以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による自動販売機100の構成について説明する。
本実施形態による自動販売機100は、図1に示すように、缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品105を冷却または加熱(加温)して販売する機器である。また、自動販売機100は、ヒートポンプ機能を有する冷媒回路装置6(図3参照)を備えており、冷媒回路装置6を使用して冷却室内の商品105を冷却する際に得た熱を加熱室側に移動させて加熱室内の商品105を加温する熱利用方式を有している。また、冷媒回路装置6は、庫外熱交換器22(図3参照)を備えており、冷却の必要がなくなったときに庫外熱交換器22から得た大気熱源を利用して加熱室を加熱(加温)する熱利用方式へも切替可能に構成されている。なお、商品105は、本発明の「飲食物入り容器」の一例である。
自動販売機100は、図1および図2に示すように、本体キャビネット1と、外扉2と、内扉3と、隔壁部材4と、商品収容庫5と、冷媒回路装置6と、冷媒回路装置6を収納する機械室7と、制御部8とを備えている。ここで、図1に示すように、商品収容庫5は、互いに独立する右庫5a、中庫5bおよび左庫5cからなる。右庫5aは右側(X1側)に配置され、中庫5bは中央に配置され、左庫5cは左側(X2側)に配置されている。また、右庫5aは2列分が確保され、中庫5bは1列であり、左庫5cは3列分が確保されている。また、自動販売機100では、右庫5aおよび中庫5bを冷却専用庫とするとともに、左庫5cを冷却/加熱兼用庫としている。なお、本明細書における右側および左側は、それぞれ、自動販売機100を正面(外扉2の側)から見た場合の右方(X1側)および左方(X2側)を示す。また、本体キャビネット1は、内部が隔壁部材4によって上下に隔てられることにより、上側に配置された商品収容庫5と下側に配置された機械室7とに区画されている。
また、右庫5a、中庫5bおよび左庫5cは、断熱性を有する仕切部材5dによって互いに仕切られている。また、冷媒回路装置6は、制御部8による指令に基づき、右庫5a、中庫5bおよび左庫5cを個々に加熱または冷却するように構成されている。なお、左庫5cは、本発明の「収容庫」の一例である。
また、図2に示すように、商品収容庫5(左庫5c)には、縦長状の商品収納ラック5eが設けられている。なお、図2には、左庫5cの部分での商品収容庫5の内部構造(断面図)を示しているが、右庫5aおよび中庫5bの内部構造についても左庫5cと略同様である。また、右庫5a、中庫5bおよび左庫5cを構成する各列に個々に配置された商品収納ラック5eは、前方側(Y1側)の第1部分5fと、後方側(Y2側)の第2部分5gとからなる。なお、第1部分5fの下端部は、第2部分5gの下端部よりも下方(矢印Z2方向)まで延びている。また、本体キャビネット1の内面には、商品収納ラック5eを取り囲むようにして断熱材9が設けられている。
また、各々の商品収納ラック5eは、Z2側の下端部近傍に配置された搬出機構部5hと、商品105を商品取出口2aまで導くための搬出シュータ10とを有している。これにより、商品収容庫5(右庫5a、中庫5bおよび左庫5c)においては、商品105を下部(Z2側)から上部(Z1側)に向かって積層した状態で収容するとともに商品105を下部側から搬出シュータ10を介して庫外(商品取出口2a)に排出可能に構成されている。また、搬出シュータ10には、厚み方向に沿って空気(冷却空気または加熱空気)が流通可能な複数の貫通孔(図示せず)が設けられている。
冷媒回路装置6は、図3に示すように、主回路20と、高圧冷媒導入回路30と、放熱回路40と、バイパス回路50とによって構成された冷媒回路60を備えている。また、冷媒回路60は、内部に冷媒(たとえば、R134a)が所定量封入されている。また、主回路20は、圧縮機21と、流路切替弁61と、庫外熱交換器22と、ドライヤ23と、電子膨張弁24a〜24cと、逆止弁25と、キャピラリ管26a〜26cと、庫内熱交換器27a〜27cと、これらを順次接続する冷媒配管28とによって構成されている。なお、庫内熱交換器27cは、本発明の「庫内熱交換器」の一例である。また、電子膨張弁24cおよびキャピラリ管26cは、本発明の「膨張部」の一例である。
また、冷媒回路装置6は、送風ファン71と、送風ファン72a〜72cとをさらに備えている。送風ファン71は、図2に示すように、庫外熱交換器22の背面側(Y2側)に設けられている。なお、圧縮機21、庫外熱交換器22および送風ファン71は、機械室7に設置されている。また、送風ファン71は、機械室7の前面側(Y1側)から吸引した空気を庫外熱交換器22に流通させて背面側(Y2側)から外部に排出する役割を有している。なお、送風ファン72cは、本発明の「送風部」の一例である。
また、庫内熱交換器27a、27bおよび27c(図3参照)は、それぞれ、右庫5a、中庫5bおよび左庫5cの内底部領域でかつ奥側(Y2側)に配置されている。そして、送風ファン72aは、庫内熱交換器27aの前方(Y1側)に配置されるとともに、送風ファン72bは、庫内熱交換器27bの前方に配置されている。また、送風ファン72cは、庫内熱交換器27cの前方に配置されている。また、図2に示すように、商品収容庫5には、互いに断熱された背面ダクト74a〜74cが設けられている。
左庫5cに対応する背面ダクト74cを例に説明すると、背面ダクト74cは、左庫5cの背面(Y2側)に沿って上下方向に延びるとともに下端部が庫内熱交換器27cの背面側にまで達している。これにより、庫内熱交換器27cにより冷却または加熱(加温)された空気は、送風ファン72cにより左庫5cの下端部から前方向(矢印Y1方向)に流れ、搬出シュータ10の複数の貫通孔(図示せず)を通過しながら斜め上方に向きを変えて上方向(矢印Z1方向)に流通される。そして、商品105が積層された商品収納ラック5eを前方側の第1部分5fから後方側の第2部分5gに向けて流れて背面ダクト74cに回収される。そして、商品105を冷却または加熱した後の空気は、背面ダクト74cを介して再び庫内熱交換器27cに流通されるように構成されている。なお、この点については中庫5bおよび左庫5cについても同様である。
また、商品収容庫5には、現在の空気温度を検出するためのセンサが設けられている。具体的には、図3に示すように、右庫5aにおける前方側の第1部分5f(図2参照)の下端部(Z2側)に空気温度センサ82aが取り付けられ、中庫5bにおける前方側の第1部分5f(図2参照)の下端部に空気温度センサ82bが取り付けられ、左庫5cにおける前方側の第1部分5f(図2参照)の下端部に空気温度センサ82cが取り付けられている。この場合、各々の第1部分5fの下端部には、搬出機構部5hを駆動するための電気配線などを通すための配線ダクト5jが取り付けられている。配線ダクト5jは、樹脂製であり、空気が通過可能なスリット(通気口)が多数形成されている。そして、左庫5cにおいては、配線ダクト5jの内部に空気温度センサ82cが取り付けられている。このように、空気温度センサ82a〜82cは、それぞれ、商品収容庫5(右庫5a、中庫5bおよび左庫5c)内の下部近傍の空気温度が検出可能な位置に取り付けられている。また、空気温度センサ82a〜82cは、配線ダクト5jを介して制御部8に電気的に接続されている。なお、空気温度センサ82cは、本発明の「空気温度検出部」の一例である。
詳細は後述するが、自動販売機100では、庫内熱交換器27cを凝縮器として機能させて左庫5c内を加熱することに加えて、冷媒回路装置6内の流路を切り替えることにより、冷却運転時に庫内熱交換器27cを蒸発器として機能させて左庫5c内を冷却するように構成されている。また、冷却運転および加熱運転に関係なく、右庫5a、中庫5bおよび左庫5cに関して、空気温度センサ82a〜82cの検出結果に基づいて、電子膨張弁24a〜24cおよび電子膨張弁42の開度、および、圧縮機21の回転数が制御されることにより、庫内熱交換器27a〜27cの各々の能力(冷却能力または加熱能力)が個別に制御されるように構成されている。
なお、庫内熱交換器27cの前方(Y1側)には、加熱用の補助ヒータ73cが設けられている。これにより、所定の運転条件(設置環境)下では、補助ヒータ73cにより加熱された空気が送風ファン72cにより左庫5cに導入されるように構成されている。
圧縮機21は、吸入口を通じて吸入されたガス冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出する役割を有する。また、本実施形態では、圧縮機21には、回転数制御に基づき冷媒吐出量が制御可能なインバータ制御式圧縮機が用いられる。庫外熱交換器22は、圧縮機21で圧縮された冷媒が通過する場合には、冷媒と送風ファン71により送風される外気(空気)との間の熱交換により冷媒を凝縮(液化)させる機能を有する。なお、庫外熱交換器22と圧縮機21とを接続する冷媒配管28には、流路切替弁61が設けられている。流路切替弁61の役割については、後述する。
また、主回路20は、ドライヤ23の下流側における分岐部P1において、互いに並列接続された庫内熱交換器27a〜27cの3つの経路に分岐されている。すなわち、庫外熱交換器22と庫内熱交換器27a〜27cとを接続する冷媒配管28は、分岐部P1で3つに分岐して、右庫5aに設置された庫内熱交換器27aの入口側、中庫5bに配設された庫内熱交換器27bの入口側、および、左庫5cの内部に配設された庫内熱交換器27cの入口側にそれぞれ接続されている。
なお、庫内熱交換器27aは、右庫5aの温度制御に使用され、庫内熱交換器27bは、中庫5bの温度制御に使用され、庫内熱交換器27cは、左庫5cの温度制御に使用される。また、庫内熱交換器27aの経路には、電子膨張弁24aとキャピラリ管26aとが設けられている。庫内熱交換器27bの経路には、電子膨張弁24bとキャピラリ管26bとが設けられている。庫内熱交換器27cの経路には、電子膨張弁24cとキャピラリ管26cとが設けられている。電子膨張弁24a〜24cおよびキャピラリ管26a〜26cは、それぞれ、電子膨張弁24a〜24cの弁開度を調整して冷媒流量を制御するとともに、庫外熱交換器22で凝縮した冷媒を減圧して断熱膨張させる機能を有する。なお、電子膨張弁24aとキャピラリ管26aとの間には逆止弁25が接続されている。逆止弁25は、後述する高圧冷媒導入回路30から庫内熱交換器27cへと通流する冷媒が電子膨張弁24c側へと逆流することを防止する役割を有する。
なお、庫内熱交換器27a〜27cには、熱交温度センサ81a〜81cがそれぞれ取り付けられている。具体的には、熱交温度センサ81a〜81cは、庫内熱交換器27a〜27cを構成する伝熱管(冷媒配管)の部分に取り付けられている。また、熱交温度センサ81a〜81cは、共に、制御部8に電気的に接続されている。また、熱交温度センサ81a〜81cの検出温度に基づいて庫内熱交換器27a〜27cの温度が制御部8により把握されるように構成されている。なお、熱交温度センサ81cは、本発明の「庫内熱交換器温度検出部」の一例である。
また、庫内熱交換器27aに関する経路を代表して説明する。電子膨張弁24aは、パルス制御により駆動されるステッピングモータの駆動力を利用して弁機構が開閉駆動される。これにより、開度に応じてキャピラリ管26aを介して庫内熱交換器27aに流入する冷媒流量が細かく制御される。庫内熱交換器27aは、電子膨張弁24aから供給された気液二相冷媒を蒸発させる機能を有する。冷媒は、庫内熱交換器27aを流通する際に蒸発潜熱を得ながら蒸発し、この際、右庫5aを流通する空気から熱が奪われる。なお、庫内熱交換器27aには、伝熱管内部を冷媒が流通するフィンアンドチューブ型の空気熱交換器が用いられる。なお、庫内熱交換器27bおよび27cに関する経路についても同様である。
また、庫内熱交換器27a〜27cの各々の出口側に接続された冷媒配管28は、合流部P2および合流部P3において順次合流される。そして単一の流路となった冷媒配管28は、圧縮機21の吸入側に接続されている。ここで、庫内熱交換器27cの出口側から合流部P2に至る冷媒配管28の途中には電磁弁62が設けられている。電磁弁62は、開閉可能な弁体であり、制御部8から「開指令」が与えられた場合には開状態となって冷媒の通過を許容する。また、一方、制御部8から「閉指令」が与えられた場合には閉状態となって冷媒の通過を規制する。
高圧冷媒導入回路30は、圧縮機21の吐出側と庫内熱交換器27cの入口側とを直接的に接続する経路である。すなわち、高圧冷媒導入回路30は、三方弁からなる流路切替弁61と高圧冷媒導入配管31とを備える。また、高圧冷媒導入配管31は、庫内熱交換器27cの入口側の冷媒配管28の部分に合流するように構成されている。高圧冷媒導入回路30は、圧縮機21により圧縮され高温高圧状態となった冷媒を庫外熱交換器22を経由させることなく庫内熱交換器27cに導入する際に使用される。また、流路切替弁61は、圧縮機21で圧縮した冷媒を庫外熱交換器22へ送出する第1送出状態と、圧縮機21で圧縮した冷媒を高圧冷媒導入回路30へ送出する第2送出状態とを択一的に切り換えるための電磁弁である。また、流路切替弁61の切換動作は、制御部8の指令に基づいて行われる。
本実施形態では、高圧冷媒導入回路30を通じて圧縮機21により圧縮された冷媒が庫内熱交換器27cに供給された場合に、庫内熱交換器27cを通過する冷媒を凝縮させて対象となる左庫5cの内部空気を加熱(加温)する役割を有している。
放熱回路40は、庫内熱交換器27cの出口側(冷媒配管28の途中の分岐部P4)と、主回路20における庫外熱交換器22の入口側(冷媒配管28の途中の合流部P5)とを接続する経路である。放熱回路40は、電子膨張弁42とキャピラリ管43とを備えている。電子膨張弁42およびキャピラリ管43は、電子膨張弁42の弁開度を調整して放熱配管41を通過する冷媒流量を制御するとともに、冷媒を減圧して断熱膨張させる役割を有する。また、キャピラリ管43と主回路20との間には、逆止弁44が設けられている。逆止弁44は、主回路20を通流する冷媒がキャピラリ管43側へと逆流することを防止する役割を有する。これにより、放熱回路40は、庫内熱交換器27cにおいて凝縮した冷媒を庫外熱交換器22に供給する役割を有している。この場合、庫外熱交換器22は、自身を通過する冷媒と周囲空気(機械室7内を通過する空気)との間で熱交換させるものである。
バイパス回路50は、庫外熱交換器22の下流側(冷媒配管28の途中の分岐部P6)と、圧縮機21の吸入側(冷媒配管28の途中の合流部P7)とを接続する経路である。バイパス回路50は、電磁弁63を備えている。電磁弁63は、開閉可能な弁体であり、制御部8から「開指令」が与えられた場合には開状態となって冷媒の通過を許容する。また、制御部8から「閉指令」が与えられた場合には閉状態となって冷媒の通過を規制する。
上記のように構成された冷媒回路装置6は、次のようにして商品収容庫5に収容された商品105を冷却または加熱(加温)するように構成されている。
まず、CCC運転(冷却単独運転)を行う場合について説明する。CCC運転は、右庫5a、中庫5bおよび左庫5cを全て冷却する運転モードである。この場合、制御部8は、流路切替弁61を第1送出状態に切り替え、電子膨張弁42および電磁弁63に「閉指令」を与え、電子膨張弁24a〜24cおよび電磁弁62に対して「開度制御指令」および「開指令」を与える。これにより、圧縮機21で圧縮された冷媒は、図5において矢印で示された方向に循環される。
すなわち、図5に示すように、圧縮機21で圧縮された冷媒は、第1送出状態にある流路切替弁61を経由して庫外熱交換器22に流通される。冷媒は、庫外熱交換器22を流通する過程で外気との熱交換により凝縮する。庫外熱交換器22で凝縮(液化)した冷媒は、ドライヤ23を経由して分岐部P1で3つに分岐した後、電子膨張弁24a〜24cおよびキャピラリ管26a〜26cでそれぞれ断熱膨張される。なお、熱交温度センサ81a〜81cにより各々検出された冷媒温度に基づいて電子膨張弁24a〜24cの開度が制御される。この場合、熱交温度センサ81a〜81cにより各々検出された冷媒温度に基づいて電子膨張弁24a〜24cの開度が制御されることにより、庫内熱交換器27a〜27cの各々における冷媒の過熱度制御が行われる。
そして、膨張後の冷媒は、庫内熱交換器27a、庫内熱交換器27bおよび庫内熱交換器27cの各々を流通する過程で右庫5a、中庫5bおよび左庫5cの内部空気との熱交換により蒸発する。これにより、内部空気は冷却される。冷却された内部空気は、送風ファン72a〜72cの駆動により右庫5a、中庫5bおよび左庫5cの各々を循環する。これにより、商品収容庫5に収容された商品105は、循環する内部空気によって冷却される。また、庫内熱交換器27a〜27cの各々において蒸発した冷媒は、合流部P2および合流部P3で順次合流した後、圧縮機21に吸引される。そして、冷媒は、圧縮機21で圧縮されて上述した循環を繰り返す。
次に、HCC運転(ヒートポンプ運転)を行う場合について説明する。HCC運転は、加熱対象となる左庫5cの内部空気を加熱(加温)するとともに、冷却対象となる右庫5aおよび中庫5bを冷却する運転モードである。この場合、制御部8は、流路切替弁61を第2送出状態に切り替え、電磁弁63、電子膨張弁24cおよび電磁弁62に対して「閉指令」を与え、電子膨張弁42に対して「開指令」を与え、電子膨張弁24aおよび24bに対して「開度制御指令」を与える。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図6において矢印で示された方向に循環される。
すなわち、図6に示すように、圧縮機21で圧縮された冷媒は、第2送出状態にある流路切替弁61および高圧冷媒導入配管31を経由して庫内熱交換器27cに流通される。冷媒は、庫内熱交換器27cを流通する過程で左庫5cの内部空気との熱交換により凝縮する。これにより左庫5cの内部空気は加熱(加温)される。加熱された内部空気は、送風ファン72cの駆動により、左庫5cの内部を循環する。これにより、左庫5cに収容された商品105は、循環する内部空気により加熱される。
また、庫内熱交換器27cにおいて凝縮(液化)した冷媒は、放熱回路40を構成する放熱配管41に設けられた電子膨張弁42およびキャピラリ管43を通過して合流部P5において冷媒配管28(主回路20)に流入される。その後、冷媒は、庫外熱交換器22に流通されるとともに庫外熱交換器22において周囲空気(機械室7内部の空気)に放熱する。庫外熱交換器22で放熱した冷媒は、ドライヤ23を経由して開度制御状態の電子膨張弁24aおよび24bとキャピラリ管26aおよび26bとを順次流通する。なお、熱交温度センサ81aおよび81bにより各々検出された冷媒温度に基づいて電子膨張弁24aおよび24bの開度が制御されることにより、庫内熱交換器27aおよび27bの各々における冷媒の過熱度制御が行われる。
また、電子膨張弁24aおよびキャピラリ管26aを通過して断熱膨張した冷媒は、庫内熱交換器27aにおいて蒸発して右庫5aの内部空気から熱を奪って冷却する。同様に、電子膨張弁24bおよびキャピラリ管26bを通過して断熱膨張した冷媒は、庫内熱交換器27bにおいて蒸発して中庫5bの内部空気から熱を奪って冷却する。冷却された内部空気は、送風ファン72aおよび72bの駆動により、右庫5aおよび中庫5bの内部をそれぞれ循環する。これにより、右庫5aおよび中庫5bに収容された商品105は、循環する内部空気により冷却される。また、庫内熱交換器27aおよび庫内熱交換器27bで蒸発した冷媒は、圧縮機21に吸引される。そして、冷媒は、圧縮機21で圧縮されて上述した循環を繰り返す。
なお、自動販売機100では、上述したCCC運転およびHCC運転に加えて、右庫5aおよび中庫5bの商品105を冷却する必要がなくなったときに、左庫5cのみの内部空気を加熱(加温)する加熱単独運転を行うことも可能に構成されている。
加熱単独運転が行われる場合、制御部8は、流路切替弁61を第2送出状態にさせ、電磁弁62および電子膨張弁24a〜24cの全てに対して「閉指令」を与え、電子膨張弁42に対して「開度制御指令」を与え、電磁弁63に対して「開指令」を与える。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図7において矢印で示された方向に循環される。
すなわち、図7に示すように、圧縮機21で圧縮された冷媒は、第2送出状態にある流路切替弁61および高圧冷媒導入配管31を経由して庫内熱交換器27cに流通される。冷媒は、庫内熱交換器27cを流通する過程で左庫5cの内部空気との熱交換により凝縮する。これにより左庫5cの内部空気は加熱(加温)される。加熱された内部空気は、送風ファン72cの駆動により、左庫5cの内部を循環する。これにより、左庫5cに収容された商品105は、循環する内部空気により加熱される。
また、庫内熱交換器27cにおいて凝縮(液化)した冷媒は、放熱回路40を構成する放熱配管41に設けられた電子膨張弁42およびキャピラリ管43を通過して断熱膨張される。その後、冷媒は、合流部P5を経て庫外熱交換器22に流通されるとともに庫外熱交換器22において蒸発する。すなわち、庫外熱交換器22は蒸発器として機能する。この際、冷媒は、周囲空気(機械室7内部の空気)から熱を得る。庫外熱交換器22で蒸発した冷媒は、分岐部P6から分岐するバイパス配管51を経由して合流部P7において冷媒配管28に合流して圧縮機21に吸引される。そして、冷媒は、圧縮機21で圧縮されて上述した循環を繰り返す。
ここで、本実施形態では、HCC運転(図6参照)または加熱単独運転(図7参照)が開始される際に、次のような運転制御が行われるように構成されている。具体的には、上記した加熱運転時に、凝縮器として機能させる庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御が行われる。なお、圧縮機21は、通常運転時の回転数に対して約15%以上約20%以下の範囲で低下された回転数で運転される。この際、熱交温度センサ81cにより検出(把握)された庫内熱交換器27cの温度Tcが空気温度センサ82cにより検出された左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御が行われる。そして、回転数が低下された状態で圧縮機21が所定時間運転された状態で庫内熱交換器27cの温度Tcが上昇して左庫5c内の空気温度Taに等しくなったことに基づいて、圧縮機21の回転数が通常運転時よりも低い回転数から通常運転時(定常的な加熱運転時)の回転数に変更され、かつ、送風ファン72cが始動される制御が行われる。
また、本実施形態では、熱交温度センサ81cにより検出(把握)された庫内熱交換器27cの温度Tcが空気温度センサ82cにより検出された左庫5c内の空気温度Taに等しくなったことに基づいて、まず、圧縮機21の回転数を通常運転時よりも低い回転数から通常運転時(定常的な加熱運転時)の回転数に変更される。そして、圧縮機21の回転数が通常運転時の回転数に戻された後に、送風ファン72cを始動する制御が行われるように構成されている。そして、図2に示すように、庫内熱交換器27cの温度Tcが十分に温まった状態で左庫5c内の空気が背面ダクト74cを介して庫内熱交換器27cに導入されるとともに、庫内熱交換器27cで加熱(加温)された後、左庫5c内の第1部分5f側に送出されるように構成されている。これにより、左庫5c内の第1部分5f側の下部に収容された商品105から順に順次加熱される。
上記の制御に伴う運転状態を、図8を参照して説明する。すなわち、自動販売機100(図3参照)が左庫5c(図3参照)内を加熱する加熱運転開始時の運転状態の一例として、時間(横軸)に対する圧縮機21(図3参照)の回転数、左庫5c内の空気温度Taおよび庫内熱交換器27c(図3参照)の温度Tcの推移(いずれも縦軸)を、実線を用いて図8に示す。なお、図8には、自動販売機100の運転状態(実線)に加えて、比較例として、加熱運転の開始とともに圧縮機21を通常運転時の回転数で始動し、かつ、送風ファン72cを始動した場合の左庫5c内の空気温度Taおよび庫内熱交換器27cの温度Tcの推移について、破線を用いて示す。
まず、本実施形態における自動販売機100では、時間t1で加熱運転が開始された場合、圧縮機21は、通常運転時よりも低い回転数(通常運転時に対して約15%以上約20%以下の範囲で低下された回転数)で運転される。また、時間t1では、送風ファン72cは始動されない。そして、圧縮機21により圧縮された高温高圧状態のガス冷媒が庫内熱交換器27cへと送り込まれる。したがって、送風ファン72cの停止期間(時間t1から時間t3までの間)中、時間経過とともに庫内熱交換器27cを流通する冷媒の温度が顕著に上昇する。また、これにより、庫内熱交換器27cの温度Tcも顕著に上昇する。
そして、時間t2において熱交温度センサ81c(図3参照)に基づく庫内熱交換器27cの温度Tcが、左庫5c内の空気温度Taに等しくなったとする。これにより、まず、圧縮機21の回転数が通常運転時の回転数に変更(増加)される。この場合、圧縮機21の回転数の増加に応じて庫内熱交換器27cを流通する冷媒の温度も一時的に上昇する。その後、時間t2よりも若干後の時間t3において送風ファン72cが始動される。これにより、庫内熱交換器27c全体が十分に温まった状態で、庫内熱交換器27cを通過する空気が確実に加熱されるとともに左庫5c内へと導入される。したがって、左庫5c内の空気温度Taは、時間t3以降、急激に上昇する。また、左庫5c内を循環される空気温度Taの上昇とともに庫内熱交換器27cを流通する冷媒の温度もさらに上昇するので、庫内熱交換器27cの温度Tcもさらに上昇する。そして、時間t4において左庫5c内の空気温度Taが予め設定された温度(たとえば、約55℃)に達した場合、サーモオフ制御によって左庫5c内を加熱する加熱運転が停止される。すなわち、圧縮機21の運転が停止されるとともに、送風ファン72cの運転も停止される。
一方、比較例においては、時間t1での加熱運転の開始とともに圧縮機21を通常運転時の回転数で運転し、かつ、送風ファン72cを始動する。そして、左庫5c内を加熱する加熱運転は、時間t1から時間t4まで一義的に継続される。比較例では、加熱運転開始直後は、送風ファン72cが始動されるので、十分に加熱されていない左庫5c内の相対的に冷たい空気が強制的に庫内熱交換器27cを通過する。このため、庫内熱交換器27cは冷風に晒されて冷やされる場合も生じ得る。したがって、圧縮機21が通常運転時の回転数で運転されるにも拘らず、庫内熱交換器27cを流通する冷媒(ガス冷媒)の温度は、なかなか上昇せず、その変化は緩慢な上昇傾向を示す(図8における破線グラフを参照)。これにより、庫内熱交換器27cの温度Tcも緩慢にしか上昇されず、左庫5c内の空気温度Taもなかなか上昇しない。そして、時間t4において左庫5c内の空気温度Taが予め設定された温度(たとえば、約55℃)に達した場合、左庫5c内を加熱する加熱運転が停止される。すなわち、圧縮機21が停止されるとともに、送風ファン72cが停止される。
このように、比較例では、送風ファン72cが運転開始から始動されるため、左庫5c内の空気温度Taを徐々にしか上昇させることができない。また、比較例では、時間t1から時間t4までの間、圧縮機21に対して通常運転時の回転数を得るための電力を投入し続けるにも拘らず、自動販売機100の場合と同じ時間(時間t4−時間t1)をかけて左庫5c内を所定温度(約55℃)まで加熱することしかできない。すなわち、時間t1から時間t3までの間も圧縮機21が通常運転時の回転数で運転される分、電力は無駄に費やされてしまう。また、送風ファン72cも時間t1から始動されるので、電力の消費増大につながる。また、たとえ、時間t1から時間t3までの間、送風ファン72cを停止したとしても、自動販売機100の場合とほぼ同じ時間t2において左庫5c内の空気温度Taに庫内熱交換器27cの温度Tcが到達する。それにも拘らず、圧縮機21が通常運転時の回転数で運転される分、圧縮機に投入された電力が左庫5c内の加熱に有効に寄与しないので、圧縮機21への電力投入が結果として無駄になる。
これに対して、本実施形態における自動販売機100では、より少ない電力を圧縮機21に投入して庫内熱交換器27cの温度Tcを左庫5c内の空気温度Taに早期に到達させている。この場合、電力消費のない送風ファン72cが停止された状態では庫内熱交換器27cが熱交換性能を有効に発揮する状態ではないので、庫内熱交換器27cの温度Tcは、通常運転時(定常的な加熱運転時)よりも低い回転数で運転された圧縮機21を用いても圧縮機21の通常運転時の場合とほぼ同等の時間t2までで早期に上昇させることが可能である。その結果、本実施形態では、加熱運転時の自動販売機100全体の消費電力を抑制しつつ、送風ファン72cの始動後に確実に左庫5c内を加熱する運転状態が実現されている。
また、本実施形態では、左庫5c内を冷却していた冷却運転状態(図5参照)から左庫5c内を加熱する加熱運転状態(図6または図7参照)に切り替られた際に、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御が行われるように構成されている。これにより、冷却運転時に低温の蒸発器として機能していた庫内熱交換器27cを、加熱運転への切り替えとともに、消費電力を抑制しつつ左庫5c内を加熱するのに十分な温度に高められた凝縮器へと早期に切り替えることが可能に構成されている。この点でも、加熱運転開始時の圧縮機21の回転数抑制制御および送風ファン72cの停止制御から得られる効果(消費電力の抑制効果)は大きい。
また、自動販売機100の制御的な構成としては、図4に示すように、CPUからなる制御部8に加えて、ROM8aおよびRAM8bが設けられている。制御部8は、熱交温度センサ81a〜81cおよび空気温度センサ82a〜82cからの入力信号に基づいて所定の判断を行う。また、その判断結果に基づいて、冷媒回路装置6を適切に運転する制御が行われる。本実施形態における自動販売機100は、上記のように構成されている。
次に、図1、図4および図6〜図9を参照して、本実施形態による自動販売機100によって加熱運転(HCC運転または加熱単独運転)が行われる際の制御部8による処理フローについて説明する。なお、以下の処理フローでは、左庫5c(図1参照)が冷却される冷却運転から左庫5cが加熱される加熱運転に切り替えられた際の処理フローについて説明する。
まず、ステップS1では、図9に示すように、加熱運転要求が発生したか否かが制御部8(図4参照)により判断される。また、ステップS1の判断は、加熱運転要求が発生するまで繰り返される。ステップS1において加熱運転要求が発生したと判断された場合、ステップS2では、流路切替弁および電磁弁が切り替えられる。HCC運転(図6参照)の場合には、制御部8により流路切替弁61が第2送出状態に切り替えられるとともに、電磁弁63、電子膨張弁24cおよび電磁弁62が閉状態に切り替えられる。また、加熱単独運転(図7参照)の場合には、制御部8により流路切替弁61が第2送出状態に切り替えられるとともに、電磁弁62および電子膨張弁24a〜24cの全てが閉状態に切り替えられる。
そして、ステップS3では、制御部8により圧縮機21(図4参照)が始動される。この際、圧縮機21は、通常運転時よりも低い回転数(通常運転時に対して約15%以上約20%以下の範囲で低下された回転数)で運転される。そして、ステップS4では、加熱対象となる左庫5c(図4参照)の空気温度Taが制御部8により取得される。すなわち、空気温度センサ82c(図4参照)の検出値に基づいて左庫5cの現在の空気温度Taが制御部8により把握される。また、ステップS5では、加熱対象となる庫内熱交換器27cの温度Tcが制御部8により取得される。すなわち、熱交温度センサ81c(図4参照)の検出値に基づいて庫内熱交換器27cの現在の温度Tcが制御部8により把握される。
そして、ステップS6では、庫内熱交換器27cの現在の温度Tcが、左庫5cの現在の空気温度Taに等しくなったか否か(温度Tc=空気温度Taか否か)が制御部8により判断される。ステップS6において庫内熱交換器27cの現在の温度Tcが左庫5cの現在の空気温度Taに等しくないと判断された場合には、ステップS4およびS5に戻り、温度Tcおよび空気温度Taが再び取得される。すなわち、ステップS4〜S6を繰り返すことによって、庫内熱交換器27cの現在の温度Tcが、左庫5cの現在の空気温度Taに到達したか否かが、制御部8により繰り返し判断される。
そして、ステップS6において庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5cの空気温度Taに等しくなったと判断された場合には、ステップS7において、制御部8により圧縮機21の回転数がそれまでの低い回転数から通常運転時(定常的な加熱運転時)の回転数に変更(増加)される。そして、ステップS8では、加熱対象となる庫内熱交換器27cの送風ファン72c(図4参照)が始動される。
その後、ステップS9では、加熱運転停止要求が発生したか否かが制御部8により判断される。また、ステップS9の判断は、加熱運転停止要求が発生するまで繰り返される。ステップS9において加熱運転停止要求が発生したと判断された場合、ステップS10では、圧縮機21が停止されるとともに、送風ファン72cが停止される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図9に示した本制御フローが実行される。このようにして、制御部8による加熱運転時の制御が行われる。なお、図示していないが、冷却運転要求が発生した場合には、冷媒回路装置6を構成する電磁弁などが適宜切り替えられて冷却運転(CCC運転:図5参照)が開始される。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、加熱運転時に、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御を行う制御部8を設けている。これにより、より少ない電力を圧縮機21に投入して庫内熱交換器27cの温度Tcを左庫5c内の空気温度Taに到達させることができる。すなわち、送風ファン72cが停止された状態では庫内熱交換器27cが熱交換性能を有効に発揮する状態ではないので、庫内熱交換器27cの温度Tcを、通常運転時(定常的な加熱運転時)よりも低い回転数で運転された圧縮機21を用いても圧縮機21の通常運転時の場合とほぼ同等の時間で早期に上昇させることができる。その結果、加熱運転時の消費電力を抑制しつつ送風ファン72cの始動後に確実に左庫5c内を加熱することができる。
また、本実施形態では、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなった(達した)ことに基づいて、圧縮機21の回転数を通常運転時よりも低い回転数から通常運転時の回転数に変更するとともに送風ファン72cを始動する制御を行うように制御部8を構成する。これにより、送風ファン72cが始動された状態では凝縮器として機能する庫内熱交換器27cが左庫5c内を有効に加熱するので、圧縮機21の回転数を通常運転時の回転数に戻して庫内熱交換器27c(凝縮器)における排熱量を有効に増加させることができる。これにより、圧縮機21の消費電力に見合った加熱能力を得ることができる。
また、本実施形態では、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなった(達した)ことに基づいて、圧縮機21の回転数を通常運転時よりも低い回転数から通常運転時の回転数に変更した後に、送風ファン72cを始動する制御を行うように制御部8を構成する。これにより、送風ファン72cを始動した後に圧縮機21の回転数を通常運転時の回転数に戻す場合と異なり、送風ファン72c始動後の庫内熱交換器27cの温度Tc(冷媒の凝縮温度)の一時的な低下を圧縮機21の回転数上昇によって緩和することができる。すなわち、庫内熱交換器27cから左庫5c内に導入される空気温度Taの一時的な低下を抑制することができるので、左庫5c内を安定的(継続的)に加熱することができる。
また、本実施形態では、左庫5c内の空気温度Taを検出する空気温度センサ82cと、庫内熱交換器27cの温度Tcを検出する熱交温度センサ81cとを設ける。そして、加熱運転時に、熱交温度センサ81cにより検出された庫内熱交換器27cの温度Tcが空気温度センサ82cにより検出された左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御を行うように制御部8を構成する。これにより、空気温度センサ82cおよび熱交温度センサ81cの各々の検出結果に基づいて、加熱運転開始時における圧縮機21の回転数制御および送風ファン72cの運転制御を正確に行うことができる。すなわち、通常運転時よりも低い回転数で圧縮機21を運転する時間(時間t2−時間t1)および送風ファン72cの停止時間(時間t3−時間t1)を最小限に留めることができるとともに、最適なタイミングで通常の加熱運転(時間t3〜時間t4)に移行することができる。その結果、加熱運転効率を高く維持することができる。
また、本実施形態では、左庫5cは、缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品105を下部から上部に向かって積層した状態で収容するとともに商品105を下部側から庫外に排出可能に構成されている。そして、左庫5c内の下部近傍の空気温度Taが検出可能な位置に空気温度センサ82cを取り付ける。これにより、左庫5c内に積層された複数の商品105のうち庫外に先に排出(販売)される商品105まわりの空気温度Taに基づいて、庫内熱交換器27cの温度Tcがこの空気温度Taに達するまで送風を行わないようにすることができる。そして、庫内熱交換器27cの温度Tcが庫外に先に排出(販売)される商品105まわりの空気温度Taとなった状態で送風を開始することができるので、消費電力を抑制しつつ先に販売される商品105から順に確実に加熱することができる。したがって、所定温度(たとえば、約55℃)に加熱された商品105を常にユーザに供給することができる。
また、本実施形態では、庫内熱交換器27cにより左庫5c内を加熱することに加えて、冷却運転時に電子膨張弁24cおよびキャピラリ管26cにより膨張された冷媒を庫内熱交換器27cで蒸発させることにより左庫5c内を冷却するように構成されている。そして、左庫5c内を冷却していた冷却運転状態から左庫5c内を加熱する加熱運転状態に切り替られた際に、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御を行うように制御部8を構成する。これにより、冷却運転時に低温の蒸発器として機能し冷えていた庫内熱交換器27cを、加熱運転への切り替えとともに、加熱運転時の消費電力を抑制しつつ左庫5c内を加熱するのに十分な温度Tcに高められた凝縮器へと早期に切り替えることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、冷却単独運転(CCC運転)、ヒートポンプ運転(HCC運転)および加熱単独運転が互いに切替可能に構成された自動販売機100に対して本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷却単独運転とヒートポンプ運転とのみが切替可能な自動販売機に対して本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、加熱運転時に庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなるまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御を行うように制御部8を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Ta近傍に達するまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72cを停止する制御を行うように構成していればよい。すなわち、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taよりも若干下回る場合および若干上回る場合のいずれのタイミングにおいても、圧縮機21の回転数の増加(通常運転時に戻す制御)および送風ファン72cの停止から始動への切り替えを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなったことに基づいて、圧縮機21の回転数を通常運転時よりも低い回転数から通常運転時の回転数に変更した後に、送風ファン72cを始動する制御を行うように制御部8を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Taに等しくなったことに基づいて、送風ファン72cを始動した後に、圧縮機21の回転数を通常運転時よりも低い回転数から通常運転時の回転数に変更する制御を行うように制御部8を構成してもよいし、圧縮機21の回転数の変更と送風ファン72cの始動とを同じタイミングで行ってもよい。
また、上記実施形態では、右庫5aおよび中庫5bを冷却専用庫とするとともに、左庫5cを冷却/加熱兼用庫として自動販売機100を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、右庫5aのみを冷却専用庫とするとともに、中庫5bおよび左庫5cを冷却/加熱兼用庫として自動販売機を構成してもよい。すなわち、加熱運転時に、熱交温度センサ81bの検出値に基づいて把握された庫内熱交換器27bの温度が空気温度センサ82bにより検出された中庫5b内の空気温度近傍に達し、かつ、庫内熱交換器27cの温度Tcが左庫5c内の空気温度Ta近傍に達するまで、圧縮機21を通常運転時よりも低い回転数で運転するとともに送風ファン72bおよび72cを停止する制御を行うように制御部8を構成してもよい。なお、この場合の加熱運転も、ヒートポンプ運転(HHC運転)および加熱単独運転を含む。なお、この変形例においては、中庫5bは、本発明の「収容庫」の一例である。また、熱交温度センサ81bおよび空気温度センサ82bは、それぞれ、本発明の「庫内熱交換器温度検出部」および「空気温度検出部」の一例である。また、送風ファン72bは、本発明の「送風部」の一例である。
また、上記実施形態では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品105を販売する自動販売機100に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、容器内に飲食物が封入された商品105として販売する自動販売機100であれば、液体飲料などに限らず容器内に固形物からなる飲食物が封入された商品を販売する自動販売機に対しても本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、空気温度センサ82cを左庫5cにおける第1部分5fの下端部に取り付けた例について示したが、本発明はこれに限られない。加熱対象となる収容庫でかつ最も優先的に加熱が必要とされる商品の現在の空気温度を検出することが可能な位置であれば、上記以外の場所に空気温度センサ82cを取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、冷媒にR134aを用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、R134aの代替冷媒として温暖化係数の小さいHFO−1234yfなどを冷媒に用いてもよい。あるいは、二酸化炭素(CO2)冷媒や他の自然冷媒などを用いて冷媒回路装置6を構成してもよい。
また、上記実施形態では、1台の圧縮機21を用いて冷媒回路装置6を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、1つの冷凍サイクル(冷凍サイクルを構成する冷媒回路装置6)に対して複数台の圧縮機21が並列接続(タンデム配置)されていてもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部8の自動販売機100の加熱運転に関する制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行う「フロー駆動型」のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部8の処理を、イベント単位で処理を実行する「イベント駆動型(イベントドリブン型)」の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。