JP6303791B2 - ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法 - Google Patents

ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6303791B2
JP6303791B2 JP2014099312A JP2014099312A JP6303791B2 JP 6303791 B2 JP6303791 B2 JP 6303791B2 JP 2014099312 A JP2014099312 A JP 2014099312A JP 2014099312 A JP2014099312 A JP 2014099312A JP 6303791 B2 JP6303791 B2 JP 6303791B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clinoptilolite
strontium
type
weight
nitrogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014099312A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014240345A (ja
Inventor
敬助 徳永
敬助 徳永
平野 茂
茂 平野
肇 船越
肇 船越
清水 要樹
要樹 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2014099312A priority Critical patent/JP6303791B2/ja
Publication of JP2014240345A publication Critical patent/JP2014240345A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6303791B2 publication Critical patent/JP6303791B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、軽質ガスの分離に適したクリノプチロライトに関する。より詳細には、本発明は、窒素よりも大きい分子径を有する気体分子と窒素との分離に適したクリノプチロライト及びその製造方法に関する。
クリノプチロライトは、混合ガスから炭酸、酸素、窒素及びアルゴンなど軽質ガス分子を分離吸着する吸着剤として使用されている。例えば、特許文献1では炭化水素ガスから非燃焼成分である炭酸及び窒素を吸着除去することが報告されている。また、特許文献2には乾燥空気からアルゴン及び酸素を選択的に吸着除去することが報告されている。
さらには、特許文献3には軽質ガス分子をより選択的に吸着除去する方法としてカルシウムでイオン交換したクリノプチロライトを用いることにより軽質ガス分子であるメタンと窒素とを分離できることが報告されている。
また、特許文献4において、本発明者らは窒素の吸着特性に優れたストロンチウムイオン交換クリノプチロライトを報告している。
さらに、特許文献5には、窒素を含みメタンを主成分とする炭化水素ガスから窒素を分離するための方法および窒素分離装置であって、ストロンチウム交換クリノプチロライトからなる窒素吸着分離材料を使用するものが報告されている。
特開昭61−255995号公報 特開昭59−206029号公報 特開昭62−132727号公報 特開2013−147415号公報 特開2013−146722号公報
特許文献1のクリノプチロライト及びこれを用いた軽質ガス分子の吸着除去方法では、軽質ガス分子の吸着に高い温度を必要とする。これに加え、特許文献1のクリノプチロライトは炭酸の吸着は良好であったが、窒素分子を吸着しにくいことが実施例に開示されている。そのため、特許文献1のクリノプチロライトでは窒素の吸着除去は難しかった。
また、特許文献2のクリノプチロライトは、酸素とアルゴンを同時に吸着する。したがって、当該クリノプチロライトは、アルゴンより分子径が小さい窒素もアルゴンと同時に吸着する。そのため、特許文献2のクリノプチロライトでは、窒素とそれより大きい軽質ガス分子との吸着分離はできなかった。
特許文献3のカルシウム型のクリノプチロライトでは、メタンと窒素とを効率よく吸着分離できる。しかしながら、このような吸着分離特性を発現するためには、クリノプチロライトを真空下で焼成処理する必要があった。当該クリノプチロライトを工業的な規模で使用する場合、真空焼成処理が可能な特別な設備を要することや、設備コストが高くなるなど、工業的な適用が容易ではなかった。
特許文献4及び5のストロンチウム交換クリノプチロライトは、メタンと窒素との吸着速度の差により、これらを効率よく分離できるものであった。しかしながら、これらのストロンチウム交換クリノプチロライトよりも、さらにメタンと窒素とを効率よく吸着分離できる吸着剤も求められている。
本発明では、これらの課題を解決し、従来の天然クリノプチロライト又はカルシウム型のクリノプチロライトよりも、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との分離に適したクリノプチロライトを提供すること、及び、この様なクリノプチロライトの製造方法であって、工業的に適用が容易なクリノプチロライトの製造方法を提供することを目的とする。また、従来のストロンチウム交換クリノプチロライトよりも、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との分離により適したクリノプチロライト、及び、その工業的な製造方法を提供することを更なる目的とする。
本発明者らは、数多く存在する各種イオン交換型クリノプチロライトの中から、ストロンチウム型クリノプチロライトが窒素の選択的吸着に特に適していることを見出した。さらには、ストロンチウム型クリノプチロライトは、これに存在するアルカリ成分を制御することで、窒素の選択的吸着により優れることを見出した。さらには、真空下での焼成処理等の特別な処理を必要とせず、より簡便な製造方法により、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との高い吸着分離特性を発現するストロンチウム型クリノプチロライトが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくともイオン交換サイト以外にアルカリ成分を含むストロンチウム型クリノプチロライトである。
以下、本発明のストロンチウム型クリノプチロライトについて詳細に説明する。
本発明は、クリノプチロライト(以下、「クリノ」ともいう)は、そのイオン交換サイトにストロンチウム(Sr)を有するクリノプチロライト、すなわちストロンチウム型クリノプチロライト(以下、「Sr型クリノ」とする)である。
さらに、本発明のSr型クリノは、イオン交換サイトにストロンチウムを有し、なおかつ、イオン交換サイト又は細孔若しくはその両者にアルカリ成分を有する。これにより、窒素よりも分子径の大きい軽質ガス分子(以下、「大径分子」)と窒素との分離吸着特性が高くなる。
本発明のSr型クリノは、少なくともイオン交換サイト以外にアルカリ成分を含有する。具体的には、イオン交換サイト以外でアルカリ成分が含有される部位としては、例えば、Sr型クリノの細孔及び表面を挙げることができる。そのため、本発明のSr型クリノは、その細孔又は表面の少なくともいずれかにアルカリ成分を含有する。細孔や表面など、イオン交換サイト以外に存在するアルカリ成分により、Sr型クリノの細孔径の制御がされる。これにより、本発明のSr型クリノが窒素の分離特性により優れた吸着剤となる。
アルカリ成分がSr型クリノのイオン交換サイト以外に含有されることは、アルカリ成分及びストロンチウムの含有量が、イオン交換サイト容量よりも多くなっていることから確認することができる。
ここで、「イオン交換サイト」とは、クリノの骨格を構成するアルミニウム上に存在するサイトであって、負に帯電した当該アルミニウムの負電荷を補償するサイトである。当該サイトには、プロトン(H)その他のカチオンが存在することができる。従って、本発明のSr型クリノにおいて、アルカリ成分がイオン交換サイト以外、更にはSr型クリノの細孔又は表面の少なくともいずれかに含有されることは、ストロンチウム及びアルカリ成分の合計電荷量、すなわち各アルカリ成分の価数とmol数との積と、及びストロンチウムの価数とmol数との積を合計した値をアルミニウムのmol数で割った値が1を超えていることから確認することができる。
本発明の本発明のSr型クリノは、そのイオン交換サイト以外にアルカリ成分を含有していればよく、イオン交換サイト及びイオン交換サイト以外の両者にアルカリ成分を含有していてもよい。イオン交換サイトにアルカリ成分が含有される場合、アルカリ成分はイオンである。一方、細孔に含有されるアルカリ成分はイオン、金属又は化合物である。
ここで、本発明におけるアルカリ成分とは、アルカリ金属元素を含むイオン、金属及び化合物の群から選ばれる少なくともいずれかである。アルカリ金属元素は、ナトリウム又はカリウムの少なくともいずれかを挙げることができる。また、アルカリ成分は、ナトリウムであることが好ましい。
本発明のSr型クリノは、Sr型クリノの重量に対するアルカリ成分の重量(以下、「アルカリ含有量」とする。)が1.6重量%以上、5.0重量%以下、更には3.0重量%以上、4.5重量%以下であることが好ましい。この範囲のアルカリ成分を含有することでSr型クリノの細孔が、より窒素を選択的に吸着しやすい状態になり、窒素の吸着容量及び吸着速度が大きくなり実用的な窒素吸着性能を有する。
アルカリ含有量が1.6重量%以上、3.5重量%未満であれば大型分子と窒素との吸着速度の差がより大きくなりやすい。そのため、上記範囲のアルカリ含有量であることで、大型分子と窒素との吸着時間の差による吸着分離がより顕著になる。吸着時間の差による吸着分離とする際には、アルカリ含有量は1.6重量%以上、更には3.0重量%以上であればよい。
一方、アルカリ含有量が3.5重量%以上であれば大型分子と窒素との吸着容量に差がより大きくなる。そのため、アルカリ含有量が3.5重量%以上、更には3.7重量%以上であることで、大型分子と窒素との吸着容量の差による分離特性が高くなる。吸着容量の差による吸着分離とする際には、アルカリ含有量は5.0重量%以下、更には4.5重量%以下であればよい。
ナトリウムは、Srクリノの細孔に侵入しやすいため、Sr型クリノの細孔へ与える影響が大きい。そのため、Sr型クリノの重量に対するナトリウムの重量(以下、「ナトリウム含有量」とする。)で0.6重量%以上、更には1.0重量%以上、また更には2.0重量%以上であることが好ましい。ナトリウム含有量が0.6重量%以上となることで、大型分子と窒素との吸着容量及び吸着速度の差がより大きくなりやすく、これにより大型分子と窒素との分離特性が高くなりやすい。ナトリウム含有量は5.0重量%以下、更には4.0重量%以下であればよい。
ナトリウム含有量が0.6重量%以上、2.5重量%未満であることで、大型分子と窒素との吸着速度に差が大きくなりやすいため、両者の吸着時間差がより大きくなり、窒素との吸着分離がされやすくなる傾向にある。吸着時間の差による吸着分離とする際には、ナトリウム含有量は1.0重量%以上、更には2.0重量%以上であればよい。
一方、ナトリウム含有量が2.5重量%以上、5.0重量%以下であることで、大型分子と窒素との吸着容量の差が特に大きくなりやすい。更に、ナトリウム含有量は3.5重量%以下であれば、吸着容量に加え、吸着速度差が大きくやすく、実用的な窒素吸着性能を有する。
アルカリ含有量又はナトリウム含有量(重量%)には、イオン交換サイトに含まれるアルカリ成分又はナトリウムの重量も含まれ、これは誘導結合プラズマ分析(Inductively Coupled plasm)、XRF分析等により測定することができる。
本発明のSr型クリノは、Sr型クリノの重量に対するストロンチウムの重量(以下、「ストロンチウム含有量」とする。)が3.5重量%以上、更には5.0重量%以上、また更には7.0重量%以上であることが好ましい。ストロンチウム含有量が多くなるほど、Sr型クリノの窒素吸着特性が高くなる傾向がある。ストロンチウム含有量は15.0重量%以下、更には10.0重量%以下、また更には8.5重量%以下であればよい。
また、本発明のSr型クリノに含有されるストロンチウムはそのほとんどがイオン交換サイトに存在する。上記のストロンチウム含有量の場合、Sr型クリノのストロンチウム交換率は35mol%以上、更には40mol%以上、また更には55mol%以上であることが挙げられる。ストロンチウム交換率は80mol%以下、更には70mol%以下であれば、実用的な窒素吸着特性を有した吸着剤となる。
ここで、ストロンチウム交換率「mol%」は、クリノが有するイオン交換サイトのmol数(すなわち、クリノの骨格を構成するアルミニウムのモル数)に対する、当該イオン交換サイト上に存在するストロンチウムイオンのmol数の割合であり、これは組成分析等で求めることができる。
Sr型クリノは、そのイオン交換サイトにストロンチウム以外のカチオンが存在していてもよい。ストロンチウム以外のカチオンとして、例えば、プロトン(H)、アルカリ金属イオン及びストロンチウム以外のアルカリ土類金属イオンの群から選ばれる少なくとも1種、更にはナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)及びカルシウム(Ca2+)の群から選ばれる少なくとも1種、また更にはプロトン(H)、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の少なくとも1種を例示できる。
本発明のSr型クリノの細孔径は非常に微細である。そのため、直接的な測定は難しいが、Sr型クリノのBET比表面積をもってその細孔径の大小を判断することができる。
Sr型クリノのBET比表面積は5m/g以上、60m/g以下、更には5m/g以上、45m/g以下である。BET比表面積がこの範囲であることで、大径分子の吸着、特に窒素に近い分子径を有する大型分子の吸着が抑制されやすくなる。
また、BET比表面積が5m/g以上、30m/g以下、更には10m/g以上、30m/g以下であれば、本発明のSr型クリノの細孔が窒素の分子径とほぼ同等な細孔径、例えば0.36nm以上0.38nm以下程度であると考えられ、窒素は吸着されるが、窒素に近い分子径を有する大型分子であっても吸着されにくくなる。そのため、大型分子の吸着容量と、窒素の吸着容量の差が著しく大きくなり、吸着容量によるこれらの分離比が高くなりやすい。これにより、本発明のストロンチウム型クリノプチロライトが、例えば、1時間以上の長時間で吸着剤に窒素を吸着させ、その後、吸着剤を再生するプロセスを繰り返すPSAなどによる吸着分離プロセスに適した吸着特性を有する吸着剤となる。
一方、BET比表面積が30m/gを超え、60m/g以下、更には30m/gを超え、45m/g以下であれば、本発明のSr型クリノの細孔が窒素の分子径よりもやや大きい細孔径、例えば0.38nmを超え0.40nm以下程度であると考えられ、窒素と窒素に近い分子径を有する大型分子とが吸着される。しかしながら、本発明のSr型クリノの分子ふるい効果により、より小さい分子径を有する窒素の吸着が優先的に生じるため、大型分子の吸着速度と、窒素の吸着速度の差が著しく大きくなりやすい。これにより、本発明のストロンチウム型クリノプチロライトが、例えば、1時間未満の長短時間で吸着剤に窒素を吸着させ、その後、吸着剤を再生するプロセスを繰り返すPSAなどによる吸着分離プロセスに適した吸着特性を有する吸着剤となる。
Sr型クリノのSiO/Alのモル比はSiO/Alが10未満(すなわち、Si/Alの原子比で5未満)、更にはSiO/Alが9.5以下(Si/Alの原子比で4.75以下)を挙げることができる。SiO/Alのモル比は5以上(Si/Alの原子比で2.5以上)であればよい。
本発明のSr型クリノは、これを窒素の吸着材として、更には窒素を選択的吸着できる窒素吸着材として使用することができる。本発明のSr型クリノは、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との分離をするための吸着剤として、更には、窒素を含む、アルゴン、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びペンタンの群から選ばれる少なくとも1種、更にはアルゴン又はメタンの少なくともいずれかから窒素を吸着分離するための吸着剤として使用することができる。
以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明はイオン交換サイトにストロンチウムを有するクリノプチロライトをアルカリ水溶液に浸漬するアルカリ処理工程、アルカリ処理工程後のクリノプチロライトを100℃以上、200℃以下で処理する第一熱処理工程、及び第一熱処理工程後のクリノプチロライトを空気中で300℃以上、600℃以下で処理する第二熱処理工程を含むことを特徴とする、ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法である。
アルカリ処理工程に使用するクリノプチロライトは、そのイオン交換サイトにストロンチウム(Sr)を有するクリノプチロライト、すなわちストロンチウム型クリノプチロライト(Sr型クリノ)である。Sr型クリノを使用することで、そのイオン交換サイトにカルシウムを最も多く有するクリノ、いわゆるカルシウム型クリノプチロライトと比べた場合の、大径分子と窒素との吸着分離特性がより高くなる。ストロンチウムは入手が容易であり、工業的な使用が容易なイオンである。そのため、本発明の製造方法では、特別なイオン及びこれに要する特別な設備を使用する必要がない。
Sr型クリノのイオン交換サイトに有するストロンチウムが多くなるほど、大径分子と窒素との吸着分離特性が高くなりやすい。そのため、アルカリ処理工程に使用するSr型クリノのストロンチウム交換率は35mol%以上、更には50mol%以上、また更には60mol%以上、また更には70mol%以上であることが好ましい。
アルカリ処理工程に使用するSr型クリノは、そのイオン交換サイトにストロンチウム以外のカチオンが存在していてもよい。例えば、プロトン(H)、アルカリ金属イオン及びストロンチウム以外のアルカリ土類金属イオンの群から選ばれる少なくとも1種、更にはナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)及びカルシウム(Ca2+)の群から選ばれる少なくとも1種、また更にはプロトン(H)、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の少なくとも1種がイオン交換サイトに存在していてもよい。
アルカリ処理工程で使用するSr型クリノの形状は、粉末又は成形体のいずれの形状であってもよい。成形体としては、シリカ、アルミナ及び粘土鉱物の群から選ばれる少なくとも1種の無機系バインダーとSr型クリノとを含み、円柱状、球状、三つ葉型、リング状及び楕円状の群から選ばれる少なくとも1種の形状を有するものを挙げることができる。成形体は無機系バインダー以外に、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールなどの有機系の成形助剤を含んでいてもよい。成形体は、粉末と無機系バインダーとを混合、成形後、これを600℃以上、800℃以下、更には700℃以上、850℃以下で焼成することで得ることができる。
クリノの種類には天然に産出したクリノ(以下、「天然クリノ」とする)、及び化学的に合成されたクリノ(以下、「合成クリノ」とする)がある。Sr型クリノは、天然クリノ又は合成クリノをストロンチウムでイオン交換するイオン交換工程を有する製造方法により得られる。しかしながら、アルカリ処理工程で使用するSr型クリノは、合成クリノをストロンチウムでイオン交換したクリノプチロライト(以下、「Sr型合成クリノ」とする)であることが好ましい。Sr型合成クリノを用いることで、天然クリノよりも均質な物性のものが得られることに加え、窒素の吸着量がより高くなりやすい。
Sr型合成クリノは、合成クリノをストロンチウムでイオン交換するイオン交換工程を有する製造方法により得ることができる。
合成クリノは、以下の式(1)で表される合成クリノであることが好ましい。
x(K,Na)O・Al・ySiO・zHO ・・・(1)
(但し、0.8≦x≦1.2,7≦y≦12,0≦z,0.5≦K/(K+Na)≦0.98)
さらに、合成クリノは、ケイ酸アルカリとアルミニウム塩から得られた無定形アルミノシリケートゲル、水、及びアルカリ金属水酸化物を混合し、モル比で、
SiO/Al=8〜20
OH/SiO=0.25〜0.5
K/(K+Na)=0.5〜0.9
O/SiO=10〜100
である混合物(以下、「原料混合物」とする)を得、得られた原料混合物を種晶の存在下で攪拌しながら100℃以上、200℃以下でクリノを結晶化する結晶化工程を有する製造方法により得られた合成クリノであることがより好ましく、更に当該方法により得られ、なおかつ上記式(1)の組成の合成クリノであることが更に好ましい。
イオン交換工程では、クリノとストロンチウム溶液とを2気圧未満、更には常圧で接触させればよい。これにより、クリノの粉末物性が変化することなく、クリノのイオン交換サイトにストロンチウムイオンが導入される。
ここで、「常圧」とは、減圧や加圧等をしない状態における圧力であり、更には1気圧程度(101325±100Pa)である。
イオン交換を行う温度は40℃以上、100℃以下、更には60℃以上、100℃以下であればよい。
ストロンチウム溶液は、ストロンチウムイオン(Sr2+)を含む溶液であればよく、塩化ストロンチウム又は硝酸ストロンチウム少なくともいずれかを含む水溶液を挙げることができる。ストロンチウム溶液は、ストロンチウムイオン(Sr2+)及びナトリウム(Na)を含む水溶液であることが好ましい。これにより、イオン交換工程におけるストロンチウムのイオン交換率が制御しやすくなる。
合成クリノを使用する場合、粉末状の合成クリノをイオン交換してもよいが、合成クリノを成形体とした後にイオン交換をしてもよい。
イオン交換工程の後のSr型クリノは、不純物を除去するためにこれを純水等で洗浄してもよい。
アルカリ処理工程では、Sr型クリノをアルカリ水溶液に浸漬する。Sr型クリノを浸漬することより、Sr型クリノの細孔が制御され、大径分子と窒素との分離特性が従来のカルシウム型のクリノプチロライトよりも顕著に高くなる。さらに、窒素に近い分子径を有する大型分子と窒素との分離特性が、従来のSr型クリノよりも高くなる。
アルカリ水溶液とは、アルカリ金属水酸化物、珪酸アルカリ化合物及びアルミン酸アルカリ化合物の群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液、更には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミン酸ナトリウム及びアルミン酸カリウムの群から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液、また更には水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムの群から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液である。
アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は0.5重量%以上、3重量%以下、更には0.5重量%以上、2重量%以下、また更には0.5重量%以上、1.5重量%以下である。アルカリ濃度がこの範囲であることで、得られるSr型クリノの吸着分離特性がより高くなる。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度(重量%)は、アルカリ水溶液に含まれるアルカリ金属を酸化物換算で求めた場合の値である。例えば、アルカリ金属がナトリウムの場合、ナトリウムをNaOとした場合のアルカリ水溶液のNaO濃度の値(重量%)である。
アルカリ処理は5分以上、5時間以下、アルカリ水溶液中にSr型クリノを浸漬すればよい。浸漬は、例えば、アルカリ水溶液にSr型クリノを混合し、これを静置すればよい。これにより、攪拌等の追加のエネルギーを必要とすることなく、吸着分離特性に優れたSr型クリノを得ることができる。
第一熱処理工程では、アルカリ処理工程を経たSr型クリノを100℃以上、200℃以下、更には100℃以上、180℃以下で処理する。これにより、アルカリ成分がSr型クリノの細孔をはじめとする各部に固定化され、大径分子と窒素との吸着分離特性が更に高くなる。
大気又は空気流通下で、乾燥機又固定床式の流通法で第一熱処理工程を行うことで上記の効果は得られやすくなる。工業的規模での装置が簡便になるため、第一処理工程は空気流通過下で行うことが好ましい。
第二熱処理工程では、第一熱処理工程後のSr型クリノを空気中で300℃以上、600℃以下で処理する。これにより、窒素の吸着分離特性に優れたSr型クリノが得られることに加え、当該工程に必要とする装置が簡単になる。これにより、本発明の製造方法が工業的に適用しやすくなる。
第二熱処理工程は、空気を吹き込みながら処理することが好ましく、流速0.05m/s以上又は流量20L/min以上もしくはその両者を満たして処理することがより好ましい。これにより、Sr型クリノを大量に製造した場合であっても、得られるSr型クリノの窒素吸着特性のバラツキが抑制される傾向にある。第二熱処理工程において適用する熱処理の方式により、空気の制御は異なる。例えば、管状型の炉を用いた熱処理では流速を制御すること、箱型の炉を用いた熱処理では流量を制御することが挙げられる。第二熱処理工程においては上記の流速又は流量のいずれかを満たす条件で熱処理することで、簡便に均質なSr型クリノを得ることができる。
第二熱処理工程で使用する空気は、露点が−30℃以下の空気、更には−40℃以下の空気であることが好ましく、実質的に水分を含まないものであることが好ましい。このような空気として脱水空気を挙げることができる。
本発明の製造方法においては、アルカリ処理工程後のSr型クリノを溶媒と混合する洗浄工程を有していてもよく、第一熱処理工程には、洗浄工程後のクリノプチロライトを供してもよい。アルカリ処理工程と第一熱処理工程の間に洗浄工程を経ることにより、Sr型クリノの細孔を窒素の分子径よりもやや大きい細孔径、例えば0.38nmを超え0.40nm以下程度、とすることができる。具体的な洗浄工程としては、アルカリ処理後のSr型クリノを溶媒中に混合し、これを撹拌することが挙げられる。溶媒としてアルコール又は水の少なくともいずれか、更には水、また更には純水を挙げることができる。
Sr型クリノと溶媒との混合は、0℃以上、90℃以下、更には50℃以上、70℃以下を挙げることができる。
また、Sr型クリノと溶媒との比は、溶媒の重量に対するSr型クリノの重量で、30重量%以下、更には15重量%以下、また更には10重量%以下を挙げることができる。なお、Sr型クリノと溶媒との混合は複数回行うことで、Sr型クリノの細孔径のより厳密な制御ができる。
本発明により、従来の天然クリノプチロライト又はカルシウム型のクリノプチロライトよりも、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との分離に適したクリノプチロライトを提供することができる。
さらに、本発明により、従来のストロンチウム交換クリノプチロライトよりも、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との分離により適したクリノプチロライトを提供することができる。
本発明のストロンチウム交換クリノプチロライトは、アルカリ成分が3.5重量%以上、更にはナトリウム含有量が2.5重量%以上であることで、大型分子、特に窒素の分子径に近い大型分子と窒素とを吸着容量の差により、これを分離することができる。一方、アルカリ含有量が3.5重量%未満、更にはナトリウム含有量が2.5重量%未満であることで本発明のストロンチウム交換クリノプチロライトは大型分子、特に窒素の分子径に近い大型分子と窒素とを吸着速度の差により、これを分離することができる。
本発明により、窒素とそれよりも分子径の大きい軽質ガス分子との分離に適したクリノプチロライトの製造方法であって、工業的に適用が容易なクリノプチロライトの製造方法を提供することができる。
また、本発明のストロンチウム型クリノプチロライトは、窒素よりも分子径の大きい軽質ガス分子と窒素との吸着分離特性が高いストロンチウムイオン交換クリノプチロライトとして提供することができる。
そのため、本発明のストロンチウム型クリノプチロライトは窒素よりも分子径の大きい軽質ガス分子と窒素とを含む混合ガスから、窒素を選択的吸着できる窒素吸着材として使用することができる。
実施例1のSr型クリノを用いて得られた窒素とアルゴンの吸着等温線である。 実施例4の窒素とメタンの吸着時間と吸着量の関係である(●:窒素、□メタン)。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
(組成分析)
試料をフッ酸溶液及び硝酸を用いて溶解し、ICP−AES(装置名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER社製)により、その組成を測定した。
Sr2+、Na、K(以下、「カチオン」とする)を測定し、ストロンチウム含有量、ナトリウム含有量、及びアルカリ含有量(重量%)を求めた。また、これらの全量に対する各カチオンの割合をmol%で算出し、これに対するSr2+のmol%をもってストロンチウム交換率とした。
(SiO/Alのモル比)
組成分析と同様な方法でICP−AESにより、Si及びAlを測定した。これらの値からSiO/Alのモル比を求めた。
(クリノプチロライトの結晶含有率)
クリノプチロライトの結晶含有率の測定は、粉末X線回折により行った。測定は、X線回折装置(装置名:MXP3、マックサイエンス社製)を使用して2θ=3〜40°の回折ピークを測定した。得られた粉末X線回折図から、クリノプチロライトのピークと不純物相のピークの比を求め、当該ピークの比に基づき結晶含有率を算出した。なお、COLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITES 、Fifth Revised Edition 2007、ELSEVIA の206〜207頁のHEU型ゼオライトのX線回折データをクリノプチロライトとし、これとの対比により試料の同定を行った。
(BET比表面積)
BET比表面積は市販のBET比表面測定装置(装置名:BELSORP 28SA、日本ベル株式会社製)を用いて測定した。試料を0.5〜1mmに整粒した後、前処理として350℃で2時間、真空下で加熱処理した。吸着温度は液体窒素温度(−196℃)として吸着等温線を測定し、BETプロットにおいて相対圧力0〜0.1の範囲でBET比表面積を計算した。
(窒素およびアルゴン平衡吸着量)
窒素およびアルゴン平衡吸着量は市販の装置(BELSORP 28SA及びBELSORP HP、日本ベル株式会社製)を用いて測定した。試料を0.5〜1mmに整粒した後、前処理として350℃で2時間、真空下で加熱処理した。吸着温度25℃において、760mmHgにおける窒素およびアルゴン平衡吸着量を測定し、窒素/アルゴンの吸着量比を算出した。
(窒素およびメタン吸着時間)
窒素およびメタンの吸着速度は市販の装置(BELSORP HP、日本ベル株式会社製)を用いて測定した。前処理として、試料を直径1.5mmの円柱状の成形体とし、これを350℃で2時間、真空下で加熱処理した。前処理後の試料について、試料ガスの平衡吸着圧力(200〜450kPa)における平衡吸着量、及び、平衡吸着量に達するまでの時間を測定した。吸着温度は25℃とした。測定開始から平衡吸着量の半分の吸着量に達する時間を測定し、当該時間(秒)を試料ガスの吸着時間とした。試料ガスには窒素ガス又はメタンガスを用い、メタンの吸着時間に対する窒素の吸着時間(以下、「メタン/窒素吸着時間比」とする。)を求めた。
合成例1
純水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液及びケイ酸ソーダと硫酸アルミニウムから調製した無定形アルミノシリケートゲルを下記の組成となるように混合し、原料混合物を得た。
SiO/Al=11.7
OH/SiO=0.34
K/(K+Na)=0.70
O/SiO=15
得られた原料混合物に、原料混合物の重量に対して2重量%の天然クリノプチロライトを種晶として加え、攪拌しながら150℃で72時間加熱して結晶化させた。結晶化後、冷却、濾過、洗浄、及び乾燥して粉末状のNa,K型クリノプチロライトを得た。
得られたNa,K型クリノプチロライトは、SiO/Al=9.6、(Na,K)O/Al=0.99、K/(K+Na)=0.90であった。
得られたNa,K型クリノプチロライトは、X線回折測定においてクリノプチロライト以外に帰属できるピークはなく、そのクリノプチロライトの結晶含有率は100%であった。また、得られた合成クリノプチロライトの細孔直径3〜10,000nmの範囲の細孔容積は0.88mL/g、平均細孔直径は410nmであった。
当該クリノプチロライト粉末100重量部に対して、アタパルジャイト粘土15重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)4重量部、及び適量の水を添加し、これを混合・混練して混練物を得た。
得られた混練物を直径1.5mmの円柱状に押出し成形したのち、100℃で乾燥し、これを焼成してクリノプチロライト成形体を得た。焼成は、箱型のマッフル炉に脱水空気を25L/min導入しながら、600℃で3時間行った。
1mol/LのSrCl、0.14mol/LのNaClを含むSrイオン交換液を調製した。調製したSrイオン交換液11.2Lに、得られたクリノプチロライト成形体431gを添加し、60℃、2時間撹拌してSrイオン交換を行い、その後、15.6LのSrイオン交換液によりSrイオン交換を行った。得られたSr型クリノ成形体の組成は、Sr81.0mol%、Na8.3mol%、及びK10.7mol%であり、ストロンチウム交換率は81.0mol%であった。また、アルミニウムのmol数に対するアルカリ成分とストロンチウムとの合計電荷を{2×(Srのmol数)+1×(Naのmol数)+1×(Kのmol数)}/(Alのmol数)から求めた。当該モル比(以下、「(2Sr+Na+K)/Alモル比」とする。)は1.0であった。これにより本合成例のSr型クリノはSr,Na,及びKがそのイオン交換サイトに存在していることが確認できた。また、アルカリ含有量は1.5重量%(ナトリウム含有量:0.5重量%、カリウム含有量:1.0重量%)、及びストロンチウム含有量は8.6重量%であった。
得られたストロンチウム型クリノプチロライト成形体のBET比表面積は62.0m/gであった。窒素吸着量は21.9Nml/g、アルゴン吸着量は12.9Nml/gであり、窒素/アルゴン吸着量比は1.7であった。
実施例1
NaO濃度で1.0重量%となるように、水酸化ナトリウムを純水に溶解しアルカリ水溶液とした。当該アルカリ水溶液80gに合成例1で得られた成形体20gを60℃で3時間、静置で浸漬してアルカリ処理を行った。
アルカリ処理後、アルカリ水溶液から成形体を回収し、これを120℃で16時間で処理した。
当該処理後、箱型のマッフル炉に露点が−40℃の空気を25L/minの流量で導入しながら、500℃で2時間焼成を行いた。これにより、本実施例のSr型クリノプチロライト成形体を得た。
得られたSr型クリノプチロライト成形体のストロンチウム含有量は8.1重量%、アルカリ含有量は3.8重量%(ナトリウム含有量:2.7重量%、カリウム含有量:1.1重量%)、及び、SiO/Alのモル比は9.5であり、なおかつ、BET比表面積は24.5m/gであった。また、ストロンチウム交換率は55.9mol%であった。さらに、(2Sr+Na+K)/Alモル比は1.4であった。結果を表1に示す。
また、本実施例のSr型クリノプチロライト成形体の窒素吸着量は13.8Nml/g、アルゴン吸着量は6.1Nml/gであり、窒素/アルゴン吸着量比は2.3であった。結果を表2に示す。
実施例2
NaO濃度で1.0重量%となるように、アルミン酸ナトリウムを純水に溶解したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のSr型クリノプチロライト成形体を得た。
得られたSr型クリノプチロライト成形体のストロンチウム含有量は7.5重量%、アルカリ含有量は3.7重量%(ナトリウム含有量:2.5重量%、カリウム含有量:1.2重量%)、及びSiO/Alのモル比は8.3であり、なおかつ、BET比表面積は24.7m/gであった。また、ストロンチウム交換率は55.1mol%であった。また、(2Sr+Na+K)/Alモル比が1.2であった。結果を表1に示す。
本実施例のSr型クリノプチロライト成形体の窒素吸着量は15.2Nml/g、アルゴン吸着量は7.4Nml/gであり、窒素/アルゴン吸着量比は2.1であった。結果を表2に示す。
実施例3
NaO濃度で1.0重量%となるように、水酸化ナトリウムを純水に溶解しアルカリ水溶液とした。当該アルカリ水溶液80gに合成例1で得られた成形体20gを60℃で3時間、静置で浸漬してアルカリ処理を行った。アルカリ処理後の成形体を、60℃、300gの純水中に混合、攪拌した後、固液分離して成形体を回収した。回収した成形体は再度、混合、攪拌及び固液分離した。当該成形体を回収し、これを、大気中、110℃、12時間で処理した。
当該処理後、箱型のマッフル炉に露点が−40℃の空気を25L/minの流量で導入しながら、500℃で2時間焼成を行いた。これにより、本実施例のSr型クリノプチロライト成形体を得た。
得られたSr型クリノプチロライト成形体のストロンチウム交換率は7.7重量%、アルカリ含有量は3.3重量%(ナトリウム含有量:2.2重量%、カリウム含有量:1.1重量%)、及び、SiO/Alのモル比は9.2であり、なおかつ、BET比表面積は42.6m/gであった。また、ストロンチウム交換率は58.9mol%であった。また、(2Sr+Na+K)/Alモル比が1.2であった。結果を表1に示す
Figure 0006303791
実施例1及び2においては、アルカリ含有量及びナトリウム含有量が変化してもBET比表面積の変化が少ない。これに対し、実施例3では、実施例1及び実施例2と比べ、著しくBET比表面積が大きくなることが確認できた。これらの実施例においては、BET比表面積は窒素の吸着により測定している。これらの結果より、アルカリ成分が3.5重量%以上、更にはナトリウム含有量が2.5重量%以上である実施例1及び2と、アルカリ含有量が3.5重量%未満、更にはナトリウム含有量が2.5重量%未満の実施例3とでは窒素の吸着挙動が大きく変化することが確認できた。
なお、実施例2ではアルミン酸ナトリウムによるアルカリ処理をしているため、Alが増加したためにSiO/Alのモル比が低下した。
Figure 0006303791
これらの実施例より、窒素/アルゴン吸着量比が2以上と、イオン交換サイト以外にアルカリ成分を含有しない合成例1に比べ、本発明のSr型クリノは吸着量による窒素とアルゴンの分離比が高くなることが確認できた。
実施例4
実施例3のSr型クリノプチロライト成形体を用い、メタン/窒素吸着時間比を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006303791
合成例1と比べ、実施例4は窒素及びメタンの吸着時間が長くなり、いずれの吸着速度も遅くなったことが確認できた。また、特に窒素の吸着速度の低下と比べ、メタンの吸着速度が著しく遅くなることが確認できた。これにより窒素とメタンの吸着時間比が大きくなり、本発明のSr型クリノは吸着速度によるメタンと窒素との分離特性が高いことが確認できた。

Claims (10)

  1. 少なくともイオン交換サイト以外にアルカリ成分を含み、アルカリ成分がナトリウムであり、ストロンチウム型クリノプチロライトの重量に対するナトリウムの重量が0.6重量%以上であるストロンチウム型クリノプチロライト。
  2. ストロンチウム型クリノプチロライトの重量に対するアルカリ成分の重量が1.6重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のストロンチウム型クリノプチロライト。
  3. ストロンチウム型クリノプチロライトの重量に対するストロンチウムの重量が3.5重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のストロンチウム型クリノプチロライト。
  4. BET比表面積が5m/g以上、60m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のストロンチウム型クリノプチロライト。
  5. BET比表面積が5m/g以上、30m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のストロンチウム型クリノプチロライト。
  6. BET比表面積が30m/gを超え、60m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のストロンチウム型クリノプチロライト。
  7. イオン交換サイトにストロンチウムを有するクリノプチロライトをアルカリ水溶液に浸漬するアルカリ処理工程、アルカリ処理工程後のクリノプチロライトを100℃以上、200℃以下で処理する第一熱処理工程、及び第一熱処理工程後のクリノプチロライトを空気中で300℃以上、600℃以下で処理する第二熱処理工程を含み、前記アルカリ処理工程において、アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム及び珪酸ナトリウムの群から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液であることを特徴とする、ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法。
  8. クリノプチロライトが合成クリノプチロライトであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記アルカリ処理工程後のストロンチウム型クリノプチロライトを溶媒中に混合する洗浄工程を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のストロンチウム型クリノプチロライトを含む窒素吸着剤。
JP2014099312A 2013-05-15 2014-05-13 ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法 Active JP6303791B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014099312A JP6303791B2 (ja) 2013-05-15 2014-05-13 ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013103085 2013-05-15
JP2013103085 2013-05-15
JP2014099312A JP6303791B2 (ja) 2013-05-15 2014-05-13 ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014240345A JP2014240345A (ja) 2014-12-25
JP6303791B2 true JP6303791B2 (ja) 2018-04-04

Family

ID=52139820

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014099312A Active JP6303791B2 (ja) 2013-05-15 2014-05-13 ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6303791B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107206330B (zh) 2015-01-30 2021-04-16 日本碍子株式会社 分离膜结构体及降低氮浓度的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5767021A (en) * 1980-10-13 1982-04-23 Nippon Chem Ind Co Ltd:The Composite body of zeolite and alkaline earth metallic salt, its manufacture and additive for high molecular compound
JPH0685870B2 (ja) * 1985-12-03 1994-11-02 東ソー株式会社 吸着分離剤
EP1005904A3 (en) * 1998-10-30 2000-06-14 The Boc Group, Inc. Adsorbents and adsorptive separation process
JP4157946B2 (ja) * 2004-03-23 2008-10-01 独立行政法人物質・材料研究機構 金属水酸化物/ゼオライト複合体及びそれから成る吸着剤
JP5626155B2 (ja) * 2011-08-02 2014-11-19 東ソー株式会社 クリノプチロライト及びそれを用いた窒素吸着剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014240345A (ja) 2014-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5375890B2 (ja) 二酸化炭素の吸着分離方法
JP6089678B2 (ja) ストロンチウム交換クリノプチロライト
EP2837596B1 (en) Beta zeolite and method for producing same
KR102038759B1 (ko) 높은 외부 표면적을 갖는 제올라이트 흡착제들 및 그것의 용도들
JPWO2009084632A1 (ja) アルミニウムケイ酸塩複合体及び該複合体からなる高性能吸着剤
JP2008179533A (ja) 中湿度領域において優れた水蒸気吸放湿特性を有する非晶質アルミニウムケイ酸塩
JP3066430B2 (ja) ゼオライトx型成形体の製造方法
CN116440858A (zh) 具有高外表面积的沸石吸附剂及其用途
JP6303791B2 (ja) ストロンチウム型クリノプチロライトの製造方法
TWI797384B (zh) Rho沸石及其製造方法
JP4686889B2 (ja) 水素ガスの精製方法
JP4873108B2 (ja) 二酸化炭素の吸着分離方法
JP5495054B2 (ja) アルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法
JP2000210557A (ja) X型ゼオライト含有成形体及びその製造方法並びにその用途
JPH03295805A (ja) X型ゼオライト成形体の製造方法
JP7119494B2 (ja) 窒素の吸着分離方法
JP2002018226A (ja) 二酸化炭素の吸着分離方法
WO2020254054A1 (en) Zeolite, precursors thereof, methods for making the same and use of the zeolite as sorbent for co2
JP5679317B2 (ja) 揮発性有機化合物吸着剤の製造方法
JP6123178B2 (ja) メタン吸着剤およびそれを用いたメタン吸着除去方法
WO2023085273A1 (ja) クリノプチロライト及びクリノプチロライトを含有するガス分離剤
JPH11246216A (ja) 活性化された低シリカx型ゼオライト成形体
JP6215515B2 (ja) クリノプチロライト成形体
JP2000211915A (ja) 低シリカx型ゼオライト含有成形体及びその製造方法並びにその用途
JPH03295802A (ja) 高強度a型ゼオライト成形体およびその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171016

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180219

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6303791

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151