JP2015120654A - スルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法およびスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物 - Google Patents

スルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法およびスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物 Download PDF

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亜希 金谷
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Abstract

【課題】所定の不純物の生成を大幅に抑制することができる、特定構造を有するスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物及び/又は亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、NaとKイオンの合計の含有量が、S1モルに対して1.55〜5モルの割合である、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法。
Figure 2015120654

(RはCHCH基、CH基又は単結合、RはH又はCH基、SO はスルホン酸(塩)基、Mは1価の正電荷を持った単原子イオン又は多原子イオン)
【選択図】なし

Description

本発明は、スルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法およびスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物に関する。より詳しくは、洗剤添加剤等として有用なスルホン酸(塩)基を含有する重合体の原料として用いることができるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法および該スルホン酸(塩)基を含有する化合物を含む組成物に関する。
従来より、スルホン酸(塩)基を含有する重合体は、水処理剤、洗剤用ビルダー、洗剤組成物、分散剤、洗浄剤など、幅広い分野で用いられている。
例えば、特許文献1には、(i)スルホン酸基含有単量体(A)に由来する構造単位(a)と、(ii)カルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)、とを必須とするスルホン酸基含有重合体であって、上記スルホン酸基含有単量体(A)は、下記一般式(R−1);
Figure 2015120654
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Y、Yは、水酸基、−SOMで表される構造の基、−ORSOMで表される構造の基、(Mは、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表し、Rは炭素数1〜10の置換または無置換のアルキレン基を表す。)、を表す(但しY、Yのいずれか一方は水酸基を表し、残りの一方は、−SOMまたは−ORSOMで表される構造の基を表す))、で表される構造を有し、上記スルホン酸基含有重合体は、上記重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対して、構造単位(a)を1〜99質量%含み、構造単位(b)を1〜99質量%含むことを特徴とするスルホン酸基含有重合体が開示されている。
特許文献1には、上記スルホン酸基含有重合体は、例えば洗浄時に極めて良好なCaイオン捕捉能や、高硬度下においても極めて良好な耐ゲル化能を示すことが開示されている。
特開2012−57095号公報
上記特許文献1のスルホン酸基含有重合体は、洗剤添加剤として良好な性能を示すものの、原料である上記一般式(R−1)で表される単量体は多くの不純物を含み、また、それらの不純物は、上記一般式(R−1)で表される単量体の精製で除去することは困難なことから、該スルホン酸基含有重合体を洗剤組成物に配合する場合、該不純物またはそれに起因する不純物が大量に配合されることになる。
上記不純物は、洗剤組成物の性能に全く寄与しないばかりか、洗剤組成物の安定性や安全面の観点から、該不純物を極力低減することが好ましい。
具体的には、上記一般式(R−1)で表される単量体には、中間体である下記一般式(R−2)で表される化合物の炭素炭素二重結合に、原料の亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)等が付加した下記一般式(R−3−1)で表される化合物および/または下記一般式(R−2)で表される化合物の炭素炭素二重結合とグリシジル基の両方に、亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)等が付加した下記一般式(R−3−2)、(R−3−3)で表される化合物が多量に含まれる。また、場合により、一般式(R−2)で表される化合物の原料である不飽和アルコールの炭素炭素二重結合に、原料の亜硫酸水素塩(重亜硫酸塩)等が付加した下記一般式(R−3−4)で表される化合物が含まれることもある。下記一般式(R−3−1)〜(R−3−4)で表される化合物は、重合性の二重結合を有しないことから、重合後も不純物として存在し続けることになる。
Figure 2015120654
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
Figure 2015120654
一般式(R−3−1)〜(R−3−4)において、Rは、水素原子またはCH基を表し、Mは、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、上記一般式(R−3−1)〜(R−3−4)で表される化合物に代表される下記一般式(3)で表される化合物の生成を大幅に抑制することができる、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法を提供することを目的とする。
Figure 2015120654
一般式(3)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表し(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)、Rは、グリシジル基、水素原子、−CHCH(OH)CHOH基、−CHCH(OH)CHSO 基(但し、SO はスルホン酸(塩)基を表し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)または−CHCH(OH)CHX基(但し、Xはハロゲン原子を表す)を表す。
Figure 2015120654
一般式(2)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表す(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)。
本発明はまた、上記一般式(R−3−1)〜(R−3−4)で表される化合物に代表される上記一般式(3)で表される化合物の含有量の少ない、上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち本発明の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、ナトリウム原子とカリウム原子の合計の含有量が、イオウ原子1モルに対して1.55〜5モルの割合である、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法である。
Figure 2015120654
一般式(1)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表す。
Figure 2015120654
一般式(2)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表す(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)。
本発明の別の局面からは、スルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物が提供される。すなわち、本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物は、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物を含み、下記一般式(3)で表される化合物の含有量が、該一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物100モル%に対し、0モル%以上、30モル%以下である、スルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物である。
Figure 2015120654
一般式(2)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表す(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)。
Figure 2015120654
一般式(3)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表し(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)、Rは、グリシジル基、水素原子、−CHCH(OH)CHOH基、−CHCH(OH)CHSO 基(但し、SO はスルホン酸(塩)基を表し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)または−CHCH(OH)CHX基(但し、Xはハロゲン原子を表す)を表す。
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法は、所定の不純物の生成を抑制し、高収率で目的のスルホン酸(塩)基を含有する化合物を製造することが可能となる。
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物は、所定の不純物の含有量が低いので、重合体原料として使用したときに、重合体に含まれる所定の不純物またはそれに起因する不純物の含有量を低く設定することができる。よって、上記重合体は、洗剤組成物等各種薬剤の添加剤として、好ましく使用することができる。
実施例1で得られたスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物のHNMRチャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、ナトリウム原子とカリウム原子とを合計で、イオウ原子1モルに対して1.55〜5モルの割合で含有する。
本発明において、「反応液は、ナトリウム原子とカリウム原子との合計の含有量が、イオウ原子1モルに対して1.55〜5モルの割合である」、とは、反応液に含まれる原料、溶媒、触媒に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計が、イオウ原子1モルに対して、1.55〜5モルの割合であることを表す。
つまり、「反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子のモル数/反応液に含まれるイオウ原子のモル数」が1.55〜5ということである。
上記ナトリウム原子、カリウム原子、イオウ原子には、反応液中にイオンとして存在しているものも含まれる。
本発明において、反応液に含まれるナトリウム原子、カリウム原子、イオウ原子は、使用する原料、溶媒、触媒のそれぞれの原子の含有量から計算により算出しても良いが、誘電結合プラズマ発光分析装置(ICP発光分析装置)等によって、測定しても良い。
反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計が、イオウ原子1モルに対して1.55〜5モルの割合であることにより、上記一般式(3)で表される化合物の生成が抑えられる理由は必ずしも明らかではないが、該反応においてイオウ原子は重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物等に含まれることになるが、ナトリウム原子やカリウム原子を含む化合物の存在が、二重結合への付加反応を起こしやすいと推定される「SO ラジカル」の発生を抑制することに寄与しているものと推定される。すなわち、HSO イオンはナトリウム原子やカリウム原子を含む化合物の存在下で、SO 2−イオンとして存在する傾向にあると考えられ、SO 2−イオンの方が、HSO イオンより、「SO ラジカル」が発生し難いのではないかと推定される。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程において、反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計は、イオウ原子1モルに対し、1.6〜4.5モルであることが好ましく、1.7〜3.5モルであることがより好ましく、1.8〜2.5モルであることがさらに好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程における、ナトリウム原子やカリウム原子は、主として反応に使用する化合物に含まれるものであるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の反応触媒(ただし、使用しなくとも良い)として使用されるアルカリ化合物;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の反応原料である重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物に含まれる。
一方、イオウ原子も主として反応に使用する化合物に含まれるが、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の反応原料である重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物に含まれる。
不純物の少ない組成物を得る観点から、反応には不必要な添加物の添加は最小限に設定することが好ましく、そのような観点からは上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程は、該反応に使用するアルカリ化合物、重亜硫酸化合物、および亜硫酸化合物に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計が、重亜硫酸化合物、および亜硫酸化合物に含まれるイオウ原子1モルに対し、1.55〜5モルの割合であることが好ましく、1.6〜4.5モルであることがより好ましく、1.7〜3.5モルであることがさらに好ましく、1.8〜2.5であることが特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程において、反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子のイオウ原子に対する割合を調整する方法としては、(i)水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のナトリウム原子やカリウム原子を含むアルカリ化合物の使用量(使用しない場合も含む)を調整する方法、(ii)使用する重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物の種類により、調整する方法(重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物以外のナトリウム原子やカリウム原子を含む化合物(典型的にはアルカリ化合物)を併用しても良い)等により、容易に調整することが可能である。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程においては、反応に使用する上記一般式(1)で表される化合物の一部と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物の一部とを、反応系に添加したときの反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計が、イオウ原子に対して上記の範囲になるように設定をすることが特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程においては、反応時間のなるべく多くの時間帯において、反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計が、イオウ原子に対して上記の範囲になるように設定をすることが好ましい。「反応時間のなるべく多くの時間帯」とは、例えば反応による上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の全生成量の内、50%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味することが好ましく、より好ましくは80%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味し、さらに好ましくは90%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味する。
本発明において、重亜硫酸化合物とは、重亜硫酸塩または重亜硫酸塩を発生させることができる化合物(ただし、後述する亜硫酸化合物は除く)であり、具体的には、重亜硫酸、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびこれらの塩が例示される。ここで、塩とは、特に限定されないが、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好ましい。
本発明において、亜硫酸化合物とは、亜硫酸塩である。ここで、塩とは、特に限定されないが、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程において、重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物は、1種または2種以上で用いられる。2種以上で使用する場合には、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物のいずれか一方を2種以上で使用しても良く、重亜硫酸化合物の1種以上と亜硫酸化合物の1種以上とを併用しても良い。
上記一般式(3)で表される化合物の生成を顕著に低減することができる傾向にあることから、重亜硫酸化合物としては、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)および/または重亜硫酸カリウム(亜硫酸水素カリウム)を必須として使用することが好ましい。亜硫酸化合物としては、亜硫酸ナトリウムおよび/または亜硫酸カリウムを必須として使用することが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程における、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物との合計の使用量は、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物との合計のモル比が2/1〜1/2であることが好ましく、1.7/1〜1/1.7であることがより好ましく、1.4/1〜1/1.4であることがより好ましい。
重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物は、水溶液の形態で反応系に添加しても良い。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程は、不活性ガス雰囲気下で反応を行なうことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で反応を行なうことにより、上記一般式(3)で表される化合物の生成が減少する傾向にある。本発明において、不活性ガス雰囲気下とは、気層部の酸素濃度が0〜15モル%の雰囲気下をいい、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスを導入することにより、不活性ガス雰囲気下とすることができる。上記酸素濃度は0〜12モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。
不活性ガス雰囲気下で反応を行なう方法としては、(I)反応開始前に反応容器に不活性ガスを導入して不活性ガス雰囲気下とした後に、反応を行なう方法、(II)反応開始以降に反応容器に不活性ガスを導入しながら反応を行なう方法等が例示される。好ましくは、上記(II)を必須とすることが好ましい。
上記(II)の方法において、不活性ガスの導入は、液層部に行なっても気層部に行っても良い。
不活性ガス雰囲気下で反応を行なうことにより、上記一般式(3)で表される化合物の生成が減少する理由については明らかではないが、二重結合への付加反応を起こしやすいと推定される「SO ラジカル」の発生を抑制することに寄与しているものと推定される。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程を不活性ガス雰囲気下で行なう場合、必ずしも全ての時間帯において不活性ガス雰囲気下で反応を行なわなくても上記一般式(3)で表される化合物の生成の減少の効果が得られる。ただし、反応時間のなるべく多くの時間帯において、不活性ガス雰囲気下で反応を行うことがより好ましい。「反応時間のなるべく多くの時間帯」とは、例えば反応による上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の全生成量の内、50%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味することが好ましく、より好ましくは80%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味し、さらに好ましくは90%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味する。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程は、重合禁止剤の存在下で行なわれることが好ましい。重合禁止剤の存在下で反応を行うことにより、上記一般式(3)で表される化合物の生成が、さらに減少する傾向にある。
本発明において、重合禁止剤とは、反応液や原料中でラジカル連鎖反応の開始点となるラジカルの生成を抑制する、あるいは生成したラジカルの連鎖反応を停止させる機能を有する化合物であり、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(以下、「4H−TEMPO」とも言う)、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(以下、「TEMPO」とも言う)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシルのエステル等の1−オキシル類;o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、又は、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基若しくは水酸基等の1個若しくは2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類;ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;アルキル化ジフェニルアミン、N,N‘−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン類;5,5−ジメチル−1−ピロリンNオキシド等のニトリキシルラジカル類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合禁止剤の存在下で上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させることにより、上記一般式(3)で表される化合物の生成をさらに低減することができる傾向にある。上記一般式(3)で表される化合物の生成をより低減することができる機構については十分には解明されていないが、二重結合への付加反応を起こしやすい「SO ラジカル」の発生を抑制することに寄与しているものと推定される。上記重合禁止剤の中でも、上記一般式(3)で表される化合物の生成を低減する効果がより高い傾向にあることから、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、TEMPO、4H−TEMPOが好ましく、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、4H−TEMPOがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程における、重合禁止剤の使用量は、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物の合計の使用量に対して、質量比で(重亜硫酸化合物および亜硫酸化合物は、ナトリウム塩として計算する)、0ppm以上、10000ppm以下であることが好ましく、1ppm以上、10000ppm以下であることがより好ましく、3ppm以上、9000ppm以下であることがさらに好ましく、5ppm以上、8000ppm以下であることが特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物を反応させる工程は、必ずしも全ての時間帯において重合禁止剤の存在下で反応を行なわなくても上記一般式(3)で表される化合物の生成の減少の効果が得られる。ただし、反応時間のなるべく多くの時間帯において、重合禁止剤の存在下で反応を行うことがより好ましい。「反応時間のなるべく多くの時間帯」とは、例えば反応による上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の全生成量の内、50%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味することが好ましく、より好ましくは80%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味し、さらに好ましくは90%〜100%が上記範囲の条件下で生成することを意味する。
上記一般式(1)で表される化合物は、公知の方法で製造することが可能である。例えば、特開2012−57095号公報に記載の方法が好ましく用いられる。
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、(i)イソプレノール、(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコールに、アルカリ化合物とエピハロヒドリンを反応させる方法、(ii)該不飽和アルコールに、触媒存在下でエピハロヒドリンを反応させた反応物に、アルカリ化合物を反応させる方法、等により製造することができる。
上記(i)の反応において、アルカリ化合物としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
上記(i)の反応におけるアルカリ化合物の使用量は、通常はモル比で、不飽和アルコール/アルカリ化合物=15/1〜1/15であり、好ましくは5/1〜1/5であり、より好ましくは3/1〜1/3である。アルカリ化合物は水溶液の状態で使用しても良い。この場合、水(反応の進行に伴い副生する水も含む)を除去しながら反応を行っても良い。
上記(i)の反応におけるエピハロヒドリンの使用量は、通常はモル比で、不飽和アルコール/エピハロヒドリン=1/1〜1/15であり、好ましくは1/1〜1/10であり、より好ましくは1/1〜1/5である。
上記(i)の反応は、必要に応じて相間移動触媒及び/又は溶媒の存在下行われる。
上記(ii)の方法における、不飽和アルコールとエピハロヒドリンとの反応(「反応(ii−1)とも言う」)で使用する触媒は、酸でも塩基でも構わないが、酸が好ましい。酸としては、ルイス酸でもブレンステッド酸でも構わないが、ルイス酸が好ましい。ルイス酸としては、一般的にルイス酸と呼ばれるものは使用できるが、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化錫、二塩化錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化マグネシウム、五塩化アンチモンなどが挙げられる。その使用量は、モル比で、通常は不飽和アルコール/触媒=1/0.0001〜1/0.1であり、好ましくは1/0.0005〜1/0.05であり、より好ましくは1/0.001〜1/0.03である。
反応(ii−1)におけるエピハロヒドリンの使用量は、通常はモル比で、不飽和アルコール/エピハロヒドリン=1/1〜1/30であり、好ましくは1/1〜1/10であり、より好ましくは1/1〜1/5である。
反応(ii−1)は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下で実施しても良い。
上記(ii)の方法における、反応(ii−1)の反応物とアルカリ化合物との反応(「反応(ii−2)とも言う」)におけるアルカリ化合物としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
上記(ii−2)の反応におけるアルカリ化合物の使用量は、通常はモル比で、反応(ii−1)の反応物/アルカリ化合物=1/1〜1/100であり、好ましくは1/1〜1/50であり、より好ましくは1/1〜1/20である。アルカリ化合物は水溶液の状態で使用しても良い。
(ii−2)の反応は、溶媒の存在下で実施しても良い。
なお、上記反応(ii−1)の反応物とは、具体的には、下記の構造で表される。
Figure 2015120654
一般式(4)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
上記(i)、(ii−1)、(ii−2)の反応における反応温度は、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。
上記エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が例示される。
上記一般式(1)で表される化合物は、上記のとおり、例えば、上記(i)、
(ii)の方法で製造することができるが、製造時に触媒を使用した場合には、そのまま触媒残存のまま、本発明の製造方法に使用しても良い。
本発明の製造方法に使用する上記一般式(1)で表される化合物は、脱塩や過剰なエピハロヒドリンの除去などの工程を行ってから上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程に使用することが好ましい。脱塩工程は沈降分離、遠心分離、ろ過、洗浄などにより実施することができ、特に限定されるものではない。脱塩工程の実施条件は、塩が充分に取り除かれるように適宜実施すれば良く、充分な分離速度が得られる点で、15℃〜100℃の温度で実施することが好ましい。過剰なエピハロヒドリンは蒸留、蒸発操作などによって容易に取り除くことができる。上記(i)、(ii−1)、(ii−2)の反応はバッチで行っても、連続で行っても良く、例えば、槽型、管型反応器のいずれの装置でも実施することができる。
本発明の製造方法で使用する上記一般式(1)で表される化合物は、得られる上記一般式(2)で表される化合物の重合性が良好となることから、一般式(1)中のRは、CH基であることが好ましい。RがCH基であることにより、上記一般式(1)で表される化合物の炭素炭素二重結合への重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物の付加反応が起こりやすくなるが、本発明の製造方法によれば、十分に炭素炭素二重結合への付加反応を抑制することができる。
本発明の製造方法において、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程は、上記のとおり、アルカリ化合物の存在下で反応しても良い。重亜硫酸化合物を使用する場合には、アルカリ化合物の存在下で反応することにより、反応収率が向上する傾向にある。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程で使用可能なアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、アミン類が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程における、任意成分であるアルカリ化合物の使用量は、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物との合計に対し、0モル%以上、300モル%以下が好ましく、0モル%以上、250モル%以下がより好ましく、0モル%以上、150モル%以下がさらに好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程におけるアルカリ化合物の使用量が多くなりすぎると、下記一般式(5)で表される、不純物が増加する傾向にある。
Figure 2015120654
一般式(5)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表す。
上記一般式(5)で表される化合物の含有量が多くなると、一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物を重合体の原料として使用し、得られる重合体を水処理用途等に使用する場合の耐ゲル性等の性能が低下する傾向にあることから、上記一般式(5)で表される化合物は極力少なくすることが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程は、必要に応じて溶媒の存在下行われる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、上記一般式(1)で表される化合物に対して、通常は0.005〜20倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜10倍質量の範囲である。
上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程における反応温度は、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である上記一般式(1)で表される化合物の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を必須として含み、その他の工程を任意で含んでいても良い。その他の工程としては、例えば反応溶媒を使用した場合に濃縮または反応溶媒の除去を行なう工程、水および/または有機溶剤で希釈する工程、反応に使用した触媒等を除去する工程、反応に使用した重亜硫酸化合物や亜硫酸化合物を過酸化水素などで分解する工程、任意の反応触媒を使用した場合に、該反応触媒を失活させる工程、重合禁止剤や着色防止剤等を添加する工程、酸またはアルカリを添加する工程等が例示される。
[本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物]
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う。)は、上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物を必須成分として含む。本発明の組成物は、上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物のみを含んでいても良いが、他の成分を含んでいてもよい。本発明の組成物における、上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の含有量は、本発明の組成物100質量%に対し、10質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、15質量%以上、99質量%以下であることがより好ましい。
上記一般式(2)において、Rは、上記一般式(2)で表される化合物の重合性が良好であることから、CH基であることが好ましい。上記一般式(2)および上記一般式(3)において、SO はスルホン酸(塩)基を表し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す。単原子イオンとしては、H、Li、Na、K等のアルカリ金属イオン、Ag、Cu等の遷移金属イオンが例示される。多原子イオンとしては、H、NH 、有機アミンのイオン等が例示される。なお、上記スルホン酸(塩)基とは、スルホン酸基またはスルホン酸塩基を表し、スルホン酸基とは、上記MがHの形態である。
本発明の組成物は、上記一般式(3)で表される化合物の含有量が少ないことを特徴としており、本発明の組成物における、上記一般式(3)で表される化合物の含有量は、本発明の組成物に含まれる上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物100モル%に対し、0モル%以上、30モル%以下であることが好ましく、0モル%以上、24モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、15モル%以下であることがさらに好ましく、0モル%以上、1モル%以下であることが特に好ましい。
本発明の組成物は、上記アルカリ化合物を含んでいてもよく、上記アルカリ化合物の含有量は、上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物100モル%に対し、0〜500モル%であることが好ましく、0〜250モル%であることがより好ましく、0〜200モル%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物は、上記重合禁止剤を含んでいてもよく、上記重合禁止剤の含有量は、本発明の組成物に対し、0〜5000ppmであることが好ましく、10〜5000ppmであることがより好ましく、20〜4000ppmであることがさらに好ましい。
本発明の組成物は、上記一般式(5)で表される化合物の含有量が少ないことが好ましく、本発明の組成物における、上記一般式(5)で表される化合物の含有量は、本発明の組成物に含まれる上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物100モル%に対し、0モル%以上、40モル%以下であることが好ましく、0モル%以上、30モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、20モル%以下がさらに好ましい。
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、水が好ましい。本発明の組成物における、溶剤の含有量は、本発明の組成物100質量%に対し、0質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、0質量%以上、80質量%以下であることがより好ましい。
本発明の組成物は、その他、重亜硫酸化合物、亜硫酸化合物や、上記以外の副生成物等を含んでいても良い。
本発明の組成物は、好ましくは、上記本発明の製造方法(上記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法)と同様の方法で製造することが好ましいが、その他の方法、例えば、本発明の製造方法において、上記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程における反応液に含まれるナトリウム原子とカリウム原子の合計が、イオウ原子1モルに対して1.55〜5モルの割合を外れる範囲で、重合禁止剤を重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物の合計に対して10〜5000ppm使用する方法で製造しても良い。
[本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物の用途]
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物は、重合体の原料として好ましく使用することができる。
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物は、上記一般式(3)で表される化合物の含有量が低いことから、重合体原料として使用した場合、重合体組成物に含まれる上記一般式(3)で表される化合物やそれに起因する不純物の含有量を低くすることが可能となる。
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物は、単独で重合体の原料としても良いが、他の単量体と共重合して重合体を製造しても良い。
上記他の単量体としては、アクリル酸、マレイン酸及びこれらの塩等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩等のスルホン酸基含有単量体;イソプレノールや(メタ)アリルアルコールのアルキレンオキシド付加物等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド系単量体;アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;イソブチレン、オクテン等のアルケン類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル等;が例示される。
本発明のスルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物は、任意の方法で重合すればよく、例えば、特開2012−57095号公報に記載の方法で重合体を製造することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<一般式(1)で表される化合物の定量>
下記条件にて、液体クロマトグラフィー(以下、「LC」)により定量した。
測定装置:Waters社製 2695
カラム:Fortis (Type:Phenyl 5μm , Size 4.6mmI.D. ×150mm)
溶離液:純水/アセトニトリル=5/5(vol%)
流速:0.5ml/min
温度:40℃
検出器:UV(210nm)
試料調整:試料0.5%溶液を、10μl注入。
<一般式(3)で表される化合物の定量>
LCで、下記測定条件により、一般式(1)で表される化合物の転化率と副生成物としての一般式(5)で表される化合物の収率を定量し、後述するHNMRで、二重結合への重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物の付加率を評価することにより、一般式(3)で表される化合物を定量した。
(LC測定条件)
測定装置:日立ハイテクノロジーズ社製
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C8DD (5μm,Size4.6mmI.D.×250mm)
溶離液:10mMリン酸ナトリウム(pH6.8)/アセトニトリル=55/45(vol%)
流速:1mL/min
温度:40.0℃
検出器:RI
試料調整:試料1%溶液を、10μl注入。
HNMR測定条件)
試料を重水に溶解させ、HNMRにより、二重結合への亜硫酸水素ナトリウムの付加率を評価した。
HNMRの測定条件:
測定装置:Varian製「Unity Plus」400MHz
HNMR(シングルパルス)、パルス角45°、パルス繰り返し時間3秒、積算回数16回。
<一般式(1)で表される化合物の合成例>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた500mL4つ口フラスコに、イソプレノール129.2g、エピクロルヒドリン277.6g、テトラメチルアンモニウムクロライド1.7gを仕込み、内温を50℃に保ちながら48%NaOH60.0gを滴下後、2時間攪拌して反応させた。反応後、生成する塩を除去した後、残った有機層からエピクロルヒドリンと水を除去して、中間体(A)(上記一般式(1)において、RがCHCH基であり、RがCH基である構造の化合物)を81.6g得た。
<実施例1>
パーソナル有機合成装置PPS−5511(EYELA社製)を用いて、SO換算で64%の亜硫酸水素ナトリウム(以下、「SBS」とも称する。)2.5g、48%NaOH1.3g、純水9.5g、中間体(A)3.5gを仕込んだ。その後、70℃で4時間反応させることにより、本発明の組成物(1)を得た。本発明の組成物(1)をHNMR、液体クロマトグラフィーにより評価して、目的の化合物(一般式(2)において、RがCHCH基、RがCH基である構造の化合物、以下「IPES0」という)の生成を確認した。
製造処方、HNMRによる評価結果を表1に示した。
<実施例2〜5、比較例1>
実施例1において、重亜硫酸化合物と亜硫酸化合物の種類と使用量、48%NaOHの使用量、純水(表中「HO」と表示)の使用量、窒素バブリングの有無、4H−TEMPOの使用量を表1のとおり変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物(2)〜(5)、比較組成物(1)を得た。
上記組成物の、製造処方、HNMRによる評価結果を表1にまとめた。表1中の(K+Na)/Sは、反応液に含まれるナトリウム原子とカリウムイオンの合計のモル数を、イオウ原子のモル数で割った数値である。
Figure 2015120654

表1において、「二重結合へのSBSの付加率(%)」が低いほど、一般式(3)で表される化合物の生成が少ないことを表す。具体的には、「二重結合へのSBSの付加率(%)」はHNMRにより評価され、イソプレノールとIPES0とIPED0の合計のモル数に対する一般式(3)で表される化合物のモル数を%で表記した数値である。
表1からも明らかなように本発明の製造方法により、上記一般式(3)で表される化合物の副生を、大幅に低減できることが明らかとなった。
表2に、本発明の組成物(1)〜(5)の組成をまとめた。
表2の「一般式(5)の化合物」は、一般式(5)において、RがCHCH基、RがCH基である構造の化合物である。
Figure 2015120654

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、重亜硫酸化合物および/または亜硫酸化合物とを反応させる工程を含み、該工程における反応液は、ナトリウム原子とカリウムイオンの合計の含有量が、イオウ原子1モルに対して1.55〜5モルの割合である、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物の製造方法。
    Figure 2015120654
    一般式(1)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表す。
    Figure 2015120654
    一般式(2)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表す(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)。
  2. 下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物を含み、下記一般式(3)で表される化合物の含有量が、該一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基を含有する化合物100モル%に対し、0モル%以上、30モル%以下である、スルホン酸(塩)基を含有する化合物の組成物。
    Figure 2015120654
    一般式(2)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表す(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)。
    Figure 2015120654
    一般式(3)において、RはCHCH基、CH基または単結合を表わし、Rは水素原子またはCH基を表し、SO はスルホン酸(塩)基を表し(但し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)、Rは、グリシジル基、水素原子、−CHCH(OH)CHOH基、−CHCH(OH)CHSO 基(但し、SO はスルホン酸(塩)基を表し、Mは1価の正電荷を持った単原子イオンまたは多原子イオンを表す)または−CHCH(OH)CHX基(但し、Xはハロゲン原子を表す)を表す。
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