JP7059858B2 - カーボンブラック分散組成物およびその利用 - Google Patents
カーボンブラック分散組成物およびその利用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7059858B2 JP7059858B2 JP2018144816A JP2018144816A JP7059858B2 JP 7059858 B2 JP7059858 B2 JP 7059858B2 JP 2018144816 A JP2018144816 A JP 2018144816A JP 2018144816 A JP2018144816 A JP 2018144816A JP 7059858 B2 JP7059858 B2 JP 7059858B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon black
- dispersion composition
- dispersant
- viscosity
- black dispersion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のアセチレンブラック、ファーネスブラック、中空カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、黒鉛化処理されたカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなども使用できる。
本発明における分散剤は、メチルセルロース及びエチルセルロースから選択された少なくとも1種以上のポリマーである。
本発明のカーボンブラック分散組成物は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を含む。NMPは、リチウムイオン二次電池の電極製造に用いられている。本発明では、分散剤の効果、電池性能を損なわない範囲で、他の溶剤を1種類以上併用しても良いが、本発明の想定する産業上の利用可能性から、NMPを単独で用いることが好ましい。
本発明で示す粘度極小値となるせん断速度は、測定装置としてMARSIII(サーモフィッシャーサイ
エンティフィック社製)を使用し、センサーDC60/2、温度20℃一定下、せん断速度0.01~3000s-1の範囲を3分間で掃引したときの、せん断速度に対する粘度値を測定データとして読み取ることで得られる。本測定範囲におけるせん断速度に対する粘度値が減少から増加に変わるとき、本発明におけるカーボンブラック分散組成物が「粘度極小値となるせん断速度を有する」と判断できる。尚、本測定範囲において、粘度極小値となるせん断速度を有することが確認できればよく、上述の測定条件に限定されるものではない。
非ニュートン流体はさらに、せん断速度に応じる流動挙動によって(1)構造粘性、と(2)ダンラタンシー、とに分類される。(1)構造粘性は、せん断速度が大きくなると粘度が低くなる。これは、静置状態では粒子がより安定な凝集構造を作るが、応力が加わるとその凝集が壊れ低粘度化するためである。一方(2)ダイラタンシーは、せん断速度が大きいと粘度が高くなる。これは、静置状態で充填された状態にあるものが外力を加えることで充填構造ではなくなり、粒子同士が直接接触して固体のような挙動を示すためである。
分散組成物の分散度が増すほど、カーボンブラック同士の凝集がほぐれて相互作用は小さくなり粘度が低下するため流体中で動きやすくなり、カーボンブラック同士が直接接触して固体のような挙動を示しにくくなる。そのため、流動挙動がダイラタンシー挙動へと変化するせん断速度、すなわち粘度極小値をもつせん断速度はより大きくなる。このような理由で、粘度極小値となるせん断速度は、組成物中のカーボンブラックの分散状態を表すパラメーターとすることができる。
本発明のカーボンブラック分散組成物には、さらに、バインダーを含有させることができる。使用するバインダーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を有する高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
産業上は優れた耐性を得るためにこれらのバインダーが主に用いられているが、接着性の弱い樹脂であるために、塗膜にした際の基材に対する密着性が弱く塗工や加工が困難になる場合が多く、さらに、塩基性金属酸化物の存在下で粘性が大きく増大する場合があり、貯蔵安定性に問題が出る場合がある。そのため、フッ化ビニリデン系共重合体やポリフッ化ビニリデンをバインダーとして用いつつも、密着性や貯蔵安定性を良好に維持したカーボンブラック分散組成物が求められている。
本発明のカーボンブラック分散組成物は、上記分散剤、炭素材料としてカーボンブラック、溶剤としてNMP、およびバインダーを含むカーボンブラック分散組成物に、さらに電極活物質を含有させて使用することができる。
例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V2O5、V6O13、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
本発明のカーボンブラック分散組成物は、分散剤としてメチルセルロース及びエチルセルロースから選択された少なくとも1種以上のポリマーを用いてカーボンブラックをNMP中に分散したものである。この場合、分散剤とカーボンブラックを同時、または順次添加し、混合することで、分散剤をカーボンブラックに作用(吸着)させつつ分散する。但し、カーボンブラック分散組成物の製造をより容易に行うためには、分散剤をNMP中に溶解、膨潤、または分散させ、その後、液中にカーボンブラックを添加し、混合することで分散剤をカーボンブラックに作用(吸着)させることが、より好ましい。また、NMP中に分散剤およびカーボンブラックを同時に仕込み分散処理を行っても良い。
次に、本発明の組成物を用いた電池について説明する。本発明の組成物は、特にリチウムイオン二次電池に好適に使用することができる。以下ではリチウムイオン二次電池について説明するが、本発明の組成物を用いた電池はリチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用したカーボンブラック(「CB」と略記することがある)、分散剤、電極活物質等を以下に示す。
・LITX(登録商標)200(CABOT社製):ファーネスブラック、比表面積130m2/g、以下LITX200と略記する。
・LITX(登録商標)HP(CABOT社製):ファーネスブラック、比表面積100m2/g、以下LITXHPと略記する。
・デンカブラックHS-100(デンカ社製):アセチレンブラック、比表面積39m2/g、以下HS-100と略記する。
・デンカブラック粒状品(デンカ社製):アセチレンブラック、比表面積69m2/g、以下粒状品と略記する。
・デンカブラックFX-35(デンカ社製):アセチレンブラック、比表面積133m2/g、以下FX-35と略記する。
<メチルセルロース・エチルセルロース>
・メトローズSM-15(信越化学社製):メチルセルロース、置換度1.8、20℃における2%水溶液の粘度約15mPa・s、重量平均分子量約7万、以下、MC-1と略記する。
・メトローズSM-4(信越化学社製):メチルセルロース、置換度1.8、20℃における2%水溶液の粘度約4mPa・s、重量平均分子量約2.5万、以下MC-2と略記する。
・メトローズSM-25(信越化学社製):メチルセルロース、置換度1.8、20℃における2%水溶液の粘度約25mPa・s、重量平均分子量約9万、以下、MC-3と略記する。
・エトセルSTD-4(ダウケミカル社製):エチルセルロース、25℃における5%トルエン/エタノール(8/2)溶液の粘度 3.0~5.5mPa・s、重量平均分子量約4万、以下、EC-1と略記する。
・エトセルSTD-10(ダウケミカル社製):エチルセルロース、25℃における5%トルエン/エタノール(8/2)溶液の粘度 9.0~11.0mPa・s、重量平均分子量約8万、以下、EC-2と略記する。
・クラレポバール PVA-405(クラレ社製):ポリビニルアルコール、けん化度82モル%、平均重合度500、以下PVA-1と略記する。
・PVP K30(日本触媒社製):ポリビニルピロリドン、分子量約4万、以下PVP-1と略記する。
・KFポリマーW7300(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、重量平均分子量約1000000。以下、PVDFと略記する。
・LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(戸田工業社製):正極活物質、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が5.5μm、窒素吸着量からS-BET式で求めた比表面積が0.62m2/g、以下、NCMと略記する。
・LiNi0.8Co0.15Al0.05O2(住友金属社製):正極活物質、ニッケルコバルトアルミ酸リチウム、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が5.8μm、窒素吸着量からS-BET式で求めた比表面積が0.38m2/g、以下、NCAと略記する。
実施例1~14、比較例1~9で得られたカーボンブラック分散組成物の評価は、(1)粘度極小値となるせん断速度、(2)初期粘度値および粘度変化率、の測定により行った。評価方法は以下の通りである。
レオメーター:MARSIII(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、センサー:DC60/2、20℃一定、測定範囲0.01~3000s-1を使用してフローカーブを測定した。本発明のカーボンブラック分散組成物は、カーボンブラック含有量と、メチルセルロース及びエチルセルロースから選択された少なくとも1種を分散剤としたときのその分散剤量とが上述した範囲であり、かつ、粘度極小値となるせん断速度が1000s-1を超えていれば、その製造方法は限定されない。
本発明で課題である分散安定性は、得られるカーボンブラック分散組成物の経時での粘度変化率より評価できる。粘度変化率は分散後の粘度測定値(初期粘度値)を基準としたときの50℃10日間静置保存した後の粘度測定値の変化率によって評価した。変化の少ないものほど安定性が良好であることを示す。粘度値の測定は、B型粘度計(東機産業社製「BL」)を用いて、分散組成物温度25℃、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて、分散組成物をヘラで充分に撹拌した後、直ちに行った。測定に使用したローターは、粘度値が100mPa・s未満の場合はNo.1を、100mPa・s以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500mPa・s以上2000mPa・s未満の場合はNo.3を、2000mPa・s以上10000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。粘度変化率は下記の4段階で評価した。
○;粘度変化率の絶対値が20%以内(良好)
△;粘度変化率の絶対値が50%以内(やや不良)
×;粘度変化率の絶対値が50%超え、もしくはゲル化(不良)
-;初期ですでに粘度不良(初期不良)
[実施例1]
ガラス瓶にN-メチル-2-ピロリドン75部と分散剤MC-1 1部を仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、カーボンブラック粒状品24部を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで分散した。粘度極小値となるせん断速度を測定したところ1300s-1であり、1000s-1を超えていることを確認したため分散を終了し、カーボンブラック分散組成物D-1を得た。
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の方法でカーボンブラック分散組成物を作製した。全て、粘度極小値となるせん断速度を測定し1000s-1を超えていることを確認して分散を終了し、カーボンブラック分散組成物D-2~16を得た。
実施例1と同様の組成、同様の方法でカーボンブラック分散組成物を作製した。得られた分散組成物D-17は、粘度極小値となるせん断速度750s-1で分散を終了した。
組成をカーボンブラック粒状品20部、分散剤MC-1 0.8部、N-メチル-2-ピロリドン79.2部とした以外は実施例1と同様の方法でカーボンブラック分散組成物を作製した。分散組成物は、粘度極小値となるせん断速度違いで2点作製し、カーボンブラック分散組成物D-18は500s-1で分散を終了し、カーボンブラック分散組成物D-19は1300s-1で分散を終了した。
組成をカーボンブラック粒状品15部、分散剤MC-1 0.6部、N-メチル-2-ピロリドン84.4部とした以外は実施例1と同様の方法でカーボンブラック分散組成物を作製した。分散組成物は、粘度極小値となるせん断速度違いで2点作製し、カーボンブラック分散組成物D-20は500s-1で分散を終了し、カーボンブラック分散組成物D-21は1300s-1で分散を終了した。
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の方法でカーボンブラック分散組成物を作製した。カーボンブラック分散組成物D-22(比較例6)は、分散することで高粘度化し、取り出しが困難であった。その他の分散組成物は、粘度極小値となるせん断速度を測定し1000s-1を超えていることを確認して分散を終了し、カーボンブラック分散組成物D-23~25を得た。
実施例1と比較例1との比較により、粘度極小値となるせん断速度が1000s-1以下では導電助剤の分散度にばらつきがあるためか分散安定性がやや不良となり、カーボンブラック分散組成物そのものの評価においても、粘度極小値となるせん断速度を1000s-1より大きくすることが有効であることを確認した。
実施例8と比較例2~5との比較により、カーボンブラックの含有量が少ないと、分散の進み具合(粘度極小値となるせん断速度)によらず分散安定性が低下する。
実施例1と比較例6、7との比較により、分散剤を規定量添加することで分散性および安定性のバランスが取れることが確認された。特に、分散剤量が少なすぎると分散性不良となる。
実施例1~5と比較例8,9との比較により、規定した添加量ではPVAやPVPのような分散剤では分散性と安定性を両立することができず、MCもしくはECが分散剤として有効であることを確認した。
[実施例17~35、比較例10~18]
表2に示す組成に従い、実施例1~16、比較例1~9で得たカーボンブラック分散組成物(D-1~25)に対し、バインダー、正極活物質を仕込み、ディスパーにより充分に混合し、正極活物質を含むカーボンブラック分散組成物(カーボンブラック合剤ペースト)BC-1~28を得た。
実施例17~35、比較例10~18で得られたカーボンブラック合剤ペーストの評価は、(1)塗膜測色および(2)電池電極膜の抵抗値測定により行った。カーボンブラック合剤ペーストの塗膜測色により塗膜の均一性、得られた電池電極膜の抵抗値測定によりカーボンブラック分散組成物の電池特性を評価できる。評価方法は以下の通りである。
上記の各実施例、比較例で得られた、カーボンブラック合剤ペーストBC-1~28をPETフィルム上にドクターブレードを用いて塗工した後、140℃で5分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの塗膜を作製した。得られた塗膜の評価は、分光色差計(日本電色工業社製、SE-6000)を用いて、塗膜の表面および裏面の明度(L値)をそれぞれ測定し、その明度差ΔLを評価した。ΔLが小さいものほど塗膜が均一であることを示す。測定は、C/2光源を用い、測定し、波長範囲を380~780nmとした。
明度差は下記の3段階で評価した。
○(良好):ΔL≦5
△(やや不良):5<ΔL≦10
×(不良):ΔL>10
カーボンブラック分散組成物の分散状態が不十分であると、合剤層において、電極活物質や炭素の偏りが生じる。より均一に分散された分散組成物では、電極活物質と混合したときに均一に混ざり合い、塗膜化しても偏りなく電極活物質中に導電助剤であるカーボンブラックが存在し得る。塗膜の表裏の明度差が小さい、ということはすなわち塗膜がより均一であることを示す。
上記の各実施例、比較例で得られた、カーボンブラック合剤ペーストBC-1~28をPETフィルム上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの塗膜(電池電極合剤層)を作製した。得られた電池電極膜の評価として、抵抗率計「ロレスタGP」(ロレスタGP MCP-T610型抵抗率計、JIS-K7194準拠、4端子4探針法定電流印加方式、三菱化学アナリテック社製)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用い、電池電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
体積抵抗率は下記の4段階で評価した。
◎(優秀):30Ω・cm未満
○(良好):30Ω・cm以上50Ω・cm未満
△(やや不良):50Ω・cm以上70Ω・cm未満
×(不良):70Ω・cm以上
[実施例36~54、比較例19~比較例27]
先に調製したカーボンブラック合剤ペーストBC-1~28(実施例17~35、および比較例10~18の合剤ペースト)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの正極合剤層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(厚さ20μm、空孔率50%)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
作製した正極評価用セルを30℃で、充放電装置(北斗電工社製SM-8)を使用して、充電レート1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で、放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計50サイクル行い、充放電を行った。アルゴンガス置換したグローブボックス内で評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観(50サイクル後の塗膜外観)を目視にて確認した。評価結果を表3に示した。
塗膜外観の評価基準は以下の通りである。
○(極めて良好);集電体からの剥がれが認められず外観に全く変化が無い場合
△(良好);剥がれてはいないが外観に変化が認められる場合
×(不良);部分的に合剤が集電体より剥がれが認められる場合
また、容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の百分率であり、数値が100%に近いものほど良好であることを示す。
◎(極めて良好);容量維持率が95%以上の場合
〇(良好);容量維持率が90%以上95%未満の場合
△(可);容量維持率が80%以上90%未満の場合
数値無し(-);集電体からの塗膜の剥離やショート等により正常な充放電曲線が得られず、容量が求められなかった場合
一方、比較例23~24は、良好な塗膜を得ることが出来なかったため、正極特性を評価することが出来なかった。比較例20、22、25~27は、塗膜を得ることはできたが、サイクル試験の途中で分散剤が電解液へと溶解または大きく膨潤したため、正極特性を評価することが出来なかった。
Claims (7)
- カーボンブラックと、分散剤と、N-メチル-2-ピロリドンとを含むカーボンブラック分散組成物であって、カーボンブラックの含有量が20.5~30質量%、前記分散剤の含有量がカーボンブラック100質量部に対し0.4質量部以上20質量部以下であり、前記分散剤がメチルセルロース及びエチルセルロースからなる群より選択された少なくとも1種であり、かつ、粘度極小値を示すせん断速度が1000s-1より大きいことを特徴とする、カーボンブラック分散組成物。
- 粘度極小値となるせん断速度が1000s-1より大きく2000s-1より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンブラック分散組成物。
- カーボンブラック100質量部に対する前記分散剤の含有量が、1質量部以上10質量部以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のカーボンブラック分散組成物。
- さらに、バインダーを含む請求項1~3いずれかに記載のカーボンブラック分散組成物。
- さらに、活物質を含む請求項1~4いずれかに記載のカーボンブラック分散組成物。
- 集電体上に、請求項1~5いずれかに記載のカーボンブラック分散組成物より形成されてなる合剤層を有する電極。
- 請求項6記載の電極と、非水電解液とを具備してなる電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018144816A JP7059858B2 (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | カーボンブラック分散組成物およびその利用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018144816A JP7059858B2 (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | カーボンブラック分散組成物およびその利用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020021632A JP2020021632A (ja) | 2020-02-06 |
JP7059858B2 true JP7059858B2 (ja) | 2022-04-26 |
Family
ID=69589955
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018144816A Active JP7059858B2 (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | カーボンブラック分散組成物およびその利用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7059858B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023058303A (ja) | 2021-10-13 | 2023-04-25 | 旭カーボン株式会社 | 混合カーボンブラック及び電極用スラリー |
JP2023175318A (ja) | 2022-05-30 | 2023-12-12 | 信越化学工業株式会社 | 電池用カーボンブラック分散組成物、正極用合材ペースト、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004281096A (ja) | 2003-03-13 | 2004-10-07 | Hitachi Maxell Ltd | リチウム二次電池用正極、その製造方法および前記正極を用いたリチウム二次電池 |
JP2005203244A (ja) | 2004-01-16 | 2005-07-28 | Hitachi Maxell Ltd | 電極用ペースト組成物、電極およびリチウム二次電池 |
WO2014042266A1 (ja) | 2012-09-14 | 2014-03-20 | 御国色素株式会社 | アセチレンブラック分散スラリー及びリチウムイオン二次電池 |
JP2016514080A (ja) | 2013-02-22 | 2016-05-19 | バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフトBayer MaterialScience AG | カーボンナノチューブ含有分散液および電極の製造におけるその使用 |
WO2017188175A1 (ja) | 2016-04-27 | 2017-11-02 | 東レ株式会社 | カーボンナノチューブ分散液、その製造方法および導電性成形体 |
-
2018
- 2018-08-01 JP JP2018144816A patent/JP7059858B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004281096A (ja) | 2003-03-13 | 2004-10-07 | Hitachi Maxell Ltd | リチウム二次電池用正極、その製造方法および前記正極を用いたリチウム二次電池 |
JP2005203244A (ja) | 2004-01-16 | 2005-07-28 | Hitachi Maxell Ltd | 電極用ペースト組成物、電極およびリチウム二次電池 |
WO2014042266A1 (ja) | 2012-09-14 | 2014-03-20 | 御国色素株式会社 | アセチレンブラック分散スラリー及びリチウムイオン二次電池 |
JP2016514080A (ja) | 2013-02-22 | 2016-05-19 | バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフトBayer MaterialScience AG | カーボンナノチューブ含有分散液および電極の製造におけるその使用 |
WO2017188175A1 (ja) | 2016-04-27 | 2017-11-02 | 東レ株式会社 | カーボンナノチューブ分散液、その製造方法および導電性成形体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020021632A (ja) | 2020-02-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6244923B2 (ja) | カーボンブラック分散液およびその利用 | |
JP6709586B2 (ja) | カーボンブラック分散液およびその利用 | |
JP6524479B1 (ja) | 化合物、分散剤、電池用分散組成物、電極、電池 | |
JP6879150B2 (ja) | 導電助剤分散液、その利用およびその製造方法 | |
JP6303832B2 (ja) | カーボンブラック分散液およびその利用 | |
JP2011192620A (ja) | リチウムイオン二次電池電極用カーボンブラック分散体の製造方法 | |
JP5640987B2 (ja) | リチウム二次電池用正極活物質材料、その製造方法、及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP6145693B2 (ja) | 電気化学素子の電極用バインダ、電気化学素子の電極用組成物、電気化学素子の電極及び電気化学素子 | |
JP6569548B2 (ja) | リチウムイオン二次電池用カーボンブラック分散液の製造方法 | |
JP5471591B2 (ja) | 電極用導電性組成物 | |
WO2016158480A1 (ja) | 導電性組成物、蓄電デバイス用下地付き集電体、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス | |
JP5589338B2 (ja) | リチウム二次電池用正極活物質材料の製造方法、及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
CN113728458A (zh) | 电极用粘结剂组合物、电极用涂料组合物、蓄电装置用电极以及蓄电装置 | |
JP2004186075A (ja) | 二次電池用電極及びこれを用いた二次電池 | |
JP7059858B2 (ja) | カーボンブラック分散組成物およびその利用 | |
JP2015153714A (ja) | リチウムイオン二次電池の電極 | |
JP2020021629A (ja) | 電池用カーボンブラック分散組成物およびその利用 | |
JP2011181387A (ja) | 電気化学素子用電極合材の製造方法 | |
JP6582879B2 (ja) | 電気化学素子用導電性組成物、電気化学素子電極用組成物、接着剤層付集電体及び電気化学素子用電極 | |
WO2021006198A1 (ja) | 変性ポリマー及び組成物 | |
JP6487369B2 (ja) | リチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペースト | |
JP2019220401A (ja) | 電極用カーボンブラックスラリー及び電極形成用組成物 | |
JP7414171B1 (ja) | カーボンナノチューブ分散組成物およびその利用 | |
JP6375050B1 (ja) | 電池用組成物、電池用分散組成物、電極、電池 | |
JP6760034B2 (ja) | 導電性組成物、蓄電デバイス用下地層付き集電体、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210507 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20210511 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210621 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20210511 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220309 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220315 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220328 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7059858 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |