JP6312394B2 - スルホン酸(塩)基を含有するポリアルキレングリコール系化合物の製造方法およびスルホン酸(塩)基含有ポリアルキレングリコール系化合物の組成物 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、(i)ポリアルキレングリコール系単量体(A)に由来する構造単位(a)と、(ii)カルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)、とを必須とするポリアルキレングリコール系重合体であって、上記ポリアルキレングリコール系単量体(A)は、下記一般式(R−1);
特許文献1には、上記ポリアルキレングリコール系重合体は、例えば洗浄時に極めて良好なCaイオン捕捉能や、高硬度下においても極めて良好な耐ゲル化能を示すことが開示されている。
上記不純物は、洗剤組成物の性能に全く寄与しないばかりか、洗剤組成物の安定性や安全面の観点から、該不純物を極力低減することが好ましい。
具体的には、上記一般式(R−1)で表される単量体には、中間体である下記一般式(1)で表される化合物の炭素炭素二重結合に、原料の亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)等が付加した下記一般式(3−1)で表される化合物および/または下記一般式(1)で表される化合物の炭素炭素二重結合とグリシジル基の両方に、亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)等が付加した下記一般式(3−2)、(3−3)で表される化合物が多量に含まれる。また、場合により、一般式(1)で表される化合物の原料である不飽和アルコールの炭素炭素二重結合に、原料の亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)等が付加した下記一般式(3−4)で表される化合物が含まれることもある。下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される化合物は、重合性の二重結合を有しないことから、重合後も不純物として存在し続けることになる。
本発明はまた、上記一般式(3−1)〜(3−4)で表される化合物に代表される上記一般式(3)で表される化合物の含有量の少ない、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の組成物を提供することを目的とする。
すなわち本発明の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、ナトリウム原子とカリウム原子の合計の含有量が、イオウ原子1モルに対して1.5〜5モルの割合である、下記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の製造方法である。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の組成物は、所定の不純物の含有量が低いので、重合体原料として使用したときに、重合体に含まれる所定の不純物またはそれに起因する不純物の含有量を低く設定することができる。よって、上記重合体は、洗剤組成物等各種薬剤の添加剤として、好ましく使用することができる。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、ナトリウム原子とカリウム原子との合計の含有量が、イオウ原子1モルに対して1.5〜5モルの割合である、下記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の製造方法である。
つまり、「反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子のモル数/反応液に含まれるイオウ原子のモル数」が1.5〜5ということである。
上記ナトリウム原子、カリウム原子、イオウ原子には、反応液中にイオンとして存在しているものも含まれる。
本発明において、反応液に含まれるナトリウム原子、カリウム原子、イオウ原子は、使用する原料、溶媒、触媒のそれぞれの原子の含有量から計算により算出しても良いが、誘電結合プラズマ発光分析装置(ICP発光分析装置)等によって、測定しても良い。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程における、ナトリウム原子やカリウム原子は、主として反応に使用する化合物に含まれるものであるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の反応触媒(ただし、使用しなくとも良い)として使用されるアルカリ化合物;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の反応原料である重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物に含まれる。
一方、イオウ原子も主として反応に使用する化合物に含まれるが、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の反応原料である重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物に含まれる。
本発明において、亜硫酸化合物とは、亜硫酸塩である。ここで、塩とは、特に限定されないが、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程において、重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物は、1種または2種以上で用いられる。2種以上で使用する場合には、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物のいずれか一方を2種以上で使用しても良く、重亜硫酸化合物の1種以上と亜硫酸化合物の1種以上とを併用しても良い。
上記一般式(3)で表される化合物の生成を顕著に低減することができる傾向にあることから、重亜硫酸化合物としては、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)および/または重亜硫酸カリウム(亜硫酸水素カリウム)を必須として使用することが好ましい。亜硫酸化合物としては、亜硫酸ナトリウムおよび/または亜硫酸カリウムを必須として使用することが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程における、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物との合計の使用量は、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物との合計のモル比が2/1〜1/2であることが好ましく、1.7/1〜1/1.7であることがより好ましく、1.4/1〜1/1.4であることがより好ましい。
重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物は、水溶液の形態で反応系に添加しても良い。
本発明において上記一般式(1)で表される化合物におけるnは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であって、1〜300の数である。nは、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物が用いられる用途に応じて、適宜選択すればよいが、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を効率よく製造することができる観点から、nは、1〜100であることが好ましく、2〜50であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。
上記炭素数2〜4のアルキレン基とは、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基である。エチレン基、プロピレン基であることが特に好ましい。アルキレン基は、1種でも2種以上でも構わない。2種以上の場合は、−R1−O−の構造はランダムに連続していても、交互に連続していても、ブロック状に連続していても良い。
上記一般式(1)で表される化合物におけるR3は、得られる一般式(2)で表される化合物の重合性が良好となることから、CH3基であることが好ましい。
R3は、CH2CH2基またはCH2基であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、(i)イソプレノール、(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物に、アルカリ化合物とエピハロヒドリンを反応させる方法、(ii)該不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物に、触媒存在下でエピハロヒドリンを反応させた反応物に、アルカリ化合物を反応させる方法、等により製造することができる。
上記(i)の反応におけるアルカリ化合物の使用量は、通常はモル比で、不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物/アルカリ化合物=15/1〜1/15であり、好ましくは5/1〜1/5であり、より好ましくは3/1〜1/3である。アルカリ化合物は水溶液の状態で使用しても良い。この場合、水(反応の進行に伴い副生する水も含む)を除去しながら反応を行っても良い。
上記(i)の反応におけるエピハロヒドリンの使用量は、通常はモル比で、不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物/エピハロヒドリン=1/1〜1/15であり、好ましくは1/1〜1/10であり、より好ましくは1/1〜1/5である。
上記(i)の反応は、必要に応じて相間移動触媒及び/又は溶媒の存在下行われる。
反応(ii−1)におけるエピハロヒドリンの使用量は、通常はモル比で、不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物/エピハロヒドリン=1/1〜1/30であり、好ましくは1/1〜1/10であり、より好ましくは1/1〜1/5である。
反応(ii−1)は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下で実施しても良い。
上記(ii−2)の反応におけるアルカリ化合物の使用量は、通常はモル比で、反応(ii−1)の反応物/アルカリ化合物=1/1〜1/100であり、好ましくは1/1〜1/50であり、より好ましくは1/1〜1/20である。アルカリ化合物は水溶液の状態で使用しても良い。
(ii−2)の反応は、溶媒の存在下で実施しても良い。
なお、上記反応(ii−1)の反応物とは、具体的には、下記の構造で表される。
上記(i)、(ii−1)、(ii−2)の反応における反応温度は、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。
上記エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が例示される。
本発明の製造方法に使用する上記一般式(1)で表される化合物は、脱塩や過剰なエピハロヒドリンの除去などの工程を行ってから上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程に使用することが好ましい。脱塩工程は沈降分離、遠心分離、ろ過、洗浄などにより実施することができ、特に限定されるものではない。脱塩工程の実施条件は、塩が充分に取り除かれるように適宜実施すれば良く、充分な分離速度が得られる点で、15℃〜100℃の温度で実施することが好ましい。過剰なエピハロヒドリンは蒸留、蒸発操作などによって容易に取り除くことができる。上記(i)、(ii−1)、(ii−2)の反応はバッチで行っても、連続で行っても良く、例えば、槽型、管型反応器のいずれの装置でも実施することができる。
本発明の製造方法において、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程は、上記のとおり、アルカリ化合物の存在下で反応しても良い。重亜硫酸化合物を使用する場合には、アルカリ化合物の存在下で反応することにより、反応収率が向上する傾向にある。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程で使用可能なアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、アミン類が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程における、任意成分であるアルカリ化合物の使用量は、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物との合計に対し、0モル%以上、400モル%以下が好ましく、0モル%以上、300モル%以下がより好ましく、0モル%以上、250モル%以下がさらに好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程におけるアルカリ化合物の使用量が多くなりすぎると、下記一般式(5)で表される、不純物が増加する傾向にある。
上記一般式(5)で表される化合物の含有量が多くなると、一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の組成物を重合体の原料として使用し、得られる重合体を水処理用途等に使用する場合の耐ゲル性等の性能が低下する傾向にあることから、上記一般式(5)で表される化合物は極力少なくすることが好ましい。
本発明において、重合禁止剤とは、反応液や原料中でラジカル連鎖反応の開始点となるラジカルの生成を抑制する、あるいは生成したラジカルの連鎖反応を停止させる機能を有する化合物であり、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(以下、「4H−TEMPO」とも言う)、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(以下、「TEMPO」とも言う)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシルのエステル等の1−オキシル類;o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、又は、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基若しくは水酸基等の1個若しくは2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類;ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;アルキル化ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン類;5,5−ジメチル−1−ピロリンNオキシド等のニトリキシルラジカル類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合禁止剤の存在下で上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させることにより、上記一般式(3)で表される化合物の生成をさらに低減することができる傾向にある。上記一般式(3)で表される化合物の生成をより低減することができる機構については十分には解明されていないが、二重結合への付加反応を起こしやすい「SO3 −ラジカル」の発生を抑制することに寄与しているものと推定される。上記重合禁止剤の中でも、上記一般式(3)で表される化合物の生成を低減する効果がより高い傾向にあることから、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、TEMPO、4H−TEMPOが好ましく、ヒドロキノン、p−メトキシフ
ェノール(メトキノン)、4H−TEMPOがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程における、重合禁止剤の使用量は、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物の合計の使用量に対して、質量比で(重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物は、ナトリウム塩として計算する)、0ppm以上、10000ppm以下であることが好ましく、1ppm以上、10000ppm以下であることがより好ましく、3ppm以上、9000ppm以下であることがさらに好ましく、5ppm以上、8000ppm以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を必須として含み、その他の工程を任意で含んでいても良い。その他の工程としては、例えば反応溶媒を使用した場合に濃縮または反応溶媒の除去を行なう工程、水および/または有機溶剤で希釈する工程、反応に使用した触媒等を除去する工程、反応に使用した重亜硫酸化合物や亜硫酸化合物を過酸化水素などで分解する工程、任意の反応触媒を使用した場合に、該反応触媒を失活させる工程、重合禁止剤や着色防止剤等を添加する工程、酸またはアルカリを添加する工程等が例示される。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う。)は、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を必須成分として含む。本発明の組成物は、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物のみを含んでいても良いが、他の成分を含んでいてもよい。本発明の組成物における、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の含有量は、本発明の組成物100質量%に対し、10質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、15質量%以上、99質量%以下であることがより好ましい。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の組成物は、重合体の原料として好ましく使用することができる。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の組成物は、上記一般式(3)で表される化合物の含有量が低いことから、重合体原料として使用した場合、重合体組成物に含まれる上記一般式(3)で表される化合物やそれに起因する不純物の含有量を低くすることが可能となる。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の組成物は、単独で重合体の原料としても良いが、他の単量体と共重合して重合体を製造しても良い。
上記他の単量体としては、アクリル酸、マレイン酸及びこれらの塩等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩等のスルホン酸基含有単量体;イソプレノールや(メタ)アリルアルコールのアルキレンオキシド付加物等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド系単量体;アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;イソブチレン、オクテン等のアルケン類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル等;が例示される。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物の組成物は、任意の方法で重合すればよく、例えば、特開2012−57096号公報に記載の方法で重合体を製造することができる。
<一般式(1)で表される化合物の定量>
下記条件にて、液体クロマトグラフィー(以下、「LC」)により定量した。
測定装置:Waters社製 2695
カラム:Fortis (Type:Phenyl 5μm , Size 4.6mmI.D. ×150mm)
溶離液:純水/アセトニトリル=5/5(vol%)
流速:0.5ml/min
温度:40℃
検出器:UV(210nm)
試料調整:試料0.5%溶液を、10μl注入。
LCで、下記測定条件により、一般式(1)で表される化合物の転化率と副生成物としての一般式(5)で表される化合物の収率を定量し、後述する1HNMRで、二重結合への重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物の付加率を評価することにより、一般式(3)で表される化合物を定量した。
(LC測定条件)
測定装置:日立ハイテクノロジーズ社製
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C8DD (5μm,Size4.6mmI.D.×250mm)
溶離液:10mMリン酸ナトリウム(pH6.8)/アセトニトリル=55/45(vol%)
流速:1mL/min
温度:40.0℃
検出器:RI
試料調整:試料1%溶液を、10μl注入。
(1HNMR測定条件)
試料を重水に溶解させ、1HNMRにより、二重結合への亜硫酸水素ナトリウムの付加率を評価した。
1HNMRの測定条件:
測定装置:Varian製「Unity Plus」400MHz
1HNMR(シングルパルス)、パルス角45°、パルス繰り返し時間3秒、積算回数16回。
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、イソプレノールのエチレンオキシド平均10モル付加物(以下、「IPN10」とも称する。水酸基価106.5(mgKOH/g))を57.9g、エピクロルヒドリン56.4g、48%NaOH13.7gを仕込み、50℃に保ちながら6時間攪拌させて、反応させた。反応後、生成する塩を除去した後、残った有機層からエピクロルヒドリンと水を除去して、中間体(A)(上記一般式(1)において、nが平均10であり、R1がCH2CH2基であり、R2がCH2CH2基であり、R3がCH3基である構造の化合物)を含む反応液を59.3g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、中間体(A)が48.9g、IPN10が3.6g含まれていた。
<実施例1>
パーソナル有機合成装置PPS−5511(EYELA社製)を用いて、 亜硫酸ナトリウム0.6g、48%NaOH0.5g、純水12.0gを仕込み、SO2換算で64%の亜硫酸水素ナトリウム(以下、「SBS」とも称する。)1.2g、上記反応液を、中間体(A)が7.0gになるように仕込んだ。その後、70℃で4時間反応させることにより、本発明の組成物(1)を得た。本発明の組成物(1)を1HNMR、液体クロマトグラフィーにより評価して、目的の化合物(一般式(2)において、R1がCH2CH2基、R2がCH2CH2基、R3がCH3基、nが平均10である構造の化合物、以下「IPES10」という)の生成を確認した。
評価結果を表1に示した。なお、表1における「IPED10」とは、上記一般式(5)において、R1がCH2CH2基、R2がCH2CH2基、R3がCH3基、nが平均10である構造の化合物を意味する。
実施例1において、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物の種類と使用量、48%NaOHの使用量、純水(表中「H2O」と表示)の使用量、窒素バブリングの有無、実施例7においては、4H−TEMPOの使用量、を表1のとおり変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物(2)〜(7)、比較組成物(1)を得た。
上記組成物の、製造処方、1HNMRによる評価結果を表1にまとめた。表1中の(K+Na)/Sは、反応液に含まれるナトリウム原子とカリウムイオンの合計のモル数を、イオウ原子のモル数で割った数値である。
表1において、「二重結合へのSBSの付加率(%)」が低いほど、一般式(3)で表される化合物の生成が少ないことを表す。具体的には、「二重結合へのSBSの付加率(%)」は1HNMRにより評価され、IPN10とIPES10とIPED10の合計のモル数に対する一般式(3)で表される化合物のモル数を%で表記した数値である。
表1からも明らかなように本発明の製造方法により、上記一般式(3)で表される化合物の副生を、大幅に低減できることが明らかとなった。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、ナトリウム原子とカリウム原子の合計の含有量が、イオウ原子1モルに対して1.6〜4.95モルの割合である、下記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の製造方法。
- 上記一般式(1)〜(2)、および下記一般式(5)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を含み、下記一般式(3)で表される化合物の含有量が、該一般式(1)〜(2)、および一般式(5)で表されるポリアルキレングリコール系化合物の合計100モル%に対し、0モル%以上、18モル%以下である、ポリアルキレングリコール系化合物の組成物。
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