以下、本発明の実施の形態の自動販売機を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態の自動販売機が従来の自動販売機と相違する点は、商品収納ラックに搭載される商品搬出装置の下部に着脱自在に係止される配線収納カバーの収納空間に庫内温度センサを配設した点であり、その他の構成については従来の自動販売機と同一である。従って、以下では従来の自動販売機と重複する説明は割愛し、主に商品搬出装置と配線収納カバーとについて説明する。
図1乃至図4に示すように、背中合わせに抱き合せてなるペアの商品搬出装置BM,BMは、それぞれ同一構成の薄板鋼板製になる浅い箱形に形成された基板1,1を備えている。基板1,1の背面側には、それぞれ同一構成の第1ストッパ部材3,第2ストッパ部材4、回動ストッパ5,下部リンクピン61(図3,図4参照)および上部リンクピン62(図3,図4参照)を支持するリンク機構6が配設され、基板1,1の正面側(商品収納通路183側)には、商品が起立するのを防止する起立防止部材101と、基板1と商品収納通路183に突出した第2ストッパ部材4との隙間を塞ぐ閉鎖板102が配設されている。なお、103(図2乃至図4参照)は悪戯防止部材である。
背中合わせに抱き合せてなるペアの商品搬出装置BM,BMにおいては、図2乃至図4に示した一方の商品搬出装置BMの基板1の背面側に単一のモータ駆動ユニット7と、売切れ検出スイッチ80(後述する図14,図15等参照)が配設されるともに当該売切れ検出スイッチ80と前記モータ駆動ユニット7に内蔵されたモータ71(後述する図13参照)等の電装品の配線をガイドする配線ガイド8などが配設されている点である。つまり、一方の商品搬出装置BMに電装品を配備し、他方の商品搬出装置BMには電装品を配備しないように構成されている。前記背中合わせに抱き合せてなるペアの商品搬出装置BM,BMにおける基板1,1の下部には配線ガイド8から引き出された配線W0およびこの配線W0に接続された接続用カプラCP0を収納して保護する配線収納カバー9が着脱自在に取付けられている。なお、ペアの商品搬出装置BM,BMが、図26に示した商品収納ラック180の左右のラック側板181,181に架設される上下のピン部材に背中合わせに抱き合せた状態で商品収納ラック180に搭載される点は従来装置と同一である。この場合、一方の商品搬出装置BMが図26の商品収納ラック180に前後方向に並べて形成した商品収納通路183の前方から1列目の商品収納通路183に対峙し、他方の商品搬出装置BMが2列目の商品収納通路183に対峙する。
前記背中合わせに抱き合せてなるペアの商品搬出装置BM,BMの構成は、前述したとおり一方の商品搬出装置BMにモータ駆動ユニット7および配線ガイド8が配設される点を除いて同一の構成であり、以下では主の商品搬出装置BMを中心に説明する。ここで、前記モータ駆動ユニット7および配線ガイド8が配設された一方の商品搬出装置BMを「主の商品搬出装置BM」、他方の商品搬出装置BMを「従の商品搬出装置BM」とも称し、また、主の商品搬出装置BMと従の商品搬出装置BMに配設された部品を区別する場合には、従の商品搬出装置BMに配設される部品の参照符号の後に「A」を付して説明(例えば、前述した第1ストッパ部材3の場合、主の商品搬出装置BMの第1ストッパ部材は参照符号の「3」、従の商品搬出装置BMの第1ストッパ部材は「3A」として説明)する。なお、上下左右とは自動販売機を前方から見た場合の方向を指す。
商品搬出装置BMの基板1は、図5,図6に示すように、上下左右の縁部を背面側に屈曲させて上下左右のフランジ1a,1b,1c,1dを形成することで浅い箱形をなす薄板鋼板製になる。前記基板1は、その下半域が第1ストッパ部材3および第2ストッパ部材4の配設位置として形成され、上半域がモータ駆動ユニット7の配設位置として形成されている。基板1の下半領域には基板1の左右の幅に対して比較的狭い幅の開口部11が設けられている。前記開口部11の上端部には左右に延在する延在部111,111が形成されている。前記開口部11の下部側の左右域には背面側に凹んだ凹部12,12(図5参照)が形成され、この凹部12,12は第1ストッパ部材3が基板1に退避した際の干渉を避けるためのものである。前記開口部11の周縁は背面側に屈曲させることにより上壁11a,下壁11b,左壁11c,右壁11dを含む周壁が形成されている。また、前記開口部11の延在部111,111の上方であって基板1の上方域の左右には、商品収納通路183側に突出するガイド突起13,13が設けてある。さらに、基板11の上半域にはモータ駆動ユニット7を取付けるための丸穴からなる取付穴1e、矩形からなる対の取付穴1f,1fが形成され、上フランジ1aにもモータ駆動ユニット7を取付けるための対の係止穴1g,1gが形成されている。
前記基板1の開口部11にはその11aと下壁11bとの間に架設される態様の軸受部2を設けている。この軸受部2は、基板1に一体に形成された軸受保持部14とこの軸受保持部14に装着される合成樹脂製の軸受部材20(図7参照)とからなる。図5,図6では軸受保持部14から軸受部材20を取り外した状態を示し、軸受保持部14に軸受部材20を装着した状態については図3などに示している。軸受部2はリンク機構6に支持された下部リンクピン61,上部リンクピン62の一端と回動ストッパ5に関わる回動軸50(図3,図4参照)の一方端を支持すると共に第1ストッパ部材3および第2ストッパ部材4に関わる回動軸30,40(図3,図4参照)の中央部を支持するものである。前記下部リンクピン61,上部リンクピン62および各回動軸30,40,50の他端は、開口部11の周壁のうちの右壁11dにより支持し、第1ストッパ部材3および第2ストッパ部材4に関わる回動軸30,40の他方端は、開口部11の周縁のうちの左壁11cにより支持している。前記軸受保持部14は、基板1の板面に開口部11を形成する際に、その板面の一部を残して基板1に一体に形成されたものであり、背面側への押し出しによって基板1の板面から背面側に浮き上がるように前記開口部11における上縁と下縁に跨って架設される態様で橋梁状に形成されている。前記軸受保持部14は基板11の左右中央よりも左右何れか一方(図の場合には右側方向)に片寄った位置に設けられており、ペアの商品搬出装置BM,BMを背中合わせに抱き合わせた際に両者の軸受保持部14が干渉することがないように構成されている。この軸受保持部14は、全体として略矩形状の開口部11を基板1に形成した場合にも基板1の強度を維持する機能を有する。
前記軸受保持部14は、その左右両側を背面側に折り曲げてなる両脚片141,141(図6参照)を備えて断面U字状に形成されている。前記両脚片141,141の上下方向のほぼ中央位置には2個の軸穴15,16を上下に離隔して設けている。2個の軸穴15,16はそれぞれ第1ストッパ部材3の回動軸30,第2ストッパ部材4の回動軸40が挿通されるものである。また、両脚片141,141は軸穴16の上方域においてU字状の底面を開放する態様で切り欠いた凹状の切欠き部142を設け、軸穴15の下方域に上下方向に延在する長穴143を設けている。さらに、両脚片141,141の下方域に軸穴17が設けられている。この軸穴17は回動ストッパ5に関わる回動軸50の一端が挿通されるものである。
前記軸受部2を構成する軸受部材20は、合成樹脂の成形品になり、図7に示すように、軸受保持部14と同一の形状を呈するとともに把持部27が一体に設けられている。前記軸受部材20は、把持部27を除いて軸受保持部14よりも一回り小さい外郭寸法に形成されており、軸受保持部14の両脚片141,141の間に圧入されるように構成されている。前記軸受部材20には、軸受部材20を軸受保持部14の両脚片141,141の間に嵌め込んだ際、前記両脚片141,141に設けた2個の軸穴15,16および軸穴17と対応する位置に、それぞれ軸穴21,22および23を設けている。前記軸穴21,22は、第1ストッパ部材3に関わる回動軸30,第2ストッパ部材4に関わる回動軸40の略中間部を軸支するものである。前記軸穴23は、回動ストッパ5に関わる回動軸50の一端を軸支するものである。また、軸受部材20には軸穴21の下方域に上下方向に延在する長穴24を設け、軸穴22の上方域に上下方向に延在する長穴25を設けている。前記長穴25は、軸受部材20を軸受保持部14に嵌め込んだ際、軸受保持部14に設けた凹状の切欠き部142から露出し、リンク機構6に関わる上部リンクピン62の一端を上下方向にスライド移動自在に支持している。前記長穴24は、軸受部材20を軸受保持部14に嵌め込んだ際、軸受保持部14に設けた長穴143に対峙し、リンク機構6に関わる下部リンクピン61の一端を上下方向にスライド移動自在に支持している。軸受部材20の中間部に左右に延在して設けた位置決め片26は、軸受保持部14の両脚片141,141に設けた凹部144に嵌合して軸受部材20を軸受保持部14に嵌め込んだ際に位置決めを図るものである。
前記軸受部材20に一体に設けられた把持部27は、周知のとおり、商品収納ラック180に架設された下方のピン部材に係合(若しくは離脱)して商品搬出装置BMを商品収納ラック180に取付ける(若しくは商品収納ラック180から取り外す)ものである。この把持部27は、前記ピン部材に係合・離脱するフック片271と、基板1の下フランジ1bと開口部11の周壁のうちの下壁11bとの間に圧入される圧入部272と、この圧入部272の下縁から下方に延在して形成されて基板1の下フランジ1bに開口して設けた係止孔1b1(図5,図6参照)に嵌合する突起片273からなる。なお、前記把持部27のフック片271には下方に延在する摘み片271aが設けられている。
前記軸受部材20は次のように軸受保持部14に組付けられる。すなわち先ず、軸受部材20に一体に形成された把持部27を基板1に固着する。把持部27の基板1への固着は、把持部27の突起片273を基板1の下フランジ1bに設けた係止孔1b1に差し込む。突起片273を係止孔1d1に差し込んだ状態で圧入部272の上部を基板1の開口部11における下壁11bの下方に押し込む。これにより圧入部272の上下端部が互いに接近するように撓んで圧入部272が基板1の下フランジ1bと開口部11の下壁11bとの間に圧入され、把持部27が基板1に係止固定される。圧入部272を基板1の下フランジ1bと開口部11の下壁11bとの間に圧入する際、把持部27に一体の軸受部材20を軸受保持部14の両脚片141,141の間に嵌め込む。そして、軸受部材20の位置決め片26を軸受保持部14の両脚片141,141に設けた凹部144に嵌合させる。これにより軸受部材20が軸受保持部14に一体的に組付けられる。
図6に戻り、前記軸受部2(軸受保持部14)に対峙する開口部11の右壁11dには、軸受部材20に設けた軸穴21,22,23と、上下方向に延在する長穴24および長穴25と左右対称位置に軸穴112,113,114と、上下方向に延在する長穴115および長穴116を設けている。前記軸受部材20に設けた軸穴23と開口部11の右壁11dに設けた軸穴114により回動ストッパ5に関わる回動軸50の両端が支持される。また、開口部11の右壁11dに設けた支軸穴112,113は、第1ストッパ部材3,第2ストッパ部材4に関わる回動軸30,40の他端を軸支する。前記回動軸30,40の他方端は、開口部11の左壁11cに設けた軸穴117,118により支持される。また、前記軸受部材20に設けた長穴24と開口部11の右壁11dに設けた長穴115によりリンク機構6に関わる下部リンクピン61の両端が上下方向にスライド移動自在に支持され、軸受部材20に設けた長穴25と開口部11の右壁11dに設けた長穴116によりリンク機構6に関わる下部リンクピン62の両端が上下方向にスライド移動自在に支持される。
なお、前記開口部11の右壁11dに設けた軸穴112,113,114、左壁11cに設けた軸穴117,118にはバーリング加工を施して回動軸30,40,50との摩擦を低減するように構成されている。
前記第1ストッパ部材3は、図5,図6に示した基板1の開口部11の左壁11cと右壁11dの間に介在してあり、基板1の開口部11を左右に跨ぐ態様で架設された回動軸30に回動可能に支持してある。この第1ストッパ部材3は、回動軸30を中心として、基板1の開口部11に格納されて当該開口部11を閉塞する態様で商品収納通路183から退避する退避位置と開口部11を通して商品収納通路183に突出する突出位置との間に移動可能である。回動軸30には、第1ストッパ部材3を突出位置に向けて付勢する捻りコイルばね300(図3,図4参照)が設けてある。第1ストッパ部材3は突出位置においてその表面(上面)が商品G(図20参照)を保持する商品保持部として形成されている。
第1ストッパ部材3は、図8に示すように、矩形平板状の周縁を裏面側に折り曲げた金属板31と、この金属板31の裏面に係止固定された合成樹脂製(たとえば、ポリアセタール)の軸受台32を備えて構成されている。
前記第1ストッパ部材3における金属板31には軸挿通穴33aを有する左右の軸支部33L,33Rが突出形成されている。右側の軸支部33Rが1個であるのに対し、左側の軸支部33Lは互いに離隔した対として形成されている。軸支部33Rと対の軸支部33Lのうちの外側の軸支部33Lとは基板31の左右方向の中間部に対して左右対称位置に位置しており、軸支部33Rと対の軸支部33Lのうちの外側の軸支部33Lの間の間隔は基板1の開口部11の左右幅よりも狭い幅に定められている。前記軸支部33L,33Rの軸挿通穴33aは、回動軸30を挿通するためのものである。また、軸支部33Rと対の軸支部33Lのうちの内側の軸支部33Lには径外方向に突出する係合部33b,33bがぞれぞれ設けられている。前記金属板31(第1ストッパ部材3)の商品保持部は基板1の左右の縁部近傍まで延在する延在部31a,31aを備えているものである。この延在部31a,31aは、第1ストッパ部材3が退避位置に退避した際、基板1の開口部11の左右に隣接する凹部12,12に格納される。金属板31の右端寄りの背面には軸受台32を係止する係止爪31bが設けられている。
前記軸受台32は金属板31の背面に右端寄りに配設され、金属板31に設けた係止爪31bにより係止されている。軸受台32には、左右一対のガイド突起34,34が設けられ、これらのガイド突起34,34にはそれぞれ異形溝35,35が設けられている。この異形溝35,35は、回動ストッパ5のロックピン51(図4参照)の左右端部を摺動させ、このロックピン51を介して第1ストッパ部材3と回動ストッパ5とが連動するように、ロックピン51の動作範囲を規制するために形成されている。このために前記異形溝35,35は、ロックピン51のロック位置を定める小径溝部351と、ロックピン51のロック位置以外の動作範囲を定める大径溝部352とから形成されている。なお、ガイド突起34,34のうちの右側のガイド突起34に形成された異形溝35は一部が開放されているが、これは回動ストッパ5の先端に固着されたロックピン51の左右端部を左右の異形溝35,35に挿入する組立作業性のためであり、ロックピン51を回動ストッパ5に取り付けたり、取り外したりすることができる場合には異形溝35の一部を開放する必要はないものである。
前記軸受台32の基端は軸支部36として形成され、この軸支部36には、金属板31に形成した左右の軸支部33L,33Rの軸挿通穴33a,33aと同一軸線上に位置して回動軸30を挿通するための軸穴(不図示)が設けられている。さらに、左右のガイド突起34,34にも回動軸30を挿通するための軸穴34aが設けられている。なお、軸支部36の外周に設けた一対のガイド突起部36a,36aは、リンク機構6を構成するリンク機構6のリンク部材60(図4参照)の両側を挟むように形成され、リンク部材60の上下方向の動作が左右方向にずれないように案内するためのものである。
この第1ストッパ部材3の右端側には売切れリンク37が配設されている。売切れリンク37は、第1ストッパ部材3の回動に応じて回動することにより商品の売切れを検出するものである。この売切れリンク37は、図8(b)に示すように、左右に離隔した軸連接部371,372と、左右の軸連接部371,372の外郭の一部を連結する当接部373と、押圧部374とを備えた合成樹脂製になる。軸連接部371,372は、略円板状の形態を成し、金属板31に形成した右側の軸支部33Rと基板1の開口部11の右壁11dを挟む態様で離隔され、それぞれ回動軸30の右端部を貫通させる貫通孔371a,372aが形成されている。貫通孔371a,372aは、回動軸30よりも大きく形成され、売切れリンク37が回動軸30に対して自由に動くことができるように構成されている。また、軸連接部371,372は、貫通孔371a,372aの一部が開放するように形成され、その開放部を回動軸30に押し当てることにより合成樹脂の弾性を利用して回動軸30に着脱自在に構成されている。当接部373は、売切れリンク37を回動軸30に装着した状態で金属板31に形成した右側の軸支部33Rと基板1の開口部11の右壁11dとを跨ぐとともに前記開口部11の右壁11dの凹溝11d1(図6参照)に進入する態様で設けられ、前記軸支部33Rの径外方向に突出する係合部33bの旋回軌跡上に位置している(図8の(c)参照)。つまり、当接部373は第1ストッパ部材3が最大開度に回動(後述)する場合に軸支部33Rの係合部33bと当接するように構成されている。押圧部374は軸連接部372の外側位置に位置する態様で軸連接部372から上方に向けて延在し、第1ストッパ部材3(軸支部33R)の最大開度への回動に連動して売切れリンク37が回動する際に前後方向に揺動するものである。この押圧部374の揺動軌跡に対応する位置に売切れ検出スイッチ80(図4参照)が配設されるものである。
なお、軸連接部371,372の貫通孔371a,372aの一部を開放して回動軸30に着脱自在としたことにより、回動軸30を基板1に架設した状態で売切れリンク37を回動軸30に着脱することができるので、組立作業および部品交換作業の容易化を図ることが可能である。
一方、図9に示すように、従の商品搬出装置BMの第1ストッパ部材3Aの右端側に隣接して売切れリンク37Aが配設されるものである。なお、図9に示した従の商品搬出装置BMの第1ストッパ部材3Aは、図8に示した主の商品搬出装置BMの第1ストッパ部材3の構成と同一であり、図8に示した参照符号と同一の符号を付して説明する。また、売切れリンク37Aも図8に示した売切れリンク37と略同一の構成を成すものであり、同一の部品には同一の符号を付して説明する。
売切れリンク37Aは、図9に示すように、左右に離隔した軸連接部371,372と、左右の軸連接部371,372の外郭の一部を連結する当接部373と、押圧部374とを備えて構成されている。軸連接部371,372は、略円板状の形態を成し、金属板31に形成した対の軸支部33Lのうちの外側の軸支部33L(図8の左側の軸支部33Rに対応している)と基板1Aの開口部11の右壁11dを挟む態様で離隔され、それぞれ回動軸30の右端部を貫通させる貫通孔371a,372aが形成されている。貫通孔371a,372aは、回動軸30よりも大きく形成され、売切れリンク37Aが回動軸30に対して自由に動くことができるように構成されている。当接部373は、金属板31に形成した対の軸支部33Lのうちの外側の軸支部33Lと基板1Aの開口部11の右壁11dとを跨ぐとともに前記開口部11の右壁11dの凹溝11d1(図6参照)に進入する態様で設けられ、前記対の軸支部33Lのうちの内側の軸支部33Lの径外方向に突出する係合部33bの旋回軌跡上に位置している。つまり、当接部373は、第1ストッパ部材3Aが最大開度に回動(後述)する場合に軸支部33Rの係合部33bと当接するように構成されている。押圧部374は軸連接部372から上方に向けて延在し、第1ストッパ部材3A(軸支部33R)の最大開度への回動に連動して売切れリンク37Aが回動する際に前後方向に揺動するものである。この押圧部374の揺動軌跡に対応する位置に売切れ検出スイッチ80が配設されるものである。
前記回動ストッパ5は、リンク機構6の下部リンクピン62と協働して前記第1ストッパ部材3を商品収納通路183に突出した突出位置にロック、およびそのロックを解除する、いわゆる「突っ支い棒」として機能するものである。この回動ストッパ5は、図5,図6に示した基板1の軸受部2と開口部11の右壁11dとの間に介在し、前記軸受部2を構成する軸受部材20に設けた軸穴23と開口部11の右壁11dに設けた軸穴114により軸支される回動軸50に回動可能に支持してある。回動ストッパ5は、回動軸50を中心として回動し、基板1の開口部11から商品収納通路183に突出する突出位置と、開口部11を閉塞する態様で商品収納通路183から退く退避位置との間に移動可能に設けてある。回動軸50には、図には明示されていないが、捻りコイルばねが設けてある。回動ストッパ5は、前記捻りコイルばねの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されている。この回動ストッパ5の捻りコイルばねの弾性付勢力と第1ストッパ部材3の捻りコイルばね300の弾性付勢力とは商品の重量よりも小さく定められている。
前記回動ストッパ5は、図10に示すように、商品収納通路183に突出する先端部に左右側方に延出するロックピン51を備えている。このロックピン51は、その両端部が第1ストッパ部材3の軸受台32における左右一対のガイド突起34,34に設けた異形溝35,35に進入する態様で設けられ、異形溝35,35の小径溝部351,351の溝幅よりも一回り小さく定められている(つまり、ロックピン51が小径溝部351に「遊び」を持って遊嵌される)。また、前記回動ストッパ5は、基端側に軸挿通穴5aを備えている。前記軸挿通穴5aは回動軸50を挿通するためのものである。そして、回動ストッパ5の背面側にはロック溝部52と傾斜摺動面53とが形成されている。ロック溝部52は、リンク機構6に関わる下部リンクピン61を係合させて回動ストッパ5を突出位置にロックするためのものである。また、回動ストッパ5の傾斜摺動面53は、回動ストッパ5の回動時に前記下部リンクピン61が摺動するように形成したものである。なお、5bは、図25,図27に示した外扉160の商品取出口160aから手を差し入れてロック溝部52に係合した下部ロックピン61を操作して回動ストッパ5を退避位置に向けて回動させるような悪戯を防止するために設けた遮蔽部である。この遮蔽部5bを上方に延在させると更に悪戯防止を抑制できるが、遮蔽部5bを上方に延在させると回動ストッパ5が退避位置に向けて回動する際に従の商品搬出装置BMの構成部品と干渉することから、遮蔽部5bを上方に延在させることには限界があり、この課題を解決するために前述した悪戯防止部材103(図2乃至図4参照)が設けられている。
前記回動ストッパ5は、下部リンクピン62がロック溝部52に係合している場合に商品収納通路183に突出した状態にあり、商品収納通路183から退避位置に向けての移動が規制されている。この退避位置に向けての移動が規制されている状態において回動ストッパ5の先端側に設けたロックピン51の両端部が第1ストッパ部材3における左右一対のガイド突起34,34のうちの内側のガイド突起34に設けた異形溝35の小径溝部351に係合して第1ストッパ部材3を商品通路183に突出した突出位置(販売待機位置)にロックする。
前記第2ストッパ部材4は、図5,図6に示した基板1の開口部11の左壁11cと右壁11dの間に介在してあり、基板1の開口部11を左右に跨ぐ態様で架設された回動軸40に回動可能に支持してある。第2ストッパ部材4は、回動軸40を中心として回動して、基板1の開口部11から商品収納通183に突出する突出位置と、開口部11を閉塞する態様で商品収納通路183から退く退避位置との間に移動可能である。回動軸40には、図には明示されていないが捻りコイルばねが巻装してある。第2ストッパ部材4は、前記捻りコイルばねの弾性付勢力によって退避位置に向けて常に付勢されている。
第2ストッパ部材4は、図11に示すように合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、軸挿通穴41aを備えた軸支部41と、複数の舌片42aを有する商品の保持部42と、3個のストッパ壁43が一体成形されている。前記軸挿通穴41aは、回動軸40を挿通するためのものである。また、前記保持部42には複数の舌片42aを備えている。これら舌片42aは、ペアの商品搬出装置BM,BMを背中合わせに抱き合わせた際に従の商品搬出装置BMにおける第2ストッパ部材4Aの舌片42aと干渉せずに互いに噛み合うように形成されており、これにより第2ストッパ部材4が商品収納通路183に突出した際にその保持部42と基板1との間の隙間を埋める機能を有する。保持部42は、軸挿通穴41aを備えた軸支部41の左右幅よりも大きく形成され、軸支部41に対して左右に張り出す延在部42b,42bを設けている。前記延在部42b,42bは、第2ストッパ部材4が退避位置に退避する際、基板1の開口部11の上部領域に形成された延在部111,111を通過して退避位置に退避するものである。なお、軸支部41の幅は、第1ストッパ部材3の軸支部33L,33Rの間の寸法(幅)と同一である。
第2ストッパ部材4には左右方向の一方(この実施の形態では右端側)に片寄せて3つのストッパ壁43が配設されている。3つのストッパ壁43のうちの右側のストッパ壁43には上部摺動壁431aと下部摺動壁431bを有する凹状の摺動溝431が設けられている。この凹状の摺動溝431はリンク機構6に関わる上部リンクピン62を受容可能な大きさに形成され、第2ストッパ部材4が退避位置に退避する際に前記上部リンクピン62を受け入れるものである。前記摺動溝431の上部側摺動壁431aに引き続いて形成されたストッパ面432は、第2ストッパ部材4の商品収納通路183への突出時に上部リンクピン62と当接して第2ストッパ部材4を突出位置にロックし、当該第2ストッパ部材4にかかる商品荷重を受けるものである。3つのストッパ壁43のうちの左側および中央のストッパ壁43には上部摺動壁431aとストッパ面432とが設けられている。
3つのストッパ壁43のうちの右側および中央のストッパ壁43の間には補強壁432が設けられている。この補強壁432には逃げ溝432aが形成されている。この逃げ溝432aは上部リンクピン61が第2ストッパ部材4の摺動溝431の奥まで入り込むのを妨げないように形成したものである。また、3つのストッパ壁43のうちの左側のストッパ壁43の左右に形成した逃げ穴41bと第2ストッパ部材4のストッパ壁43とは反対側に形成した切欠き41cは、ペアの商品搬出装置BM,BMを背中合わせに抱き合わせた場合であってそれぞれの第2ストッパ部材4,4Aが退避位置に退避した際、両者の第2ストッパ部材4,4Aの3つのストッパ壁43の先端部を逃がして装置全体の厚みが増加しないように形成したものである。
リンク機構6は、上下方向に延在する鋼板製のリンク部材60を備え、このリンク部材60は基板1の背面側の左右方向の一方側(右側)に片寄せた位置に配設されている。リンク部材60は後述するモータ駆動ユニット7のリンクレバー75に連係する態様で配設され、前記下部リンクピン61および上部リンクピン62を支持している。リンク機構6は、モータ駆動ユニット7の駆動によりリンクレバー75を介してリンク部材60が上下し、リンク部材60の上下動作によって下部リンクピン61および上部リンクピン62を介して第1ストッパ部材3および第2ストッパ部材4を商品収納通路183に交互に出没させるものである。
リンク部材60は、図12に示すように、上部側と下部側とが段をなす態様で折り曲げ形成された鋼板製になる。リンク部材60の上部側と下部側との段差は、基板1の開口部11の上壁11aの高さよりも高くなる寸法に定められ、上部側を基板1の背面に沿う態様で配設した際に下部側が前記開口部11の上壁11aと干渉しないように構成されている。リンク部材60の上部側の上下方向中間部には、基板1の背面から離れる方向に向けて折り曲げられた係合片65を設けている。この係合片65は、モータ駆動ユニット7のリンクレバー75を上方側から覆うものである。また、リンク部材60の上部側には、捻りコイルばねなどからなる復帰ばね67の一端(上端)が係止される係止片66が設けられている。前記復帰ばね66の他端(下端)は基板1における開口部11の上壁11aに係止される。
リンク部材60の下部側には、下部リンクピン61が貫通する係合穴63aを有する左右一対の下係合部63および上部リンクピン62が貫通する係合穴64aを有する左右一対の上係合部64を設けている。この上係合部63および下係合部64は、下部リンクピン61および上部リンクピン62を保持してリンク部材60の上下動作に連動して上下方向に移動させるものである。リンク部材60は、その上係合部63と下係合部64との間の板状部が第1ストッパ部材3の軸支部36の外周に設けた一対のガイド突起部36a,36aの間に位置するように配設される。これにより、リンク部材60は左右方向にずれないようにガイドされる。
前記モータ駆動ユニット7は、商品選択ボタンの操作に基づく販売指令によりユニットケース70(図4参照)に内蔵したモータ71(図13参照)が正転若しくは逆転駆動され、このモータ71の回転によりリンクレバー75若しくはリンクレバー76介して主の商品搬出装置BMのリンク部材60若しくは従の商品搬出装置BMのリンク部材60Aを選択的に上昇させるものである。ユニットケース70はベース部材とカバー部材とからなり、その内部に、図13に示すような、モータ71,歯車伝達機構72,出力歯車73,キャリアスイッチ74,リンクレバー75,76などを内蔵している。このモータ駆動ユニット7は、ユニットケース70におけるベース部材の背面に突出形成したボスおよび複数の係止突起(不図示)を基板1の平板面に穿設した取付穴1eおよび取付穴1f,1fに嵌合させる一方、ベース部材の上面に設けた突起7a,7a(図4参照)を基板1の上フランジ1aに形成した係止穴1g,1gに係止させることにより基板1に組付けられる。
モータ駆動ユニット7のユニットケース70に内蔵したモータ71(図13)は、販売指令に応じて正転若しくは逆転する正逆回転可能な直流モータであり、ユニットケース70のベース部材に保持されている。
歯車伝達機構72は、ウオーム721aとウオームホイール721bからなるウオーム歯車721および中間歯車722を備えて構成されている。ウオーム歯車721のウオーム721aは、モータ71の出力軸に取り付けられている。ウオームホイール721bは、ウオーム721aに噛み合う第1ホイールと、中間歯車722に噛み合う第2ホイールとが上下方向に段違いに設けられている。中間歯車722は、前記ウオームホイール721bの第2ホイールと噛み合う第1中間歯車と、出力歯車73に噛み合う第2中間歯車とが上下方向に段違いに設けられている。ウオーム歯車721および中間歯車722は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
前記出力歯車73は、中間歯車722の第2中間歯車と噛み合うホイールとして形成され、その一方の板面(上面)にカム突起731が形成され、他方の板面(背面)にキャリアスイッチ74を制御する押圧片(図13では見えない)が形成されている。カム突起731は、出力歯車73の板面から離隔する方向に突出する態様で円弧状に形成されている。このカム突起731は、その円弧状の長さがリンク部材60(60A)を上昇させた後に所定時間の間その状態を保持するのに十分な長さとなるように形成されている。キャリアスイッチ74を制御する押圧片は、カム突起731の反対側の板面に位置して板面から離隔する方向に突出する態様で略V字状に形成されており、図13の(a)の状態でキャリアスイッチ74の接触子を押圧するように形成されている。この出力歯車73は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
キャリアスイッチ74は、いわゆる押しボタンスイッチであり、接触子(不図示)を備えている。このキャリアスイッチ74は、出力歯車73よりも僅かに上方域にユニットケース70のベース部材に保持された状態で配設されている。このキャリアスイッチ74は、接触子が出力歯車73の押圧片に押圧されるとオン状態となる一方、出力歯車73の押圧片が離れて接触子が押圧されない場合にはオフ状態となるものであり、販売指令により駆動されたモータ71を、出力歯車73が一回転するように制御するためのものである。
リンクレバー75,76は樹脂成型品になり、基端部751,761を貫通するユニットケース70のカバー部材に設けたレバー軸750,760に回転可能に軸支されている。リンクレバー75,76の先端部752,762は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材を切り欠いて形成した開口(不図示)から外部に突出する態様で上方に湾曲したフック状を成している。リンクレバー75,76の基端部751,761に設けられた係止片753,763は、基端部751,761の後方側より後方に向けて延在する弾性変形可能な板状の弾性部材である。係止片753,763は、その自由端がカバー部材に設けた突出片(不図示)に当接することにより常態におけるリンクレバー75,76の待機姿勢を、図13の(a)に示す位置に決めている。
配線ガイド8は樹脂成型品になり、売切れ検出スイッチ80を係止固定するとともに電装品(モータ71、売切れ検出スイッチ80)の配線W0をガイドするものである。配線ガイド8は、基板1の左右方向の一方側(右側)に片寄せて配設される態様で基板1の右フランジ1dと開口部11の右壁11dとの間に嵌め込まれている。配線ガイド8の高さは従の商品搬出装置BMの基板1Aの箱内に入り込む高さを有し、この配線ガイド8がペアの商品搬出装置BM,BMを互いに背中合わせに抱き合わせる際のガイド部材としての役割を有している。
配線ガイド8は、図14,図15に示すように、略F字状の配線収納部81を備え、配線収納部81のF字の上部横線に相当する部位811がモータ7の配線を収納し、F字の下部横線に相当する部位812が売切れ検出スイッチ80の配線を収納し、基板1の右フランジ1dに沿うところのF字の縦線に相当する部位がモータ71および売切れ検出スイッチ80の配線W0を収納するように構成されている。配線ガイド8における開口部11の右壁11dに沿う縁部8aには、前記第1ストッパ部材3の右端側に装着される売切れリンク37を構成する軸連接部372を受容する受容空間82,83を備え、前記受容空間83と連通する位置に売切れ検出スイッチ80を収容するスイッチ固定部84を備えている。
前記スイッチ固定部84に配設される売切れ検出スイッチ80は、いわゆる2個のプッシュ型スイッチを一体化してなるものであり、不図示の「ばね」により起立するよう付勢された2個の接触子801,802を備えている。かかる売切れ検出スイッチ80は、接触子801,802が前後方向に位置(図15では接触子801が奥側、接触子802が手前側に位置)する態様でスイッチ固定部84に配設される。この場合、接触子801が図15に示した第1ストッパ部材3に連動する売切れリンク37の売切押圧部374の回動軌跡上に位置する一方、接触子802が第1ストッパ部材3A(この第1ストッパ部材3Aは図15では第1ストッパ部材3の手前側に位置する)に連動する売切れリンク37Aの売切押圧部374の回動軌跡上に位置している。このように構成された売切れ検出スイッチ80は、接触子801,802が、第1ストッパ部材3,3Aに連動する売切れリンク37,37Aのそれぞれの押圧部374,374Aの回動軌跡上に位置し、第1ストッパ部材3,3Aが商品収納通路183に最大開度に開いた際に接触子801,802が押圧されて売切れを検知するように構成されている。
図16は、売切れ検出スイッチ80と第1ストッパ部材3,3Aとの開度との関係を示し、右側面から見た要部側面図である。第1ストッパ部材3,3Aは捻りコイルばね300,300Aの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、商品を保持していない状態で商品収納通路183に突出した際に最大開度となる。図16では第1ストッパ部材3,3Aが最大開度に開いた際の上限位置を一点鎖線で示している。最大開度に開いた第1ストッパ部材3,3Aに商品が落下すると第1ストッパ部材3,3Aは商品収納通路183から退避する方向に僅かに回動した後、下降した下部リンクピン61,61Aと回動ストッパ5により商品収納通路183に突出して商品を保持した待機位置にロックされる。このロック状態における第1ストッパ部材3,3Aの開度は、図16に示すように最大開度よりもαだけ小さくなるように構成されている。第1ストッパ部材3,3Aが商品を保持して待機位置にロックされた状態において第1ストッパ部材3,3Aに連動して回動する売切れリンク37,37Aの売切押圧部374,374Aは売切れ検出スイッチ80の接触子801,802から離隔(押圧していない状態)するように構成され、売切れ検出スイッチ80はオフ状態となる。商品の販売により売切れになると、第1ストッパ部材3,3Aは商品販売後に最大開度に開く。このように、第1ストッパ部材3,3Aは商品販売後に最大開度に開くと売切れリンク37,37Aは、図16において時計回り方向,反時計回り方向に旋回して売切れ検出スイッチ80の接触子801,802を押圧する。これにより、売切れ検出スイッチ80はオン状態となって売切れ信号を出力する。
なお、第1ストッパ部材3,3Aは捻りコイルばね300,300Aの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されて最大開度に開くように構成されているので、第1ストッパ部材3,3Aが最大開度に開いた際にバウンドして売切れ検出スイッチ80がオン,オフを繰り返すおそれがある。また、販売商品の搬出後に最大開度に開いた第1ストッパ部材3,3Aに次販売商品が落下するまでに時間差を有する。そのため、第1ストッパ部材3のバウンドによるチャタリングの防止、および前記時間差を加味して売切れ検出スイッチ80からの信号を処理する制御部では、売切れ検出スイッチ80からのオン信号が所定時間継続した場合に「売切れ」として判断する処理が行われる。
前記起立防止部材101は、図1に示すように、基板1の正面側(商品収納通路183)に出没する態様で基板1の正面側に配設されている。この起立防止部材101は第1ストッパ部材3に最初にローディングされた商品が落下した際に当該商品が起立するのを防止するものである。すなわち、サーペンタイン式商品収納ラックはローディングされた横倒し姿勢の商品が姿勢を崩すことなく落下するように構成されてはいるものの、商品容器の形状(特に、飲み口が窄んだ容器、樽形状の容器)によっては第1ストッパ部材3の上に落下した際に横倒し姿勢が乱れて起立するおそれがある。商品が起立すると商品詰りとなって販売不能となる事態や第2ストッパ部材4の商品収納通路183への突出が妨げられることによって商品搬出装置BMの部品の破損がするような事態などを惹起してしまうものである。起立防止部材101は前述したような不測の事態を抑制するためのものである。
起立防止部材101は、図17に示すように、二股状突起部1011,1011として形成された上部側と当接部1014,1014を有する下部側とが左右方向にずらす態様で屈曲した本体部1010を備えた合成樹脂製(例えば、ポリアセタール)になる。二股状突起部1011,1011には、外方に向けて突出する係合軸1012,1012と、内方に向けて突出する支持軸1013,1013と、ストッパ片1014,1014が設けられている。起立防止部材101は係合軸1012,1012を基板1に切り起こしにより形成した係止片1h,1h(図6参照)の係合穴に係合させることにより回動自在に軸支されている。この場合、係合軸1012,1012は二股状突起部1011,1011を互いに接近させる方向に撓ませることにより係止片1h,1hの係合穴に係合させることができる。また、二股状突起部1011,1011の支持軸1013,1013には捻りコイルばね1000が装着される。捻りコイルばね1000は、一端1000aを基板1に係止する一方、他端1000bを二股状突起部1011,1011の基部に係止することにより起立防止部材101を商品収納通路183に向けて進出するように付勢する。起立防止部材101の商品収納通路183への進出位置はストッパ片1014,1014が基板1に当接することにより規制される。
起立防止部材101は、捻りコイルばね1000により付勢されて商品収納通路183に進出する進出位置と、落下する商品により押されて商品収納通路183から退避する退避位置との間を移動自在である。起立防止部材101は、前記退避位置では本体部1010が基板1に設けたガイド突起13,13の間に位置して基板1の平面に沿うものである。
前記起立防止部材101は、最初にローディングされた商品に押されて退避位置に移動することによりの当該商品の通過を許容し、当該商品が通過すると同時に商品収納通路183に進出して通過した商品の逆行を阻止する。つまり、第1ストッパ部材3に落下した商品が起立しようとした場合にはその商品の起立を阻止して正常な横倒し姿勢に修正する。なお、起立防止部材101は2番目以降にローディングされた商品により押されて退避位置に移動した状態となる。
前記閉鎖板102は、図1に示すように、前記第2ストッパ部材4の上方に位置し、退避位置に復帰している第2ストッパ部材4を商品収納通路83側から覆うように垂下している。この閉鎖板102は、図18に示すように、左右方向に細長い短冊状の鋼板製になる。閉鎖板102の左右方向の長さは第2ストッパ部材4の保持部42(図11参照)の長に略一致している。閉鎖板102の上端にはフック102a,102aが設けられている。このフック102a,102aを基板1に穿孔した矩形穴1k、1k(図5,図6参照)に係合させることにより閉鎖板102はフック102a,102aを支点として揺動自在である。この閉鎖板102は、従来装置と同様に、第2ストッパ部材4の突出位置への移動に連動して商品収納通路183に進出し、第2ストッパ部材4の保持部42と次販売商品との間に介在して第2ストッパ部材4の保持部42と基板1との間の隙間を塞ぐものである。
従の商品搬出装置BMの構成は、主の商品搬出装置BMの構成に対してモータ駆動ユニット7,配線ガイド8を備えていない点および第1ストッパ部材3Aに連動する売切れリンク37Aの構成が相違する点を除けば主の商品搬出装置BMの構成と同一である。従の商品搬出装置BMを主の商品搬出装置BMに背中合わせに組み合わせると、従の商品搬出装置BMのリンク部材60Aの係合片65が主の商品搬出装置BMに搭載されたモータ駆動ユニット7のリンクレバー76を上方側から覆うようになる。
かかる構成の自動販売機の商品搬出装置の動作について図19~図21に基づいて説明する。図19は商品をローディングする前(補充待機状態ともいう)の商品搬出装置の側面断面図、図20は商品ローディング後における商品搬出装置の販売待機状態を示す動作説明図、図21は商品搬出装置の商品搬出時の動作説明図である。なお、以下では主の商品搬出装置BMの動作であり、図13を適宜参照しつつ説明する。
商品がローディングされる前の状態では商品搬出装置BMのモータ駆動ユニット7の出力歯車73のカム突起731が最も上方に位置している(図13の(a)参照)。また、出力歯車73の背面に設けたキャリアスイッチ74用の押圧片が最も上方に位置してキャリアスイッチ74がオン状態にある。これにより、モータ71が停止しており、リンクレバー75の先端部752がリンク部材60の係合片65から下方に離隔した位置にある。このため、リンク部材60は復帰ばね66の付勢力により下降した状態にある。この下降したリンク部材60に支持された上部リンクピン61および下部リンクピン62により、図19,図20に示すように、第2ストッパ部材4は商品収納通路183から退避し、第1ストッパ部材3は商品収納通路183に突出している。この場合、第2ストッパ部材4は下降したリンク部材60に支持された上部リンクピン61が第2ストッパ部材4の凹状の摺動溝431に進入していることにより退避位置に保持されている。
一方、第1ストッパ部材3は、捻りコイルばね300の付勢力によって商品収納通路183に最大開度に開いた突出位置にある。この第1ストッパ部材3の商品収納通路183への突出動作に伴って回動ストッパ5も捻りコイルばね(不図示)の付勢力によって商品収納通路183に突出している。この場合、回動ストッパ5は、第1ストッパ部材3が最大開度に開いた状態においてロックピン51が第1ストッパ部材3における異形溝35の小径溝部351に係合している。この状態で回動ストッパ5は、復帰ばね66の付勢力により下降しているリンク部材60に支持された下部リンクピン61が回動ストッパ5のロック溝部52に係合することにより退避位置へ向けての回動が規制されるようになる。前記下部リンクピン61により退避位置への退避が規制された状態で回動ストッパ5のロックピン51と第1ストッパ部材3における異形溝35の小径溝部351との係合点は、回動ストッパ5の死点よりも退避位置側に位置している。このように、第1ストッパ部材3が最大開度に開いた状態では、第1ストッパ部材3に連動して回動する売切れリンク37の押圧部374が売切れ検出スイッチ80の接触子801を押圧して売切れ検出スイッチ80はオン状態となる。
前述したように、第1ストッパ部材3が最大開度に開いた状態において、商品G(図20参照)がローディングされると最初にローディングされた商品Gは、最大開度に開いた状態の第1ストッパ部材3の商品保持部の上に落下する。商品Gが落下することにより第1ストッパ部材3は次のように退避位置に僅かに向けて回動した後、待機状態にロックされる。すなわち、回動ストッパ5のロックピン51が第1ストッパ部材3の異形溝35の小径溝部351に「遊び」を持って遊嵌されており、その「遊び」の寸法だけ第1ストッパ部材3が退避位置に僅かに向けて回動する。この場合、回動ストッパ5のロックピン51の位置は死点よりも退避位置側に位置している。この状態で下降した下部リンクピン61が回動ストッパ5のロック溝部52に係合して回動ストッパ5は退避位置に向けての回動が規制され、第1ストッパ部材3の「突っ支い棒」として機能する。これにより、第1ストッパ部材3は、図20に示すように、商品Gを保持して最大開度よりも小さな開度で商品収納通路183に突出した状態にロックされる。第1ストッパ部材3に保持された商品Gは販売順位一番の商品(販売商品G1)となる。このように、第1ストッパ部材3が最大開度よりも小さな開度で商品収納通路183に突出した状態にロックされると、第1ストッパ部材3に連動して回動する売切れリンク37の押圧部373が売切検出スイッチ80の接触子801から離隔して売切検出スイッチ80がオフ状態となる。次にローディングされる商品Gは、第1ストッパ部材3により保持された販売商品G1の上に積み重ねられて次販売商品G2となり、引き続いてローディングされる商品Gは、次販売商品G2の上に順次積み重ねて販売待機状態となる(図20参照)。
販売待機状態において商品選択ボタン(図26の商品収納ラック180に前後方向に並べて形成した商品収納通路183の前方から1列目の商品収納通路183に収納された商品に対応する商品選択ボタン)の操作に基づく販売指令が与えられた場合、モータ駆動ユニット7に内蔵されたモータ71が正転駆動され、歯車伝達機構72を介して出力歯車73が、図13において、反時計回りの方向に回転する。出力歯車73が反時計回りの方向に回転すると、出力歯車73の背面に設けた押圧片がキャリアスイッチ74の接触子から離れてキャリアスイッチ74がオフ状態となり、次にキャリアスイッチ74がオン状態となるまで(すなわち、出力歯車73が一回転するまでの期間)モータ71を正転駆動させる。出力歯車73の反時計回りの方向への回転によりカム突起731がリンクレバー75の基端部751に上方より当接すると、リンクレバー75は、図13において時計回りの方向に回転する。このリンクレバー75の時計回りの方向への回転により、その先端部752がリンク部材60の係合片65に当接する。この場合、リンクレバー75の時計回りの方向への回転力はリンク部材60が復帰ばね67の付勢力よりも大きく定められているので、リンクレバー75の時計回りの方向への回転に応じてリンク部材60が復帰ばね67の付勢力に抗して上昇する。そして、カム突起731がリンクレバー75の基端部751に摺接している間は、リンク部材60が上昇した状態に保持される。
このリンク部材60の上昇に伴ってリンク部材60に支持された下部リンクピン61も上昇し、当該下部リンクピン61により退避位置への回動が規制された回動ストッパ5の規制が解除される。前記規制が解除された回動ストッパ5は第1ストッパ部材3を介して受ける商品荷重によって退避位置に向けて回動する。この回動ストッパ5の退避位置へ向けての回動により、回動ストッパ5のロックピン51が第1ストッパ部材3の異形溝35の小径溝部351から抜け出すので、第1ストッパ部材3のロックが解除される。これにより、第1ストッパ部材3は、商品の荷重を受けて商品収納通路183に突出した突出位置から退避位置に向けて回動を開始する。第1ストッパ部材3が商品収納通路183から退避する退避位置へ向けて回動すると販売商品G1は第1ストッパ部材3をすり抜けて下方に搬出される(図21参照)。この場合、回動ストッパ5もロックピン51が第1ストッパ部材3の異形溝35の大径溝部352の周壁に沿って摺動することにより退避位置に向けて回動が許容される。前記販売商品G1が第1ストッパ部材3をすり抜けると、第1ストッパ部材3は捻りコイルばね300の付勢力によって突出位置に向けて回動を開始した後、最大開度に開いた状態で商品収納通路183に突出した突出位置に復帰する。第1ストッパ部材3の突出位置へ向けての回動に伴って回動ストッパ5も「突っ支い棒」として機能する突出位置に向けて回動する。
また、前記リンク部材60の上昇に伴って第2ストッパ部材4における凹状の摺動溝431に進入していた上部リンクピン62も上昇する。この場合、上部リンクピン62は摺動溝431の上部摺動壁431aに接触して当該上部摺動壁431aを摺動しつつ上昇する。これにより、第2ストッパ部材4は、退避位置から商品収納通路183へ突出する突出位置へ向けて押し出される。そして、上部リンクピン62が第2ストッパ部材4のストッパ壁43に形成されたストッパ面432に対峙する上限位置まで上昇すると第2ストッパ部材4は前記上部リンクピン62により商品収納通路183から退避する退避位置へ向けての回動が規制される。そして、商品収納通路183に突出した突出位置に移動した第2ストッパ部材4は、販売商品G1が搬出されることにより下方に移動する次販売商品G2の下部に当接して保持し、次販売商品G2が下方に向けて移動するのを規制する。
このように、リンク部材60の上昇により下部リンクピン61と回動ストッパ5との協働による第1ストッパ部材3のロックを解除させて第1ストッパ部材3に保持された販売商品G1を払い出す一方、第2ストッパ部材4を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品G2を保持する動作は、出力歯車73のカム突起731がリンクレバー75の基端部751に摺接している所定時間の間に実行される。
そして、出力歯車73の回転によりカム突起731とリンクレバー75の基端部751との当接が解除されると、リンク部材60は復帰ばね67の付勢力により下降する。このリンク部材60の下降に伴ってリンク部材60に支持された上部リンクピン62および下部リンクピン61も下降する。第2ストッパ部材4におけるストッパ面432に当接した状態の上部リンクピン62が下降すると第2ストッパ部材4は次販売商品G2により押圧されて商品収納通路183から退避する退避位置に向けて移動する。下降する上部リンクピン62は第2ストッパ部材4における凹状の摺動溝431の下部摺動壁431bに当接して当該下部摺動壁431bを摺動しつつ摺動溝431進入する。この第2ストッパ部材4の退避位置への移動により第2ストッパ部材4に保持されていた次販売商品G2が最大開度に開いた第1ストッパ部材3の上に落下すると第1ストッパ部材3は、前述した最初にローディングされる商品と同様に退避位置に向けて僅かに移動した状態で回動ストッパ5を介して突出位置にロックされ、前記次販売商品G2を販売商品として保持する。その後、出力歯車73の回転によりカム突起731が待機状態の位置に戻ると、キャリアスイッチ74の接触子が押圧片により押圧されてキャリアスイッチ74がオン状態となる。これによりモータ71の駆動が停止されて販売待機状態に復帰する。
なお、出力歯車73の時計回りの方向への回転によりカム突起731とリンクレバー75の基端部751との当接が解除された後、出力歯車73のカム突起731が待機状態の位置に戻る途中において、カム突起731がリンクレバー76の基端部761に当接するが、弾性部材からなる係止片763が弾性変形してリンクレバー76の時計方向への回動を許容することによりカム突起731は移動を阻止されることなく復帰位置に復帰する。リンクレバー76はカム突起731が通過すると係止片763の作用により図13の(a)の待機姿勢に復帰する。
従の商品搬出装置BMの動作は、販売待機状態において商品選択ボタン(図26の商品収納ラック180に前後方向に並べて形成した商品収納通路183の前方から2列目の商品収納通路183に収納された商品に対応する商品選択ボタン)の操作に基づく販売指令が与えられた場合、モータ駆動ユニット7に内蔵されたモータ71が逆転駆動され、歯車伝達機構72を介して出力歯車73が、図13において、時計回りの方向に回転する。出力歯車73が時計回りの方向に回転すると、出力歯車73の背面に設けた押圧片がキャリアスイッチ74の接触子から切断してキャリアスイッチ74がオフ状態となり、次にキャリアスイッチ74がオン状態となるまで(すなわち、出力歯車73が一回転するまでの期間)モータ71を逆転駆動させる。出力歯車73の時計回りの方向への回転によりカム突起731がリンクレバー76の基端部761に上方より当接すると、リンクレバー76は、図13において反時計回りの方向に回転する。このリンクレバー75の反時計回りの方向への回転により、その先端部762がリンク部材60Aの係合片65Aに当接するとリンク部材60Aが復帰ばね67Aの付勢力に抗して上昇する。そして、カム突起731がリンクレバー76の基端部761に摺接している間は、リンク部材60Aが上昇した状態に保持され、カム突起731とリンクレバー76の基端部761との当接が解除されると、復帰ばね67Aの付勢力によりリンク部材60Aは下降する。
このリンク部材60Aの上昇・下降に伴ってリンク部材60Aに支持された下部リンクピン61A,上部リンクピン62Aが上昇・下降し、第1ストッパ部材3A,第2ストッパ部材4Aを商品収納通路183に交互に出没させて販売商品G1を搬出したうえで次販売商品G2を販売商品として第1ストッパ部材3Aにより保持する動作は前述した主の商品搬出装置BMの動作と同一であるので重複する説明は割愛する。
さて、ペアの商品搬出装置BM,BMの基板1,1の下部に着脱自在に取付けられる配線収納カバー9を図22乃至図24に示す。図に示すように、配線収納カバー9は、前壁93,後壁94および前記前壁93と後壁94を連結する態様の頭部92により横断面逆U字状の形態をなす基部91とこの基部91に連続して形成されたL字状のカバー部96とからなる合成樹脂製になる。基部91およびカバー部96の左右方向の長さは商品搬出装置BMにおける基板1の左右方向の長さよりも短く、基部91の前後方向の幅はペアの商品搬出装置BM,BMにおける基板1,1Aの平板面の間の幅よりも小さく定められている。
前記基部91の頭部92は商品搬出装置BM,BMの基板1,1Aの下フランジ1b,1b(被取付部)のフランジ面(被取付面)に沿う態様の平板面として形成され、この平板面には左右両側に切欠き部92a,92a(図22の(b)参照)を有している。これらの切欠き部92a,92aは、左右端部が開放する態様で長手方向に深く切り込んだスリット状に形成されるとともにその開放端部側が前壁93および後壁94に沿って切り欠かれた太溝として形成される一方、中央寄り側が平板面を前後に分断する態様で切り欠かれた細溝として形成されている。これらの切欠き部92a,92aにより頭部92は、平面から見た場合に略X字状の形態をなしている。前記切欠き部92a,92aにより前後に分断された平板面における切欠き部92a,92aの細溝に臨む縁部には、その細溝を挟んで対向する態様で上方に向けて突出する前方側取付け部92b,後方側取付け部92cが形成されている。この前方側取付け部92bには前方に向いた係合爪部92b1(図23の(a)参照)が設けられ、後方側取付け部92cには後方に向いた係合爪部92c1(図23(a)参照)が設けられている。これらの係合爪部92b1を有する前方側取付け部92bと係合爪部92c1を有する後方側取付け部92cは全体としてフックの形態をなしている。後方側取付け部92cの厚さは前方側取付け部92bに対して厚みを持たせて機械的強度が高くなるように形成されている。係合爪部92b1を有する前方側取付け部92bと係合爪部92c1を有する後方側取付け部92cが請求項3の取付部を構成する。
前記切欠き部92a,92aの開放した端部には、両端が前壁93および後壁94にドッキングされた弾性部材97が設けられている。この弾性部材97は「Ω」状をなしており、前壁93に親指を掛けるとともに後壁94に人差し指を掛けて前壁93および後壁94を接近させる態様で外力を付与した際に前壁93および後壁94が互いに接近することを許容し、前記外力を解除すると前壁93および後壁94を元の状態に復元させる機能を有している。
前記前方側取付け部92bの係合爪部92b1の先端と後方側取付け部92cの係合爪部92c1の先端との間の前後方向の寸法G(図23の(a)参照)は、常態ではペアの商品搬出装置BM,BMにおける基板1,1Bの対向する下フランジ1bの間に形成される空隙g(図23の(b)参照)よりも大きく、前壁93および後壁94を接近させる態様で外力を加えた際に前方側取付け部92b,後方側取付け部92cが互いに接近することにより前記空隙gよりも小さくなるように可変させることができる。従って、前方側取付け部92bと後方側取付け部92cは、前壁93および後壁94を接近させる態様で外力を加えることにより前記空隙gを介してペアの基板1,1Aの内部に進入させることができる。そして、前方側取付け部92bの係合爪部92b1の先端と後方側取付け部92cの係合爪部92c1の先端をペアの基板1,1Aの内部に進入させた状態で前壁93および後壁94に加えた外力を解除することにより互いに離隔し、前方側取付け部92bの係合爪部92b11を基板1の下フランジ1b(被取付け部)に引っ掛け、後方側取付け部92cの係合爪部92c1を基板1Aの下フランジ1b(被取付け部)に引っ掛けることができるものである。
前記前壁93は左右方向に複数の切欠きにより鋸歯状に形成されている。この実施の形態では4個の鋸歯を備え、それらの鋸歯の先端側に内側に向かって突出したフック状の係止片93a(図23の(a)参照)が形成されている。
前記後壁94の内壁の左右方向の略中央位置および頭部92寄りには、図22の(c)に示すように、上方に湾曲する態様の3個のホルダ95が左右方向に並置されている。これらのホルダ95は、商品収納室130,140,150の庫内温度を検出するサーミスタからなる庫内温度センサTを保持するものである。庫内温度センサTは、サーミスタ本体から引き出された検出信号配線W1に接続された配線用カプラCP1を有し、この配線用カプラCP1と制御部からのセンサ信号配線(庫内温度センサTの検出信号を制御部に入力させる配線)に接続された接続用カプラとを結合させるように構成されている。
前記カバー部96は、前記後壁94との接続部を薄肉としたヒンジ部96eを介して後壁94に連続して形成されている。従って、カバー部96はヒンジ部96eを支点として前後方向に揺動自在である。カバー部96は、ヒンジ部96eを支点として前方側に揺動させて閉じる際、自由端(ヒンジ部96eと反対側の端部)が前壁93の後方に位置して前壁93の鋸歯と前後方向に重なり合うように形成されている。そして、カバー部96には、その自由端を前壁93の鋸歯と前後方向に重ね合わせた際、前壁93に設けた係止片93aと対峙する位置に前記係止片93aを受容する開口96b(図22参照)が設けられている。開口96bはカバー部96の自由端縁との間に、前記前壁93に設けた係止片93aと係合する係合部96cを残す態様で前記自由端の近傍まで延在する比較的大きな矩形穴として形成されている。前記カバー部96の自由端縁は厚肉に形成して係合部96cの機械的強度を高めている。またその厚肉部に傾斜面96d(図23の(a)も参照)を設けることによりカバー部96を閉じる際に前記傾斜面96dが前壁93に設けた係止片93aに当接した後、カバー部96に更に閉じる方向の外力を付与するとカバー部96の自由端が内側に撓んで係合部96cが係止片93aを乗り越えると自由端が元の状態に復元して係合部96cを係止片93aに係合させることが可能となる。係合部96cを係止片93aから引き外す場合には、カバー部96の自由端を内側に撓ませたうえでカバー部96を開放方向に揺動させることにより行うことができる。カバー部96を閉じた状態で基部91とカバー部96とで囲まれた空間(図24参照)が配線W0および庫内温度センサTとその配線W1を収納する空間となる。さらに、カバー部96には複数の通気孔96aが形成されている。この通気孔96aはカバー部96を閉じた際に最下部となる部位に設けられ、仮に商品搬出装置BMに結露が生じて収納空間に水滴が入り込んだとしても通気孔96aを介して排水することができる。
斯様に構成された配線収納カバー9は、カバー部96を開放してホルダ95に庫内温度センサTを装着した状態で、商品収納ラック180に架設されたペアの商品搬出装置BM,BMの基板1,1Aの下部に取付けられる。すなわち、前壁93に親指を掛けるとともに後壁94に人差し指を掛けて前壁93および後壁94を接近させる態様で外力を付与する。この場合、カバー部96を開放しておくと前壁93および後壁94を接近させる外力を小さくすることができる。前記外力により前方側取付け部92bと後方側取付け部92cとが互いに接近するので、接近させた前方側取付け部92bと後方側取付け部92cとを、ペアの商品搬出装置BM,BMにおける基板1,1Aの対向する下フランジ1b,1bの間に形成される空隙gを通してペアの基板1,1Aの内部に進入させる。この状態で前壁93および後壁94に加えた外力を解除する。これに伴い前壁93および後壁94が元の状態に復元して前方側取付け部92bの係合爪部92b11が基板1の下フランジ1b(被取付け部)に係合し、後方側取付け部92cの係合爪部92c1が基板1Aの下フランジ1b(被取付け部)に係合する。これにより配線収納カバー9がペアの商品搬出装置BM,BMの基板1,1Aの下部に一体的に取付けられる。
次いで、ペアの商品搬出装置BM,BMの基板1,1Aの下部から引き出された電装品の配線W0に接続された接続用カプラCP0と制御部からの信号配線に接続された接続用カプラとを結合させる。また、配線収納カバー9の収納空間に装着された庫内温度センサTの検出信号配線W1に接続された配線用カプラCP1と制御部からのセンサ信号配線(庫内温度センサTの検出信号を制御部に入力させる配線)に接続された接続用カプラとを結合させる。この場合、制御部からの信号配線とセンサ信号配線は一纏めにして商品搬出装置200の下方に設けてある配線収納カバー9により覆われているものである。そして、結合されたそれぞれ接続用カプラと配線を配線収納カバー9の収納空間に収容した状態でカバー部96を閉じる。これにより、商品搬出装置BMの電装品の配線W0と庫内温度センサTの配線W1が配線収納カバー9により保護される。
メンテナンス時にペアの商品搬出装置BM,BMを商品収納ラック180から取り外す場合には、配線収納カバー9のカバー部96を開放してそれぞれの接続用カプラを切り離したうえで配線収納カバー9を、前述した商品搬出装置BM,BMへの取付けと逆の手順で取り外せばペアの商品搬出装置BM,BMを商品収納ラック180からの取り外すことが可能となる。
前述したように、本発明の実施の形態に係る自動販売機によれば、断熱筐体としてなる本体キャビネット100の庫内に収容される商品収納ラック180と、少なくとも前記商品収納ラック180の商品収納通路183の下端出口に配設されるとともに基板1,1Aに回動自在に軸支された第1ストッパ部材3,3Aおよび第2ストッパ部材4,4Aを商品収納通路183に交互に出没させる駆動部(モータ駆動ユニット7)の電装品を有する商品搬出装置BM,BMと、前記商品搬出装置BM,BMの下部に着脱自在に係止され、かつ、前記電装品の配線W0を収納して保護する収納空間を有してなる配線収納カバー9と、商品収納ラック180が収容された庫内の温度を検出する庫内温度センサTと、を備え、前記庫内温度センサTの検出温度に基づいて商品収納通路183に収納された商品を所望の販売温度に調整して販売に供する自動販売機において、前記配線収納カバー9は、前壁93,後壁94および前記前壁93と後壁94を連結するとともに前記商品搬出装置BM,BMの基板1,1Aの被取付面(下フランジ1b,1bのフランジ面)に沿う態様の頭部92により横断面逆U字状の形態をなし、かつ、前記頭部92に上方に向けて突出して前記被取付面の被取付部(基板1,1Aの下フランジ1b,1b)に係合する取付部(係合爪部92b1を有する前方側取付け部92bと係合爪部92c1を有する後方側取付け部92c)を有する基部91と、一端(ヒンジ部96e)が前記基部91の長手方向一端(後壁94)に連なり、他端(ヒンジ部96eと反対側の自由端)が前記基部91の長手方向他端(前壁93)に係合・離脱可能であり、他端(ヒンジ部96eと反対側の自由端)を前記基部91の長手方向他端(前壁93)に係合させて閉鎖することにより前記基部91とともに前記電装品の配線W0を収納する収納空間を形成するカバー部96とからなる合成樹脂製になり、前記収納空間を形成する基部91の内壁に、庫内温度センサTを保持するするとともに庫内温度センサTとの接触面積を減らす態様で長手方向に分割した複数個のホルダ95を一体に形成してなることにより、前記庫内温度センサTを配線収納カバー9の基部91の内壁に一体に形成したホルダ95により保持することによって、庫内温度センサTの配線W1を商品搬出装置BMの電装品の配線W0とともに一纏めにして配線収納カバー9に収納したうえで左右一対のラック側板181,181の一方側(例えば、正面視左側のラック側板)に導いてラック側板181の板面に沿って引き回し、当該ラック側板181に沿って引き回される配線(W0,W1)を商品搬出装置200に着脱自在に係止される配線収納カバー9で覆うことができるので、庫内温度センサの配線W1および商品搬出装置BMの電装品の配線W0を引き回す作業を容易に行うことができるという効果を有するものである。
なお、実施の形態では、第1ストッパ部材3および第2ストッパ部材4を商品収納通路183に交互に出没させる駆動部としてモータ駆動ユニット7について説明したが、駆動部としてソレノイドを用いることができ、また、庫内温度センサTについてもサーミスタに代えて熱電対などのセンサを用いることができるものである。したがって、本発明は実施の形態に限定されるものではない。