JP6309803B2 - 防汚防曇性部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、防汚防曇性部材及びその製造方法に関する。
従来、浴室内において鏡が配置されている。鏡の表面に、湯気が付着して結露すると、鏡の表面の微細な水滴が光を乱反射するので、鏡に映しだされるはずの像が視認し難くなる。このような問題に対して、鏡等の基材の表面をコーティングすることにより、結露を防止する技術が提案されている。
具体的には、基材の表面を、基材の無機層と共有結合可能なアルコキシシリル基と親水性の高いスルホ基とを有する親水剤によってコーティングする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、基材の表面に親水性の高いスルホ基が露出し、結露が防止される。また、コーティング層を形成する際に、コーティング材中で相分離を進行させることで、基材の表面(外)側に親水性の高いイオン性官能基を有する化合物を移動させた防曇性部材も知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。この部材も、コーティング層の表面側の親水性を高めることで、結露を防止している。なお、この技術では、意図的に相分離の進行を遅らせることによって基材表面の白濁を防止しようとしている。
特開2012−97171号公報 特開2012−236949号公報 特開2012−236950号公報
図3A及びB並びに図4A及びBの模式図を参照しながら従来の、基材の表面に親水性の高いスルホ基を露出させた防曇性部材について説明する。
図3A及びBは、従来の防曇性部材の理想的な状態について示したものである。図3Aに示すように、従来の防曇性部材30は、平面視において、親水性の高いスルホ基32が密に配置されており、基板のガラス31の表面はほとんど外部に露出していない。基材のガラス(SiO)の表面はほとんど外部に露出しないことにより、図3Bに示すように汚染物質33(水道水中のミネラル分や洗髪剤に含まれるシリコーンオイル等)が基材(ガラス31)の表面に近づくことができない。
しかしながら、実際には、親水性の高いスルホ基32をガラス31の表面に隙間なく密に配置するのは難しい。つまり、従来の防曇性部材においては、実際には、図4A及びBに示すように、親水性の高いスルホ基32同士が互いに間隔を開けて配置されている場合が多い。親水性の高いスルホ基32同士が互いに間隔を開けて配置されていると、ガラス31の表面のうち、外部に露出する面積が広くなってしまい、図4Bに示すように汚染物質33(水道水中のミネラル分や洗髪剤に含まれるシリコーンオイル等)がガラス31の表面に近づきやすくなってしまう。汚染物質33がガラス31の表面に近づくと、ガラス31のシラノール基と反応して、除去することが困難な汚れを形成する場合がある。
なお、図5A及びB並びに図6A及びBのスルホ基32は、便宜的に「SOH」と表記したが、アルカリ金属塩の状態になっていてもよい。
なお、防曇性部材のコーティング層を形成する際にコーティング材中で相分離を進行させた場合、相分離の進行を遅らせたとしても基材表面の白濁を完全に防ぐことは困難である。つまり、上記の特許文献2及び3で開示された技術では、基材表面が白濁していない防曇性部材を製造することができる場合があるにしても、そのような部材を安定して製造することは困難なものと認められる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材及びそのような防汚防曇性部材を安定して製造することのできる製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、基材(例えば、後述の基材10)と、該基材上に形成された防汚性及び防曇性を有するコーティング部(例えば、後述のコーティング部20)と、を備える防汚防曇性部材(例えば、後述の防汚防曇性部材1)であって、前記コーティング部は、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のマトリクス樹脂を含む樹脂層(例えば、後述の樹脂層21)と、前記樹脂層の表面上に配置されるスルホ基を有する物質(例えば、後述のスルホ基を有する物質22)と、を含んで構成されることを特徴とする防汚防曇性部材を提供する。
この発明では、防汚防曇性部材の基材上に形成されたコーティング部が、疎水性が高い、つまり表面自由エネルギーが小さいことから汚染物質と反応し難い樹脂層と、樹脂層の表面に配置される親水性の高いスルホ基を有する物質と、を含んで構成されるものとする。
これにより、親水性の高いスルホ基を有する物質が基材表面における結露を防止するとともに、樹脂層が存在することによって、スルホ基を有する物質同士の間に侵入した汚染物質が基材表面に付着して水垢を形成してしまうのを防ぐことができる。このように、本発明により、高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材を提供できる。
また、基材(例えば、後述の基材10)と、該基材上に形成された防汚性及び防曇性を有するコーティング部(例えば、後述のコーティング部20)と、を備え、前記コーティング部は、樹脂層(例えば、後述の樹脂層21)と、スルホ基を有する物質(例えば、後述のスルホ基を有する物質22)と、を含んで構成される防汚防曇性部材の製造方法であって、前記基材上に、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のマトリクス樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、前記工程で形成された樹脂層の表面にスルホ基を有する物質を配置する工程と、を有することを特徴とする防汚防曇性部材の製造方法を提供する。
この発明では、防汚防曇性部材の製造方法が、疎水性が高いことから汚染物質と反応し難い樹脂層を形成する工程と、親水性の高いスルホ基を有する物質を樹脂層の表面に配置する工程と、を有するものとする。
これにより、上記のように高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材を製造することができる。また、基材上のコーティング部の形成において相分離が伴わないので、基材表面が白濁していない品質の高い防汚防曇性部材を安定して製造することができる。
本発明によれば、高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材及びそのような防汚防曇性部材を安定して製造することのできる製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る防汚防曇性部材の平面を模式的に示した図である。 上記実施形態に係る防汚防曇性部材の断面を模式的に示した図である。 上記実施形態に係る防汚防曇性部材の製造方法について説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る防汚防曇性部材の製造方法について説明するための図である。 上記実施形態に係る防汚防曇性部材の表面の状態について模式的に示した図である。 従来の防曇性部材の平面を模式的に示した図である。 従来の防曇性部材の断面を模式的に示した図である。 従来の防曇性部材の平面を模式的に示した図である。 従来の防曇性部材の断面を模式的に示した図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
図1Aは、本実施形態に係る防汚防曇性部材1の平面を模式的に示した図であり、図1Bは、本実施形態に係る防汚防曇性部材1の断面を模式的に示した図である。
図1Bに示すように、防汚防曇性部材1は、基材10と、基材10上に形成されたコーティング部20と、を備える。
基材10は、特に限定されないが、二酸化ケイ素等の無機物からなる、あるいは表面に無機物からなる層を有するものであることが好ましい。また、基材10は、ポリカーボネートシートであってもよい。具体的には、基材10は、鏡、洗面所や自動車の内部に使用されるウィンドウ、レンズ等が挙げられる。
コーティング部20は、樹脂層21と、樹脂層21の表面上に配置されるスルホ基を有する物質22と、を含んで構成される。
樹脂層21は、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のマトリクス樹脂を含む。樹脂層21の含むマトリクス樹脂は、疎水性の高い、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のマトリクス樹脂を含むことが好ましい。また、樹脂層21の含むマトリクス樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂であることがより好ましい。マトリクス樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂であることでコーティング部20の防汚性がより向上し、(メタ)アクリル酸エステルの一部が後述するスルホ基を有する物質22と結合すれば防曇性能の持続性が向上する。
ところで、コーティング部20の樹脂層21の疎水性は、樹脂層21の表面自由エネルギーと相関関係がある。つまり、樹脂層21は、疎水性が高く、表面自由エネルギーが小さい。この「表面自由エネルギー」は、物質間同士の相互作用力の指標となる。具体的には、樹脂層21は、表面自由エネルギーが小さいことから、後述する汚染物質33と反応し難く、防汚性が高い。
スルホ基を有する物質22は、特に限定されないが、高い親水性を有する緻密な塗膜を形成可能な、下記の化学式(1)で表されるスルホシランが重合した物質であることが好ましい。
[化1]
(RO)Si−(CH)m−SOH ・・・(1)
(化学式(1)中において、Rは、H又はCn×2(nは自然数)であり、mは、0又は自然数である。)
スルホ基を有する物質22は、化学式(1)で表されるスルホシランの中でも、RがHであり、mが10以下であるスルホシランが重合した物質であることが好ましい。スルホ基を有する物質22が、このようなスルホシランが重合した物質であることで、コーティング部20の防曇性がより高くなる。特に、mが10以下であることにより、樹脂層21の表面上に後述する汚染物質33が侵入する隙間が生じにくくなるので、防汚防曇性部材1の防汚性がより向上する。スルホ基を有する物質22は、化学式(1)で表されるスルホシランの中でも、mが0〜3であるスルホシランが重合した物質であることがより好ましい。スルホ基を有する物質22は、樹脂層21を構成する樹脂と反応して結合していてもよい。
続いて、本実施形態に係る防汚防曇性部材1の製造方法について説明する。図2A〜Cは、本実施形態に係る防汚防曇性部材1の製造方法について説明するための図である。
防汚防曇性部材1の製造方法は、基材10上に樹脂層21を形成する工程S1(図2A参照)と、樹脂層21の表面にスルホ基を有する物質22を配置する工程S2(図2B参照)と、を有する。
工程S1では、上述したマトリクス樹脂の原料として、UV硬化型樹脂を用いることが好ましい。具体的には、工程S1では、UV硬化型樹脂及び光重合開始剤を含む塗料を基材10に塗布して、塗布されたUV硬化塗料にUVを照射することで樹脂層21を形成することが好ましい。工程S1においてUV硬化型樹脂が用いられる場合、UV硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む。光重合開始剤の種類や、硬化の条件は、用いられるUV硬化型樹脂の種類や濃度に応じて適宜設定される。
工程S1において、塗布の方法は特に限定されないが、ウエスや刷毛、バーコーターを用いて手塗りする方法や、ロールコーターを用いる方法や、ディスペンサーを用いる方法や、スリットコーターを用いる方法や、スプレー塗装する方法等を挙げることができる。
基材の表面は、工程S1に先立って前処理を行っていてもよい。工程S1の前処理としては、基材10の表面と樹脂層21を強固に結合させるカップリング剤による処理、プライマー処理、エッチング処理等の化成処理、フレーム処理、プラズマ処理等の火炎処理、サンディング、ポリッシング等の物理的処理を挙げることができる。
工程S2では、スルホ基を有する物質22の原料となる化合物を含む溶液を樹脂層21の表面に塗布する。好ましくは、工程S2では、スルホ基を有する物質22の原料となる化合物と溶媒とを含有する溶液を樹脂層21の表面上に塗布し、更に加熱する。
スルホ基を有する物質22の原料となる化合物は、高い親水性を有する緻密な塗膜を形成可能であることから、下記の化学式(2)で表されるスルホシランであることが好ましい。
[化2]
(RO)Si−(CH)m−SOH ・・・(1)
(化学式(1)中において、Rは、H又はCn×2(nは自然数)であり、mは、0又は自然数である。)
スルホ基を有する物質22の原料となる化合物は、化学式(1)で表されるスルホシランの中でも、RがHであり、mが10以下であるスルホシランであることが好ましい。特に、mが10以下であることにより、樹脂層21の表面上に後述する汚染物質33が侵入する隙間が生じにくくなるので、防汚防曇性部材1の防汚性がより向上する。スルホ基を有する物質22の原料となる化合物は、化学式(1)で表されるスルホシランの中でも、mが0〜3であるスルホシランであることがより好ましい。スルホ基を有する物質22の原料となる化合物が、このようなスルホシランが重合した物質であることで、コーティング部20の防曇性がより高くなる。スルホ基を有する物質22は、樹脂層21を構成する樹脂と反応して結合してもよい。
工程S2において、塗布の方法は特に限定されないが、ウエスや刷毛、バーコーターを用いて手塗りする方法や、ロールコーターを用いる方法や、ディスペンサーを用いる方法や、スリットコーターを用いる方法や、スプレー塗装する方法等を挙げることができる。
樹脂層の表面は、工程S2に先立って前処理を行っていてもよい。工程S2の前処理としては、樹脂層21と、スルホ基を有する物質22とを強固に結合させるカップリング剤による処理、プライマー処理、エッチング処理等の化成処理、フレーム処理、プラズマ処理等の火炎処理、サンディング、ポリッシング等の物理的処理を挙げることができる。
コーティング部20は、樹脂層21と、スルホ基を有する物質22と、を含んで構成されることで、防汚性及び防曇性を有する。
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、防汚防曇性部材1の基材10上に形成されたコーティング部20が、疎水性が高い、つまり表面自由エネルギーが小さいことから汚染物質と反応し難い樹脂層21と、樹脂層21の表面に配置される親水性の高いスルホ基を有する物質22と、を含んで構成されるものとした。
これにより、親水性の高いスルホ基を有する物質22が基材10表面における結露を防止するとともに、樹脂層21が存在することによって、スルホ基を有する物質22同士の間に侵入した汚染物質33が基材表面に付着して水垢を形成してしまうのを防ぐことができる(図1B参照)。このように、本実施形態に係る防汚防曇性部材1は、高い防曇性と防汚性を兼ね備える。
なお、コーティング部20の樹脂層21は、比較的疎水性の高いマトリクス樹脂を含むが、親水性の非常に高いスルホ基を有する物質22を樹脂層21の上に配置することで、疎水性の高い樹脂層21の大きな影響を受けずに結露を防止することができる。
また、本実施形態では、防汚防曇性部材の製造方法が、疎水性が高いことから汚染物質と反応し難い樹脂層21を形成する工程S1と、親水性の高いスルホ基を有する物質22を樹脂層21の表面に配置する工程S2と、を有するものとした。
これにより、上記のように高い防曇性と防汚性を兼ね備えた防汚防曇性部材1を製造することができる。また、基材10上のコーティング部20の形成において相分離が伴わないので、基材10表面が白濁いない品質の高い防汚防曇性部材1を安定して製造することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本実施形態に係る防汚防曇性部材及びその製造方法について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りがない限り「部」は質量基準である。
[実施例1]
PP板に、プライマーPC3−B(株式会社フロロテクノロジー製)を、ウエスを用いて塗布した。1時間常温乾燥した後、更に、スルホシラン(構造:(HO)Si−(CH−SOH)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を、ウエスを用いて塗布し、60℃で1時間加熱することで、実施例1の部材を得た。
[実施例2]
アクリル板に、PC−3Bを、ウエスを用いて塗布した。更に、スルホシラン(構造:(HO)Si−(CH−SOH)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を、ウエスを用いて塗布し、60℃で1時間加熱することで、実施例2の部材を得た。
[実施例3]
UV硬化塗料FA−3118(アクリル系UV硬化塗料、日本化工塗料株式会社製)をポリカーボネートシートに塗布してUV硬化させ、8μmの塗膜(樹脂層)を得た。スルホシラン(構造:(HO)Si−(CH−SOH)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を調製した。フレーム処理したUV硬化塗膜(樹脂層)の表面に、スルホシラン溶液を、ウエスを用いて塗布し、80℃で1時間加熱することで実施例3の部材を得た。
[比較例1]
未処理のPP板を実施例1の比較として用意した。
[比較例2]
未処理のアクリル板を実施例2の比較として用意した。
[比較例3]
ポリカーボネートシートにUV硬化塗料FA−3118を塗布してUV硬化させ、8μmの塗膜を形成することで、比較例3の部材を得た。
[比較例4]
ガラス表面を酸化セリウムで研磨し、純水でよく洗浄したのち、エアブローで乾燥させた。スルホシラン(構造:(HO)Si−(CH−SOH)1部をイソプロピルアルコール100部で希釈して1時間攪拌した溶液を、乾燥後のガラス上にウエスで塗布し、60℃で1時間加熱することで比較例4の部材を得た。
[比較例5]
比較例4の処方に従って得た部材の表面を、酸化セリウムで磨くことで、部分的にスルホシランに覆われ且つ部分的にガラスが露出した表面状態である比較例5の部材を得た。
実施例及び比較例で得られた部材を、下に示した試験・測定に供した。
<水接触角の測定>
接触角計DM−500(協和界面科学株式会社)を用い、各部材の表面で水接触角(単位:°)を測定した。結果を表1に示す。
<水垢除去試験>
水道水を各部材の表面に噴霧し、40℃温風で2時間乾燥させた。この操作を30回繰り返し、水道水中の溶存ミネラルを各部材の表面に析出させた。各部材の表面に析出したミネラル汚れを濡れスポンジで拭き掃除した後の、ミネラル汚れの除去率を、下記数式(1)に基づき算出した結果を表1に示す。なお、下記数式(1)の、「拭き掃除後のミネラル汚れ残存面積」及び「拭き掃除前のミネラル汚れ付着面積」は、目視にて算出した。水垢除去試験の結果は、下記の判定基準により評価することができる。
[数1]
除去率={1−(拭き掃除後のミネラル汚れ残存面積/拭き掃除前のミネラル汚れ付着面積)}×100 ・・・(1)
<耐汚染性試験>
オレイン酸5部とステアリン酸カルシウム5部とを混合した擬似汚れを各部材上に塗布し、40℃の温水をシャワーで3分間当てた後の擬似汚れの除去率を下記数式(2)に基づき算出しした。結果を表1に示す。なお、下記数式(2)の、「洗浄後の擬似汚れ残存面積」及び「洗浄前の擬似汚れ付着面積」は、目視にて算出した。耐汚染性試験の結果は、下記の判定基準により評価することができる。
[数2]
除去率={1−(洗浄後の擬似汚れ残存面積/洗浄前の擬似汚れ付着面積)}×100 ・・・(2)
<防曇性評価>
80℃に熱した温水の上に各サンプルを配置し、曇る(結露する)までの時間を測定し、下記の判定基準により評価した。結果を表1に示す。なお、測定は、10分で終了した。
<磨耗試験>
水を含ませたスポンジ(住友3MスコッチブライトS−21K)に1kgの荷重を掛け、各部材の表面を10000回往復磨耗した。スポンジの乾燥を防ぐため、500往復ごとに、水を供給した。磨耗試験後、上に示した試験・測定を実施し、部材のコーティング部の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
<耐リンス試験>
各部材のシリコーンオイルの吸着・除去性について以下の方法で試験した。水で50倍に希釈した市販の頭髪用化粧品(LUXスーパーリッチシャインコンディショナー、ユニリーバ・ジャパン株式会社製)を、霧吹きで各部材の表面にまんべんなく吹きつけ、10分間放置した。これを50回繰り返した後、洗浄剤(バスマジックリン泡立ちスプレー、花王株式会社)とスポンジを用いて各部材の表面を洗浄した。耐リンス試験後、上に示した試験・測定を実施し、部材のコーティング部の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
Figure 0006309803
実施例1と比較例1との比較から、実施例1の部材の方が比較例1の部材よりも表面の水接触角が低い(親水性が高い)ことが分かった。この結果から、樹脂層の表面にスルホ基を有する物質を配置しない部材よりも、樹脂層の表面にスルホ基を有する物質を配置した部材の方が、防曇性が高いことが確認された。このことは、実施例2と比較例2との比較及び実施例3と比較例3との比較からも明らかである。
また、実施例1〜3と比較例4(及び5)との比較から、実施例1〜3の部材の方が、比較例4の部材よりも水垢除去性が高いことが確認された。この結果から、ガラス等の基材の表面にマトリクス樹脂を含む樹脂層を形成してから、その樹脂層の表面にスルホ基を有する物質を配置した部材の方が、基材の表面に直接スルホ基を有する物質を配置した部材よりも、防汚性が高いことが明らかである。
なお、実施例1及び2では、ガラス等の基材上に樹脂層を形成していない。しかし、ガラス等の基材上に、実施例1のPP板に相当する樹脂層あるいは実施例2のアクリル板に相当する樹脂層を設けて、その樹脂層上にスルホ基を有する物質を配置したとしても、実施例1及び2と同等の試験結果が得られることは明らかである。
1…防汚防曇性部材
10…基材
20…コーティング部
21…樹脂層
22…スルホ基を有する物質

Claims (2)

  1. 基材と、該基材上に形成された防汚性及び防曇性を有するコーティング部と、を備える防汚防曇性部材であって、
    前記コーティング部は、マトリクス樹脂として(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂を含む樹脂層と、前記樹脂層の表面上に配置されるスルホ基を有する物質を含む層と、を含んで構成され、
    前記スルホ基を有する物質は、スルホシランであることを特徴とする防汚防曇性部材。
  2. 基材と、該基材上に形成された防汚性及び防曇性を有するコーティング部と、を備え、前記コーティング部は、樹脂層と、スルホ基を有する物質と、を含んで構成される防汚防曇性部材の製造方法であって、
    前記基材上に、マトリクス樹脂として(メタ)アクリル酸エステルを重合したアクリル樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、
    前記工程で形成された樹脂層の表面にスルホ基を有する物質を含む層を配置する工程と、を有し、
    前記スルホ基を有する物質は、スルホシランであることを特徴とする防汚防曇性部材の製造方法。
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