JP6041290B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクに用いる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスクの製造方法に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される情報記録媒体の一つとして磁気ディスクがある。磁気ディスクは、基板上に磁性層等の薄膜を形成して構成されたものであり、その基板として従来はアルミ基板が用いられてきた。しかし、最近では、高記録密度化の追求に呼応して、アルミ基板と比べて磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔をより狭くすることが可能なガラス基板の占める比率が次第に高くなってきている。また、ガラス基板表面は磁気ヘッドの浮上高さを極力下げることができるように、高精度に研磨して高記録密度化を実現している。近年、HDDの更なる大記録容量化、低価格化の要求は増すばかりであり、これを実現するためには、磁気ディスク用ガラス基板においても更なる高品質化、低コスト化が必要になってきている。
上述したように高記録密度化にとって必要な低フライングハイト(浮上量)化のために磁気ディスク表面の高い平滑性は必要不可欠である。磁気ディスク表面の高い平滑性を得るためには、結局、高い平滑性の基板表面が求められるため、高精度にガラス基板表面を研磨する必要がある。
従来、磁気ディスク用ガラス基板の主表面を酸化セリウム(CeO2)や酸化ジルコニウム(ZrO2)やコロイダルシリカ(SiO2)等のさまざまな砥粒を含む遊離砥粒で研磨することは知られている。
下記特許文献1には、研磨工程から化学強化工程に至る各工程間の基板搬送時に基板を乾燥させないように搬送することによって、ガラス基板表面と付着物との親和力を低減させて主表面上の異物を低減させることが記載されている。
また、下記特許文献2には、酸化セリウムを用いた研磨工程の後、アスコルビン酸、無機酸、塩化アルミニウムの3成分を少なくとも含む洗浄液でガラス基板を洗浄することによって、基板表面をエッチングすることなくかつ酸化セリウムを選択的に溶解する技術が記載されている。
特開2003−141717号公報 特許第4831096号公報
現在のHDDにおいては、1平方インチ当り500ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに至っており、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクに320ギガバイト程度の情報を収納することが可能になっているが、更なる高記録密度化、例えば375〜500ギガバイト、更には1テラバイトの実現が要求されるようになってきている。このような近年のHDDの大容量化の要求に伴い、基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきている。上記のような例えば375〜500ギガバイトの磁気ディスク向けの次世代基板においては、メディア特性に与える基板の影響が大きくなるので、基板表面の粗さだけでなく、異物付着等による表面欠陥が存在しないことについても現行品からの更なる改善が求められる。
次世代基板においてはメディア特性に与える基板の影響が大きくなるのは以下のような理由による。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい磁性粒子の信号も拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、従来以上の低浮上量化を実現するために、DFH(Dynamic Flying Height)という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、磁気ヘッドの記録再生素子部の近傍に極小のヒーター等の加熱部を設けて、記録再生素子部周辺のみを媒体表面方向に向けて突き出す機能である。今後、このDFH機能によって、磁気ヘッドの素子部と媒体表面との間隙は、2nm未満と極めて小さくなると見られている。このような状況下で、基板表面の平均粗さを極めて小さくしたところで、従来問題とならなかった極く小さな異物付着等による表面欠陥が存在すると、そのまま媒体表面においても表面欠陥となるので、磁気ヘッドの衝突の危険性が高まる。
ところで、酸化セリウムでガラス基板主表面を研磨した後、上記特許文献2に開示された洗浄を施し、さらにシリカ砥粒で主表面を研磨してガラス基板を製造し、さらにこのガラス基板を用いて媒体(磁気ディスク)を製造したところ、成膜後またはHDDの組み立て後の検査において、ミッシングエラーを多く検出する媒体があることが判明した。このミッシングエラーとは、媒体上の欠陥などにより、所定のスレッシュホールドより再生信号が低下する現象が発生し、それによって生じる記録・再生不良エラーのことである。
本発明はこのような従来の課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、ガラス基板の表面欠陥を低減し、このガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおけるミッシングエラーの発生を減少させ、基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として使用することが可能な高品質のガラス基板を製造できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、およびそれによって得られるガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
本発明者は、磁気ディスクの主表面におけるミッシングエラー検出箇所を詳細に分析したところ、ごく微小な膜抜けとともに、極めて微小な酸化セリウム研磨砥粒が発見された。
本発明者は、ガラス基板(製品)の主表面上に酸化セリウム砥粒が残留しているものと推察して、最終洗浄後のガラス基板の主表面を詳細に調査したが、酸化セリウム砥粒は発見されなかった。
そこで、酸化セリウムで研磨後のガラス基板主表面に酸化セリウム砥粒が深く突き刺さって、その後のシリカ砥粒を用いた研磨で取りきれなかったものと推測し、シリカ砥粒を用いた研磨時の研磨取代を増加させてミッシングエラーが改善するか確認した。しかし、意外なことにミッシングエラーは上記の研磨取代を増大させても改善が見られなかった。
そこで、本発明者は、基板主表面以外からの砥粒移着を想定して、さらに詳細に調査した結果、ガラス基板の端面(側壁面または面取面)に付着した酸化セリウム粒子が発見された。すなわち、このことは、酸化セリウム砥粒を用いる端面研磨もしくは最初の主表面研磨(第1研磨)の最中に基板端面に付着し、その後の洗浄工程において除去しきれなかった酸化セリウム砥粒がメディア成膜工程やHDD組み立て工程における側壁面のクランプ等によって脱離し、主表面上に移着したことによるものと推察された。なお、ガラス基板の端面のうち側壁面と面取面とを比較すると、側壁面の方で酸化セリウム粒子が多く発見された。これは、上記端面研磨、主表面第1研磨のいずれにおいても側壁面の方が酸化セリウム砥粒の圧力が高いためと推察される。すなわち、上記主表面第1研磨工程では、ガラス基板の側壁面とキャリア側面との間に挟まれた酸化セリウム砥粒がガラス基板に強く押し付けられて突き刺さったり、キャリアとの擦れによってできた側壁面の微小なキズやクラックに挟まったりし、また上記端面研磨工程では、研磨ブラシによる圧力が高いことから、酸化セリウム砥粒が残留しやすく、その後の洗浄工程で取りきれなかったものと推察される。なお、酸化セリウムはシリカに対して高い化学的研磨効果を持っており、特にくっつきやすい(親和性が高い)という性質も関係していると考えられる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、上記端面研磨工程後もしくは主表面第1研磨工程後に一時的にガラス基板を保管する保管液の状態が磁気記録媒体のミッシングエラーの発生量と関係していることを突き止め、さらに鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至ったものである。すなわち、酸化セリウム砥粒を用いた研磨後のガラス基板を、適切な分散剤を加えた保管液に接触(例えば浸漬)させることによって、ガラス基板表面から液中への酸化セリウム砥粒の分散性を高め、かつ、再付着を防止することができ、その結果、媒体としたときのミッシングエラーを減少させることに成功した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
酸化セリウムを研磨剤として含む遊離砥粒を用いてガラス基板の端面又は主表面を研磨する研磨工程と、該研磨工程後のガラス基板をアルカリ金属イオンとリン酸イオンとを含む水溶液に接触させる接触工程と、該接触工程の後に前記ガラス基板を洗浄する洗浄工程と、を少なくとも有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成2)
前記リン酸イオンは、オルソリン酸イオン、ピロリン酸イオン、トリポリリン酸イオン、テトラリン酸イオン、ヘキサメタリン酸イオンから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成3)
前記アルカリ金属イオンは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成4)
前記洗浄工程は、還元剤と無機酸とフッ素イオンとを少なくとも含む洗浄液を用いることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成5)
前記洗浄工程は、最後にガラス基板を乾燥する工程を含むことを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成6)
前記洗浄工程の後、ガラス基板の化学強化を行うことを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成7)
コロイダルシリカを含む研磨砥粒を用いてガラス基板の主表面を研磨する研磨工程をさらに有することを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成8)
構成1乃至7のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
本発明によれば、研磨工程で用いる酸化セリウム砥粒に起因するガラス基板の表面欠陥を低減し、このガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおけるミッシングエラーの発生を減少させ、基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として使用することが可能な高品質の磁気ディスク用ガラス基板を提供することができる。また、本発明によって得られるガラス基板を利用し、とりわけDFH機能を搭載した極低浮上量の設計の磁気ヘッドと組み合わせた場合においても、上述のミッシングエラーの発生が減少し、長期に安定した動作が可能な信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
磁気ディスク用ガラス基板の断面図である。 磁気ディスク用ガラス基板の全体斜視図である。 両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、粗研削工程(粗ラッピング工程)、形状加工工程、精研削工程(精ラッピング工程)、端面研磨工程、主表面研磨工程(第1研磨工程、第2研磨工程)、化学強化工程、等を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板(ガラスディスク)を得てもよい。次に、この成型したガラス基板(ガラスディスク)に寸法精度及び形状精度を向上させるための研削(ラッピング)を行う。この研削工程は、通常両面ラッピング装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
この研削工程の終了後は、端面研磨加工、および高精度な主表面を得るための鏡面研磨加工を行う。ガラス基板の端面の研磨方法としては、酸化セリウム等の金属酸化物の研磨剤を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、研磨ブラシを用いて行うのが好適である。また、ガラス基板の主表面の鏡面研磨方法としては、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨剤を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等の研磨パッドを用いて行うのが好適である。
本発明は、上記構成1にあるように、酸化セリウムを研磨剤として含む遊離砥粒を用いてガラス基板の端面又は主表面を研磨する研磨工程と、該研磨工程後のガラス基板をアルカリ金属イオンとリン酸イオンとを含む水溶液に接触させる接触工程と、該接触工程の後に前記ガラス基板を洗浄する洗浄工程と、を少なくとも有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
すなわち、本発明の特徴的な構成は、酸化セリウムを研磨剤として含む遊離砥粒を用いてガラス基板の端面を研磨する研磨工程の後、または、酸化セリウムを研磨剤として含む遊離砥粒を用いてガラス基板の主表面を研磨する研磨工程(特に最初の第1研磨工程)の後、ガラス基板を特定の分散剤等を含む水溶液に接触させる接触工程を有することである。そして、この接触工程に使用する水溶液は、具体的にはアルカリ金属イオンとリン酸イオンとを含む水溶液である。
本発明によれば、上記接触工程において、上記水溶液(以下、保管液とも呼ぶ。)中にガラス基板表面(特に端面)に付着したまま持ち込まれた酸化セリウム砥粒は、上記水溶液中のリン酸イオンによって分散される。さらに、上記水溶液中のアルカリ金属イオンがガラス表面に付着して覆うことによって、分散した酸化セリウム砥粒がガラス表面に再付着することを防止することができる。その結果、ガラス基板表面(特に端面)の酸化セリウム砥粒残留を低減することができるため、このガラス基板を用いて磁気記録媒体としたときのミッシングエラーの発生を減少させることができる。
本発明において、上記リン酸イオンとしては、オルソリン酸イオン、ピロリン酸イオン、トリポリリン酸イオン、テトラリン酸イオン、ヘキサメタリン酸イオンから選ばれる少なくとも1つであることが好適である。これらのリン酸イオンは水溶液中で3価以上のアニオンとなるため、電気的陽性が非常に強い酸化セリウムの表面に強く引き寄せられる。その結果、酸化セリウム砥粒とガラス基板表面との付着力を弱めて、酸化セリウム砥粒をガラス基板表面から水溶液中に分散させるとともに、水溶液中に分散した酸化セリウム砥粒の周囲を取り囲んでガラス表面への再付着を抑制することができる。
また、本発明において、上記アルカリ金属イオンは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが好ましい。これらのアルカリ金属イオンは、リン酸塩を構成する陽イオンとして供給することが好適である。すなわち、NaOHやKOHなどを別途添加して供給すると、粗さが悪化する恐れがあるので好ましくない。
これらのアルカリ金属イオンは、ガラス表面に対する付着力が強く、ガラス基板表面に付着して覆うことによって、酸化セリウム砥粒のガラス表面への再付着を抑制することができる。
本発明において、リン酸イオンの含有量は、0.001〜1mol / Lであることが好ましく、アルカリ金属イオンの含有量は、0.001〜1mol / Lであることが好ましい。
また、上記水溶液のpHは、アルカリ金属イオンを基板表面に十分に吸着させること、及び基板表面粗さを悪化させないことの理由から、6〜12の範囲に調整されることが好適である。
上記接触工程において、研磨工程後のガラス基板を上記水溶液に接触させる方法としては、研磨工程後のガラス基板を上記水溶液中に浸漬させることが好適である。この際、上記水溶液を適宜撹拌したり、あるいはガラス基板を適宜揺動させることも好適である。
また、この浸漬による方法に限らず、例えばシャワーやジェット洗浄により、上記水溶液を研磨工程後のガラス基板に接触させるようにすることもできる。例えば、上記端面研磨工程後に行う接触工程ではガラス基板に対してこのような洗浄方法を適用することも好適である。
また、上記接触工程の後に実施する洗浄工程は、還元剤と無機酸とフッ素イオンとを少なくとも含む洗浄液を用いて行うことが好ましい。
上記接触工程の後に、ガラス基板に対して、還元剤と無機酸とフッ素イオンとを少なくとも含む洗浄液を用いた洗浄工程を実施することにより、上記接触工程においてガラス基板から前記水溶液(保管液)中に分散した残留酸化セリウム砥粒を洗浄溶解除去することが容易になり、ガラス基板への再付着を防止することができる。
上記洗浄液に用いる上記還元剤としては、例えばアスコルビン酸等が好ましく、上記無機酸としては、例えば硫酸等が挙げられる。また、上記フッ素イオンは、例えばフッ酸を添加することにより供給する。本発明においては、特に、酸(硫酸等)、還元剤(アスコルビン酸等)、フッ酸の少なくとも3成分を含む洗浄液(水溶液)を使用することが好適である。この洗浄液を使用することにより、酸化セリウム砥粒を化学的に溶解する効果と、フッ酸による強力なエッチング効果が得られる。なお、上記還元剤と無機酸とフッ素イオンの含有量は、適宜設定することができる。
また、上記洗浄工程が、最後にガラス基板を乾燥する工程を含む場合に本発明は好適である。ガラス基板表面が乾燥すると、残留した異物とガラス基板表面との固着が強くなるが、本発明においては、研磨工程後の酸化セリウム砥粒の残留を低減することができるため、上記洗浄工程の最後にガラス基板を乾燥しても残留砥粒のガラス基板への固着を防止することができる。
また、上記洗浄工程の後、ガラス基板の化学強化を行う場合に本発明は好適である。ガラス基板表面に異物が残留した状態で化学強化が行われると、残留した異物とガラス基板表面との固着が強くなる。本発明においては、研磨工程後の酸化セリウム砥粒の残留を低減することができるため、上記洗浄工程の後にガラス基板の化学強化を行っても残留砥粒のガラス基板への固着を防止することができる。
本発明においては、上記酸化セリウム砥粒を用いた主表面第1研磨工程の後に、さらに基板主表面の平滑性を向上させるため、コロイダルシリカを含む研磨砥粒を用いてガラス基板の主表面を研磨する研磨工程(後述の主表面第2研磨工程)を実施することが好ましい。
研磨加工に用いられる研磨液は、基本的には研磨剤と溶媒である純水(例えばRO水)の組合せであり、さらに研磨液のpHを調整するためのpH調整剤や、その他の添加剤が必要に応じて含有されている。ここでRO水とは、RO(逆浸透圧膜)処理された純水のことである。RO処理及びDI処理(脱イオン処理)されたRO−DI水を用いると特に好ましい。RO水或いはRO−DI水は不純物、例えばアルカリ金属の含有量が極めて少ない上に、イオン含有量も少ないからである。上記のとおり、本発明は、酸化セリウム砥粒を含む研磨剤を用いる研磨工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に適用される。
また、本発明の研磨工程(特に仕上げ鏡面研磨工程(後述の第2研磨工程))に適用される研磨液は、例えば酸性域に調整されたものが用いられることが好適である。例えば、硫酸を研磨液に添加して、pH=1〜5の範囲に調整される。本発明において酸性域に調整された研磨液を好適に用いる理由は、生産性及び清浄性の観点からである。
例えば、前記端面研磨工程や主表面第1研磨工程に用いる研磨液に含有される酸化セリウム砥粒は、平均粒径が0.5 〜 4μm程度のものが好ましい。特に、仕上げ鏡面研磨工程(後述の第2研磨工程)に用いる研磨液に含有されるコロイダルシリカ砥粒は、表面粗さのいっそうの低減を図る観点から、平均粒径が10〜40nm程度のものを使用するのが好ましく、特に10〜20nm程度の微細なものが好ましい。
なお、本発明において、上記平均粒径とは、光散乱法により測定された粒度分布における粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径(以下、「累積平均粒子径(50%径)」と呼ぶ。)を言う。本発明において、累積平均粒子径(50%径)は、具体的には、粒子径・粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA-EX150)を用いて測定して得られる値である。
本発明の研磨工程における研磨方法は特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板の端面研磨においては、研磨砥粒を含む研磨液を供給しながら、研磨ブラシを用いて研磨すればよい。また、ガラス基板の主表面研磨においては、ガラス基板と研磨パッドとを接触させ、研磨砥粒を含む研磨液を供給しながら、研磨パッドとガラス基板とを相対的に移動させて、ガラス基板の表面を鏡面状に研磨すればよい。
例えば図3は、ガラス基板の鏡面研磨工程に用いることができる遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。図3に示す両面研磨装置は、太陽歯車2と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車3と、太陽歯車2及び内歯歯車3に噛み合い、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じて公転及び自転するキャリア4と、このキャリア4に保持された被研磨加工物1を挟持可能な研磨パッド7がそれぞれ貼着された上定盤5及び下定盤6と、上定盤5と下定盤6との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
このような両面研磨装置によって、研磨加工時には、キャリア4に保持された被研磨加工物1、即ちガラス基板を上定盤5及び下定盤6とで挟持するとともに、上下定盤5,6の研磨パッド7と被研磨加工物1との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じてキャリア4が公転及び自転しながら、被研磨加工物1の上下両面が研磨加工される。
特に仕上げ鏡面研磨用の研磨パッドとしては、軟質ポリッシャの研磨パッド(スウェードパッド)であることが好ましい。研磨パッドの硬度はアスカーC硬度で、60以上80以下とすることが好適である。研磨パッドのガラス基板との当接面は、発泡ポアが開口した発泡樹脂、取り分け発泡ポリウレタンとすることが好ましい。このようにして研磨を行うと、ガラス基板の表面を平滑な鏡面状に研磨することができる。
本発明においては、ガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、アモルファスのアルミノシリケートガラスとすることが好ましい。このようなガラス基板は表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また加工後の強度が良好である。このようなアルミノシリケートガラスとしては、SiO2が58重量%以上75重量%以下、Al23が5重量%以上23重量%以下、Li2Oが3重量%以上10重量%以下、Na2Oが4重量%以上13重量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いることができる。さらに、例えば、SiO2 を62重量%以上75重量%以下、Al23を5重量%以上15重量%以下、Li2 Oを4重量%以上10重量%以下、Na2 Oを4重量%以上12重量%以下、ZrO2を5.5重量%以上15重量%以下、主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2 の重量比が0.5以上2.0以下、Al23 /ZrO2 の重量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとすることができる。このようなガラスとしては、例えばHOYA株式会社製のN5ガラス(商品名)を挙げることができる。
また、次世代基板の特性として耐熱性を求められる場合もある。この場合の耐熱性ガラスとしては、例えば、モル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜6%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスを好ましく用いることができる。
本発明においては、上記主表面鏡面研磨加工後のガラス基板の表面は、算術平均表面粗さRaが0.20nm以下、特に0.15nm以下、更に好ましくは0.12nm以下である鏡面とされることが好ましい。更に、最大粗さRmaxが2.0nm以下である鏡面とされることが好ましい。なお、本発明においてRa、Rmaxというときは、日本工業規格(JIS)B0601に準拠して算出される粗さのことである。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を256×256ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
本発明においては、主表面鏡面研磨工程の前または後に、化学強化処理を施すことが好ましい。化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上400度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス基板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス基板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス基板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス基板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化処理されたガラス基板は耐衝撃性に優れているので、例えばモバイル用途のHDDに搭載するのに特に好ましい。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸を好ましく用いることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって、図1および図2に示すように、両主表面11,11と、その間に外周側端面12、内周側端面13を有するディスク状のガラス基板1が得られる。外周側端面12は、側壁面12aと、その両側の主表面との間にある面取面12b、12bによりなる。内周側端面13についても同様の形状である。
また、本発明は、以上の磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法についても提供する。本発明において磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁性層を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
また、磁性層の上に、保護層、潤滑層をこの順に形成するとよい。保護層としてはアモルファスの水素化炭素系保護層が好適である。例えばプラズマCVD法により保護層を形成することができる。また、潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の末端に官能基を有する潤滑剤を用いることができる。取り分け、極性官能基として水酸基を末端に備えるパーフルオロポリエーテル化合物を主成分とすることが好ましい。潤滑層はディップ法により塗布形成することができる。
本発明によって得られる磁気ディスク用ガラス基板を利用することにより、ミッシングエラーの発生を低減させた信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)主表面第1研磨工程、(6)化学強化工程、(7)主表面第2研磨工程、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
次いで、このガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行った。具体的には、上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、荷重を150g/cm2程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精ラッピング工程
この精ラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#1000のダイヤモンド砥粒をアクリル樹脂で固定したペレットが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させて行なった。
具体的には、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を、表面粗さRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度にラッピングした。
上記ラッピング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
(4)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(5)主表面第1研磨工程
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程を前述の図3に示す両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッド7が貼り付けられた上下研磨定盤5,6の間にキャリア4により保持したガラス基板を密着させ、このキャリア4を太陽歯車2と内歯歯車3とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤5,6によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤5,6上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては、酸化セリウム(平均粒径1μm)を研磨剤として10重量%分散したRO水中にさらにエタノール系の低分子量の界面活性剤を添加して中性に調整されたものを使用した。荷重は100g/cm、研磨時間は15分とした。
上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、RO水中にヘキサメタリン酸ナトリウムを添加(添加量0.1mol / L)することによりヘキサメタリン酸イオンおよびナトリウムイオンを含むpH=7に調整された保管液に浸漬させた(前記接触工程)。浸漬時間は3分とした。
こうして保管液に浸漬後、ガラス基板を、硫酸(4.5重量%)、アスコルビン酸(1重量%)およびフッ酸(10ppm)を含む洗浄液(水溶液)槽に浸漬し、さらに純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
(6)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス基板を硫酸、中性洗剤、純水、純水、の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄した。
(7)主表面第2研磨工程
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(アスカーC硬度で72の発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRmaxで2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としては、コロイダルシリカ(平均粒径15nm)を研磨剤として15重量%分散したRO水中に、硫酸を添加して酸性(pH=2)に調整されたものを使用した。なお、荷重は100g/cm、研磨時間は10分とした。
上記第2研磨工程を終えたガラス基板の超音波洗浄を行い、乾燥した。
上記各工程を経て得られた5枚のガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Ra=0.120nmと従来品よりも更に超平滑な表面を持つガラス基板を得た。なお、上記表面粗さの値は製造したガラス基板5枚の平均値である。
また、得られた5枚のガラス基板に対して異物欠陥の評価を実施した。得られたガラス基板の端面および主表面をそれぞれ顕微鏡とOSA(Optical Surface Analyzer)にて観察し、検出された表面欠陥からそれぞれ10ポイントを選択して原子間力顕微鏡(AFM)及びSEM/EDXで分析した。本実施例により得られた5枚のガラス基板はいずれも、その主表面および端面のいずれからも酸化セリウムの粒子は発見されなかった。
また、上記実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、以下のミッシングエラー試験を行った。
[ミッシングエラー試験]
作成した磁気ディスクをDFHヘッドとともにHDDに組み込み、HDDを製造した。磁気ヘッド素子部と磁気ディスク表面との間隙が2nmとなるようにDFH制御した上で、主表面上に所定の周波数の信号を書き込んだ後、その信号を読み取り、信号強度に対して所定の閾値を設けることによってミッシングエラーとされる数を検出した。
その結果、本実施例では10個以下であった。
(実施例2)
実施例1における上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、RO水中にトリポリリン酸ナトリウムを添加(添加量0.1mol /L)することによりトリポリリン酸イオンおよびナトリウムイオンを含むアルカリ性(pH=10)に調整された保管液に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして主表面研磨を行い、これ以外の工程については実施例1と同様にして実施し、5枚のガラス基板を作製した。
得られた5枚のガラス基板に対して実施例1と同様に異物欠陥の評価を実施した。本実施例により得られた5枚のガラス基板はいずれも、その主表面および端面のいずれからもCeO2粒子は発見されなかった。
また、本実施例により作製したガラス基板を用いて、実施例1と同様に垂直磁気記録用磁気ディスクを作製した。
得られた磁気ディスクについて、実施例1と同様のミッシングエラー試験を行った。その結果、本実施例では10個以下であった。
(比較例)
上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、ヘキサメタリン酸イオンおよびナトリウムイオンを含む保管液に浸漬させる接触工程を省き、直ぐに、硫酸、アスコルビン酸およびフッ酸を含む洗浄液(水溶液)槽に浸漬し、さらに純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
これ以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
得られた5枚のガラス基板に対して実施例1と同様に異物欠陥の評価を実施した結果、本比較例により得られた5枚のガラス基板はいずれからも、CeO2が発見され、特に端面からは全てのディスクにおいてCeO2が発見された。
さらに、本比較例により作製したガラス基板を用いて、実施例1と同様に垂直磁気記録用磁気ディスクを作製した。
得られた磁気ディスクについて、実施例1と同様のミッシングエラー試験を行った。その結果、本比較例ではミッシングエラーの数が1つの面に対する平均で10個以上となり、不合格であった。
以上の結果から、本実施例によれば、特に主表面第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒の残留による異物欠陥を大幅に低減できることを確認できた。すなわち、本実施例によれば、基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として使用することが可能である。また、本実施例のガラス基板を用いて作製した垂直磁気記録用磁気ディスクにおいては、ミッシングエラーの発生率が非常に小さく、良好な結果が得られた。
一方、比較例においては、酸化セリウム砥粒の残留による異物欠陥の発生が特に基板端面において顕著であり、本比較例のガラス基板を用いて作製した垂直磁気記録用磁気ディスクにおいては、ミッシングエラーの発生率が高く、信頼性が低い。
1 ガラス基板
2 太陽歯車
3 内歯歯車
4 キャリア
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド
11 基板の主表面
12,13 基板の端面

Claims (9)

  1. 酸化セリウムを研磨剤として含む遊離砥粒を用いてガラス基板の端面又は主表面を研磨する研磨工程と、該研磨工程後のガラス基板をアルカリ金属イオンとリン酸イオンとを含むpH6以上10以下の水溶液に接触させる接触工程と、該接触工程の後に、酸化セリウムを溶解除去する洗浄液を用いて前記ガラス基板を洗浄する洗浄工程と、を少なくとも有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記リン酸イオンは、オルソリン酸イオン、ピロリン酸イオン、トリポリリン酸イオン、テトラリン酸イオン、ヘキサメタリン酸イオンから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記リン酸イオンの含有量は、0.001〜1mol/Lであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属イオンは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記洗浄工程は、還元剤と無機酸とフッ素イオンとを少なくとも含む洗浄液を用いることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記洗浄工程は、最後にガラス基板を乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記洗浄工程の後、ガラス基板の化学強化を行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  8. コロイダルシリカを含む研磨砥粒を用いてガラス基板の主表面を研磨する研磨工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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