JP6303832B2 - カーボンブラック分散液およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、分散性、貯蔵安定性に優れたカーボンブラック分散液に関する。また、該分散液を使用した電池電極合材層およびリチウムイオン二次電池に関する。
電池分野において、カーボンブラックは、導電助剤として広く用いられているが、電池電極合材層を形成する際、生産プロセスを効率化して短縮するためには、カーボンブラックを溶剤中に、いかに高濃度かつ均一に分散して、容易に塗工可能とするかが重要である。
近年、特に環境や生産コストへの配慮から、従来よりも、より高濃度かつ均一に分散されたカーボンブラック分散液を作製することによって、溶剤使用量を低減することや乾燥時の使用エネルギーを低減することが求められている。
これらの要求は、溶剤のコストや乾燥時の使用エネルギーに大きな影響があることから、使用する溶剤が高価であるほど、または、使用する溶剤が高沸点であるほど重要になる。非水系二次電池で使用されるN−メチル−2−ピロリドンは、一般的な溶剤と比較して高価であり、さらに200℃以上と沸点が非常に高いため、溶剤を乾燥する際に多くのエネルギーを必要とすることから、分散液における溶剤使用量の低減が強く求められている。
多量のカーボンブラックを溶剤中に分散するためには、カーボンブラックの表面に分散剤を吸着処理して分散安定な状態にすることが、特に有効な方法であり、様々な分散剤を用いたカーボンブラック分散液が提案されている。
一般に、分散剤を使用してカーボンブラックを分散する場合、分散剤の量が極端に少なくなるとカーボンブラックの分散性は悪化し、逆に分散剤の量が非常に多くなると分散性は良好になるものの、電池用途で使用する場合には、抵抗値が高くなり導電性が悪化するといった電池特性に悪影響を及ぼすことが予想される。
例えば、特許文献1〜3には、カーボンブラック、未変性又は変性ポリビニルアルコール、架橋剤(有機酸)、及びN−メチル−2−ピロリドンを含有する塗工液が記載されており、また、特許文献1には、前記塗工液に正極活物質又は負極活物質を添加して、リチウムイオン二次電池の電極板を製造することが記載されている。しかしながら、これら特許文献1〜3におけるポリビニルアルコール類は、結着剤(樹脂バインダー)として使用するためには、それ単独では電解液に対する耐性が充分ではないために架橋剤と併用してバインダー間を架橋させた形態で用いる必要があり、ポリビニルアルコール類を分散剤として使用するという技術的思想はない。
一方、特許文献4では、けん化度が60〜85モル%のポリビニルアルコールを分散剤として用いた、N−メチル−2−ピロリドンを含有するカーボンブラック分散液が記載されており、粘度を良好に維持しつつも高濃度なカーボンブラック分散液を得ることが記載されている。
しかしながら、このようなポリビニルアルコールを分散剤として用いて電池用カーボンブラック分散液を作製した場合、塗工が困難な粘性になる場合があること、高分子量のバインダーを用いた場合、および/または、比表面積が大きく、塩基性が強い、Al、NiやMn等を含有する電極活物質を用いた場合、分散液の粘性が大幅に増大して塗工が困難になる場合があること、該分散液を用いて得た塗膜の、基材に対する密着性が充分ではなく、塗膜の生産工程や塗膜の均質さに懸念が出る場合があることを、発明者は見出した。
カーボンブラック分散液は、塗工が容易であること、貯蔵安定性が良好であること、塗膜が基材に対してより良好に密着することが求められており、従来よりもさらに優れたカーボンブラック分散液の開発が求められている。
一般に、分散液の示す粘性挙動は、分散液を構成する成分の種類や構成比率に大きく影響されることが知られており、分散剤として用いる材料の構造の一部を変更するだけで粘性挙動を制御することは困難であることが予想される。さらに、塗膜にした後の基材に対する密着性についても、高分子型分散剤は塗膜中に微量しか含まれないため、単純にその高分子型分散剤をバインダーとして機能させることで密着性を改善することは、困難であることが予想される。
また、一般に、分散剤として用いられる材料の化学構造や組成を変更した場合、類似した構造を有していたとしても、分散剤として機能させることは困難であることが知られており、カーボンブラックに対する分散剤としての機能を維持したまま、さらに複合的な効果を付与することは困難であることが予想される。
しかしながら、分散液の粘性挙動、電極活物質などの材料を添加した後の貯蔵安定性や基材に対する密着性を改善できるカーボンブラック分散液を得るために、使用する高分子型分散剤の種類、その分子構造、分子を構成する各構造単位の比率についてまで詳細に検討された例は報告されておらず、分散剤として用いる材料の(特徴)が粘性挙動や密着性に対してどう影響するのかについては、何ら検討されていないのが実情であった。
国際公開第2009/147989号 国際公開第2011/024799号 特開第2013−48043号 特許第5454725号
以上の状況を鑑み、本発明では、従来公知の高分子型分散剤と比較して、分散液の貯蔵安定性に優れた、N−メチル−2−ピロリドンを溶剤とするカーボンブラック分散液を提供することが課題である。また、塗膜にした際の基材に対する密着性に優れ、長期貯蔵後の分散液を用いても均質で良好な塗膜物性が得られる、電池電極合材液および電池電極合材層を提供することが課題である。
本発明者らは、カーボンブラック、分散剤、バインダー、電極活物質の物理的、化学的性質に着目し、それらの量的関係についてまで詳細に検討した結果、ポリビニルアルコールを、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルにより変性することで得た変性ポリビニルアルコールを分散剤として用いることで、電極活物質含有下でも貯蔵安定性が良好で、塗工性に優れ、塗膜にした際の基材に対する密着性も良好なカーボンラブック分散液を製造できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の実施態様は、カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを含んでなるカーボンブラック分散液であって、分散剤が、けん化度55〜95モル%のポリビニルアルコールを、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルにより変性した変性ポリビニルアルコールであり、変性ポリビニルアルコール100質量部中、(メタ)アクリル酸からなる構造単位1〜10質量部および(メタ)アクリル酸エステルからなる構造単位5〜30質量部を変性ポリビニルアルコールの構造中に含み、カーボンブラック100質量部に対する前記分散剤が0.2質量部以上、50質量部以下であることを特徴とするカーボンブラック分散液に関する。
また、本発明の実施態様は、カーボンブラック100質量部に対する前記分散剤が0.2質量部以上、20質量部以下であることを特徴とする、上記カーボンブラック分散液に関する。
また、本発明の実施態様は、上記カーボンブラック分散液に、さらに、正極活物質または負極活物質を含有してなる電池用カーボンブラック分散液に関する。
また、本発明の実施態様は、正極活物質または負極活物質100質量部に対する前記分散剤が、0.04質量部以上、2質量部未満であることを特徴とする、上記電池用カーボンブラック分散液に関する。
また、本発明の実施態様は、上記カーボンブラック分散液、または、上記電池用カーボンブラック分散液を塗布してなる電池電極合材層に関する。
また、本発明の実施態様は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、上記電池電極合材層を具備してなるリチウムイオン二次電池に関する。
本発明により、従来公知の高分子型分散剤を用いた場合よりも、顕著に良好な貯蔵安定性を有し、塗工性に優れたカーボンブラック分散液を得ることができ、その結果、長期貯蔵後でも良好な塗工適性を維持することが可能となる。
また、該分散液を用いて二次電池用電極合材層を調製した場合、基材に対する密着性が良好な塗膜を得ることができ、その結果、従来より厳しい塗工条件下でも良好で安定した塗膜を得ることが可能となる。
以下、本発明の詳細を説明する。尚、本明細書では、「カーボンブラック分散液」、「電池用カーボンブラック分散液」を「分散液」、「N−メチル−2−ピロリドン」を「NMP」、「ポリビニルアルコールを、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルにより変性した変性ポリビニルアルコール」を「変性ポリビニルアルコール」と略記することがある。
<カーボンブラック>
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のアセチレンブラック、ファーネスブラック、中空カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、黒鉛化処理されたカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなども使用できる。
カーボンブラックの酸化処理は、カーボンブラックを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることによって、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基のような酸素含有極性官能基をカーボンブラック表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンブラックの分散性を向上させるために一般的に行われている。
分散液の製造に用いるカーボンブラックの平均一次粒子径としては、一般的な分散液や塗料に用いられるカーボンブラックの平均一次粒子径範囲と同様に0.01〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましく、0.01〜0.1μmがさらに好ましい。ここでいう平均一次粒子径とは、電子顕微鏡で測定された算術平均粒子径を示し、この物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
カーボンブラックの物理的特性を表すその他の物性値としては、BET比表面積やpHが知られている。BET比表面積は、窒素吸着によりBET法で測定された比表面積(以下、単に比表面積と記載)を指し、この比表面積はカーボンブラックの表面積に対応しており、比表面積が大きいほど分散剤を必要とする量も多くなる。pHはカーボンブラック表面の官能基や含有不純物の影響を受けて変化する。
本発明で用いるカーボンブラックは、BET比表面積が20〜1500m2/gのものが好ましく、30〜1000m2/gのものがより好ましく、30〜500m2/gのものが特に好ましい。
本発明で用いるカーボンブラックは、特に限定されるものではないが、アセチレンブラックやファーネスブラックなど、高い導電性を有し、かつ工業的に生産されるカーボンブラックが好適に用いられる。
<変性ポリビニルアルコール>
本発明では、分散剤として変性ポリビニルアルコールを用いる。すなわち変性ポリビニルアルコールをバインダーとしてではなく分散剤として使用する。
一般に、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを重合させて得られたポリ酢酸ビニルを原料とし、このポリ酢酸ビニルをけん化して、アセチル基を水酸基に置換することによって得られる。この合成プロセスのために、ポリビニルアルコールはアセチル基と水酸基を有し、その比率はけん化度として表される。
なお、本発明におけるけん化度とは、業界公知のけん化度の定義と同一であり、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。特に、ポリ酢酸ビニルを原料として用いた場合、ポリビニルアルコール中に含まれるビニルアルコール骨格に由来した水酸基数を、酢酸ビニル骨格に由来したアセチル基数とビニルアルコール骨格に由来した水酸基数の和で除した値を意味する。
本発明で用いる変性ポリビニルアルコールの製造方法については特に制限はないが、例えば、ポリビニルアルコールに対して(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルを付加させる方法や、酢酸ビニルなどのビニルエステルと(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルを共重合させた後、ビニルエステルをけん化する方法などが知られている。
本発明で使用する変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルエステル、特にポリ酢酸ビニルをけん化することによって得られるポリビニルアルコールから誘導されたものが専ら使用されるが、これに限定されない。また、変性ポリビニルアルコールを誘導するためのポリビニルアルコールとしては、けん化度が55〜95モル%のものが好ましく、70〜92モル%のものがより好ましく使用される。上記の変性ポリビニルアルコールであれば、各種の市販品、合成品を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
変性ポリビニルアルコールの構造中に含まれる(メタ)アクリル酸からなる構造単位の量は、変性ポリビニルアルコール100質量部に対し、1〜10質量%であるものが好ましく、2〜10質量%であるものがより好ましく、2〜5質量%であるものが特に好ましい。
変性ポリビニルアルコールの構造中に含まれる(メタ)アクリル酸エステルからなる構造単位の量は、変性ポリビニルアルコール100質量部に対し、5〜30質量%であるものが好ましく、5〜20質量%であるものがより好ましく、10〜20質量%であるものが特に好ましい。
分散剤としての変性ポリビニルアルコールは、平均重合度が50〜3000のものが好ましく、100〜3000のものがより好ましく、100〜2000のものが特に好ましく、100〜1500のものがさらに好ましい。上記重合度の変性ポリビニルアルコールであれば、各種の市販品、合成品を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
変性ポリビニルアルコールを誘導するポリビニルアルコールのけん化度が55モル%より小さいものは、NMPに対する溶解性は非常に良好だが、カーボンブラックに対する吸着性が乏しいために分散には有効ではないと考えられ、また、けん化度が95モル%より大きいものは、NMPに対してほとんど溶解、膨潤しないことから、たとえカーボンブラックに吸着されたとしても、NMP側に高分子鎖を伸ばすことが出来ず、そのために効果的に立体反発出来ないものと推察される。これに対して、けん化度が55〜95モル%のものは、NMPに対する溶解、または膨潤性と、カーボンブラックに対する吸着性や吸着後の立体反発効果の兼合いが良好であることから、分散剤として特に有効に機能するものと考えられる。
変性ポリビニルアルコールの構造中に含まれる(メタ)アクリル酸からなる構造単位の量が1質量%より小さいものは、酸性基の量が少なすぎるために分散液の貯蔵安定性を向上させる効果を得ることができず、また、10質量%より大きいものは、酸性基の量が多すぎて電極活物質の表面官能基を中和して分散状態が悪化するために、かえって初期粘性が大きくなってしまう場合がある。一方、(メタ)アクリル酸からなる構造単位の量が1〜10質量%のものは、分散液の粘性経時安定性を大幅に向上させつつも、初期粘性が良好な分散液を得ることができる。
変性ポリビニルアルコールの構造中に含まれる(メタ)アクリル酸エステルからなる構造単位の量が5質量%より小さいものは、分散液から得た塗膜の基材に対する密着性を向上させる効果を得ることができず、また、30質量%より大きいものは、有機溶剤や電解液などに対する耐性が悪化するために安定な塗膜を得ることができない。一方、変性ポリビニルアルコールの構造中に含まれる(メタ)アクリル酸エステルからなる構造単位の量が5〜30質量%のものは、基材に対する塗膜の密着性を改善しつつも、有機溶剤や電解液に対する耐性を良好にすることができる。
上記の変性ポリビニルアルコールを満たす範囲内であれば、それ以外の官能基として、例えば、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イソシアネート基を導入されたものや、各種の塩によって変性されたもの、その他アニオンあるいはカチオン変性されたもの、不飽和変性されたもの、アルデヒド類によってアセタール変性(ブチラール変性、アセトアセタール変性、ホルマール変性等)されたもの、ジオール構造を導入されたものなども、本発明で使用する変性ポリビニルアルコールの範囲に含まれ、これらは、単独もしくは2種類以上併せて使用することができる。
<バインダー>
本発明のカーボンブラック分散液には、更に、バインダーを含有させることが好ましい。使用するバインダーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
また、バインダーとしてのこれらの樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、100,000〜1,000,000がより好ましく、200,000〜1,000,000が特に好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性や密着性が低下することがある。分子量が大きくなるとバインダーの耐性や密着性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、合材成分が著しく凝集してしまうことがある。
本発明の想定する産業上の利用可能性から、バインダーはフッ化ビニリデン系共重合体であることがさらに好ましく、ポリフッ化ビニリデンであることが特に好ましい。
産業上は優れた耐性を得るためにこれらのバインダーが主に用いられているが、接着性の弱い樹脂であるために、塗膜にした際の基材に対する密着性が弱く塗工や加工が困難になる場合が多く、さらに、塩基性金属酸化物の存在下で粘性が大きく増大する場合があり、貯蔵安定性に問題が出る場合がある。そのため、フッ化ビニリデン系共重合体やポリフッ化ビニリデンをバインダーとして用いつつも、密着性や貯蔵安定性を良好に維持したカーボンブラック分散液が求められている。
<N−メチル−2−ピロリドン>
NMPは、リチウムイオン二次電池の電極製造に用いられている。本発明では、変性ポリビニルアルコールの分散剤としての性能、電池性能を損なわない範囲で、他の溶剤を1種類以上併用しても良いが、本発明の想定する産業上の利用可能性から、NMPを単独で用いることが好ましい。
<カーボンブラック分散液の製造方法>
本発明の分散液は、変性ポリビニルアルコールを分散剤として用いてカーボンブラックをNMP中に分散したものである。この場合、変性ポリビニルアルコールとカーボンブラックを同時、または順次添加し、混合することで、変性ポリビニルアルコールをカーボンブラックに作用(吸着)させつつ分散する。但し、カーボンブラック分散液の製造をより容易に行うためには、変性ポリビニルアルコールをNMP中に溶解、膨潤、または分散させ、その後、液中にカーボンブラックを添加し、混合することで変性ポリビニルアルコールをカーボンブラックに作用(吸着)させることが、より好ましい。また、カーボンブラック以外の粉体として、例えば二次電池用電極活物質等を添加して、電極合材液として使用する場合、NMP中に変性ポリビニルアルコールとカーボンブラックと電極活物質とを同時に仕込み分散処理を行っても良い。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、乾式処理により、カーボンブラックを変性ポリビニルアルコールで表面処理した後、分散液を製造する場合について説明する。NMP中に、下記乾式処理により得たカーボンブラックと変性ポリビニルアルコールの混合物を添加、混合する事により、カーボンブラック分散液を得ることが出来る。変性ポリビニルアルコールにより表面処理されたカーボンブラックを得る方法としては、乾式処理による方法が挙げられる。
本発明における乾式処理は、常温もしくは加熱下で乾式処理装置により、カーボンブラックおよび変性ポリビニルアルコールの混合、粉砕等を行いながら、カーボンブラック表面に変性ポリビニルアルコールを作用(吸着)させるものである。但し、カーボンブラック表面に変性ポリビニルアルコールが完全に吸着されている必要はなく、ある程度均質に混合出来ていれば、実用上は問題無い場合もある。使用する装置は、特に限定されるものではく、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、アトライター、振動ミル等のメディア型分散機、ニーダー、ローラーミル、石臼式ミル、プラネタリーミキサー、フェンシェルミキサー、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))等のメディアレス分散・混錬機が使用できるが、コンタミ等を考慮し、メディアレスの分散・混錬機を使用するのがより好ましい。
また、このとき処理物がゲル状にならない範囲で有機溶剤を添加してもよい。溶剤の添加による変性ポリビニルアルコールの濡れ、または(一部)溶解、およびカーボンブラックの変性ポリビニルアルコールに対する濡れが向上することで、カーボンブラックと変性ポリビニルアルコール間相互作用の促進が期待される。このとき用いる溶剤は特に限定されるものではないが、NMP以外を使用する場合は処理後に乾燥することが望ましい。また、有機溶剤の添加量は用いる材料により異なるが、変性ポリビニルアルコールの添加量に対して0.5〜100質量%である。さらに、必要に応じて窒素ガスなどを流すことで、乾式処理装置内部を脱酸素雰囲気として処理を行っても良い。
乾式処理時間は、用いる装置によって、また希望とする混練度に応じて任意に設定できる。これらの乾式処理を行うことにより、粉状もしくは塊状の処理物を得ることができる。得られた処理物については、その後さらに、乾燥、粉砕しても良い。
本発明において、カーボンブラックに対する分散剤としての変性ポリビニルアルコールの添加量は、カーボンブラック100質量部に対して、0.2質量部以上、50質量部以下が好ましく、0.2質量部以上、40質量部以下がより好ましく、0.2質量部以上、20質量部以下がより好ましく、0.2質量部以上、10質量部以下がさらに好ましく、0.2質量部以上、8質量部以下がさらに好ましく、0.3質量部以上、6質量部以下がさらに好ましく、1量部以上、6質量部以下が特に好ましい。
カーボンブラック分散液における分散剤としての変性ポリビニルアルコールの添加量は、添加するカーボンブラックの比表面積やカーボンブラック粒子の分散後の平均粒子径、カーボンブラックへの分散剤としての変性ポリビニルアルコールの吸着量等により決定される。
上記のような比率で配合することにより、本発明が解決しようとする課題であるカーボンブラック分散液の貯蔵安定性、塗工適性や基材に対する塗膜の密着性の向上が可能となり、分散性、貯蔵安定性、塗工適性、密着性に優れた分散液を得ることが容易となる。
<活物質>
本発明の分散液を電池電極合材層に用いる場合は、さらに、正極活物質または負極活物質を含有させることができる。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe23、LiXFe34、LiXWO2、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いる電極活物質は、リチウムおよびリチウム以外の金属元素を主要構成成分として含有する活物質であることが好ましく、正極活物質であることがより好ましい。
本発明で用いる正極活物質は、Al、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属を含むリチウムとの複合酸化物であることが好ましく、Al、Co、Ni、Mnのうちいずれかを含むリチウムとの複合酸化物であることがより好ましく、Ni、Mnを含むリチウムとの複合酸化物であることが特に好ましい。
これらの活物質は、BET比表面積が0.1〜10m2/gのものが好ましく、0.2〜5m2/gのものがより好ましく、0.3〜3m2/gのものがさらに好ましい。
これらの活物質は、平均粒子径が0.05〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。本明細書でいう活物質の平均粒子径とは、活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
本発明において、分散剤としての変性ポリビニルアルコールの添加量は、電池用カーボンブラック分散液に含まれる正極活物質または負極活物質100質量部に対して、0.04質量部以上、2質量部未満が好ましく、0.04質量部以上、1.5質量部未満がより好ましく、0.04質量部以上、1.25質量部未満がさらに好ましく、0.04質量部以上、1質量部未満がさらに好ましく、0.04質量部以上、0.5質量部未満が特に好ましい。
<電極>
本発明の正極活物質または負極活物質を含有するカーボンブラック分散液を、集電体上に塗工・乾燥することで、電池電極合材層を形成し、電極を得ることができる。
(集電体)
電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材スラリーや下地層形成用組成物を塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<二次電池>
正極もしくは負極の少なくとも一方に上記の電極を用い、二次電池を得ることができる。二次電池としては、リチウムイオン二次電池の他、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池、アルカリ二次電池、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄二次電池、リチウム空気二次電池等が挙げられ、それぞれの二次電池において、従来から知られている電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
(電解液)
リチウムイオン二次電池の場合を例にとって説明する。電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶媒に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるが、これらに限定されない。
非水系の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(電池構造・構成)
本発明の組成物を用いたリチウムイオン二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
本発明では、上記課題に支障を及ぼさない範囲で、塗膜物性等の調整等の目的で、従来公知の分散剤や樹脂、添加剤等を併用しても良い。
そのような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール樹脂やポリビニルピロリドン樹脂、従来公知の色素誘導体、低分子量の界面活性剤等が挙げられる。また樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンゴムなどの各種ゴム、リグニン、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、セルロース系樹脂、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルエーテル、キチン類、キトサン類、デンプン等が挙げられる。また添加剤としては、リン化合物、硫黄化合物、有機酸、アミン化合物やアミド化合物、有機エステル、各種シラン系やチタン系、アルミニウム系のカップリング剤等が挙げられる。これらの従来公知の分散剤や樹脂、添加剤等は、単独または2種類以上併用して用いることが出来る。
<カーボンブラック分散液の用途>
本発明のカーボンブラック分散液の利用分野としては、特に制限はないが、遮光性、導電性、耐久性、漆黒性等が要求される分野、例えば、グラビアインキ、オフセットインキ、磁気記録媒体用バックコート、静電トナー、インクジェット、自動車塗料、繊維・プラスチック形成材料、電池用電極、電子写真用シームレスベルトにおいて、安定かつ均一な組成物を提供し得るものである。中でも、NMPを使用すること、ポリフッ化ビニリデンやポリイミド前駆体などと相溶すること、および形成される塗膜や成型物の強度、柔軟性が良好なことから、リチウムイオン二次電池用電極、電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極、電子写真用シームレスベルトなどに好適に用いられる。
本発明のカーボンブラック分散液を用いて、更にはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のバインダーを添加してリチウムイオン二次電池用電極や電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極のプライマー層、更にコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウム遷移金属複合酸化物、黒鉛、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなどの正極活物質や負極活物質を添加してリチウムイオン二次電池用電極や電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極の電極層を製造することができる。また、電子写真用シームレスベルトは、導電材としての本発明のカーボンブラック分散液、ポリイミド、ポリアミドイミド等およびその前駆体を成分として用いて、従来公知の方法によって製造することができる。
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例中、部は質量部を、%は質量%を、それぞれ表す。
実施例及び比較例で使用したカーボンブラック(「CB」と略記することがある)、ポリビニルアルコール(「PVA」と略記することがある)、変性ポリビニルアルコール(「変性PVA」と略記することがある)、バインダー、電極活物質等を以下に示す。また、各表には、各原料の組成のみを記載しているが、特に記載の無い残りの成分は、全てN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。
<カーボンブラック>
・#30(三菱化学社製):ファーネスブラック、平均一次粒子径30nm、比表面積74m2/g、以下#30と略記する。
・#5(三菱化学社製):ファーネスブラック、平均一次粒子径76nm、比表面積29m2/g、以下#5と略記する。
・MA77(三菱化学社製):酸化処理カーボンブラック、平均一次粒子径23nm、比表面積130m2/g、以下MA77と略記する。
・デンカブラックHS−100(電気化学工業社製):アセチレンブラック、平均一次粒子径48nm、比表面積39m2/g、以下HS−100と略記する。
・デンカブラック粒状品(電気化学工業社製):アセチレンブラック、平均一次粒子径35nm、比表面積69m2/g、以下粒状品と略記する。
・EC−300J(アクゾ社製):ケッチェンブラック、平均一次粒子径40nm、比表面積800m2/g、以下300Jと略記する。
(カーボンブラックの平均一次粒子径の測定方法)
カーボンブラックの平均一次粒子径(MV)は、以下に示す方法により測定(算出)した。カーボンブラックの粉末にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、樹脂型分散剤としてDisperbyk−161を少量添加し、超音波洗浄機の水浴中で1分間分散処理して測定用試料を調製した。この試料を測定用ターゲットに塗布、乾燥し、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製透過型電子顕微鏡H−7650)により、100個以上のカーボンブラックの一次粒子が観察出来る写真を撮影した。撮影された画像にて、カーボンブラック粒子の任意の100個を選び、その一次粒子の短軸径と長軸径の平均値を粒子径(d)とし、次いで個々のカーボンブラックを、求めた粒子径(d)を有する球とみなして、それぞれの粒子の体積(V)を求め、この作業を100個のカーボンブラック粒子について行い、そこから下記式(1)を用いて算出した。

式(1) MV=Σ(V・d)/Σ(V)
<ポリビニルアルコール>
・クラレポバール PVA−205(クラレ社製): ポリビニルアルコール、けん化度88モル%、平均重合度500、以下PVA−205と略記する。
・クラレポバール PVA−505(クラレ社製): ポリビニルアルコール、けん化度73モル%、平均重合度500、以下PVA−505と略記する。
・クラレポバール PVA−706(クラレ社製): ポリビニルアルコール、けん化度92モル%、平均重合度600、以下PVA−706と略記する。
・ゴーセファイマー LL−02(日本合成化学工業社製):ポリビニルアルコール、けん化度50モル%、平均重合度1000以下、以下LL−02と略記する。
<変性ポリビニルアルコール>
・A−01:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/アクリル酸エチルの重量比率)=80/1/19
・A−02:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/アクリル酸メチルの重量比率)=80/5/15
・A−03:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/アクリル酸メチルの重量比率)=85/10/5
・A−04:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=80/1/19
・A−05:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=80/2/18
・A−06:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=85/5/10
・A−07:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=65/5/30
・A−08:(ポリビニルアルコールのけん化度)=73モル%、(PVA−505/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=80/2.5/17.5
・A−09:(ポリビニルアルコールのけん化度)=92モル%、(PVA−706/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=80/2.5/17.5
・B−01:(ポリビニルアルコールのけん化度)=50モル%、(LL−02/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=80/5/15
・B−02:(ポリビニルアルコールのけん化度)=88モル%、(PVA−205/アクリル酸/メタクリル酸メチルの重量比率)=55/5/40
尚、上記A−01〜A−09、B−01〜B−02は、下記業界公知の方法により、部分けん化ポリビニルアルコールを(メタ)アクリル酸および、(メタ)アクリル酸エステルにより変性することで得たものである。
変性ポリビニルアルコールの合成
(合成例1)
還流冷却管、滴下ロート、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、PVA−205を80部、イオン交換水267部を仕込み、70℃で加熱撹拌し、PVA水溶液を得た。次いで、アクリル酸1.0部、アクリル酸エチル19部を添加し、窒素雰囲気下、40℃まで昇温した後、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.4部、エリソルビン酸ナトリウム0.4部を添加し、6時間反応させた。その後、25%アンモニア水0.15部を添加し、変性ポリビニルアルコール(A−01)を含む水溶液を得た。これを乾燥、粉砕し、変性ポリビニルアルコール(A−01)を得た。
(合成例2〜11)
合成例1で使用したPVA−205、アクリル酸およびアクリル酸エチルと、それらの使用量を、表6に示した材料とそれらの使用量に変更した以外は、合成例1と同様にして、変性ポリビニルアルコール(A−02〜A−09、B−01〜B−02)を合成した。
Figure 0006303832
<バインダー>
・KFポリマーW1100(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、以下、#1100と略記する。
・KFポリマーW7300(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、以下、PVDFと略記する。
<活物質>
・正極活物質:三元系活物質(LiMn0.3Co0.2Ni0・5O2)、平均粒子径4μm、比表面積1.5m2/g、以下、MCNと略記する。
・負極活物質:人造黒鉛、平均粒子径12μm、以下、黒鉛と略記する。
<カーボンブラック分散液の評価>
実施例、比較例で得られたカーボンブラック分散液の評価は、粘度、分散後平均粒子径を測定することにより行った。
粘度値の測定は、B型粘度計(東機産業社製「BL」)を用いて、分散液温度25℃、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて、分散液をヘラで充分に撹拌した後、直ちに行った。測定に使用したローターは、粘度値が100mPa・s未満の場合はNo.1を、100以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500以上2000mPa・s未満の場合はNo.3を、2000以上10000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。得られた粘度値が10000mPa・s以上の場合については、「>10000」と記載したが、これは評価に用いたB型粘度計では評価不可能なほどに高粘度であったことを表す。低粘度であるほど分散性が良好であり、高粘度であるほど分散性が不良である。
また、分散後平均粒子径の測定は、カーボンブラック分散液をNMPにより適切な濃度に希釈した後に、超音波処理を施した液を測定サンプルとして用い、動的光散乱法方式の粒度分布計(日機装社製「ナノトラックUPA−EX」、光源波長780nm)を用いて平均粒子径(D50値)を測定することにより行った。各種測定条件は、上記方法によりNMP希釈した分散液のローディングインデックス値を0.7以上1.3以下に、粒子条件を、吸収性粒子、粒子形状非球形、密度1.80とし、溶媒条件を、溶媒屈折率1.47、液温20℃における溶媒粘度1.80mPa・s、液温25℃における溶媒粘度1.65mPa・sと設定し、得られたメジアン径をD50値として表記した。測定結果は、液温25℃のNMP溶剤についてバックグラウンド値を測定した後、上記方法にて調製した液温25℃のサンプルを測定容器に充填し、上記測定条件にて測定を行うことにより得た。
同じカーボンブラックを使用して同じ分散処理をした場合、D50値が小さいほど分散性が良好であり、大きいほど分散性が不良であることを示す。
<正極活物質または負極活物質を含むカーボンブラック分散液の評価>
貯蔵安定性の評価は、カーボンブラック分散液を50℃にて7日間静置して保存した後の、液性状の変化から評価した。液性状の変化は、ヘラで撹拌した際の撹拌しやすさから判断し、○:問題なし(良好)、△:粘度は上昇しているがゲル化はしていない(可)、×:ゲル化している(極めて不良)、とした。
<カーボンブラック分散液の調製>
(変性ポリビニルアルコールを用いたカーボンブラック分散液)
[実施例1−1〜実施例1−8]
表1に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと各種変性ポリビニルアルコールとを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、各種カーボンブラックを加え、1.25mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。いずれも低粘度かつD50値が小さく、貯蔵安定性も良好であった。
[比較例1−1〜比較例1−2]
表1に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPとB−01またはB−02とを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、カーボンブラックを加え、1.25mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散した。しかし、得られた分散液はいずれも著しく高粘度な状態であり、D50値が大きいことから、カーボンブラックを十分に分散する事が出来ていないことがわかる。この結果から、けん化度が55mol%未満のポリビニルアルコールから合成された変性ポリビニルアルコール、または、30質量%超過の(メタ)アクリル酸エステルにより変性された変性ポリビニルアルコールを使用した場合には、所望とする高濃度かつ低粘度のカーボンブラック分散液を得る事ができないことが明らかとなった。
Figure 0006303832
<バインダーを含むカーボンブラック分散液の調製>
[実施例2−1〜実施例2−15]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと各種変性ポリビニルアルコールと各種バインダーを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、各種カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。いずれも粗大粒子がなく、かつ低粘度であり、貯蔵安定性も良好であった(表2)。
[比較例2−1〜比較例2−5]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、ポリビニルアルコールまたは各種変性ポリビニルアルコールとPVDFを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。しかし、得られた分散液の粘度は、いずれもバインダーを添加せずに調製した場合と同様に高粘度であり、カーボンブラックおよびバインダー濃度のさらなる向上はできないことが明らかとなった(表2)。
また、分散剤としての変性ポリビニルアルコールの量が、カーボンブラックに対して大過剰または不足している場合も、所望とする高濃度かつ低粘度のカーボンブラック分散液を得る事ができないことが明らかとなった。
Figure 0006303832
表2より、NMPに溶解、または分散可能な樹脂をバインダーとして用いた場合、得られるカーボンブラック分散液の性状は、表1のバインダーを添加せずに分散液を調製した場合と同様に、高濃度かつ低粘度であり、貯蔵安定性も良好な分散液を得られることが分かる。
<正極活物質または負極活物質を含むカーボンブラック分散液の調製>
[実施例3−1〜実施例3−12]
表3に示す組成に従い、実施例2−1〜実施例2−9.および実施例2−12〜実施例2−14で得たバインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、正極活物質であるMCNを仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。いずれも用いたカーボンブラック分散液が低粘度であるために、MCNを多量に添加することができ、得られた混合液も低粘度な状態であり、また、貯蔵安定性も良好だった(表3)。
[実施例3−13〜実施例3−15]
表3に示す組成に従い、実施例2−1、実施例2−5、および実施例2−7で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、負極活物質である黒鉛を仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。いずれも用いたカーボンブラック分散液が低粘度であるために、黒鉛を多量に添加することができ、また、得られた混合液も低粘度な状態であり、また、貯蔵安定性も良好だった(表3)。
[比較例3−1〜比較例3−3]
表3に示す組成に従い、比較例2−1〜比較例2−3で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、正極活物質であるMCNを仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。比較例3−2および3−3は用いたカーボンブラック分散液の粘度値が高いことから、実施例3−1〜実施例3−12と比較してMCNを添加した際の粘度値の上昇が大きく、著しく高粘度な状態であった。また、いずれの分散液も貯蔵安定性が悪く、液の流動性がほとんどない状態だった(表3)。
[比較例3−4〜比較例3−5]
表3に示す組成に従い、比較例2−2〜比較例2−3で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、負極活物質である黒鉛を仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。いずれも用いたカーボンブラック分散液の粘度値が高いことから、実施例3−13〜実施例3−15と比較して黒鉛を添加した際の粘度値の上昇が大きく、著しく高粘度な状態であった。また、いずれの分散液も貯蔵安定性が悪く、液の流動性がほとんどない状態だった(表3)。
Figure 0006303832
<電池電極合材層の作製>
上記の各実施例、比較例で得られた正極活物質または負極活物質を含む、貯蔵試験後のカーボンブラック分散液を電池電極合材液として、アルミ箔上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの塗膜(電池電極合材層)を作製した。
得られた電池電極合材層の評価は、密着性(剥離強度試験)と塗膜外観により行った。塗膜外観は、目視で、○:問題なし(良好)、△:斑模様あり(可)、×:粗粒の筋引きあり(極めて不良)、とした。
なお、剥離強度の測定には卓上型引張試験機(東洋精機製作所製、ストログラフE3)を用い、180度剥離試験法により評価した。具体的には、100mm×20mmサイズの両面テープ(No.5000NS、ニトムズ(株)製)をアクリル板上に貼り付け、作製した電池電極合材層を両面テープのもう一方の面に密着させ、一定速度(50mm/分)で上方に引っ張り、剥離試験を行った。剥離強度試験の結果は、○:問題なし(良好)、△:〇の場合よりは剥離強度が低いが問題なし(可)、×:強度が弱く、剥がれやすい(極めて不良)、とした。
[実施例4−1〜実施例4−12、比較例4−1〜比較例4−3]
正極合材液として、実施例3−1〜実施例3−12、および比較例3−1〜比較例3−3で得た電池電極合材液を使用して、正極合材層(電池電極合材層)を作製した。評価結果を表4に示した。
[実施例4−13〜実施例4−15、比較例4−4〜比較例4−5]
負極合材液として、実施例3−13〜実施例3−15、および比較例3−4〜比較例3−5で得た電池電極合材液を使用して、負極合材層(電池電極合材層)を作製した。評価結果を表4に示した。
Figure 0006303832
表4より、実施例4−1〜実施例4−15の電池電極合材層は、比較例4−1〜比較例4−5の電池電極合材層と比較して塗膜外観が良好であり、さらに、塗膜の密着性が優れていることが明らかとなった。比較例4−1〜比較例4−5では、使用した電極合材液の粘度が高すぎるために塗工が困難であり、塗膜外観、密着性共に、良好な結果を得ることはできなかった。
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立て>
[実施例5−1〜実施例5−12、比較例5−1〜比較例5−3]
先に調製した電池電極合材液(実施例3−1〜実施例3−12、および比較例3−1〜比較例3−3の正極合材液)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの正極合材層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製#2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池正極特性評価>
作製した正極評価用セルを30℃で、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を使用して、充電レート1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で、放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計50サイクル行い、充放電を行った。アルゴンガス置換したグローブボックス内で評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観(50サイクル後の塗膜外観)を目視にて確認した。塗膜外観の評価基準は、集電体からの剥がれが認められず外観に全く変化が無い場合を○(極めて良好)、剥がれてはいないが外観に変化が認められる場合を△(良好)、部分的に合材が集電体より剥がれが認められる場合を×(不良)とした。また、容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の百分率であり、数値が100%に近いものほど良好であることを示す。集電体からの塗膜の剥離やショート等により正常な充放電曲線が得られず、容量が求められなかった場合は数値無し(−)とした。評価結果を表5に示した。
Figure 0006303832
表5より、本発明の電極を使用した実施例5−1〜実施例5−12は、比較例5−1〜比較例5−3と比較して、50サイクル後の塗膜外観や容量維持率についても、良好な結果であった。一方、比較例5−1〜比較例5−3は、良好な塗膜を得ることが出来なかったため、正極特性を評価することが出来なかった。

Claims (6)

  1. カーボンブラックと、分散剤と、N−メチル−2−ピロリドンとを含んでなるカーボンブラック分散液であって、分散剤が、けん化度55〜95モル%のポリビニルアルコールを、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルにより変性した変性ポリビニルアルコールであり、変性ポリビニルアルコール100質量部中、(メタ)アクリル酸からなる構造単位1〜10質量部および(メタ)アクリル酸エステルからなる構造単位5〜30質量部を変性ポリビニルアルコールの構造中に含み、カーボンブラック100質量部に対する前記分散剤が0.2質量部以上、50質量部以下であることを特徴とするカーボンブラック分散液。
  2. カーボンブラック100質量部に対する前記分散剤が0.2質量部以上、20質量部以下である
    ことを特徴とする、請求項1記載のカーボンブラック分散液。
  3. 請求項1または2いずれか記載のカーボンブラック分散液に、さらに、正極活物質または負極活物質を含有してなる電池用カーボンブラック分散液。
  4. 正極活物質または負極活物質100質量部に対する前記分散剤が、0.04質量部以上、2質量部未満であることを特徴とする、請求項3記載の電池用カーボンブラック分散液。
  5. 請求項1〜2いずれか記載のカーボンブラック分散液、または、請求項3〜4いずれか記載の電池用カーボンブラック分散液を塗布してなる電池電極合材層。
  6. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、請求項5記載の電池電極合材層を具備してなるリチウムイオン二次電池。
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