JP6298408B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスクの製造方法、並びに磁気ディスク用ガラス基板の洗浄液に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される情報記録媒体の一つとして磁気ディスクがある。磁気ディスクは、基板上に磁性層等の薄膜を形成して構成されたものであり、その基板として従来はアルミ基板が用いられてきた。しかし、最近では、高記録密度化の追求に呼応して、アルミ基板と比べて磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔をより狭くすることが可能なガラス基板の占める比率が次第に高くなってきている。また、ガラス基板表面は磁気ヘッドの浮上高さを極力下げることができるように、高精度に研磨して高記録密度化を実現している。近年、HDDの更なる大記録容量化の要求は増すばかりであり、これを実現するためには、磁気ディスク用ガラス基板においても更なる高品質化が必要になってきており、より平滑でより清浄なガラス基板表面であることが求められている。
上述したように高記録密度化にとって必要な低フライングハイト(浮上量)化のために磁気ディスク表面の高い平滑性は必要不可欠である。磁気ディスク表面の高い平滑性を得るためには、結局、高い平滑性の基板表面が求められるため、高精度にガラス基板表面を研磨する必要があるが、それだけでは十分ではなく、研磨後の洗浄によって基板表面の付着異物を取り除いて清浄な基板表面を得る必要がある。
従来の方法としては、たとえば、特許文献1には、多価アミンを含有する研磨液を用いて研磨した後、基板をアルカリ(pH8〜13)洗浄する方法が開示されている。また、特許文献2には、研磨後に、基板をアルカリ剤、アルドン酸類を含有するpH10以上のアルカリ洗浄剤で洗浄する方法が開示されている。
特開2012−107226号公報 特開2010−86563号公報
現在のHDDにおいては、1平方インチ当り500ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに至っており、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスク1枚に320ギガバイト程度の情報を収納することが可能になっているが、更なる高記録密度化、例えば375〜500ギガバイト、更には1テラバイトの実現が要求されるようになってきている。このような近年のHDDの大容量化の要求に伴い、基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきている。上記のような例えば375〜500ギガバイトの磁気ディスク向けの次世代基板においては、メディア特性に与える基板の影響が大きくなるので、基板表面の粗さだけでなく、異物付着等による表面欠陥が存在しないことについても現行品からの更なる改善が求められる。
次世代基板においてはメディア特性に与える基板の影響が大きくなるのは以下のような理由による。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい磁性粒子の信号も拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、従来以上の低浮上量化を実現するために、DFH(Dynamic Flying Height)という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、磁気ヘッドの記録再生素子部の近傍に極小のヒーター等の加熱部を設けて、記録再生素子部周辺のみを媒体表面方向に向けて突き出す機能である。今後、このDFH機能によって、磁気ヘッドの素子部と媒体表面との間隙は、2nm未満または1nm未満と極めて小さくなると見られている。このような状況下で、基板表面の平均粗さを極めて小さくしたところで、従来問題とならなかった極く小さな異物(例えば小さいもので主表面の面内方向の長さが10〜40nm程度)の付着等によって僅かに凸状となる程度の表面欠陥が存在すると、そのまま媒体表面においても凸状欠陥となるので、磁気ヘッドの衝突の危険性が高まる。
ところで、本発明者らの検討によると、上記特許文献に開示された方法をはじめとする従来の様々な精密研磨技術、精密洗浄技術を用いても、あるいはそれらを単純に組み合わせて用いても、洗浄後の低粗さと高清浄度を両立できないことがわかってきた。
近年のHDDの大容量化の要求に伴う基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきており、従来の改善手法によって基板表面品質の更なる向上を実現することには限界がある。
本発明はこのような従来の課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、第1に、精密研磨で得られた平滑な表面粗さをできる限り悪化させずに洗浄処理を行うことが可能で、その結果、低粗さ(高平滑性)を達成できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することであり、第2に、上記洗浄処理に好適に用いられる洗浄液を提供することであり、第3に、高清浄な洗浄が実施可能な磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することである。
基板の清浄度を高めるためには、基板表面に固着した異物を洗浄除去する必要があるが、そのためにはアルカリ度の高いアルカリ薬液で洗浄することが高清浄度を達成できるので好ましい。なぜなら、アルカリ度の高いアルカリ薬液ではガラスの表面がエッチングされるため、固着した異物であっても根こそぎ除去できるからである。しかしながら、従来のアルカリ洗浄では、アルカリ度が高いほどガラスに対するエッチング効果が大きくなるので、アルカリ洗浄によって基板表面の粗さが上昇してしまい、精密研磨で得られた超平滑な表面粗さを維持することができなくなる。そこで、本発明者らは、大量のガラス基板を連続して長時間洗浄する場合、アルカリ洗浄による洗浄力を維持したまま、基板の表面粗さの上昇を抑える方法を模索した。その結果、洗浄液中のナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン濃度がガラス基板表面の粗さの上昇量に関与していることを突き止めた。
また、洗浄に用いるアルカリ剤のアルカリ度だけでなく、OHイオンの対となっている陽イオンの種類によっても粗さ上昇量に大きな影響があることも見出した。
本発明者らは、得られたこれらの知見に基づき、更に鋭意研究の結果、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板はガラス成分中にナトリウムとカリウムの少なくとも一方の成分を含有し、ナトリウムとカリウムを含まないアルカリ剤を含有する洗浄液を用い、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/L以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された複数の前記ガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成2)
前記鏡面とは、前記ガラス基板の主表面の表面粗さRaが0.15nm以下であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成3)
前記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、前記洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)との差が、0.06nm以内であることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成4)
前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度を2.00×10−3mol/L以下とすることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成5)
前記アルカリ剤は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成6)
前記洗浄液は、さらにナトリウムとカリウムを含まない界面活性剤を含有することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成7)
前記ガラス基板を構成するガラスは、NaO又はKOのいずれか一方を少なくとも含むアルミノシリケートガラスであることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成8)
ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記洗浄処理前に対する前記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)の増大量と、前記洗浄処理に用いる洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度との関係を予め求めておき、求めた前記関係に基づき、前記表面粗さ(Ra)の増大量が0.06nm以下となる前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度を決定し、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が前記決定した濃度以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された前記ガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成9)
ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板はガラス成分中にナトリウムとカリウムの少なくとも一方の成分を含有し、ナトリウムとカリウムを含まないアルカリ剤を含有する洗浄液を用い、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/Lを超えたら液交換しながら、主表面が鏡面研磨された前記ガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成10)
ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記洗浄処理は、テトラメチルアンモニウムイオンを含有する洗浄液に前記ガラス基板を接触させる処理を含み、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を200ppm未満に抑えながら前記洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成11)
ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記洗浄処理は、前記ガラス基板に対するエッチング性を有し、テトラメチルアンモニウムイオンを含有する洗浄液に前記ガラス基板を接触させる処理を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成12)
前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を200ppm未満に抑えながら前記洗浄処理を行うことを特徴とする構成11に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成13)
前記ガラス基板はガラス成分中にナトリウムとカリウムの少なくとも一方の成分を含有することを特徴とする構成10乃至12のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成14)
前記洗浄液は、さらに界面活性剤、キレート剤、及び分散剤のうち少なくとも1つの物質を含有し、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を200ppm未満に抑えながら前記洗浄処理を行うことを特徴とする構成10乃至13のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成15)
前記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、前記洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)との差が、0.06nm以内であることを特徴とする構成10乃至14のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成16)
前記洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)が、0.13nm以下であることを特徴とする構成10乃至15のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成17)
前記洗浄液のpHが10以上であることを特徴とする構成10乃至16のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成18)
前記洗浄処理は、研磨砥粒を用いて前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程のうち最終研磨工程の後に行う洗浄処理であることを特徴とする構成10乃至17のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成19)
磁気ディスク用ガラス基板の洗浄処理に用いる洗浄液であって、前記洗浄液は、少なくとも、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドと、ナトリウム及びカリウムを含まない界面活性剤とを含有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の洗浄液。
(構成20)
構成1乃至18のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
本発明によれば、精密研磨で得られた平滑な表面粗さをできる限り悪化させずに洗浄処理が実施可能となり、その結果、低粗さ(高平滑性)を達成できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、高清浄な洗浄が実施可能な磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することができる。このような本発明によれば、基板主表面の粗さをよりいっそう低減し、なお且つ異物付着等による表面欠陥を従来品より低減することができる高品質の磁気ディスク用ガラス基板を低コストで製造することが可能である。また、本発明によれば、上記洗浄処理に好適な洗浄液を提供することができる。
本発明によって得られる磁気ディスク用ガラス基板は、特に基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として好適に使用することが可能である。また、本発明によって得られるガラス基板を利用し、DFH機能を搭載した極低浮上量の設計の磁気ヘッドと組み合わせた場合においても長期に安定した動作が可能な信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
磁気ディスク用ガラス基板の断面図である。 磁気ディスク用ガラス基板の全体斜視図である。 両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
(第1の実施の形態)
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、粗研削処理、形状加工処理、精研削処理、端面研磨処理、主表面研磨処理(第1研磨処理、第2研磨処理)、化学強化処理、等を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板(ガラスディスク)を得てもよい。次に、この成型したガラス基板(ガラスディスク)に寸法精度及び形状精度を向上させるための研削を行う。この研削処理は、通常両面研削装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
この研削処理の終了後は、高精度な平面(鏡面)を得るための研磨加工を行う。ガラス基板の研磨方法としては、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等の研磨パッドを用いて行うのが好適である。
従来研磨加工に用いられていた研磨液は、基本的には研磨材と溶媒である水の組合せであり、さらに研磨液のpHを調整するためのpH調整剤や、その他の添加剤が必要に応じて含有されている。
コロイダルシリカ砥粒等を含む研磨液を組成するには、例えば水や純水を用い、さらに必要な添加剤を添加して研磨液とすればよい。
また、研磨処理(特に仕上げ研磨処理(後述の後段の第2研磨処理))に適用される上記研磨液は、例えば酸性域に調整されたものが用いられることが好適である。例えば、硫酸を研磨液に添加して、pH=2〜4の範囲に調整される。本発明において酸性域に調整された研磨液を好適に用いる理由は、生産性及び清浄性の観点からである。
研磨液に含有されるコロイダルシリカ等の研磨砥粒は、平均粒径が100nm以下のものを使用するのが研磨効率の点からは好ましい。特に、仕上げ研磨処理(後述の後段の第2研磨処理)に用いる研磨液に含有される研磨砥粒は、本発明においては、表面粗さのいっそうの低減を図る観点から、平均粒径が40nm以下のものを使用するのが好ましく、特に20nm以下の微細なものが好ましい。なお、平均粒径が10nmより小さいと、研磨効率が悪化する恐れがある。
なお、本発明において、上記平均粒径とは、光散乱法により測定された粒度分布における粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径(以下、「累積平均粒子径(50%径)」と呼ぶ。)を言う。本発明において、累積平均粒子径(50%径)は、例えば、粒子径・粒度分布測定装置を用いて測定して得られる値である。
また、本発明に用いるコロイダルシリカ砥粒は、有機ケイ素化合物を加水分解することで生成したコロイダルシリカ砥粒を用いることができる。このような砥粒は、砥粒同士が凝集し難く、微細で粒径の揃った砥粒が得られるものの、研磨処理後のガラス基板表面に強固に付着しやすく、本発明による洗浄処理を適用することが有効である。
なお、他のコロイダルシリカの製造方法としては、水ガラス法がある。水ガラス法は、ケイ酸ソーダをイオン交換し、活性ケイ酸を調製後、これを加熱下において、NaOHでpH調整した種粒子含有水溶液中に添加し、粒子成長させるものである。この方法によれば、比較的緻密な構造を有する粒子を得ることができる。
本発明では、研磨処理における研磨方法は特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板と研磨パッドとを接触させ、研磨砥粒を含む研磨液を供給しながら、研磨パッドとガラス基板とを相対的に移動させて、ガラス基板の表面を鏡面状に研磨すればよい。
例えば図3は、ガラス基板の研磨処理に用いることができる遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。図3に示す両面研磨装置は、太陽歯車2と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車3と、太陽歯車2及び内歯歯車3に噛み合い、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じて公転及び自転するキャリア4と、このキャリア4に保持された被研磨加工物1を挟持可能な研磨パッド7がそれぞれ貼着された上定盤5及び下定盤6と、上定盤5と下定盤6との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
このような両面研磨装置によって、研磨加工時には、キャリア4に保持された被研磨加工物1、即ちガラス基板を上定盤5及び下定盤6とで挟持するとともに、上下定盤5,6の研磨パッド7と被研磨加工物1との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じてキャリア4が公転及び自転しながら、被研磨加工物1の上下両面が研磨加工される。
特に仕上げ研磨用の研磨パッドとしては、軟質ポリッシャの研磨パッド(スウェードパッド)であることが好ましい。研磨パッドの硬度はアスカーC硬度で、60以上80以下とすることが好適である。研磨パッドのガラス基板との当接面は、発泡ポアが開口した発泡樹脂、取り分け発泡ポリウレタンとすることが好ましい。このようにして研磨を行うと、ガラス基板の表面を平滑な鏡面状に研磨することができる。
本発明の第1の実施の形態は、上記構成1にあるように、たとえば上記ガラス基板主表面の研磨処理の後に行われる、ガラス基板を洗浄する洗浄処理において、前記ガラス基板はガラス成分中にナトリウムとカリウムの少なくとも一方の成分を含有し、ナトリウムとカリウムを含まないアルカリ剤を含有する洗浄液を用い、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/L以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された複数のガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴としている。
従来、アルカリ洗浄後のガラス基板表面の粗さ上昇は、アルカリ剤のアルカリ度(pH)のみに依存し、強アルカリほど粗さ上昇が大きくなるとの認識が一般的であったが、本発明者らは、洗浄に用いるアルカリ剤のアルカリ度だけでなく、洗浄液中のナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン濃度がガラス基板表面の粗さの上昇量に大きな影響があることを見出した。
例えば、アルカリ剤としてKOHやNaOHなどの強アルカリを使用した場合、良好なエッチング作用による異物除去効果が得られるものの、洗浄後のガラス基板表面の粗さ上昇が大きい。本発明者らの検討によれば、この場合、これらアルカリ剤のアルカリ度だけでなく、カリウムイオンやナトリウムイオンなどの陽イオンの存在も基板の粗さ上昇に関与していることが判明した。
そこで、本発明者らは、アルカリ洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を抑制するため、具体的には、ナトリウムとカリウムを含まないアルカリ剤を含有する洗浄液を用いるとともに、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/L以下となる条件を維持しながら洗浄処理を行うことが好適であることを見出した。これにより、洗浄液に含有されるアルカリ剤のOHイオンによるエッチング作用が得られ、その一方、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの存在量を抑えることでガラス基板表面の粗さ上昇を抑えることができる。特に、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計濃度を2.00×10−3mol/L以下、更に好ましくは0.20×10−3mol/L以下、最も好ましくは0.02×10−3mol/L以下に抑えながら洗浄処理を行うことが好適である。
また、ガラス成分中にナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属成分を含有するガラス基板を洗浄する場合、洗浄液中のガラスから溶出したナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度が増加するが、ガラス成分の溶出による洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計濃度を4.00×10−3mol/L以下に抑えながら洗浄処理を行うことが好適である。
本発明は、たとえば大量のガラス基板を連続して洗浄し、結果的に長時間同一の洗浄槽で洗浄する場合にも、ガラス基板表面の粗さ上昇を抑えることができるので特に好適である。
本発明は、たとえば上記ガラス基板主表面の研磨処理の後に行われる、ガラス基板を洗浄する洗浄処理において適用されるが、その場合、洗浄処理に投入される直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)が、0.15nm以下の超平滑な鏡面である。本発明によれば、アルカリ洗浄による基板表面の粗さ上昇を抑えることができるので、研磨工程によって得られた上記超平滑な基板表面粗さをできる限り悪化させないようにすることが可能である。
本発明においては、洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)との差を、0.06nm以内とすることが可能であり、より好ましくは0.05nm以下、さらに0.03nm以下、またさらに好ましくは0.01nm以下とすることも可能である。
すなわち、本発明によれば、アルカリ洗浄による基板表面の粗さ上昇を抑えることが可能である。
本発明においては、洗浄液に含有されるアルカリ剤としては、ナトリウムとカリウムを含まないアルカリ剤が用いられる。
本発明者らは、このようなアルカリ剤として例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TMAH」と略記する。)を使用することが好ましいことを見出した。
上記TMAHは、アルカリ度が高く(例えばKOHと同等)、ガラスに対するエッチング作用による異物除去効果が大きいにもかかわらず、カリウムイオンやナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオン(陽イオン)を含まないため、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計濃度が4.00×10−3mol/L以下となる条件を維持しながら洗浄処理を行うことができ、その結果、良好なエッチング作用による異物除去効果が得られ、なお且つ洗浄後の基板表面の粗さ上昇が少ない。従って、アルカリ洗浄剤としてTMAHを含む洗浄液によりガラス基板を洗浄することにより、洗浄後のガラス基板における低粗さ(高平滑性)を実現でき、また良好な洗浄性も得られ、高清浄度を達成することができる。
なお、TMAHの他に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(以下TEAHと略す。)や、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(以下TPAHと略す。)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(以下TBAHと略す。)などの水酸化テトラアルキルアンモニウム(テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)を用いることもできる。これらの有機アルカリ剤は水に易溶であり、かつ強アルカリ性を示す。
これらの有機アルカリ剤によって洗浄後の基板表面の粗さ上昇が抑制されるメカニズムについては明確となっていないが、以下のように考えている。すなわち、カリウムイオンやナトリウムイオンの場合、ガラス基板表面のOH基(外部シラノール基やシロキサン結合(O−Si−O結合)が加水分解されて生じた内部シラノール基)に結合すると、結合部分のエッチングレートを選択的に高めるために、ガラス基板表面においてエッチングレートのムラが発生し、粗さ上昇に繋がると考えられるが、上記の有機アルカリ剤の場合はガラス表面のOH基と結合してもエッチングレートの上昇が起きないと考えられる。また、上記の有機アルカリ剤が先にガラス基板表面のOH基と結合していることで、後からNaイオンやKイオンが結合することを抑制する効果もあると考えられる。これにより、上記有機アルカリ剤を含有させるとともに、洗浄液中に含まれるナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量を抑制しながら洗浄処理を行うことにより、洗浄後の基板表面の粗さ上昇を抑えることが可能である。従って、洗浄後のガラス基板における超低粗さ(高平滑性)を実現でき、また良好な洗浄性も得られ、高清浄度を達成することができる。
洗浄液中のTMAH等の有機アルカリ剤の含有量は特に制約される必要はないが、例えば0.005モル/リットル以上とすることが好ましい。TMAH等の有機アルカリ剤の含有量が0.005モル/リットル未満であると、エッチングレートが低くなるため、ガラスに対するエッチング作用による異物除去効果を得るのに時間がかかり生産性が悪化してしまう恐れがある。また、TMAH等の有機アルカリ剤が先にガラス基板表面のOH基と結合していることで、後からNaイオンやKイオンが結合することを抑制する効果が小さくなる恐れがある。一方、TMAH等の有機アルカリ剤の含有量が1モル/リットルよりも多いと、十分なアルカリ洗浄作用が得られるものの、ガラスに対するエッチングレートが早くなりすぎて洗浄時間の制御が難しくなるおそれがある。また、ガラス組成にナトリウムやカリウムを含む場合には、それらのイオンの溶出量が多くなり、洗浄液中におけるナトリウムイオン及びカリウムイオンの調整作業(洗浄液の交換等)を頻繁に行う必要が生じてくる場合がある。また、アルカリ性が強くなりすぎるので、取扱いにも注意を要する。そのため、TMAHの含有量は1モル/リットル以下であることが好ましい。上記観点から、TMAHの含有量は、0.005モル/リットル以上1モル/リットル以下であるとより好ましく、0.05〜0.5モル/リットルの範囲内であるとさらに好ましい。
また、アルカリ剤により基板表面から除去された異物が基板表面に再付着するのを防止して、洗浄効果を上げることを目的に、洗浄液中には上記TMAH等の有機アルカリ剤に加えて、さらに界面活性剤(キレート剤、分散剤を含む)などの洗浄剤(添加剤)を適宜含有させてもよい。
本発明に好ましく使用できる界面活性剤としては、ナトリウムとカリウムを含まない界面活性剤が好適である。
本発明に好ましく使用できる界面活性剤としては、例えばアルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体等のノニオン界面活性剤が挙げられる。また、例えばEDTAなどのアミノカルボン酸などの有機酸塩などのキレート剤や、例えばリン酸塩、硫酸塩、高分子分散剤などの分散剤が挙げられる。
なお、これらの界面活性剤等は、2.00×10−3〜1.00×10−1mol/L程度含有させることが好ましい。
但し、これら界面活性剤などの洗浄剤は、アルカリ塩(カリウム塩、ナトリウム塩など)で調合されているものも使用することは可能であるが、その場合においても、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を4.00×10−3mol/L以下に抑えながら前記洗浄処理を行うことが好適である。より好ましくは2.00×10−3mol/L以下、さらに好ましくは0.20×10−3mol/L以下に抑えながら前記洗浄処理を行うことが好適である。
このようにするためには、これらの添加剤は、分子構造中に上記イオンを含まないものが好ましい。すなわち、テトラメチルアンモニウムイオンなどの第4級アンモニウムイオンとの塩とすることが好ましい。こうすることで、ナトリウムイオンやカリウムイオンの量を増やさずに、添加剤の添加量を増やすことができる。また、添加剤の合成上、ナトリウムやカリウムが不純物として不可避的に混入する場合、当該イオンの量が少なくなる様にイオン交換樹脂等で精製処理したものを用いることが好ましい。そして、分子構造中に含まれる分や、不純物として含まれる分も含めて、洗浄液中におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を上記範囲内とすることが好ましい。
本発明の洗浄処理に好ましく用いられる磁気ディスク用ガラス基板の洗浄液としては、少なくとも、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ剤と、ナトリウム及びカリウムを含まない界面活性剤とを含有する洗浄液が挙げられる。
また、本発明において、前記洗浄液のpHが10以上であることが好適であり、11以上だとより好ましく、12以上だとさらに好ましい。本発明によれば、洗浄液が高いpH(強アルカリ)であっても、基板表面の粗さ上昇が少ないため、その結果、粗さ上昇を抑えつつ、高清浄な洗浄を実施することが可能である。なお、pHが13より大きくなると取扱に注意を要するため、13以下とすることが好ましい。
上記洗浄処理は、通常、上記TMAHなどのアルカリ剤、上記界面活性剤などの必要な添加剤を含有する洗浄液を収容した洗浄槽に、例えば研磨工程終了後のガラス基板を接触(例えば浸漬)させることによって行われる。この際、洗浄効果を上げるために、超音波を印加することも好適である。洗浄液の液温、洗浄時間などは、適宜設定することができる。
本発明の第1の実施の形態に関連する他の実施の形態としては、ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記洗浄処理前に対する前記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)の増大量と、前記洗浄処理に用いる洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度との関係を予め求めておき、求めた前記関係に基づき、前記表面粗さ(Ra)の増大量が0.06nm以下となる前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度を決定し、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が前記決定した濃度以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された前記ガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
このような実施の形態によれば、洗浄によるガラス基板表面の粗さ増大量が所定値以下となるように洗浄処理を行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に関連するその他の実施の形態としては、ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板はガラス成分中にナトリウムとカリウムの少なくとも一方の成分を含有し、ナトリウムとカリウムを含まないアルカリ剤を含有する洗浄液を用い、前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/Lを超えたら液交換しながら、主表面が鏡面研磨された前記ガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
このような実施の形態によれば、例えば大量のガラス基板を連続して洗浄し、結果的に長時間同一の洗浄槽で洗浄する場合にも、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/Lを超えたら新しい洗浄液と液交換することにより、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度を4.00×10−3mol/L以下に抑えることができるので、ガラス基板表面の粗さ上昇を抑えることが可能となる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、上記構成11にあるように、たとえば上記ガラス基板主表面の研磨処理の後に行われる、洗浄剤を含む洗浄液によりガラス基板を洗浄する洗浄処理において、該洗浄処理は、ガラス基板に対するエッチング性を有し、テトラメチルアンモニウムイオンを含有する洗浄液にガラス基板を接触させる処理を含むことを特徴としている。
より好ましくは、上記構成10にあるように、上記洗浄処理は、テトラメチルアンモニウムイオンを含有する洗浄液にガラス基板を接触させる処理を含み、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を200ppm未満に抑えながら洗浄処理を行うことである。
本発明者らは、アルカリ洗浄による洗浄力を維持したまま、基板の表面粗さの上昇を抑える方法を模索した結果、特定のアルカリ剤、すなわちテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TMAH」と略記する。)を使用することにより特異的に粗さ上昇を抑えられることを突き止めた。
上記TMAHは、アルカリ度が高く(例えばKOHと同等)、ガラスに対するエッチング作用による異物除去効果が大きいにもかかわらず、洗浄後の基板表面の粗さ上昇が少ない。従って、アルカリ洗浄剤としてTMAHを含む洗浄液によりガラス基板を洗浄することにより、洗浄後のガラス基板における低粗さ(高平滑性)を実現でき、また良好な洗浄性も得られ、高清浄度を達成することができる。
TMAHによって洗浄後の基板表面の粗さ上昇が抑制されるメカニズムについては明確となっていないが、以下のように考えている。すなわち、カリウムイオンやナトリウムイオンの場合、ガラス基板表面のOH基(外部シラノール基やシロキサン結合(O−Si−O結合)が加水分解されて生じた内部シラノール基)に結合すると、結合部分のエッチングレートを選択的に高めるために、ガラス基板表面においてエッチングレートのムラが発生し、粗さ上昇に繋がると考えられるが、TMAHの場合はガラス表面のOH基と結合してもエッチングレートの上昇が起きないと考えられる。また、TMAHが先にガラス基板表面のOH基と結合していることで、後からNaイオンやKイオンが結合することを抑制する効果もあると考えられる。これにより、TMAHを含有させるとともに、洗浄液中に含まれるナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量を抑制しながら洗浄処理を行うことにより、洗浄後の基板表面の粗さ上昇を抑えることが可能である。従って、洗浄後のガラス基板における超低粗さ(高平滑性)を実現でき、また良好な洗浄性も得られ、高清浄度を達成することができる。
洗浄液中のTMAHの含有量は特に制約される必要はないが、例えば0.005モル/リットル以上とすることが好ましい。TMAHの含有量が0.005モル/リットル未満であると、エッチングレートが低くなるため、ガラスに対するエッチング作用による異物除去効果を得るのに時間がかかり生産性が悪化する恐れがある。また、TMAHが先にガラス基板表面のOH基と結合していることで、後からNaイオンやKイオンが結合することを抑制する効果が小さくなる恐れがある。一方、TMAHの含有量が1モル/リットルよりも多いと、十分なアルカリ洗浄作用が得られるものの、ガラスに対するエッチングレートが早くなりすぎて洗浄時間の制御が難しくなるおそれがある。また、ガラス組成にナトリウムやカリウムを含む場合には、それらのイオンの溶出量が多くなり、洗浄液中におけるナトリウムイオン及びカリウムイオンの調整作業(洗浄液の交換等)を頻繁に行う必要が生じてくる場合がある。また、アルカリ性が強くなりすぎるので、取扱いにも注意を要する。そのため、TMAHの含有量は1モル/リットル以下であることが好ましい。上記観点から、TMAHの含有量は、0.005モル/リットル以上1モル/リットル以下であるとより好ましく、0.05〜0.5モル/リットルの範囲内であるとさらに好ましい。
また、従来、アルカリ洗浄後のガラス基板表面の粗さ上昇は、アルカリ剤のアルカリ度(pH)のみに依存し、強アルカリほど粗さ上昇が大きくなるとの認識が一般的であったが、本発明者らは、洗浄に用いるアルカリ剤のアルカリ度だけでなく、OHイオンの対となっている陽イオンの種類によっても粗さ上昇量に大きな影響があることを見出した。
例えば、アルカリ剤としてKOHやNaOHなどの強アルカリを使用した場合、良好なエッチング作用による異物除去効果が得られるものの、洗浄後のガラス基板表面の粗さ上昇が大きい。本発明者らの検討によれば、この場合、これらアルカリ剤のアルカリ度だけでなく、KイオンやNaイオンなどの陽イオンの存在も基板の粗さ上昇に関与していることが判明した。
そこで、本発明者らは、アルカリ洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を200ppm未満に抑えながら洗浄処理を行うことが好適であることを見出した。これにより、洗浄液に含有されるアルカリ剤のOHイオンによるエッチング作用が得られ、その一方、洗浄液中のNaイオンとKイオンの存在量を抑えることで基板の粗さ上昇を抑えることができる。特に、アルカリ洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を10ppm以下、更に好ましくは1ppm以下に抑えながら洗浄処理を行うことが好適である。
なお、洗浄液中におけるNaイオンやKイオンの含有量は、洗浄槽からサンプリングした洗浄液を用いて、例えばイオンクロマトグラフィー法やICP法によって調べることができる。
また、ここでppmとは、質量ppm(質量比を100万分率で表したもの)である。
なお、上記TMAHを使用した場合、洗浄液中のNaイオンとKイオンの存在による影響がないため、上述したように、良好なエッチング作用による異物除去効果が得られ、なお且つ洗浄後の基板表面の粗さ上昇を抑えることができるものと考えられる。
また、ガラス成分中にナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属成分を含有するガラス基板を洗浄する場合、ガラス成分の溶出によるアルカリ洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を100ppm未満に抑えながら洗浄工程を行うことが好適である。
また、アルカリ洗浄剤により基板表面から除去された異物が基板表面に再付着するのを防止して、洗浄効果を上げることを目的に、洗浄液中には上記TMAHに加えて、さらに界面活性剤、キレート剤、分散剤などの洗浄剤(添加剤)を適宜含有させてもよい。
本発明に好ましく使用できる界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル、脂肪酸、アルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体等のノニオン界面活性剤が挙げられる。また、キレート剤としては、例えばEDTAなどのアミノカルボン酸、クエン酸などの有機酸塩などが挙げられる。さらに、分散剤としては、例えばリン酸塩、硫酸塩、高分子分散剤などが挙げられる。
なお、これらの界面活性剤等は、2.00×10−3〜1.00×10−1mol/L程度含有させることが好ましい。
但し、これら界面活性剤、キレート剤、分散剤などの洗浄剤(添加剤)は、通常アルカリ金属塩(カリウム塩、ナトリウム塩など)で調合されているため、これら洗浄剤を洗浄液に含有させる場合においても、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を200ppm未満に抑えながら前記洗浄処理を行うことが好適である。より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下に抑えながら前記洗浄処理を行うことが好適である。
このようにするためには、これらの添加剤は、分子構造中に上記イオンを含まないものが好ましい。すなわち、テトラメチルアンモニウムイオンとの塩とすることが好ましい。こうすることで、ナトリウムイオンやカリウムイオンの量を増やさずに、添加剤の添加量を増やすことができる。また、添加剤の合成上、ナトリウムやカリウムが不純物として不可避的に混入する場合、当該イオンの量が少なくなる様にイオン交換樹脂等で精製処理したものを用いることが好ましい。そして、分子構造中に含まれる分や、不純物として含まれる分も含めて、洗浄液中におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を上記範囲内とすることが好ましい。
上記洗浄処理は、通常、上記TMAH、必要な添加剤を含有する洗浄液を収容した洗浄槽に、例えば研磨工程終了後のガラス基板を接触(例えば浸漬)させることによって行われる。この際、洗浄効果を上げるために、超音波を印加することも好適である。洗浄液の液温、洗浄時間などは、適宜設定することができる。
本発明においては、洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)との差が、0.06nm以内とすることが可能であり、より好ましくは0.05nm以下、さらに0.03nm以下、またさらに好ましくは0.01nm以下とすることも可能である。
すなわち、本発明によれば、アルカリ洗浄による基板表面の粗さ上昇を抑えることが可能である。上記の基板表面の粗さ上昇を0.06nm以内に抑制できれば、後述する主表面第二研磨によって得られる超低粗さの基板表面を大きく荒らすことがないので、超低粗さを維持しつつ、清浄性を高めることができる。
また、洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)が、0.13nm以下、特に0.10nm以下の超平滑な表面であることが好ましい。本発明によれば、アルカリ洗浄による基板表面の粗さ上昇を抑えることができるので、研磨処理によって得られた上記超平滑な基板表面粗さをできる限り悪化させないようにすることが可能である。
また、本実施の形態においても、前記洗浄液のpHが10以上であることが好適であり、11以上だとより好ましく、12以上だとさらに好ましい。本発明によれば、エッチングによる異物除去性を高めるために洗浄液が高いpH(強アルカリ)であっても、基板表面の粗さ上昇が少ないため、粗さ上昇を抑えつつ、高清浄な洗浄を実施することが可能である。なお、pHが13より大きくなると取扱に注意を要するため、13以下とすることが好ましい。
なお、通常、研磨処理は、前記のようにラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨処理と、この第1研磨処理で得られた平坦な表面を維持しつつ、ガラス基板主表面の表面粗さを平滑な鏡面に仕上げる第2研磨処理の2段階を経て行われることが一般的である(但し、3段階以上の多段階研磨を行うこともある)が、この場合、少なくとも後段の第2研磨処理、つまり研磨処理のうちの最終研磨処理の後に行う洗浄処理に本発明の洗浄処理を適用することが好ましい。本発明によれば、上記最終研磨処理で得られた平滑な鏡面をできる限り悪化させずに、高清浄な洗浄が行える。
本発明においては、ガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、アルミノシリケートガラスとすることが好ましい。また、アモルファスのアルミノシリケートガラスとするとさらに好ましい。このようなガラス基板は表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また加工後の強度が良好である。このようなアルミノシリケートガラスとしては、SiO2が58重量%以上75重量%以下、Al23が5重量%以上23重量%以下、Li2Oが3重量%以上10重量%以下、Na2Oが4重量%以上13重量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いることができる。さらに、例えば、SiO2 を62重量%以上75重量%以下、Al23を5重量%以上15重量%以下、Li2 Oを4重量%以上10重量%以下、Na2 Oを4重量%以上12重量%以下、ZrO2を5.5重量%以上15重量%以下、主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2 の重量比が0.5以上2.0以下、Al23 /ZrO2 の重量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとすることができる。
また、重量%表示にて、SiOを58〜66%、Alを13〜19%、LiOを3〜4.5%、NaOを6〜13%、KOが0を超えて5%以下、RO(但し、RO=LiO+NaO+KO)を10〜18%、MgOを0〜3.5%、CaOを1〜7%、SrOを0〜2%、BaOを0〜2%、RO(但し、RO=MgO+CaO+SrO+BaO)を2〜10%、TiOを0〜2%、CeOを0〜2%、Feを0〜2%、MnOを0〜1%、但し、TiO+CeO+Fe+MnO=0.01〜3%の組成を含有するガラスを用いることができる。
また、次世代基板の特性として耐熱性を求められる場合もある。この場合の耐熱性ガラスとしては、例えば、モル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜6%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスを好ましく用いることができる。
本発明においては、上記研磨加工後のガラス基板の表面は、算術平均表面粗さRaが0.20nm以下、特に0.15nm以下、更に好ましくは0.10nm以下であることが好ましい。更に、最大粗さRmaxが2.0nm以下、特に1.5nm以下、更に好ましくは1.0nm以下であることが好ましい。なお、本発明においてRa、Rmaxというときは、日本工業規格(JIS)B0601に準拠して算出される粗さのことである。これらの表面は、鏡面であることが好ましい。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を512×512ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
本発明においては、研磨処理の前または後に、化学強化処理を施すことが好ましい。化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上400度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス基板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス基板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス基板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス基板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化処理されたガラス基板は耐衝撃性に優れているので、例えばモバイル用途のHDDに搭載するのに特に好ましい。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸を好ましく用いることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって、図1および図2に示すように、両主表面11,11と、その間に外周側端面12、内周側端面13を有するディスク状のガラス基板1が得られる。外周側端面12は、側壁面12aと、その両側の主表面との間にある面取面12b、12bによりなる。内周側端面13についても同様の形状である。
また、本発明は、以上の磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法についても提供する。本発明において磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁性層を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
また、磁性層の上に、保護層、潤滑層をこの順に形成するとよい。保護層としてはアモルファスの水素化炭素系保護層が好適である。例えばプラズマCVD法により保護層を形成することができる。また、潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の末端に官能基を有する潤滑剤を用いることができる。取り分け、極性官能基として水酸基を末端に備えるパーフルオロポリエーテル化合物を主成分とすることが好ましい。潤滑層はディップ法により塗布形成することができる。
本発明によって得られる磁気ディスク用ガラス基板を用いることにより、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)粗研削処理、(2)形状加工処理、(3)精研削処理、(4)端面研磨処理、(5)主表面第1研磨処理、(6)化学強化処理、(7)主表面第2研磨処理、(8)洗浄処理、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
(1)粗研削処理
次いで、このガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるため粗研削処理を行った。この粗研削処理は両面研削装置を用い、遊離砥粒を用いて行った。具体的には、上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、ガラス基板と定盤との間に遊離砥粒を含む液を供給しつつ、上記研削装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を研削した。
(2)形状加工処理
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精研削処理
この精研削処理は、両面研削装置を用い、ダイヤモンド砥粒を樹脂で固定したペレットが貼り付けられた上下定盤の間に、キャリアにより保持したガラス基板を密着させて行なった。
具体的には、ガラス基板と定盤との間にクーラントを供給しつつ、上記研削装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を研削した。
(4)端面研磨処理
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面を鏡面研磨した。
(5)主表面第1研磨処理
次に、第1研磨処理を前述の図3に示す両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッド7が貼り付けられた上下研磨定盤5,6の間にキャリア4により保持したガラス基板を密着させ、このキャリア4を太陽歯車2と内歯歯車3とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤5,6によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤5,6上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨処理を実施した。研磨液としては、水に酸化セリウム(平均粒径(D50)1μm)を研磨剤として10重量%分散させたものを使用した。
(6)化学強化処理
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合して溶融させた化学強化液を用意し、上記ガラス基板を浸漬して化学強化処理を行なった。
(7)主表面第2研磨処理
次いで上記の第1研磨処理で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(アスカーC硬度で72の発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨処理を実施した。この第2研磨処理は、上述した第1研磨処理で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRmaxで2nm以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としては、有機ケイ素化合物を加水分解する方法を用いて製造したコロイダルシリカ(平均粒径(D50)15nm)を研磨剤として分散した水の中に、硫酸を添加して酸性(pH=2)に調整されたものを使用した。
(8)洗浄処理
次に、上記第2研磨処理を終えたガラス基板の洗浄処理を実施した。具体的には、純水にアルカリ洗浄剤としてTMAHを0.3モル/リットルの濃度となるように添加した洗浄液No.1(pH12.6)を収容した洗浄槽(液温:常温)中に、上記ガラス基板1バッチ50枚を600秒間浸漬させた。その後、ガラス基板を別の洗浄槽(純水、常温)に浸漬させ、80kHz、300秒間の超音波洗浄を行い、乾燥した。
上記洗浄処理の開始前に洗浄液No.1中のアルカリ金属イオン(ナトリウムイオンとカリウムイオン)濃度を測定した結果、0(ゼロ、検出限界値以下)であった。なお、アルカリ金属イオン濃度は、洗浄槽からサンプリングした洗浄液を用いて、例えばイオンクロマトグラフィーによって調べることができる。
また、上記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、上記洗浄処理直前(つまり第2研磨工程終了後)のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)をそれぞれ原子間力顕微鏡(AFM)にて測定し、その差(ΔRa:洗浄処理後のRaから洗浄処理前のRaを引いた値)を求めた。なお、上記表面粗さの値は50枚のガラス基板の平均値である。その結果、ΔRaは0.006nmであった。なお、洗浄処理前のRaは0.14nmであった。
そして、さらに別のガラス基板1バッチ50枚を上記洗浄槽に浸漬させて洗浄処理を行った。このようにして、上記洗浄槽にて、途中で液交換はせずに、ガラス基板1バッチ50枚ずつを連続して洗浄処理を行った。本実施例ではガラス基板にNaが含まれるため、洗浄処理回数が増えるにつれて洗浄液中のアルカリ金属イオンの量は徐々に増加する。
途中の段階で、洗浄液中のアルカリ金属イオン(ナトリウムイオンとカリウムイオン)濃度を測定した。また、その段階で洗浄を終えた50枚のガラス基板について、上記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、予め測定しておいた上記洗浄処理直前(つまり第2研磨工程終了後)のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)の差(ΔRa:洗浄処理後のRaから洗浄処理前のRaを引いた値)を、上記と同様にAFMを用いて求めた。
洗浄液中の上記アルカリ金属イオン濃度(C)と上記ΔRaを表1に示した(サンプル1〜5)。また、アルカリ金属イオン濃度(C)に対するΔRaの変化の割合、d(ΔRa)/d(C)についても表1に示した。
(実施例2)
上記実施例1における洗浄処理において、洗浄液にTMAHの他に、洗浄剤として前記アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム(第四級アンモニウムカチオン塩)、以下DBSと略す)を6.00×10−3mol/L添加した洗浄液No.2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして洗浄処理を行い、ガラス基板を作製した。
実施例1と同様にして、洗浄処理の途中の段階で、洗浄液中のアルカリ金属イオン(ナトリウムイオンとカリウムイオン)濃度を測定し、また、その段階で洗浄を終えた50枚のガラス基板について上記ΔRaを求めた。
洗浄液中の上記アルカリ金属イオン濃度(C)と上記ΔRaを表1に示した(サンプル6〜10)。また、アルカリ金属イオン濃度(C)に対するΔRaの変化の割合、d(ΔRa)/d(C)についても表1に示した。
(実施例3)
上記実施例1における洗浄処理において、洗浄液にTMAHに代えて、TEAH、TPAH、TBAHをそれぞれ添加した洗浄液No.3〜5、さらに洗浄剤はTMAHを添加したが、この他にノニオン界面活性剤としてポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル、分子量660.87(10EO)(10EOは酸化エチレンの付加モル数が 10 であることを示す)を6.00×10−3mol/L添加した洗浄液No.6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして洗浄処理を行い、ガラス基板を作製した。
実施例1と同様にして、洗浄処理の途中の段階で、洗浄液中のアルカリ金属イオン(ナトリウムイオンとカリウムイオン)濃度を測定し、また、その段階で洗浄を終えた50枚のガラス基板について上記ΔRaを求めた。
洗浄液中の上記アルカリ金属イオン濃度(C)と上記ΔRaを表2に示した(サンプル11〜14)。
Figure 0006298408
Figure 0006298408
上記表1、表2の結果から以下のことがわかる。
1.本発明によれば、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/L以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された複数のガラス基板の洗浄処理を行うことにより、洗浄処理後の基板表面粗さの上昇を抑制(0.06nm以下)することができる。
2.これに対して、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/Lを超えると、アルカリ金属イオン濃度(C)に対するΔRaの変化の割合、d(ΔRa)/d(C)が急激に大きくなり、洗浄処理後の基板表面粗さの上昇が大きい(0.077nm以上)。
3.洗浄剤として、TMAHの代わりに、TEAH、TPAH、TBAHをそれぞれ添加した場合においても、洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が4.00×10−3mol/L以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された複数のガラス基板の洗浄処理を行うことにより、洗浄処理後の基板表面粗さの上昇を抑制することができる。また、洗浄液に界面活性剤を添加した場合においても同様の効果が得られる。なお、表2には示していないが、さらにガラス基板1バッチ50枚ずつを連続して洗浄処理を続けると、上述のサンプル1〜10と同様の結果が得られる。
(実施例4)
前述の水ガラス法によって製造したコロイダルシリカ(平均粒径(D50)15nm)を用いた他は、サンプル6と同じ条件にてガラス基板を製造し、サンプル15とした。
また、サンプル6とサンプル15のそれぞれの条件において、TMAH+添加剤(DBS)の洗浄槽を通さずに洗浄してガラス基板を製造し、それぞれサンプル6N、15Nとした。
そして、サンプル6、15、6N、15Nのガラス基板の主表面をレーザー式の表面欠陥検査装置にて観察し、異物欠陥(異物付着による凸状欠陥)をカウントし、(サンプル6のカウント)/(サンプル6Nのカウント)×100=A(%)と、(サンプル15のカウント)/(サンプル15Nのカウント)×100=B(%)とを算出したところ、A=3%、B=6%となった。なおSEM及びEDXを用いて分析したところ、ほとんどの異物はシリカ砥粒であった。
すなわち、有機ケイ素化合物を加水分解する方法(ゾルゲル法)を用いて製造したコロイダルシリカによる研磨後に本願発明を用いると、特に洗浄効果が高いことがわかった。
(実施例5)
以下の(1)粗研削処理、(2)形状加工処理、(3)精研削処理、(4)端面研磨処理、(5)主表面第1研磨処理、(6)化学強化処理、(7)主表面第2研磨処理、(8)洗浄処理、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)粗研削処理
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
次いで、このガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるため粗研削処理を行った。この粗研削処理は両面研削装置を用い、アルミナの遊離砥粒を用いて行った。具体的には、上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、荷重を適宜設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を粗研削した。
(2)形状加工処理
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精研削処理
この精研削工程は両面研削装置を用い、固定砥粒が貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させて行なった。
具体的には、荷重を適宜設定して、上記研削装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を研削した。
(4)端面研磨処理
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面を研磨した。
(5)主表面第1研磨処理
次に、上述した精研削処理で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨処理を前述の図3に示す両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッド7が貼り付けられた上下研磨定盤5,6の間にキャリア4により保持したガラス基板を密着させ、このキャリア4を太陽歯車2と内歯歯車3とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤5,6によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤5,6上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨処理を実施した。研磨液としては、酸化セリウムを研磨剤として水に分散させたものを使用した。
(6)化学強化処理
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合して加熱し溶融させた化学強化液を用意し、ガラス基板を浸漬して化学強化処理を行なった。
(7)主表面第2研磨処理
次いで上記の第1研磨処理で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(アスカーC硬度で72の発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨処理を実施した。この第2研磨処理は、上述した第1研磨処理で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm以下、Rmaxで2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としては、コロイダルシリカ(平均粒径15nm)を研磨剤として分散した純水中に、酸性(pH=2)に調整されたものを使用した。
(8)洗浄処理
次に、上記第2研磨処理を終えたガラス基板の洗浄処理を実施した。具体的には、純水にアルカリ洗浄剤としてTMAHを0.3モル/リットルの濃度となるように添加した洗浄液(pH12.6)を収容した洗浄槽(液温:常温)中に600秒間浸漬させた。その後、ガラス基板を別の洗浄槽(純水、常温)に浸漬させ、80kHz、300秒間の超音波洗浄を行い、乾燥した。
このとき、TMAHには、NaイオンとKイオンのいずれも含まない(検出限界以下)ものを用いた。なお、この洗浄液をサンプリングしてイオンクロマトグラフィー法を用いてNaイオンとKイオンの濃度を調べたところ、いずれも検出されなかった。
上記各工程を経て得られた100枚のガラス基板について、上記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、上記洗浄処理直前(つまり第2研磨工程終了後)のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)をそれぞれ原子間力顕微鏡(AFM)にて測定し、その差(ΔRa:洗浄処理後のRaから洗浄処理前のRaを引いた値)を表3に示した。なお、上記表面粗さの値は製造したガラス基板100枚の平均値である。
また、得られた100枚のガラス基板に対して異物欠陥の評価を実施した。得られたガラス基板の主表面をレーザー式の表面欠陥検査装置にて観察し、異物欠陥(異物付着による凸状欠陥)をカウントし、結果を表5に示した。なお、上記カウント数は製造したガラス基板100枚の平均値である。
本実施例によれば、アルカリ洗浄による基板表面粗さの上昇が抑えられた基板表面を有する磁気ディスク用ガラス基板が得られた。
(比較例1)
上記実施例1における洗浄処理において、アルカリ洗浄剤としてKOHを0.3モル/リットルの濃度で添加した洗浄液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板を作製した。洗浄液中のKイオン濃度を測定したところ、12000ppmであった。洗浄後の異物欠陥数は、775カウントとなり、実施例1と同等であった。
(比較例2)
上記実施例1における洗浄処理において、アルカリ洗浄剤としてNaOHを0.3モル/リットルの濃度で添加した洗浄液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板を作製した。洗浄液中のNaイオン濃度を測定したところ、12000ppmであった。洗浄後の異物欠陥数は、802カウントとなり、実施例1と同等であった。
(実施例2)
上記実施例1における洗浄処理において、洗浄液にTMAHの他に、洗浄剤として前記アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム(第四級アンモニウムカチオン塩)、以下DBSと略す)を10mmol/L添加し、洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を1ppm以下とした洗浄液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板を作製した。なお、上記アニオン界面活性剤については、洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量が上記範囲となるように、これらのイオンをイオン交換樹脂を用いて除去したものを用いた。
(実施例3)
上記実施例2における洗浄工程において、DBSの精製条件を変更して洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を10ppmとした洗浄液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板を作製した。
(実施例4)
上記実施例2における洗浄工程において、DBSの精製条件を変更して洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を95ppmとした洗浄液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板を作製した。
(実施例5)
上記実施例2における洗浄工程において、DBSの精製条件を変更して洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を195ppmとした洗浄液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板を作製した。
(参考例)
上記実施例2における洗浄工程において、DBSの精製条件を変更して洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を221ppmとした洗浄液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板を作製した。
(実施例6)
洗浄液にTMAHの他に、ノニオン界面活性剤としてポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル、分子量660.87(10EO)(10EO は酸化エチレンの付加モル数が 10 であることを示す)を10mmol/L添加し、洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量を1ppm以下とした洗浄液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板を作製した。なお、上記ノニオン界面活性剤については、洗浄液中のNaイオンとKイオンの総量が上記範囲となるように、これらのイオンをイオン交換樹脂を用いて除去したものを用いた。
上記実施例2〜6、参考例、及び比較例1、2で作製したガラス基板について、実施例1と同様に、主表面の表面粗さの測定、あるいは主表面の表面粗さの測定と異物欠陥評価を行い、その結果を纏めて下記表3、表4、表5に示した。
Figure 0006298408
Figure 0006298408
Figure 0006298408
上記表3〜表5の結果から以下のことがわかる。
1.本発明の実施例によれば、洗浄処理後の基板表面粗さの上昇を抑制することができる。TMAHの場合、従来のKOH、NaOHよりもΔRaが小さくなる。
2.本発明の実施例によれば、従来のKOHやNaOHと同等の洗浄性が得られる場合においても、洗浄処理後の基板表面粗さの上昇を非常に小さく抑えることができる。表4の結果から、アルカリ金属イオン濃度が、200ppm未満、100ppm以下、10ppm以下、1ppm以下の順にΔRaが小さくなる。また、表5の結果からわかるように、とくに界面活性剤DBSの添加によりカウントは半減するため好ましい。なお、カウント数については実施例1のレベルでも磁気ディスク用ガラス基板として使用できるレベルである。
3.これに対して、従来のKOH、NaOHを用いて洗浄した場合、良好な洗浄性は得られるものの、洗浄処理後の基板表面粗さの上昇が大きい。
(磁気ディスクの製造)
上記実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、CrTi系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、NiWからなるシード層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt系合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、DFHヘッドを備えたHDDに組み込み、80℃かつ80%RHの高温高湿環境下においてDFH機能を作動させつつ1ヶ月間のロードアンロード耐久性試験を行ったところ、特に障害も無く、良好な結果が得られた。
1 ガラス基板
2 太陽歯車
3 内歯歯車
4 キャリア
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド
11 基板の主表面
12,13 基板の端面

Claims (10)

  1. ガラス基板の洗浄処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記洗浄処理前に対する前記洗浄処理後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)の増大量と、前記洗浄処理に用いる洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度との関係を予め求めておき、
    求めた前記関係に基づき、前記表面粗さ(Ra)の増大量が0.06nm以下となる前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度を決定し、
    前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの合計の濃度が前記決定した濃度以下となる条件を維持しながら、主表面が鏡面研磨された前記ガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記洗浄液は、アルカリ剤として、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを含有することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記洗浄液は、さらにナトリウムとカリウムを含まない界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記洗浄液は、さらに界面活性剤、キレート剤、及び分散剤のうち少なくとも1つの物質を含有し、
    前記洗浄液中のナトリウムイオンとカリウムイオンの総量を200ppm未満に抑えながら前記洗浄処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記ガラス基板はガラス成分中にナトリウムとカリウムの少なくとも一方の成分を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記ガラス基板を構成するガラスは、NaO又はKOのいずれか一方を少なくとも含むアルミノシリケートガラスであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記洗浄処理直前のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)が、0.13nm以下であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  8. 前記洗浄液のpHが10以上であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  9. 前記洗浄処理は、研磨砥粒を用いて前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程のうち最終研磨工程の後に行う洗浄処理であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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