JP2020110766A - ガス用吸着剤 - Google Patents

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加藤 洋
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洋 加藤
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Abstract

【課題】酢酸ガス等の脂肪酸臭気を確実に吸着可能で耐水性に優れる吸着剤を提供することである。また、繊維や樹脂成形品などに容易に加工でき、それを用いた吸着性加工品を提供することである。【解決手段】本発明は、下記式(1)で示される固体からなることを特徴とする吸着剤である。xM12O・yM2O・SiO2・zH2O (1)(式(1)において、M1はナトリウムおよび/またはカリウム、M2はカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1元素、x〜zはモル比を示し、xは0.2〜0.5、yは0〜0.2、zは0.01〜1.0である。)【選択図】なし

Description

本発明は、特定の成分を含む固体からなる吸着剤(特にガス吸着剤)、及びそれを用いたガス吸着性加工品に関する。
快適な環境の要求や健康志向の高まりにより、日常生活における空気環境への関心が近年強まっている。たとえば、空気環境の改善のため、悪臭又は有害ガスを低減できる室内置き型消臭剤や空気清浄機などのガス吸着性加工品が製品化されている。また、壁紙、カーテン、カーペット、マット、ソファ、マスク又は衣類等に消臭効果を付与した様々な加工品も製品化されている。これらの吸着性加工品には、対象とするガス成分がまちまちなため、ガス種類に応じた吸着剤が用いられている。
従来から吸着剤には活性炭が多用されてきたが、色調が黒色であることや、物理吸着であることから、活性炭を汎用的に使用することには限界がある。物理吸着の欠点は、ガス成分であれば何でも吸着することから、開放空間では悪臭以外のガスも常時吸着し続けることで直ぐに飽和してしまうことがあげられる。さらに、使用している物理吸着剤の吸着量が飽和域に近づくか環境温度が上がることで、一旦吸着したガスを環境に放出してしまい物理吸着剤自体が悪臭源となってしまうことにより、吸着効果が低下したらすぐに取り替えが可能な製品にしか使用できないという課題もある。
そこで、白色又は淡色の様々な化学吸着剤が開発、実用化されている。化学吸着剤は、一旦吸着したガス成分を放出することなく、吸着効果が低下しても悪臭源にならないため、取り換えが容易でない製品にも使用が可能である。ただし、化学吸着剤は、対象ガス成分と反応することにより吸着するため、吸着できるガス成分種類は限定される。ガス成分のなかでも腐敗臭、排せつ臭、汗臭、靴臭、タバコ臭、ペット臭などに含まれる酢酸、酪酸、プロパン酸、吉草酸、イソ吉草酸などの短鎖脂肪酸ガスを対象とした化学吸着・消臭剤が開発されている。
脂肪酸ガスに対する化学吸着性を有する吸着剤としては、例えば、特許文献1には、気体中に存在する低級脂肪酸を吸着するために水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ジルコニウムなどの水酸化物が開示されている。特許文献2には、酢酸等の酸性物質吸着性を有し、ウィスカー状のアルミナ複合酸化物微粒子が板状に集合した平板状結晶性アルミナ複合酸化物微粒子集合体と抗菌消臭性金属成分付与酸化チタン系微粒子とを含む酸化チタン系抗菌消臭剤が開示されている。特許文献3には、粉末X線回折パターンにおいて、γ−AlOOHの回折ピークを有する遷移アルミナからなることを特徴とする酢酸等の悪臭の化学吸着性能が高い消臭剤が開示されている。特許文献4には、平均一次粒子径が3nm以上かつ100nm以下の酸化亜鉛および/または酸化ジルコニウムからなる金属酸化物粒子と、多孔質シリカ粒子の混合物であって、前記混合物の比表面積が100m/g以上かつ900m /g以下であり、特定の方法で測定したアンモニアの減少率が75%以上、酢酸の減少率が85%以上、かつイソ吉草酸の減少率が95%以上である消臭剤が開示されている。
また、特許文献5には、珪酸ナトリウムからなる酢酸ガスを吸着する酸性ガス用吸着剤が開示されている。
特開2002-159354号公報 特開2014-33776号公報 再表2016-171094号公報 特開2017-63945号公報 特開2018-99659号公報
しかし、特許文献1〜4に開示された消臭剤は、酢酸ガスの吸着効果が十分ではないか、耐熱性に劣る吸着剤であり、各加工製品に用いるには実用的でない場合がある。また、特許文献5に開示された珪酸アルカリ系の吸着剤は水に溶解してしまうため、各加工製品への加工時や使用時に水と接触すると吸着性能が著しく低下する。そこで、本発明の課題は、酢酸ガス等の短鎖脂肪酸ガスに対する吸着効果に優れ、しかも耐水性、耐熱性にも優れる吸着剤を提供することである。また、繊維や樹脂成形品などに容易に加工できる吸着剤、及びそれを用いた吸着性加工品を提供することである。
本発明者は、特定の組成からなる固体吸着剤が極めて高い短鎖脂肪酸ガスの化学吸着性を発現し、かつ耐水性、耐熱性にも優れることを見出した。また、この吸着剤を含有する、紙、不織布、繊維、プラスチック成形品等の吸着性加工品は、高い消臭性能を発現することも見出した。
即ち、本発明の第1の視点において、以下の通りの吸着剤が提供される。
1.下記式(1)で示される固体からなることを特徴とする吸着剤。
xM1 2O・yM2O・SiO2・zH2O (1)
(式(1)において、M1はナトリウムおよび/またはカリウム、Mはカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1元素、x、yおよびzはモル比を示し、xは0.2〜0.5、yは0〜0.2、zは0.01〜1.0である。)
2.20℃の水に対する溶解量が12時間で10質量%以下であることを特徴とする上記1に記載の吸着剤。
3.酢酸ガスの化学吸着容量が30mL/g以上であり、脂肪酸ガスの吸着能を有する上記1又は2に記載の脂肪酸ガス用吸着剤。
本発明の第2の視点において、上記1〜3のいずれかに記載の吸着剤を含有することを特徴とするガス吸着性加工品が提供される。
本発明の吸着剤は、化学吸着により特に脂肪酸ガス(代表的には酢酸ガス)に対する優れた吸着効果を発現する。また、当該吸着剤は耐水性があるため、様々な用途に適用することができる。また、本発明の吸着剤は、紙、繊維又は樹脂成形品等に塗布、練り込み等の加工が容易であり、吸着性加工品の生産性に優れている。本発明に係る吸着剤を用いることにより、優れた吸着性能を発揮する紙、繊維、又は樹脂成形品等の吸着性加工品を提供することができる。
本発明の実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り%は質量%であり、部は質量部を示す。
本発明の第1の視点において、下記式(1)で示される固体からなることを特徴とする吸着剤が提供される。
xM1 2O・yM2O・SiO2・zH2O (1)
(式(1)において、M1はナトリウムおよび/またはカリウム、Mはカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1元素、x、yおよびzはモル比を示し、xは0.2〜0.5、yは0〜0.2、zは0.01〜1.0である。)
元素Mは、耐水性に優れることから、好ましくはナトリウムおよびカリウム、より好ましくはカリウムである。元素Mは、好ましくはカルシウムまたはマグネシウム、より好ましくはカルシウムである。
モル比a〜dの好ましい範囲は以下のとおりである。
xの範囲は、好ましくは0.2〜0.4であり、より好ましくは0.2〜0.3である。xが0.2より小さい場合は、吸着性が低下する。一方、xの数値が大きいほど耐水性が低下し、0.5より大きいと耐水性が無くなり吸着剤の加工時や使用時に接触する水に溶解し消失したり、樹脂に練り込んだ場合には樹脂表面に白化やザラツキ感などの不具合を生じやすい。
yの範囲は、好ましくは0.01〜0.15であり、より好ましくは0.03〜0.1である。yが0.2を超えると、吸着性が低下する。
zの範囲は、好ましくは0.015〜0.5であり、より好ましくは、0.01〜0.1である。Zの値が0.01より低いものは安定に製造することは難しい。一方、1.0を超えるものは吸着性能が低下するうえ、吸着剤を樹脂に練り込み加工した時に発泡等の不具合を生じやすい。
本発明の吸着剤は、水に溶解しやすい珪酸塩を難溶性に改質してあり、20℃の水に対する溶解量が12時間で10%以下であり、好ましくは溶解量が5%、より好ましくは2%以下である。この条件での水溶解度が10%を超えるものは耐水性に劣るため、吸着剤を水に分散して加工する際や加工した繊維などを洗濯処理など水と接触させると吸着剤が溶解して吸着効果が消失する場合がある。また、樹脂に練り込んだ場合は、樹脂成形物が水と接触したり、空気中の湿気などでも成形品表面が白化やザラツキ感などの不具合を生じやすい。
本発明の吸着剤は固体であり、塊状、板状、砂状、粉末状など形状に制限はないが、好ましくは粉末状である。吸着剤の粒径は、使用用途により選定すればよく、数cmの塊状から粉砕することで1μm程度の粉末まで得ることが可能である。粒径はレーザー回折式の粒度分布測定でのメジアン粒径が参考となり、様々な加工製品に配合する観点から、好ましいメジアン径は1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。吸着剤の最大粒径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。最大粒径が100μm以下であれば、樹脂加工成形品に配合する場合の加工性が良好で、吸着性成形品等の外観に不具合が生じることもない。
本発明の吸着剤のBET比表面積は、脂肪酸ガスの吸着性の観点から、好ましくは100m2/g以上、より好ましくは150〜1000m2/g、さらに好ましくは200〜600m2/gである。
本発明の吸着剤の粉末色は特に限定されないが、一般的には白色であり、Lab色空間表示で示すことができる。Lab色空間表示の測定法は、粉末状の吸着剤をガラス板で挟んで色彩色差計で測定することができる。本発明における吸着剤の粉末色彩は、L値90〜99、a値−2〜5、b値−2〜5であることが好ましい。Lab色空間表示が前記範囲内であれば、幅広い用途に吸着剤を用いることができる。
本発明の吸着剤は、特に、各成分について公知の技術を応用するなどして製造可能であるが、原料、製法や設備等に制約はない。一般的に言うと、各原料化合物を所定成分比に混合した配合物を高温で加熱することにより得られる。
珪酸化合物(SiO2)、アルカリ金属化合物およびカルシウム化合物、マグネシウム化合物並びに亜鉛化合物から選ばれる化合物を、各酸化物に換算し酸化ケイ素のモル比で割った際にアルカリ金属元素は0.20〜0.50の数であり、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛は0.2以下の数となるように配合する。珪酸化合物としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水ガラス、コロイダルシリカ等を用いることができる。アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等を用いることができる。カルシウム、マグネシウム、亜鉛化合物としては、水酸化物、炭酸塩、珪酸塩、酸化物等を用いることができる。これらの配合物は固形、粉末状、ゲル状、水懸濁液または水溶液でもよく、この配合物を500℃〜800℃で数分から数時間加熱する。その後、生成した固体を回収し、必要により適度な粒度に粉砕することにより、本発明の吸着剤を製造することができる。
本発明の吸着剤は、他の目的のため吸着剤の物性やガス吸着容量が大きく変わらない量の遷移金属元素等の他の金属を少量含有していてもよい。これらの他の金属元素を含有させるには、上記製造方法において、対応元素の化合物を加えればよい。
本発明の吸着剤の吸着容量は、吸着剤1gあたりの酢酸ガス吸着量で30mL以上の脂肪酸ガス吸着能を有し、好ましくは40mL以上、さらに好ましくは50mL以上である。吸着容量が30mL未満では多量に吸着剤を使用しなければ十分な吸着効果が得られない。この吸着容量は、吸着剤が吸収又は吸着できる特定のガス成分の最大量であり、実用上は物理吸着と化学吸着の両吸着機構で吸着した吸着容量を区別していない場合が多い。物理吸着は高温では吸着しなくなるため、吸着剤の化学吸着容量は、吸着試験温度を40℃以上の高温にして測定することで測定ができる。具体的な化学吸着容量の測定方法は以下のとおりである。
対象ガスが吸着し難く、かつ、空気を通さない材質であるビニルアルコール系ポリマー又はポリエステル等の試験袋に吸着剤を入れて密封し、この密封された試験袋に対象ガスを注入後、40℃〜60℃の恒温器で保存する。対象ガス注入直後及び一定時間経過後に、試験袋中の残存する対象ガス濃度を測定する。このとき、一定時間経過後の残存ガス濃度が吸着剤を入れていない比較対象試験袋のガス濃度の減少速度と同等となった時点を吸着性能が飽和した点とし、このときの吸着剤有無の試験袋内の残存ガス濃度の差を試験袋内ガス容量で乗じた値を吸着剤が吸収した吸着ガス量とする。吸着ガス量を試験に用いた吸着剤重量で除した値が吸着容量mL/gである。
本発明の吸着剤は、他の吸着剤や非吸着剤と混合、希釈等してもよい。複合型悪臭を効率的に除去するために、本発明の吸着剤と塩基性ガス、硫黄系ガス、アルデヒドガスなどの他のガス用吸着剤とを併用して吸着剤組成物として使用することも可能である。他の吸着剤としては、活性炭、けい酸アルミニウム、ハイドロタルサイト、ゼオライト、シリカゲル、銅含有シリカゲル、含水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、セピオライト、ジヒドラジド化合物等が挙げられる。
本発明の吸着剤を紙、繊維、樹脂などの他の材料と組み合わされて吸着性加工品とすることについて説明する。吸着剤を添加した吸着性加工品の加工方法には原料樹脂に練り込み加工する方法と、既に加工品の形状等になった成形品表面にバインダーなどを用いて後加工により吸着剤を展着する方法がある。
練り込み加工は液状樹脂の溶融物又は溶解や熱溶融した樹脂に、本発明の吸着剤を配合し、得られた吸着剤含有樹脂組成物を成形機で成形することにより得ることができる。なお、マスターバッチと呼ばれる高濃度で吸着剤を含有したペレット状樹脂を予め調製し、これを主樹脂と混合後、成形機により成形することも可能である。吸着剤含有樹脂組成物には、物性を改善するために、必要に応じて、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤及び増量剤等の添加剤を配合することもできる。上記の樹脂成形品を製造するための成形方法としては、乾式紡糸、湿式紡糸、溶融紡糸、射出成形、押出成形、インフレーション成形、真空成形、発泡成形等の一般の紡糸や樹脂成形方法を適用することができる。適用する樹脂は、特に限定されず、公知の合成、半合成、天然樹脂を使用することができ、これらの樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。好ましい樹脂は、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、ABS、AS,およびセルロース等である。練り込み加工の場合の吸着剤含有量は特に限定されないが、樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部である。吸着剤の含有量を増やせば吸着性を強力に発揮させ、長期間持続させることができるが、過度に多く含有させても吸着効果に大きな差が生じず、成形品の強度が低下するなどの不具合も生じることがある。
加工品の表面に吸着剤を後加工する方法は、吸着剤およびバインダー樹脂を含有した水系あるいは有機溶剤系懸濁液からなる吸着剤含有液体組成物からなる加工液を、噴霧塗布、コーティング塗布やディッピング等の方法で加工製品表面に展着させ、溶剤等の媒体を除去することにより得ることができる。吸着剤含有加工液を製造する際に使用するバインダー成分は特に限定されず、天然植物油、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂のいずれであってもよい。使用できる油脂及び樹脂としては、例えば、あまに油、しなきり油、大豆油等の乾性油又は半乾性油、ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、ベンジルセルロース、ノボラック型又はレゾール型のフェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及びポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。これら吸着剤加工液は、いかなる機構により硬化するタイプでもよく、塗膜を硬化させる場合には、酸化重合型、湿気重合型、加熱硬化型、触媒硬化型、紫外線硬化型、及びポリオール硬化型等とすることができる。
吸着剤加工液に含まれる本発明の吸着剤の割合は、特に限定されない。一般に、吸着剤の含有量を増やせば、吸着性を強力に発揮させ、長期間持続させることができるが、ある程度以上に含有させても、吸着効果に大きな差が生じないこと、あるいは、展着加工面の光沢がなくなったり、割れが生じたりする。従って、展着加工の場合の吸着剤の含有割合は、加工表面積1m当たり0.1g〜10gの付着量が適量であり、併用するバインダーは吸着剤100部に対し10部〜500部、好ましくは30部〜200部が適量である。また、加工液に配合される顔料、分散剤その他の添加剤は、本発明の吸着剤と化学的反応を起す可能性のあるものを除けば、特に制限はない。この吸着剤含有加工液は、容易に調製することができ、具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、デイスパーやミキサー等の一般的な混合装置を用いて、吸着剤、バインダー、溶剤等の原料成分を十分に分散、混合すればよい。
本発明の吸着剤を用いた有用な吸着性加工品には、消臭繊維が挙げられる。消臭繊維は、吸着剤を繊維原料樹脂に練り込み加工することも、既に繊維、綿、不織布、編み物または織物などとなった繊維加工品にバインダーなどを用いて後加工により展着することも可能である。後加工する繊維種類としては、合成繊維だけでなく木綿やウールなどの天然繊維でもよい。本発明の吸着剤を含む消臭繊維の用途は、肌着、靴下、タイツ、エプロン、紡糸、スポーツウェア等の衣類、介護用衣類、布団、座布団、毛布、じゅうたん、ソファ、エアーフィルター、布団カバー、カーテン、カーシート、カーマット等が例示され、後述する消臭シートにも使用することができる。
本発明の吸着剤の用途には、消臭シートや消臭フィルムも好ましい例として挙げられる。加工前の原料シートは、特に限定されず、その材質、微細構造等も、用途等に応じたものとすることができる。原料シートの好ましい材質は、樹脂、紙等の有機材料、無機材料、あるいはこれらの複合物である。好ましい具体例としては、和紙、合成紙、不織布、樹脂フィルム等が挙げられ、特に好ましい原料シートは、不織布または天然パルプおよび/または合成パルプからなる紙である。本発明の吸着剤を備える消臭シートは、例えば、医療用包装紙、食品用包装紙、電気機器用梱包紙、介護用紙製品、鮮度保持紙、紙製衣料、空気清浄フィルター、壁紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー等として用いることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。なお、「%」は他に断りのない限り、質量%である。
吸着剤の分析方法、評価方法および吸着性加工製品である消臭布の評価方法は以下のとおりである。
(1)吸着剤の組成分析
吸着剤を蛍光X線分析装置によりNa2O、K2O、SiO2、CaO及びZnO含有量を定量した。また、150℃の2時間における乾燥減分量からH2O含有量を定量し、Na2O、K2O、SiO2、CaO、ZnO及びH2Oのモル比を算出した。
(2)吸着剤粉末の平均粒径(d50)
吸着剤粉末を、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定し、結果を体積基準で解析した。なお、粒度分布の含有率%は、この解析方法から全粒子中の体積%であるが、測定粉末の密度が一定であるので、質量%と同じ意味を持つ。
(3)吸着剤の耐水性
吸着剤粉末を20℃のイオン交換水に12時間浸漬処理後、5C濾紙で濾別後に乾燥することで吸着剤の水への溶解量を測定し溶解率%で表示した。
(4)吸着剤の酢酸ガス吸着容量
乾燥した吸着剤粉末0.01gをビニルアルコール系ポリマーフィルム製の試験袋に入れ、ここに酢酸ガスを10L注入し、45℃で1時間保存後の試験袋中の残存ガス濃度を酢酸用ガス検知管で測定した。吸着剤未使用の試験袋内の残存ガス濃度との差から吸着剤粉末0.01gでの吸着ガス量とする。酢酸ガス吸着容量は、吸着剤粉末1g当たりの酢酸ガス吸着容量mL/gで示した。
(5)消臭布の消臭性能
消臭布100cm2をビニルアルコール系ポリマーフィルム製の試験袋に入れ、ここに酢酸ガス100ppm含む空気を3L注入し、45℃で2時間保存後の試験袋中の残存ガス濃度をガス検知管で測定し、消臭布を入れないで同様に測定した試験袋のみによる空試験の残存ガス濃度を100%とした際の消臭率で示した。なお、JIS L0217の103法で3回洗濯後の消臭布についても同様に消臭性能を測定した。
〇吸着剤の製造、分析および評価
(実施例1)
珪酸カリウム30gと水酸化カルシウム0.5gを混合し、電気炉にて650℃で1時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(実施例2)
珪酸カリウム20gと2号珪酸ナトリウム10gを混合し、電気炉にて670℃で時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(実施例3)
珪酸カリウム30gを電気炉にて650℃で5時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(実施例4)
5号珪酸ナトリウム粉末を20gと酸化亜鉛5gを混合し、電気炉にて670℃で1時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(実施例5)
5号珪酸ナトリウムと水酸化カルシウム0.5gを混合し電気炉にて670℃で10時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(実施例6)
2号珪酸ナトリウム30gを電気炉にて630℃で1時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(比較例1)
2号珪酸ナトリウム30gと48%苛性ソーダ0.5gを電気炉にて670℃で1時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(比較例2)
2号珪酸ナトリウム粉末を20gと水酸化カルシウム10gを混合し、電気炉にて870℃で1時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
(比較例3)
5号珪酸ナトリウム20gとコロイダルシリカ10gを混合し、電気炉にて670℃で1時間加熱した。得られた固形物を粉砕することで得た粉末状の吸着剤について各種分析および測定を行った結果を表1に示した。
Figure 2020110766
表1から明らかなように、実施例1〜6および比較例1の吸着剤は、45℃における酢酸ガス吸着容量が60mL/g以上と大きく、化学吸着により吸着効果が発現していることが分かった。一方、耐水性に関しては、実施例1〜6および比較例3は全て20%以下であったが比較例1および比較例2の吸着剤は、溶解量が70%を超えており耐水性に劣っていた。従って、実施例1〜6のみが、消臭効果と耐水性を両立できることがわかる。
〇消臭布の製造及び評価
(実施例7)
実施例1で製造した吸着剤を5g、固形分40%のアクリルエマルション系バインダーを100g、及び水500gを混合して、吸着剤含有加工液を作製した。この加工液を、ポリエステル繊維布に吸着剤の展着量が0.5g/m2となるように塗布及び乾燥して、消臭布を製造した。得られた消臭布そのままと洗濯3回後の消臭布を用いて消臭性能および耐洗濯性を評価した結果を表2に示した。
(実施例8〜12および比較例4〜6)
実施例7で用いた実施例1で製造した吸着剤に代えて、実施例2〜実施例6、比較例1〜比較例3で製造した吸着剤を用いた以外は、実施例7と同様にして消臭布を製造して、消臭性能および耐洗濯性評価を実施した結果を表2に示した。
Figure 2020110766
表2から明らかなように、実施例7〜12の消臭布の酢酸ガスに対する消臭率は、未処理も洗濯後も70%以上であるのに対し、比較例4〜6の消臭布の洗濯後の酢酸ガスに対する消臭率は30%未満にまで低下する。本発明の吸着剤およびそれを用いた消臭布の消臭効果および洗濯後の消臭効果も優れていることは明らかである。
本発明における吸着剤は、特に脂肪酸に対する吸着性に優れる。また、この吸着剤は耐水性に優れるため、紙や繊維などの製品に塗布又は練り込み加工が可能であり、様々な吸着性加工品を提供することができる。
なお、引用した上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(非選択を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で示される固体からなることを特徴とする吸着剤。
    xM1 2O・yM2O・SiO2・zH2O (1)
    (式(1)において、Mはナトリウムおよび/またはカリウム、Mはカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1元素、x、yおよびzはモル比を示し、xは0.2〜0.5、yは0〜0.2、zは0.01〜1.0である。)
  2. 20℃の水に対する溶解量が12時間で10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
  3. 酢酸ガスの化学吸着容量が30mL/g以上であり、脂肪酸ガスの吸着能を有する請求項1又は2に記載の吸着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸着剤を含有することを特徴とするガス吸着性加工品。
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