JP4830185B2 - 高純度低シリカx型ゼオライトバインダレス成形体およびそれを使用した気体分離方法 - Google Patents

高純度低シリカx型ゼオライトバインダレス成形体およびそれを使用した気体分離方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、SiO2/Al23モル比の低いX型ゼオライトのバインダー含有量の少ない成形体である低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体に関するものである。更に詳しくは、高純度で著しく高い吸着容量を有し、機械的強度に優れた、例えば窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法によって酸素を分離、濃縮するなどの目的で使用するのに適した高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体およびそれを使用した気体分離方法に関するものである。特に本発明の気体分離方法は、圧力振動吸着法(Pressure Swing Adsorption法、以下PSA法と略す)による気体分離方法に関するものであり、分離回収されるガスとしては、例えば、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガス、一酸化炭素ガスなどがある。
【0002】
中でも酸素ガスは工業ガスの中でも特に重要なガスの1つであり、製鉄、パルプ漂白などを中心に広く用いられている。特に最近では空気中の燃焼では避けられないNOx発生の低減を目的に、ごみ燃焼、ガラス溶融などの分野で酸素富化燃焼が実用化されており、環境問題の点からも酸素ガスの重要性が増大している。
【0003】
酸素ガスの工業的製法としては、PSA法、深冷分離法、膜分離法が知られているが、酸素ガスの純度およびコストにおいて有利なPSA法の比率が増大している。
【0004】
PSA法による酸素ガス製造は、空気中の窒素ガスを吸着剤に選択的に吸着させ、残った濃縮酸素ガスを抜き出し、製品として取り出す方法である。そのため用いる吸着剤としては窒素の吸着量が大きい結晶性ゼオライトが使用され、特に結晶内の細孔容積が大きいX型ゼオライトがPSA法による気体分離用吸着剤として広く使用されている。
【0005】
また、逆に選択的に吸着された窒素ガスを利用した、窒素ガスの製造も可能である。
【0006】
【従来の技術】
X型ゼオライトはY型ゼオライトとともに結晶構造的にはフォージャサイト型構造を有する合成ゼオライトであり、その中でSiO2/Al23モル比が3.0以下の比較的低いSiO2/Al23モル比を有するものが、X型ゼオライトと呼ばれている。通常、合成されたX型ゼオライトのSiO2/Al23モル比は2.5であるが、合成時にNaOHに加えてKOHを共存させることによって、そのSiO2/Al23モル比を2.0まで下げることができる。ゼオライトのSiO2/Al23モル比を下げることは、結晶中のアルミニウム原子の数が増加することであり、従って、交換可能なカチオンの数が増加することとなる。一般にゼオライトへの窒素、酸素などの分子の吸着は物理吸着と呼ばれ、この交換可能なカチオンの数が多いほどその吸着容量は増加することとなる。
【0007】
ここでは、以下SiO2/Al23モル比が2.5より低いX型ゼオライト、例えばSiO2/Al23モル比が1.9以上2.1以下のX型ゼオライトを低シリカX型ゼオライトと呼ぶこととする。低シリカX型ゼオライトの製造方法については特開昭53−8400号公報、特開昭61−222919号公報、特開平1−56112号公報、特開平10−310422号公報、特開平11−217212号公報などに記載されている。
【0008】
通常、X型ゼオライトを、吸着剤などとして工業的に利用する場合には、合成したX型ゼオライト粉末にバインダーとして粘土等を添加し、ペレットあるいはビーズのような成形体にして使用される。添加される粘土の量は20〜30部程度であり、従って、ゼオライト成形体が有する吸着容量は、ゼオライト粉末が有する吸着容量に対し、バインダーの添加分だけ減少してしまうことになる。その解決の為に、バインダーをほとんど含有しない成形体、すなわちバインダレス成形体の製造方法がこれまで提案されている。その中で、低シリカX型ゼオライト成形体に関しては、特開昭61−222919号公報、特開平5−163015号公報、特開平11−76810号公報などに記載されている。
【0009】
特開昭61−222919号公報では低シリカX型ゼオライト粉末を使用することなく、カオリンを原料とする成形体をメタカオリンに転化した後、結晶化することにより、自己結合型ゼイライトの巨視的凝結物体と呼ばれる低シリカX型ゼオライト成形体を製造する方法が記載されている。その方法によると、低シリカX型ゼオライト成形体を得る為には、多量の細孔形成物質(有機物)をカオリンの成形体製造時に添加し、加熱し、燃焼させて、多孔質のメタカオリン成形体とし、その後結晶化することが必要である。
【0010】
しかしながらこの方法では、有機物の燃焼により極めて大きな発熱を伴う結果、温度制御が難しく、成形体の細孔をうまく制御することが極めて困難であり、また、細孔形成を積極的に行なう必要があることから、得られる低シリカX型ゼオライト成形体の耐圧強度や耐摩耗強度が著しく損なわれることが問題となる。また成形体中の低シリカX型ゼオライトの純度においても不十分であり、例えば、成形体中に不純物のA型ゼオライトが混入し、低シリカX型ゼオライトの含有率が低いことなどが問題であった。
【0011】
又、その中で、従来の低シリカX型ゼオライトでは、指数111,220,331,533,642及び751+555のピーク強度が以下の順であり、
Figure 0004830185
この特許の自己結合型ゼオライトの巨視的凝結物体の同様のピーク強度が以下の順であることが記載されている。
【0012】
Figure 0004830185
特開平5−163015号公報では、SiO2/Al23モル比が2.5よりも低いX型ゼオライト粉末、メタカオリンに転化されたカオリン型粘土、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを含む成形体を、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの水溶液中で40〜100℃の温度で数時間〜数日間保持して熟成、結晶化する低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法が記載されている。
【0013】
この方法では、混合、混練、成形時に危険な苛性薬品を混合する必要があり、作業性が悪いこと、更にこの方法で得られる低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体もやはり強度が低いことが問題となる。
【0014】
また、特開平11−76810にも少なくとも95%のSiO2/Al23モル比が2である低シリカX型ゼオライト成形体について記載されている。その製造方法は、低シリカX型ゼオライト粉末をゼオライトに変換可能なカオリナイト、ハロイサイト、ナクライト、またはジッカイトに属するクレイを少なくとも80%含み、その他のクレイとして具体的にはモンモリロナイトを15%含むバインダーで凝集させ、得られた混合物を成形し、乾燥後に500〜700℃の温度で焼成し、得られた固体生成物を水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液で、水酸化ナトリウム+水酸化カリウムの合計に対して水酸化カリウムの最大含有率が30モル%である少なくとも0.5モル濃度の苛性水溶液、具体的には5.5モル/リットルの苛性溶液と95℃で数時間接触させる方法である。この方法で得られる低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体もやはり耐圧強度および耐摩耗強度が非常に低く、またA型ゼオライトの混入があり、化学分析による全体のSiO2/Al23モル比やSi−NMRによる結晶格子のSiO2/Al23モル比が低シリカX型ゼオライトの理論理想値である2.0よりも高く、特に化学分析による全体のSiO2/Al23モル比は2.08と高いことから、成形体中の低シリカX型ゼオライト純度も不十分であることも問題となる。
【0015】
低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の耐圧強度や耐摩耗強度が低いと、例えば窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法によって酸素を分離、濃縮する場合、混合ガスと低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を繰返し接触させるなどの吸着剤としての利用を行なった場合などで、成形体の破砕、剥離、欠け等が発生し、吸着剤システムの配管や弁詰り、成形体充填層の圧損の増大、あるいは製造ガスへの異物混入などによる著しいトラブルの原因となる。
【0016】
また、成形体中の低シリカX型ゼオライト純度が低いと吸着特性が悪く、特にA型ゼオライトは酸素の吸着量が高いため、窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法によって酸素を分離、濃縮する場合には、A型ゼオライトの混入は特に吸着特性を悪化させてしまう。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は以上のような困難を回避し、低シリカX型ゼオライトの含有率が高く、耐圧強度および耐摩耗強度が非常に高い、吸着性能の優れた高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、簡単で迅速で効率よく提供することであり、さらには、その高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を吸着剤として利用することにより、窒素と酸素を含有する混合気体から、窒素を効率よく吸着分離させる気体分離方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の特性やその製造における各因子について鋭意検討を行ない本願発明に至った。
【0019】
即ち、本発明の要旨は、X線回折において、フォージャサイト型ゼオライトの指数220に帰属されるピーク強度が指数311のピーク強度よりも強く、交換可能なカチオン部位の約60%から約90%がナトリウムで残りの一部または全部がカリウムであるフォージャサイト型ゼオライトの指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順であり、
Figure 0004830185
交換可能なカチオン部位の一部または全部をリチウムにイオン交換したフォージャサイト型ゼオライトの指数111,642,331,533,751+555,220及び311のピーク強度が以下の順であり、
Figure 0004830185
更に、本願発明が規定する、SiO2/Al23モル比が2.00±0.05で、低シリカX型ゼオライトの含有率が95%以上好ましくは98%以上であるり、Si−NMR測定によるSi−3Alに帰属されるピーク強度とSi−4Alに帰属されるピーク強度の比が
{(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)}<0.1
であることを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又はイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体であり、さらに、粒径として1.4〜1.7mmに分級した粒子を代表として測定した耐圧強度の平均値が0.7kgf以上好ましくは1.0kgf以上であることを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又はイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体である。
【0020】
また、その製造方法として、原料としてSiO2/Al23モル比が1.9以上2.1以下の低シリカX型ゼオライトとSiO2/Al23モル比が1.9以上2.1以下のカオリン質粘土を混合、混練、成形、焼成することにより低シリカX型ゼオライト含有成形体を得、該低シリカX型ゼオライト含有成形体を苛性溶液と接触させることにより、該低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土の一部または全部を低シリカX型ゼオライトに変質させることにより、原料の低シリカX型ゼオライトのSiO2/Al23モル比よりも小さいSiO2/Al23モル比を有する低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体にすることを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又はイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法であり、特に、該低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSi分の溶解量がAl分の溶解量よりも多い苛性溶液あるいは、予めAl分を添加した苛性溶液と該低シリカX型ゼオライト含有成形体を接触させることを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又はイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法、並びに、その成形体を窒素吸着剤として利用した、窒素と酸素を含有する混合気体から窒素を吸着分離させる気体分離方法に関する発明である。
【0021】
以下に、本願発明を詳細に説明する。
【0022】
低シリカX型ゼオライト含有成形体が苛性溶液と接触すると、低シリカX型ゼオライト含有成形体に含まれる反応性の高いメタカオリンが苛性溶液中のナトリウムやカリウムを取り込みながら低シリカX型ゼオライトに変質して低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体となる。このメタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質のメカニズムは定かではないが、バインダレス化の過程で苛性溶液にはかなりの量のAl分やSi分が一時的に溶出し、溶出したAl分やSi分は苛性溶液中でアルカリ金属を取り込みながら微細な低シリカX型ゼオライトのクラスターとなり、その後再び低シリカX型ゼオライト含有成形体上に付着、析出することによりバインダレス化が進行するものと推測する。
【0023】
本発明者らは、このバインダレス化の過程で成長する低シリカX型ゼオライトの結晶成長面に着目し、フォージャサイト型ゼオライトのX線回折において、指数220に帰属されるピーク強度が指数311のピーク強度よりも強くなるように、バインダレス化条件を最適化することにより、従来得ることができなかった低シリカX型ゼオライトの含有率や結晶性が著しく向上した高強度の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得るに至った。低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の純度や強度は、メタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質過程で、低シリカX型ゼオライトが本来有するべきSiO2/Al23モル比を理論理想値である2.0に如何に近づけるか、生成する低シリカX型ゼオライトの結晶性を如何に高めるか、および、不純物を如何に混入あるいは生成させないかが重要であり、これらの目標を実現した高強度で高純度の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体として、X線回折において、フォージャサイト型ゼオライトの指数220に帰属されるピーク強度が指数311のピーク強度よりも強く、交換可能なカチオン部位の約60%から約90%がナトリウムで残りの一部または全部がカリウムであるフォージャサイト型ゼオライトの指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順であり、
Figure 0004830185
交換可能なカチオン部位の一部または全部をリチウムにイオン交換したフォージャサイト型ゼオライトの指数111,642,331,533,751+555,220及び311のピーク強度が以下の順であり、
Figure 0004830185
本願発明のSiO2/Al23モル比が2.00±0.05で、低シリカX型ゼオライトの含有率が95%以上好ましくは98%以上である高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を上記の様に、X線回折のピーク強度順位で規定するだけでなく、Si−NMR測定によるSi−3Alに帰属されるピーク強度とSi−4Alに帰属されるピーク強度の比が以下の関係で表現されることによっても規定した。
【0024】
{(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)}<0.1
本願発明の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体が、低シリカX型ゼオライトの純度が非常に高く、かつ結晶性が非常に高いため、吸着容量が非常に高く、また非常に高強度であり、特に、交換可能なカチオン部位の一部または全部をリチウムにイオン交換した場合、例えば窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法によって酸素を分離、濃縮する等の吸着剤として使用すると、従来の方法による低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体と比較して飛躍的に性能が向上することを見出した。
【0025】
本発明者らは、メタカオリンの低シリカX型ゼオライトへ変質させるバインダレス化の過程において、苛性溶液中に溶出したAl分やSi分の挙動が、得られる低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の純度や結晶性および強度に大きく影響し、例えば窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法よって酸素を分離、濃縮するなどの目的で吸着剤として使用した際には、その性能に著しく影響を与えることに着目し、鋭意検討した結果、本願発明をするに至った。
【0026】
本発明者らは、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のメタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質過程で、SiO2/Al23モル比を理論理想値である2.0に近づけること、および、メタカオリンが不純物に変換しないことは、接触させる苛性溶液のAl分とSi分の溶解挙動と著しく関係することを見出して、本発明をするに至った。
【0027】
本発明者らが見出した、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のメタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質過程で、SiO2/Al23モル比を理論理想値である2.0に近づける、および、メタカオリンが不純物に変換しないような、Al分とSi分の溶解挙動を有する苛性溶液とは、低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSi分の溶解量がAl分の溶解量よりも多い苛性溶液、あるいは、予めAl分を添加した苛性溶液である。このような苛性溶液を使用して、バインダレス化をすることにより、メタカオリンが積極的にAl分を取り込みながら、高効率で高純度の低シリカX型ゼオライトに変質することが可能となり、結果として従来技術では得られなかった高強度高純度の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体が得られる。
【0028】
本願発明を更に詳細に説明する。
【0029】
本願発明で使用する低シリカX型ゼオライト粉末は、特開昭53−8400号公報、特開平1−56112号公報、特開平10−310422号公報、特開平11−217212号公報などに記載されている方法で製造すればよい。
【0030】
例えば、特開昭53−8400号公報にはナトリウム、カリウム、アルミネートおよびシリケートの各イオンを含有する溶液を混合し、下記の組成の混合物を得、約50℃の温度で結晶化が完了するまでの十分な時間結晶化させることにより低シリカX型ゼオライト粉末を得る方法が開示されている。
【0031】
Figure 0004830185
さらに特開平11−217212号公報には、アルミネートを含む溶液とシリケートを含む溶液を混合し、ゲル化し、その後、熟成、結晶化を行なうことにより低シリカX型ゼオライト粉末を製造するに際し、生成するゼオライトとは別に熟成終了までにゼオライトを加えることにより高純度な低シリカX型ゼオライト粉末を大規模で短時間に効率良く製造する方法が記載されている。
【0032】
このような方法により得られたSiO2/Al23モル比が1.9以上2.1以下の低シリカX型ゼオライト粉末100重量部に対し、SiO2/Al23モル比が1.9以上2.1以下のカオリン質粘土を10〜50重量部、好ましくは15〜25重量部および水を十分に混合し、水分量を調節しながら均一に混練する。低シリカX型ゼオライト粉末とカオリン質粘土の混合は、水を添加する前の乾燥状態である程度行なった後、必要量の水を添加して混合、混練を行なうことが、均一な混練物を得るために効果的であり、好ましい。カオリン質粘土の添加部数が少な過ぎる場合は十分な成形体の強度が得られず、多過ぎる場合は結晶化が十分進行せず、低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライト純度が低下する。混練物の調節すべき水分量は、カオリン質粘土の添加部数およびその後の造粒、成形方法により異なる。カオリンの添加部数が少ない場合は水分を多めに、多い場合は少なめに調節することが必要となる。これはゼオライトの吸湿量がカオリン質粘土の吸湿量よりも大きいため、造粒、成形に適する混練物の物性を得るための水分量がカオリン質粘土の添加部数により異なるためであり、また造粒、成形方法により造粒、成形に適する混練物の物性も異なるためである。混練物の造粒性、成形性を高めるために、その後の焼成、バインダレス化に著しい悪影響を及ぼさない範囲で有機系、無機系の各種造粒成形助剤を添加してもよい。
【0033】
得られた混練品は種々の造粒、成形方法により造粒、成形する。たとえば、押出し造粒法によるペレット造粒、あるいは攪拌造粒法や転動造粒法によるビーズ造粒、更には膜状の成形物や、ハニカム構造を有するモノリス成形体などが挙げられる。
【0034】
得られた造粒物、成形物を乾燥後、500〜700℃好ましくは600〜650℃で焼成して、低シリカX型ゼオライト含有成形体を得る。焼成は添加したカオリン質粘土のその後のバインダレス化による低シリカX型ゼオライトへの変質を容易にするために必須である。焼成によりカオリン質粘土は非晶質のメタカオリンに変化し、低シリカX型ゼオライトへの変質が容易になる。乾燥、焼成の方法としては造粒物、成形物の熱処理により発生した系内の水分が著しく滞らない構造であれば、通常の方法により実施することができ、例えば熱風乾燥機、マッフル炉、ロータリーキルン、管状炉等を用いて実施することができる。
【0035】
本願発明では、以上のようにして得られた低シリカX型ゼオライト含有成形体と、低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSiの溶解量がAlの溶解量よりも多い苛性溶液と接触させる、あるいは、予めAl分を添加した苛性溶液と接触させることを特徴とする。例えば使用する苛性溶液は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合溶液が好ましい。水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合割合は、モル比で、K/(Na+K)=0.1〜0.4が好ましい。0.1以下でも0.4以上でもバインダレス化が不十分で、A型ゼオライト、ソーダライト、F型ゼオライトおよびE型ゼオライト等の不純物が生成しやすく、低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライトの含有率が低下するため好ましくない。
【0036】
低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSi分の溶解量がAl分の溶解量よりも多い苛性溶液とは、例えばAl分の溶解度よりもSi分の溶解度の方が高い状態の苛性溶液である。溶液の溶解度は、溶液の組成や濃度および温度によって異なるため、バインダレス化の温度により、使用すべき苛性溶液の組成と濃度が異なる。
【0037】
バインダレス化の温度としては40℃以上で実施でき、温度が高いほどバインダレス化の速度には有利であるが、メタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質は発熱反応であること、使用する装置材料の温度限界や不純物の生成の抑制等を考慮すると70〜80℃が好ましい。
【0038】
したがって、この温度領域でかつ上記のような水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合割合の場合、Al分の溶解度よりもSi分の溶解度の方が高い状態の苛性溶液とは、約6モル/リットル以上であり、苛性溶液の濃度が高ければ高いほどこの度合いは高まり、好ましくは約8モル/リットル以上がその効果が著しくなり、バインダレス化の速度には有利であるため好ましい。図2および図3に70℃におけるK/(Na+K)モル比=0.28の10モル/リットルの苛性溶液中のSi分とAl分の溶解度およびそれぞれの溶解度に基づく苛性溶液中のSi/Alモル比を示す。図2および図3から、苛性溶液の濃度が高ければ高いほど、Si分の溶解度がAl分の溶解度よりも大きくなることが理解できるが、濃度が6モル/リットル付近では、その効果が小さいため、バインダレス化の処理時間が短い場合には、バインダレス化の進行が不十分となり、フォージャサイト型ゼオライトのX線回折において、指数220に帰属されるピーク強度が、指数311に帰属されるピーク強度よりも弱くなりやすく、メタカオリンの低シリカX型ゼオライトへの変質の進行も遅い。一方で、苛性溶液の濃度が高くなるほど、その効果が大きく、短時間でバインダレス化が十分に進行、結晶性も高まるため好ましい。
【0039】
したがって、バインダレス化に必要な時間としては、苛性溶液の濃度が6モル/リットル以上の場合には、少なくとも10時間以上、8モル/リットル以上の場合には、少なくとも5時間以上の接触時間が必要とされる。
【0040】
また予めAl分を添加した苛性溶液とは、例えば、アルミン酸ナトリウムのような水溶性Al分を添加した苛性溶液や、低シリカX型ゼオライトやカオリン質粘土その他固体のAl分を添加した苛性溶液であり、メタカオリンが低シリカX型ゼオライトに変質する際に、積極的にAl分を取り込むような状態であれば、固体その他Al分の形態については限定しない。また、バインダレス化に一度以上使用した苛性溶液を再利用することも好ましい。したがってこの様な予めAl分を添加する場合は、予めAl分を添加しない場合に比較して、苛性溶液の濃度は低くても同様の効果が生じるため、バインダレス化の進行は十分となる。
【0041】
苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量としては、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土が全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の5倍以上が必要とされる。特に、低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体中の低シリカX型ゼオライトの含有率を高く、迅速にバンダレス化するためには10倍以上が好ましく、15〜20倍が更に好ましい。カオリン質粘土の全てが低シリカX型ゼオライトに変質するに足る苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量とは、カオリン質粘土中のAl分と当量の水酸化アルカリ金属の量に相当する。
【0042】
ただし30倍以上にすると、苛性溶液へのAl分、Si分の溶解量が増して、強度が低下、苛性溶液の使用量が多いためにコストが高くなるなどのため好ましくない。ただし、バインダレス化に一度以上使用した苛性溶液のように、予め十分な量のAl分、Si分が溶解した苛性溶液の場合はその限りではない。
【0043】
低シリカX型ゼオライト含有成形体と苛性溶液との接触方法は特に限定しないが、低シリカX型ゼオライト含有成形体を固定床カラムに充填して、苛性溶液を循環流通させることが簡便で効率がよい。
【0044】
以上のようなバインダレス化により、交換可能なカチオン部位の約60%から約90%がナトリウムで残りがカリウムである低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体が得られる。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体は洗浄し、そのままあるいは必要により交換可能なカチオン部位の一部または全部を、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属カチオン、カルシウム等のアルカリ土類金属カチオン、その他遷移金属カチオンおよび/またはこれらの混合物にイオン交換する。特に窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法によって酸素を分離、濃縮するなどの目的で使用する場合には、交換可能なカチオン部位の一部または全部をリチウムにイオン交換する。すなわち、リチウムのイオン交換率は所望のイオン交換率まで、例えば50%以上、好ましくは80%以上、更に好ましく95%以上にリチウムにイオン交換する。その後、ある程度乾燥して、500〜550℃で除湿空気または窒素流通下で焼成活性化を施すことにより各種吸着剤として使用することができる。以上のような方法により、焼成活性化後の吸着容量や耐圧強度および対摩耗強度として、従来技術で得られる低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体より著しく向上した、従来は得る事ができなかった高純度、高結晶性で且つ高強度の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を迅速に、効率良く得ることができる。
【0045】
以上の工程により得られた高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体は、混合気体中の易吸着成分を吸着させて分離濃縮を行なう吸着分離のための吸着剤用途、例えば空気中の窒素を選択的に吸着させ濃縮酸素ガスを回収する用途に用いることができる。PSA法により空気中の酸素を濃縮回収する場合には、空気を吸着剤として使用する低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の充填層と接触させて窒素を選択的に吸着させ、濃縮酸素を充填層出口から回収する吸着工程と、空気と充填層の接触を中断し充填層内を減圧にして吸着した窒素を脱着させ排気する再生工程と、吸着工程で得られた濃縮酸素により充填層内を加圧する復圧工程からなる一連の工程により運転される。空気分離用のPSA装置を構成する吸着塔の数は複数であり、通常2塔あるいは3塔である。原料空気はブロワーあるいはコンプレッサーから供給されるが、空気中の水分は窒素の吸着を阻害するため充填層に導入する前に水分を除去する必要がある。原料空気の脱湿は通常、露点−50℃以下まで行われる。原料空気の温度は吸着剤の性能と密接な関係があり、吸着剤の性能が十分引き出せるように加温あるいは冷却されることもあるが、通常は15〜35℃程度の温度である。
【0046】
吸着工程の吸着圧力は高いほうが窒素の吸着量は増加する。原料空気を供給するブロワーあるいはコンプレッサーにかかる負荷を考慮すると、吸着圧力としては600Torr以上1520Torr以下が好ましい。
【0047】
再生工程の再生圧力は吸着圧力より低ければ可能であるが、より低いほうが、より多くの窒素を脱着させることができ好ましい。より低い再生圧力を得るために、真空ポンプを使用することもできる。その場合、真空ポンプにかかる負荷を考慮すると、再生圧力としては100Torr以上400Torr以下が好ましい。
【0048】
復圧工程は吸着工程で得られた濃縮酸素ガスを使用するため、復帰圧力が高い場合は製品ガスとして取り出す濃縮酸素ガスの量が減少する。また復帰圧力が低い状態で吸着工程に移ると、原料空気は加圧されているため窒素が吸着剤に吸着しないで充填層の出口へ破過する恐れがある。また原料空気中の窒素が充填層出口へ破過するのを防ぐために、吸着工程が始まってから最初の1〜5秒程度は濃縮酸素を原料空気と向流となるように充填層に戻して圧力を復帰させることもできる。復帰圧力は、吸着圧力よりも低く、再生圧力よりも高い圧力が選ばれるが、上記の好ましい吸着圧力と再生圧力を設定した場合には、復帰圧力としては400Torr以上800Torr以下が好ましい。
【0049】
特に本発明の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体は、PSA法による空気分離においてより効果的である。このためPSA法による空気分離を行った場合において、濃縮酸素ガスの取り出し量および回収率が高く、PSA装置を運転する時の動力原単位を低減させることが可能である。
【0050】
【実施例】
次に本願発明を具体的な実施例により説明するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
なお実施例における各種物性の測定方法は以下の通りである。
【0052】
(1)化学組成の測定方法
試料を硝酸とフッ酸を用いて完全に溶解した後、ICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、型式optima3000)を用い、Na、K、Al、Si、Liの含有量を測定した。
【0053】
(2)結晶構造の測定方法
60℃以上で熱処理した試料を温度25℃、相対湿度80%のデシケーター中で16時間以上放置して水和した試料を、X線回折装置(フィリップス社製、型式PW−1700またはマックサイエンス社製、型式MXP−3)により、X線源として40kV、50mAで発生させたCuKα線(λ=1.5418オングストローム)を用いて、ステップサイズ0.020゜、サンプルタイム1.00秒、モノクロメーターを使用して測定した。
【0054】
フォージャサイト型ゼオライトの指数と、それに帰属されるピーク位置との関係は以下の通りである。
【0055】
Figure 0004830185
ピーク強度の比較は、ピーク高さまたはピーク面積等でできるが、本発明ではピーク高さとする。
【0056】
(3)水分平衡吸着量の測定方法
60℃以上で乾燥した試料を温度25℃、相対湿度80%のデシケーター中で16時間以上放置し、900℃1時間強熱し測定した。すなわち、水分吸着後の重量をX1,これを900℃1時間強熱した後の重量をX2とし、水分平衡吸着量(%)は、以下式から求めた。
【0057】
水分平衡吸着量(%)={(X1−X2)/X2}×100
(4)耐圧強度の測定方法
JIS−R−1608に記載の試験方法を参考とし、木屋式デジタル硬度計(藤原製作所社製、型式KHT−20N)を用い、常温、常圧の雰囲気にて、検体である焼成活性化した成形体の直径方向に一定速度(1mm/秒)で加圧板(ステレンス製、直径5mm)を押しつけて圧縮負荷を加えた時、成形体が耐えることができる最大荷重(単位:kgf)を測定した。結果は測定値25個の単純平均値で示す。耐圧強度は粒径による依存性があるため、測定試料は篩い分けにより粒径を1.4〜1.7mm(10♯〜12♯)に揃えたものを測定した。
【0058】
(5)摩耗率の測定方法
摩耗率はJIS−K−1464に記載の粒子強度の測定法に準じて算出した。
【0059】
すなわち、試料である焼成活性化した成形体を予め温度25℃、相対湿度80%のデシケーター中で16時間以上放置し、ついで、試料約70gを850μm、355μmおよび受皿をセットした篩い(東京スクリーン社製、型式JIS−Z−8801)を用いて3分間篩い分けし、ついで付着物を取り除いた前記篩いに3分間篩い分けして残った試料50gを正確に秤り取り、同時に5個の10円銅貨をセットし、15分間振動する。受皿に落ちた試料をXgとして次式で摩耗率を算出した。
【0060】
摩耗率(重量%)=(X/50)×100
(6)Si−NMRの測定方法
Si−NMR(核磁気共鳴)の測定はNMR装置(バリアン社製、VXR−300S)により29Si−MAS(magic angle spinnig)NMRを測定した。測定は予め温度25℃、相対湿度80%のデシケーター中で16時間以上放置した試料を用い、観測周波数59.6MHz、パルス幅(90°パルス)4.4μs、測定繰返し時間3s、繰返し回数2000回、回数周波数9.0kHz、外部標準としてテトラメチルシランを0ppmとして、Si−3Alピークは−89ppmに、Si−4Alピークは−84ppmに観測された。これらのピークの高さまたは面積を比較した。
【0061】
(7)窒素吸着容量の測定方法
約500mgの資料を秤量し、カーン式電子天秤を用いて測定した。前処理条件としは、0.001mmHg以下の圧力下、350℃で2時間、活性化を行なった。冷却後、窒素ガスを導入し、吸着温度を25℃、吸着圧力を700mmHgに保ち、十分平衡に達した後の重量を測定し、窒素吸着容量(Ncc/g)を算出した。窒素吸着容量が大きいことは、窒素と酸素を含有する混合気体から窒素を吸着分離させる性能が高いことを示す。
【0062】
(8)PSA法による空気分離試験
図1に示す空気分離性能試験装置を用いて、以下の手順に従い空気分離試験を行った。
【0063】
吸着塔[13]および[14]に空気分離用吸着剤として使用する低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を約2L充填する。吸着塔[12]が吸着工程時には、コンプレッサー[1]で圧縮された空気を脱水塔[2]で脱湿した後、減圧弁[3]で0.5〜0.6kg/cm2Gまで減圧し、電磁弁[5]および[7]を開にして吸着塔内を流通させる(空気温度は25℃)。得られた濃縮酸素ガスは製品タンク[17]へ貯め、濃縮酸素ガスの取り出し量はマスフローメーター[18]により調整した。吸着工程終了時点での圧力は1.4atmで一定にした。吸着塔[13]が再生工程時には電磁弁[5]および[7]は閉じ、電磁弁[6]を開にして真空ポンプ[20]で吸着塔内を減圧にした。再生工程終了時点での到達圧力は250Torrで一定にした。吸着塔[13]が復圧工程時には電磁弁[6]を閉じ、電磁弁[8]を開にして製品タンク[17]内の濃縮酸素ガスで吸着塔内を復圧する。復圧工程終了時の圧力は500Torrで一定にした。圧力は圧力計[15]で測定した(吸着塔[14]については圧力計[16]を使用)。復圧された吸着塔[13]は続いて吸着工程が行われ、順次これらの工程が繰り返される。それぞれの工程の時間は、吸着工程が1分、再生工程および復圧工程が30秒とした。なお電磁弁の作動はシーケンサーにより制御した。
【0064】
吸着塔[14]についても同様の工程で行われるが、濃縮酸素ガスを連続的に取り出すために、吸着塔[13]が吸着工程である間は吸着塔[14]は再生工程および復圧工程が行われ、吸着塔[13]が再生工程および復圧工程の間は吸着塔[14]は吸着工程が行われる。
【0065】
濃縮酸素ガスの濃度は、その値が定常となった後、酸素濃度計[19]で測定し、積算流量計[21]の値から正確な濃縮酸素ガスの流量を測定した(以下、酸素量と呼ぶ)。また再生工程時に真空ポンプ[20]により排気される排気ガスの流量については積算流量計[22]の値から測定した(以下、排ガス量と呼ぶ)。なおそれぞれのガス量の測定は25℃で行った。
【0066】
吸着剤の空気分離性能は、93%濃度の酸素量と93%濃度の濃縮酸素ガスを原料空気から回収できた割合(以下、回収率と呼ぶ)で表した。なお空気分離試験は吸着塔の温度を0℃および25℃で行った。
【0067】
酸素量は積算流量計で測定した値を標準状態へ換算し、吸着剤1kg(無水状態)、1時間あたりの流量で表し、その単位はNリットル/(kg・hr)である。回収率は以下の式により算出した。
【0068】
回収率=(酸素量×0.93)÷(供給空気量×0.209)×100(%)
供給空気量=(酸素量)+(排ガス量)
実施例1
まず、SiO2/Al23モル比1.9〜2.1の低シリカX型ゼオライト粉末を以下の手順により合成した。
【0069】
内容積20リットルのステンレス製反応容器にケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O=3.8重量%、SiO2=12.6重量%)10770g、水1330g、水酸化ナトリウム(純度99%)1310g、工業用水酸化カリウム水溶液(純度48%)3630gを入れ100rpmで攪拌しながらウォーターバスを用い45℃に保った。この溶液に40℃に保ったアルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、Al23=22.5重量%)5390gを1分かけて投入した。投入直後より白濁しゲル化が始まった。
【0070】
投入終了直前、ゲル全体の粘度は上昇し、反応容器上部でスラリーの部分的停滞が生じたものの約3分後には全体が均一に流動化した。スラリー全体が流動化した時点で低シリカX型ゼオライト粉末(強熱減少量22.5%)4.22gを少量の水に分散し添加した。このとき加えた低シリカX型ゼオライトの量は、生成する低シリカX型ゼオライトに対し0.1重量%である。添加終了後のスラリーの組成は、3.39Na2O・1.31K2O・1.90SiO2・Al23・74.1H2Oであり、理論的に生成するLSX濃度としては14.7重量%である。このまま100rpmで攪拌を継続し、45℃で4時間熟成を行なった。
熟成後、攪拌を継続しながら1時間かけて70℃に昇温した。昇温後、攪拌を停止し、70℃で8時間結晶化を行なった。得られた結晶を濾化し、純水で十分に洗浄した後、70℃で1晩乾燥した。
【0071】
得られた低シリカX型ゼオライト粉末のX線回折の結果を図4に示す。X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライト単相であり、フォージャサイト型ゼオライトのX線回折において、指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順となった。
【0072】
Figure 0004830185
上記の通り指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも強かった。また組成分析の結果、このものの化学組成は0.72Na2O・0.28K2O・Al23・2SiO2、SiO2/Al23モル比は2.0、水分平衡吸着量は33.5%であった。
【0073】
この低シリカX型ゼオライト粉末100重量部に対し,SiO2/Al23モル比が2.0のカオリン(ドライブランチカオリン社製、製品名ハイドライトPXN)20重量部をミックスマラー混合機(新東工業社製、型式MSG−15S)で15分間混合後、必要量の水を15分間で投入し、その後1.5時間混練した。得られた混練物の水分量は約38重量%であった。
【0074】
この混練物を羽根攪拌式造粒機ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製、型式FM/I−750)で粒径1.2〜2.0mmのビーズ状に攪拌造粒成形し、マルメライザー成形機(不二パウダル社製、型式Q−1000)を用いて整粒した後、60℃で1晩乾燥した。ついで管状炉(アドバンテック社製)を用いて空気流通下において、600℃で3時間焼成して造粒物中のカオリンをメタカオリン化して低シリカX型ゼオライト含有成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライト含有成形体のSiO2/Al23モル比は2.0、水分平衡吸着量は27.9%であり、原料低シリカX型ゼオライト粉末の水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライト含有成形体は低シリカX型ゼオライト100部に対して水分平衡吸着量が0%のバインダー分が20部存在している計算になる。またX線回折の結果を図5に示す。このX線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライト単相であり、そのX線回折において、指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順となった。
【0075】
Figure 0004830185
上記の通り、指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも強かった。
【0076】
この低シリカX型ゼオライト含有成形体を内容積13リットルのSUS304製カラムに9.0kg充填し、40℃の純水で洗浄した。洗浄の後、40℃の苛性濃度10.0モル/リットル苛性溶液25.2リットル(NaOH:7.2モル/リットル、KOH:2.8モル/リットル)をカラムの下方から560cc/分で3時間循環通液により熟成した。
【0077】
その後、苛性液を循環通液しながら温度を40℃から70℃に昇温し、そのまま6時間循環通液により結晶化させた。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の18倍であった。苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.4%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のは低シリカX型ゼオライト含有率は99.7%であった。またX線回折の結果を図6に示す。 X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライト単相であり、そのX線回折において、指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順となった。
【0078】
Figure 0004830185
上記の通り、指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも強かった。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来する非常に弱いピークが確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.06であった。
【0079】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折の結果を図7に示す。X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライトの指数111,642,331,533,751+555,220及び311のピーク強度が以下の順となった。
【0080】
Figure 0004830185
上記の通り、指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも強かった。またこのものを化学分析をした結果、Liイオン交換率は98.3%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.2%と0.4%、SiO2/Al23モル比は1.96であった。
【0081】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は28.68Ncc/gであった。
【0082】
実施例2
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、内容積5.7リットルのポリプロピレン製カラムに4.0kg充填し、40℃の純水で洗浄した。洗浄の後、40℃の苛性濃度6.1モル/リットル苛性溶液15.9リットル(NaOH:4.4モル/リットル、KOH:1.7モル/リットル)をカラムの下方から通液し、カラム内が苛性液で置換された後、通液を停止し、3時間静置により熟成した。その後、再び苛性液を300cc/分循環流通しながら温度を40℃から70℃に昇温し、そのまま22時間循環流通により結晶化させた。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の14.5倍であった。
【0083】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.1%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライト含有率は98.8%であった。またX線回折の結果を図8に示す。X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライト単相であり、そのX線回折において、指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順となった。
【0084】
Figure 0004830185
上記の通り、指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも強かった。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来する非常に弱いピークが確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.05であった。
【0085】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をX線回折した結果を図9に示す。X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライトの指数111,642,533,331,751+555,220及び311のピーク強度が以下の順となった。
【0086】
Figure 0004830185
上記の通り、指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも強かった。またこのものを化学分析をした結果、Liイオン交換率は98.7%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.1%と0.1%、SiO2/Al23モル比は1.98であった。
【0087】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は28.97Ncc/gであった。
【0088】
比較例1
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、内容積3.1リットルのポリプロピレン製カラムに2.2kg充填し、40℃の純水で洗浄した。洗浄の後、40℃の苛性濃度3.1モル/リットル苛性溶液16.2リットル(NaOH:2.2モル/リットル、KOH:0.9モル/リットル)をカラムの下方から220cc/分で3時間循環通液により熟成した。その後、苛性液を循環通液しながら温度を40℃から70℃に昇温し、そのまま6時間循環流通により結晶化させた。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の15倍であった。
【0089】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は31.5%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライト含有率は94.0%であった。またX線回折の結果を図10に示す。X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライト単相であり、そのX線回折において、指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順となった。
【0090】
Figure 0004830185
これは、本発明の順序と大きく異なり、指数220に帰属されるピーク強度は、指数311に帰属されるピーク強度よりも弱く、更に、指数533に帰属されるピークが指数642に帰属されるピークよりも強く、指数331に帰属されるピーク強度も、指数220に帰属されるピーク強度よりも強かった。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークが確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.12であった。
【0091】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折した結果を図11に示す。X線回折の結果、フォージャサイト型ゼオライトの指数111,642,533,331,751+555,220及び311のピーク強度が以下の順となった。
【0092】
Figure 0004830185
これは、本発明の順序と大きく異なり、指数220に帰属されるピーク強度が、指数311に帰属されるピーク強度よりも弱く、更に、指数751+555に帰属されるピーク強度が、指数331に帰属されるピーク強度よりも強かった。またこのものを化学分析をした結果、Liイオン交換率は97.9%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.9%と0.2%、SiO2/Al23モル比は2.04であった。
【0093】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は26.41Ncc/gであり、実施例1の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体および実施例2の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体と比較した場合、LSX含有率はそれぞれ6%および5%の低下であるのに対し、窒素吸着容量は8%および9%も低下した。
【0094】
実施例3
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を内容積3.1リットルのポリプロピレン製カラムに2.2kg充填し、70℃の純水で洗浄した。洗浄の後、70℃の苛性濃度10.0モル/リットル苛性溶液5.94リットル(NaOH:7.2モル/リットル、KOH:2.8モル/リットル、Al:0.00モル/リットル、Si:0.00モル/リットル)をカラムの下方から220cc/分で6時間循環流通した。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の18倍であった。苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.4%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は99.7%であった。X線回折の結果からもフォージャサイト型ゼオライト単相であり、不純物に由来する回折線は確認されなかった。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは確認されず、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.00であった。回収した苛性溶液の化学分析をした結果、NaOH:6.6モル/リットル、KOH:2.5モル/リットル、Al:0.07モル/リットル、Si:0.09モル/リットルであった。
【0095】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は96.8%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ2.6%と0.6%、SiO2/Al23モル比は1.96であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は26.8Ncc/g、耐圧強度は1.7kgf、摩耗率は0.01%であった。また、得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のPSA法による空気分離試験を実施したところ、酸素量は120.0Nリットル/(kg・hr)、回収率は59.6%の非常に高いPSA性能を示した。
【0096】
実施例4
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、苛性濃度12.0モル/リットル苛性溶液4.05リットル(NaOH:8.6モル/リットル、KOH:3.4モル/リットル、Al:0.00モル/リットル、Si:0.00モル/リットル)で実施例3と同じ要領によりバインダレス化処理した。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の15倍であった。
【0097】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.7%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率はほぼ100%であることが確認された。X線回折の結果からもフォージャサイト型ゼオライト単相であり、不純物に由来する回折線は確認されなかった。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは確認されず、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.00であった。回収した苛性溶液の化学分析をした結果、NaOH:6.7モル/リットル、KOH:2.5モル/リットル、Al:0.07モル/リットル、Si:0.08モル/リットルであった。
【0098】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は98.0%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.5%と0.3%、SiO2/Al23モル比は1.97であった。
【0099】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は27.8Ncc/g、耐圧強度は1.0kgf、摩耗率は0.03%であった。また、得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のPSA法による空気分離試験を実施したところ、酸素量は122.0Nリットル/(kg・hr)、回収率は59.0%の非常に高いPSA性能を示した。
【0100】
実施例5
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、予めアルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、Al23=22.5重量%)110gを添加した苛性濃度6.0モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.3モル/リットル、KOH:1.7モル/リットル、Al:0.06モル/リットル、Si:0.00モル/リットル)で実施例3と同じ要領によりバインダレス化処理した。
【0101】
この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の15倍であった。苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.5%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率はほぼ100%であることが確認された。X線回折の結果からもフォージャサイト型ゼオライト単相であり、不純物に由来する回折線は確認されなかった。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは僅かに確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.08であった。回収した苛性溶液の化学分析をした結果、NaOH:3.6モル/リットル、KOH:1.4モル/リットル、Al:0.05モル/リットル、Si:0.04モル/リットルであった。
【0102】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は98.3%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.2%と0.4%、SiO2/Al23モル比は1.98であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。
【0103】
以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は28.5Ncc/g、耐圧強度は1.1kgf、摩耗率は0.05%であった。また、得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のPSA法による空気分離試験を実施したところ、酸素量は123.0Nリットル/(kg・hr)、回収率は59.2%の非常に高いPSA性能を示した。
【0104】
比較例2
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、苛性濃度3.0モル/リットル苛性溶液16.2リットル(NaOH:2.2モル/リットル、KOH:0.8モル/リットル、Al:0.00モル/リットル、Si:0.00モル/リットル)で実施例1と同じ要領によりバインダレス化処理した。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の15倍であった。
【0105】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は31.7%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は94.6%であることが確認された。X線回折の結果では、フォージャサイト型ゼオライトに由来する回折線以外に、A型ゼオライトに由来する回折線が確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークが確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.13であった。回収した苛性溶液の化学分析をした結果、NaOH:2.0モル/リットル、KOH:0.8モル/リットル、Al:0.04モル/リットル、Si:0.03モル/リットルであった。
【0106】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は97.9%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ1.9%と0.2%、SiO2/Al23モル比は2.04であった。
【0107】
得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は26.3Ncc/gで、Liイオン交換率が1.1%低い実施例3の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量よりさらに2.1%も低い。耐圧強度は0.6kgf、摩耗率も0.37%で、実施例3,4と比較して強度は非常に低かった。また、得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のPSA法による空気分離試験を実施したところ、酸素量は118.0Nリットル/(kg・hr)、回収率は58.5%とPSA性能も低下した。
【0108】
比較例3
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を、苛性濃度6.0モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.3モル/リットル、KOH:1.7モル/リットル、Al:0.00モル/リットル、Si:0.00モル/リットル)で実施例3と同じ要領によりバインダレス化処理した。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の15倍であった。
【0109】
苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄し低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の水分平衡吸着量は33.1%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は98.8%であることが確認された。X線回折の結果では、フォージャサイト型ゼオライトに由来する回折線以外に、A型ゼオライトに由来する回折線が微弱ながら確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークが確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.11であった。回収した苛性溶液の化学分析をした結果、NaOH:3.6モル/リットル、KOH:1.4モル/リットル、Al:0.05モル/リットル、Si:0.05モル/リットルであった。
【0110】
この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、水酸化リチウムでpHを調整した塩化リチウム水溶液と接触させ、十分に洗浄することによりLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を得た。このLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を化学分析をした結果、Liイオン交換率は97.4%、NaとKのイオン交換率はそれぞれ2.4%と0.3%、SiO2/Al23モル比は2.04であった。得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を、実施例1と同様に焼成活性化した。
【0111】
以上の方法により得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量は25.7Ncc/gで、Liイオン交換率が0.6%低い実施例3の低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の窒素吸着容量よりもさらに4.2%も低かった。、耐圧強度は0.8kgf、摩耗率も0.21%で、実施例5と比較して強度は低下した。また、得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のPSA法による空気分離試験を実施したところ、酸素量は116.0Nリットル/(kg・hr)、回収率は58.2%のPSA性能も低下した。
【0112】
実施例6
実施例1と同じ低シリカX型ゼオライト含有成形体を内容積3.1リットルのポリプロピレン製カラムに2.2kg充填し、70℃の純水で洗浄した。洗浄に引続き、低シリカX型ゼオライト粉末35gを添加して十分撹拌溶解した70℃の苛性濃度6.0モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.3モル/リットル、KOH:1.7モル/リットル、Al:0.03モル/リットル、Si:0.04モル/リットル)をカラムの下方から220cc/分で6時間循環流通した。この時の苛性溶液中の水酸化アルカリ金属の量は、低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリンが全て低シリカX型ゼオライトに変質するに足る量の15倍であった。苛性溶液を回収した後、カラム内を純水で十分に洗浄しバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を得た。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の水分平衡吸着量は32.9%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は98.2%であることが確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは僅かに確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.08であった。
【0113】
また、得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の化学分析をした結果、SiO2/Al23モル比は1.98、(Na+K)/Alは1.0であり、ほぼ完全にバインダレス化がなされたことが確認された。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を、管状炉(アドバンテック社製)を用いて除湿空気流通下において、500℃で3時間焼成活性化した。以上の方法により得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の耐圧強度は1.0kgf、摩耗率は0.08%であった。
【0114】
実施例7
苛性溶液として、実施例1で使用した後に回収した苛性溶液に水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを添加して十分撹拌溶解した70℃の苛性濃度6.0モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.3モル/リットル、KOH:1.7モル/リットル、Al:0.03モル/リットル、Si:0.03モル/リットル)を使用した以外は全て実施例6と同じ要領により、バインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を得た。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の水分平衡吸着量は33.4%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は99.7%であることが確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは僅かに確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.05であった。
【0115】
また、得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の化学分析をした結果、SiO2/Al23モル比は1.99、(Na+K)/Alは1.0であり、ほぼ完全にバインダレス化がなされたことが確認された。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の耐圧強度は1.1kgf、摩耗率は0.10%であった。
【0116】
実施例8
苛性溶液として、空気流通下で600℃3時間焼成してメタカオリン化したカオリン粉末210gを添加して十分撹拌溶解したのち、デカンテーションにより不溶固形分を分離した70℃の苛性濃度6.2モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.6モル/リットル、KOH:1.8モル/リットル、Al:0.12モル/リットル、Si:0.12モル/リットル)を使用した以外は全て実施例6と同じ要領により、バインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を得た。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の水分平衡吸着量は33.1%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は99.8%であることが確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは僅かに確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.08であった。
【0117】
また、得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の化学分析をした結果、SiO2/Al23モル比は1.99、(Na+K)/Alは1.0であり、ほぼ完全にバインダレス化がなされたことが確認された。
【0118】
得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の耐圧強度は1.4kgf、摩耗率は0.05%であった。
【0119】
実施例9
苛性溶液として、ケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O=3.8重量%、SiO2=12.6重量%)155g、アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、Al23=22.5重量%)147gを添加して十分撹拌溶解した70℃の苛性濃度6.1モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.4モル/リットル、KOH:1.7モル/リットル、Al:0.04モル/リットル、Si:0.04モル/リットル)を使用した以外は全て実施例1と同じ要領により、バインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を得た。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の水分平衡吸着量は33.5%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率はほぼ100%であることが確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークは僅かに確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.08であった。
【0120】
また、得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の化学分析をした結果、SiO2/Al23モル比は1.99、(Na+K)/Alは1.0であり、ほぼ完全にバインダレス化がなされたことが確認された。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の耐圧強度は1.5kgf、摩耗率は0.05%であった。
【0121】
比較例4
苛性溶液として、予め特にAl分および/またはSi分を添加しない70℃の苛性濃度6.2モル/リットル苛性溶液8.1リットル(NaOH:4.4モル/リットル、KOH:1.8モル/リットル、Al:0.00モル/リットル、Si:0.00モル/リットル)を使用した以外は全て実施例6と同じ要領により、バインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を得た。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の水分平衡吸着量は33.1%であり、低シリカX型ゼオライトの水分平衡吸着量33.5%から逆算すると、この低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の低シリカX型ゼオライトの含有率は98.8%であることが確認された。またSi−NMRの結果、Si−3Alに由来するピークが確認され、(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)=0.11であった。
【0122】
また、得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の化学分析をした結果、SiO2/Al23モル比は2.04、(Na+K)/Alは1.0であった。得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体を実施例1と同様に焼成活性化した。以上の方法により得られたバインダレス低シリカX型ゼオライト成形体の耐圧強度を測定したと
ころ、測定不能の0.8kgf、摩耗率も0.21%で、実施例6〜9と比較して強度として低下した。
【0123】
実施例10
内容積100ミリリットルのポリエチレン製広口瓶に種々の濃度の苛性溶液約50ミリリットル(K/(Na+K)=0.28モル比)と実施例1で調製したLSX粉末数グラムを投入し、70℃の恒温振とう機にセットし、24時間以上処理して、苛性溶液に十分にSi分、Al分を溶解させた。得られた溶液の上澄みを硝酸とフッ酸または硝酸を用いて完全に溶解した後、ICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、型式optima3000)を用い、Si分、Al分の溶解度を測定した。得られた、70℃におけるK/(Na+K)モル比=0.28の10モル/リットルの苛性溶液中のSi分とAl分の溶解度を図2に示す。また、同条件の溶解度に基づく苛性溶液中のSi/Alモル比を図3に示す。図2および図3から、苛性溶液の濃度が約6モル/リットル以上で、Si分の溶解度がAl分の溶解度よりも大きくなり、苛性溶液の濃度が高ければ高いほどその傾向が著しくなることがわかる。特に、苛性溶液の濃度が約8モル/リットル以上で、Si分の溶解度とAl分の溶解度が明確な差をもつ傾向が理解できる。
【0124】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体は低シリカX型ゼオライトの含有率が高く、吸着性能が非常に優れ、耐圧強度および耐摩耗強度が非常に高いため、例えば窒素と酸素とを主成分とする混合ガスから吸着分離法によって酸素を分離、濃縮する場合など、混合ガスと低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を繰返し接触させるなどの吸着剤システムとしての工業的利用において、非常に優れた酸素取出し性能を示すとともに、吸着剤システムの配管や弁詰り、成形体充填層の圧損の増大、あるいは製造ガスへの異物混入など著しいトラブルを回避することができる。また、本発明によれば、吸着剤として非常に性能の高い高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を簡単で迅速に製造することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気分離性能試験装置の系統図
【符号の説明】
1:コンプレッサー
2:脱水塔
3:減圧弁
4:露点計
5〜12:電磁弁
13、14:吸着塔
15、16:圧力計
17:製品タンク
18:マスフローメーター
19:酸素濃度計
20:真空ポンプ
21、22:積算流量計
【図2】実施例8で行った、70℃におけるK/(Na+K)モル比=0.28の苛性溶液中のSi分とAl分の溶解度のグラフ。
【図3】実施例8で行った、70℃におけるK/(Na+K)モル比=0.28の苛性溶液中のSi/Alモル比のグラフ。
【図4】 実施例1で得られた低シリカX型ゼオライト粉末のX線回折図である。
【図5】実施例1で得られた低シリカX型ゼオライト含有成形体のX線回折図である。
【図6】実施例1で得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折図である。
【図7】実施例1で得られたLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折図である。
【図8】実施例2で得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折図である。
【図9】実施例2で得られたLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折図である。
【図10】比較例1で得られた低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折図である。
【図11】比較例1で得られたLi型低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体のX線回折図である。

Claims (17)

  1. X線回折において、フォージャサイト型ゼオライトの指数220に帰属されるピーク強度が指数311のピーク強度よりも強く、低シリカX型ゼオライトの含有率が9%以上であり、SiO/Alモル比が2.00±0.05であり、Si−NMR測定によるSi−3Alに帰属されるピーク強度とSi−4Alに帰属されるピーク強度の比が{(Si−3Alピーク強度)/(Si−4Alピーク強度)}<0.1である高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体。
  2. 請求項1記載の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体で、X線回折において、フォージャサイト型ゼオライトの指数111,751+555,642,533,220,311及び331のピーク強度が以下の順である、交換可能なカチオン部位の約60%から約90%がナトリウムで残りの一部または全部がカリウムである高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体。
    強度の順番 指数
    1 111
    2 751+555
    3 642
    4 533
    5 220
    6 311
    7 331
  3. 請求項1又は請求項2に記載の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体において、交換可能なカチオン部位の一部または全部がリチウムにイオン交換されており、リチウム以外のカチオンが存在する場合は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属から選ばれたカチオンまたはこれらの混合物であるイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体。
  4. X線回折において、フォージャサイト型ゼオライトの指数111,642,331,533,751+555,220及び311のピーク強度が以下の順である請求項3記載のイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体。
    強度の順番 指数
    1 111
    2 642
    3又は4 331又は533
    5 751+555
    6 220
    7 311
  5. 粒径として1.4〜1.7mmに分級した粒子を代表として測定した耐圧強度の平均値が0.7kgf以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又はイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体。
  6. 粒径として1.4〜1.7mmに分級した粒子を代表として測定した耐圧強度の平均値が1.0kgf以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又はイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体。
  7. SiO/Alモル比が1.9以上2.1以下の低シリカX型ゼオライトとSiO/Alモル比が1.9以上2.1以下のカオリン質粘土を混合、混練、成形、焼成することにより低シリカX型ゼオライト含有成形体を得、該低シリカX型ゼオライト含有成形体を6モル/リットル以上の苛性溶液と40℃以上80℃以下で接触させることにより、該低シリカX型ゼオライト含有成形体中のカオリン質粘土の一部または全部を低シリカX型ゼオライトに変質させることにより、原料の低シリカX型ゼオライトのSiO/Alモル比よりも小さいSiO/Alモル比を有する低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体にすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又は当該高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をイオン交換して得られるイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法において、該低シリカX型ゼオライト含有成形体からのSi分の溶解量がAl分の溶解量よりも多い苛性溶液を使用することを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又は当該高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をイオン交換して得られるイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の製造方法において、8モル/リットル以上の苛性溶液と5時間以上接触させることを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又は当該高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をイオン交換して得られるイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法。
  10. 請求項7又は請求項8に記載の製造方法において、予めAl分を添加した苛性溶液と接触させることを特徴とする高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又は当該高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をイオン交換して得られるイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体の製造方法。
  11. 混合気体を請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体又は当該高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体をイオン交換して得られるイオン交換型高純度低シリカX型ゼオライトバインダレス成形体を単独または複数で、混合または複層構造で充填した充填層と接触させて、気体中の構成ガスの少なくとも一つの構成ガスを選択的に吸着させることを特徴とする気体分離方法。
  12. 請求項11に記載の気体分離方法において、気体が空気であり、窒素ガスは当該充填層に選択的に吸着させ、酸素ガスは当該充填層を通過させて窒素ガスと分離することを特徴とする窒素ガス−酸素ガス分離方法。
  13. 請求項12に記載の窒素ガス−酸素ガス分離方法において、圧力振動吸着法により高圧条件下で空気中の窒素を当該充填層に選択的に吸着させた後、減圧にして、吸着した窒素を脱着して当該充填層を回復することを特徴とする窒素ガス−酸素ガス分離方法。
  14. 請求項13記載の窒素ガス−酸素ガス分離方法において、空気を当該充填層と接触させて窒素を選択的に吸着させ濃縮酸素を当該充填層出口から回収または排気する吸着工程と、空気と充填層の接触を中断し充填層内を減圧にして吸着した窒素を脱着させ回収または排気する再生工程と、前記吸着工程で得られた濃縮酸素により充填層内を加圧する復圧工程により運転されることを特徴とする窒素ガス−酸素ガス分離方法。
  15. 請求項14に記載の窒素ガス−酸素ガス分離方法において、吸着工程の吸着圧力が600Torr以上1520Torr以下の範囲であることを特徴とする窒素ガス−酸素ガス分離方法。
  16. 請求項14または15に記載の窒素ガス−酸素ガス分離方法において、再生工程の再生圧力が100Torr以上400Torr以下の範囲であることを特徴とする窒素ガス−酸素ガス分離方法。
  17. 請求項1416のいずれかの請求項に記載の窒素ガス−酸素ガス分離方法において、復圧工程の復帰圧力が400Torr以上800Torr以下の範囲であることを特徴とする窒素ガス−酸素ガス分離方法。
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