缶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機は断熱筐体としてなる本体キャビネットの商品収納庫内に前記商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に複数の商品見本を左右に並べて展示し、前記商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンの操作に基いて選択された商品を販売するように構成されている。この種の自動販売機は、例えば、特開2001−188956号公報(特許文献1)の実施例に開示されて周知であり、この自動販売機について図9を用いて説明する。
この自動販売機は、図9に示すように、前面が開口した本体キャビネット100と、本体キャビネット100の前面にヒンジにより開閉可能に支持された外扉160とを備え、前記本体キャビネット100は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁100aにウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット100の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板120により左右方向に複数の商品収納室130,140,150に区画されている。前記各商品収納室130,140,150には、サーペンタイン方式と呼ばれる蛇行した商品収納通路を有する商品収納ラック180がそれぞれ収設されている。前記本体キャビネット100の前面に開閉可能に支持された外扉160と本体キャビネット100における商品収納庫の前面との間には内扉170が配設され、この例では内扉170が上下に分割されている。下部側の内扉170には各商品収納室130,140,150の商品収納ラック180から払い出された商品を送出するシュータ190と対峙する位置に搬出扉170aを有する商品搬出口が設けられている。前記搬出扉170aは上端側を軸支されて垂下するとともに自重により商品搬出口を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、シュータ190を介して搬出される商品により押し開かれ、当該商品を外扉160の商品取出口160aに送出するように形成されている。なお、前記外扉160の前面の上部域は商品見本を展示する透明板で覆われたディスプレイ室として形成され、前記透明板の前面には商品選択ボタンユニットが設けられ、商品選択ボタンユニットには展示された商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンを有している。また、外扉160の前面には硬貨投入口、紙幣挿入口、硬貨返却口、返却レバー、商品取出口、ハンドルロックなどが設けられている。
前記商品収納ラック180は、図10に示すように、平板状の薄板鋼板からなる左右一対のラック側板181,181、このラック側板181,181に上下方向に半ピッチずらして向かい合わせに架設した前後一対の湾曲状レールセグメント列182の間に画成された前後複数列(図では5列)の蛇行状の商品収納通路(商品コラム)183、本体キャビネット100の前面開口に形成された商品投入口SL(図9参照)と2列目以降の商品収納通路183の上端入口とを連係するトップトレイ184、前記それぞれの商品収納通路183の下端出口に配設された商品搬出装置200、この商品搬出装置200と商品収納通路を挟んで対向配置された出口調整板290とからなる。前記商品収納ラック180は、この例では2列の商品収納通路183を備えた前段側の商品収納ラック180a、および3列の商品収納通路183を備えた後段側の商品収納ラック180bからなるものであり、各商品収納ラック180a,108bの左右一対のラック側板181,181の上端に架設されたラック側フック金具811,811を商品収納庫の天井に敷設された本体側フック金具(不図示)に係止固定される。また、この種の自動販売機では長さサイズの異なる商品(例えば、170ミリリットルの缶入り飲料,500ミリリットルのペットボトル入り飲料)を取り扱うために商品収納ラック180は、商品の長さサイズに応じた横幅(商品収納通路幅方向の幅)の異なる種類(通常、比較的長さサイズの短い商品用および比較的長さサイズの大きい商品用の2種類)が用意され、その場合に長さサイズの短い商品を左右一対の一方のラック側板181側に揃えて整列させるために他方のラック側板181側に当該他方のラック側板181に接近・離隔する可動側板(不図示)を配設し、商品の長さサイズに応じて可動側板を移動調節して商品収納通路幅を定めるように構成されている。
前記商品搬出装置200は、図11に示すように、薄い箱形の基板210に形成された矩形の開口部211に架設された回動軸300により商品収納通路183に出没自在に軸支され、販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路183から退避する退避位置との間を移動可能に設けた第1ストッパ部材220と、前記基板210の開口部211に架設された回動軸400により商品収納通路183に出没自在に軸支され、前記商品収納通路183から退避する退避位置に向けて付勢され、前記販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材230と、前記第1ストッパ部材220および第2ストッパ部材230を突出位置と退避位置とに移動させる下方のリンクピン261,上方のリンクピン262を設けたリンク機構260と、前記リンク機構260を駆動する駆動手段としてのソレノイド250とを有し、前記ソレノイド250の励磁・釈放によりリンク機構260を介して第1ストッパ部材220および第2ストッパ部材230を商品収納通路183に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材230で保持したうえで販売商品を払い出すように構成されている。なお、240は、第1ストッパ部材220および第2ストッパ部材230の回動軸300,400の中央部を支持するとともに下方のリンクピン261,上方のリンクピン262を摺動自在に支持する軸受部材である。
前記商品搬出装置200は、基板210の左右フランジ210a,210bの上下部位にラック側板181,181に架設されたピン部材P,Pと係合する係合部210aa,210bbを設け、また、基板210の上フランジ210cに上部側のピン部材Pに係合する係合部210ccを設ける一方、基板210の下フランジ210d側に合成樹脂製のホルダー280を設け、ホルダー280を下部側のピン部材Pに係合・離脱させることにより商品収納ラック180a,180bに着脱自在に装着されるとともに前後に隣接する商品収納通路183、図10の例では第1,2列および第3,4列の商品収納通路183,183に対して2個の商品搬出装置200,200を背中合わせに抱き合わせた状態で商品収納ラック180a,180bに取付けられる。このように2個の商品搬出装置200,200を背中合わせに抱き合わせた場合、基板210の上下左右のフランジ210a〜210dよりも背の高い部品である軸受部材240,ソレノイド250,リンク機構260が互いに干渉することがないようにそれぞれの部品を基板210の中央より左右のいずれか一方に片寄せて配設し、背中合わせに抱き合わせた際における商品搬出装置200,200の薄型化が図られている。
ところで、サーペンタイン式商品収納ラックを搭載した自動販売機で販売可能な商品の種類は、商品収納通路(商品コラム)183の数により決定され、図示例の自動販売機の場合は、前後方向に5列の商品収納通路通路(商品コラム)183が左右方向に5連並設されていることにより25種類の商品を販売することが可能であるが、商品の多様化により更に多種の商品を販売可能(多セレクション)とすることが望まれ、それも自動販売機の横幅や奥行寸法を大きくすることなく販売可能な商品の種類の増加が望まれている。
多種の商品を販売可能とする点に着目すれば、上下方向に多段に設置されるスラントラックと称される商品収納ラックを採用することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。このスラントラックについて図12を用いて説明する。なお、図9と同一のものには同一の符号を付してその説明は省略する。
図12に示すように、この自動販売機は、断熱筐体として形成された本体キャビネット100の商品収納庫内は断熱仕切板(不図示)により左右方向に複数の商品収納室に区画され、当該商品収納室には、左右方向に複数配列されるとともに上下方向に多段に配設された商品収納棚520を備えた商品収納ラック500がそれぞれ収納設置されている。 前記商品収納ラック500は、商品収納棚520が架設される左右一対のラック側板510を備えている。この左右一対のラック側板510は、前方側ラック側板510Fと後方側ラック側板510Rからなる。この前方側ラック側板510Fおよび後方側ラック側板510Rに跨って商品収納棚520が、商品投入口SLとなる前方側が高く、商品搬出口となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜する態様で前方側ラック側板510Fおよび後方側ラック側板510Rに架設されている。商品収納棚520は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路530(商品コラム)として構成され、この商品収容通路530(商品コラム)が上下多段(この例では10個の商品コラム)に形成されている。このように構成された商品収納ラック500が商品収納庫内に左右方向に複数並設されている。前記各商品収容通路530の商品搬出口の近傍であって各商品収納棚520の下面には当該商品収容通路530に収容された商品を一個ずつ払い出す商品搬出装置540が配設されている。この商品搬出装置540は、サーペンタイン式商品収納ラック180に配設された商品搬出装置200と同様な構成になるものである。そして、各段における商品収納棚520の後端部には、上下方向に延在する搬出通路550に突出する突出位置と、落下する商品により押し開かれて搬出通路550から退避する退避位置との間を回動可能であって搬出通路550に向けて突出するように付勢された姿勢制御板560が配備されている。
前記搬出通路550の下部に連なるシュータ190の下部には、商品収納庫内を冷却若しくは加熱して商品収納ラック500に収容した商品をコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット570が配設されている。本体キャビネット100の下部の機械室580には、冷却/加熱ユニット570の冷却ユニットと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット590が配設されている。
斯様なスラントラックを搭載した自動販売機によれば、商品収納棚520が上下方向に10段で左右方向に5列並設される場合には50種類の商品を販売することが可能となり、サーペンタイン式商品収納ラック180を搭載した自動販売機に対して商品の種類を大幅に増やすことができる。ところが、スラントラックの場合には1コラムに収納される商品の本数が限られることから売切れとなるコラム(特に売れ筋商品のコラム)が多々発生する。この場合、売れ筋商品については複数コラムを使用すれば売切れを防止できるが、同一商品を収納する複数コラムの設定、複数コラムの販売制御の設定作業が必要となるので手間がかかり、特に商品のローディングの際に誤投入を惹起するおそれがある。
そこで、サーペンタイン式商品収納ラックとスラントラックとを組み合わせることが考えられる。この場合、サーペンタイン式商品収納ラックと形式の異なるラックを組み合わせて多セレクションとした例として、商品収納庫の上部にコンベヤー式商品収納ラックを配置し、その下部にサーペンタイン式商品収納ラックを配置したものが知られている(例えば、特許文献3)。この特許文献1に記載された発明の思想に基づき、商品収納庫の上部スラントラックを配置し、その下部にサーペンタイン式商品収納ラックを配置すれば多セレクションの自動販売機を得ることができる。
以下、本発明における実施の形態である自動販売機を図面に基づいて詳細に説明する。
先ず図1を用いて自動販売機の全体構造を説明する。なお、図1においては、外扉を省略している。
図において、1は前面が開口した本体キャビネットである。前記本体キャビネット1は図9に示した従来装置と同様に、鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁1aにウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット1の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板11により左右方向に複数、この実施の形態では3つの商品収納室12,13,14に区画されている。左右の商品収納室12,14には従来より良く知られている湾曲したセグメントを上下方向に連接したセグメント列を前後に対向配置して蛇行した商品収納通路を構成してなるサーペンタイン式商品収納ラック121,141がそれぞれ左右2列ずつ収設されている。中央の商品収納室13には本発明により提供される後述する縦積み式商品収納ラック20が左右方向に3個並べて収設されている。それぞれの商品収納ラック121,141,20の下部には前下がりに傾斜し、かつ、無数の穴が形成されたシュータ2が配置されている。前記シュータ2の下部には、それぞれの商品収納室12,13,14を冷却もしくは加熱して商品収納ラック121,141,20に収容した商品をコールド・ホット状態に保存する冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットが配設されている。また、前記本体キャビネット1の底壁1aの下部は機械室として形成され、この機械室には前記冷却/加熱ユニットの冷却ユニットと冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器、膨張機構および凝縮器に送風する庫外ファンからなる冷凍機コンデンシングユニット3が配設されている。
なお、左右の商品収納室12,14に収設されたサーペンタイン式商品収納ラック121,141は、図10に示した従来装置同様に、2列の商品収納通路183を備えた前段側の商品収納ラック180a、および3列の商品収納通路183を備えた後段側の商品収納ラック180bからなるものである(図示は省略)。そして、商品収納室13においては、左右の商品収納室12,14に収設されたサーペンタイン式商品収納ラック121,141の前段側の商品収納ラック180aに対応する箇所に本発明に係る縦積み式商品収納ラック20が配設され、後段側の商品収納ラック180bに対応する箇所にはサーペンタイン式商品収納ラックが配設されているものである。
商品収納室13に左右方向に3個並べて収設された縦積み式商品収納ラック20のうちの中央の縦積み式商品収納ラック20を図2および図3に示し、これらの図を参照しつつ縦積み式商品収納ラック20を以下に説明する。縦積み式商品収納ラック20は、左右一対のラック側板30,30と、この左右一対のラック側板30,30にそれぞれ架設される前方側通路形成部材40,後方側通路形成部材50と、後方側通路形成部材50に着脱自在に装着される商品搬出装置60と、商品収納通路の横幅を調整する可動側板70を備えてなる。
左右一対のラック側板30,30は、鋼板製の矩形平板からなり、図3に示すように、前端および後端に外方に折り曲げたフランジ31,31を形成して機械的強度を高めている。なお、図2に示すように、商品収納室13に3個横並びに収設された縦積み式商品収納ラック20における左右の縦積み式商品収納ラック20のそれぞれのラック側板30,30のうちの左右の両端のラック側板30,30が、サーペンタイン式商品収納ラック121,141のラック側板181(図10参照)と同様に庫内天井の近傍まで延在したロングサイズであるのに対し、左右の縦積み式商品収納ラック20の中央側および中央の縦積み式商品収納ラック20の左右一対のラック側板30は、庫内天井から離隔したショートサイズとして形成されている。これは、縦積み式商品収納ラック20の後段側のサーペンタイン式商品収納ラック(不図示)に商品をローディングする際のトップトレイ4(図1参照)を敷設するためである。したがって、商品収納室13に3個横並びに収設された縦積み式商品収納ラック20の上方域は、後段側のサーペンタイン式商品収納ラックの商品投入口として構成されている。
前記ショートサイズのそれぞれのラック側板30は、左右一対のロングサイズのラック側板30,30に跨って設けたピン32,32に架設され、ピン32,32に挿入された中空のデイスタンスピース33により左右の間隔が保持されるように構成されている。また、左右両端のロングサイズのラック側板30,30の上端には、サーペンタイン式商品収納ラックと同様のラック側フック金具80(図2参照)が架設され、このラック側フック金具80を商品収納庫の天井に敷設された本体側フック金具(不図示)に係止固定することにより、縦積み式商品収納ラック20が商品収納庫に収設されるものである。前述したように、左右の両端のラック側板30,30を、サーペンタイン式商品収納ラック121,141のラック側板181(図10参照)と同様に庫内天井の近傍まで延在したロングサイズのものとすることにより、図10に示した前段側の商品収納ラック180aに代えて縦積み式商品収納ラック20を配設することが可能となり、既設のサーペンタイン式商品収納ラックを搭載した自動販売機にも縦積み式商品収納ラック20を適用することができるものである。
前方側通路形成部材40は、鋼板製の矩形平板からなり、図3に示すように、下方側に形成した屈曲部41により屈曲部41よりも上方側の平板面に対して下方側の平板面が前方に位置するように構成されている。前方側通路形成部材40は左右両端を一方向に適宜折り曲げてフランジ42,42を形成し、当該フランジ42,42を左右のラック側板30,30に当接させてねじ止めすることにより左右のラック側板30,30に架設される。また、前方側通路形成部材40の平板面の左端寄りには上下方向に延在する複数の調節段を有する櫛状の幅調整溝43が形成されている。前方側通路形成部材40に形成した屈曲部41よりも下方の前方に膨らむ箇所が販売商品の幅寄せ収納部43(図4参照)を構成している。
後方側通路形成部材50は、鋼板製の矩形平板からなり、図3に示すように、下方側に形成した傾斜面51により傾斜面51よりも上方側の平板面に対して下方側の平板面が前方に位置するように構成されている。後方側通路形成部材50は左右両端を一方向に適宜折り曲げてフランジ52,52を形成し、当該フランジ52,52を左右のラック側板30,30に当接させてねじ止めすることにより左右のラック側板30,30に架設される。また、傾斜面51とその下部側に平板面にはそれぞれ開口53,54が穿設されている。さらに、後方側通路形成部材50の平板面の左端寄りには上下方向に延在する複数の溝を有する櫛状の幅調整溝55が形成されている。この後方側通路形成部材50、前方側通路形成部材40および左右一対のラック側板30,30に囲まれた空間が商品収納通路である。後方側通路形成部材50に形成した傾斜面51が販売商品を前方側に移動させる幅寄せ部を構成している。
可動側板70は、前記後方側通路形成部材50、前方側通路形成部材40および左右一対のラック側板30,30に囲まれた商品収納通路内に配設され、当該商品収納通路の横幅を調整するものである。可動側板70には、前方側通路形成部材40の櫛状の幅調整溝43および後方側通路形成部材50の櫛状の幅調整溝55に対峙する箇所に前後方向に突出する係合爪71を有し、当該係合爪71を幅調整溝43,55の複数の溝の一つに係合させることにより右端側のラック側板30との間の幅が定められるように構成されている。
商品搬出装置60は、図4に示すように、後方側通路形成部材50の下部背面に着脱自在に装着され、後方側通路形成部材50に形成した開口部54(図3参照)を介して商品収納通路90に出没自在であって販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で商品収納通路90に突出(図示状態)して販売商品を保持する突出位置と前記商品収納通路90から退避する退避位置との間を移動可能に設けた第1ストッパ部材62および後方側通路形成部材50の傾斜面51に形成した開口部53(図3参照)から商品収納通路90に出没自在であって前記販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で記商品収納通路90に突出する突出位置と商品収納通路90から退避する退避位置との間を移動可能に設けた第2ストッパ部材63(図4では、第2ストッパ部材63を図示するために商品収納通路90に突出した状態を示しているが、第1ストッパ部材62が商品収納通路90に突出した待機状態では商品収納通路90から退避しているものである)を有し、第1ストッパ部材62を退避位置に退避させて販売商品を払い出す一方、第2ストッパ部材63を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品を保持するものである。この商品搬出装置60について図5,図6を用いて説明する。
図5は商品搬出装置60を示し、(a)は待機状態の背面斜視図、(b)は販売時の背面斜視図であり、図6は商品搬出装置60の分解図である。図5,図6に示すように、商品搬出装置60は、基板61と、この基板61に軸支された第1ストッパ部材62,第2ストッパ部材63と、下部リンクピン642と上部リンクピン641とが結合されたリンク機構64と、前記リンク機構64を駆動する駆動手段としてのモータ駆動ユニット65と、基板61に軸支された回動ストッパ部材66とを備えてなる。
基板61は鋼板製になり、短冊状の中間領域が後方側通路形成部材50の傾斜面51に沿って傾斜しており、下方域および上方域が鉛直で平行するように形成されている。前記基板61の下方域には、後方側通路形成部材50の開口54に対峙する開口部611(図6参照)が設けられ、前記基板61の上方域には、後方側通路形成部材50の開口53に対峙する開口部612(図6参照)が設けられている。開口部611は、第1ストッパ部材62を、当該開口部611を通じて商品収納通路に進退させる態様で第1ストッパ部材62よりも大きく形成されている。開口部612は、第2ストッパ部材63を、当該開口部612を通じて商品収納通路に進退させる態様で第2ストッパ部材63よりも大きく形成されている。また、開口部612の両縁には切り起こしによりフランジ612a,612aが設けられ、それぞれのフランジ612a,612aには上下方向に延在するスライド溝614,614が形成されている。一方、開口部611の両縁には切り起こしによりフランジ611a,611aが設けられるとともに開口部611の略中央位置であって下縁からの切り起こしによりフランジ611bが設けられ、フランジ611a,611bには上下方向に延在するスライド溝613,613が形成されている。
そして、基板61の左右フランジ61A,61Bの上下部位にラック側板30,30に架設されるピン部材(図4のP,P)と係合する係合部61A1,61B1を設け、また、基板61の上端に上方のピン部材Pに係合する上向きフック状の係合部61Cを設ける一方、基板61の下方側に下方のピン部材Pに係合する下向きフック状の係合部61Dを設けている。係合部61Dは、開口部611の縁部から切り起こしにより形成されている。
第1ストッパ部材62は、平板状で周縁に裏面側に折り曲げたれた金属板621の裏面に合成樹脂製(たとえば、ポリアセタール)の軸受台622を備えて構成されている。第1ストッパ部材62は、基板61の開口部611の左右両縁に形成したフランジ611a,611aに軸支された回動軸620に回動可能に支持されている。第1ストッパ部材62は、回動軸620を中心として回動して、基板61の開口部611から商品収納通路90に突出する突出位置(図5の(a)参照)と、開口部611を閉塞する態様で商品収納通路90から退く退避位置(図5の(b)参照)との間に移動可能である。回動軸620には、捻りコイルばね623(図5参照)が巻装してある。第1ストッパ部材62は、捻りコイルばね623の付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその表面(上面)が商品G1(図8参照)を保持する保持部として形成されている。
前記第1ストッパ部材62の金属板621の背面に係止された軸受台622には、ガイド突起624が設けられ、これらのガイド突起624にはそれぞれ異形溝625が設けられている。この異形溝625は、後述する回動ストッパ部材66のロックピン660の端部を摺動させ、このロックピン660を介して第1ストッパ部材62と回動ストッパ部材66とが連動するように、ロックピン660の動作範囲を規制するために形成したものである。すなわち、この異形溝625は、ロックピン660のロック位置を定める小径溝部625a(図5の(b)参照)と、ロックピン660のロック位置以外の動作範囲を定める大径溝部625b(図5の(b)参照)とから形成されている。
前記第2ストッパ部材63は合成樹脂製(例えば、ポリアセタール)になり、基板61の開口部612の左右両縁に形成したフランジ612a,612aに軸支された回動軸630に回動可能に支持されている。第2ストッパ部材63は、回動軸630を中心として回動して、基板61の開口部612から商品収納通路90に突出する突出位置(図5の(b)参照)と、開口部612を閉塞する態様で商品収納通路90から退く退避位置(図5の(a)参照)との間に移動可能である。第2ストッパ部材63の背面にはストッパ壁631(図6参照)が一体成形されている。このストッパ壁631に形成した凹状の摺動溝632は上部リンクピン641が摺動可能であり、上部リンクピン641の上下方向への移動に連動して第2ストッパ部材63を突出位置と退避位置とに移動させるものである。前記ストッパ壁631のストッパ面633は、第2ストッパ部材63の商品収納通路90への突出時に上部リンクピン641と当接して第2ストッパ部材63にかかる商品荷重を受け、当該第2ストッパ部材63を突出位置でロックするものである。一方、第2ストッパ部材63の退避時には下降した上部リンクピン641が第2ストッパ部材63の摺動溝632に入り込んで下方の壁面と当接することにより退避位置に維持されるものである。なお、第2ストッパ部材63の回動軸630が挿通される基部における表面側には、第2ストッパ部材63が退避位置に移動した場合に後方側通路形成部材50の傾斜面51に形成した開口53の下縁近傍から商品収納通路90に僅かに突出して開口53の下縁を覆う傾斜部(不図示)を備えている。前記傾斜部は、後方側通路形成部材50の傾斜面51と同様の方向に傾斜し、かつ、傾斜面51の傾斜角度よりも僅かに大きな傾斜角度を有して傾斜面51と交差して傾斜部の下部側が商品収納通路90に突出して落下する商品をガイドし、落下する商品が開口53の下縁に引っ掛かるのを防止するものである。
リンク機構64は、駆動手段としてのモータ駆動ユニット65のリンクレバー650に連結されるものであり、上下方向に延在する鋼板製のリンク部材640を備えている。リンク部材640は、上下方向の中間部に段差部643(図6参照)を有し、この段差部643によりリンク部材640の上方側に対して下方側が前方(基板61の平面側)に位置するように構成されている。リンク部材640はその上端にモータ駆動ユニット65のリンクレバー650に上方から係合する連結部644が形成されている。また、リンク部材640には、上部リンクピン641および下部リンクピン642が左右方向に延在する態様で結合されている。上部リンクピン641は、第2ストッパ部材63の商品収納通路90への出没を制御するものであり、基板61の開口部612の両縁に形成したフランジ612a,612aに設けられたスライド溝614,614に挿通され、リンク部材640の上昇・下降動作に連動して上昇・下降する。下部リンクピン642は、後述する回動ストッパ部材66を介して第1ストッパ部材62の商品収納通路90への出没を制御するものであり、基板61の開口部611の両縁に形成したフランジ611a,611bに設けられたスライド溝613,613に挿通され、リンク部材640の上昇・下降動作に連動して上昇・下降する。また、リンク部材640は、捻りコイルばねなどからなる復帰ばね646(図6に図示し、図5では図示を省略している)を備えている。この復帰ばね646は、一端がリンク部材640の段差部643に設けた係止爪645に係止され、他端が基板61に設けた係止爪615に係止され、リンク部材640を下方に付勢するものである。
モータ駆動ユニット65は、商品選択スイッチの操作に基づく販売指令によりユニットケース651に内蔵したモータ652(図7参照)が駆動され、このモータ652の回転によりリンクレバー650を介してリンク部材640を上昇させるものである。ユニットケース651はベース部材とカバー部材とからなり、その内部に、図7に示すような、モータ652,歯車伝達機構653,出力歯車654,キャリアスイッチ655などを内蔵している。このモータ駆動ユニット65について図7を参照して以下に説明する。
モータ駆動ユニット65のユニットケース651に内蔵したモータ652は、販売指令に応じて正転する正逆回転可能な直流モータであり、ユニットケース651のベース部材に保持されている。
歯車伝達機構653は、ウオーム656aとウオームホイール656bからなるウオーム歯車656および中間歯車657を備えて構成されている。ウオーム歯車656のウオーム656aは、モータ652の出力軸に取り付けられている。ウオームホイール656bは、ウオーム656aに噛み合う第1ホイールと、中間歯車657に噛み合う第2ホイールとが上下方向に段違いに設けられている。中間歯車657は、前記ウオームホイール656bの第2ホイールと噛み合う第1中間歯車と、出力歯車654に噛み合う第2中間歯車とが上下方向に段違いに設けられている。ウオームホイール656bおよび中間歯車942は、ユニットケース651のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
前記出力歯車654は、中間歯車942の第2中間歯車と噛み合うホイールとして形成され、その一方の板面(上面)にカム突起654aが形成され、他方の板面(背面)にキャリアスイッチ655を制御する押圧片(図7では見えない)が形成されている。カム突起654aは、出力歯車654の板面から離隔する方向に突出する態様で円弧状に形成されている。このカム突起654aは、その円弧状の長さがリンク部材640を上昇させた後に所定時間の間その状態を保持するのに十分な長さとなるように形成されている。押圧片は、カム突起654aの反対側の板面に位置して板面から離隔する方向に突出する態様で略V字状に形成されている。この出力歯車654は、ユニットケース651のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
キャリアスイッチ655は、いわゆる押しボタンスイッチであり、接触子(不図示)を備えている。このキャリアスイッチ655は、出力歯車654よりも僅かに上方域にユニットケース651のベース部材に保持された状態で配設されている。このキャリアスイッチ655は、接触子が出力歯車654の押圧片に押圧されるとオン状態となる一方、出力歯車654の押圧片が離れて接触子が押圧されない場合にはオフ状態となるものであり、販売指令により駆動されたモータ652を、出力歯車654が一回転するように制御するためのものである。
リンクレバー650は樹脂成型品になり、基部650aを貫通するユニットケース651のカバー部材に設けたレバー軸651aに回転可能に軸支されている。リンクレバー650の先端部650bは、ユニットケース651のベース部材とカバー部材を切り欠いて形成した開口(不図示)から外部に突出する態様で上方に湾曲したフック状を成している。リンクレバー650の基部650aに設けられた係止部650cは、基部650aの後方側より後方に向けて延在する弾性変形可能な板状の弾性部材である。係止部650cは、その自由端がカバー部材に設けた突出片(不図示)に当接することにより常態におけるリンクレバー650の待機姿勢を、図7の(a)に示す位置に決めている。
なお、このモータ駆動ユニット65には、リンクレバー650に加えてリンクレバー650Aが設けられているが、これはこのモータ駆動ユニット65が、サーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出装置に適用できるものであって、リンクレバー650Aは背中合わせに抱き合せて使用される他方の商品搬出装置のリンク部材を制御するものである。このような、モータ駆動ユニット65にリンクレバー650およびリンクレバー650Aを備えた商品搬出装置は、本件出願人から特願2013−236105号(特開2015−95235号公報)として出願されている。この発明においては、背中合わせに抱き合せることなく1個の商品搬出装置を用いることから、ここではリンクレバー650Aの説明は割愛する。
図5,図6に戻り、回動ストッパ部材66は、合成樹脂製(たとえば、ポリアセタール)になり、基板61の開口部611のフランジ611a,611bに軸支された回動軸662に回動可能に支持されている。回動ストッパ部材66は、回動軸662を中心として回動して、基板61の開口部611から商品収納通路に突出する突出位置(図5の(a)参照)と、開口部611を閉塞する態様で商品収納通路から退く退避位置(図5の(b)参照)との間に移動可能に設けてある。回動軸662には、図には明示されていないが回動ストッパ部材66を突出退避位置に向けて付勢する捻りコイルばねが巻装してある。回動ストッパ部材66は、商品収納通路の内側に突出する先端部において左右方向に延出するロックピン660を備えている。このロックピン660の一端は、第1ストッパ部材62の軸受台622におけるガイド突起624に設けた異形溝625に係合する。また、回動ストッパ部材66は、ストッパ面661(図6参照)を備えている。このストッパ面661は、下部リンクピン642を係合させて回動ストッパ部材66の回動をロックするためのものである。この回動ストッパ部材66は、下部リンクピン642がストッパ面661に係合している状態で突出位置にロックされる。このロック状態において回動ストッパ部材66の先端側に設けたロックピン660の端部が第1ストッパ部材62におけるガイド突起624に設けた異形溝625の小径溝部625aに係合して第1ストッパ部材62を商品収納通路に突出した突出位置(待機位置)にロックする。
この商品搬出装置60は、待機状態では第1ストッパ部材62が商品収納通路90に突出し、第2ストッパ部材63が商品収納通路90から退避している。この場合、モータ駆動ユニット65の出力歯車654のカム突起654aが最も上方に位置している(図7の(a)参照)。また、出力歯車654の背面に設けたキャリアスイッチ655用の押圧片が最も上方に位置してキャリアスイッチ655がオン状態にある。これにより、モータ652が停止しており、リンクレバー650の先端部650bがリンク部材640の連結部644から下方に離隔した位置にある。このため、リンク部材640は下降した状態にある。また、第1ストッパ部材62は、捻りコイルばね623の付勢力によって突出位置にある。さらに、回動ストッパ部材66は、不図示の捻りコイルばねの付勢力によって突出位置にあり、回動ストッパ部材66のストッパ面661に、下降したリンク部材640に結合した下部リンクピン642が係合していることによって突出位置が維持されている。そして、回動ストッパ部材66の先端部に設けたロックピン660が第1ストッパ部材62における異形溝625の小径溝部625a(図5の(b)参照)に係合して第1ストッパ部材62を突出位置に維持して第1ストッパ部材62の退避位置への移動を阻止している。また、第2ストッパ部材63は、下降したリンク部材640に結合した上部リンクピン641が第2ストッパ部材63の摺動溝632に入り込んで下方の壁面と当接することにより退避位置に維持されるものである。
斯様な待機状態において、最初にローディングされた商品は、突出位置にある第1ストッパ部材62に保持されて販売順位一番の商品(販売商品)となる。この場合、第1ストッパ部材62にかかる販売商品の荷重は回動ストッパ部材66の先端部に設けたロックピン660を介して回動ストッパ部材66で受けるが、回動ストッパ部材66のストッパ面661に、下降したリンク部材640に結合した下部リンクピン642が係合していることによってロックされているので、第1ストッパ部材62により販売商品が保持され、引き続いてローディングされる商品が販売商品の上に順次積み重ねられる。
商品選択スイッチの操作に基づく販売指令が与えられた場合、モータ652が正転駆動され、歯車伝達機構653を介して出力歯車654が、図7において、反時計回りの方向に回転する。出力歯車654が回転すると、出力歯車654の背面に設けた押圧片がキャリアスイッチ655の接触子から離脱してキャリアスイッチ655がオフ状態となり、次にキャリアスイッチ655がオン状態となるまで(すなわち、出力歯車654が一回転するまでの期間)モータ652を正転駆動させる。出力歯車654の回転によりカム突起654aがリンクレバー650の基端部650aに上方より当接すると、リンクレバー650は、図7において時計回りの方向に回転する。このリンクレバー650の時計回りの方向への回転により、その先端部650bがリンク部材640の連結部644に当接して復帰ばね646の付勢力に抗してリンク部材640が上昇する。そして、カム突起654aがリンクレバー650の基端部650aに摺接している間は、リンク部材640が上昇した状態に保持される。
このリンク部材640の上昇に伴ってリンク部材640に結合された下部リンクピン642も上昇し、当該下部リンクピン642により突出位置にロックされた回動ストッパ部材66のロックが解除される。これにより、第1ストッパ部材62にかかる商品の荷重を受けて回動ストッパ部材66は退避位置に向けて移動を開始する。このように回動ストッパ部材66が退避位置に向けて移動を開始すると、回動ストッパ部材66の先端側に設けたロックピン660が第1ストッパ部材62におけるガイド突起624に設けた異形溝625の小径溝部625aから抜け出し、商品の荷重によって捻りコイルばね623の付勢力に抗して第1ストッパ部材62が退避位置に向けて移動を開始する。小径溝部625aから抜け出した回動ストッパ部材66のロックピン660は、異形溝625に沿って移動するので、回動ストッパ部材66の退避位置への移動が妨げられることはない。第1ストッパ部材62の退避位置への移動により販売商品は、第1ストッパ部材62をすり抜けて下方に搬出される。販売商品が第1ストッパ部材62をすり抜けると、第1ストッパ部材62は捻りコイルばね623の付勢力によって突出位置に向けて移動を開始するとともに、回動ストッパ部材66も捻りコイルばね(不図示)の付勢力によって突出位置に向けて移動する。第1ストッパ部材62および回動ストッパ部材66が突出位置に向けて移動すると、回動ストッパ部材66の先端側に設けたロックピン660が第1ストッパ部材62の異形溝625に沿って移動して小径溝部625aに係合し、第1ストッパ部材62および回動ストッパ部材66が突出位置に復帰する。
一方、待機状態でリンク部材640に結合された上部リンクピン641により退避位置に維持された第2ストッパ部材63は、リンク部材640の上昇に伴って上昇する上部リンクピン641が摺動溝632の上方の壁面と当接することにより突出位置へ向けて押し出される。そして、上部リンクピン641が第2ストッパ部材63におけるストッパ壁631のストッパ面633に対峙する位置まで上昇することによりストッパ面633と当接して第2ストッパ部材63の退避位置への移動が規制される。そして、突出位置に移動した第2ストッパ部材63は、販売商品が搬出されることにより下方に移動する販売順位二番目の商品(次販売商品)の底部に当接して保持し、次販売商品が下方に向けて移動するのを規制する。
前記第1ストッパ部材62を退避位置に退避させて販売商品を払い出す一方、第2ストッパ部材63を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品を保持する動作は、出力歯車654のカム突起654aがリンクレバー650の基端部650aに摺接している所定時間の間に実行される。
そして、出力歯車654の回転によりカム突起654aとリンクレバー650の基端部650aとの当接が解除されると、復帰ばね646の付勢力によりリンク部材640は下降する。このリンク部材640の下降によってリンク部材640に結合された下部リンクピン642が、突出位置に復帰した回動ストッパ部材66のストッパ面661にまで下降して回動ストッパ部材66を突出位置にロックし、これに伴って第1ストッパ部材62も突出位置にロックされて待機状態となる。また、リンク部材640の下降によってリンク部材640に結合された上部リンクピン641が、第2ストッパ部材63におけるストッパ壁631の摺動溝632に入り込んで下方の壁面と当接することにより第2ストッパ部材63を退避位置に向けて移動させる。この第2ストッパ部材63の退避位置への移動により第2ストッパ部材63に保持された次販売商品が下方に移動して突出位置にロックされた第1ストッパ部材62に保持される。そして、リンク部材640の下降に伴って下降した上部リンクピン641が第2ストッパ部材63におけるストッパ壁631の摺動溝632の下方の壁面と当接することにより第2ストッパ部材63が退避位置にロックされて待機状態となる。その後、出力歯車654の回転によりカム突起654aが待機状態の位置に戻ると、キャリアスイッチ655の接触子が押圧片により押圧されてキャリアスイッチ655がオン状態となる。これによりモータ652の駆動が停止されて待機状態に復帰する。
かかる構成の商品搬出装置60は、図4に示すように、後方側通路形成部材50の背後からラック側板30,30に架設された上下のピン部材P,Pに取付けることにより装着される。すなわち、上方のピン部材Pの下方から商品搬出装置60の基板61を接近させて基板61の左右フランジ61A,61Bの上部に形成した係合部61A1,61B1と、基板61の上端の中央部に位置する上向きフック状の係合部61Cの鉛直部との間に上方のピン部材Pを挟み込むように商品搬出装置60を持ち上げる。商品搬出装置60の持ち上げによりフック状の係合部61Cの水平部が上方のピン部材Pに当接すると基板61の下端が下方のピン部材Pよりも上方に位置しているので、上方のピン部材Pを支点として基板61を前方(後方側通路形成部材50の背面側)に回動させて下方のピン部材Pを乗り越えさせた上で基板61を下方にスライドさせる。この場合、基板61の左右フランジ61A,61Bの下部に形成した係合部61A1,61B1と、基板61の下方側に設けた下向きフック状の係合部61Dの鉛直部との間に下方のピン部材Pを挟み込むように基板61を下方にスライドさせる。基板61の下方へのスライドにより係合部61A1,61B1の逆U字状部と下向きフック状の係合部61Dが下方のピン部材Pに係止される。この状態で基板61の左右フランジ61A,61Bの上部に形成した係合部61A1,61B1と、基板61の上端の中央部に位置する上向きフック状の係合部61Cの鉛直部との間に上方のピン部材Pを挟み込んで係止されている。つまり、基板61の左右フランジ61A,61Bの上部に形成した係合部61A1,61B1と、基板61の上端の中央部に位置する上向きフック状の係合部61Cの鉛直部の寸法を上方のピン部材Pを挟み込んだ状態で基板61を下方にスライドさせて下方のピン部材Pに下方の係合部61A1,61B1と下向きフック状の係合部61Dを係止させた際にも上方のピン部材Pとの係合が外れない長さに定められているので、上方の係合部61A1,61B1と上向きフック状の係合部61Cとが上方のピン部材Pから外れることなく当該上方のピン部材Pに係止される。このようにして後方側通路形成部材50の背後に装着された商品搬出装置60の第1ストッパ部材62は、基板61の開口部611および後方側通路形成部材50の開口54を介して商品収納通路90に出没自在であり、また、第2ストッパ部材63は、基板61の開口部612および後方側通路形成部材50の開口53を介して商品収納通路90に出没自在である。
斯様な商品搬出装置60が搭載された図1の縦積み式商品収納ラック20への商品のローディングは、本体キャビネット1の前方から縦積み式商品収納ラック20の上端開口(商品収納通路90の上端)から商品を縦向き姿勢で投入される。縦積み式商品収納ラック20にローディングされた最初の商品は商品収納通路90を落下して待機状態の商品搬出装置60における商品収納通路90に突出した第1ストッパ部材62に保持され(後述する図8に示した販売商品G1)、次にローディングされた商品が第1ストッパ部材62に保持された商品の上に縦向き姿勢で順次商品収納通路に積み重ねられる。このように、待機状態の商品搬出装置60における商品収納通路に突出した第1ストッパ部材62に保持された商品と商品収納通路との関係を図8に示す。
図8において、前方側通路形成部材40に形成した屈曲部41よりも下方の前方に膨らむ箇所が販売商品G1の幅寄せ収納部43であり、この幅寄せ収納部に対峙して後方側通路形成部材50に形成した傾斜面51が販売商品を前方側に移動させる幅寄せ部を構成している。このように、前方側通路形成部材40に形成した屈曲部41により、屈曲部41よりも上方の商品搬出通路90に対して屈曲部41よりも下方の商品搬出通路90が前方側に位置するように、商品収納通路90は前方側通路形成部材40に形成した屈曲部41を境界として屈曲しているものである。ここで、商品G1の縦方向長さをLとした場合、図4に示すように、突出位置にロックされた第1ストッパ部材62の保持面(HO)から前方側通路形成部材40に形成した屈曲部41までの寸法をHとし、突出位置にロックされた第1ストッパ部材62の保持面(HO)から退避位置にロックされた第2ストッパ部材63の先端までの寸法をYとすると、寸法Hは、(L<H<Y+L)に定められ、寸法Yは、(Y<L)に定められている。
このように構成された商品収納通路90にローディングされた最初の商品(販売商品G1)は、待機状態の商品搬出装置60における商品収納通路90に突出した第1ストッパ部材62に保持される直前の過程で次のように前方の幅寄せ収納部43側に幅寄せされて第1ストッパ部材62に縦向き姿勢に保持される。すなわち、前方側通路形成部材40に形成した屈曲部41より上方の商品搬出通路90を縦向き姿勢で落下する販売商品G1は、その底部が後方側通路形成部材50に形成した傾斜面51に到達すると、当該傾斜面51に沿うように傾倒しつつ落下して前方の幅寄せ収納部43側に幅寄せされた上で販売商品G1の運動エネルギーによって第1ストッパ部材62の保持部(上面)に縦向き姿勢に着地して保持される。このように、販売商品G1が第1ストッパ部材62の保持部(上面)に縦向き姿勢で保持されることにより、商品G1と後方側通路形成部材50の傾斜面51との間に隙間が形成される。したがって、商品搬出装置60の第2ストッパ部材63が販売商品G1によって邪魔されることなく商品収納通路90に突出することが可能となる。2番目以降にローディングされた商品(次販売商品G2)は、第1ストッパ部材62の保持部(上面)に縦向き姿勢で保持された商品G1の上に順次積み重ねられる。また、販売商品G1の払い出しにより落下する次販売商品は、落下する過程で後方側通路形成部材50に形成した傾斜面51に当接した後、当該傾斜面51に沿うように傾倒しつつ落下して前方の幅寄せ収納部43側に幅寄せされた上で第1ストッパ部材62の保持部(上面)に縦向き姿勢に着地して保持される。
次に、縦積み式商品収納ラック20に搭載した商品搬出装置60による商品払出動作を図8に示す。図8の(a)は待機状態を示し、図8の(b)は販売状態を示している。なお、商品搬出装置60の動作は前述したとおりであるので、商品搬出装置60の構成部品の詳細な動作についてはここでは割愛する。
待機状態では、図8の(a)に示すように、商品収納通路90に突出した商品搬出装置60の第1ストッパ部材62に販売順位一番の商品G1(以下、販売商品G1という)が保持され、販売商品G1の上に販売順位二番目の商品G2(以下、次販売商品G2という)およびそれ以降の商品が縦向き姿勢で順次積み重ねられている。
かかる待機状態から商品選択スイッチの操作に基づく販売指令により商品搬出装置60のモータ652が正転駆動される。モータ652の回転に伴ってリンク部材640が上昇すると下部リンクピン642による回動ストッパ部材66のロックが解除され、この回動ストッパ部材66を介して第1ストッパ部材62のロックも解除される。これにより第1ストッパ部材62が商品の荷重により商品収納通路90の突出位置から退避位置に移動して販売商品G1が払い出される。第1ストッパ部材62および回動ストッパ部材66は、販売商品G1が退避した第1ストッパ部材62をすり抜けると捻りコイルばね623の付勢力によって突出位置に復帰する。また、リンク部材640の上昇に伴う下部リンクピン642による回動ストッパ部材66および第1ストッパ部材62のロック解除と同時に上部リンクピン641による第2ストッパ部材63の押出しが開始されて第2ストッパ部材63が退避位置から突出位置へ移動する。この場合、販売商品G1と後方側通路形成部材50の傾斜面51との間に隙間が形成されているので、第2ストッパ部材63は販売商品G1に邪魔されることなく商品収納通路90に突出することができる。したがって、販売商品G1の払い出しにより落下する次販売商品G2は、商品収納通路90に突出した第2ストッパ部材63により保持される(図8の(b)参照)。
モータ652の回転が進んでリンク部材640の上昇から所定時間後、リンク部材640が下降すると下部リンクピン642によって突出位置に復帰した回動ストッパ部材66がロックされ、この回動ストッパ部材66を介して第1ストッパ部材62も突出位置にロックされる。また、リンク部材640が下降すると上部リンクピン641によって第2ストッパ部材63が突出位置から退避位置へ引き戻される。これにより第2ストッパ部材63に保持されていた次販売商品G2が落下して後方側通路形成部材50に形成した傾斜面51に当接すると、当該傾斜面51に沿うように傾倒しつつ落下して前方の幅寄せ収納部43側に幅寄せされた上で第1ストッパ部材62の保持部(上面)に縦向き姿勢に着地して保持され、次販売商品G2に引き続く商品が次販売商品G2の上に積み重ねられて図8の(a)に示す待機状態となる。
前述したように、この実施の形態にかかる自動販売機においては、断熱筐体として形成された本体キャビネット1の庫内の奥側に左右一対のラック側板181,181の間に形成された蛇行状の商品収納通路183に横倒し姿勢の商品を整列して積み重ねて収納するサーペンタイン式商品収納ラック180bを配備し、左右方向に複数配列されるとともに縦向き姿勢の商品を上下方向に整列して積み重ねて収納する商品収納通路90を有する縦積み式商品収納ラック20を前記サーペンタイン式商品収納ラック180bの前側に配備し、前記縦積み式商品収納ラック20は、左右一対のラック側板30,30と、この左右一対のラック側板30,30の間に配設された前方側通路形成部材40および後方側通路形成部材50とにより上下方向に延在するとともに縦向き姿勢の商品を上下方向に整列して積み重ねて収納する商品収納通路90を形成し、後方側通路形成部材50の下部背面に、後方側通路形成部材50に形成した開口54から前記商品収納通路90に出没自在であって販売順位一番の商品(販売商品G1)を保持する態様で商品収納通路90に突出して販売商品G1を保持する突出位置と前記商品収納通路90から退避する退避位置との間を移動可能に設けた第1ストッパ部材62および後方側通路形成部材50に形成した開口53から前記商品収納通路90に出没自在であって前記販売商品G1に続く販売順位二番の商品(次販売商品G2)を保持する態様で前記商品収納通路90に突出する突出位置と前記商品収納通90路から退避する退避位置との間を移動可能に設けた第2ストッパ部材63を有し、第1ストッパ部材62を退避位置に退避させて販売商品G1を払い出す一方、第2ストッパ部材63を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品G2を保持する商品搬出装置60を備え、前方側通路形成部材40の下部であって商品搬出装置60と対向する部位に商品収納通路90を前方側に屈曲する態様で次販売商品G2に対して販売商品G1を前方側に移動させて収納する幅寄せ収納部43を形成する一方、商品搬出装置60が装備された後方側通路形成部材50側に販売商品G1を前方側に移動させる態様で上方側に対して下方側が前方に位置するように傾斜した幅寄せ部(傾斜面51)を形成するとともに当該幅寄せ部(傾斜面51)に商品搬出装置60の第2ストッパ部材63を商品収納通路90に出没させるところの前記開口53を形成し、前記幅寄せ部(傾斜面51)によって販売商品G1を幅寄せ収納部43に幅寄せすることにより商品搬出装置60の第2ストッパ部材63が前記開口53を介して商品収納通路90に突出する隙間を形成し、前記商品搬出装置60の第1ストッパ部材62を退避位置に退避させて販売商品G1を払い出す際、第2ストッパ部材63が前記幅寄せ部(傾斜面51)に形成した開口53を介して前記隙間に突出したうえで次販売商品G2を保持してなることにより、自動販売機の左右方向の横幅(寸法)に占める縦積み式商品収納ラック20に収納された商品の寸法を商品の縦方向長さより短い商品の横幅とすることができるので、左右方向に並置可能な商品収納通路90(商品コラム)の数(商品の種類)を増やして多セレクション化が可能な自動販売機を得ることができるという効果を奏するものである。
なお、前述した実施の形態では、次販売商品G2に対して販売商品G1が前方側に移動して幅寄せ収納部43に収納されるように販売商品G1を幅寄せする幅寄せ部を後方側通路形成部材50に形成した傾斜面51とした例について説明したが、後方側通路形成部材50をストレートな矩形平板とし、後方側通路形成部材50の幅寄せ収納部43に対峙する位置であって、商品搬出装置60の第1ストッパ部材62と第2ストッパ部材63との間、具体的には商品収納通路90に突出する第2ストッパ部材63の先端よりも下方位置に、商品収納通路90に向けて突出する膨出部であっても良いものである。
また、前述した実施の形態では中央の商品収納室13に縦積み式商品収納ラック20を左右方向に3個並べて収設した例を示したが、中央の商品収納室13に限らず、左右いずれか、若しくは全ての商品収納室へ縦積み式商品収納ラック20を収設することもでき、自動販売機の設置ロケーションに応じて柔軟に商品収納ラックの選択、組み合わせが可能となる。したがって、本発明は実施の形態に限定されるものではない。