JP2019220401A - 電極用カーボンブラックスラリー及び電極形成用組成物 - Google Patents

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Katsuyoshi Ohara
勝義 大原
さやか 大坪
Sayaka Otsubo
さやか 大坪
雅史 深野
Masashi Fukano
雅史 深野
雅浩 石井
Masahiro Ishii
雅浩 石井
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Abstract

【課題】貯蔵安定性により優れ、粘度を低減でき、高ニッケルリチウム複合酸化物を配合した場合であっても、増粘やゲル化を抑制できる電極用カーボンブラックスラリー及び電極形成用組成物。【解決手段】(A)成分:カーボンブラックと、(B)成分:スルホン酸変性ポリビニルアルコールと、(C)成分:N−メチル−2−ピロリドンと、を含有し、前記(A)成分の比表面積が300〜1500m2/gであり、前記(A)成分の酸性官能基量が0.10〜2.0mmol/gであり、前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して、3〜50質量部である、電極用カーボンブラックスラリー。【選択図】なし

Description

本発明は、電極用カーボンブラックスラリー及び電極形成用組成物に関する。
近年普及が進んでいる電気自動車やハイブリッド自動車には、高容量で高出力のリチウムイオン二次電池が広く利用されている。電気自動車やハイブリッド自動車のさらなる普及に向けては、リチウムイオン二次電池の高性能化や生産プロセスの効率化が求められている。
リチウムイオン二次電池に使用される電極は、電極スラリーを集電体に塗工し、乾燥した後、プレスで圧縮形成することにより作製されるのが一般的である。電極スラリーは、溶媒中に電極活物質、導電剤(カーボンブラック)、結着剤(バインダー)等を混合して調製される。しかし、従来の電極スラリーの作製方法では、溶媒中で電極活物質、カーボンブラックを分散するために長時間の混練が必要となっている。
効率よく電極スラリー(電極形成用組成物)を作製するために、あらかじめ溶媒中にカーボンブラックを分散させたカーボンブラックスラリーの利用が提案されている。カーボンブラックスラリーを用いて電極スラリーを作製する場合、カーボンブラックスラリーと電極活物質との混練が容易となり、カーボンブラックが均一に分散した導電性の良好な電極が得られる。カーボンブラックを溶媒中に均一に分散するために、カーボンブラックスラリーの調製には、分散剤が用いられる。
例えば、特許文献1には、比表面積が130m/g以下の低比表面積カーボンブラックと、分散剤として特定のポリビニルアルコールとを含有するカーボンブラック分散液(カーボンブラックスラリー)が提案されている。特許文献1のカーボンブラックスラリーは、低粘度化と貯蔵安定性(カーボンブラックスラリーの粘度が変化しにくいこと)の向上が図られている。
他方で、リチウムイオン二次電池の高性能化のために、電池の高容量化が求められている。電池を高容量化するためには、電極中の電極活物質の含有量を増やす必要があり、カーボンブラックの含有量を減らすことで、電極活物質の含有量を増やすことができる。カーボンブラックの含有量を減らすためには、少量でも高い導電性を付与できる比表面積の大きいカーボンブラック(高比表面積カーボンブラック)が有効である。特許文献2には、高比表面積カーボンブラックを用い、分散剤としてポリビニルアルコールを用いたカーボンブラック分散液が提案されている。
また、電池の高容量化の手段の一つとして、正極活物質であるリチウム複合酸化物において、ニッケルの割合を多くしたリチウム複合酸化物(高ニッケルリチウム複合酸化物)の利用が検討されている。しかし、高ニッケルリチウム複合酸化物を用いた電極スラリーは、増粘やゲル化が起こりやすく、集電体に塗工することが困難になるという問題がある。
こうした電極スラリーの増粘やゲル化を抑制するために、電極スラリー中への添加剤の添加が提案されている。例えば、特許文献3には、電極スラリー中に塩酸等の酸の添加が提案されている。
特開2014−193986号公報 特開2014−194001号公報 特開平11−86846号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2のカーボンブラックスラリーは、正極活物質として高ニッケルリチウム複合酸化物を配合した場合、電極スラリーが経時で増粘する懸念がある。特許文献2のカーボンブラックスラリーは、高比表面積カーボンブラックを用いているため、粘度がより増大する。カーボンブラックスラリーの粘度が増大すると、カーボンブラックの高濃度化が出来ず、これを用いた電極スラリーの固形分が低下し、電極の乾燥工程における乾燥効率が低下する懸念がある。
特許文献3の電極スラリーは、塩酸を用いているため集電体を腐食する懸念がある。
そこで本発明は、貯蔵安定性により優れ、粘度を低減でき、高ニッケルリチウム複合酸化物を配合した場合であっても、増粘やゲル化を抑制できる電極用カーボンブラックスラリー及び電極形成用組成物を目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、分散剤としてスルホン酸変性ポリビニルアルコールを用い、特定の酸性官能基量を有するカーボンブラックを特定の割合で添加し、分散させることで、貯蔵安定性により優れ、粘度を低減できる電極用カーボンブラックスラリーを調製できることを見出した。
この電極用カーボンブラックスラリーと電極活物質とを含有する電極形成用組成物は、電極活物質に高ニッケルリチウム複合酸化物を用いても、増粘やゲル化を抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:カーボンブラックと、(B)成分:スルホン酸変性ポリビニルアルコールと、(C)成分:N−メチル−2−ピロリドンと、を含有し、前記(A)成分の比表面積が300〜1500m/gであり、前記(A)成分の酸性官能基量が0.10〜2.0mmol/gであり、前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して、3〜50質量部である、電極用カーボンブラックスラリー。
[2](D)成分:電極活物質と、前記[1]に記載の電極用カーボンブラックスラリーと、を含有し、前記(A)成分の含有量が、前記(D)成分100質量部に対して、1〜10質量部である、電極形成用組成物。
[3]25℃における粘度が、1000〜6000mPa・sである、前記[2]に記載の電極形成用組成物。
[4]前記[2]又は前記[3]に記載の電極形成用組成物を集電体上に塗布し乾燥することで電極を得ることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
本発明の電極用カーボンブラックスラリーによれば、貯蔵安定性により優れ、粘度を低減でき、高ニッケルリチウム複合酸化物を配合した場合であっても、増粘やゲル化を抑制できる。
[電極用カーボンブラックスラリー]
本発明の電極用カーボンブラックスラリー(以下、CBスラリーともいう)は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを含有する。
なお、本明細書において「スラリー」とは、固体粒子が液中に分散したものをいう。
<(A)成分>
(A)成分は、カーボンブラックである。(A)成分としては、導電性カーボンブラックとして上市されているものが挙げられ、特に限定されるものではない。具体的には、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、原料ガスを燃焼させてその炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックがある。
(A)成分の比表面積は、300〜1500m/gであり、700〜1500m/gが好ましく、1200〜1500m/gがより好ましい。(A)成分の比表面積が上記下限値以上であると、電極中の(A)成分の含有量を少量に抑えることができ、電池の高容量化を実現しやすい。(A)成分の比表面積が上記上限値以下であると、(A)成分の分散に必要な分散剤の含有量を少量に抑えることができ、CBスラリーを電極に配合した際に電池性能の低下を抑制しやすい。加えて、(A)成分の比表面積が上記上限値以下であると、市販品としての入手が容易である。
本明細書において、比表面積は、窒素吸着によりBET法で測定されたBET比表面積のことをいう。比表面積は(A)成分の表面積に対応しており、比表面積が大きいほど分散剤を必要とする量も大きくなる。
BET比表面積は、ASTM D3037に準拠した方法で測定される。例えば、脱気した(A)成分を含む容器を液体窒素に浸漬させ、平衡時における(A)成分の表面に吸着した窒素量を測定し、この値から比表面積(m/g)を算出する。
(A)成分の酸性官能基量は、0.10〜2.0mmol/gであり、0.10〜1.0mmol/gが好ましく、0.10〜0.50mmol/gがより好ましい。(A)成分の酸性官能基量が上記下限値以上であると、CBスラリー中の(A)成分の分散性が良好になる。加えて、(A)成分の酸性官能基量が上記下限値以上であると、CBスラリーの貯蔵安定性が良好になる。(A)成分の酸性官能基量が上記上限値以下であると、酸性官能基がリチウムイオンをトラップして電池抵抗が増加することを抑制できる。
(A)成分の酸性官能基量は、BOEHM法により求められる(A)成分1gあたりの全酸性官能基量を意味する。具体的には、(A)成分の表面に存在する酸性官能基をアルカリにて中和し、中和で消費されたアルカリ量を酸で逆滴定することで酸性官能基量を算出する。本方法で求められる官能基の種類としては、カルボキシ基、カルボキシ基に変換し得る官能基、フェノール性水酸基、フェノール性水酸基に変換し得る官能基等であると考えられる。カルボキシ基に変換し得る官能基としては、ラクトン基等が考えられる。フェノール性水酸基に変換し得る官能基としては、エーテル基、カルボニル基等が考えられる。
(A)成分は、製造方法の違いにより、表面に官能基が存在する。(A)成分は、製造条件を調整することで酸性官能基量を調整してもよい。また、(A)成分を酸化処理することで酸性官能基を導入してもよい。
(A)成分の酸化処理の方法は、特に限定されず、液相法、気相法等の公知の方法を用いることができる。
液相法により酸化処理する場合に用いる酸化剤としては、例えば、硝酸、硫酸、塩素酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソ硼酸、ペルオキソ炭酸、ペルオキソリン酸等のペルオキシ二酸や、過マンガン酸、重クロム酸、亜塩素酸、過塩素酸、次亜ハロゲン酸、過酸化水素、ホスホン酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸や、これらの酸の塩類等が挙げられる。塩類としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩あるいはアンモニア塩等が挙げられる。
気相法により酸化処理する方法としては、カーボンブラックをオゾン、空気等のガス雰囲気に曝すことによって行う方法やプラズマ処理する方法が挙げられる。気相法は、乾燥コストがかからず、液相法に比べて操作が容易である等の利点がある。また、カーボンブラックは、通常その製造履歴に応じて表面に種々の官能基を有しており、製造条件を調整することで所望量の酸性官能基を付与することもできる。
(A)成分は、一次粒子が葡萄房状に連なった連鎖体からなる二次粒子で構成された粉末である。この葡萄房状連鎖体の空隙部分等にDBP(n−ジブチルフタレート)が吸収されるため、DBP吸油量はカーボンブラックが有する重要な指標値である。
(A)成分のDBP吸油量は、200〜600cm/100gが好ましく、250〜550cm/100gがより好ましく、300〜500cm/100gがさらに好ましい。(A)成分のDBP吸油量が上記下限値以上であると、優れた導電性を付与しやすい。(A)成分のDBP吸油量が上記上限値以下であると、良好な分散性が得られやすい。
なお、(A)成分のDBP吸油量は、ASTM D 2414に準拠した条件で、サンプル量9gで測定される値である。
(A)成分の平均一次粒子径は、30〜55nmが好ましく、35〜50nmがより好ましく、40〜45nmがさらに好ましい。(A)成分の平均一次粒子径が上記下限値以上であると、溶媒等への分散性がより良好になる。(A)成分の平均一次粒子径が上記上限値以下であると、良好な導電性を有する電極が得られやすい。
なお、(A)成分の平均一次粒子径は、以下の方法で測定される。(A)成分の試料をクロロホルムに加え、超音波分散機により150kHz、0.4kWの条件で10分間超音波処理して分散試料を作製する。作製した分散試料をカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定する。支持膜上の分散試料を透過型電子顕微鏡で撮影し、50000〜200000倍に拡大した画像から、Endterの装置を用いてランダムに1000個以上のカーボンブラックの粒子径を測定し、その平均値を(A)成分の平均一次粒子径とする。
(A)成分の含有率(濃度)は、CBスラリーの総質量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有率が上記下限値以上であると、CBスラリーを用いて電極スラリーを調製する場合、電極スラリー中の固形分を高めることができるため、電極の乾燥工程での乾燥効率の向上が図れる。(A)成分の含有率が上記上限値以下であると、CBスラリーの粘度を低減しやすい。また、CBスラリーを用いて電極形成用組成物を調製する場合、CBスラリーと電極活物質との混練が容易となり、(A)成分が均一に分散した導電性の良好な電極が得られやすい。
<(B)成分>
(B)成分は、スルホン酸変性ポリビニルアルコールである。(B)成分は、分散剤として機能する。
(B)成分は、例えば、スルホン酸基と重合性不飽和基とを含有する化合物と、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルとを共重合した後、得られる重合体をケン化する方法によって得られる。(B)成分は、スルホン酸基と重合性不飽和基とを含有する化合物をポリビニルアルコールにマイケル付加させる方法によって得てもよい。
スルホン酸基は遊離の酸の形態、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩の形態、アンモニウム塩等の形態であってもよい。
(B)成分のケン化度は、50mol%以上が好ましく、65mol%以上がより好ましく、80mol%以上がさらに好ましい。(B)成分のケン化度が上記下限値以上であると、後述する(C)成分に対する溶解性が良好になりやすい。(B)成分のケン化度の上限値は特に限定されず、100mol%でもよいが、実質的には99mol%である。
なお、本明細書におけるケン化度とは、(B)成分の水酸基とアセチル基の総量に対する水酸基の割合(mol%)をいう。特に、ポリ酢酸ビニルを原料として用いた場合、(B)成分中に含まれるビニルアルコール骨格に由来した水酸基数を、酢酸ビニル骨格に由来したアセチル基数とビニルアルコール骨格に由来した水酸基数の和で除した値を意味する。
(B)成分のケン化度は、JIS K6726−1994に記載された方法により測定される。
(B)成分のスルホン酸変性度は、0.10〜10mol%が好ましく、0.15〜7.5mol%がより好ましく、0.20〜5mol%がさらに好ましい。(B)成分のスルホン酸変性度が上記数値範囲内であると、(A)成分の分散性をより高めることができる。
なお、(B)成分のスルホン酸変性度は、スルホン酸変性ポリビニルアルコールにおけるスルホン酸基と重合性不飽和基とを有する化合物の割合を意味する。
(B)成分の平均重合度は、100〜3000が好ましく、150〜2500がより好ましく、200〜2000がさらに好ましい。(B)成分の平均重合度が上記数値範囲内であると、(A)成分の分散性をより高めることができる。
(B)成分の平均重合度は、JIS K6726−1994に記載された方法により測定される。
(B)成分は、合成品を用いてもよく、市販品を用いてもよい。(B)成分の市販品としては、例えば、ゴーセネックスL−3266(日本合成化学工業(株)製、ケン化度86.5〜89.0mol%)、ゴーセネックスCKS−50(日本合成化学工業(株)製、ケン化度99.0mol%)等が挙げられる。
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の含有率(濃度)は、CBスラリーの総質量に対して、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.8質量%がより好ましく、0.1〜1.6質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有率が上記下限値以上であると、(A)成分を分散させやすい。(B)成分の含有率が上記上限値以下であると、CBスラリーを電極に配合した際に電池性能の低下を抑制しやすい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、3〜50質量部であり、3.5〜50質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、(A)成分の分散性が良好になる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、CBスラリーを電極に配合した際に電池性能の低下を抑制しやすい。
<(C)成分>
(C)成分は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。(C)成分は、CBスラリーにおける分散媒である。(C)成分は、リチウムイオン二次電池の電極製造に用いられている。
(C)成分の含有率(濃度)は、CBスラリーの総質量に対して、80〜99質量%が好ましく、85〜98質量%がより好ましく、90〜97質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有率が上記下限値以上であると、CBスラリーの粘度を低減しやすい。(C)成分の含有率が上記上限値以下であると、CBスラリーを用いて電極スラリーを調製する場合、電極スラリー中の固形分を高めることができるため、電極の乾燥工程での乾燥効率の向上が図れる。
CBスラリーの粘度は、1000mPa・s以下が好ましく、500mPa・s以下がより好ましく、200mPa・s以下がさらに好ましい。CBスラリーの粘度が上記上限値以下であると、電極形成用組成物の調製において、電極活物質との混練が容易となり、(A)成分が均一に分散した導電性の良好な電極が得られやすい。
CBスラリーの粘度は、回転粘度計(BROOKFIELD LV型)を用いて、25℃で、ローターの回転数を30rpmに設定し、60秒後に測定される値である。
CBスラリーの粘度は、(C)成分の含有率によって調整できる。
<CBスラリーの製造方法>
CBスラリーは、(A)成分と(B)成分とを(C)成分に分散したものである。(B)成分を(C)成分に溶解、膨潤、または分散させ、その後、液中に(A)成分を添加し、混合することで(B)成分を(A)成分に作用(吸着)させることができる。この場合、(B)成分と(A)成分とを同時に、又は順次添加し、混合することで、(B)成分を(A)成分に作用(吸着)させつつ分散してもよい。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル、ビーズミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[電極形成用組成物]
本発明の電極形成用組成物(以下、電極スラリーともいう。)は、CBスラリーと、電極活物質((D)成分)とを含有するスラリーである。
<(D)成分>
(D)成分は、電極活物質である。(D)成分は、正極活物質又は負極活物質のいずれかである。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウム含有複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物粉末;ニッケル酸リチウム(NCA)、コバルト酸リチウム(LCO)、マンガン酸リチウム(LMO)、ニッケル−コバルト−マンガン酸リチウム(NCM)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP);TiS、FeS等の遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。
CBスラリーは、正極活物質として、高ニッケルリチウム複合酸化物を配合した場合であっても、電極スラリーの粘度上昇(増粘)やゲル化を抑制することができる。高ニッケルリチウム複合酸化物としては、例えば、LiNi0.80Co0.15Al0.05やLiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.6Co0.2Mn0.2等が挙げられる。
なお、本明細書において、インターカレーションとは、層状構造等を有する物質の隙間に他の物質を挿入すること、またそのような化学反応のことをいう。
リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系材料;LiFe、LiFe、LiWO、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系材料;ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系材料;ソフトカーボンやハードカーボン等のアモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末等が挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)成分の含有量は、電極スラリー中の全固形成分の総質量に対して、80〜99質量%が好ましく、85〜98質量%がより好ましく、90〜97質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、電池の高容量化を実現しやすい。(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、電極に使用した場合の電池の抵抗を低減させやすい。
<結着剤>
電極スラリーは、さらに結着剤(バインダー)を含有してもよい。
結着剤(バインダー)は、(A)成分の粒子同士、(D)成分の粒子同士、及び(A)成分と(D)成分との粒子を結着させる物質である。また、結着剤は、(A)成分及び(D)成分の粒子と集電体とを結着させる物質でもある。
結着剤としては、公知の結着剤を用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンゴム等の各種ゴム、リグニン、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、セルロース系樹脂、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルエーテル、キチン類、キトサン類、デンプン等が挙げられる。
結着剤の含有量は、電極スラリー中の全固形成分の総質量に対して、1〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。結着剤の含有量が上記下限値以上であると、(D)成分の集電体からの剥離を抑制しやすい。結着剤の含有量が上記上限値以下であると、電極に使用した場合の電池の抵抗を低減させやすい。
本発明では、上記課題に支障を及ぼさない範囲で、塗膜物性等の調整等の目的で、従来公知の分散剤、添加剤等を併用してもよい。
電極スラリー中の全固形成分の含有量は、電極スラリーの総質量に対して、50〜99質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%がさらに好ましい。電極スラリー中の全固形成分の含有量が上記下限値以上であると、電極の乾燥工程における乾燥時間を短縮しやすい。電極スラリー中の全固形成分の含有量が上記上限値以下であると、電極スラリーを集電体上に容易に塗布しやすい。
電極スラリー中の全固形成分は、電極スラリー中の分散媒等の液体成分を除いた成分である。電極スラリー中の全固形成分の含有量は、加熱乾燥法により求めることができる。
電極スラリー中の(A)成分の含有率(濃度)は、電極スラリー中の全固形成分の総質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有率が上記下限値以上であると、電極に導電性を付与しやすい。(A)成分の含有率が上記上限値以下であると、電池の高容量化を実現しやすい。
また、電極スラリー中の(A)成分の含有量は、(D)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、電極に導電性を付与しやすい。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、電池の高容量化を実現しやすい。
電極スラリー中の(B)成分の含有率(濃度)は、電極スラリー中の全固形成分の総質量に対して、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有率が上記下限値以上であると、(A)成分を分散させやすい。(B)成分の含有率が上記上限値以下であると、電極に使用した場合の電池の抵抗を低減させやすい。
電極スラリー中の(C)成分の含有率(濃度)は、電極スラリーの総質量に対して、1〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有率が上記下限値以上であると、電極スラリーの粘度を低減しやすい。(C)成分の含有率が上記上限値以下であると、電極スラリーを集電体に塗布した後の乾燥に要する時間を短縮しやすい。
電極スラリーの粘度は、1000〜6000mPa・sが好ましく、1000〜5000mPa・sがより好ましく、1000〜4000mPa・sがさらに好ましい。電極スラリーの粘度が上記下限値以上であると、電極を形成しやすい。電極スラリーの粘度が上記上限値以下であると、電極スラリーを集電体上に容易に塗布しやすい。
電極スラリーの粘度は、回転粘度計(BROOKFIELD LV型)を用いて、25℃で、ローターの回転数を30rpmに設定し、60秒後に測定される値である。
電極スラリーの粘度は、(C)成分の含有量によって調整できる。
また、電極スラリーの粘度を上記好適範囲とするには、電極スラリーは、結着剤(バインダー)を含有することが好ましい。
<電極スラリーの製造方法>
電極スラリーは、(B)成分を(C)成分に溶解、膨潤、又は分散させ、その後、液中に(A)成分と(D)成分とを同時に、又は順次添加し、混合し、分散させて得ることができる。
電極スラリーを製造する分散装置としては、CBスラリーを製造する分散装置と同様の分散機を使用できる。
<電極の製造方法>
・電極
本実施形態の電極は、電極層と集電体とで構成される。
本実施形態の電極層は、(D)成分と、(A)成分と、(B)成分と、結着剤とを含有する。
本実施形態の電極層は、電極スラリーを、集電体上に塗布し、乾燥することで、得ることができる。
・集電体
電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が挙げられる。集電体の形状は、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状でもよい。
集電体上に電極スラリーを塗布する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等を挙げる事ができる。
塗布した電極スラリーの乾燥方法としては、放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
CBスラリーの利用分野としては、導電性、耐久性等が要求される分野、例えば、電池用電極において、安定かつ均一な組成物を提供し得るものである。中でも、(C)成分を使用すること、ポリフッ化ビニリデンやポリイミド前駆体等と相溶すること、及び形成される塗膜や成型物の強度、柔軟性が良好なことから、リチウムイオン二次電池用電極、電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極等に好適に用いられる。
CBスラリーを用いて、さらにはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のバインダーを添加してリチウムイオン二次電池用電極や電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極のプライマー層、さらにコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウム遷移金属複合酸化物、黒鉛、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバー等の正極活物質や負極活物質を添加してリチウムイオン二次電池用電極や電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極等の電極層を製造することができる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例で使用した原料、測定方法、評価方法は、以下の通りである。
[使用原料]
<(A)成分>
CB1:カーボンECP200L、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製(酸性官能基量0.14mmol/g、比表面積424m/g、DBP吸油量271cm/100g、平均一次粒子径40nm)。
CB2:カーボンECP300J、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製(酸性官能基量0.12mmol/g、比表面積794m/g、DBP吸油量360cm/100g、平均一次粒子径40nm)。
CB3:カーボンECP600JD、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製(酸性官能基量0.14mmol/g、比表面積1380m/g、DBP吸油量493cm/100g、平均一次粒子径40nm)。
CB4:酸化処理カーボンECP200L(酸性官能基量0.40mmol/g、比表面積403m/g、DBP吸油量240cm/100g、平均一次粒子径40nm)。
CB5:酸化処理カーボンECP600JD(酸性官能基量0.23mmol/g、比表面積1372m/g、DBP吸油量450cm/100g、平均一次粒子径40nm)。
CB6:酸化処理カーボンECP600JD(酸性官能基量0.70mmol/g、比表面積1366m/g、DBP吸油量415cm/100g、平均一次粒子径40nm)。
<(A’)成分((A)成分の比較成分)>
CB7:デンカブラックHS−100、デンカ(株)製(酸性官能基量0.05mmol/g、比表面積39m/g、DBP吸油量140cm/100g、平均一次粒子径48nm)。
<(B)成分>
S−PVA:スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ゴーセネックスL−3266、日本合成化学(株)製(ケン化度86.5mol%)。
<(B’)成分((B)成分の比較成分)>
PVA:未変性ポリビニルアルコール、ポバール5−74、(株)クラレ製(ケン化度73.0mol%)。
<(C)成分>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン、関東化学(株)製。
<(D)成分>
NCM:LiNi1/3Co1/3Mn1/3
NCA1:LiNi0.80Co0.15Al0.05(水酸化リチウム含有量0.46質量%、炭酸リチウム含有量0.16質量%、含有量はNCA1の総質量に対する含有量)。
NCA2:LiNi0.80Co0.15Al0.05(水酸化リチウム含有量1.18質量%、炭酸リチウム含有量0.23質量%、含有量はNCA2の総質量に対する含有量)。
<結着剤>
PVDF:ポリフッ化ビニリデン、Solef5130、Solvey社製。
<電解液>
L1:エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比1:2で混合した混合溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウムを1.0mol/Lの濃度となるように溶解した液。
<(A)成分又は(A’)成分の酸性官能基量の測定>
(A)成分又は(A’)成分を0.5g精秤し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液20mLに加えて撹拌した。得られた液を濾過し、濾液5mLを量り取り、0.05N塩酸により滴定を行って、滴定に要した塩酸量から酸性官能基量mmol/gを算出した。
<(A)成分又は(A’)成分の比表面積の測定>
(A)成分又は(A’)成分を30mg精秤し、ASTM D3037に準拠した方法でBET比表面積を測定した。
<粘度測定>
・CBスラリーの粘度
回転粘度計(BROOKFIELD LV型)を用いて、25℃で、ローターの回転数を30rpmに設定して、ローター回転開始から60秒後の値を測定した。ローターは、粘度値が200mPa・s未満の場合はNo.1を、200以上1000mPa・s未満の場合はNo.2を、1000以上4000mPa・s未満の場合はNo.3を、4000以上20000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。得られた粘度値が20000mPa・s以上の場合については、「20000<」と記載したが、これは評価に用いた回転粘度計では評価不可能なほどに高粘度であったことを表す。
・電極スラリーの粘度
回転粘度計(BROOKFIELD LV型)を用いて、25℃で、ローターの回転数を30rpmに設定して、ローター回転開始から60秒後の値を測定した。ローターは、上記No.2、No.3、No.4をそれぞれ用いた。得られた粘度値が20000mPa・s以上の場合については、「20000<」と記載した。
電極スラリーの粘度は、調製直後(初期)の粘度及び25℃の環境下で3日間保存した後の粘度を測定した。3日後の粘度と初期の粘度の変化率((3日後の粘度)/(初期の粘度)×100)が、110%以下の場合に、増粘やゲル化を抑制できていると判断した。
<貯蔵安定性の評価>
CBスラリー500gを入れたポリ容器を25℃の環境下で、2週間(2W)又は4週間(4W)静置した。貯蔵安定性は、下記評価基準に基づいて目視にて評価した。
《評価基準》
○:カーボンブラックの沈降なし、又は、ポリ容器を振るだけで再分散する。
×:カーボンブラックの沈降あり、かつ、ポリ容器を振っても再分散しない。
<直流抵抗>
直流抵抗(DCR)は、以下の手順で測定した。
25℃で、ラミネートセルのコンディショニングを行った後、内部抵抗を測定した。次に、50%の充電状態から、放電レート1C、3C、5Cで放電したときの10秒後の降下電圧ΔVと、そのときの電流値Iをプロットしたときの傾き(=ΔV/I)から、直流抵抗(DCR)を算出した。
<放電レート特性>
25℃で、電圧範囲3.0V〜4.2Vにおいて、0.2C、1C、3C、5Cレートで放電を行い、0.2Cレートの放電容量に対する5Cレートの放電容量の比を放電容量維持率として算出した。
[実施例1〜7、比較例1〜4]
<CBスラリーの調製>
表1に記載した配合比率となるように(B)成分又は(B’)成分を溶解した(C)成分に(A)成分又は(A’)成分を添加した後、ビーズミルを用いて分散し、S1〜S11のCBスラリーを得た。CBスラリーの粘度及び貯蔵安定性の結果を表1に示す。表1中、「−」は、高粘度であったため、貯蔵安定性の評価を行わなかったことを表す。
Figure 2019220401
実施例1〜7より、スルホン酸変性ポリビニルアルコールとカーボンブラックとNMPを含むCBスラリーにおいて、酸性官能基量が0.10mmol/g以上のカーボンブラックを用いることで貯蔵安定性に優れたCBスラリーが得られた。一方、酸性官能基量が0.10mmol/g未満のカーボンブラックを用いた比較例1は、貯蔵安定性の評価が「×」だった。
また、(A)成分の代わりに(A’)成分を用いた比較例2〜4のCBスラリーは、対応する組成を有する実施例2、4、5のCBスラリーよりも、粘度が高かった。これは、(A)成分は、カーボンブラック(比表面積が大きく、酸性官能基量が多いカーボンブラック)に対する分散効果が高いためであると考えられる。
[実施例8〜13、比較例5〜8]
<電池特性評価>
表2に記載した全固形成分(固形分)の含有量となるように、上記で調製したCBスラリーS2〜S10と、(D)成分と、結着剤のNMP溶液とを混合して、ディスパーを用いて、よく攪拌して電極スラリーを調製した。比較例8は、(B)成分を含有しないCBスラリーを用いた。
得られた電極スラリーをアルミニウム箔(集電体)上に塗布して、乾燥、加圧プレス後に、所定のサイズに加工し、電極(正極)を得た。次に、正極、ポリエチレン製セパレーター、負極(リチウム箔)をアルミラミネートフィルムで封止し、電解液L1を含浸させ、ラミネートセル(容量10mAh)を作製した。電極スラリーの経時での粘度変化、ラミネートセルの直流抵抗及び放電レート特性の評価結果を表2に示す。
Figure 2019220401
本発明のCBスラリーを適用した実施例8〜13のラミネートセルは、比較例5〜8のラミネートセルよりも、直流抵抗が低く、放電容量維持率が高かった。
(A)成分の代わりに(A’)成分を含有するCBスラリーS9を用いた比較例6の電極スラリーは、対応する組成を有するCBスラリーS2を用いた実施例8の電極スラリーよりも、粘度が高かった。同様に、CBスラリーS10を用いた比較例7の電極スラリーは、対応する組成を有するCBスラリーS4を用いた実施例10の電極スラリーよりも、粘度が高かった。(B)成分を含有しない比較例8の電極スラリーは、対応する組成を有するCBスラリーS4を用いた実施例10の電極スラリーよりも、粘度が高かった。
[実施例14〜15、比較例9〜10]
表3に記載した全固形成分(固形分)の含有量となるように、上記で調製したCBスラリーS2又はS8と、(D)成分と、結着剤のNMP溶液とを混合して、ディスパーを用いて、よく攪拌して電極スラリーを調製した。得られた電極スラリーを用いて、実施例8〜13と同様にラミネートセルを作製した。電極スラリーの経時での粘度変化、ラミネートセルの直流抵抗及び放電レート特性の評価結果を表3に示す。
Figure 2019220401
本発明のCBスラリーを適用した実施例14〜15の電極スラリーは、(A)成分の代わりに(A’)成分を含有するCBスラリーS8を用いた比較例9〜10の電極スラリーよりも、増粘やゲル化を抑制できていた。
加えて、実施例14〜15のラミネートセルは、比較例9〜10のラミネートセルよりも、直流抵抗が低く、放電容量維持率が高かった。
これは、電極活物質(正極活物質)として塩基性物質を多く含む高ニッケルリチウム酸化物を配合した場合であっても、本発明のCBスラリーを用いることで、電極スラリーの経時での増粘を抑制できるとともに、良好な電池性能を示すことを意味する。
これらの結果から、本発明の電極用カーボンブラックスラリーによれば、貯蔵安定性により優れ、粘度を低減でき、高ニッケルリチウム複合酸化物を配合した場合であっても、増粘やゲル化を抑制できることが分かった。

Claims (2)

  1. (A)成分:カーボンブラックと、
    (B)成分:スルホン酸変性ポリビニルアルコールと、
    (C)成分:N−メチル−2−ピロリドンと、
    を含有し、
    前記(A)成分の比表面積が300〜1500m/gであり、
    前記(A)成分の酸性官能基量が0.10〜2.0mmol/gであり、
    前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分100質量部に対して、3〜50質量部である、電極用カーボンブラックスラリー。
  2. (D)成分:電極活物質と、
    請求項1に記載の電極用カーボンブラックスラリーと、を含有し、
    前記(A)成分の含有量が、前記(D)成分100質量部に対して、1〜10質量部である、電極形成用組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024053473A1 (ja) * 2022-09-09 2024-03-14 楠本化成株式会社 カーボンナノチューブ分散体及びそれを用いた導電性材料

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