JP6309803B2 - 防汚防曇性部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
図3A及びBは、従来の防曇性部材の理想的な状態について示したものである。図3Aに示すように、従来の防曇性部材30は、平面視において、親水性の高いスルホ基32が密に配置されており、基板のガラス31の表面はほとんど外部に露出していない。基材のガラス(SiO2)の表面はほとんど外部に露出しないことにより、図3Bに示すように汚染物質33(水道水中のミネラル分や洗髪剤に含まれるシリコーンオイル等)が基材(ガラス31)の表面に近づくことができない。
なお、図5A及びB並びに図6A及びBのスルホ基32は、便宜的に「SO3H」と表記したが、アルカリ金属塩の状態になっていてもよい。
これにより、親水性の高いスルホ基を有する物質が基材表面における結露を防止するとともに、樹脂層が存在することによって、スルホ基を有する物質同士の間に侵入した汚染物質が基材表面に付着して水垢を形成してしまうのを防ぐことができる。このように、本発明により、高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材を提供できる。
これにより、上記のように高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材を製造することができる。また、基材上のコーティング部の形成において相分離が伴わないので、基材表面が白濁していない品質の高い防汚防曇性部材を安定して製造することができる。
図1Aは、本実施形態に係る防汚防曇性部材1の平面を模式的に示した図であり、図1Bは、本実施形態に係る防汚防曇性部材1の断面を模式的に示した図である。
図1Bに示すように、防汚防曇性部材1は、基材10と、基材10上に形成されたコーティング部20と、を備える。
樹脂層21は、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のマトリクス樹脂を含む。樹脂層21の含むマトリクス樹脂は、疎水性の高い、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のマトリクス樹脂を含むことが好ましい。また、樹脂層21の含むマトリクス樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂であることがより好ましい。マトリクス樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂であることでコーティング部20の防汚性がより向上し、(メタ)アクリル酸エステルの一部が後述するスルホ基を有する物質22と結合すれば防曇性能の持続性が向上する。
[化1]
(R1O)3Si−(CH2)m−SO3H ・・・(1)
(化学式(1)中において、R1は、H又はCnHn×2(nは自然数)であり、mは、0又は自然数である。)
防汚防曇性部材1の製造方法は、基材10上に樹脂層21を形成する工程S1(図2A参照)と、樹脂層21の表面にスルホ基を有する物質22を配置する工程S2(図2B参照)と、を有する。
[化2]
(R1O)3Si−(CH2)m−SO3H ・・・(1)
(化学式(1)中において、R1は、H又はCnHn×2(nは自然数)であり、mは、0又は自然数である。)
本実施形態では、防汚防曇性部材1の基材10上に形成されたコーティング部20が、疎水性が高い、つまり表面自由エネルギーが小さいことから汚染物質と反応し難い樹脂層21と、樹脂層21の表面に配置される親水性の高いスルホ基を有する物質22と、を含んで構成されるものとした。
これにより、親水性の高いスルホ基を有する物質22が基材10表面における結露を防止するとともに、樹脂層21が存在することによって、スルホ基を有する物質22同士の間に侵入した汚染物質33が基材表面に付着して水垢を形成してしまうのを防ぐことができる(図1B参照)。このように、本実施形態に係る防汚防曇性部材1は、高い防曇性と防汚性を兼ね備える。
なお、コーティング部20の樹脂層21は、比較的疎水性の高いマトリクス樹脂を含むが、親水性の非常に高いスルホ基を有する物質22を樹脂層21の上に配置することで、疎水性の高い樹脂層21の大きな影響を受けずに結露を防止することができる。
これにより、上記のように高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材1を製造することができる。また、基材10上のコーティング部20の形成において相分離が伴わないので、基材10表面が白濁いない品質の高い防汚防曇性部材1を安定して製造することができる。
PP板に、プライマーPC3−B(株式会社フロロテクノロジー製)を、ウエスを用いて塗布した。1時間常温乾燥した後、更に、スルホシラン(構造:(HO)3Si−(CH2)3−SO3H)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を、ウエスを用いて塗布し、60℃で1時間加熱することで、実施例1の部材を得た。
アクリル板に、PC−3Bを、ウエスを用いて塗布した。更に、スルホシラン(構造:(HO)3Si−(CH2)3−SO3H)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を、ウエスを用いて塗布し、60℃で1時間加熱することで、実施例2の部材を得た。
UV硬化塗料FA−3118(アクリル系UV硬化塗料、日本化工塗料株式会社製)をポリカーボネートシートに塗布してUV硬化させ、8μmの塗膜(樹脂層)を得た。スルホシラン(構造:(HO)3Si−(CH2)3−SO3H)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を調製した。フレーム処理したUV硬化塗膜(樹脂層)の表面に、スルホシラン溶液を、ウエスを用いて塗布し、80℃で1時間加熱することで実施例3の部材を得た。
未処理のPP板を実施例1の比較として用意した。
未処理のアクリル板を実施例2の比較として用意した。
ポリカーボネートシートにUV硬化塗料FA−3118を塗布してUV硬化させ、8μmの塗膜を形成することで、比較例3の部材を得た。
ガラス表面を酸化セリウムで研磨し、純水でよく洗浄したのち、エアブローで乾燥させた。スルホシラン(構造:(HO)3Si−(CH2)3−SO3H)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を、乾燥後のガラス上にウエスで塗布し、60℃で1時間加熱することで比較例4の部材を得た。
比較例4の処方に従って得た部材の表面を、酸化セリウムで磨くことで、部分的にスルホシランに覆われ且つ部分的にガラスが露出した表面状態である比較例5の部材を得た。
接触角計DM−500(協和界面科学株式会社)を用い、各部材の表面で水接触角(単位:°)を測定した。結果を表1に示す。
水道水を各部材の表面に噴霧し、40℃温風で2時間乾燥させた。この操作を30回繰り返し、水道水中の溶存ミネラルを各部材の表面に析出させた。各部材の表面に析出したミネラル汚れを濡れスポンジで拭き掃除した後の、ミネラル汚れの除去率を、下記数式(1)に基づき算出した結果を表1に示す。なお、下記数式(1)の、「拭き掃除後のミネラル汚れ残存面積」及び「拭き掃除前のミネラル汚れ付着面積」は、目視にて算出した。水垢除去試験の結果は、下記の判定基準により評価することができる。
[数1]
除去率={1−(拭き掃除後のミネラル汚れ残存面積/拭き掃除前のミネラル汚れ付着面積)}×100 ・・・(1)
オレイン酸5部とステアリン酸カルシウム5部とを混合した擬似汚れを各部材上に塗布し、40℃の温水をシャワーで3分間当てた後の擬似汚れの除去率を下記数式(2)に基づき算出しした。結果を表1に示す。なお、下記数式(2)の、「洗浄後の擬似汚れ残存面積」及び「洗浄前の擬似汚れ付着面積」は、目視にて算出した。耐汚染性試験の結果は、下記の判定基準により評価することができる。
[数2]
除去率={1−(洗浄後の擬似汚れ残存面積/洗浄前の擬似汚れ付着面積)}×100 ・・・(2)
80℃に熱した温水の上に各サンプルを配置し、曇る(結露する)までの時間を測定し、下記の判定基準により評価した。結果を表1に示す。なお、測定は、10分で終了した。
水を含ませたスポンジ(住友3MスコッチブライトS−21K)に1kgの荷重を掛け、各部材の表面を10000回往復磨耗した。スポンジの乾燥を防ぐため、500往復ごとに、水を供給した。磨耗試験後、上に示した試験・測定を実施し、部材のコーティング部の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
各部材のシリコーンオイルの吸着・除去性について以下の方法で試験した。水で50倍に希釈した市販の頭髪用化粧品(LUXスーパーリッチシャインコンディショナー、ユニリーバ・ジャパン株式会社製)を、霧吹きで各部材の表面にまんべんなく吹きつけ、10分間放置した。これを50回繰り返した後、洗浄剤(バスマジックリン泡立ちスプレー、花王株式会社)とスポンジを用いて各部材の表面を洗浄した。耐リンス試験後、上に示した試験・測定を実施し、部材のコーティング部の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
10…基材
20…コーティング部
21…樹脂層
22…スルホ基を有する物質
Claims (2)
- 基材と、該基材上に形成された防汚性及び防曇性を有するコーティング部と、を備える防汚防曇性部材であって、
前記コーティング部は、マトリクス樹脂として(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層の表面上に配置されるスルホ基を有する物質を含む層と、を含んで構成され、
前記スルホ基を有する物質は、スルホシランであることを特徴とする防汚防曇性部材。 - 基材と、該基材上に形成された防汚性及び防曇性を有するコーティング部と、を備え、前記コーティング部は、樹脂層と、スルホ基を有する物質と、を含んで構成される防汚防曇性部材の製造方法であって、
前記基材上に、マトリクス樹脂として(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、
前記工程で形成された樹脂層の表面にスルホ基を有する物質を含む層を配置する工程と、を有し、
前記スルホ基を有する物質は、スルホシランであることを特徴とする防汚防曇性部材の製造方法。
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