炉内残留スラグ量を推定〕
次に、推定した鎮静特性、および、推定した残留スラグ容積推移に基づいて、炉内残留スラグ量を推定する。
脱珪または脱燐処理直後の時間をt=0とし、排滓開始時点(炉口からスラグが流出を開始する時点)をt=tとし、排滓終了時点をt=tとする。
s、tは、時間tにおける炉内全スラグの重量
f,tは、時間tにおける炉内の低密度スラグ層の体積
d,tは、時間tにおける炉内の高密度スラグ層の体積
s,tは、時間tにおける炉内の全スラグの体積
ρは、低密度スラグ層の嵩密度
ρは、高密度スラグ層の嵩密度
とする。なお、低密度スラグ層の嵩密度ρと高密度スラグ層の嵩密度ρは、一定値とする。
(t=0)
この場合、処理直後(t=0)での低密度スラグ層の体積Vf,0、および、高密度スラグ層の体積Vd,0は、(1)、(2)式を用いて求めることができる。


・・・(1)


・・・(2)
式(1)の左辺は、処理直後(排滓前)の炉内スラグ量Ws、0であり、物質収支計算で求めることができる。
式(2)の左辺は、t=0での炉内スラグ体積Vs,0であり、マイクロ波距離計または測定棒等により測定した結果を用いることができる。
(t=t
次に、排滓開始時点(t=t)のスラグ状態を求める。
処理直後から排滓開始時点までは、転炉からのスラグの排出がない。そのため、スラグ状態を推定するに際し、スラグの排出量(排出体積)を考慮する必要がない。そのため、以下の式(3)〜(5)を用いて求めることができる。

・・・(3)

・・・(4)

・・・(5)
排滓開始時点(t=t)の低密度スラグ層の体積Vf,t1は、推定した鎮静特性により、(3)式で求めることができる。(3)式の右辺の関数f(V,t,・・・)は、低密度スラグの体積の初期値Vf、0と経過時間t、その他のパラメータの関数である。低密度スラグの体積の変化が、低密度スラグの体積の初期値と経過時間に影響を受けることを考慮したものである。
一方、鎮静した低密度スラグ層は高密度スラグ層になるため、排滓開始時点の高密度スラグ層の体積Vd,t1は、物質収支計算から(4)式で表わされる。
また、排滓開始時点での炉内スラグ体積Vs,t1は、(5)式で表わされる。
(t1<t<t2)
次に、排滓開始から排滓終了までのスラグ状態の変化について考える。排滓開始から排滓終了までは、低密度スラグの鎮静と、傾転によるスラグの排出とが同時に進行する。そのため、鎮静挙動により排出挙動が影響を受け、排出挙動により鎮静挙動が影響を受ける。
そこで、この具体例では、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとに、鎮静挙動および排出挙動を推定することでスラグ状態(具体的には、低密度スラグ層の体積、高密度スラグ層の体積など)を逐次計算する。
<t<tのとき、ある現時点tでのスラグ状態と、次時点t+Δtのスラグ状態との関係は以下の式で表される。

・・・(6)

・・・(7)

・・・(8)
(6)式の右辺の2項目は、低密度スラグ層の鎮静挙動(具体的には、鎮静による低密度スラグ層の体積変化量)を表している。
現時点tの低密度スラグ層の鎮静挙動は、現時点tでの低密度スラグ層の体積Vf、tにより影響を受ける。そのため、(6)式の右辺の2項目の関数fには、現時点tでの低密度スラグ層の体積Vf、tが代入されている。
例えば、転炉を直立させたままの鎮静と異なり、排滓中(t<t<t)のある現時点tまでには排滓が進行している。そのため、現時点tでの低密度スラグ層の体積Vf、tは少なくなっている。したがって、現時点tでの鎮静速度(体積減少量)は、仮に転炉を直立させたままで鎮静させた場合の現時点tでの鎮静速度よりも通常小さくなる。
(6)式の3項目min(Vr、t+Δt−Vs、t,0)は、排出挙動(具体的には排出による低密度スラグ層の体積変化量)を表している。
r,t+Δtは、次時点t+Δtでの炉内残留スラグ体積(残留スラグ容積)を表わしており、現時点tでの炉内スラグ体積Vs、tのうち、次時点t+Δtでの炉内残留スラグ体積(残容積)Vr,t+Δtを超えた分の体積が上層側のスラグから炉外に排滓されるとしている。尚、この例では簡単のため、上層の低密度スラグ層のみが排出されるとしている。
一方、高密度スラグ層の体積は低密度スラグの鎮静分が増加するため(7)式で表わされる。
これを排滓開始時点(t)から排滓終了時点(t)まで逐次計算することにより、排滓終了時点(t)で炉内に残留した低密度スラグ層と高密度スラグ層の量(重量)を算出し、その合計量を炉内残留スラグ量(重量)の推定値とする。
〔補足説明〕
なお、上記具体例では、傾転パターン(傾転角度推移)に基づいて残留スラグ容積推移Vr,tを推定した上で、推定した残留スラグ容積と鎮静特性に基づいて、排出挙動(排出体積速度、(6)式の3項目であるmin(Vr、t+Δt−Vs、t,0))を推定する例を説明した。しかし、残留スラグ容積推移を推定することは必ずしも必要ない。
つまり、傾転パターンと鎮静特性に基づいて、残留スラグ容積推移を推定することなく、排出挙動(排出による体積変化量、具体的には(6)式の3項目に相当する部分)を推定してもよい。
また、上記具体例では、低密度スラグ層のみが排出されるとした計算を用いたが本発明はこれに限定されない。例えば、排滓終了間際において高密度スラグ層が排滓されることを考慮してそれに応じた補正をしてもよい。
また、上述した方法は、排滓中(排滓開始から排滓終了まで)を微小時間で区切った時間刻みごと炉内のスラグ状態に逐次計算するものである。そのため、炉内残留スラグ量が所望の量になるように転炉の傾転パターンをコントロールすることで、炉内残留スラグ量を制御する制御方法としても用いることができる。
また、上記説明では、転炉内のスラグ高さの測定を、転炉が直立した状態で行う方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。転炉が直立した状態で測定を行うことは、測定の容易さから好ましいが、転炉が直立した状態であることは必ずしも必要ない。
〔推定装置〕
次に、炉内残留スラグ量推定装置10について説明する。
炉内残留スラグ量推定装置10は、上述した実施形態に係る排滓重量推定方法を用いて炉内残留スラグ量を推定する装置である。炉内残留スラグ量推定装置10の構成を示す機能ブロック図を示すと図5のようになる。
すなわち、炉内残留スラグ量推定装置10は、鎮静特性推定部11と、炉内残留スラグ量推定部12と、を備えている。
鎮静特性推定部11は、排滓開始前の測定結果(スラグ高さ変化)から鎮静特性(例えば前述した関数f)を推定する。
炉内残留スラグ量推定部12は、鎮静特性推定部11で推定された鎮静特性、および、傾転パターン(傾転角度推移)に基づいて、炉内残留スラグ量の推定値を導出する。
具体的には、炉内残留スラグ量推定部12は、残容積推移推定部13と、排滓開始時スラグ状態推定部14と、逐次計算部15と、を備えている。
残容積推移推定部13は、傾転パターンから、炉内スラグ残容積の推移(残容積推移)を導出する。
排滓開始時スラグ状態推定部14は、鎮静特性推定部11で推定された鎮静特性に基づいて、排滓開始時のスラグ状態(例えば、低密度スラグの体積や高密度スラグの体積)を導出する。
逐次計算部15は、排滓開始から排滓終了までを微小時間で区切った時間刻みごとに、鎮静挙動(例えば、鎮静による低密度スラグの体積変化)と排出挙動(例えば、排出による低密度スラグの体積変化)を逐次計算する。
炉内残留スラグ量推定装置10は、例えば、図6に示すコンピュータ20によって実現することができる。コンピュータ20はCPU(Central Processing Unit)21、一時記憶領域を提供する主記憶装置22、及び不揮発性の記憶領域を提供する補助記憶装置23及び入出力インターフェース(I/F)24を備える。CPU21、主記憶装置22、補助記憶装置23及び入出力I/F24は、バス25を介して互いに接続されている。
補助記憶装置23は、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。補助記憶装置23には、コンピュータ20を炉内残留スラグ量推定装置10として機能させるための炉内残留スラグ量推定プログラム30が記憶されている。CPU21が、炉内残留スラグ量推定プログラム30を補助記憶装置23から読み出して主記憶装置22に展開し、炉内残留スラグ量推定プログラム30に記述されたプロセスを順次実行することで、コンピュータ20が、鎮静特性推定部11および炉内残留スラグ量推定部12として機能する。
以下に本発明の実施例および比較例について説明する。
但し、実施例の条件は本発明の実施可能性および効果を確認するために採用した条件の一例であり、本発明はこの例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいては、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
試験は350ton規模の上底吹き転炉で実施した。転炉の炉口内径は、約4.6m、転炉の直胴部内径は約6.6m、直胴部上端から炉口までの距離は約2.7mであった。
数値流体計算により、転炉の形状および想定される傾転パターンを入力条件として、炉内残留スラグ体積を計算した。それに基づき、当該転炉における傾転パターンと炉内残留スラグ体積の対応付けを行うための推定式(回帰式)を作成した。
次に、脱燐処理後であって排滓前にマイクロ波距離計で1分間スラグ高さを測定し、その高さ変化からフォーミング鎮静特性を推定し、その後の傾転による排滓中に傾転パターンに合わせて炉内に残留したスラグ量を微小時間毎に逐次計算し、炉内残留スラグ量(重量)を推定した。
その一例を図3A〜図3Cに示す。
図3Aは、排滓前にマイクロ波距離計でスラグ高さを測定し、その高さ変化からフォーミング鎮静特性を推定した結果を示す。
ここで、図中の破線はマイクロ波距離計による1分間のスラグ高さ測定結果、実線はマイクロ波距離計の測定値を基にフォーミング鎮静特性を推定する計算モデルのパラメータを算出して推定した結果である。
図3Bは、転炉の傾転パターン(傾転角度推移)を示す。図3Bに示すように、初期の1分間は、転炉を直立させておき、排滓前にマイクロ波距離計でスラグ高さを測定している。その後、傾転を開始し、フォーミングしたスラグが排滓鍋から溢出しないように傾転を行い、約83°で転炉から溶鉄が流出したため、排滓を完了した。
図3Cは、推定したフォーミング鎮静特性(図3Aの実線)と、実績の傾転パターン(図3B)とから推定した炉内残留スラグ量(重量)の経時変化である。
図3Cに示されるように、排滓終了時の炉内残留スラグ量(重量)の推定値は、秤量器による実秤値からの計算値と概ね一致している。
ここで、実秤値からの計算値は、物質収支計算で求めた排滓前の炉内スラグ量から排滓量の実秤値を差し引いて求めた。実秤値については、スラグ中に不可避的に混入している粒鉄分の量を除去する補正を行っている。補正方法としては、スラグの一部を採取し、その中に含まれている粒鉄分の比率を求め、その分を実秤値から差し引いた。
一方、本発明の方法では粒鉄分の補正は必要ない。
さらに、複数回の試験を実施し、炉内残留スラグ量について、実秤値からの計算値、本発明の方法による推定値、オペレータの目視による推定値、特許文献1の方法による推定値の比較を行った結果を図4に示す。
なお、ここでいう特許文献1の方法とは、最終傾転角度から流出中のスラグのヘッド分を考慮せずに炉内に残留しているスラグの体積を推定し、炉内に残留しているスラグの嵩密度を一定として推定する方法である。
秤量値との差異の平均値(平均誤差)を算出すると、本発明の方法で0.32ton、オペレータの目視による方法で1.10ton、特許文献1の方法で1.71tonであった。
オペレータの目視による方法での推定値が実秤値からの計算値よりも高めに偏倚した理由としては、成分はずれのリスクを回避する目的で炉内残留スラグ量を多めに見積もったためと考えられる。
特許文献1の方法での推定値が実秤値からの計算値よりも低めに偏倚した理由としては、炉内残留スラグの嵩密度が低めに見積もられていたことによると考えられる。但し、図4に示すように、特許文献1の方法での推定値は、計算値よりも低めに偏倚しているだけでなく、ばらつきも大きい。つまり、仮に炉内残留スラグの嵩密度を少し高めに見積もっていたとしても、嵩密度を一定としているため、ばらつきが大きい推定結果となる。
これに対して、本発明の方法による推定値が秤量値との差異が小さかった理由としては、本発明が以下の知見に基づいた推定方法であるためと考えられる。
すなわち、本発明の知見によれば、炉内残留スラグは、低密度スラグと高密度スラグが混在したものとなっており、フォーミング鎮静特性や傾転パターンの変化に伴いその割合が変化するため、炉内残留スラグの平均的な嵩密度も変化する考慮する必要がある。
さらに、本発明の知見によれば、炉内に残留しているスラグの体積の推定については、流出中のスラグのヘッド分を考慮することが精度の観点から好ましい。
以上、本発明によれば、簡便かつ精度の高い炉内残留スラグ量の推定が可能であることがわかる。
(実施例2)
実施例2では、副原料使用量の削減効果を評価する試験を実施した。
実施例1と同じ転炉を用いて実施した。
スクラップおよび溶銑を装入した後、溶銑量およびSi濃度に応じて、スラグが所定の塩基度となるように生石灰等の副原料を投入して溶銑の脱燐処理を行った。その後、転炉を傾転して炉口から上層のスラグの一部を排滓した後、再度転炉を直立させて副原料を添加し、引き続き脱炭処理を行った。この際、本発明の方法と従来のオペレータの目視による方法で炉内残留スラグ量を推定し、脱炭処理時に添加する副原料の量を決定した。
尚、副原料の量の決定方法については、物質収支から計算した炉内残留スラグの組成および推定した炉内残留スラグ量から、炉内残留スラグに含有されるCaO量およびSiO2量を計算し、脱炭処理時の成分はずれ防止に適したスラグ組成になるように(具体的には、脱炭処理時のスラグ中のCaOとSiO2の重量濃度比である(%CaO)/(%SiO2)が適正な範囲となるように)決定する。
本発明の方法では、従来の方法と比べて、同一の成品燐濃度レベルの鋼種で1チャージ当たり平均で約420kgの副原料使用量削減効果があることが確認できた。これは溶鋼tonあたり約25円のコスト改善効果に相当する。
1 マイクロ波距離計
2 測定棒
3 低密度スラグ層
4 高密度スラグ層
5 溶鉄
6 転炉
10 炉内残留スラグ量推定装置
11 鎮静特性推定部
12 炉内残留スラグ量推定部
13 残容積推移推定部
14 排滓開始時スラグ状態推定部
15 逐次計算部

Claims (10)

  1. 転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において排滓後に炉内に残留するスラグの量を推定する方法であって、
    脱珪または脱燐処理後かつ排滓開始前に、転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定する工程Aと、
    工程Aで測定した結果に基づいて、炉内スラグのフォーミング鎮静特性を推定する工程Bと、
    工程Bで推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、炉内残留スラグ量を推定する工程Cと、
    を含む
    ことを特徴とする炉内残留スラグ量の推定方法。
  2. 工程Cは、
    工程Bで推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとに、鎮静挙動および排出挙動を逐次計算する工程Dを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  3. 工程Cは、
    排滓開始時点のスラグ状態を、工程Bで推定した鎮静特性に基づいて推定する工程Eを含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  4. 工程Cは、
    転炉の傾転パターンに基づいて、残留スラグ容積推移を推定する工程Fと、
    工程Bで推定した鎮静特性、および、工程Fで推定した残留スラグ容積推移に基づいて、排滓中に同時に進行する鎮静挙動および排出挙動を推定する工程Gと、を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  5. 工程Gは、
    工程Bで推定した鎮静特性、および、工程Fで推定した残留スラグ容積推移に基づいて、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとにスラグ状態を逐次計算する工程Hを含む
    ことを特徴とする請求項4に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  6. 工程Gは、
    排滓開始時点のスラグ状態を、工程Bで推定した鎮静特性に基づいて推定する工程Iを含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  7. 工程Fでは、流出中のスラグのヘッド分に相当する体積を考慮して推定する
    ことを特徴とする請求項4〜請求項6の何れか一項に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  8. 工程Aは、マイクロ波距離計を使用して行う
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の炉内残留スラグ量の推定方法。
  9. 転炉での脱珪または脱燐処理後に転炉を傾転させることにより溶鉄を転炉内に残したまま炉口からスラグを排滓する操業において排滓後に炉内に残留するスラグの量を推定する装置であって、
    脱珪または脱燐処理後かつ排滓開始前に転炉内のスラグ高さを複数回または連続で測定した結果に基づいて、炉内スラグのフォーミング鎮静特性を推定する鎮静特性推定部と、
    前記鎮静特性推定部で推定した鎮静特性および転炉の傾転パターンに基づいて、炉内残留スラグ量を推定する炉内残留スラグ量推定部と、を備える
    ことを特徴とする炉内残留スラグ量の推定装置。
  10. 前記炉内残留スラグ量推定部は、
    転炉の傾転パターンに基づいて、残留スラグ容積推移を推定する残容積推移推定部と、
    排滓開始時点のスラグ状態を、前記鎮静特性推定部で推定した鎮静特性に基づいて推定する排滓開始時スラグ状態推定部と、
    前記鎮静特性推定部で推定した鎮静特性、および、前記残容積推移推定部で推定した残留スラグ容積推移に基づいて、排滓開始時点から排滓終了時点までを微小時間で区切った時間刻みごとにスラグ状態を逐次計算する逐次計算部と、を備える
    ことを特徴とする請求項9に記載の炉内残留スラグ量の推定装置。
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