JP4873108B2 - 二酸化炭素の吸着分離方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は二酸化炭素と二酸化炭素より極性の低いガスを含む2種以上の成分からなる混合ガスのガス流から二酸化炭素を吸着除去する方法に関する、更に詳しくは、例えば空気を酸化するまで圧縮、冷却した後、ガス成分を窒素、酸素、アルゴン等の成分に分離する深冷分離方法において、前処理として不純物あるいは工程上の不都合な成分として除去されるべき二酸化炭素を原料である空気などの混合ガスから吸着除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化炭素は燃焼排ガスをはじめ、天然ガスあるいは微量ではあるが空気中にも含まれている。また天然ガス、ナフサ、コークス、メタノール等を水蒸気改質して水素を得る際にも二酸化炭素が副生する。燃焼排ガスをはじめ、工業的に副生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因ともなる温室効果ガスであって近年注目されている。また深冷分離法による空気分離においては、冷却により空気中の約300〜400ppmの微量の二酸化炭素が固体となり、熱交換器などを閉塞させるなどのトラブルの原因となっていた。
【0003】
二酸化炭素の分離除去方法は、化学吸収法としてアルカリ溶液やアミン類の溶液に吸収させる方法や、物理吸着法として吸着剤に吸着させて除去する方法が提案され、実施されていた。吸着剤としては活性炭やゼオライトが使用されている。ゼオライトなどの吸着剤を使用する物理吸着法では、温度および圧力を変動させる温度・圧力スイング法(PTSA法)、あるいは圧力のみを変動させる圧力スイング法(PSA法)により二酸化炭素の吸着除去が行なわれる。一般的には、低い温度及び高い圧力で吸着剤に二酸化炭素を吸着させ、吸着温度より高い温度及び低い圧力で二酸化炭素を吸着剤から脱着させて吸着剤を再生する。このとき二酸化炭素より吸着しにくく、二酸化炭素を含まないガスを加温して流通してパージを行なうこともある。
【0004】
従来から知られている様に、ゼオライト吸着剤はゼオライトに存在するカチオンと分子の相互作用により分子が吸着され、吸着分子の極性が大きい方が相互作用が大きくなり、吸着容量も多くなる。空気中に存在する分子で考えれば、ゼオライトと分子の相互作用の大きさは、水>二酸化炭素>窒素>酸素>アルゴンとなり、吸着容量もこの順で多くなる。
【0005】
空気中の二酸化炭素を吸着除去する場合、二酸化炭素濃度は約300ppm、窒素濃度は約78%であり、5〜10気圧の圧力で吸着剤と接触させる場合、二酸化炭素の分圧は約2mmHg、窒素の分圧は約4〜8atmとなる。二酸化炭素は極性が大きくゼオライトへ低分圧でも多量に吸着するが、多量に共存する窒素により二酸化炭素の吸着が阻害され、吸着量が低下してしまう。なお水はアルミナなどの吸着剤によりあらかじめほとんど全て除去される。
【0006】
これまでに空気等の混合ガスから二酸化炭素を除去するための吸着剤として使用されてきたゼオライト吸着剤は、A型ゼオライトあるいはSiO2/Al23モル比が2.5以上のX型ゼオライトであった。しかしながら、深冷分離法で空気分離を行なう場合、処理する空気量が非常に多いために二酸化炭素を吸着除去するためのゼオライト吸着剤の使用量も多くなる。このため装置のコンパクト化あるいは電力原単位の低減から、窒素が共存する時でも、二酸化炭素の吸着性能の高い吸着剤が求められている。
【0007】
特開平8−252419号公報では、ガス流から二酸化炭素を除去する方法として、1A族、2A族、3A族、3B族、ランタニド系列およびこれらの混合物のカチオンで交換されているケイ素−対−アルミニウムの原子比約1.0〜約1.15を有するX型ゼオライトを用いて約−50℃ないし約80℃の範囲で吸着させることが提案されているが、その第6頁の表1に示されている様に二酸化炭素ガスの圧力を変化させた時の二酸化炭素吸収量のみを測定しており、二酸化炭素と窒素ガスとの間の吸着選択率等の測定はしていない。
【0008】
又、交換カチオンとして各族イオンとして好ましいイオンが列記されており、1A族イオンとしてナトリウム及びリチウムが好まく、2A族イオンとしてカルシウムが好ましいと記載され、その第6頁の表1に、NaLSXとLi,CaLSX(リチウム−カルシウム交換吸着剤試料、95当量%リチウムイオンおよび5当量%カルシウムイオンを含有)との二酸化炭素吸収量を比較しており、Li及びCa交換した吸着剤の方が二酸化炭素吸収量が大きい事は示されているが、二酸化炭素と窒素ガスとの間の吸着選択率等の測定はされていない。
【0009】
特開平11−179137号公報では、ガスから水蒸気と二酸化炭素を除去する方法として、水蒸気を除去した後に二酸化炭素を除去するためにナトリウムLSXゼオライトを用いることが提案されている。
【0010】
しかしながら、二酸化炭素と窒素を含む混合ガスから二酸化炭素を分離する方法については記載されていない。
【0011】
特開平11−253736号では、低温蒸留の前に吸着により空気を精製する方法として、カルシウム、ナトリウム及びカリウムを含むSi/Al比1から1.5のX型ゼオライトが提案されている。
【0012】
さらにWO00/01478号では、ガス精製用吸着剤としてカリウムイオンが8%より少ないナトリウムタイプのSiO2/Al23比1.8−2.2の低シリカフォージャサイトが提案されている。しかしながら、ここで使用されている吸着剤は、用いるゼオライト結晶の純度が不十分であったり、吸着剤にバインダーが含まれているためゼオライト結晶の含有率が少なくなり、吸着剤が本来有している吸着性能を十分に発揮できていなかった。
【0013】
一般的にゼオライト吸着剤はバインダーを混合し、任意の形状に成形されている。しかしバインダーには吸着性能がないために、それに相当する量だけ吸着性能を低下させていた。そのためバインダー成分をゼオライトへ転化するための方法が提案されている。特開平5−163015号公報では、SiO2/Al23モル比が2.5よりも低いX型ゼオライト粉末、メタカオリンに転化されたカオリン型粘土、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを含む成形体を、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの水溶液中で40〜100℃の温度で数時間〜数日間保持して熟成、結晶化する低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法が記載されている。特開平11−76810には、少なくとも95%のSiO2/Al23モル比が2である低シリカX型ゼオライト成形体について記載されている。しかしその製造方法は、低シリカX型ゼオライト粉末をゼオライトに変換可能なクレイを少なくとも80%含むバインダーで凝集させ、得られた混合物を成形し、乾燥後に500〜700℃の温度で焼成し、得られた固体生成物を水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液で、水酸化ナトリウム+水酸化カリウムの合計に対して水酸化カリウムの最大含有率が30モル%である少なくとも0.5モル濃度の苛性水溶液と接触させる方法である。これらの方法で得られる低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体は、耐圧強度が非常に低く、またA型ゼオライトの混入があり、化学分析による全体のSiO2/Al23モル比が低シリカX型ゼオライトの理論値である2.0よりも高く、成形体中の低シリカX型ゼオライト純度も不十分であることが問題となっていた。
【0014】
WO99/05063では少なくとも95%がLSXで構成されるゼオライト体の製造方法について記載されている。その製造方法でも特開平11−76810号公報と同様に少なくとも0.5モル濃度の苛性溶液と接触させる方法であり、この様な比較的濃度の低い苛性溶液と接触させる方法で得られたLSXゼオライト体の耐圧強度が低いことが問題であった。また得られたLSXゼオライト体は二酸化炭素の吸着分離、特に空気中の二酸化炭素の吸着分離には使用されてなく、二酸化炭素と窒素の吸着選択性に優れたカチオン種に関する検討もされていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、例えば空気を低温で分離する深冷分離法において、工程上の不都合な成分として除去されるべき二酸化炭素を原料である空気などの混合ガスから吸着除去する方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、二酸化炭素と二酸化炭素より極性の低いガスを含む2種以上の成分からなる混合ガスをゼオライト吸着剤と接触させて二酸化炭素を吸着分離する方法において、前記ゼオライト吸着剤と前記混合ガスを接触させる時の二酸化炭素の分圧が0.1〜50mmHgの範囲であって、前記ゼオライト吸着剤はSiO2/Al23モル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライトで、低シリカX型ゼオライトの含有率が95%以上である低シリカX型ゼオライト成形体であり、好ましくは90%以上のリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換されているゼオライトを吸着剤として用いることが好ましく、更に好ましくは95%以上のリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換されているゼオライトを吸着剤として用いること、最も好ましくは90%以上のナトリウムでイオン交換されていることにより、最も高い二酸化炭素選択性が選られ、さらには前記低シリカX型ゼオライト成形体が、SiO2/Al23モル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライトとSiO2/Al23モル比が1.9〜2.1のカオリン質粘土を用いて成形、焼成することにより低シリカX型ゼオライト含有成形体を得、前記低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSiの溶解量がAlの溶解量よりも多い苛性溶液と前記低シリカX型ゼオライト含有成形体を接触させることにより、前記低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土を低シリカX型ゼオライトに変質させることにより製造されていることにより飛躍的に二酸化炭素を除去する性能が向上でき、篩い分けにより粒子径を1.4〜1.7mmに揃えた当該低シリカX型ゼオライト成形体の平均耐圧強度が1.0kgf以上であることを達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
【発明の効果】
以上により、例えば上述の空気を低温で分離する深冷分離法において、工程上の不都合な成分として除去されるべき二酸化炭素を原料である空気などの混合ガスから吸着除去するに際して、ゼオライト成形体をバインダーレス化することによってより吸着容量を増大させるとともに工業的な使用圧力に耐えうる成形体強度を持ち、かつナトリウムなどの特定のカチオンに好ましくは90%以上イオン交換することによって、二酸化炭素選択性が高められ、より効率よく吸着除去することが可能となった。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用される吸着剤は、SiO2/Al23モル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライトであり、低シリカX型ゼオライトの含有率が95%以上である低シリカX型ゼオライト成形体であり、好ましくは90%以上のリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換されており、更に好ましくは95%以上のリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換されており、最も好ましくは90%以上のナトリウムでイオン交換されている吸着剤である。
【0020】
前述したように、ゼオライトへのガスの吸着はゼオライトに存在するカチオンとガス分子の相互作用により起こるため、このカチオン数が多い方がより多くのガスを吸着することができる。ゼオライト中のカチオン数はゼオライトの結晶骨格を形成するAl数に依存し、Al数が多くなれば、すなわちSiO2/Al23モル比が小さくなればカチオン数も増加する。ゼオライトのSiO2/Al23モル比は2.0が最小であることがLoewenstein則により知られている。低シリカX型ゼオライト結晶のSiO2/Al23モル比は理論的には2.0であるが、化学組成分析の測定上の誤差等を考慮した場合、1.9〜2.1の組成の低シリカX型ゼオライトが本発明の範囲に入ることは明らかである。SiO2/Al23モル比が2.0のゼオライトとしては低シリカX型ゼオライト以外にA型ゼオライトがある。しかしA型ゼオライトはその細孔径が約4〜5Åと小さいのに対し、低シリカX型ゼオライトのそれは約7〜8Åと大きくガス分離には有利である。低シリカX型ゼオライト結晶を合成する方法としては、種々の方法が開示されており、特開平11−217212号公報、特開平10−310422号公報、特開平11−343112号公報などに記載されている方法で製造すればよい。
【0021】
ゼオライト結晶の粉末は自己結合性がないため、工業的に吸着剤として使用する場合は種々のバインダーを添加してビーズ、ペレットなどの形状に成形される。通常、バインダーはガスを吸着する性質がないため、工業的に使用されている吸着剤の吸着性能は、ゼオライト結晶粉末の吸着性能よりもバインダーを含有している量だけ低下してしまう。成形されたゼオライト吸着剤においても吸着性能を低下させないために、バインダー成分はゼオライト結晶へ転化(バインダレス化)される。
【0022】
高純度のバインダレス低シリカX型ゼオライトは以下のようにして得ることができる。低シリカX型ゼオライトの粉末としては、特開平11−217212号公報、特開平10−310422号公報、特開平11−343112号公報などに記載されている方法で製造されたものを用いることができる。このゼオライト粉末100重量部に対し、カオリン質粘土を10〜50重量部、水分量を調節しながら均一に混練する。用いられるバインダーとしては低シリカX型ゼオライトへ転化できるカオリン質粘土が用いられる。カオリン質粘土の添加部数が少な過ぎる場合は十分な成形体の強度が得られず、多過ぎる場合は結晶化が十分進行せず、低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライト純度が低下する。混練物の調節すべき水分量は、カオリン質粘土の添加部数およびその後の造粒方法により異なる。また混練物の造粒性を高めるために、その後の焼成、バインダレス化に著しい悪影響を及ぼさない範囲で有機系、無機系の各種造粒助剤を添加してもよい。得られた混練品は種々の造粒方法により造粒する。たとえば、押出し造粒法によるペレット造粒、あるいは攪拌造粒法や転動造粒法によるビーズ造粒が挙げられる。
【0023】
得られた造粒物を乾燥後、500〜700℃好ましくは600〜650℃で焼成して、低シリカX型ゼオライト含有成形体を得る。焼成は添加したカオリン質粘土のその後のバインダレス化による低シリカX型ゼオライトへの変質を容易にするために必須である。焼成によりカオリン質粘土は非晶質のメタカオリンに変化し、低シリカX型ゼオライトへの変質が容易になる。乾燥、焼成は通常の方法、例えば熱風乾燥機、マッフル炉、ロータリーキルン、管状炉等を用いて実施することができる。
【0024】
本発明に用いる高純度の低シリカX型ゼオライトは、以上のようにして得られた低シリカX型ゼオライト含有成形体と、低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSiの溶解量がAlの溶解量よりも多い苛性溶液と接触させる、あるいは、予めAl分を添加した苛性溶液と接触させることを特徴とする。例えば使用する苛性溶液は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合溶液が好ましい。水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合割合は、K/(Na+K)=0.1〜0.4が好ましい。0.1以下でも0.4以上でもバインダレス化が不十分で、A型ゼオライト、ソーダライト、F型ゼオライトおよびE型ゼオライト等の不純物が生成しやすく、低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライトの含有率が低下するため好ましくない。
【0025】
低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSiの溶解量がAlの溶解量よりも多い苛性溶液とは、例えばアルミネートの溶解度よりもシリケートの溶解度の方が高い状態の苛性溶液である。溶液の溶解度は、溶液の組成や濃度および温度によって異なるため、バインダレス化の温度により、使用すべき苛性溶液の組成と濃度が異なる。
【0026】
バインダレス化の温度としては40℃以上で実施でき、温度が高いほどバインダレス化の速度には有利であるが、メタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質は発熱反応であること、使用する装置材料の温度限界や不純物の生成の抑制等を考慮すると70〜80℃が好ましい。
【0027】
したがって、この温度領域でかつ上記のような水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合割合の場合、アルミネートの溶解度よりもシリケートの溶解度の方が高い状態の苛性溶液とは、約6モル/リットル以上であり、苛性溶液の濃度が高ければ高いほどこの度合いは高まり、好ましくは約8モル/リットル以上がその効果が著しくなり、バインダレス化の速度には有利であるため好ましい。苛性溶液の濃度が6モル/リットル付近の場合でも、バインダレス化の処理時間が短い場合には、バインダレス化の進行が不十分となり、苛性溶液の濃度が高くなるほど短時間でバインダレス化が十分に進行するため好ましい。したがって、バインダレス化に必要な時間としては、苛性溶液の濃度が6モル/リットル以上の場合には、少なくとも10時間以上、8モル/リットル以上の場合には、少なくとも5時間以上の接触時間が必要とされる。
【0028】
また予めAl分を添加した苛性溶液とは、例えば、アルミン酸ナトリウムのような水溶性Al分を添加した苛性溶液や、低シリカX型ゼオライトやカオリン質粘土その他固体のAl分を添加した苛性溶液であり、メタカオリンが低シリカX型ゼオライトに変質する際に、積極的にAl分を取り込むような状態であれば、固体その他Al分の形態については限定しない。また、バインダレス化に一度以上使用した苛性溶液を再利用することも好ましい。したがってこの様な予めAl分を添加する場合は、予めAl分を添加しない場合に比較して、苛性溶液の濃度は低くても同様の効果が生じるため、バインダレス化の進行は十分となる。
【0029】
苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量としては、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土が全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の5倍以上が必要とされる。特に、低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライトの含有率を高く、迅速にバンダレス化するためには10倍以上が好ましい。
【0030】
ただし30倍以上にすると、苛性溶液へのAl分、Si分の溶解量が増して、強度が低下、苛性溶液の使用量が多いためにコストが高くなるなどのため好ましくない。
【0031】
低シリカX型ゼオライト含有成形体と苛性溶液との接触方法は特に限定しないが、低シリカX型ゼオライト含有成形体を固定床カラムに充填して、苛性溶液を循環流通させることが簡便で効率がよい。
【0032】
さらに本発明の吸着剤を二酸化炭素の吸着分離に使用するには、上記の方法で得られた高純度低シリカX型ゼオライト成形体は、好ましくは90%以上のリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換され、更に好ましくは95%以上のリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換される。最も好ましくは90%以上のナトリウムでイオン交換されることによって、最も高い二酸化炭素選択性が選られる。ゼオライト中のカチオンは吸着分離において、吸着選択性を左右する重要な因子の一つである。例えば空気を極低温まで冷却して分離する深冷分離において、前処理として空気中の二酸化炭素を吸着除去する場合、低シリカX型ゼオライト吸着剤と混合ガスを接触させる時の圧力は一般的には約5〜10気圧である。この場合、空気中の二酸化炭素濃度が約300ppmであることから分圧は約1〜2.5mmHg程度であるが、共存する窒素は濃度が約78%であり、分圧は約4〜8気圧となり多量存在することになり、ゼオライトとの相互作用が窒素よりも二酸化炭素はかなり大きいにも関わらず、二酸化炭素の吸着量は共存する窒素により低下することになる。このため例えば空気中の二酸化炭素を吸着除去するための吸着剤としては、低分圧での二酸化炭素の吸着量が多く、共存する窒素によりその吸着量が低下する割合が小さい吸着剤が好ましく用いられる。
【0033】
バインダレス化された高純度低シリカX型ゼオライト成形体をイオン交換する方法は、バッチ法、カラム流通法など通常知られた方法で行なうことができる。イオン交換する時の温度、溶液の濃度は任意な条件で行うことができるが、温度は高いほうがイオン交換平衡あるいは速度において有利であり、50℃以上が好ましく用いられる。溶液の濃度も高いほうがイオン交換には有利であり、通常は1モル/リットル以上の濃度の溶液が用いられる。イオン交換に用いられる化合物は水溶液として容易に提供できるものであれば特に制限はなく、例えば塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩などを用いることができる。また例えばリチウムはナトリウムに比べて高価なため、一度イオン交換に用いた溶液から、不純物を除去して回収した溶液をイオン交換液として用いることもできる。
【0034】
なおイオン交換を行う前のバインダレス化された高純度低シリカX型ゼオライト成形体には、交換可能なカチオンとして、通常ナトリウムおよびカリウムが存在する。このためこの成形体をリチウム及び/又はナトリウムでイオン交換した場合は、これらの最初から存在しているカチオンが残存する可能性がある。このように、イオン交換前に存在するカチオンがイオン交換後に残存しても、本発明の吸着剤として使用することができる。またリチウム及び/又はナトリウム以外のカチオンとしてカルシウム、マグネシウムの2価イオン、亜鉛など遷移金属イオンが交換されている吸着剤も用いることができる。
【0035】
イオン交換後は、ある程度乾燥して、500〜550℃で除湿空気または窒素流通下で焼成活性化を施すことにより吸着剤として使用することができる。
【0036】
以上のような方法により得られた高純度の低シリカX型ゼオライト成形体は、従来技術で得られる低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体より著しく耐圧強度が向上しており、粒子径1.4〜1.7mmの範囲の粒子で1.0kgf以上の平均耐圧強度を達成することができ、工業的にも十分使用することができる。
【0037】
また本発明に使用する吸着剤の場合、二酸化炭素の平衡吸着量が大きいことに加えて、吸脱着速度が速い吸着剤が好ましい。例えば空気中の二酸化炭素を吸着除去する場合の吸脱着速度は、一般にゼオライト吸着剤のマクロ細孔構造に影響される。マクロ細孔はゼオライト結晶粒子間に形成される細孔であり、粒子内の物質移動速度を左右するため、細孔容積および細孔直径は大きい方が好ましい。上記の方法により得られた高純度のバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体は、細孔容積が0.25cc/g以上で、平均細孔直径が0.35μm以上を達成することができ、吸着剤が本来有する吸着性能を低下させることがない物質移動速度が得られる。細孔容積、平均細孔直径がこれらより小さい場合は、十分な物質移動速度が得られず、吸着剤本来の性能が得られない。
【0038】
成形体はビーズあるいはペレットなどの形状のものを用いることができ、その平均粒子径は0.5〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmの範囲内のものである。平均粒子径が3mmより大きい場合、充填層単位体積当りの表面積が小さくなり、粒子内の物質移動速度が小さくなるため、好ましくない。平均粒子径が0.5mmより小さい場合、充填層の圧力損失が大きくなりすぎて、電力原単位が悪化し、好ましくない。平均粒子径は一般的な方法で測定することができ、篩い分けによる方法、あるいはガス流通時の圧力損失とエルガン式から求める方法などを用いることができる。
【0039】
上記の高純度のバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体は、圧力を上下させて分離を行なう圧力スイング法、温度を上下させて分離を行なう温度スイング法、あるいは圧力スイングと温度スイングの両方を行なうことにより分離を行なう圧力−温度スイング法により二酸化炭素を吸着分離する場合に有効に使用することができる。特に上記の高純度のバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を用いて二酸化炭素の吸着分離を行なった場合、二酸化炭素の選択性が高く、分離装置の小型化、電力源単位の低減が可能である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお各評価は以下に示した方法によって実施した。
(1)化学組成の測定方法
試料を硝酸とフッ酸を用いて完全に溶解した後、ICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、型式optima3000)を用い、各種金属イオンの濃度を同定し、イオン等量比、例えばLiイオン、Naイオン、Kイオンが含まれるゼオライト中のLiイオンの等量比を求める場合は、Li/(Li+Na+K)として算出した。
(2)結晶構造の測定方法
X線回折装置(マックサイエンス社製、型式MXP−3)を用いて測定した。
(3)水分平衡吸着量の測定方法
60℃以上で乾燥した試料を温度25℃、相対湿度80%のデシケーター中で16時間以上放置し、900℃1時間強熱し測定した。すなわち、水分吸着後の重量をX1,これを900℃1時間強熱した後の重量をX2とし、水分平衡吸着量(%)は、以下式から求めた。
【0041】
水分平衡吸着量(%)={(X1−X2)/X2}/100
(4)吸着容量
日本ベル社製 BELSORP 28SAおよびBELSORP HPにより25℃あるいは40℃における二酸化炭素吸着量および窒素吸着量を測定した。なお前処理として350℃、2hの真空活性化(1×10−3mmHg以下)を行なった。それぞれの吸着等温線をDual−Site Langmuir式(Ind.Eng.Chem.Res.1996,35,2477−2483)で近似した。
【0042】
得られた吸着等温線を用いて2mmHgでの二酸化炭素の単成分での吸着量、及び理想溶液理論(A.I.Ch.E.J.1965,11,121−127)により、二酸化炭素−窒素の2成分系における2mmHgでの二酸化炭素の吸着量と二酸化炭素の選択性を算出した。二酸化炭素選択性はPを全圧、Y1を二酸化炭素モル分率、X1をY1での二酸化炭素吸着量、Y2を窒素モル分率、X2をY2での窒素吸着量として以下の式により算出した。なおここではPは6.239気圧、Y1は0.00042、Y2は0.99958として算出した。
【0043】
二酸化炭素選択性(−)=(X1/PY1)/(X2/PY2)
(5)マクロ細孔容積及び平均細孔直径
水銀圧入式ポロシメーター(マイクロメリティクス社製、型式:ポアサイザー9310)を用い、活性化した吸着剤を1〜30,000psiの圧力範囲(60Å〜200μmの範囲の細孔直径)により測定した。
(6)平均耐圧強度の測定方法
JIS−R−1608に記載の試験方法を参考とし、木屋式デジタル硬度計(藤原製作所製、型式KHT−20N)を用い、常温、常圧の雰囲気にて、検体である活性化した成形体を一定速度(1mm/秒)で加圧板(ステンレス製、直径5mm)を押しつけて圧縮負荷を加えた時、成形体が耐える事ができる最大荷重(単位:kgf)を測定した。結果は測定値25個の単純平均値で示す。耐圧強度は粒子径により依存性があるため、測定試料は篩い分けにより粒子径を1.4〜1.7mmに揃えたものを測定した。
【0044】
実施例1
まず、低シリカX型ゼオライト粉末を以下の手順により合成した。
【0045】
内容積20リットルのステンレス製反応容器にケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O=3.8重量%、SiO2=12.6重量%)10770g、水1330g、水酸化ナトリウム(純度99%)1310g、工業用水酸化カリウム水溶液(純度48%)3630gを入れ100rpmで攪拌しながらウォーターバスを用い45℃に保った。この溶液に40℃に保ったアルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、Al23=22.5重量%)5390gを1分かけて投入した。投入直後より白濁しゲル化が始まった。投入終了直前、ゲル全体の粘度は上昇し、反応容器上部でスラリーの部分的停滞が生じたものの約3分後には全体が均一に流動化した。スラリー全体が流動化した時点で低シリカX型ゼオライト粉末(強熱減少量22.5%)4.22gを少量の水に分散し添加した。このとき加えた低シリカX型ゼオライトの量は、生成する低シリカX型ゼオライトに対し0.1重量%である。添加終了後のスラリーの組成は、3.39Na2O・1.31K2O・1.90SiO2・Al23・74.1H2Oであり、理論的に生成する低シリカX型ゼオライト濃度としては14.7重量%である。このまま100rpmで攪拌を継続し、45℃で4時間熟成を行なった。熟成後、攪拌を継続しながら1時間かけて70℃に昇温した。昇温後、攪拌を停止し、70℃で8時間結晶化を行なった。得られた結晶をろ過し、純水で十分に洗浄した後、70℃で1晩乾燥した。
【0046】
得られた低シリカX型ゼオライト粉末は、X線回折の結果フォージャサイト型ゼオライト単相であり、また組成分析の結果、このものの化学組成は0.72Na2O・0.28K2O・Al23・2SiO2、SiO2/Al23モル比は2.0、水分平衡吸着量は33.5%であった。
【0047】
このLSX粉末100重量部に対し,SiO2/Al23モル比が2.0のカオリン粘土(ドライブランチカオリン社製、製品名ハイドライトPXN)20重量部をミックスマラー混合機(新東工業社製、型式MSG−15S)で15分間混合後、必要量の水を15分間で投入し、その後1.5時間混練した。得られた混練物の水分量は約38重量%であった。
【0048】
この混練物を羽根攪拌式造粒機ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製、型式FM/I−750)で平均粒子径1.6mm(粒径範囲1.2〜2.0mm)のビーズ状に攪拌造粒成形し、マルメライザー成形機(不二パウダル社製、型式Q−1000)を用いて整粒した後、60℃で1晩乾燥した。ついで管状炉(アドバンテック社製)を用いて空気流通下において、600℃で3時間焼成して造粒物中のカオリンをメタカオリン化して低シリカX型ゼオライト含有成形体を得た。
【0049】
この低シリカX型ゼオライト含有成形体を内容積13リットルのSUS304製カラムに9.0kg充填し、40℃の純水で洗浄した。洗浄の後、40℃の苛性溶液25.2リットル(NaOH:7.2モル/リットル、KOH:2.8モル/リットル)をカラムの下方から560cc/分で3時間循環流通した。その後、苛性液を循環通液しながら温度を40℃から70℃に昇温し、そのまま6時間循環通液により結晶化させた。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の18倍であった。
【0050】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.4%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は99.7%であった。X線回折の結果からもフォージャサイト型ゼオライト単相であり、不純物に由来する回折線は確認されなかった。
【0051】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを約11に調整した塩化リチウム水溶液と接触させイオン交換を行ない、Li型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は98.3%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.3%と0.4%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。
【0052】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。また細孔容積と平均細孔直径を水銀圧入法により測定した結果を表2に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.7kgfであった。
【0053】
実施例2
実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、炭酸リチウムを塩酸で溶解して得た塩化リチウム溶液(pH約7)を水酸化リチウムでpHを約11に調整した水溶液と接触させイオン交換を行ない、Li型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は95.3%、Naイオン交換率は2.3%、Kイオン交換率は1.7%、Mgイオン交換率は0.3%、Caイオン交換率は0.4%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。
【0054】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.5kgfであった。
【0055】
実施例3
実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化ナトリウムでpHを約11に調整した塩化ナトリウム水溶液と接触させイオン交換を行ない、Na型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このNa型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Naイオン交換率は97.9%、Kイオン交換率は2.1%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。
【0056】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.5kgfであった。
【0057】
実施例4
実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、炭酸ナトリウム水溶液と接触させイオン交換を行ない、Na型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このNa型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Naイオン交換率は95.6%、Kイオン交換率は3.6%、Mgイオン交換率は0.3%、Caイオン交換率は0.5%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。
【0058】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.4kgfであった。
【0059】
比較例1
カオリンを30重量部とし、実施例1と同様の操作で低シリカX型ゼオライト含有成形体を得た。その成形体を内容積3.1リットルのポリプロピレン製カラムに2.2kgに充填した。苛性溶液8.1リットル(NaOH:2.2モル/リットル、KOH:0.9モル/リットル)を用いて、実施例1と同じ要領によりバインダレス化処理した。なお、この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の7.5倍であった。
【0060】
その後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は30.5%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は91%であることが確認された。X線回折の結果では、フォージャサイト型ゼオライトに由来する回折線以外に、A型ゼオライトに由来する回折線が確認された。このバインダレス低シリカX型ゼオライトを実施例1と同じ要領でLiイオン交換し、化学分析をした結果、Liイオン交換率は97.9%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.9%と0.2%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。
【0061】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。また細孔容積と平均細孔直径を水銀圧入法により測定した結果を表2に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.4kgfであった。
【0062】
実施例5
実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを約11に調整した塩化リチウム水溶液と接触させイオン交換を行ない、Li型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は86.0%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ10.7%と3.3%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。なおCaとMgは検出されなかった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。
【0063】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.5kgfであった。
【0064】
実施例6
実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をイオン交換しないで、(Na,K)型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。この(Na,K)型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Naイオン交換率は74.5%、Kのイオン交換率は25.5%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。なおCa、Mgは検出されなかった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。
【0065】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は1.4kgfであった
比較例2
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、苛性濃度3.0モル/リットル苛性溶液16.2リットル(NaOH:2.2モル/リットル、KOH:0.8モル/リットル)で実施例1と同じ方法によりバインダレス化を行った。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の7.5倍であった。
【0066】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は30.5%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は91.0%であった。X線回折の結果では、フォージャサイト型ゼオライトに由来する回折線以外にA型ゼオライトに由来する回折線が確認された。
【0067】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を実施例3と同じ方法でナトリウムイオン交換を行った。このNa型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Naイオン交換率は96.5%、Kイオン交換率は3.5%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。
【0068】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。粒子径1.4〜1.7mmの平均耐圧強度は0.6kgfであった。
【0069】
実施例7
実施例1と同様にして得た低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化カルシウムでpHを約11に調整した塩化カルシウム水溶液と接触させイオン交換を行ない、Ca型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このCa型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Caイオン交換率は94.4%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ3.5%と2.1%、SiO2/Al23モル比は2.0であった。なおMgは検出されなかった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。
【0070】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス吸着剤の二酸化炭素及び窒素の吸着量を測定した。上記の条件で2成分系での二酸化炭素吸着量および選択性を表1に示す。
【0071】
比較例3
従来から二酸化炭素の吸着分離に使用されているバインダレスNaXゼオライト(SiO2/Al23モル比2.5:東ソー株式会社製)の吸着量を測定し、結果を表1に示した。なおこのバインダレスNaXは、X線回折の結果からもフォージャサイト型ゼオライト単相であり、不純物に由来する回折線は確認されなかった。
【0072】
【表1】
Figure 0004873108
【表2】
Figure 0004873108

Claims (3)

  1. 二酸化炭素と二酸化炭素より極性の低いガスを含む2種以上の成分からなる混合ガスをゼオライト吸着剤と接触させて二酸化炭素を吸着分離する方法において、前記ゼオライト吸着剤が、SiO/Alモル比が1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライトとSiO/Alモル比が1.9〜2.1のカオリン質粘土を用いて成形、焼成することにより低シリカX型ゼオライト含有成形体を得、6モル/リットル以上の苛性アルカリ溶液と前記低シリカX型ゼオライト含有成形体を10時間以上接触させることにより、前記低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土を低シリカX型ゼオライトに変質させることにより製造されていることを特徴とする二酸化炭素の吸着分離方法。
  2. ゼオライト吸着剤が、6モル/リットル以上の苛性アルカリ溶液と低シリカX型ゼオライト含有成形体を10時間以上接触させる代わりに、8モル/リットル以上の苛性アルカリ溶液と低シリカX型ゼオライト含有成形体を5時間以上接触されることにより製造されていることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素の吸着分離方法。
  3. 前記ゼオライト吸着剤が、予めAl分を添加した苛性アルカリ溶液と接触さることにより製造されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素の吸着分離方法。
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