JP6304404B2 - 消臭剤組成物及び消臭製品 - Google Patents

Description

本発明は、酸性ガス、塩基性ガス、硫黄系ガス及びアルデヒドガスから選ばれた少なくとも２種に対して好適な消臭剤組成物、並びに、当該消臭剤組成物を含む消臭製品に関する。

近年、日常生活における臭気に対する関心が高まっており、不快臭又は悪臭を低減するために、室内置き型やスプレータイプの消臭製品以外に、壁紙、カーテン、カーペット、マット、ソファ、フィルター、衣類等に消臭効果を付与した様々な消臭製品が製品化されている。不快臭又は悪臭としては、生ゴミ等の腐敗臭、ヒト又は動物の排泄臭、汗臭、加齢臭、家具や家電から発生するアルデヒド、タバコ臭等が挙げられ、漂う臭気は、通常、複数成分を含む複合臭であるため、各臭気成分に対応可能な消臭性有効成分の組み合わせが提案されている。

従来、消臭剤として、活性炭が多用されてきたが、活性炭は物理吸着性であることから、様々な用途に対する汎用的消臭剤としての使用は困難である。物理吸着性の欠点は、ガス成分は何でも吸着することから、開放空間では悪臭以外のガスを吸着し続けることであり、これにより、吸着能が、直ぐに飽和してしまうことである。更に、吸着量が飽和する又は環境温度が上がると、一旦、吸着したガスを放出し、悪臭源にもなってしまう。従って、活性炭は、取り替えられる製品にしか使用することができない。また、活性炭は、黒色であることから、他の部材と組み合わせた場合に、白色又は有彩色の消臭製品が得られにくいという問題があった。そこで、白色又は淡色の化学吸着性を有する消臭剤が開発されている。
例えば、特許文献１には、比表面積が４０〜１００ｍ^２／ｇの範囲内であり、かつ硫化水素消臭容量が３．０ｍｍｏｌ／ｇ以上、一次粒子径が０．２μｍ以下である微粒子酸化亜鉛からなる、硫黄系ガスに好適な消臭剤が開示されている。特許文献２には、酸化亜鉛と酸化アルミニウム及び／又は酸化珪素との緊密結合粒子からなる、アンモニア系ガス、アミン系ガス又は硫黄系ガスに好適な白色脱臭剤が開示されている。また、特許文献３には、有機質又は無機質の担体に第１級アミノ基を有する化合物を担持させた消臭剤、及び、珪酸アルミニウムからなる消臭剤を含有することを特徴とする、アルデヒドガス又は塩基性ガスに好適な消臭剤組成物が開示されている。
更に、特許文献４には、ＢＥＴ比表面積が４５０〜６００ｍ^２／ｇで、且つ細孔容積が０．６〜１．２ｍｌ／ｇである珪酸アルミニウムが開示されており、この化合物は、塩基性物質の吸着剤であると記載されている。特許文献５には、Ｚｒ_１−ｘＨｆ_ｘＨ_ａ（ＰＯ_４）_ｂ・ｎＨ_２Ｏで示される層状リン酸ジルコニウムからなる消臭剤が開示されている。
また、特許文献６には、ヒドラジド化合物の金属錯体を有効成分として含有する、アルデヒドガス又は酸性ガスに好適な消臭剤が開示されている。特許文献７には、精製水に溶解させたときのｐＨが１〜７であるアミノグアニジン塩と、精製水に分散させたときのｐＨが２〜８であるケイ酸塩化合物、精製水に分散させたときのｐＨが２〜８である４価金属リン酸塩化合物、精製水に分散させたときのｐＨが２〜８であるゼオライト、及び、精製水に分散させたときのｐＨが２〜８であるシリカゲルの中から選ばれる少なくとも１種と混合したものであって、当該混合物の水懸濁液のｐＨが１〜７であることを特徴とするアルデヒド系ガス消臭剤が開示されている。

しかし、これら化学吸着型の消臭剤は、反応機構が異なることから、１種類の消臭剤は１系統の悪臭しか吸着できないことが多い。そのため、複合臭に対応できるように複数の消臭剤を配合して使用する必要がある。
例えば、特許文献８には、ケイ酸塩化合物及び４価金属リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも１種以上に、コハク酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド及びシュウ酸ジヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも１種以上を担持したアルデヒド系ガス消臭剤と、硫黄系ガス消臭剤、塩基性ガス消臭剤及び有機酸性ガス消臭剤からなる群から選ばれる少なくとも１種以上とを含む消臭剤組成物、並びに、珪酸アルミニウム、ゼオライト及び４価金属リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも１種以上、及び、ケイ酸マグネシウムの混合物に、コハク酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド及びシュウ酸ジヒドラジドからなる群から選ばれる少なくとも１種以上を担持したアルデヒド系ガス消臭剤と、硫黄系ガス消臭剤、塩基性ガス消臭剤及び有機酸性ガス消臭剤からなる群から選ばれる少なくとも１種以上とを含む消臭剤組成物が開示されている。

特許文献９には、二酸化珪素、四価金属の水不溶性リン酸塩及び二価金属の水酸化物を含有する、酸性ガス及び塩基性ガスに好適な吸着性組成物が開示されている。

また、特許文献１０には、多孔質無機物質と、アミン化合物と、金属酸化物とを含有する消臭剤において、少なくとも１成分の平均粒径が５μｍ〜３０μｍである、アルデヒドガス、塩基性ガス及び硫黄系ガスに好適なフィルム用消臭剤が開示されている。

更に、特許文献１１には、多孔質無機物質と、アミン化合物と、金属酸化物とを含有する消臭剤を噴霧した不織布と、パイル糸及び基布からなる表皮層とを備える消臭カーペットが開示されている。

特開２００３−５２８００号公報 特開昭６３−２４６１６７号公報 特開２０００−２７９５００号公報 特開２００６−２５６８９１号公報 特開２０１２−２５４９２５号公報 特開２００７−５４３２８号公報 ＷＯ２００７／０８８８７９号公報 ＷＯ２００４／０５８３１１号公報 特開平７−８１３号公報 特開２０１３−２２３２２号公報 特開２０１４−４２７２８号公報

上記のように、化学吸着性を有する消臭剤は、通常、特定の悪臭成分に対して作用を有するものであり、複合臭を消臭するために、複数の消臭剤を組み合わせる場合、その割合等によっては、消臭剤の反応性基どうしが影響を及ぼし合うことで各消臭剤の消臭性能を打消し、結果として消臭性能が低下することがあった。また、場合によっては、変色や凝集を生じることもあった。
本発明の課題は、酸性ガス、塩基性ガス、硫黄系ガス、アルデヒドガス等を含む複合臭に対する消臭性に優れ、加工性や多様性に優れる消臭剤組成物を提供することである。また、本発明の他の課題は、消臭剤組成物を用いた消臭製品を提供することである。

本発明者は、特定の結晶質酸化亜鉛、非晶質珪酸アルミニウム及びヒドラジド化合物を併用した組成物は、酸性ガス、塩基性ガス、硫黄系ガス、アルデヒドガス等を含む複合臭に対して、極めて高い消臭効果を有することを見出した。また、この消臭剤組成物を含む布等は、変色等の外観上の不具合が少ないことも見出した。
即ち、本発明は、粉末Ｘ線回折測定により得られたＸ線回折像において、回折角度（２θ）３０〜３８ｄｅｇｒｅｅの範囲において検出される３つの回折ピークのうち、少なくとも２つのピークの半値幅が０．４〜１．２ｄｅｇｒｅｅである結晶質酸化亜鉛と、非晶質珪酸アルミニウムと、ヒドラジド化合物とを含有する消臭剤組成物であって、結晶質酸化亜鉛の含有量が、ヒドラジド化合物の含有量を１００質量部とした場合に１００〜５００質量部であり、非晶質珪酸アルミニウムの含有量が、ヒドラジド化合物の含有量を１００質量部とした場合に１００〜７５０質量部であることを特徴とする消臭剤組成物である。また、他の本発明は、この消臭剤組成物を備える消臭性加工製品である。

本発明の消臭剤組成物は、化学吸着作用により、酸性ガス、塩基性ガス、硫黄系ガス及びアルデヒドガスからなる複合臭に対する消臭効果に優れている。これらのガスに対して必要な吸着性能は、各ガスの臭気強度や業界基準から、酢酸３０ｐｐｍ、アンモニア１００ｐｐｍ、硫化水素４ｐｐｍ、アセトアルデヒド１４ｐｐｍを、いずれも、７０％以上吸着することが必要とされており、本発明の消臭剤含有塗料組成物は、上記以上の性能を備えるものである。
更に、消臭剤組成物は、白色〜淡色を呈しているので利用しやすく、また、加工性に優れ、当該消臭剤組成物を用いて、各種用途の消臭製品、更には、消臭皮膜等を与える消臭剤含有塗料組成物や、樹脂成形品又は発泡成形品を与える消臭剤含有樹脂組成物等を提供することができる。

結晶質酸化亜鉛のＸ線回折像（ワイドレンジ）である。 結晶質酸化亜鉛のＸ線回折像（ナローレンジ）である。 結晶質酸化亜鉛のＸ線回折像におけるピークの半値幅を決定する方法を示す概略図である。

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の消臭剤組成物は、粉末Ｘ線回折測定により得られたＸ線回折像において、回折角度（２θ）３０〜３８ｄｅｇｒｅｅの範囲において検出される３つのピークのうち、少なくとも２つのピークの半値幅が０．４〜１．２ｄｅｇｒｅｅである結晶質酸化亜鉛と、非晶質珪酸アルミニウムと、ヒドラジド化合物とを特定の割合で含有する。
本発明の消臭剤組成物は、粉末状の３成分からなるものであってよいし、結晶質酸化亜鉛と、ヒドラジド化合物が非晶質珪酸アルミニウム粉末に担持されたものと、からなる混合粉末であってもよい。

本発明に係る結晶質酸化亜鉛は、粉末Ｘ線回折において酸化亜鉛の結晶構造に起因する、回折角度（２θ）が約３１．７ｄｅｇｒｅｅ、約３４．４ｄｅｇｒｅｅ及び約３６．２ｄｅｇｒｅｅの計３本のピークが確認される（図１及び図２参照）。各ピークの回折強度は、測定条件によって異なるが、３本の回折ピークの半値幅は、回折強度が異なってもほぼ同じ値となる。半値幅は、図３に従って決定することができる。上記結晶質酸化亜鉛の半値幅は、複合臭の消臭性の観点から、０．４〜１．２ｄｅｇｒｅｅであり、好ましくは、０．５〜１．０ｄｅｇｒｅｅである。上記結晶質酸化亜鉛の粒度は、通常、１００ｎｍ以上であるため、Ｘ線回折像におけるこれらの半値幅は、結晶粒度ではなく結晶性を示している。上記結晶質酸化亜鉛は、結晶性に優れる結晶ではないが非晶質でもない特定の結晶性を有する。

上記結晶質酸化亜鉛は、亜鉛原子及び酸素原子からなるものであってよいし、上記半値幅を有するものである限りにおいて、更に、アルミニウム原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、遷移金属原子等の他の原子を含んでもよい。

上記結晶質酸化亜鉛は、好ましくは、アルミニウム原子を含み、結晶性を有する結晶質酸化亜鉛である。

上記結晶質酸化亜鉛の粒径は、特に限定されないが、消臭皮膜（消臭点を含む）、樹脂成形品又は発泡成形品等における高い消臭効果が得られ、これらを与える消臭剤含有塗料組成物又は消臭剤含有樹脂組成物とするための加工性に優れることから、好ましくは粉末状である。その場合、メジアン粒径で好ましくは０．１μｍ〜５μｍ、より好ましくは０．５μｍ〜３μｍである。尚、結晶質酸化亜鉛の最大粒径は、通常、２０μｍ以下、好ましくは１５μｍ以下である。

上記結晶質酸化亜鉛のＢＥＴ比表面積は、好ましくは７０ｍ^２／ｇ以上であり、より好ましくは９０〜２００ｍ^２／ｇ、更に好ましくは１２０〜１６０ｍ^２／ｇである。比表面積が、７０ｍ^２／ｇ以上であれば、高い消臭効果を得ることができる。

上記結晶質酸化亜鉛の粉末色彩は、Ｌａｂ色空間表示で、好ましくは、Ｌ値９２〜９８、ａ値−１〜−６、ｂ値４〜１０であり、より好ましくは、Ｌ値９４〜９７、ａ値−１．５〜５、ｂ値５〜９である。

上記結晶質酸化亜鉛のガス吸着容量は、消臭剤１ｇあたり、好ましくは、酢酸ガスで２０ｍＬ以上、硫化水素ガスで７０ｍＬ以上である。吸着容量とは、化合物が消臭、吸収又は吸着できる臭気成分、即ち、酢酸又は硫化水素の最大量のことであり、測定方法は、以下のとおりである。臭気成分が吸着し難く、かつ、空気を通さない材質であるビニルアルコール系ポリマー又はポリエステル等からなる試験袋に、消臭剤を入れた後に密封し、この密封された試験袋に臭気ガスを注入する。試験袋中に残存する臭気ガス濃度を、臭気ガス注入直後及び一定時間後に測定する。一定時間後の残存ガス濃度と初期のガス濃度との差を、消臭剤が消臭、吸収又は吸着した臭気ガス量とする。

上記結晶質酸化亜鉛の製造方法は、特に限定されず、原料、製造工程、設備等にも制約はない。結晶質酸化亜鉛の製造方法の概要を以下に示す。
酸化亜鉛粒子を１〜２０質量％含む水スラリーに、二酸化炭素ガスを数時間導入することで、塩基性炭酸亜鉛粒子を生成する。その後、得られた塩基性炭酸亜鉛粒子を含むスラリーから、水分を除去して乾燥粉末とし、１００℃〜４００℃程度で加熱することで、上記構成の塊状結晶質酸化亜鉛を得る。そして、この塊状結晶質酸化亜鉛を粉砕処理することで、本発明の消臭剤組成物に好適な結晶質酸化亜鉛の粉末が得られる。

本発明において、上記結晶質酸化亜鉛は、上記のように、他の原子を含むことができ、他の原子を含む結晶質酸化亜鉛を得るには、上記結晶質酸化亜鉛の製造法において、酸化亜鉛を含む水スラリーに、他の原子を含む化合物の水分散液又は水溶液を加えておけばよい。

本発明に係る非晶質珪酸アルミニウムは、天然物及び合成物のいずれであってもよく、ケイ素原子、アルミニウム原子及び酸素原子以外に、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、遷移金属原子等の他の原子を含んでもよい。
例えば、合成非晶質珪酸アルミニウムは、下記一般式で表される。
Ａｌ_２０_３・ｎＳｉＯ_２・ｍＨ_２Ｏ
（式中、ｎは６以上の整数であり、ｍは整数である。）
上記一般式において、アンモニアガス等に対する消臭効果の観点から、より好ましくは６≦ｎ≦５０であり、且つ１≦ｍ≦２０である非晶質珪酸アルミニウム、特に好ましくは、８≦ｎ≦１５であり、且つ３≦ｍ≦１５である非晶質珪酸アルミニウムである。

尚、本発明において、珪酸アルミニウムが非晶質であることにより臭気成分の吸着効果が高く、他の消臭剤と複合した際の吸着性能の低下が少ない。非晶質であるため、形状は不定形であり、粉末Ｘ線回折においてはブロードピークしか検出されない。

上記非晶質珪酸アルミニウムの粒径は、特に限定されないが、消臭皮膜（消臭点を含む）、樹脂成形品又は発泡成形品等における高い消臭効果が得られ、これらを与える消臭剤含有塗料組成物又は消臭剤含有樹脂組成物とするための加工性に優れることから、好ましくは粒状である。その場合、メジアン粒径で好ましくは１μｍ〜１０μｍ、より好ましくは１μｍ〜５μｍ、更に好ましくは１μｍ〜３μｍである。尚、上記非晶質珪酸アルミニウムの最大粒径は、通常、３０μｍ以下、好ましくは１５μｍ以下である。

上記非晶質珪酸アルミニウムのＢＥＴ比表面積は、好ましくは２０〜８００ｍ^２／ｇ、より好ましくは、２００〜６００ｍ^２／ｇである。比表面積が小さいと臭気ガスの吸着性能が低くなる。

上記非晶質珪酸アルミニウムのアンモニアガス吸着容量は、消臭剤１ｇあたりのアンモニアガスで、好ましくは３０ｍＬ以上、より好ましくは３５ｍＬ以上である。尚、測定方法は、前述のとおりである。

上記非晶質珪酸アルミニウムの製造方法は、特に限定されず、例えば、水溶性珪酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性珪酸塩中の珪素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比（Ｓｉ／Ａｌ比）が、好ましくは２〜８．３となる割合で反応させ、ｐＨが３．５〜５．０の反応液を調製し、次いで、この反応液を６０℃〜１２０℃で、５分間〜３時間、熟成し、熟成後に固液分離したケーキを洗浄した後、乾燥、粉砕して得ることができる。

本発明において、上記非晶質珪酸アルミニウムは、上記のように、他の原子を含むことができ、他の金属原子を含む非晶質珪酸アルミニウムを得るには、上記非晶質珪酸アルミニウムの製造法において、水溶性珪酸塩と水溶性アルミニウム塩を混合する際に、他の原子を含む化合物の水分散液又は水溶液を加えておけばよい。

本発明に係るヒドラジド化合物は、ヒドラジド基（−ＮＨ−ＮＨ_２）を有する化合物であれば、特に限定されず、モノヒドラジド及びポリヒドラジドの少なくとも一方を用いることができる。モノヒドラジドとしては、Ｒ^１ＣＯＮＨＮＨ_２（Ｒ^１は、置換又は非置換の炭化水素基）で表される化合物が挙げられる。また、ポリヒドラジドとしては、ジヒドラジド、トリヒドラジド、テトラヒドラジド等を用いることができ、これらのうち、ジヒドラジドが好ましい。このジヒドラジドとしては、Ｈ_２ＮＨＮ−Ｘ−ＮＨＮＨ_２（Ｘは、−ＣＯ−、又は、−ＣＯ−Ｙ−ＣＯ−であり、Ｙは、置換又は非置換の２価の炭化水素基）で表される化合物が挙げられる。本発明においては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド等のジヒドラジドが好ましい。

上記ヒドラジド化合物は、１つのみ用いてよいし、２つ以上を組み合わせて用いてもよい。尚、ヒドラジド化合物は、その粒度が大きいことがあるので、他の消臭剤と均一混合が難しい場合がある。従って、他の消臭剤、例えば、非晶質珪酸アルミニウム粉末に担持して用いることが好ましい。

上記ヒドラジド化合物の非晶質珪酸アルミニウム粉末への担持方法は、例えば、次の通りである。はじめに、非晶質珪酸アルミニウム粉末を撹拌しながら、コハク酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド等のヒドラジド化合物の溶液を滴下あるいは噴霧する。その後、好ましくは６０℃〜１２０℃、より好ましくは８０℃〜１１０℃で乾燥する。尚、更に、この乾燥後に、好ましくは１４０℃〜２２０℃、より好ましくは１７０℃〜２００℃に加熱すると、耐水性に優れた、ヒドラジド化合物担持非晶質珪酸アルミニウム粉末を得ることができる。

本発明の消臭剤組成物において、結晶質酸化亜鉛、非晶質珪酸アルミニウム及びヒドラジド化合物の質量比は、特に限定されない。本発明の効果が確実に得られる質量比は、以下の通りである。結晶質酸化亜鉛の含有量は、ヒドラジド化合物の含有量を１００質量部とした場合に、１００〜５００質量部、好ましくは１５０〜４５０質量部、更に好ましくは２００〜４００質量部である。また、非晶質珪酸アルミニウムの含有量は、ヒドラジド化合物の含有量を１００質量部とした場合に、１００〜７５０質量部、好ましくは１５０〜７５０質量部、更に好ましくは２００〜７００質量部である。

本発明の消臭剤組成物の製造方法は、特に限定されない。各成分を乾式で混合する方法、及び、湿式で混合する方法のいずれでもよい。特に好ましい方法は、乾式により、各成分を短時間で加熱せずに混合する方法である。

本発明の消臭剤組成物によると、吸着容量は、酢酸ガスで好ましくは２０ｍＬ以上、アンモニアガスで好ましくは８０ｍＬ以上、硫化水素ガスで好ましくは５０ｍＬ以上、アセトアルデヒドガスで好ましくは１０ｍＬ以上である。これらの性能は、メジアン粒径で３μｍ以下、最大粒径で２０μｍ以下の場合に、確実に得られ、メジアン粒径が大きすぎる場合は、加工性が低下する場合がある。

従来、複数の消臭剤を組み合わせると、各消臭性能を打ち消しあって、全体としての消臭性能も十分ではない傾向があったが、本発明の消臭剤組成物は、消臭性能の低下が小さい。消臭性能の低下は、単に乾式混合では確認しにくく、湿式混合すると反応性基同士が反応することで低下する。これらの絶妙なバランスを有する組合せは非常に少ないため、本発明の消臭剤組成物における各成分の組合せは、数少ない適正配合と言える。また、本発明の消臭剤組成物は、水と接触した場合に、液のｐＨがほぼ中性であることから、後述の用途とする場合にも、不具合が少なく加工性に優れる。

本発明の消臭剤組成物は、消臭効果を有するので、例えば、粉末又は顆粒の形態として、カートリッジ等の容器に入れた消臭製品を与える。この消臭製品を、室内や室外の悪臭発生源の近傍等に静置しておくことで、不快臭又は悪臭の成分の濃度を低減することができる。更に、本発明の消臭剤組成物は、以下に詳述するように、他の材料と組み合わせて、各種用途の消臭製品、更には、消臭皮膜等を与える消臭剤含有塗料組成物や、樹脂成形品又は発泡成形品を与える消臭剤含有樹脂組成物等の製造に利用することができる。

本発明の消臭剤組成物を用いた有用な消臭製品の１つは消臭繊維である。この場合、消臭剤組成物が、原料繊維の表面に付着又は接着されている消臭繊維（１）、又は、消臭剤組成物が、原料繊維の表面に表出するように埋設されている消臭繊維（２）とすることができる。原料繊維としては、天然繊維及び合成繊維のいずれでもよく、また、短繊維、長繊維及び芯鞘構造をもった複合繊維等いずれでもよい。消臭繊維（１）は、原料繊維の表面に、消臭剤組成物を含有した水系あるいは有機溶剤系懸濁液からなる消臭剤含有液体組成物を、塗布やディッピング等の方法で付着させ、溶剤等の媒体を除去することにより得ることができる。また、この組成物には、原料繊維表面への消臭剤組成物の付着力を向上させるための接着剤を配合しておいてもよい。消臭剤組成物を含有する水系の懸濁液のｐＨは、特に制限はないが、消臭剤組成物の性能を十分に発揮させるために、好ましくはｐＨが６〜８付近である。

また、消臭繊維（２）は、液状繊維用樹脂の溶融物又は溶解した繊維用樹脂溶液に、本発明の消臭剤組成物を配合し、得られた消臭剤含有樹脂組成物を繊維化することにより得ることができる。この方法で用いることができる繊維用樹脂は、特に限定されず、公知の化学繊維を使用することができる。好ましい樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリビニル、ポリビニリデン、ポリウレタン及びポリスチレン等である。これらの樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。共重合体の場合、単量体の重合割合は、特に限定されない。

消臭剤含有樹脂組成物に含まれる消臭剤組成物の割合は、特に限定されない。一般に、消臭剤組成物の含有量を増やせば、消臭性を強力に発揮させ、長期間持続させることができるが、ある程度以上に含有させても、消臭効果に大きな差が生じないこと、あるいは消臭繊維の強度が低下することがあるので、繊維用樹脂１００質量部に対して、好ましくは０．１〜２０質量部であり、より好ましくは０．５〜１０質量部である。

本発明の消臭剤組成物を備える消臭繊維は、例えば、肌着、靴下、エプロン等の衣類、介護用衣類、布団、座布団、毛布、じゅうたん、ソファ、エアーフィルター、布団カバー、カーテン、カーシート等の、後述する消臭シートを加工した製品等の繊維製品に使用することができる。

本発明の消臭剤組成物の主要な他の用途は、上記のように、消臭剤含有塗料組成物である。消臭剤含有塗料組成物を製造するに際し、使用される塗料ビヒクルの主成分となる油脂又は樹脂は、特に限定されず、天然植物油、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂のいずれであってもよい。使用できる油脂及び樹脂としては、例えば、あまに油、しなきり油、大豆油等の乾性油又は半乾性油、ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、ベンジルセルロース、ノボラック型又はレゾール型のフェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及びポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。尚、消臭剤含有塗料組成物は、熱可塑性及び硬化性のいずれでもよい。

消臭剤含有塗料組成物に含まれる本発明の消臭剤組成物の割合は、特に限定されない。一般に、消臭剤組成物の含有量を増やせば、消臭性を強力に発揮させ、長期間持続させることができるが、ある程度以上に含有させても、消臭効果に大きな差が生じないこと、あるいは、塗装面の光沢がなくなったり、割れが生じたりする。従って、消臭剤組成物の含有割合は、組成物１００質量％に対して、好ましくは０．１〜２０質量％であり、より好ましくは０．５〜１０質量％である。

本発明の消臭剤組成物は、液体塗料、粉体塗料のいずれにも使用可能である。また、上記消臭剤含有塗料組成物は、いかなる機構により皮膜化するタイプでもよく、塗膜を硬化させる場合には、酸化重合型、湿気重合型、加熱硬化型、触媒硬化型、紫外線硬化型、及びポリオール硬化型等とすることができる。また、組成物に配合される顔料、分散剤その他の添加剤は、本発明の消臭剤組成物と化学的反応を起す可能性のあるものを除けば、特に制限はない。上記消臭剤含有塗料組成物は、容易に調製することができ、具体的には、原料成分を、例えば、ボールミル、ロールミル、デイスパーやミキサー等の一般的な混合装置を用いて、十分に分散、混合すればよい。

本発明の消臭剤組成物を含有する消臭剤含有塗料組成物は、例えば、建物、車両、鉄道等の内壁及び外壁、ゴミ焼却場の施設、生ゴミ容器等に対して好適に使用することができる。

また、本発明の消臭剤組成物の更に他の用途は、消臭シート（消臭フィルムを含む）である。加工前の原料シートは、特に限定されず、その材質、微細構造等も、用途等に応じたものとすることができる。原料シートの好ましい材質は、樹脂、紙等の有機材料、無機材料、あるいはこれらの複合物である。原料シートは、１面側から他面側に通気性を有するものが好ましく用いられる。原料シートの他の好ましい具体例としては、和紙、合成紙、不織布、樹脂フィルム等が挙げられ、特に好ましい原料シートは、天然パルプ及び／又は合成パルプからなる紙である。天然パルプを使用すると、微細に枝分かれした繊維間に消臭剤粒子が挟まれやすく、特に結合剤を使用しなくても実用的な担持体になり得る。一方、合成パルプは、耐薬品性に優れるという長所がある。合成パルプを使用する場合には、繊維間に粉体を挟み込むことにより消臭剤粒子を担持することが困難となることがあるので、それを抑制するために、抄紙後の乾燥工程において繊維の一部を溶融し、粉末と繊維との間の付着力を増加させたり、繊維の一部に別の熱硬化性樹脂繊維を混在させてもよい。天然パルプと合成パルプとを適当な割合で混合して使用すると、種々の特性を調整した紙を得ることができるが、一般に合成パルプの割合を多くすると、強度、耐水性、耐薬品性及び耐油性等に優れた紙を得ることができ、一方、天然パルプの割合を多くすると、吸水性、ガス透過性、親水性、成形加工性及び風合い等に優れた紙を得ることができる。
上記消臭シートとしては、消臭剤組成物が、原料シートの１面側から他面側への全体に渡って含まれるものであってよいし、１面側又は他面側の表面層に配されたものであってもよいし、表面層を除く内部に配されたものであってもよい。

上記消臭シートに含まれる本発明の消臭剤組成物の担持量は、特に限定されない。一般に、消臭剤組成物の担持量を増やせば、消臭性を強力に発揮させ、長期間持続させることができるが、ある程度以上に担持させても、消臭効果に大きな差が生じない。従って、消臭剤組成物の担持量は、原料シート１００質量部あたり、好ましくは０．１〜１０質量部である。

上記消臭シートを製造する方法は、特に限定されない。本発明の消臭剤組成物の担持は、原料シートの製造と同時又は原料シートの製造後のいずれでもよい。例えば、紙に担持する場合、抄紙工程のいずれかの工程において消臭剤組成物を導入する方法や、接着剤を含む消臭剤含有液体組成物を、予め製造した紙に塗布、浸漬又は吹き付ける方法等を適用することができる。消臭剤含有液体組成物を用いる場合、消臭剤組成物の担持量が、０．０５〜１０ｇ／ｍ^２程度となるように塗工することが好ましい。

以下、本発明の消臭剤組成物が紙に担持された消臭シートを製造する方法の一例として、抄紙工程時に消臭剤組成物を導入する方法について説明する。抄紙工程自体は、公知の方法に従って行えばよく、まず、所定の割合で消臭剤組成物とパルプとを含むスラリーに、カチオン性及びアニオン性の凝集剤を、それぞれ、全スラリーに対して５質量％以下で添加して、凝集体を生成させる。次いで、この凝集体を、公知の方法によって抄紙化し、その後、これを温度１００℃〜１９０℃で乾燥させることにより、紙に消臭剤組成物を担持した消臭シートを得ることができる。

本発明の消臭剤組成物を備える消臭シートは、例えば、医療用包装紙、食品用包装紙、電気機器用梱包紙、介護用紙製品、鮮度保持紙、紙製衣料、空気清浄フィルター、壁紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー等として用いることができる。

本発明の消臭剤組成物は、上記のように、樹脂成形品又は発泡成形品に適用することができる。樹脂成形品を製造する場合には、成形材料としての消臭剤含有樹脂組成物が用いられる。この消臭剤含有樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と消臭剤組成物とからなる混合物であってよいし、溶融混練物であってもよい。樹脂成形品は、消臭剤含有樹脂組成物を成形機に投入することにより製造することができる。尚、消臭剤組成物を高濃度含有したペレット状樹脂を予め調製し、これを主樹脂と混合後、成形機により成型することも可能である。また、消臭剤含有樹脂組成物には、物性を改善するために、必要に応じて、顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤及び増量剤等の添加剤を配合することもできる。上記の樹脂成形品又は発泡成形品を製造するための成型方法としては、射出成型、押出成型、インフレーション成型、真空成型、発泡成型等、一般の樹脂成型方法を適用することができる。

本発明の消臭剤組成物を含有する樹脂成形品又は発泡成形品は、例えば、空気清浄器、冷蔵庫等の家電製品や、ゴミ箱、水切り等の一般家庭用品、ポータブルトイレ等の介護用品等として用いることができる。

以下、本発明を更に具体的に説明するが、これに限定されるものではない。

１．消臭剤組成物の原料
実施例及び比較例で用いた消臭剤（ｄ１）〜（ｄ１１）を以下に示す。また、表１に、各消臭剤の性質を示す。

１−１．消臭剤（ｄ１）
酸化亜鉛を１０質量％含む水スラリーを撹拌しながら、その中に、二酸化炭素ガスを４０℃で６時間導入した。次いで、スラリーの水分を除去した。その後、乾燥物を３００℃で加熱することで、結晶質酸化亜鉛の粉末を得た。得られた結晶質酸化亜鉛粉末のＸＲＤによる回折ピークの半値幅は、回折角度３１．７°及び３６．２°において、いずれも０．８ｄｅｇｒｅｅであった。この結晶質酸化亜鉛粉末を、消臭剤（ｄ１）とする。その他、この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に記載した。

１−２．消臭剤（ｄ２）
堺化学工業社製顔料用結晶質酸化亜鉛「２種」（商品名）の粉末を用いた。ＸＲＤによる回折ピークの半値幅は、回折角度３１．７°及び３６．２°において、いずれも０．２ｄｅｇｒｅｅであった（表１参照）。
１−３．消臭剤（ｄ３）
堺化学工業社製結晶質酸化亜鉛「ＮＡＮＯＦＩＮＥ」（商品名）の粉末を用いた。ＸＲＤによる回折ピークの半値幅は、回折角度３１．７°及び３６．２°において、いずれも１．４ｄｅｇｒｅｅであった（表１参照）。

１−４．消臭剤（ｄ４）
協和化学工業社製ハイドロタルサイト「ＤＨＴ−Ａ４」（商品名）の粉末を用いた。この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に示した。
１−５．消臭剤（ｄ５）
合成した非晶質アルミン酸マグネシウムの粉末を用いた。この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に示した。
１−６．消臭剤（ｄ６）
水酸化ジルコニウム（試薬）の粉末を用いた。この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に示した。

１−７．消臭剤（ｄ７）
合成した層状リン酸チタニウムの粉末を用いた。この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に示した。
１−８．消臭剤（ｄ８）
合成した非晶質珪酸アルミニウムの粉末を用いた。この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に示した。
１−９．消臭剤（ｄ９）
合成した結晶質珪酸アルミニウムの粉末を用いた。この粉末のメジアン粒径と、消臭容量とを表１に示した。

１−１０．消臭剤（ｄ１０）
大塚化学社製アジピン酸ジヒドラジドの粉末を用いた。この粉末の消臭容量を表１に示した。
１−１１．消臭剤（ｄ１１）
日本ファインケム社製コハク酸ジヒドラジドの粉末を用いた。この粉末の消臭容量を表１に示した。

上記消臭剤（ｄ１）〜（ｄ１１）に関する分析方法及び評価方法は、以下の通りである。
（１）ＸＲＤによる回折ピーク半値幅
粉末Ｘ線回折測定を、リガク社製Ｘ線回折装置「ＲＩＮＴ２４００Ｖ」（型式名）を用いたＣｕ Ｋα線により行い、Ｘ線回折像を得た。測定条件は、管電圧４０ｋＶ及び電流１５０ｍＡとした。図１には、消臭剤（ｄ１）のＸ線回折像を示したが、３０〜３８ｄｅｇｒｅｅの間の３本の回折ピークは、酸化亜鉛に帰属されるが、これらのうち、３１．７°及び３６．２°におけるピークに対して、その半値幅を求めた。即ち、半値幅を、そのピーク高さの５０％におけるピーク幅とした。
（２）メジアン粒径
マルバーン社製レーザー回折式粒度分布測定装置「ＭＳ２０００」（型式名）を用いて、消臭剤のｄ５０を体積基準で解析した。尚、粒度分布の含有率は、全粒子中の体積割合であるが、測定粉末の密度が一定であるので、質量基準と同じ意味である。
（３）酢酸、アンモニア又は硫化水素に対する消臭性能
乾燥した消臭剤粉末０．０１ｇをビニルアルコール系ポリマーフィルム製の試験袋に入れ、ここに酢酸、アンモニア、硫化水素を３リットル注入し、１時間放置した後の試験袋中の残存ガス濃度をガス検知管で測定した。

２．消臭剤組成物及び消臭製品の製造並びに評価
表１に記載の消臭剤を、表２に記載の割合で含む消臭剤組成物（Ｃ１）〜（Ｃ１７）を製造した。その後、得られた消臭剤組成物とアクリル系バインダー分散液とからなる消臭剤含有液体組成物を、ポリエステル繊維からなる布に展着加工して消臭加工布を製造し、酢酸、アンモニア、硫化水素又はアセトアルデヒドに対する消臭試験を行った。その結果を、表２に併記した。

実施例１〜３及び比較例１、２、５、９、１１〜１４
消臭剤（ｄ１０）及び（ｄ１１）は、水溶性であるので、これらを、予め、水に溶解した後、水溶液を消臭剤（ｄ８）に接触させ、乾燥させた。これにより、消臭剤（ｄ８）の表面に消臭剤（ｄ１０）又は（ｄ１１）が担持した、複合型の消臭剤を得た。そして、得られた複合型の消臭剤と、消臭剤（ｄ１）とを乾式混合し、消臭剤組成物（Ｃ１）〜（Ｃ５）、（Ｃ８）、（Ｃ１２）及び（Ｃ１４）〜（Ｃ１７）を得た。尚、乾式混合は、ブレンダーにて、室温で１分撹拌することで実施した。

比較例３、６及び１０
表２に記載の割合で各消臭剤を混合し、消臭剤組成物（Ｃ６）、（Ｃ９）及び（Ｃ１３）を製造した。

比較例４
実施例１と同様にして、消臭剤（ｄ１０）を、水に溶解した後、水溶液を消臭剤（ｄ１に接触させる等により、消臭剤（ｄ１）の表面に消臭剤（ｄ１０）が担持した、複合型の消臭剤を得た。そして、得られた複合型の消臭剤を消臭剤組成物（Ｃ７）とした。
比較例７及び８
実施例１と同様にして、消臭剤（ｄ１０）を、水に溶解した後、水溶液を消臭剤（ｄ１）に接触させる等により、消臭剤（ｄ１）の表面に消臭剤（ｄ１０）が担持した、複合型の消臭剤を得た。そして、得られた複合型の消臭剤と、消臭剤（ｄ９）又は（ｄ７）とを乾式混合し、消臭剤組成物（Ｃ１０）及び（Ｃ１１）を得た。尚、乾式混合は、ブレンダーにて、室温で１分撹拌することで実施した。

＜消臭加工布による消臭試験＞
消臭剤組成物２質量部と、固形分濃度が２質量％のアクリルバインダー分散液１００質量部とを、混合して、消臭剤含有液体組成物を得た。次いで、この消臭剤含有液体組成物をポリエステル繊維からなる布に展着加工して、１ｇ／ｍ^２の消臭剤組成物を展着させ消臭加工布を得た。
その後、得られた消臭加工布を裁断して、１０ｃｍ×１０ｃｍの大きさとし、この試験布をビニルアルコール系ポリマーフィルム製の試験袋に入れ、ここに酢酸（初期濃度３０ｐｐｍ）、アンモニア（初期濃度１００ｐｐｍ）、硫化水素（初期濃度４ｐｐｍ）及びアセトアルデヒド（初期濃度１４ｐｐｍ）からなる混合ガスを３リットル注入し、２時間放置した後の試験袋中の残存ガス濃度をガス検知管で測定し、低減率を算出した。尚、消臭剤組成物を展着していない、ポリエステル布のみについても、同じ測定を行った。これらの結果を表２に示す。

表２から、実施例１〜３は、酢酸、アンモニア、硫化水素及びアセトアルデヒドの低減率（消臭率）が、全て９０％を超えており、優れているのに対し、比較例１〜１４は、いずれかの臭気成分の低減率（消臭率）が７０％以下であった。従って、本発明の消臭剤組成物及びそれを含む消臭製品の消臭効果が優れることは明らかである。

本発明の消臭剤組成物は、酸性ガス、塩基性ガス、硫黄系ガス及びアルデヒドガスからなる複合臭に対する消臭効果に優れる。また、本発明の消臭剤組成物は、白色又は淡色であることから、消臭製品の意図を反映した白色又は有彩色の製品設計が可能である。更に、本発明の消臭剤組成物は、各種消臭製品への加工性にも優れている。例えば、微粒子とした場合には、紙や繊維等に塗布又は練り込み等の加工が容易であり、優れた消臭性能を発揮する紙、不織布及び繊維等の消臭製品を提供することができる。

Claims (4)

1. 粉末Ｘ線回折測定により得られたＸ線回折像において、回折角度（２θ）３０〜３８ｄｅｇｒｅｅの範囲において検出される３つのピークのうち、少なくとも２つのピークの半値幅が０．４〜１．２ｄｅｇｒｅｅである結晶質酸化亜鉛と、非晶質珪酸アルミニウムと、ヒドラジド化合物とを含有する消臭剤組成物であって、前記結晶質酸化亜鉛の含有量が、前記ヒドラジド化合物の含有量を１００質量部とした場合に１００〜５００質量部であり、前記非晶質珪酸アルミニウムの含有量が、前記ヒドラジド化合物の含有量を１００質量部とした場合に１００〜７５０質量部であることを特徴とする消臭剤組成物。
2. 前記結晶質酸化亜鉛及び前記非晶質珪酸アルミニウムのメジアン粒径が３μｍ以下である請求項１に記載の消臭剤組成物。
3. 前記ヒドラジド化合物が、下記一般式で表されるジヒドラジドである請求項１又は２に記載の消臭剤組成物。
   Ｈ_２ＮＨＮ−Ｘ−ＮＨＮＨ_２
   （式中、Ｘは、−ＣＯ−、又は、−ＣＯ−Ｙ−ＣＯ−であり、Ｙは、置換又は非置換の２価の炭化水素基である。）
4. 請求項１乃至３のいずれか一項に記載の消臭剤組成物を備えることを特徴とする消臭製品。

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