JP6307016B2 - ナトリウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、ナトリウム二次電池に関する。特に本発明は、フッ化ナトリウムNaFを添加した電極を用いたサイクル特性に優れたナトリウム二次電池に関する。
ナトリウムイオンの挿入及び脱離反応を用いるナトリウム二次電池は、その電極材料や電解質材料に関する研究開発が進められている。ナトリウム二次電池は、現在広範に使用されているリチウム二次電池よりも、ナトリウムの資源の優位性から、コスト性に優れた二次電池として期待されている。
松浦らは、非特許文献1で、有機電解液中でハードカーボンを負極として用いたナトリウム二次電池において、電流密度25mA/gで充放電した場合、30サイクルにわたり、約250mAh/gの安定な可逆容量を示すことを報告している。また、同文献には、スズを負極として用いた場合、初回可逆容量は550mAh/gと高いものの、5サイクル後には容量が20%程度まで低下することが記載されている。
松浦ら、第13回化学電池材料研究会ミーティング講演要旨集、2〜23(2011)97
上記のように、ナトリウム二次電池では、放電容量がリチウム二次電池に比べ低いという問題、或いは、十分なサイクル特性が得られないという問題があった。
従って、本発明は、サイクル特性に優れたナトリウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明の課題を解決するための手段の一例は、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であって、前記正極及び前記負極の少なくとも一方にNaFが添加されていることを特徴とするナトリウム二次電池である。
たとえば、前記正極にNaFが添加されている。この場合、前記正極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であることが好ましい。あるいは、前記負極にNaFが添加されている。この場合、前記NaFの添加量が、前記負極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であることが好ましい。
あるいは、前記正極及び前記負極の両方にNaFが添加されている。この場合、前記NaFの添加量が、前記正極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であり、前記負極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であることが好ましい。
また、前記電解質が、ナトリウムイオンを含む有機電解質、固体電解質、またはポリマー電解質であって良い。
本発明によれば、サイクル特性に優れたナトリウム二次電池を提供することができる。
本発明のナトリウム二次電池の構成を示す概念図である。 本発明の一実施形態のナトリウム二次電池の構造を示す概略図である。 図2に示した本発明の実施形態のナトリウム二次電池の充放電曲線を示す図である。
本発明は、ナトリウム二次電池、特に、負極または正極にフッ化ナトリウムNaFを添加したものに関する。
以下に、本発明のナトリウム二次電池の実施形態について説明する。
本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極及び電解質を少なくとも含む。正極および負極はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものである。負極または正極のうち少なくとも一方に、フッ化ナトリウムを添加剤として含むものである。電解質はナトリウムイオン導電性を有するものである。
以下に本発明のナトリウム二次電池の構成要素について説明する。
(1)負極
負極は、ナトリウム二次電池で使用可能な、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであれば特に限定されない。例えば、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質として、金属ナトリウム、Sn、Pb、Ge、SnO、CuFeOなどを挙げることができる。負極は、このようなナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を、例えばカーボン粉末のような導電性材料と混合したものであることが好ましい。
負極のサイクル特性を向上させる為に、負極に上記ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質の重量を基準としてフッ化ナトリウムNaFを0.1%から60%混合して含むことが好ましい。混合法は、ボールミル法や、らいかい法等の手法でもよい。また、フッ化ナトリウムは形状や粒径はどのようなものであってもよいが、粒径が小さい方が好ましい。
上述の負極は、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
まず、フッ化ナトリウム、カーボン粉末(例えば、アセチレンブラック粉末、ケッチェンブラック粉末などのカーボンブラック類)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリル酸(PAA)のような結着剤粉末、及び、Sn、Pb、Ge、SnO、CuFeOなどのナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質(本明細書において、負極活物質とも称する)を混合し、次いでロールプレス機等の圧延機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、負極を作製することができる。
或いは、前述のカーボン粉末、結着剤粉末及び負極活物質の混合物を有機溶剤(例えばNMP)等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えばアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することによっても、負極を作製できる。
上述の負極に含まれる材料は、市販品として入手可能であるか、適宜合成により調製することができる。例えば、CuFeOのような酸化物は、以下のように調整できる。
硝酸銅、硝酸鉄などの銅塩及び鉄塩を同等モル量秤量し、これをリンゴ酸水溶液又はエチルグリコールなどの溶媒に溶解する。その後、アンモニア水などでpH調整を行う。得られた溶液を蒸発皿で、100〜300℃程度に加熱し、溶媒を揮発させ、CuFeOの前駆体粉末を得る。この前駆体粉末をメノウ乳鉢で粉砕し、アルゴン雰囲気中や窒素雰囲気中などの還元雰囲気において、500〜900℃で3〜90時間焼成し、CuFeO粉末を得ることができる。
(2)正極
正極は、ナトリウム二次電池で使用可能な、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであれば特に限定されない。例えば、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質として、金属ナトリウム、NaCrO、NaFeO、NaNi1/2Mn1/2などのナトリウム複合酸化物等の化合物を挙げることができる。正極は、このようなナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を、例えばカーボン粉末のような導電性材料と混合したものであることが好ましい。
正極のサイクル特性を向上させる為に、正極に上記ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質の重量を基準としてフッ化ナトリウムNaFを0.1%から60%混合して含むことが好ましい。混合法は、ボールミル法や、らいかい法などどの手法でもよい。また、フッ化ナトリウムは形状や粒径はどのようなものであってもよいが、粒径が小さい方が好ましい。
上述の正極は、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を用いる場合、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
まず、フッ化ナトリウム、カーボン粉末(例えば、アセチレンブラック粉末、ケッチェンブラック粉末などのカーボンブラック類)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリル酸(PAA)のような結着剤粉末、及び、ナトリウム複合酸化物などの、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質(本明細書において、正極活物質とも称する)を混合し、次いでロールプレス機等の圧延機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、正極を作製することができる。
或いは、前述のカーボン粉末、結着剤粉末及び正極活物質の混合物を有機溶剤(例えばNMP)等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えばアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することによっても、正極を作製できる。
上述の正極に含まれる材料は、市販品として入手可能であるか、適宜合成により調製することができる。例えば、NaCrOのようなナトリウム複合酸化物は、市販試薬の炭酸ナトリウムNaCO及び酸化クロムCrを、所定の割合で混合し、不活性雰囲気中で焼成することにより得ることができる。また、カーボン粉末、結着剤等は、例えば市販試薬として入手可能である。
(3)電解質
上記の負極と正極を含む本発明のナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンを含む有機電解液又は水系電解液を電解質として用いることができる。更に、上記のナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンを通す固体電解質又はポリマー電解質を電解質として用いることもできる。
電解質には、ナトリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(NaTFSI)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF)などのナトリウムイオンを含む金属塩を、例えば炭酸エチレン(EC)及び炭酸ジメチル(DMC)(体積比1:1)の混合溶媒、EC及び炭酸ジエチル(DEC)などのような混合溶媒、又は炭酸プロピレン(PC)のような単独溶媒に溶解した有機電解液を挙げることができる(但し、これらに限定されない)。更に、電解質には、NaOH水溶液、NaSO水溶液、NaClO水溶液などのナトリウムイオンを含む金属塩を水に溶解した水溶液(水系電解液)を挙げることができる(但し、これらに限定されない)。
本発明のナトリウム二次電池の他の電解質として、ナトリウムイオン導電性を有する固体電解質[例えば、75NaS・25Pなどのガラス状物質、NaZrSiPO12などのNASICON(Na Super Ionic Conductor)]、ナトリウムイオン導電性を有するポリマー電解質(例えば、上記有機電解質とポリエチレンオキシド(PEO)をコンポジット化した物質)などを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明では、ナトリウム二次電池で使用される公知のナトリウムイオンを通す固体電解質又はナトリウムイオンを通すポリマー電解質であれば使用することができる。
本発明のナトリウム二次電池は、セパレータ、電池ケース等の構造材料などの他の要素を含むこともできる。これらの要素についても、従来公知の二次電池に用いられる各種材料が使用でき、特に制限はない。
(4)ナトリウム二次電池の構成
上記のような正極、負極、電解質等を使用するナトリウム二次電池は、コイン形、円筒形、ラミネート形など従来の形状で作製することができる。そして、これらの二次電池の製造方法も従来と同様の方法を用いることができる。
例えば、本発明のナトリウム二次電池は、図1に示すような正極及び負極と、これら両極に接する電解質からなる。正極及び負極の間にセパレータが含まれていてもよい。有機電解質を電解質として用いる場合には、例えば、セパレータに電解質を含浸させて使用することができる。また、有機電解質は、ポリマー電解質等に含浸させてもよい。また、固体電解質、ポリマー電解質等を用いる場合には、両極がこれらに接するように配置すればよい。
さらに、図1には明記していないが、本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極、電解質、セパレータ等を被う電池ケース等を含むことができる。
本発明のより具体的な一実施形態は、コインセル型二次電池である。図2に示すコインセル型二次電池は、正極1及び負極3を含み、これらの電極の間に電解液を含有したセパレータ2をさらに含む。この二次電池は、さらに正極ケース4、ガスケット5、及び負極ケース6を含むことができ、例えば上記の正極1、負極3、及び電解液を含有したセパレータ2を、正極ケース4及び負極ケース6に所望の通りに配置し、各構成要素を配置した両ケースを固定することで調製することができる。
本発明では、セパレータに代えて又は加えて、上述したような固体電解質、ポリマー電解質等を使用することができる。
[実施例]
以下に図面を参照して、本発明のナトリウム二次電池についての実験例を詳細に説明する。なお、本発明は下記実験例に示したものに限定されるのではなく、本発明の趣旨及び範囲を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
(i)ナトリウム二次電池の作製
ナトリウム二次電池は、以下の手順で作製した。
正極のためにクロム酸ナトリウムNaCrOを合成し、これを正極活物質として利用した。クロム酸ナトリウムNaCrOは以下の手順で合成した。市販試薬の炭酸ナトリウムNaCO(関東化学製)10.6gと酸化クロムCr(関東化学製)15.2gを混合し、1000℃で6時間、アルゴン雰囲気中で焼成することによりクロム酸ナトリウムNaCrOを得た。
正極は、次に示すように、NaCrOに対してNaFを重量比で2%添加したものを用いた。NaCrO、NaF(関東化学製)、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末(クレハバッテリーマテリアルズ社製)を78.4:1.6:10:10の重量比で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー状にし、アルミ箔状に塗布・乾燥させることで電極とした。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いた。
負極は、次に示すように、スズに対してNaFを重量比で2%添加したものを用いた。スズ粉末(イオリテック社製)、NaF(関東化学製)、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末(クレハバッテリーマテリアルズ社製)を78.4:1.6:10:10の重量比で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー状にし、アルミ箔状に塗布・乾燥させることで電極とした。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いた。
電解質は、炭酸エチレン(EC)(キシダ化学製)と炭酸ジメチル(DMC)(キシダ化学製)を体積比1:1で混合して調製した混合溶媒に、1mol/Lの濃度で過塩素酸ナトリウム(NaClO)(キシダ化学製)を溶解することにより調製した。
セパレータとして、リチウム二次電池用のポリプロピレン製のもの(セルガード社製)を用いた。
性能評価用テストセル(ナトリウム二次電池)は、図2に示すような2032コイン型のものを製造した。正極1は、正極ケース4にセットした。負極3は、負極ケース6にセットした。次に、正極ケース4に、セパレータ2をセットし、更にセパレータ2に電解質を注入し、負極ケース6を被せ、コインセルかしめ機で正極ケース4及び負極ケース6をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケット5を含むコインセルを作製した。なお、ナトリウム二次電池の作製は、水分と酸素が共に0.1ppm以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
(ii)充放電試験
ナトリウム二次電池の充放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製)を用いて、正極活物質重量当たりの電流密度で25mA/gを通電し、充電終止電圧3.5V、放電終止電圧2.0Vの電圧範囲で充放電試験を行った。電池の充放電試験は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の大気環境下)で測定を行った。
本実施例で作製したナトリウム二次電池の充放電曲線を、図3に示す。図より、充放電が可能であり、初回放電容量101mAh/g(NaCrO粉末重量当たりで規格化)、放電平均電位は2.8Vを示した。第1表に100サイクル目の容量維持率を示す。第1表より100サイクル後の放電容量維持率は91%と高い値を達成し、安定したサイクル特性を有していることが分かる。
(実施例2)
正極活物質としてNaCrOを利用し、負極活物質としてCuFeOを利用した。
正極は実施例1で使用したものと同じものを用いた。
負極活物質であるCuFeOは次のように合成法した。Cu(NO・3HO(関東化学社製)を8.0614g、Fe(NO・9HO(関東化学社製)を13.6027g秤量し、リンゴ酸水溶液(蒸留水:約300ml、リンゴ酸(関東化学社製):13.5444g)に入れ、室温で撹拌しながら溶かした。その後、アンモニア水(関東化学社製)を加え、pH=2.5になるようにpH調整した。その溶液を蒸発皿にて、ドラフト内でホットスターラーを用い、撹拌しながら250〜300℃程度に加熱して溶媒を揮発させて、CuFeOのアモルファス前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末をメノウ乳鉢で15分粉砕し、アルゴン雰囲気中、750℃で10時間焼成した。
負極は、次に示すように、CuFeOに対してNaFを重量比で2%添加したものを用いた。得られたCuFeO粉末、NaF(関東化学製)、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末(クレハバッテリーマテリアルズ社製)を78.4:1.6:10:10の重量比で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー状にし、アルミ箔状に塗布・乾燥させることで電極とした。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いて負極とした。上述の負極を用いて実施例1と同様にして、コインセルを作製した。また、充放電試験も、実施例1と同様に行った。
充放電試験の結果を、第1表に示す。初回放電容量98mAh/g(NaCrO粉末重量当たりで規格化)、放電平均電位は2.4Vを示した。また、100サイクル後の放電容量維持率も88%の高い値を達成した。
(実施例3)
固体電解質としてNASICON(NaZrSiPO12)を、正極として実施例1で用いたのと同じNaF添加NaCrO正極を、負極として実施例1で用いたのと同じNaF添加スズを、それぞれ使用した。
NASICONディスクは、以下の手順で調製した。まず、ZrO(NO・8HO(関東化学株式会社)、NHPO(関東化学株式会社)、及びNaSiO・9HO(関東化学株式会社)を、Na:Zr:Si:P=3:2:2:1の比率となるモル比で混合し、850℃で仮焼成を行った。得られた粉末をペレット成形機でディスク状に成形し、1100℃で24時間の本焼成を行った。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。なお、固体電解質はコインセル内に収まるようにディスク(厚さ:約1mm)状に作製し、図2のセパレータ2の部分となるようにセットした。また、正極/固体電解質/負極のそれぞれの界面に隙間ができないように、コインセルケースに任意の厚さのコインセルと同材質のディスク状のスペーサーを溶接した。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、市販の放充電測定システムを用いて行った。
充放電試験の結果を第1表に示す。実施例1と比較して、正極/電解質及び負極/電解質の界面の接触抵抗が増大するために、電圧は0.1Vの減少を示し、若干ではあるが放電容量も減少した。しかしながら、放電容量で示されるサイクル安定性に変化はみられなかった。本実施例により、固体電解質を含む本発明のナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
(実施例4)
ポリマー電解質として、PEO系高分子電解質膜を、正極として実施例1で用いたのと同じNaF添加NaCrO正極を、負極として実施例1で用いたのと同じNaF添加スズを、それぞれ使用した。
PEO系電解質膜(厚さ:約2mm)は、以下の手順で調製した。
まず、PEO(Aldrich、Mw=6×105)及び溶質であるNaTFSI(キシダ化学)を、Na/O=1/18となるように、10重量%のBaTiOフィラー(BaTiOは、Aldrich製試薬(粒子径:<2μm)を用いた))と共にアセトニトリル溶媒(キシダ化学)に添加した。一晩攪拌した後、得られた溶液をPTFE板上に塗布し、アセトニトリルを完全に揮発させた。その後、真空下において90℃で12時間乾燥を行った。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。なお、ポリマー電解質はコインセル内に収まるようにディスク状に切り抜き、図2のセパレータ2の部分となるようにセットした。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、市販の放充電測定システムを用いて行った。
充放電試験の結果を第1表に示す。実施例1と比較して、正極/電解質及び負極/電解質の界面の接触抵抗が増大するために、電圧は0.1Vの減少を示し、若干ではあるが放電容量も減少した。しかしながら、放電容量で示されるサイクル安定性に変化はみられなかった。本実施例により、ポリマー電解質を含む本発明のナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
(実施例5〜8)
負極へのNaF添加量を変えて、評価を行った。正極は実施例1と同じものを使用した。スズに対してNaFを重量比で0.1%添加(実施例5)、1%添加(実施例6)、10%添加(実施例7)、60%添加(実施例8)したものをそれぞれ用いた。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、市販の放充電測定システムを用いて行った。
充放電試験の結果を第1表に示す。実施例1と比較して、添加量の少ないものは初期容量が大きくなることを確認した。また、添加量の多いものはサイクル特性がわずかに良くなることを確認した。なお、正極NaCrOへNaF添加0.1〜60%を行った場合も同様の傾向であることを別途確認した。本実施例により、NaFの添加量が電極活物質に対して0.1〜60%の範囲でナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
(実施例9〜10)
正極または負極単独へのNaF添加した評価をおこなった。正極は実施例1と同様のものを使用して負極のスズにはNaFを添加しないもの(実施例9)、正極のNaCrOにはNaFを添加せず負極は実施例1と同様のものを使用したもの(実施例10)をそれぞれ用いた。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、市販の放充電測定システムを用いて行った。
充放電試験の結果を第1表に示す。実施例1と比較して、充放電特性は劣るものの、サイクル特性が向上した結果が得られた。本実施例により、NaFの添加が正極または負極単独であってもサイクル特性を向上させることが確認された。
(比較例1)
比較例として、NaFを添加せずに、正極材料としてNaCrO、負極材料としてスズを用いて評価した。
正極は、NaCrO、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末(クレハバッテリーマテリアルズ社製)を80:10:10の重量比で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー状にし、アルミ箔状に塗布・乾燥させることで電極とした。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いた。
負極は、スズ粉末(イオリテック社製)、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末(クレハバッテリーマテリアルズ社製)を80:10:10の重量比で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー状にし、アルミ箔状に塗布・乾燥させることで電極とした。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いた。
実施例1と同様にしてコイン電池作製及び評価を行った。その結果を、第1表に示す。
本比較例による電池は、実施例1と比較して、初期特性においては、放電容量で優れた特性を示した。しかしながら、サイクルによる容量の減少は著しく、100サイクル後には、初期の約10%の放電容量しか得られなかった。
一方、実施例1の場合、比較例よりも初期放電容量は劣る(但し、ナトリウム二次電池としては十分な性能である。)ものの、100サイクル後でも91%の放電容量を維持しており、安定性が高いことが分かった。
以上のように、本発明によるフッ化ナトリウムNaFを添加したナトリウム二次電池は、コスト性に優れ、更に優れた充放電サイクル特性を有した高性能電池あることが分かった。
Figure 0006307016
本発明により、コスト性に優れたナトリウム二次電池を作製することができ、本発明のナトリウム二次電池は、様々な電子機器の駆動源等として使用することができる。
1 正極
2 セパレータ(電解質液を含浸)
3 負極
4 正極ケース
5 ガスケット
6 負極ケース

Claims (8)

  1. ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する水系電解質を含むナトリウム二次電池であって、前記正極及び前記負極の少なくとも一方にNaFが添加されていることを特徴とするナトリウム二次電池。
  2. 前記正極にNaFが添加されていることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3. 前記NaFの添加量が、前記正極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であることを特徴とする請求項2に記載のナトリウム二次電池。
  4. ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であって、前記負極にNaFが添加されていることを特徴とするナトリウム二次電池。
  5. 前記NaFの添加量が、前記負極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であることを特徴とする請求項4に記載のナトリウム二次電池。
  6. ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であって、前記正極及び前記負極の両方にNaFが添加されていることを特徴とするナトリウム二次電池。
  7. 前記NaFの添加量が、前記正極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であり、前記負極の前記物質の重量を基準として0.1〜60%であることを特徴とする請求項6に記載のナトリウム二次電池。
  8. 前記水系電解質が、NaOH水溶液、Na 2 SO 4 水溶液、およびNaClO 4 水溶液からなる群から選択された水系電解であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
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